JP4327431B2 - 接着剤 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、接着剤に関する。
【0002】
【従来の技術】
現在広く用いられている木材用接着剤としては、フェノール樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂等がある。しかし、これら接着剤からは、発癌性があることや化学物質過敏症等のアレルギーの原因物質となることが指摘されている物質であるホルムアルデヒドが放出される場合がある。
【0003】
例えば、前記各種の接着剤を木造住宅に使用した場合、ホルムアルデヒド等の揮発性有機化合物が次第に遊離して住環境中に放出されるおそれがある。特に、最近の住宅は高気密化が進む傾向にあるため、空気中における前記揮発性有機化合物の濃度が増加し、住人の体調の悪化につながるおそれがある。この問題を解決するための方法として、住宅における前記各種接着剤の使用量をなるべく少なく抑える方法や、ホルムアルデヒドを吸収する吸着材等を使用する方法がある。しかし、いずれの方法も、問題を根本から解決するものとは言えない。
【0004】
一方、ポリビニルアルコール(PVA)は、接着剤として、または水性エマルジョン接着剤の保護コロイドとして使用することができる物質である。水溶性であるため簡便に使用することができ、またホルムアルデヒド等の有害物質を放出しないため広く用いられてきたが、接着力および耐水性に劣り、長時間のプレスが必要である等の欠点がある。
【0005】
上記の問題を解決する手段として、PVA分子に対しアセトアセチル基を導入することが行なわれている(例えば、特許文献1参照)。さらに、PVAにより安定化されるエマルジョンの耐水性が、PVAへのアセトアセチル基導入により向上したことが報告されている(例えば、非特許文献1参照)。しかし、アセトアセチル化ポリビニルアルコールは、木造住宅等に使用する接着剤としては、接着力および耐水性等が十分であるとはいえない。
【0006】
【特許文献1】
特開昭57−059971号公報
【非特許文献1】
Y. Kuroyanagi, K. Sato and T. Ataka, J. Adhes. Soc. Jpn., 1999, 35, 233−238
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
したがって、本発明の目的は、例えば、ホルムアルデヒド等の有害物質を放出することがなく、架橋剤としてタンパク質のヒドラジン分解反応時間の長短によって接着強度の選択性を持たせることも可能である接着剤を提供することである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決するために、本発明の接着剤は、下記の接着主剤(A成分)および架橋剤(B成分)を含む接着剤である。
(A成分):ポリビニルアルコールの水酸基の一部を下記一般式(1)のアシルアセトキシ基で置換した構造を有する置換ポリビニルアルコール。ただし、式中、R1はアルキル基である。
【化2】
(B成分):タンパク質分子をヒドラジン分解して得られる化合物。
該B成分が、前記タンパク質に対して1〜100重量%内の任意の量のヒドラジンを添加した後、1〜6時間の範囲内で任意の時間撹拌させることにより得られるヒドラジン分解タンパク質であること。
【0009】
【発明の実施の形態】
次に、本発明の実施形態について説明する。
【0010】
(接着剤)
本発明の接着剤は、強固な接着力を有し、しかもホルムアルデヒド等の有害物質を放出することがない。さらに、生分解性を有することにより、土壌中等に残留して環境汚染の原因となることがない。また、前記A成分とB成分とが室温で短時間に反応して硬化するという性質を有することにより、加熱等の手間がなく容易に接着できる。
【0011】
本発明の接着剤は、使用前においては前記A成分およびB成分は混合されずに独立して存在し、使用時に、接着対象物における接着面の一方に前記A成分を、他方に前記B成分を塗布し、前記A成分を塗布した面とB成分を塗布した面とを接触させて両成分を反応させ、接着力を発生させることが好ましい。しかし、本発明の接着剤の使用形態はこれに限定されず、他の方法により使用することも可能である。例えば、使用前においては前記A成分およびB成分は混合されずに独立して存在し、使用時に前記A成分と前記B成分とを混合し、接着対象物における接着面の一方または双方に前記混合物を塗布し、前記接着面同士を接触させて接着しても良い。
【0012】
本発明の接着剤において、使用前における前記A成分およびB成分の形態は特に限定されないが、例えば、水溶液の状態であることが好ましい。すなわち、前記A成分およびB成分が水溶性を有することにより、有機溶媒を使用する必要がないため、有機溶媒由来の有害物質が放出されるおそれがなく、しかも接着剤としての使い勝手が良い。また、本発明の接着剤における前記A成分と前記B成分との使用量比は特に限定されないが、例えば質量比で10:100〜10:0.1、好ましくは10:10〜10:1、より好ましくは10:4である。
【0013】
本発明の接着剤は、例えば、木、紙および布のうち少なくとも一種類を接着した製品の製造に使用することができ、特に木製品の製造に使用することが好ましい。具体的な製品は特に限定されないが、木製品としては例えば木造住宅および室内装飾品等、紙製品としては例えば紙管等の製造に使用することができる。また、上記製品は同種の材質同士の接着に限定されず、木と紙、紙と布等の異質な材質を本発明の接着剤により接着しても良い。
【0014】
(接着主剤)
次に、前記接着主剤(A成分)について説明する。
【0015】
本発明の接着剤における接着主剤は、前記の構造を有する置換ポリビニルアルコールである。前記式(1)中、R1は、好ましくは炭素数1〜6の直鎖または分枝アルキル基、より好ましくは、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基およびtert−ブチル基からなる群から選択される少なくとも一つであり、特に好ましくはメチル基である。また、水酸基のアシルアセトキシ基による置換度は特に限定されないが、水溶性の観点から40%以下が好ましい。この場合、前記置換度の下限は特に限定されないが、0%を超える値であることは言うまでもない。
【0016】
前記置換ポリビニルアルコールは、例えば、下記スキーム1のようにして製造することができる。すなわち、式(6)で表されるポリビニルアルコールと、式(7)で表されるジケテンとを反応させ、前記ポリビニルアルコール(6)の水酸基の一部をアセトアセチル基で置換して、式(8)で表される置換ポリビニルアルコールを得る。なお、式(6)および(8)は、それぞれ分子の一部分を表している。この反応を行なう条件は特に限定されないが、例えばDMSO等の非プロトン性極性溶媒を用いて行なうことが出来る。
【化3】
【0017】
(架橋剤)
次に、前記架橋剤(B成分)について説明する。
【0018】
【0019】
【0020】
【0021】
本発明の接着剤における架橋剤は、タンパク質分子をヒドラジン分解して得られる化合物からなる。前記タンパク質は、特に限定されないが、ゼラチンおよびカゼインのうち少なくとも一方が好ましい。ゼラチンは精製ゼラチンでも良いが、いわゆるニカワ(膠)と呼ばれる未精製ゼラチンを使用することができる。
【0022】
前記タンパク質のヒドラジン分解に際しては、例えば下記スキーム2のような反応が起こると考えられる。なお、R8、R9およびR10は、タンパク質中のアミノ酸残基側鎖であり、それぞれ同一でも異なっていても良い。ヒドラジン分解の条件は特に限定されないが、例えば、60〜70℃で3〜4時間反応させる。
【化4】
【0023】
また、上記ヒドラジン分解に際して、ヒドラジンの添加量は特に限定されないが、残存するヒドラジンが接着主剤と架橋剤との反応を阻害する可能性があるため、適量を使用することが好ましい。前記ヒドラジン添加量は、タンパク質に対し例えば1〜100重量%、好ましくは3〜100重量%、より好ましくは5〜100重量%である。また、前記阻害の機構としては、例えば、架橋剤中に残留したヒドラジンが、下記スキーム3のように置換ポリビニルアルコール上の置換基を切断すると考えられる。
【化5】
【0024】
【0025】
なお、本発明の接着主剤と架橋剤との反応においては、例えば下記スキーム4のような反応が起こっていると考えられる。なお、R11は、架橋剤分子から両端のアミノ基を除いた部分を表す。
【化6】
【0026】
【実施例】
次に、本発明の実施例について説明する。
【0027】
[合成]
以下のようにして、アセトアセチル化ポリビニルアルコール(以下、「AA−PVA」と呼ぶことがある。)および各種架橋剤を合成した。
【0028】
(AA−PVAの合成)
ポリビニルアルコール(和光純薬工業株式会社、平均重合度400〜600、ケン化率96mol%以上)とジケテン(和光純薬工業株式会社)とを原料に用い、ジメチルスルホキシド(DMSO)を溶媒に用いてAA−PVAを合成した。具体的には、まず、1000ml四つ口フラスコにポリビニルアルコール(PVA)とDMSOとを入れ、窒素雰囲気下、約60℃に加熱し、PVAが完全に溶解するまでメカニカルスターラーで攪拌した。次に、この溶液中に、ジケテン(Diketene)を滴下ろうとを用いて約30分間かけて滴下し、1時間反応させた。その後反応を停止させ、反応溶液にエタノールとヘキサンの混合溶媒を加えてAA−PVAを沈殿させ、沈殿物を分離して水に溶解させた。その水溶液を透析膜(和光純薬工業株式会社、サイズ36)を用いて透析し、凍結乾燥して目的物を得た。
【0029】
PVAとジケテンとのモル比を変化させることにより、様々なアセトアセチル化度(AA化度)のAA−PVAを合成した。例えば、PVA、ジケテンおよびDMSOをそれぞれ下記表1の使用量で合成を行なったところ、AA化度がそれぞれ6.3%、12.7%、21.2%および35.9%のAA−PVAが得られた。図1〜4に、それぞれの1HNMR測定図を示す。なお、本実施例における1HNMR測定用機器としては、JEOL社の商品名EX−270を用いた。また、測定溶媒にはDMSO−d6を使用した。
【表1】
【0030】
なお、AA−PVAのAA化度は、1HNMRを測定してピーク面積を算出し、下記式により求めた。ただし、XはAA化度、WAAは、アセトアセチル基由来メチル基プロトン(2.5ppm付近)のピーク面積、WPVAは、PVA主鎖由来メチレン基プロトン(1.5〜2.25ppm付近)のピーク面積である。
X(%)=(WAA/(1.5×WPVA))×100
【0031】
上記以外にも、同様の方法により、種々のAA化度を有するAA−PVAを合成した。図5〜7に、AA化度が4.4%、7.5%および14.3%のものの1HNMR測定図をそれぞれ示す。
【0032】
さらに、上記各AA−PVAは、FT−IR測定によりAA化がなされていることを確認した。AA化度が高いほどアセトアセチル基中のカルボニル基由来ピーク(1710cm−1および1730cm−1)が増大し、ヒドロキシ基由来ピーク(3400cm−1)が減少していた。FT−IRは、AA−PVAの薄膜を作製して測定し、測定用機器としては、島津製作所株式会社の商品名FT−IR 8200Dを使用した。
【0033】
【0034】
(タンパク質系架橋剤の合成)
ニカワおよびカゼインをそれぞれヒドラジン分解し、架橋剤を合成した。試薬としては、ニカワ(新田ゼラチン、粘度65.6mP、ゼリー強度182g)、ニュージランドカゼイン(日成共益株式会社、ALACIDファースト、30M)、ヒドラジン一水和物(ナカライテスク株式会社)、および水酸化ナトリウム(キシダ化学株式会社、特級)を用いた。なお、ここで、水酸化ナトリウム以外の試薬は、化学用または一般用である。
【0035】
ニカワのヒドラジン分解は、以下のようにして行なった。すなわち、まず、三つ口フラスコにジムロート冷却管と温度計とを取り付け、ニカワと蒸留水とを入れ、室温で約1時間放置し、ニカワをある程度溶解させた。次に、これを水浴上で60〜70℃に加温しながら攪拌し、ニカワを完全に溶解させた後、ヒドラジン一水和物を加え、70℃で3時間攪拌して反応させ、ニカワが部分的にヒドラジン分解された架橋剤を得た。反応後の水溶液は、冷却した後、そのまま接着試験に使用した。本合成では、ニカワとヒドラジンとの混合比を種々変化させて8種類合成した。下記表2に、試薬の使用量を示す。
【表2】
【0036】
カゼインのヒドラジン分解は、以下のようにして行なった。すなわち、まず、三つ口フラスコにジムロート冷却管と温度計とを取り付け、カゼインと蒸留水とを入れ、室温で約1時間放置し、カゼインをある程度溶解させた。次に、これを水浴上で60〜70℃に加温しながら攪拌し、カゼインを完全に溶解させた。そして、ここに10%水酸化ナトリウム水溶液(蒸留水を使用)を加え、pHを8に調製した。さらに攪拌し、溶液が粘稠なのり状になった後、ヒドラジン一水和物を加え、70℃で3時間攪拌して反応させ、カゼインが部分的にヒドラジン分解された架橋剤を得た。反応後の水溶液は、冷却した後、そのまま接着試験に使用した。本合成では、カゼインとヒドラジンとの混合比を変化させて2種類合成した。下記表3に、試薬の使用量を示す。
【表3】
【0037】
【0038】
[接着試験]
上記AA−PVAと、架橋剤とをそれぞれ用いて接着試験を行なった。なお、コールドプレスには神藤金属工業所製YS−5型テストプレス(商品名)を使用し、圧縮せん断試験(引っ張り試験)には、新興通信社製TMC−500型圧縮引張万能試験機(商品名)を使用した。
【0039】
(実施例1:タンパク質系架橋剤を用いた接着試験)
前記タンパク質系架橋剤を用いた接着試験を行なった。
【0040】
AA−PVAの水溶液(以下、「水性ワニス」または「ワニス」と呼ぶことがある)と、前記タンパク質系架橋剤の水溶液とをそれぞれ調製し、試験片(被着材)としてラワン材を用いて、圧縮せん断接着強さ試験法により初期接着力および最終接着力を測定した。最終接着力については、常態試験と耐水試験によりそれぞれ測定した。前記各接着試験は、前記AA−PVA水性ワニスおよび前記架橋剤水溶液をそれぞれ別の接着面に塗布して貼り合せる、いわゆるハネムーン型接着により行なった。AA−PVAワニスはAA化度が4.4%、7.5%および14.3%のAA−PVAをそれぞれ30重量%濃度に調製したものを、タンパク質系架橋剤水溶液については前記の通り調製したものをそれぞれ用いて試験を行なった。AA−PVAワニスおよび架橋剤水溶液の塗布量は、それぞれ100g/m2および40g/m2とした。接着条件は、プレス圧0.69MPa(7kgf/cm2)、圧締時間5分間とし、その他の条件はJIS6852により行なった。各試験の最終結果は、10回の試験の平均値により決定した。
【0041】
初期接着力は、以下の条件により測定した。すなわち、まず、被着材として、幅2.5cm、長さ3cm、厚さ1cmのラワン材を2個準備した。次に、一方の被着材の片面に前記AA−PVAワニス0.0625gを、もう一方の被着材の片面に前記架橋剤水溶液0.025gを塗布した。塗布面積はそれぞれ2.5cm×2.5cmとし、長さ方向の一端から0.5cmは塗布せずに残した。その後、各被着材を4分半開放放置し、塗布面同士を貼り合せてさらに30秒間放置し、そして5分間コールドプレスした。図8に、前記被着材の貼り合せ状態の斜視図を模式的に示す。コールドプレス後、圧縮せん断速度(クロスヘッドスピード)2mm/minで初期接着力測定を行なった。
【0042】
最終接着力(常態試験および耐水試験)は、以下の条件により測定した。すなわち、まず、ラワン材の幅が12cmであることと、AA−PVAワニスおよび架橋剤水溶液の塗布量がそれぞれ0.3gおよび0.12gであること以外は前記初期接着力試験と同様にしてコールドプレスを行なった。図9に、被着材の貼り合せ状態の斜視図を模式的に示す。コールドプレス後、貼り合せた被着材を48時間養生し、2.5cm幅に切断して試験片を作製し、試験を行なった。なお、ここまでの操作および試験片の形状は、常態試験、耐水試験とも同じである。常態試験は、48時間養生し切断して作製した試験片をそのまま用いて行なった。耐水試験は、前記試験片を30±1℃の水に3時間浸し、続いて20±1℃の水に10分間浸した後、乾燥せずに直ちに試験した。圧縮せん断速度は、常態試験および耐水試験ともに2mm/minとした。
【0043】
【0044】
【0045】
【0046】
【0047】
【0048】
【0049】
【0050】
【0051】
【0052】
【0053】
【0054】
【0055】
(実施例1−1)
AA化度4.4%のAA−PVAワニスを用い、前記の通り調製したニカワヒドラジン分解物水溶液を架橋剤として用いて初期接着試験および常態試験を行なった。架橋剤調製(ニカワのヒドラジン分解)時におけるニカワとヒドラジンとの混合比を変化させて試験を行ない、接着強度を比較した。図10および下記表4〜9にその結果を示す。
【表4】
【表5】
【表6】
【表7】
【表8】
【表9】
【0056】
図10および表4〜9から分かる通り、特に、架橋剤調製時におけるヒドラジン添加量がニカワに対し5重量%の場合に、初期接着試験および常態試験ともに高い接着強度が得られた。この場合の接着強度は、AA−PVAのみ(架橋剤なし)の場合、およびヒドラジンを添加しないニカワ(NH−0)を架橋剤として用いた場合よりも大幅に上回っていた。
【0057】
(実施例1−2)
ニカワに対するヒドラジン添加量が60重量%の架橋剤について、ヒドラジン分解時の反応時間が3時間の他、1時間、および6時間のものについても初期接着試験を行なった。また、同じくヒドラジン添加量が60重量%の架橋剤について、タンパク質の種類を、前記カゼインおよび粉末ニカワ(森川商店、中粘度、F0−1)に変えて初期接着試験を行なった。粉末ニカワ(森川商店)のヒドラジン分解は、前記ニカワ(新田ゼラチン)と同様に行なった。図11と下記表10および11にこれらの結果を示す。
【表10】
【表11】
【0058】
図11上図および表10から分かる通り、ヒドラジン分解の反応時間を長くすることにより、接着強度が若干向上した。また図11下図および表11から分かる通り、タンパク質はどの種類を用いてもおおむね良好な接着強度が得られたが、本実施例の新田ゼラチン製ニカワが最も良い結果が得られた。これはタンパク質の粘度の違いによるものであると思われる。
【0059】
(実施例1−3)
さらに、同じくヒドラジン添加量60重量%の架橋剤を用い、AA−PVAのAA化度が4.4%の他、7.5%および14.3%のものについて初期接着試験を行なった。また、ヒドラジン添加量60重量%および5重量%の架橋剤をそれぞれ用い、初期接着試験および常態試験の他、耐水試験を行なった。図12と下記表12および13にこれらの結果を示す。
【表12】
【表13】
【0060】
図12上図および表12から分かる通り、どのAA化度でも同様に良好な結果が得られたが、AA化度14.3%のものを用いた場合が若干接着強度が優れていた。さらに、図12下図および表13から分かる通り、特にヒドラジン添加量5重量%の架橋剤を用いた場合に、常態試験および耐水試験の双方において高い接着強度が得られた。なお、本実施例の接着剤は、高い接着力を有するのみでなく、沸騰水中で煮沸することにより剥離可能であることも分かった。このことは、接着剤としての使い勝手の高さを示す。
【0061】
【0062】
【0063】
【0064】
【0065】
【0066】
【0067】
【0068】
【0069】
【0070】
【発明の効果】
以上説明した通り、本発明の接着剤は、架橋剤としてタンパク質のヒドラジン分解物が用いられ、タンパク質のヒドラジン分解反応時間の長短によって接着強度の選択性を持たせることも可能である。さらに、置換ポリビニルアルコールと架橋剤とが室温で反応して硬化することにより、加熱等の手間なしに容易に接着することもできる。本発明の接着剤は、ホルムアルデヒド等の有害物質を放出することがなく、さらに、生分解性を有することにより、土壌中等に残留して環境汚染の原因となることがない。したがって、木造住宅等への用途に最適であり、また、それに止まらず、木製品、紙管等の紙製品および布製品全般の製造に好適に使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】AA化度6.3%のAA−PVAの1HNMRスペクトルを示す図である。
【図2】AA化度12.7%のAA−PVAの1HNMRスペクトルを示す図である。
【図3】AA化度21.2%のAA−PVAの1HNMRスペクトルを示す図である。
【図4】AA化度35.9%のAA−PVAの1HNMRスペクトルを示す図である。
【図5】AA化度4.4%のAA−PVAの1HNMRスペクトルを示す図である。
【図6】AA化度7.5%のAA−PVAの1HNMRスペクトルを示す図である。
【図7】AA化度14.3%のAA−PVAの1HNMRスペクトルを示す図である。
【図8】圧縮せん断試験片の一例を示す模式図である。
【図9】圧縮せん断試験片のその他の一例を示す模式図である。
【図10】接着力試験の一例の結果を示すグラフである。
【図11】接着力試験のその他の一例の結果を示すグラフである。
【図12】接着力試験のさらにその他の一例の結果を示すグラフである。
Claims (10)
- 前記A成分における水酸基のアシルアセトキシ基による置換度が40%以下である請求項1に記載の接着剤。
- 前記式(1)中、R1が炭素数1〜6の直鎖または分枝アルキル基である請求項1または2に記載の接着剤。
- 前記式(1)中、R1が、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基およびtert−ブチル基からなる群から選択される少なくとも一つである請求項1または2に記載の接着剤。
- 前記式(1)中、R1がメチル基である請求項1または2に記載の接着剤。
- 前記タンパク質がゼラチンおよびカゼインのうち少なくとも一方である請求項1乃至5いずれかに記載の接着剤。
- 使用前においては前記A成分およびB成分は混合されずに独立して存在し、使用時に、接着対象物における接着面の一方に前記A成分を、他方に前記B成分を塗布し、前記A成分を塗布した面とB成分を塗布した面とを接触させて両成分を反応させ、接着力を発生させる請求項1乃至6いずれかに記載の接着剤。
- 使用前においては前記A成分およびB成分は混合されずに独立して存在し、使用時に前記A成分と前記B成分とを混合し、接着対象物における接着面の一方または双方に前記混合物を塗布し、前記接着面同士を接触させて接着する請求項1乃至7いずれかに記載の接着剤。
- 使用前において、前記A成分およびB成分が水溶液の状態である請求項1乃至8いずれかに記載の接着剤。
- 木、紙および布のうち少なくとも一種類を接着した製品の製造に使用する請求項1乃至9いずれかに記載の接着剤。
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