JP4326938B2 - 画像形成装置 - Google Patents
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Description
例えば、被転写体が中間転写ベルトである場合、その中間転写ベルトとして、カーボンが入った高分子ベルトが用いられることが多い。この種のベルトは、長時間の転写バイアス印加により抵抗値が下がる。そのため、初期状態における転写率と転写バイアスとの相関関係が図12中実線で示すグラフのようになっていた場合でも、経時使用されることで、中間転写ベルトの抵抗値が下がり、図12中一点鎖線で示すグラフのようになる。したがって、経時使用された後の転写バイアスの最適値は、図示のように、初期状態のときよりも低い方向へシフトする。その結果、転写バイアスを初期状態の最適値の設定に維持したままでは、経時使用によってバイアス過多状態となり、転写不良や転写チリが発生してしまう。
また、例えば、経時使用によりトナーが劣化すると、トナー帯電量(Q/M)が上昇したり、トナーの表面状態が変化して付着力が上がったりすることがある。このような場合、転写率と転写バイアスとの相関関係は、初期状態では図12中実線で示すグラフのようになっていても、経時使用により図12中二点鎖線で示すグラフのようになる。したがって、経時使用された後の転写バイアスの最適値は、トナー劣化により、図示のように、初期状態のときよりも高い方向へシフトする。その結果、転写バイアスを初期状態の最適値の設定に維持したままでは、経時使用によってバイアス不足状態となり、転写率が低下してしまう。
なお、経時使用によって転写バイアスの最適値を変化させてしまう条件(最適値変化条件)は、ここに例示したものの他にも種々存在する。
そのため、従来、予め非通紙時の状態で、定電圧制御又は定電流制御された転写バイアスを印加して転写領域における電流又は電圧を検知し、その検知結果について所定の演算処理を行って得た値に、転写バイアスを設定するという画像形成装置が知られている。しかし、経時使用によって転写バイアスの最適値を変化させる最適値変化条件は、上述したように種々存在するため、そのような条件をすべて考慮した演算処理を行うのは極めて困難である。そのため、この画像形成装置では、転写バイアスの最適化を適切に行うことはできない。
なお、例えば、出力画像に現れる転写チリ、転写不良等を、画像形成装置内に設置したマイクロスコープなどでを測定し、その測定結果に基づいて転写バイアスを自動的に最適化する方法も考えられる。この場合、ユーザーによる確認作業や手入力作業が必要なくなるが、画像出力は必要である。加えて、この場合には、出力画像の転写チリや転写不良等を測定するための大がかりな測定手段を画像形成装置に設ける必要が生じるため、現実的ではない。
また、第2の目的は、簡便な方法で過剰な放電の発生を検知した結果を利用して、転写バイアスの最適化を適切に行うことができる画像形成装置を提供することである。
また、請求項2の発明は、請求項1の画像形成装置において、
上記検出手段は、上記放電発生領域又はその近傍における電流又は電圧のうち上記特定周波数帯域のものだけを通過させるフィルタ回路と、該フィルタ回路を通過した電流又は電圧を整流する整流回路とを有し、該整流回路から出力された電流の値又は電圧の値を検出するものであることを特徴とするものである。
また、請求項3の発明は、請求項2の画像形成装置において、上記検出手段により検出する周波数帯域を、1MHz以上100MHz以下の帯域としたことを特徴とするものである。
また、請求項4の発明は、請求項2又は3の画像形成装置において、上記検出手段の検出値が、上記放電発生領域で上記規定範囲を超える放電が発生しない範囲内となるように、上記転写バイアス印加対象部材に印加する転写バイアスを補正する転写バイアス補正手段を有することを特徴とするものである。
また、請求項5の発明は、請求項1、2、3又は4の画像形成装置において、上記検出手段の検出結果を外部へ出力するための第1の出力手段と、上記転写バイアス印加対象部材に印加される転写バイアスの直流成分を外部へ出力するための第2の出力手段とを有することを特徴とするものである。
また、請求項6の発明は、請求項1の画像形成装置において、該検出手段の検出値が、上記転写領域又はその近傍で上記規定範囲を超える放電が発生しない範囲内となるように、該転写バイアス印加対象部材に印加する転写バイアスを補正する転写バイアス補正手段を有することを特徴とするものである。
また、請求項7の発明は、請求項6の画像形成装置において、上記検出手段を、入力された上記転写領域の電流又は電圧のうち上記特定周波数帯域のものだけを抽出し、抽出した電流の値又は電圧の値を上記検出値として算出する検出プログラムを実行する演算装置によって構成したことを特徴とするものである。
また、請求項8の発明は、請求項6又は7の画像形成装置において、上記検出手段の検出値を累積的に記憶する検出値記憶手段と、該検出値記憶手段に記憶された累積値が一定値以上となったとき、メンテナンスを促すための報知を行う報知手段とを有することを特徴とするものである。
また、請求項9の発明は、請求項6、7又は8の画像形成装置において、非画像形成期間中に、上記像担持体の表面にその像担持体表面移動方向に沿って高電位部分と低電位部分とが存在する表面電位パターンを形成するパターン形成手段を有し、該高電位部分が上記転写領域中に存在するときに上記検出手段で検出した値と、該低電位部分が該転写領域中に存在するときに該検出手段で検出した値との差分を、上記検出値として用いることを特徴とするものである。
請求項1乃至5の画像形成装置においては、転写バイアス印加対象部材と対向部材との間の放電発生領域又はその近傍に流れる電流やそこで生じる電圧の特定周波数帯域の値を検出する。これにより、その検出値から、その放電発生領域で放電が発生しているか否かを判断することができる。そして、この検出値は、放電の発生量に応じて増大することから、その検出値に基づき、上記放電発生領域において規定範囲を超える放電が発生したか否かを把握することができる。
また、請求項6乃至9の画像形成装置においても、同様に、転写領域に流れる電流やそこで生じる電圧の特定周波数帯域の値を検出し、その検出値から転写領域又はその近傍で放電が発生しているか否かを判断することができる。そして、この検出値は、放電の発生量に応じて増大することから、その検出値に基づき、転写領域又はその近傍において規定範囲を超える放電が発生したか否かを把握することができる。よって、本装置においては、その検出値が転写領域又はその近傍で規定範囲を超える放電が発生しない範囲内となるように転写バイアスを最適値に補正することができる。
また、請求項6乃至9の発明によれば、簡便な方法で過剰な放電の発生を検知した結果を利用して、転写バイアスの最適化を適切に行うことができるという優れた効果が奏される。
近年、電子写真方式の画像形成装置では、市場からの要求に伴い、カラー複写機やカラープリンタなどのカラー画像形成装置が多くなってきている。カラー画像形成装置には、1つの潜像担持体のまわりに複数色の現像装置を備え、これらの現像装置によりそれぞれトナー像を形成して、これらのトナーを重ね合わせてカラー画像を得るいわゆる1ドラム型の画像形成装置が知られている。この画像形成装置においては、複数の現像器を現像位置へ順次回転させて現像を行ういわゆるリボルバ型の現像装置を用いるものがある。一方、複数の潜像担持体を備え、各潜像担持体に対してそれぞれ個別に現像装置を設け、各潜像担持体上にそれぞれ各色のトナー像を形成し、これらのトナー像を順次重ね合わさるようにして転写してカラー画像を得る、いわゆるタンデム型の画像形成装置も知られている。1ドラム型とタンデム型とを比較すると、前者は、潜像担持体が1つであることから、小型化が比較的容易で低コスト化を図りやすいという利点があるものの、1つの潜像担持体を用いて複数回(通常4回)画像形成を繰り返してカラー画像を得る必要があることから、画像形成の高速化が困難であるという欠点がある。これに対し、後者は、逆に、小型化、低コスト化が困難であるという欠点があるものの、画像形成の高速化が容易であるという利点がある。最近は、カラー画像についてもモノクロ並みのスピードが望まれることから、タンデム型の画像形成装置が注目されている。特に、各潜像担持体上のトナー像を1次転写装置により一旦中間転写体上に互いに重なり合うように転写して後、その中間転写体上のトナー像を2次転写装置によりシートSに一括転写する中間転写方式を採用したものが注目されている。これは、2次転写位置を比較的自由に設置することができるから、給紙装置や定着装置の配置の自由度が増し、小型化が容易となるからである。また、定着装置の配置の自由度が増すことで、定着装置と転写部との間のシート部分が撓むことができる十分な余裕をもたせることができるから、定着装置がほとんど画像形成に影響を及ぼさないようにすることができる。このようなことから、最近は、タンデム型の画像形成装置の中の、特に中間転写方式のものが注目されてきている。
したがって、本実施形態では、中間転写方式を採用したタンデム型の画像形成装置を例に挙げて説明する。なお、本発明は、本実施形態に示す画像形成装置に限られないことは言うまでもない。
図2は、本実施形態に係る複写機全体の概略構成図である。この複写機は、複写機本体500と、この複写機本体を載置する給紙テーブル200と、その複写機本体上に取り付けるスキャナ300と、このスキャナの上部に取り付けられる原稿自動搬送装置(ADF)400とから構成されている。
図4は、隣り合う2つの画像形成ユニット18M,18Kの構成を示す拡大図である。なお、図中の符号では、色の区別を示す「M」及び「K」の記号を省略しており、以下の説明でも記号は適宜省略する。
画像形成ユニット18には、感光体ドラム20の周囲に、帯電装置60、現像装置80及び感光体クリーニング装置63が設けられている。また、感光体ドラム20に対して中間転写ベルト10を介して対向する位置には、バイアス印加対象部材及び転写バイアス印加対象部材である1次転写ローラ62が設けられている。
また、上記感光体クリーニング装置63は、先端を感光体ドラム20に押し当てられるように配置される、例えばポリウレタンゴム製のクリーニングブレード75を備えている。また、本実施形態では、クリーニング性能を高めるために感光体ドラム20に接触する導電性のファーブラシ76を併用している。このファーブラシ76には、金属製の電界ローラ77からバイアスが印加されており、その電界ローラ77にはスクレーパ78の先端が押し当てられている。そして、クリーニングブレード75やファーブラシ76により感光体ドラム20から除去されたトナーは、感光体クリーニング装置63の内部に収容される。その後、回収スクリュ79により感光体クリーニング装置63の片側に寄せられ、図示しないトナーリサイクル装置を通じて現像装置80へと戻され、再利用する。
また、除電装置64は、除電ランプで構成されており、光を照射して感光体ドラム20の表面電位を初期化する。
上記構成をもつ複写機を用いて原稿のコピーをとる場合、まず、図2に示した原稿自動搬送装置400の原稿台30に原稿をセットする。または、原稿自動搬送装置400を開いてスキャナ300のコンタクトガラス32上に原稿をセットし、原稿自動搬送装置400を閉じてそれで押さえる。その後、ユーザーが図示しないスタートスイッチを押すと、原稿自動搬送装置400に原稿をセットしたときには、原稿がコンタクトガラス32上に搬送される。そして、スキャナ300が駆動して第1走行体33および第2走行体33が走行を開始する。これにより、第1走行体33からの光がコンタクトガラス32上の原稿で反射し、その反射光が第2走行体33のミラーで反射されて、結像レンズ35を通じて読取センサ36に案内される。このようにして原稿の画像情報を読み取る。
また、本実施形態で使用するトナーは、ポリエステル、ポリオ−ル、スチレンアクリル等の樹脂に帯電制御剤(CCA)、色剤を混合し、その周りにシリカ、酸化チタン等の物質を外添することで、その帯電特性、流動性を高めている。添加剤の粒径は、通常、0.1〜1.5μmの範囲である。色剤としては、カ−ボンブラック、フタロシアニンブルー、キナクリドン、カーミン等を挙げることができる。帯電極性は、本実施形態ではマイナス極性である。トナーは、ワックス等を分散混合させた母体トナーに上記種類の添加剤を外添しているものを使用することができる。なお、トナーは、粉砕法で作成されたものの他、重合法等で作成したものも使用可能である。一般に重合法、加熱法等で作成されたトナーは、形状係数を90%以上に形成することが可能で球形に近いものとなり、添加剤の被覆率も極めて高くなる。ここで、形状係数は、本来ならば球形度となって、「粒子と同体積の球の表面積/実粒子の表面積*100%」で定義されるが、測定がかなり困難になるので、平均円形度で算出してもよい。平均円形度の定義は、「粒子と同じ投影面積を持つ円の周長/実粒子の投影輪郭長さ*100%」の平均値である。したがって、投影された円が真円に近づくほど、平均円形度は100%に近づくことになる。トナーの体積平均粒径の範囲は、3〜12μmが好適である。本実施形態では、トナーの体積平均粒径を6μmとし、1200dpi以上の高解像度の画像にも十分対応することが可能である。
また、本実施形態で使用する磁性キャリアは、金属または樹脂をコアとしてフェライト等の磁性材料を含有し、表層はシリコン樹脂等で被覆されたものである。その粒径は、20〜50μmの範囲が良好である。また、電気抵抗値は、ダイナミック抵抗で104〜106Ωの範囲が最適である。このダイナミック抵抗は、磁性キャリアを、磁石を内包したローラ(φ20;600rpm)に担持させ、幅65mm、長さ1mmの面積の電極をギャップ0.9mmで当接させて、耐圧上限レベル(高抵抗シリコンコートキャリアでは400V、鉄粉キャリアでは数V)の印加電圧を印加したときの測定値である。
転写バイアスがバイアス過多状態になると、転写前領域や転写後領域において、トナーが感光体ドラム20側に移動するいわゆる逆転写が発生することが確認されている。この逆転写が発生したときの、1次転写後における感光体ドラム20の表面電位や転写残トナーの帯電量(Q/M)の測定値から、この逆転写が発生するときには、1次転写領域において過剰な放電が生じていることが確認された。よって、転写バイアスがバイアス過多状態になると、転写前領域や転写後領域において過剰な放電が発生し、この過剰な放電が原因で逆転写が発生したものと推測できる。そして、この逆転写が生じると転写率が低下してしまう。このことは、図12に示したグラフのように、転写バイアスを大きくしすぎると転写率が低下していくことからもわかる。また、逆転写が生じると、他色のトナーが感光体ドラム20に付着してしまう結果、トナーリサイクルを行う際に他色のトナーが混ざってしまうという不具合も発生する。
また、転写前領域や転写後領域において過剰な放電が発生すると、転写前の感光体ドラム20上のトナー像又は転写後の中間転写ベルト10上のトナー像が崩されて転写チリという不具合が発生する。また、感光体ドラム20上のトナーが中間転写ベルト10上の適切な位置に転写されず、転写不良という不具合も発生する。
ここで、本発明者らが鋭意研究を行った結果、図5に示すグラフを得た。このグラフは、転写バイアスと、転写領域を流れる電流の特定周波数帯域の値との関係を示すものである。なお、このグラフは、図12に示したグラフに対応するものであり、実線は初期時のもの、一点鎖線は経時使用によって中間転写ベルト10の抵抗値が下がった時のもの、二点鎖線は経時使用によりトナーが劣化してトナー帯電量(Q/M)が上昇したりトナーの付着力が上がったりした時のものを、それぞれ示す。また、このグラフにおいて、符号P1,P2,P3は、それぞれ、初期時、中間転写ベルト10の抵抗値が下がった時、トナー劣化時における、最高転写率となる転写バイアス値を示す。図5に示すグラフからわかるように、いずれも、最高転写率となる転写バイアス値を越える転写バイアスが印加されると、転写領域を流れる電流の特定周波数帯域の値が増大していく。そして、最高転写率となる転写バイアス値を越える転写バイアスが印加されると、放電量も増大していくことから、転写領域を流れる電流の特定周波数帯域の値を検知すれば、転写前領域や転写後領域において過剰な放電が発生していることを把握することができる。
なお、複写機内において転写残トナーの帯電量(Q/M)が測定ができれば、放電発生の有無を確認することは可能である。しかし、このような測定は、言うまでもなく実際上難しい。なぜなら、例えばサックイン方式による測定を行う場合、電子天秤・エレクトロメータが必要となり、しかもその測定結果を常時監視しなければならなず、装置が大型化するだけでなく、コストが高騰する。
本実施形態においては、本発明の特徴が、1次転写ローラ62Y,62C,62M,62Kに接続される電源装置に集約されている。なお、いずれの画像形成ユニット18Y,18C,18M,18Kについても、その電源装置の構成及び動作は同様であるので、以下、色の区別を示す記号については省略して説明する。
この電源装置100は、直流の転写バイアスを印加するものであって、1次転写ローラ62に印加される電圧が一定になるように電流を変化させる定電圧制御を行うものである。この電源装置100において、制御装置101は、出力電圧のDCフィードバック信号に基づいて、トリガON/OFF端子から、定電圧制御部102を介してパワートランジスタ103のON/OFF制御を行う。また、トランス駆動回路104は、制御装置101のCLK端子又はPWM端子からの出力に基づき、高周波のトランス駆動信号を発生させる。以下の説明では、PWM端子を例に挙げて説明する。このトランス駆動回路104としては、ローパスフィルタなどによりアナログ信号を出力し、その信号の大小によってトランス105の2次電流値を制御するものを用いることができる。また、制御装置101のPWM端子からの出力を直接f−V変換するものであってもよい。トランス105は高電圧を出力できる高圧励起トランスで構成されている。このトランス105の2次側には、整流回路部106が接続されている。この整流回路部106は、トランス105のノイズをできる限り減らす必要があるので、本実施形態では全波整流である。もちろん、インダクタンスの選定などから、半波整流でも良い。このような構成により、本電源装置100の出力端子HVに現れる出力電圧(直流電圧)は、トランス105の2次電流値にR1/(R1+R2)を乗じて得られるものとなる。
この電源装置100には、動作停止モード、SCANモード、HOLDモードの3つの動作モードがある。動作停止モードでは、制御装置101のトリガON/OFF端子からOFF信号が出力され、パワートランジスタ103がOFF状態になり、出力端子HVから転写バイアスは出力されない。電源装置100は、複写機本体側に設けられた制御部90の制御の下、画像形成動作が開始される前は動作停止モードとなる。また、画像形成が開始してから感光体ドラム20上のトナー像の先端が転写領域に到達する直前までは、SCANモードとなる。また、感光体ドラム20上のトナー像の先端が転写領域に到達する直前から、転写が終了するまでは、HOLDモードとなる。
画像形成が開始されると、複写機本体側の制御部90から制御装置101の入力端子114へその旨の信号が出力され、制御装置101は、トリガON/OFF端子からON信号を出力するとともに、PWM端子から所定のPWM値を出力する(S1)。そして、PWM値がインクリメントされた後(S2)、制御装置101は、入力されるACフィードバック信号に基づき、出力端子HVに現れる交流信号(高周波信号)を検出する(S3)。そして、この検出値が一定値以下か否かを判断する(S4)。この一定値は、転写前領域や転写後領域で過剰な放電が発生しない範囲の閾値に設定される。この値は、電源装置100の回路定数により異なってくるが、実験等によって適宜選択できる。一定値以下でないと判断された場合には、出力端子HVから出力される転写バイアスが低くなるようにPWM値を変更する(S5)。このように、検出値が一定値以下であると判断されるまで、上記S2〜S5を繰り返す。そして、検出値が一定値以下であると判断されたら(S4)、HOLDモードへ移行する。
上述したSCANモードが終了し、HOLDモードに移行したら、制御装置101から出力するPWM値を、SCANモードで最後に設定されたPWM値に固定する(S11)。その後、実際に転写工程が行われ、その転写工程が終了したり、その転写工程が強制的に中断したりするなど、モード移行が必要な状況になったら(S12)、複写機本体の制御部90は連続して画像形成するか否かを判断する(S13)。連続して画像形成しない場合には、動作停止モードに移行させるための命令が制御装置101へ送られ、動作停止モードに移行する(S14)。一方、連続して画像形成する場合には、上述したSCANモードに移行させるための命令が制御装置101へ送られ、SCANモードに移行する(S15)。
なお、本実施形態における電源装置100の出力容量が大きければ、上記HOLDモードのように転写工程中PWM値を一定としても、出力端子HVから出力される転写バイアスの電圧値を一定にすることができる。しかし、出力容量が小さい場合には、PWM値を一定にしただけでは、出力側の負荷状況によって転写バイアスの電圧値が変動するおそれがある。よって、出力容量が小さい場合には、図8に示すようなHOLDモードを採用する。このHOLDモードは、最初は上記SCANモードで設定されたPWM値を用いるが(S21)、制御装置101に入力されるDCフィードバック信号に基づき(S22)、転写バイアスの電圧値が目標の電圧値に一致するようにPWM値を増減させるフィードバック制御を行う(S23)。これにより、出力端子HVから出力される転写バイアスの電圧値を一定にすることができる。なお、図7に示したHOLDモードを採用できるのであれば、図1に示したDCフィードバック信号の伝送回路部分は省くことができる。
まず、上記SCANモード時に、周期的に変動する1次転写電界を形成する。具体的には、感光体ドラム20上に、その表面移動方向に沿って表面電位が周期的に変化した静電潜像パターンを形成する。このような静電潜像パターンは、例えば、露光装置21によって形成するようにしてもよいが、帯電装置60の帯電処理を周期的にOn/OFFさせることでも形成することができる。このときには、現像バイアスは十分低くしておいて、不要な現像が行われないようにする。なお、少量の逆帯電トナーが感光体ドラム表面に付着してしまう場合があるが、問題になることはない。このようにして形成された静電潜像パターンは、1次転写領域において、1次転写電界を周期的に変動させる。このときの上記バンドパスフィルタ111の出力波形は、図10(a)に示すように、静電潜像パターンに対応して、大きな信号部分と小さな信号部分とが繰り返された波形となる。そして、ACフィードバック信号として制御装置101に入力される信号は、図10(b)に示すような波形となる。ACフィードバック信号のうちの大きな信号部分に対応する値AC2は、1次転写電界が高い状態のものなので、転写前領域や転写後領域では放電が発生している。よって、この信号部分は、転写前領域や転写後領域の放電による信号を含んでいる。しかし、この信号部分には、他の箇所で生じた放電等によるノイズも含まれている。一方、ACフィードバック信号のうちの小さな信号部分に対応する値AC2は、1次転写電界が低い状態のものなので、転写前領域や転写後領域では放電が発生していない。よって、この信号部分は、転写前領域や転写後領域の放電による信号を含まない、他の箇所で生じた放電等によるノイズだけで構成される。よって、この小さな信号部分に対応する値AC2と、上記大きな信号部分に対応する値AC1との差分を取れば、他の箇所で生じた放電等によるノイズが除去された、転写前領域や転写後領域の放電による信号だけを含んだ適切な信号を得ることができる。その結果、転写前領域や転写後領域において過剰な放電が発生するか否かを適切に把握することができる。
また、本実施形態の電源装置100は、転写領域の電流又は電圧のうち、上記特定周波数帯域のものだけを通過させるフィルタ回路であるバンドパスフィルタ111と、このバンドパスフィルタ111を通過した電流又は電圧を整流する整流回路である検波回路112とを有し、検波回路112から出力された電流の値又は電圧の値を検出する。これにより、簡易なハードウェアによって、上記特定周波数帯域の電流又は電圧を抽出することができる。
また、本実施形態の電源装置100は、検出する周波数帯域を1MHz以上100MHz以下の帯域としている。これにより、バンドパスフィルタ111として、特定周波数帯域テレビやラジオ向けの安価なを採用することができ、低コスト化を図ることができる。
また、本実施形態の電源装置100は、上記検出手段の検出値が、転写前領域や転写後領域で過剰な放電が発生しない範囲内となるように、1次転写ローラ62に印加する転写バイアスを補正する印加バイアス補正手段としての制御装置101を有している。このように、電源装置100だけで転写バイアスを適正に補正することができるので、上述したように、既存の装置への本発明の適用が容易となる。
また、本実施形態の電源装置100は、上記制御装置101に、上記検出手段の検出結果であるACフィードバック信号を外部へ出力するための第1の出力手段としてのAC出力端子115と、1次転写ローラ62に印加される印加バイアスの直流成分であるDCフィードバック信号を外部へ出力するための第2の出力手段としてのDC出力端子116が設けられている。これにより、上述したように、電源装置の外部に設けられる装置である制御部90において、種々の不具合を把握することが可能となる。
また、本実施形態のカラー複写機は、像担持体である感光体ドラム20に対向するように配置され、転写バイアスが大きくなると感光体ドラム20との間で規定範囲を超える過剰な放電が発生するように構成された転写バイアス印加対象部材としての1次転写ローラ62に対し、直流の転写バイアス又は直流バイアスに交流バイアスを重畳させた転写バイアスを印加する転写バイアス印加手段を備え、転写バイアスによって形成される転写電界により感光体ドラム20上のトナー像を被転写体である中間転写ベルト10へ転写して画像を形成する。そして、本カラー複写機は、1次転写ローラ62と感光体ドラム20との間の転写領域における電流又は電圧の、転写前領域や転写後領域で発生した放電量に応じて増大する特定周波数帯域の値を検出する検出手段、この検出手段の検出値が転写前領域や転写後領域で過剰な放電が発生しない範囲内となるように、1次転写ローラ62に印加する転写バイアスを補正する転写バイアス補正手段としての制御装置101とを備える上述した電源装置100を備えている。よって、転写前領域や転写後領域で過剰な放電が発生しないような適正な転写バイアスの設定が可能となり、その過剰な放電により発生する転写チリや転写不良などの不具合を抑制することができる。
また、上述したように、制御装置101を、入力された転写領域の電流又は電圧のうち上記特定周波数帯域のものだけを抽出し、抽出した電流の値又は電圧の値を上記検出値として算出する検出プログラムを実行する演算装置で構成することもできる。この場合、上述のように、抽出する周波数帯域の変更が容易になるという利点がある。
また、本実施形態のカラー複写機は、検出値であるACフィードバック信号の値を記憶する検出値記憶手段としてのメモリを制御部90に有し、このメモリに記憶された値が一定値以上となったとき、メンテナンスを促すための報知を行う報知手段としての制御部90を有している。これにより、転写プロセス回りの部材の劣化やトナーの劣化などをユーザーに知らせることができる。
また、本実施形態のカラー複写機は、非画像形成期間中に、感光体ドラム20の表面にその感光体ドラム表面移動方向に沿って高電位部分と低電位部分とが存在する表面電位パターンを形成するパターン形成手段として、露光装置21又は帯電装置60を用いている。そして、その高電位部分が転写領域中に存在するときに上記検出手段で検出した値と、低電位部分が転写領域中に存在するときに検出手段で検出した値との差分を、上記検出値として用いる。これにより、上述したように、転写前領域や転写後領域の放電による信号以外のノイズを低減でき、転写前領域や転写後領域において過剰な放電が発生するか否かを適切に把握することができる。
18Y,18C,18M,18K 画像形成ユニット
20Y,20C,20M,20K 感光体ドラム
21 露光装置
22 2次転写装置
60 帯電装置
62Y,62C,62M,62K 1次転写ローラ
80 現像装置
100 電源装置
101 制御装置
109 高周波回路
111 バンドパスフィルタ
112 検波回路
113 加算器
114 入力端子
115 DC出力端子
116 AC出力端子
Claims (9)
- 像担持体に対向するように配置され、転写バイアスが大きくなると該像担持体との間で規定範囲を超える放電が発生するように構成された転写バイアス印加対象部材に対し、直流の転写バイアス又は直流バイアスに交流バイアスを重畳させた転写バイアスを印加する転写バイアス印加手段を備え、
該転写バイアスによって形成される転写電界により該像担持体上のトナー像を被転写体へ転写して画像を形成する画像形成装置において、
上記転写バイアス印加対象部材と上記像担持体との間の転写領域における電流又は電圧の、該転写領域又はその近傍で発生した放電量に応じて増大する特定周波数帯域の値を検出する検出手段を有することを特徴とする画像形成装置。 - 請求項1の画像形成装置において、
上記検出手段は、上記放電発生領域又はその近傍における電流又は電圧のうち上記特定周波数帯域のものだけを通過させるフィルタ回路と、該フィルタ回路を通過した電流又は電圧を整流する整流回路とを有し、該整流回路から出力された電流の値又は電圧の値を検出するものであることを特徴とする画像形成装置。 - 請求項2の画像形成装置において、
上記検出手段により検出する周波数帯域を、1MHz以上100MHz以下の帯域としたことを特徴とする画像形成装置。 - 請求項2又は3の画像形成装置において、
上記検出手段の検出値が、上記放電発生領域で上記規定範囲を超える放電が発生しない範囲内となるように、上記転写バイアス印加対象部材に印加する転写バイアスを補正する転写バイアス補正手段を有することを特徴とする画像形成装置。 - 請求項1、2、3又は4の画像形成装置において、
上記検出手段の検出結果を外部へ出力するための第1の出力手段と、
上記転写バイアス印加対象部材に印加される転写バイアスの直流成分を外部へ出力するための第2の出力手段とを有することを特徴とする画像形成装置。 - 請求項1の画像形成装置において、
該検出手段の検出値が、上記転写領域又はその近傍で上記規定範囲を超える放電が発生しない範囲内となるように、該転写バイアス印加対象部材に印加する転写バイアスを補正する転写バイアス補正手段を有することを特徴とする画像形成装置。 - 請求項6の画像形成装置において、
上記検出手段を、入力された上記転写領域の電流又は電圧のうち上記特定周波数帯域のものだけを抽出し、抽出した電流の値又は電圧の値を上記検出値として算出する検出プログラムを実行する演算装置によって構成したことを特徴とする画像形成装置。 - 請求項6又は7の画像形成装置において、
上記検出手段の検出値を記憶する検出値記憶手段と、
該検出値記憶手段に記憶された検出値が一定値以上となったとき、メンテナンスを促すための報知を行う報知手段とを有することを特徴とする画像形成装置。 - 請求項6、7又は8の画像形成装置において、
非画像形成期間中に、上記像担持体の表面にその像担持体表面移動方向に沿って高電位部分と低電位部分とが存在する表面電位パターンを形成するパターン形成手段を有し、
該高電位部分が上記転写領域中に存在するときに上記検出手段で検出した値と、該低電位部分が該転写領域中に存在するときに該検出手段で検出した値との差分を、上記検出値として用いることを特徴とする画像形成装置。
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