JP4325621B2 - リーダライタ及び移動体通信装置 - Google Patents

Description

本発明はリーダライタ及び移動体通信装置、特に、非接触でＩＣカードなどと通信を行うリーダライタ、及び、携帯電話などの移動体通信装置に関する。

従来より、磁界結合を利用して非接触で通信を行うＩＣカード用リーダライタが知られている（例えば、特許文献１や特許文献２参照）。これら従来のＩＣカード用リーダライタは、図１３に示すように、ループアンテナ１０２が上面に設けられたアンテナ基板１０１と、送受信回路（図示せず）が上面に設けられたコントロール基板１０３とを備えている。

ループアンテナ１０２は、アンテナ基板１０１の上面に印刷法などの方法により形成されたプリントコイルである。ループアンテナ１０２はＩＣカードとの間に一定以上の通信距離を確保するために、アンテナ基板１０１の上面にできるだけ大きく形成され、広範囲の磁束分布を得ている。

コントロール基板１０３の下面には広面積のグランド電極が形成されている。このため、ループアンテナ１０２によって発生した磁束の周回がグランド電極によって遮られないように、アンテナ基板１０１とコントロール基板１０３は所定の間隔を置いて配置する必要があり、コントロール基板１０３上の送受信回路とループアンテナ１０２は、通信ケーブル１０５を介して電気的に接続されていた。

しかしながら、従来のＩＣカード用リーダライタ１００は、コントロール基板１０３上の送受信回路とループアンテナ１０２を電気的に接続する通信ケーブル１０５を有しているため、通信ケーブル１０５と接続用コネクタとのはんだ付け作業などが必要であり、組み立て工数が多かった。さらに、通信ケーブル１０５を引き回すための空間を確保する必要があり、ＩＣカード用リーダライタ１００の小型化を防げる一つの要因であった。

一方、この種のＩＣカード用リーダライタをコンパクトに構成して携帯電話などの移動体通信装置に組み込むことが考えられる。しかし、本来的に小型に構成されている移動体通信装置に、コントロール基板やアンテナ基板を組み込むことは極めて困難である。
実開平６−１３２１４号公報 特開平１１−２８８４４７号公報

そこで、本発明の目的は、コントロール基板上の送受信回路とループアンテナを電気的に接続する通信ケーブルを省略することができるリーダライタを提供することにある。

本発明の他の目的は、前記リーダライタがスペース効率よく組み込まれた移動体通信装置を提供することにある。

前記目的を達成するため、本発明に係る第１のリーダライタは、ループアンテナが設けられたアンテナ基板と、送受信回路が設けられたコントロール基板とを備え、コントロール基板に設けたコイルとループアンテナが磁気結合することにより、ループアンテナと送受信回路が電気的に接続されており、アンテナ基板のコントロール基板と対向する面に板状もしくはシート状の磁性体が配設され、該磁性体の開口部を通してコントロール基板に設けたコイルとループアンテナが磁気結合していること、を特徴とする。
また、本発明に係る第２のリーダライタは、ループアンテナが設けられたアンテナ基板と、送受信回路が設けられたコントロール基板とを備え、コントロール基板に設けたコイルとループアンテナが磁気結合することにより、ループアンテナと送受信回路が電気的に接続されており、コントロール基板に設けたコイルが、ループアンテナの内周の内側に位置し、かつ、ループアンテナの内周に近接していること、を特徴とする。

以上の構成により、ループアンテナと送受信回路とが、通信ケーブルを用いないで電気的に接続される。

アンテナ基板とコントロール基板の間に磁性体を配設することにより、リーダライタを薄型化しても、ループアンテナによって発生した磁束の放射効率が劣化せず、ＩＣカードとの通信距離が低下する心配がない。このとき、コントロール基板に設けたコイルの上方を避けて磁性体を配設することで、コントロール基板に設けたコイルによって発生した磁束がループアンテナに到達するのを防げないようにできる。

また、コントロール基板に設けたコイルを、ループアンテナの内周の内側に位置させ、かつ、ループアンテナの内周に近接させたため、コントロール基板に設けたコイルとループアンテナとの磁気結合がより一層強くなる。

本発明に係る移動体通信装置は、本発明に係る前記リーダライタを備えたことを特徴とする。そして、本発明に係る移動体通信装置は、開口部を有し、前記コントロール基板を該開口部に対向する位置に配置した筐体と、前記開口部に嵌合可能であり、前記アンテナ基板を兼ねる蓋部材とを備えている。

本発明に係るリーダライタは、コントロール基板に設けたコイルとアンテナ基板に設けたループアンテナとを磁気結合させることによって、ループアンテナと送受信回路との電気的接続をワイヤレス化することができる。この結果、リーダライタを移動体通信機などに組み込む場合、設計の自由度や組み立て易さが大幅に改善される。

また、本発明に係る移動体通信装置は、前記リーダライタの利点であるワイヤレス化を活かして、リーダライタをコンパクトに収容したものである。特に、筐体の開口部に対向する位置にコントロール基板を配置し、アンテナ基板を兼ねる蓋部材を該開口部に嵌合可能な構成とすることにより、リーダライタをスペース効率よく収容することができる。

以下、本発明に係るリーダライタ及び移動体通信装置の実施例について添付図面を参照して説明する。

（第１実施例、図１〜図４参照）
図１は非接触ＩＣカード用リーダライタ１の分解斜視図であり、図２はその垂直断面図である。非接触ＩＣカード用リーダライタ１は、ループアンテナ２やコンデンサ３が上面に設けられたアンテナ基板４と、送受信回路（図示せず）やチップ型コイル５が上面に設けられたコントロール基板６と、アンテナ基板４とコントロール基板６との間に配置された磁性体シート１０と、絶縁性ケース１５とを備えている。

コントロール基板６上の縦巻タイプのチップ型コイル５は、下鍔部５１ａと胴部５１ｂからなる磁性体コア５１と、胴部５１ｂに巻回された巻線５２とで構成されている。チップ型コイル５はコイル軸がコントロール基板６に対して垂直になるように、胴部５１ｂの開放端面を上側にして配置されている。従って、チップ型コイル５は磁束φ１をコントロール基板６の上面側に開放する開磁路タイプのコイルであり、アンテナコイル（１次コイル）として機能する。

さらに、コントロール基板６の上側に、コントロール基板６と平行にアンテナ基板４を配置している。チップ型コイル５とループアンテナ２は、図３に示すように、ループアンテナ２の内周の内側にチップ型コイル５の胴部５１ｂの開放端面が位置し、かつ、ループアンテナ２の内周に近接していることが好ましい。これにより、チップ型コイル５の磁束φ１の密度が高い部分にループアンテナ２が配置されることになり、ループアンテナ２とチップ型コイル５の間に強い磁気結合が得られる。

特に、チップ型コイル５の胴部５１ｂをループアンテナ２の角部に配置した場合には、ループアンテナ２の内周の辺部に配置した場合（図３の符号５１ｂ'参照）と比較して、より一層強い磁気結合が得られる。なお、図３の符号５１ｂ''に示すように胴部５１ｂをループアンテナ２のコイル導体の真下に配置した場合には、磁気結合は弱くなり、好ましくない。

ループアンテナ２はアンテナ基板４の上面に印刷法などの方法により形成されたプリントコイル（２次コイル）である。ループアンテナ２はＩＣカード２０との間に一定以上の通信距離を確保するためにアンテナ基板４の上面にできるだけ大きく形成され（数ｃｍ×数ｃｍの大きさ）、広範囲の磁束分布を得ている。

また、コンデンサ３は、絶縁層を間に挟んで複数のコンデンサ電極を積み重ねて構成した薄膜コンデンサである。そして、ループアンテナ２のインダクタンスとコンデンサ３のキャパシタンスとでＬＣ共振回路を構成している。ＬＣ共振回路の共振周波数は、コントロール基板６から発信される周波数に合わせて設定されている。

ところで、ＩＣカード用リーダライタ１を薄型化する場合、ループアンテナ２がコントロール基板６に接近する。従って、ループアンテナ２によって発生した磁束φ２がコントロール基板６の下面に設けられている広面積のグランド電極（図示せず）に渦電流を発生させ易くなる。このため、渦電流損で磁束φ２の放射効率が悪くなり、ＩＣカード２０との通信距離が短くなってしまう。

そこで、本第１実施例では、磁性体シート１０が、アンテナ基板４のコントロール基板６と対向する面に貼り付けられている。これにより、磁束φ２は磁性体シート１０を磁路とするため、ループアンテナ２とコントロール基板６との間の隙間を通るようになる。つまり、磁束φ２はコントロール基板６の下面に設けられている広面積のグランド電極に達しにくくなり、グランド電極での渦電流損が少なくなる。この結果、磁束φ２の放射効率が劣化せず、ＩＣカード２０との通信距離が低下する心配がない。

このとき、磁性体シート１０は、コントロール基板６に設けたチップ型コイル５の上方にいわゆる開口部１１を形成するために、チップ型コイル５の上方を避けて配置されている。この磁性体シート１０の開口部１１を通して、チップ型コイル５で発生した磁束φ１がループアンテナ２に容易に到達できる。

磁性体シート１０は、樹脂に磁性粉を練り込んでシート状に加工したもので、磁性粉に鱗片状の軟磁性金属粉を用いたものの方がシートの面内方向にのみ透磁率が高くなり、異方性が強まるので適している。

各部品４，６，１０は絶縁性ケース１５の内部に収容されている。コントロール基板６の下面はケース１５の内底に取り付けられ、アンテナ基板４の上面はケース１５の天井に貼り付けられている。図４はこうして得られたＩＣカード用リーダライタ１の電気回路ブロック図である。

以上の構成からなるＩＣカード用リーダライタ１は、コントロール基板６上のチップ型コイル５で発生した磁束φ１がループアンテナ２を挿通して磁気結合しているので、ループアンテナ２と送受信回路とを通信ケーブルで結線する必要がなくなる。この結果、接続用コネクタ及び通信ケーブルが不要になり、組立て工数も削減できる。

（第２実施例、図５及び図６参照）
第２実施例の非接触ＩＣカード用リーダライタ１Ａは、前記第１実施例のＩＣカード用リーダライタ１より薄型化が可能な構造を有するものである。図５及び図６に示すように、アンテナ基板４は、ループアンテナ２の内側に開口部４ａを形成している。そして、チップ型コイル５の上部が開口部４ａに挿通されている。

以上の構成からなるＩＣカード用リーダライタ１Ａは、チップ型コイル５の上部がアンテナ基板４の開口部４ａに収容されるため、その分だけ高さ寸法を小さくできる。しかも、チップ型コイル５とループアンテナ２との磁気結合がより強くなる。

（第３実施例、図７及び図８参照）
図７及び図８に示すように、第３実施例の非接触ＩＣカード用リーダライタ３０は、複数個（４個）のチップ型コイル５をコントロール基板６上に軸対称形に設けたものである。各チップ型コイル５は電気的に直列接続でもよいし、並列接続でもよいが、各チップ型コイル５によって発生する磁束が同一極性になるようにする。

これにより、チップ型コイル５のそれぞれに流れる電流によって発生する磁束が隣り合うチップ型コイル５間部分である程度相殺され、等価的に一つの大型コイルに近い磁束分布が得られる。従って、チップ型コイル５の各々が小型のものであっても、ループアンテナ２との間で十分な磁気結合を確保できる。さらに、チップ型コイル５が複数個あれば、ループアンテナ２との位置合わせが多少ずれても、磁気結合が劣化しないので組立ての自由度が向上する。

また、ＩＣカード用リーダライタ３０は、コントロール基板６上にチップ型コイル５を囲むように磁性体シート３２が貼り付けられている。さらに、アンテナ基板４のコントロール基板６と対向する面に、磁性体シート３１が貼り付けられている。磁性体シート３１は、コントロール基板６に設けたチップ型コイル５の上方にいわゆる開口部３３を形成するために、チップ型コイル５の上方を避けてアンテナ基板４を囲むように配置されている。この磁性体シート３１の開口部３３を通して、チップ型コイル５で発生した磁束φ１がループアンテナ２に容易に到達できる。一方、磁性体シート３２により、チップ型コイル５の下鍔部５１ａからの磁束φ１が放射され易くなる。

また、磁性体シート３１により、ＩＣカード２０のアンテナコイル（図４の符号２１参照）によって発生した磁束φ３が、コントロール基板６との隙間を通り易くなる。この結果、ＩＣカード用リーダライタ３０とＩＣカード２０との通信距離を拡大させることができる。

（第４実施例及び第５実施例、図９及び図１０参照）
第４及び第５実施例は、アンテナ基板４とコントロール基板６のレイアウトの自由度が高いＩＣカード用リーダライタ６０，６１について説明する。

図９に示すＩＣカード用リーダライタ６０は、コントロール基板６上に設けた二つのチップ型コイル５の極性を逆にしたものである。これにより、二つのチップ型コイル５を通る磁束φ１が形成される。磁束φ１の磁路はコントロール基板６に対して垂直な方向に長く伸びており、アンテナ基板４をコントロール基板６に対して平行に配置しても、また、一点鎖線４'に示すように垂直に配置しても、磁束φ１はループアンテナ２を挿通して磁気結合することができる。

また、図１０に示すＩＣカード用リーダライタ６１は、コントロール基板６上に横巻コイル５５を設けたものである。横巻コイル５５によって発生した磁束φ１はコントロール基板６に対して平行な方向に長く延びており、アンテナ基板４をコントロール基板６に対して平行に配置しても、また、一点鎖線４'に示すように垂直に配置しても、磁束φ１はループアンテナ２を挿通して磁気結合することができる。

（第６実施例、図１１及び図１２参照）
第６実施例は前記リーダライタ１を組み込んだ移動体通信装置（携帯電話）７０である。この移動体通信装置７０は、中折れ式の筐体７１の裏面側に設けた充電式電池パック７５の収容部分にコントロール基板６とアンテナ基板４をスペース効率よく組み込んだものである。

詳しくは、電池パック７５を収容するために筐体７１に設けた開口部７２に対向する位置に、チップ型コイル５や送受信回路を設けたコントロール基板６が配置され、開口部７２に嵌合可能な蓋部材７３の裏面に、ループアンテナ２やコンデンサ３を設けたアンテナ基板４が貼着されている。

アンテナ基板４は樹脂フィルムからなり、ループアンテナ２及びコンデンサ３は第１実施例で説明したようにコイルパターンとして樹脂フィルム上に印刷したもの、及び、薄膜コンデンサである。この場合、蓋部材７３がアンテナ基板を兼ねていることになる。ループアンテナ２の大きさは数ｃｍ×数ｃｍであって、コンデンサ３とで構成する共振回路の共振周波数はコントロール基板６から発信される１３．５６ＭＨｚにチューニングされている。

以上の構成により、チップ型コイル５とループアンテナ２とが磁束φ１によって磁気結合し、コントロール基板６とアンテナ基板４とがスペース効率よく筐体７０に組み込まれることになる。

（他の実施例）
なお、本発明に係るリーダライタ及び移動体通信装置は前記実施例に限定するものではなく、その要旨の範囲内で種々に変更することができる。

例えば、コントロール基板６上のチップ型コイル５は上鍔部を有さないタイプのものが好適であるが（上に磁束が広がるから）、必ずしもこのタイプに限るものではない。

前記第６実施例において、ループアンテナ２やコンデンサ３は樹脂フィルムを介して蓋部材７３の裏面に貼着されることなく、蓋部材７３の裏面に埋め込むよう、蓋部材７３に一体的に設けてもよい。また、移動体通信装置としては必ずしも携帯電話に限るものではない。

以上のように、本発明は、リーダライタ及び移動体通信装置に有用であり、特に、コントロール基板上の送受信回路とループアンテナを電気的に接続する通信ケーブルを省略できる点で優れている。

本発明の第１実施例であるリーダライタを示す分解斜視図。 図１に示したリーダライタの垂直断面図。 ループアンテナとチップ型コイルとの位置関係を示す平面図。 図１に示したリーダライタの電気回路ブロック図。 本発明の第２実施例であるリーダライタを示す分解斜視図。 図５に示したリーダライタの垂直断面図。 本発明の第３実施例であるリーダライタを示す分解斜視図。 図７に示したリーダライタの垂直断面図。 本発明の第４実施例であるリーダライタを示す垂直断面図。 本発明の第５実施例であるリーダライタを示す垂直断面図。 本発明の第６実施例である移動体通信装置を示す斜視図。 図１１に示した移動体通信装置の要部を示す断面図。 従来のリーダライタを示す外観斜視図。

１Ａ，３０，６０，６１…ＩＣカード用リーダライタ
２…ループアンテナ
４…アンテナ基板
５，５５…チップ型コイル
６…コントロール基板
１０，３１，３２…磁性体シート
１１，３３…開口部
７０…移動体通信装置（携帯電話）
７１…筺体
７２…開口部
７３…蓋部材

Claims (5)

1. ループアンテナが設けられたアンテナ基板と、送受信回路が設けられたコントロール基板とを備えたリーダライタであって、
   前記コントロール基板に設けたコイルと前記ループアンテナが磁気結合することにより、前記ループアンテナと前記送受信回路が電気的に接続されており、
   前記アンテナ基板の前記コントロール基板と対向する面には板状もしくはシート状の磁性体が配設され、該磁性体の開口部を通して前記コントロール基板に設けたコイルと前記ループアンテナが磁気結合していること、
   を特徴とするリーダライタ。
2. 前記コントロール基板に設けたコイルが、前記ループアンテナの内周の内側に位置し、かつ、ループアンテナの内周に近接していることを特徴とする請求項１に記載のリーダライタ。
3. ループアンテナが設けられたアンテナ基板と、送受信回路が設けられたコントロール基板とを備えたリーダライタであって、
   前記コントロール基板に設けたコイルと前記ループアンテナが磁気結合することにより、前記ループアンテナと前記送受信回路が電気的に接続されており、
   前記コントロール基板に設けたコイルが、前記ループアンテナの内周の内側に位置し、かつ、ループアンテナの内周に近接していること、
   を特徴とするリーダライタ。
4. 請求項１、請求項２又は請求項３に記載のリーダライタを備えたことを特徴とする移動体通信装置。
5. 請求項４に記載の移動体通信装置であって、
   開口部を有し、前記コントロール基板を該開口部に対向する位置に配置した筐体と、
   前記開口部に嵌合可能であり、前記アンテナ基板を兼ねる蓋部材と、
   を備えたことを特徴とする移動体通信装置。

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