JP4325450B2 - 希少糖の特異的定量法 - Google Patents

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本発明は、希少糖と特異的に反応するポリペプチドを用いる希少糖の定量法に関する。
従来の単糖特に希少糖の定量法は、各希少糖のカラム中における移動速度の差を利用しておこなういわゆるHPLC分析が用いられてきた。希少糖の定量法は、希少糖の用途開発をはじめ希少糖生産の制御や各種の希少糖を使用した製品管理などに重要な技術である。
図10に記載されるアミノ酸配列は、非特許文献1に基づくALBPの配列である。
Burland,V., et al. Analysis of the Escherichia coli genome VI: DNA sequence of the region from 92.8 through 100 minutes(JOURNAL Nucleic Acids Res. 23 (12), 2105-2119 (1995))
一般に単糖の定量はHPLCなどの機器分析で行われる他、いわゆるバイオセンサーとしては生物反応を利用して行う。本発明は、バイオセンサーとしての開発であり、従来よりも微量で短時間に特異的に多くの試料を測定できる希少糖の特異的定量法を提供することを目的とする。
本発明は、特定の希少糖であるD−アロースに特異的に結合する蛋白質(ポリペプチド)を用いてD−アロースを測定する方法の特異性と感度の増大を行うこと、そして、希少糖D−プシコースを酵素的にD−アロースへ導くことで特異的に希少糖D−プシコースを測定するという全く新しい原理によるものである。本発明の希少糖の特異的定量法は、D-アロースと結合する蛋白質を用いてD-アロースを定量する方法を基盤とし、L-ラムノースイソメラーゼなどを用いることでD-プシコース等を測定する方法の原理をも開発したものである。
本発明は、以下の(1)〜(4)の希少糖の定量方法を要旨とする。
(1)D-アロースが結合することによって変化する下記のポリペプチドの有する吸光度、またはD-アロースが結合したときD-アロース−下記のポリペプチドの結合体が作り出す蛍光を測定し、そのシグナル量に基づき被験試料中のD-アロース量を定量することを特徴とする希少糖の定量方法。


(a)配列番号2に示されるアミノ酸配列からなるポリペプチドを含み、かつ、D-アロースを菌内に取り込む活性を有するポリペプチド、および
(b)(a)のポリペプチドの有するアミノ酸配列において1若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列を含み、かつ、D-アロースを菌内に取り込む活性を有するポリペプチドからなる群から選ばれるポリペプチド
(2)上記のポリペプチドが、
(a)配列番号2に示されるアミノ酸配列からなるポリペプチドを含み、かつ、D-アロースを菌内に取り込む活性を有するポリペプチド、および
(b)(a)のポリペプチドの有するアミノ酸配列において1若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列を含み、かつ、D-アロースを菌内に取り込む活性を有するポリペプチドからなる群から選ばれるポリペプチドをコードするDNAをGSTベクターに組み込んで得られる組換え体DNAを保有する形質転換体を培養液中で培養し、該ポリペプチドを該培養物中に生成・蓄積させ、該培養物中より採取する該リコンビナントポリペプチドである(1)の希少糖の定量方法。
(3)被験試料中のD-アロース量が、被験試料中のD-プシコースを、L-ラムノースイソメラーゼを該試料に作用させることにより、D-アロースに変換したものの量である(1)または(2)の希少糖の定量方法。
(4)被験試料中のD-アロース量が、被験試料中のD-フラクトースを、D-タガトース 3 エピメラーゼとL-ラムノースイソメラーゼを該試料に同時に作用させることにより、D-アロースに変換したものの量である(1)ないし(3)のいずれかの希少糖の定量方法。
従来の単糖特に希少糖の定量法は、各希少糖のカラム中における移動速度の差を利用しておこなういわゆるHPLC分析が用いられてきた。本発明においては、バイオセンサーとしての開発であり、従来よりも微量で短時間に特異的に多くの試料を測定できる。また、本発明は、バイオセンサーを用いて希少糖を定量する方法を提供することができる。
バイオテクノロジーに関連し、単糖、特に希少糖の各種分野における利用上、生産管理、生産管理などに利用することができる。
D-アロースが結合したときシグナルを作りだすポリペプチド
大腸菌E.ColiにはD-アロースを特異的に結合するAllose-binding protein (ALBP)が存在することが報告されている(Ulrika Magnusson et al., J. Biol. Chem., Vol. 277, 14077-14084, 2002)。ALBP遺伝子はGenbank上のDNA(大腸菌ゲノム)においてはALBP-genome.mhtの31794から32735bpまでの部分に対応している。
Allose-binding protein (ALBP)と同様に他の糖を特異的に結合する蛋白質の存在も知られている。Ribose-binding protein(RBP), Arabinose-binding protein(ABP), Glucose-galactose-binding protein(GBP)などが存在している。
ALBPにD-アロースが結合すると、形態変化が生じ、内在するアミノ酸(チロシン、トリプトファンなど)の配位に変化が生じるため、微弱なスペクトルの変化が生じる。その変化を295nmの波長の光で励起し、338nmの吸光度を測定することでキャッチできる。
この方法の改善方法として、微弱な変化をさらに増強する方法を考案した。それは、ALBPに蛍光蛋白質であるGreen Fluorescent Protein (GFP)を結合したFusionポリペプチドとして利用することである。
GFPはクロンテックのpGFPuvベクターのものを使った(図10に記載されるGFPのDNAとアミノ酸配列参照)。このGFPの172番目のアミノ酸の後にALBPの24から311番目までを挿入してfusion proteinを作製した。このコンストラクト作成にはPCRを用い、できたコンストラクトはQiagenのPQE31ベクターに挿入した。
こうして得られたGFP−ALBP融合蛋白のMutantをPCRを利用して作り、よりD-アロース結合によって蛍光の変化が大きいものを選択する予定である。このMutationはError Prone PCRという手法を使用している。
この手法により、D-アロースがALBPに結合した時に生じる形態変化をより大きく安定な蛍光シグナルとして取り出すことが可能であり、より感度が高く安定した定量法の開発が可能である。
(1) シグナルが、D-アロースが結合することによって変化するポリペプチドの有する吸光度である。
(2) シグナルが、D-アロースが結合したときD-アロース−ポリペプチ結合体が作り出す蛍光である。
(3) ポリペプチドが、大腸菌の膜に存在し、D-アロースを菌内に取り込む311アミノ酸からなるAllose-binding protein (ALBP) である。
(4) ポリペプチドが、ALBPに蛍光蛋白質(ポリペプチド)であるGreen Fluorescent Protein (GFP)を結合したポリペプチドである。
(5) ポリペプチドが、ALBP遺伝子を組み込んだGSTベクターを保有する形質転換体を培養液中で培養し、該ポリペプチドを該培養物中に生成・蓄積させ、該培養物中より採取する該リコンビナントALBPである。
(6) ポリペプチドが、(a)図10に記載されるアミノ酸配列からなるポリペプチドを含み、かつ、D-アロースを菌内に取り込む活性を有するポリペプチド、および(b)(a)のポリペプチドの有するアミノ酸配列において1若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列を含み、かつ、D-アロースを菌内に取り込む活性を有するポリペプチドからなる群から選ばれるポリペプチドである。
(7) ポリペプチドが、(a)図10に記載されるアミノ酸配列からなるポリペプチドを含み、かつ、D-アロースを菌内に取り込む活性を有するポリペプチド、および(b)(a)のポリペプチドの有するアミノ酸配列において1若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列を含み、かつ、D-アロースを菌内に取り込む活性を有するポリペプチドからなる群から選ばれるポリペプチドをコードするDNAをGSTベクターに組み込んで得られる組換え体DNAを保有する形質転換体を培養液中で培養し、該ポリペプチドを該培養物中に生成・蓄積させ、該培養物中より採取する該リコンビナントALBPである。
被験試料としては広範なものが対象になる。単純な糖液をはじめ、血液などの体液、細胞・臓器や植物などからの抽出液、培養液、あるいは河川の水や湖水、海水など自然環境に存在する液体、工業排水など人間社会から産出される液体など、対象を選ばない。ただし蛋白質を多く含む試料については脱蛋白質処理が必要であるなど、前処理を要する可能性がある。
希少糖D−プシコースを酵素的にD−アロースへ導くことで特異的に希少糖D−プシコースを測定するという原理について説明する。
D−アロースに特異的に結合するポリペプチドが見いだされ、そのポリペプチドを用いるD−アロースの定量方法は、酵素反応による個々の単糖の連結という生産面での体系化が可能となった図6で示される連携図でのD−アロースの存在位置を確認し、L−ラムノースイソメラーゼの新規触媒反応を含めて全ての異性化反応が整理されL−ラムノースイソメラーゼの新規触媒反応を含めて全ての異性化反応が整理された図7、図8、図9を参考にして、追加する酵素の種類を決定することができる。
図面によると、L−ラムノースイソメラーゼが単糖の多くを基質とすることが理解できる。活性の大小はあるものの、L−ラムノースイソメラーゼが触媒することが確認された異性化反応は図7中太い線で示したものである。一方、異性化反応が確認できなかったものは、太い点線で示した4種であることが一目瞭然に理解できる。
また、は図8、図9に示すように、これも活性の大小はあるものの、ペントースおよびテトロースにおける全異性化活性を持つことを示している。
この方法はタガトースエピメラーゼを追加することで、新たなD-フラクトースの定量にも使用可能である。被験試料中のD-アロース量が、被験試料中のD-フラクトースを、D-タガトース 3 エピメラーゼとL-ラムノースイソメラーゼを該試料に同時に作用させることにより、D-アロースに変換したものの量である。
本願発明の詳細を実施例で説明する。本願発明はこれら実施例によって何ら限定されるものではない。
希少糖D−アロースやD−プシコース以外にも各種の糖質を含む試料中から、各希少糖を特異的に定量する。
Allose-binding protein (ALBP)によるアロースの定量
目的:ALBPは大腸菌の膜に発現し、D-アロースを菌内に取り込む311アミノ酸からなる蛋白質である。Kim(J. of Bacteriology, 1997)によってD-アロースのALBPに対する結合実験がおこなわれており、D-アロースが結合することによって吸光度が変化することを報告している。
現在、D-アロースをはじめとした希少糖を用いた実験が行われているが、希少糖定量の簡易な方法はまだないため、今回、ALBPによってD-アロースの定量ができるかどうか検討した。
方法:(1)ALBP遺伝子のクローニング:ALBPのリコンビナント蛋白を合成するためにGenbankよりALBP遺伝子の配列を検索し、膜移行シグナル部分を除いてプライマーを作成した。大腸菌であるDH5αからゲノムDNAを抽出し、このプライマーを用いてALBP遺伝子をPCRにて増幅し、GSTベクター(Amersham Pharmacia)に挿入した。このベクターをBL21菌にトランスフォームし、得られたコロニーからDNAを抽出し、シークエンスにてインサートを確認した。
(2)リコンビナント蛋白の合成:ALBP遺伝子を組み込んだGSTベクターをトランスフォームした大腸菌を培養し、IPTGによってALBP蛋白合成を誘導した。この培養液からGSTmini-purification kit(Amersham pharmacia)を用いてALBP−GST融合蛋白を精製した。この蛋白をprescission proteaseを用いてカラム内で切断し、リコンビナントALBP蛋白のみを得た。
(3)リコンビナントALBP蛋白の希少糖結合実験(スペクトラム解析):ALBP蛋白にD-アロースが結合すると蛋白の吸光度をシフトが起こることが報告されている。今回の実験では我々のリコンビナント蛋白がD-アロース結合によって吸光度のシフトを起こすかどうか、またこの吸光度シフトはD-アロースに特異的であるかどうか検討した。リコンビナントALBP蛋白に終濃度5mMとなるように各種糖(D-アロース, D-プシコース, D-グルコース, D-マンノース, D-フラクトース, D-ガラクトース, D- マンニトール, D-ソルビトール, アリトール, D-キシリトール)を加え、Phosphate buffer中で25度1時間インキュベートした。このサンプルの吸光度スペクトラムをFP−6300蛍光分光光度計で測定した。
(4)リコンビナントALBP蛋白による実験サンプル中のD-アロース検出:現在、希少糖の動物に対する生理作用を研究するためにラットなどの実験動物や培養細胞系にD-アロースをはじめとする希少糖を投与して実験を行っている。これらの系において投与された動物中(たとえば血液)や細胞培養系でのD-アロースを検出できるかどうか検討した。我々が実験に用いているPC12細胞の培養液(DMEM培地、10%FBS、5%FCS、抗生物質)100ulに最終濃度5mMまたは10mMとなるようにD-アロース、またはD-グルコースを加えた。この培養液に100ulの60% perchloric acidを加え、氷上で15分放置した。遠心後に150μlの上清に270μlの3M KOHを加え、サンプルを中和し、このサンプルの1部を実験に使用し、ALBP蛋白を加えて、吸光度スペクトラムの変化を測定した。
(5)リコンビナントALBP蛋白によるD-アロースの定量:ALBPがD-アロースのみに特異的に結合することによって吸光度変化がおこることがわかったので、定量が可能であるかどうか検討した。1.5μMのALBPに終濃度0−5μMとなるように各種糖(D-アロース、D-プシコース、D-マンノース、D-フラクトース、D-グルコース)をくわえ、phosphate buffer中で25度で1時間インキュベートした。このサンプルの吸光度をFP−6300蛍光分光光度計で測定した。
結果:
(1)ALBP遺伝子のクローニング:大腸菌DNAをテンプレートとしてPCRを行った。PCRには下記のプライマーを用いた。
ALBP-FWD 5’ GCGCTGGATCCGCCGCCGAATATGCTGTCGTATTG 3’
ALBP-RVS 5’ AGTTTTCTCGAGTGACCAGGATTGAATCGA 3’
PCRの条件は95度5分の後、95度30秒、55度30秒、72度1.1分を35回繰り返した。PCR後のサンプルの1部をアガロースゲルにて電気泳動し、期待される大きさ(約900bp)のバンドを確認した(図1)。このPCR産物をGSTベクターにクローニング後にBL21大腸菌にトランスフォームし、得られたコロニーからDNAを抽出して塩基配列を決定したところ、ALBP遺伝子であることが確認された。
(2)リコンビナントALBP蛋白発現と精製:トランスフォーメーションで得られたコロニーをLB液体培地で培養し、IPTGを加えることによってALBP−GST融合蛋白発現を誘導した。この培養液から融合蛋白のみをカラムを使って精製し、prescission protease処理によってGSTを除き、ALBP蛋白のみを回収した。サンプルは12.5%SDS−PAGEで確認した。融合蛋白はSDS−PAGEゲル上で約56kDaのバンドであるが、prescission protease処理にてGSTを除いたALBPのみのサンプルでは30kDaのシングルバンドとなっている(図2)。
(3)リコンビナントALBP蛋白の希少糖結合実験(スペクトラム解析):各種糖とリコンビナントALBPをインキュベートし、吸光度を蛍光分光光度計で測定した。吸光度測定にはサンプルを295nmで励起後に310-410nmのスペクトルを解析した。
その結果、D-アロースを加えたときには約350nm付近にあった吸光度のPEAKはより短波長(紫外方向、約340nm付近)へのシフトが認められ、さらにこのピークの高さも高くなった。しかし、他の糖を加えた時にはシフトがみとめられず、ALBPがD-アロースを加えた時にのみ吸光度変化が認められた。このことからD-アロースのみがALBPに特異的に結合することによって吸光度の変化が起こったことが示唆された。(図3)
(4)リコンビナントALBP蛋白による実験サンプル中のD-アロース検出:PC12細胞の培養に使用する培養液中に加えられた希少糖(D-アロース)またD-グルコースが検出できるかどうかを蛍光分光光度計を使って実験を行った。その結果、細胞培養液にD-グルコースを加えた場合は吸光度のピークはシフトしなかったが、D-アロースを加えた場合は今までの実験と同様、吸光度ピークの紫外方向へのシフトが認められた(図4)。このことは実際の実験サンプル中のD-アロースも検出できるということを示している。
(5)リコンビナントALBP蛋白によるD-アロースの定量:リコンビナントALBP蛋白に各種糖を加え、吸光度変化を測定した。測定にはサンプルを295nmの波長で励起し、338nmの吸光度を測定した。その結果、D-アロースを加えた時は他の糖を加えた時にくらべ著明に吸光度が上昇した(図5)。この変化は1μMの濃度でも大きく、比較的感度がよいことが示唆された。また今回の実験では他の糖でもわずかの吸光度変化が認められたが、スペクトラム解析では変化がなく、これはALBPに糖が結合したことによる変化とは考えにくい。今後さらに実験条件を改善する必要がある。
考察:
(1)今回の実験でリコンビナントALBPがD-アロースに対して特異的に結合し、吸光度のスペクトラムが変化することがわかった。この変化はD-プシコースなどの他の糖を加えたときには認められなかった。
(2)現在の方法ではALBP蛋白自身の吸光度変化を測定しているため、サンプル中に蛋白が混入すると測定値に影響がでることが予想される。そのため強酸の添加等によってサンプル中の蛋白を前もって除去する必要がある。Lager(FEBS Letter, 2003)らはribose-binding proteinを蛍光蛋白であるGFPに組み込んでnanosensorとして細胞中のriboseの検出を行っている。現在我々もALBPを組み込んだALBP-GFP nanosensorを開発中であり、このセンサーが完成すればD-アロースなどの希少糖の定量がより簡便に行えるだけでなく、細胞中に取り込まれたD-アロースを顕微鏡下で検出することも可能であると思われる。
(3)ALBPあるいは、ALBP-GFPを用いれば、D-アロースの微量定量ができるだけでなく、他の糖の定量方法にも利用できる。すなわち、D-プシコースの定量のためには、L-ラムノースイソメラーゼを試料に作用させることにより、D-プシコースをD-アロースに変換される。D-アロースはALBPに結合するのでD-アロースへの平衡は維持され、最後には全てのD-プシコースがD-アロースに変換される。従って試料中の全D-プシコースをD-アロースとして定量できる。同様に、D-フラクトースもD-タガトース 3 エピメラーゼとL-ラムノースイソメラーゼを同時に作用させることにより、D-フラクトースをD-プシコースそしてD-アロースへと変換できるので定量可能となる。
(4)ALBPを利用した方法では、以上のようにD-アロース、D-プシコース、D-フラクトースの微量定量が可能となる。これまで前2者の定量方法は皆無である。またD-フラクトースについても定量法は幾つかあるものの煩雑さや感度での問題点もある。この方法は、これらの糖の微量定量を可能にするものであり、基礎研究および応用研究を推進するにあたり大変重要な技術となりうる。
希少糖の定量法は、希少糖の用途開発をはじめ希少糖生産の制御や各種の希少糖を使用した製品管理などに重要な技術である。
大腸菌DNAをテンプレートとして行ったPCR。 トランスフォーメーションで得られたコロニーをLB液体培地で培養し、IPTGを加えることによってALBP−GST融合蛋白発現を誘導した。この培養液から融合蛋白のみをカラムを使って精製し、prescission protease処理によってGSTを除き、ALBP蛋白のみを回収した。サンプルは12.5%SDS−PAGEで確認した。 各種糖とリコンビナントALBPをインキュベートし、吸光度を蛍光分光光度計で測定した。吸光度測定にはサンプルを295nmで励起後に310-410nmのスペクトルを解析した。 PC12細胞培養に使用する培養液中に加えられた希少糖(D-アロース)またD-グルコースが検出できるかどうかを蛍光分光光度計を使って実験を行った。 リコンビナントALBP蛋白に各種糖を加え、吸光度変化を測定した。測定にはサンプルを295nmの波長で励起し、338nmの吸光度を測定した。 イズモリング(Izumoring)連携図。 イズモリングを用いて示した、L−ラムノースイソメラーゼが触媒するヘキソースの異性化反応である。太い黒線が触媒することが確認された異性化反応である。太い点線が触媒反応が確認されなかった異性化反応である。 イズモリングを用いて示した、L−ラムノースイソメラーゼが触媒するペントースの異性化反応である。太い黒線が触媒することが確認された異性化反応である。太い点線が触媒反応が確認されなかった異性化反応である。 イズモリングを用いて示した、L−ラムノースイソメラーゼが触媒するヘテトロースの異性化反応である。太い黒線が触媒することが確認された異性化反応である。太い点線が触媒反応が確認されなかった異性化反応である。 Allose-binding protein (ALBP)のDNA配列(配列番号1)とアミノ酸配列(配列番号2)(非特許文献1)。

Claims (4)

  1. D-アロースが結合することによって変化する下記のポリペプチドの有する吸光度、またはD-アロースが結合したときD-アロース−下記のポリペプチドの結合体が作り出す蛍光を測定し、そのシグナル量に基づき被験試料中のD-アロース量を定量することを特徴とする希少糖の定量方法。


    (a)配列番号2に示されるアミノ酸配列からなるポリペプチドを含み、かつ、D-アロースを菌内に取り込む活性を有するポリペプチド、および
    (b)(a)のポリペプチドの有するアミノ酸配列において1若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列を含み、かつ、D-アロースを菌内に取り込む活性を有するポリペプチドからなる群から選ばれるポリペプチド。
  2. 上記のポリペプチドが、
    (a)配列番号2に示されるアミノ酸配列からなるポリペプチドを含み、かつ、D-アロースを菌内に取り込む活性を有するポリペプチド、および
    (b)(a)のポリペプチドの有するアミノ酸配列において1若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列を含み、かつ、D-アロースを菌内に取り込む活性を有するポリペプチドからなる群から選ばれるポリペプチドをコードするDNAをGSTベクターに組み込んで得られる組換え体DNAを保有する形質転換体を培養液中で培養し、該ポリペプチドを該培養物中に生成・蓄積させ、該培養物中より採取する該リコンビナントポリペプチドである請求項1の希少糖の定量方法。
  3. 被験試料中のD-アロース量が、被験試料中のD-プシコースを、L-ラムノースイソメラーゼを該試料に作用させることにより、D-アロースに変換したものの量である請求項1または2の希少糖の定量方法。
  4. 被験試料中のD-アロース量が、被験試料中のD-フラクトースを、D-タガトース 3 エピメラーゼとL-ラムノースイソメラーゼを該試料に同時に作用させることにより、D-アロースに変換したものの量である請求項1ないしのいずれかの希少糖の定量方法。
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