JP4324754B2 - 回転ヘッドドラム装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は回転ヘッドドラム装置に係り、とくに回転ドラムに設けられているヘッドを用いてテープ状記録媒体に信号を書込みおよび/または再生するようにした回転ヘッドドラム装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
磁気テープに回転ヘッドを対接させてヘリカルスキャン方式の磁気記録を行なうVTR(Video Tape Recorder)等のヘリカルスキャン方式の磁気記録再生装置においては、回転する磁気ヘッドと固定側の回路との間での信号の授受を行なう必要がある。そこで例えば特開平5−274603号公報に開示されているように、円筒型ロータリトランスを用い、このロータリトランスのステータを固定ドラムのセンタボスの外周面上に取付けるとともに、ロータを回転ドラムの内周側に取付け、しかもロータと磁気ヘッドとをリード線によって接続するようにしていた。
【0003】
ところが上記の特開平5−274603号公報に開示されているような単一のロータリトランスによって書込み信号と再生信号との授受をともに行なうようにすると、上記の記録信号と再生信号との間でロータリトランス上でかぶりやクロストークによる特性劣化を生じ易くなる。とくに小径ドラムであってしかも多くのチャンネルを有する多チャンネル型のVTRになるとこの問題が顕著になる。そこで書込み信号と再生信号とを別々に授受を行なうように書込み用ロータリトランスと再生用ロータリトランスとを別々に設けるようにしている。
【0004】
図3は再生用ロータリトランスと書込み用ロータリトランスとを別々に設けた従来のヘッドドラム装置の一例を示している。このヘッドドラム装置は上側の回転ドラム1と、下側の固定ドラム2と、固定ドラム2の下側に設けられているモータ3を備え、しかも上記回転ドラム1の外周側に臨むように磁気ヘッド4が取付けられている。
【0005】
回転ドラム1の上部には再生用ロータリトランス6が配されている。このロータリトランス6はロータ7とステータ8とを備え、ロータ7が取付け板9を介して回転ドラム10の上部に取付けられている。これに対してステータ8は取付け板10およびアーム11を介して取付けブラケット12によって固定支持される構造になっている。
【0006】
また固定ドラム2の内側には書込み用ロータリトランス14が設けられている。このロータリトランス14はロータ15とステータ16とから構成され、しかもロータ15が回転軸17に嵌着されたフランジ18に支持されている。これに対してステータ16は上記固定ドラム2の底部の上面に直接固着されている
【0007】
回転軸17は上下一対のベアリング21、22によって固定ドラム2に回転可能に支持されている。そして回転軸17がモータ3の回転軸を兼用しており、回転軸17の先端側にはモータ3のロータボス23が固着されている。そしてこのボス23にロータヨーク24が固着されるとともに、ロータヨーク24の上面にリング状のマグネット25が固着されている。
【0008】
上記モータ3のマグネット25はコイル26とエアギャップを介して対向している。コイル26はプリント基板27にマウントされている。そして上記プリント基板27の上側にシールド板28が配されるとともに、上記固定ドラム2の下面に固着されたケーシング29によってこのモータ3の外周壁が形成されている。
【0009】
以上のような構成において、モータ3のプリント基板27上のコイル26に通電を行なうと、ロータヨーク24に取付けたマグネット25が回転方向の力を受け、これによってモータ3が回転する。そしてこのモータ3の回転は回転軸17に固着されている回転ドラム1に伝達されるために、回転ドラム1が回転される。そして回転ドラム1に取付けられている磁気ヘッド4が回転する。そして回転ドラム1と固定ドラム2の外周部に巻付けられた磁気テープが磁気ヘッド4と対接することになる。
【0010】
書込み動作の際には固定側の回路から書込み用ロータリトランス14のステータ16およびロータ15を通して回転ドラム1上の磁気ヘッド4に信号が伝達され、この信号が磁気テープ上に書込まれる。これに対して再生動作は、磁気テープの信号を磁気ヘッド4が読出すとともに、再生用ロータリトランス6のロータ7およびステータ8を介して固定側に伝達される。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
図3に示すように回転ヘッドドラム装置において再生用ロータリトランス6と書込み用ロータリトランス14とを設けるとともに、これらを互いにできるだけ離すことによって好ましい特性が得られる。そこで書込み用ロータリトランス14を固定ドラム2の内部に収納するとともに、再生用ロータリトランス6を回転ドラム1の上部に配するようにしている。
【0012】
ところがこのような方式によると、上側の回転ドラム1の上部に配されるロータリトランス6はそのステータ8を取付け板10、アーム11、取付けブラケット12等の別途構造部品によって回転ドラム1上に固定しなければならない。そしてこのような複雑な構造によると組立て性および取付け精度の点でコスト的に不利になる。また磁気ヘッド4の交換等のリワークにおいても容易ではない。とくに多チャンネル、多数ヘッドになるとトラブルを起す確率が増大する。また重量物である再生用ロータリトランス6を回転ドラム1の上部に設けるようにすると、動力学的なバランスにおいて不利になり、高速回転に不適当な構造になる。
【0013】
本発明はこのような問題点に鑑みてなされたものであって、再生用ロータリトランスと書込み用ロータリトランスの内の一方のロータリトランスを回転ドラムの上部に取付け板、アーム、取付けブラケット等を介して取付ける構造を排除し、組立て性および取付け精度を改善し、さらにはヘッド等のリワークを容易にし、また動力学的な安定性を高めるようにした回転ヘッドドラム装置を提供することを目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】
本願の一発明は、ヘッドを有する回転ドラムと、
前記ヘッドと対接されるテープ状記録媒体の案内面を外周面上に有し、前記回転ドラムと同軸上に配される固定ドラムと、
を具備する回転ヘッドドラム装置において、
書込み用ロータリトランスと再生用ロータリトランスとをシールド板を介して前記回転ドラムの軸線方向に互いに近接して配するとともに、前記書込み用ロータリトランスと前記再生用ロータリトランスとを前記固定ドラム内に収納し、前記固定ドラムの底部側に配される一方のロータリトランスのロータを支持するフランジを逃げるように他方のロータリトランスに中心孔が形成され、前記他方のロータリトランスの前記一方のロータリトランスのロータとの対向面上に前記シールド板が配され、該シールド板はその中心側が屈曲されて前記他方のロータリトランスの中心孔の部分に沿うように屈曲して形成されることを特徴とする回転ヘッドドラム装置に関するものである。
【0015】
ここで書込み用回路基板と再生用回路基板の内の一方を前記固定ドラムの端面上に配置してよい。また固定ドラムの端面側にモータが設けられ、該モータの出力軸が前記回転ドラムの回転支軸を構成し、しかも前記モータの回転子の外周側に送風翼が設けられ、該送風翼によって前記一方の回路基板を冷却するようにしてよい。また書込み用回路基板と再生用回路基板の内の他方を前記回転ドラムの端面上に配してよい。
【0016】
本願の別の主要な発明は、ヘッドを有する回転ドラムと、
前記ヘッドと対接されるテープ状記録媒体の案内面を外周面上に有し、前記回転ドラムと同軸上に配される固定ドラムと、
を具備する回転ヘッドドラム装置において、
書込み用ロータリトランスと再生用ロータリトランスとを互いに独立の円板状ロータリトランスから構成し、
前記書込み用ロータリトランスと前記再生用ロータリトランスとを同軸上にかつ前記回転ドラムの軸線方向において互いに近接ししかも前記書込み用ロータリトランスと前記再生用ロータリトランスとの間にシールド板を介装した状態で前記書込み用ロータリトランスと前記再生用ロータリトランスとを固定ドラムの凹部内に収納し、
前記固定ドラムの底部に前記書込み用ロータリトランスのステータを固定し、前記回転ドラムと一緒に回転するフランジの下面に前記書込み用ロータリトランスのロータを取付け、前記書込み用ロータリトランスのロータと近接して前記再生用ロータリトランスのステータを前記固定ドラムに固定し、前記回転ドラムに前記再生用ロータリトランスのロータを取付け、
前記再生用ロータリトランスのステータの表面であって前記書込み用ロータリトランスのロータとの対向面に前記シールド板が配され、該シールド板はその中心側が屈曲されて前記フランジを逃げる前記再生用ロータリトランスの中心孔の部分に沿うように屈曲されることを特徴とする回転ヘッドドラム装置に関するものである。
【0017】
本願のさらに別の主要な発明は、ヘッドを有する回転ドラムと、
前記ヘッドと対接されるテープ状記録媒体の案内面を外周面上に有し、前記回転ドラムと同軸上に配される固定ドラムと、
を具備するロータリトランスにおいて、
書込み用ロータリトランスと再生用ロータリトランスとを具備し、しかも前記書込み用ロータリトランスと前記再生用ロータリトランスの内の一方が平板型ロータリトランスから構成され、他方が円筒型ロータリトランスから構成され、
前記平板型ロータリトランスが前記固定ドラムの底部上に配されるとともに、前記円筒型ロータリトランスが前記固定ドラムのセンタボスの外周部上に配され、該円筒型ロータリトランスの前記固定ドラムの底部側の端部が前記平板型ロータリトランスの中心孔に受入れられ、
前記円筒型ロータリトランスの外周面上にシールド板が取付けられることを特徴とする回転ヘッドドラム装置に関するものである。
【0018】
ここで前記円筒型ロータリトランスの外周面上に配される前記シールド板は前記円筒型ロータリトランスの前記固定ドラムの底部側の端部で屈曲されて前記平板型ロータリトランスの上面に延びてよい。また書込み用ロータリトランスが平板型ロータリトランスから構成されるとともに、再生用ロータリトランスが円筒型ロータリトランスから構成されてよい。
【0019】
本願に含まれる発明の好ましい態様は、上ドラム回転型の回転ヘッドドラム装置において、書込み用と再生用とにそれぞれ専用の平板型ロータリトランスをシールド板を挟んで上下に配置し、しかもこれらのロータリトランスを固定ドラム内に収納するようにしたものである。このような態様は、基本的に従来の構造で済むために、組立て性や付加的構造部品や調整工数等のコスト要因を排除し、しかも回転ドラムに設けられている磁気ヘッドの交換のリワーク性を高めることになる。
【0020】
また書込み信号を処理する書込み用回路基板を書込み用ロータリトランスのすぐ下側において固定ドラムの端面上に配置することによって、書込み信号のロスを低減できる。また書込み信号を処理する書込み用回路基板の下部に回転ヨーク型モータを設け、このモータのロータの外周部に送風翼を取付け、この送風翼によって送風される風で上記書込み用回路基板を冷却して熱を放熱させることが可能になる。
【0021】
上記の態様によれば、とくに書込み信号と再生信号とにそれぞれ専用の平板型ロータリトランスをシールド板を挟んで上下に配置し、しかもこれら一対のロータリトランスを固定ドラム内に収納することによって、基本的には従来の構造と同一の構造の回転ヘッドドラム装置を構成することができ、組立て性や上ドラムのヘッド交換等のリワーク性が改善される。また一対のロータリトランスを固定ドラムに配することによって、固定ドラムによる電気的なシールドが達成され、外乱ノイズに対して有利な構造になる。また重量の大きなロータリトランスを固定ドラム内の一個所に集中して配置できるために、発生する隅バランスが小さくなり、組立て時のバランス調整が容易になる。また動作時に外乱を受けたときのジャイロモーメントが小さくなり、とくに高速回転時の安定性が高くなる。
【0022】
とくに図3に示すような軸回転式であってしかも回転ドラム1が上側に配置された従来の回転ヘッド装置において、ロータリトランス6を回転ドラム1上に追加すると支柱12等の機構部品から成るロータリトランス6のステータ8の固定手段が必要になる。これに対して本発明の上記の態様によれば、このような機構部品を必要とせず、コスト、組立て性、付加的な調整等において極めて有利になる。またメカデッキからの振動や衝撃等の外乱による出力変動が低減される。
【0023】
【発明の実施の形態】
以下本発明を図示の実施の形態によって説明する。図1は第1の実施の形態の回転ヘッドドラム装置を示しており、この回転ヘッドドラム装置は回転ドラム31と固定ドラム32と、モータ33とから構成されている。そして回転ドラム31は回転軸36にフランジ37を介して固着されており、回転軸36とともに回転されるようになっている。
【0024】
上記回転ドラム31の下側には再生用回路基板39が配され、上記フランジ37の下部に支持されている。また上記回転ドラム31の上部には中継回路基板(PRT基板)40が固着されている。そして回転ドラム31の下面にはヘッドベース41を介して磁気ヘッド42が取付けられている。
【0025】
また回転ドラム31の下側であって固定ドラム32の内側には再生用ロータリトランス44が配されている。再生用ロータリトランス44のロータ45は上記フランジ37の下端部に固着され、ステータ46は固定ドラム32の段部47に支持されている。またこの再生用ロータリトランス44のステータ46の下側にはシールド板48が配されている。シールド板48はステータ46の下面からこのロータリトランス44の中心孔の部分に沿うように上方に屈曲して形成されている。
【0026】
再生用ロータリトランス44の下側に位置するように固定ドラム32の内部には書込み用ロータリトランス50が配されている。書込み用ロータリトランス50のロータ51は上記回転軸36に固着されているフランジ49の下端に固着されている。またこのロータリトランス50のステータ52は固定ドラム32の底部上に直接取付けられている。また固定ドラム32の下側には書込み用回路基板53が配されており、この回路基板53は上記書込み用ロータリトランス50のステータ52に接続されている。
【0027】
上記回転軸36は固定ドラム32の中心部に連設されている筒状をなすセンタボス56に一対のボールベアリング57、58を介して回転自在に支持されている。しかも回転軸36は下方に延出されており、モータ33の出力軸を兼用している。そして回転軸36の先端側の部分にロータボス59が固着されるとともに、このロータボス59にカップ状をなすロータヨーク60が取付けられている。そしてロータヨーク60の内周側にはリング状マグネット61が固着されている。
【0028】
リング状マグネット61の内周面と微小なエアギャップを介して対向するようにコイル63を巻装したステータコア64がロータヨーク60の内側に配されている。そしてステータコア64がプリント基板65上にマウントされている。また上記ロータヨーク60の外周側には送風翼66が設けられている。
【0029】
以上のような構成において、モータ33のステータコイル63に対してプリント基板65上の回路から電流を通ずると、リング状マグネット61が回転方向の力を受けて回転する。この回転は回転軸36を介して回転ドラム31に伝達される。従って磁気ヘッド42を有する回転ドラム31が回転する。このときに回転ドラム31と固定ドラム32の外周面上に磁気テープがヘリカルに巻付けられた状態で走行しているために、磁気ヘッド42が磁気テープ上をヘリカルスキャンすることになる。
【0030】
書込み動作は書込み用ロータリトランス50のステータ52からロータ51に書込み用信号を送り、さらに磁気ヘッド42にこの信号を送ることによって、上記磁気ヘッド42で磁気テープ上に信号が書込まれる。これに対して再生動作は、磁気ヘッド42によって読出された再生信号を再生用回路基板39で増幅し、再生用ロータリトランス44のロータ45からステータ46を介して固定側に伝達する。
【0031】
このように図1に示す回転ヘッドドラム装置は、上ドラム回転型の回転ヘッド装置であって、書込み信号および再生信号にそれぞれ別々の2組のロータリトランス50、44をシールド板48を介して下側の固定ドラム32内に配置している。そして回転ドラム31には再生用回路基板39と中継回路基板40とを装備し、固定ドラム32の下面に書込み用回路基板53を配置している。そして固定ドラム32の下側に回転軸36に直結したモータ33を設けるとともに、このモータ33のロータヨーク60に設けられた送風翼66を用いて書込み用回路基板53に冷却風を送るようにしている。
【0032】
ここで信号の流れは、記録信号は書込み用回路基板53から書込み用ロータリトランス50を通して磁気ヘッド42に供給される。また磁気ヘッド42からの再生信号は、再生用回路基板39で増幅された後に再生用ロータリトランス44を介して中継回路基板(PRT基板)40に送られるようになっている。
【0033】
次にこのような回転ヘッドドラム装置の組立ておよびリワーク性について説明する。まず固定ドラム32に書込み用ロータリトランス50のステータ52を貼付け、このトランス50のロータ51を貼付けたフランジ49を回転軸36に圧入する。次に下側にシールド板48を配した再生用ロータリトランス44のステータ46を固定ドラム32の段部47に貼付ける。そしてこの後にトランス44のロータ45を貼付けたフランジ37を回転軸36に圧入する。そして最後に磁気ヘッド42がマウントされた回転ドラム31をフランジ37内にビス止めし、中継回路基板40をフランジ37にビス止めおよび端子の半田付けをして完成する。
【0034】
このような構造は、基本的には従来の単一のロータリトランスを備えた上ドラム回転型の回転ヘッドドラム装置にロータリトランスが1組増えた構造になるために、その磁気ヘッド42の交換においてもロータリトランスが1組の場合と変らない。すなわちフランジ37から中継用回路基板40を取外した後に回転ドラム31を取外すことによって磁気ヘッド42の交換が行ない得られ、再生用ロータリトランス44や書込み用ロータリトランス50を分解することなくヘッド42の交換が可能になる。これによって磁気ヘッド42のリワーク性が大幅に改善される。
【0035】
また再生用ロータリトランス44と書込み用ロータリトランス50とをシールド板48とを介して上下に配置しているために、両ロータリトランス44、50間におけるかぶりやクロストークによる特性劣化が防止される。また2つのロータリトランス44、50がともに下側の固定ドラム32内に配置されているために、固定ドラム32によって電気的シールド性が高まって外乱ノイズに対して有利になる。しかも重量の大きなロータリトランス44、50をともに固定ドラム32内に集中して配置できるために、発生する隅バランスが小さくなって組立て時のバランス調整が容易になる。また動作時に外乱を受けたときのジャイロモーメントが小さくなり、とくに高速回転時の安定性が大幅に改善される。
【0036】
次に第2の実施の形態を図2によって説明する。この実施の形態の特徴は、再生用ロータリトランス44を平板型ロータリトランスから構成するとともに、書込み用ロータリトランス50を円筒型ロータリトランスから構成したものである。そしてこれらのロータリトランス44、50を固定ドラム32内に取付けた構造としている。
【0037】
ここでとくに円筒型ロータリトランス50はそのロータ51がフランジ37の内周面に固着される。これに対してステータ52は固定ドラム32のセンタボス56の外周面上に固着されるようになっている。そして書込み用ロータリトランス50のロータ51の外周部から再生用ロータリトランス44のロータ45の上面にかけてシールド板48を配するようにし、これによって両ロータリトランス44、50のクロストークを防止している。
【0038】
これに対して再生用ロータリトランス44のロータ45はフランジ37の下面に固着され、ステータ46が固定ドラム32の底部上に直接取付けられている。
【0039】
従ってこのような実施の形態においても、ロータリトランス44、50が何れもシールド板48を挟んで近接して固定ドラム32内に収納され、これらのロータリトランス44、50が磁気ヘッド42の交換の際に分解する必要がなく、このために磁気ヘッド42のリワーク性を阻害することがない。しかもロータリトランス44、50間のクロストークがシールド板48によって防止されるとともに、これらのロータリトランス44、50を固定ドラム32や回転ドラム31によって外乱ノイズからシールドすることが可能になる。
【0040】
また固定ドラム32の底部上に再生用ロータリトランス44を、固定ドラム32のセンタボス56上に書込み用ロータリトランス50をそれぞれ配置しているために、発生する隅バランスが小さくなって組立て時のバランス調整が容易になる。また動作中に外乱を受けたときのジャイロモーメントが小さく、安定性の高い高速回転を達成できるようになる。
【0041】
【発明の効果】
本願の主要な発明は、ヘッドを有する回転ドラムと、ヘッドと対接されるテープ状記録媒体の案内面を外周面上に有し、回転ドラムと同軸上に配される固定ドラムと、を具備する回転ヘッドドラム装置において、書込み用ロータリトランスと再生用ロータリトランスとをシールド板を介して回転ドラムの軸線方向に互いに近接して配するとともに、書込み用ロータリトランスと再生用ロータリトランスとを固定ドラム内に収納し、固定ドラムの底部側に配される一方のロータリトランスのロータを支持するフランジを逃げるように他方のロータリトランスに中心孔が形成され、他方のロータリトランスの一方のロータリトランスのロータとの対向面上にシールド板が配され、該シールド板はその中心側が屈曲されて他方のロータリトランスの中心孔の部分に沿うように屈曲して形成したものである。
【0042】
従ってこのような回転ヘッドドラム装置によれば、ヘッドの交換の際に書込み用ロータリトランスおよび再生用ロータリトランスを分解する必要がなくなり、これによってヘッド交換のリワーク性が改善される。しかも両ロータリトランス間での書込み信号と再生信号のクロストークがシールド板で遮断され、さらに外部の外乱ノイズが固定ドラムによって遮断される。また重量の大きな書込み用ロータリトランスと再生用ロータリトランスとを固定ドラム内に集中して配置することが可能になるために、発生する隅バランスが小さくなって組立て時のバランス調整が容易になる。またこのような構造によれば、動作中に外乱を受けたときのジャイロモーメントが小さく、高速回転時の安定性が高くなる。
【0043】
本願の別の発明は、ヘッドを有する回転ドラムと、ヘッドと対接されるテープ状記録媒体の案内面を外周面上に有し、回転ドラムと同軸上に配される固定ドラムと、を具備する回転ヘッドドラム装置において、書込み用ロータリトランスと再生用ロータリトランスとを互いに独立の円板状ロータリトランスから構成し、書込み用ロータリトランスと再生用ロータリトランスとを同軸上にかつ回転ドラムの軸線方向において互いに近接ししかも書込み用ロータリトランスと再生用ロータリトランスとの間にシールド板を介装した状態で書込み用ロータリトランスと再生用ロータリトランスとを固定ドラムの凹部内に収納し、固定ドラムの底部に書込み用ロータリトランスのステータを固定し、回転ドラムと一緒に回転するフランジの下面に書込み用ロータリトランスのロータを取付け、書込み用ロータリトランスのロータと近接して再生用ロータリトランスのステータを固定ドラムに固定し、回転ドラムに再生用ロータリトランスのロータを取付け、再生用ロータリトランスのステータの表面であって書込み用ロータリトランスのロータとの対向面にシールド板が配され、該シールド板はその中心側が屈曲されてフランジを逃げる再生用ロータリトランスの中心孔の部分に沿うように屈曲されるようにしたものである。
【0044】
従ってこのような回転ヘッドドラム装置によれば、書込み信号が書込み用の円板型ロータリトランスによって授受され、再生信号が別の円板型ロータリトランスによって授受されるようになり、しかもこれらのロータリトランス間でのクロストークがシールド板によって遮断されることになる。従って同軸上に互いに近接して配設された一対の円板型ロータリトランスによってコンパクトに信号の授受のための装置を組込むことが可能になる。
【0045】
本願のさらに別の主要な発明は、ヘッドを有する回転ドラムと、ヘッドと対接されるテープ状記録媒体の案内面を外周面上に有し、回転ドラムと同軸上に配される固定ドラムと、を具備するロータリトランスにおいて、書込み用ロータリトランスと再生用ロータリトランスとを具備し、しかも書込み用ロータリトランスと再生用ロータリトランスの内の一方が平板型ロータリトランスから構成され、他方が円筒型ロータリトランスから構成され、平板型ロータリトランスが固定ドラムの底部上に配されるとともに、円筒型ロータリトランスが固定ドラムのセンタボスの外周部上に配され、該円筒型ロータリトランスの固定ドラムの底部側の端部が平板型ロータリトランスの中心孔に受入れられ、円筒型ロータリトランスの外周面上にシールド板が取付けられるようにしたものである。
【0046】
従ってこのような回転ヘッドドラム装置によれば、平板型ロータリトランスと円筒型ロータリトランスとの組合わせによって書込み信号と再生信号とを別々に授受することが可能になる。しかもこれらのロータリトランスを回転ドラム内に配することによって、2種類の信号の授受のための機構を別々にしかもコンパクトに回転ヘッドドラム装置内に配することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 第1の実施の形態の回転ヘッドドラム装置の縦断面図である。
【図2】 第2の実施の形態の回転ヘッドドラム装置の縦断面図である。
【図3】 従来の回転ヘッドドラム装置の縦断面図である。
【符号の説明】
31‥‥回転ドラム、32‥‥固定ドラム、33‥‥モータ、36‥‥回転軸、37‥‥フランジ、39‥‥再生用回路基板、40‥‥中継回路基板、41‥‥ヘッドベース、42‥‥磁気ヘッド、44‥‥再生用ロータリトランス、45‥‥ロータ、46‥‥ステータ、47‥‥段部、48‥‥シールド板、49‥‥フランジ、50‥‥書込み用ロータリトランス、51‥‥ロータ、52‥‥ステータ、53‥‥書込み用回路基板、56‥‥センタボス、57、58‥‥ボールベアリング、59‥‥ロータボス、60‥‥ロータヨーク、61‥‥リング状マグネット、63‥‥コイル、64‥‥ステータコア、65‥‥プリント基板、66‥‥送風翼

Claims (8)

  1. ヘッドを有する回転ドラムと、
    前記ヘッドと対接されるテープ状記録媒体の案内面を外周面上に有し、前記回転ドラムと同軸上に配される固定ドラムと、
    を具備する回転ヘッドドラム装置において、
    書込み用ロータリトランスと再生用ロータリトランスとをシールド板を介して前記回転ドラムの軸線方向に互いに近接して配するとともに、前記書込み用ロータリトランスと前記再生用ロータリトランスとを前記固定ドラム内に収納し、前記固定ドラムの底部側に配される一方のロータリトランスのロータを支持するフランジを逃げるように他方のロータリトランスに中心孔が形成され、前記他方のロータリトランスの前記一方のロータリトランスのロータとの対向面上に前記シールド板が配され、該シールド板はその中心側が屈曲されて前記他方のロータリトランスの中心孔の部分に沿うように屈曲して形成されることを特徴とする回転ヘッドドラム装置。
  2. 書込み用回路基板と再生用回路基板の内の一方を前記固定ドラムの端面上に配置することを特徴とする請求項1に記載の回転ドラムヘッド装置。
  3. 固定ドラムの端面側にモータが設けられ、該モータの出力軸が前記回転ドラムの回転支軸を構成し、しかも前記モータの回転子の外周側に送風翼が設けられ、該送風翼によって前記一方の回路基板を冷却することを特徴とする請求項2に記載の回転ヘッドドラム装置。
  4. 書込み用回路基板と再生用回路基板の内の他方を前記回転ドラムの端面上に配することを特徴とする請求項に記載の回転ヘッドドラム装置。
  5. ヘッドを有する回転ドラムと、
    前記ヘッドと対接されるテープ状記録媒体の案内面を外周面上に有し、前記回転ドラムと同軸上に配される固定ドラムと、
    を具備する回転ヘッドドラム装置において、
    書込み用ロータリトランスと再生用ロータリトランスとを互いに独立の円板状ロータリトランスから構成し、
    前記書込み用ロータリトランスと前記再生用ロータリトランスとを同軸上にかつ前記回転ドラムの軸線方向において互いに近接ししかも前記書込み用ロータリトランスと前記再生用ロータリトランスとの間にシールド板を介装した状態で前記書込み用ロータリトランスと前記再生用ロータリトランスとを固定ドラムの凹部内に収納し、
    前記固定ドラムの底部に前記書込み用ロータリトランスのステータを固定し、前記回転ドラムと一緒に回転するフランジの下面に前記書込み用ロータリトランスのロータを取付け、前記書込み用ロータリトランスのロータと近接して前記再生用ロータリトランスのステータを前記固定ドラムに固定し、前記回転ドラムに前記再生用ロータリトランスのロータを取付け、
    前記再生用ロータリトランスのステータの表面であって前記書込み用ロータリトランスのロータとの対向面に前記シールド板が配され、該シールド板はその中心側が屈曲されて前記フランジを逃げる前記再生用ロータリトランスの中心孔の部分に沿うように屈曲されることを特徴とする回転ヘッドドラム装置。
  6. ヘッドを有する回転ドラムと、
    前記ヘッドと対接されるテープ状記録媒体の案内面を外周面上に有し、前記回転ドラムと同軸上に配される固定ドラムと、
    を具備するロータリトランスにおいて、
    書込み用ロータリトランスと再生用ロータリトランスとを具備し、しかも前記書込み用ロータリトランスと前記再生用ロータリトランスの内の一方が平板型ロータリトランスから構成され、他方が円筒型ロータリトランスから構成され、
    前記平板型ロータリトランスが前記固定ドラムの底部上に配されるとともに、前記円筒型ロータリトランスが前記固定ドラムのセンタボスの外周部上に配され、該円筒型ロータリトランスの前記固定ドラムの底部側の端部が前記平板型ロータリトランスの中心孔に受入れられ、
    前記円筒型ロータリトランスの外周面上にシールド板が取付けられることを特徴とする回転ヘッドドラム装置。
  7. 前記円筒型ロータリトランスの外周面上に配される前記シールド板は前記円筒型ロータリトランスの前記固定ドラムの底部側の端部で屈曲されて前記平板型ロータリトランスの上面に延びることを特徴とする請求項6に記載の回転ヘッドドラム装置。
  8. 書込み用ロータリトランスが平板型ロータリトランスから構成されるとともに、再生用ロータリトランスが円筒型ロータリトランスから構成されることを特徴とする請求項6に記載の回転ヘッドドラム装置。
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