JP4323579B2 - 変位情報検出装置 - Google Patents

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【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は変位情報検出装置に関し、光束を効率的に投光及び受光することのできる光学素子を用いて、例えば変位物体(光学スケール)に光を照射した際に発生する回折を利用して変位物体の回転情報や移動情報等の変位情報の物理量を高精度に求めることのできるロータリーエンコーダやリニアエンコーダ等に好適なものである。
【0002】
【従来の技術】
従来より、光源から発散した光束を集光し、所定面上に照射したり、所定面からの光束を集光し、受光素子面上に導光する光学作用する光学素子が多くの光学機器に用いられている。
【0003】
例えば物体(変位物体)の移動量,回転量等の変位情報を検出する為の変位情報検出装置としてロータリーエンコーダやリニアエンコーダ(以下「エンコーダ」という。)等で多く使用されている。
【0004】
図40は特公昭36−11793号公報で提案されているエンコーダの要部概略図である。同図において光源201からの光束は、基板202に設けた開口202aを通過した後にレンズ系203で略平行光束として放射格子(直線状格子)を設けた変位物体としての光学スケール204の第1領域204aに入射している。
【0005】
光学スケール204の第1領域204aの格子で回折した±n次の回折光はレンズ系205,コーナーキューブ206、そしてレンズ系207を介して光学スケール204の第2領域204bに導光され、その面上に干渉パターンを形成する。第2領域204bを通過した干渉パターンに基づく光束をレンズ系208で集光して受光素子209で検出している。
【0006】
このとき光学スケール204が矢印204cの方向に移動すると、光学スケール204上に形成される干渉パターンは逆方向に変位するので受光素子209では格子分解能(格子ピッチ)の2倍の周期の信号が得られる。
【0007】
同図に示すエンコーダは受光素子209で得られる周期信号を利用して光学スケール204の変位情報を得ている。
【0008】
図41は特開昭51−65958号公報で提案されているエンコーダの光学配置図である。同図において光源301からの光束は、光学素子310,311b,311aにより平行光束化され、可動の光学格子319のエリア304に入射し、光学格子319を透過し、回折光が発生する。光学格子319からの回折光は光学素子313に入射し、光学素子313を透過し、鏡面部320にて回折分離した0次回折光束、及び±1次回折光束は反射し、再び光学素子313を透過し、可動の光学格子319のエリア306に入射する。
【0009】
各回折光束は光学格子319のエリア306にてそれぞれ再度回折し、再び光学素子311a,311b,315,316を透過し、受光素子309a,309b、309cの各受光素子へ導かれる。図37はこのときの光源301と受光素子309a,309b,309cと光学格子319との位置関係を示している。そして3つの受光素子309a,309b,309cからの信号を用いて光学格子319の移動情報を得ている。
【0010】
この例では実質的に結像系としての鏡面部320について物体面304、及び結像面306へ光源からの光束を幾何学的に光束分離し受光素子へ導く方法が開示されている。
【0011】
図42は、USP3,245,307において開示されているエンコーダの要部概略図である。同図は可動格子体401の物体面と結像面とを幾何学的に分離せず、光束をハーフミラー402等で往路復路を分離し、物体面と結像面を同一の領域を用いた例である。
【0012】
光源403からの光束をハーフミラー402を介して光学素子404で集光して可動格子体401に入射させ、可動格子体401からの複数の回折光を凹面ミラー405で反射させて可動格子体401に戻している。そして可動格子体401からの光束をハーフミラー402で反射させて受光部406で受光している。受光部406からの信号を用いて可動格子体401の移動情報を得ている。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
図40に示すエンコーダでは光源201からの光束の光学スケール204への入射領域(第1領域204a)と光学スケール204で回折した回折光束を光学部材205,206,207を介して該光学スケール204へ再入射させるときの再入射領域(第2領域204b)が光学スケール204上の変位方向204cに位置するように設定している。
【0014】
又、光学スケール204への入射光束及び再入射光束がいずれも光学スケール204面に対して垂直となるようにしている。この為、光源,複数のレンズ系,そして受光素子等の各要素の配置に大きな空間を必要とし、又光学スケールからの回折光を該光学スケールに再入射させる為に多くの光学部材を必要とし、装置全体が複雑化及び大型化する傾向があった。
【0015】
この他光学スケールに対して略垂直に入出射する光束(回折光)を用いている為に受光素子の左右に射出する回折光が迷光となりやすく、装置全体の小型化,簡素化を図りつつ、高精度の変位情報を得るのが難しいという問題点があった。
又、光学スケールと複数のレンズ系との間隔が設計値よりずれていると(ギャップ変化があると)受光手段で得られる信号のS/N比が低下してくるという問題点があった。特にこのギャップの設計値からの許容値は格子ピッチが微細化してくるにつれて厳しいものとなってくる。
【0016】
図41に示すエンコーダでは光源301からの光束の可動光学格子319への入射領域(第1領域304)と可動光学格子319で再回折入射させるときの再入射領域(第2領域306)が可動光学格子319上の変位方向(X)に位置するように設定している。
【0017】
又、可動光学格子319への入射光束の0次回折光束及びその再入射光束がいずれも可動光学格子319面に対して垂直となるようにしている。この為、光源、複数のレンズ系、そして受光素子等の各要素の配置に大きな空間を必要とし、又、可動光学格子319からの回折光を該可動光学格子319に再入射させる為に多くの光学部材を必要とし、装置全体が複雑化及び大型化する傾向があった。
【0018】
更に、第1領域304と第2領域306とが可動光学格子319の変位方向に位置し、受光素子309a,309b,309cの配置と同方向に並んでおり、各受光素子に不釣り合い(非対称)に各光学素子からの迷光が入射したり、受光素子の左右に射出する回折光が迷光となりやすく、装置全体の小型化、簡素化を図りつつ、高精度の変位情報を得るのが難しいという問題点があった。
【0019】
又、可動光学格子と複数のレンズ系との間隔が設計値よりずれていると(ギャップ変化があると)受光手段で得られる信号のS/N比が低下してくるという問題点があった。特に、このギャップの設計値からの許容値は格子ピッチが微細化してくるにつれて厳しいものとなってくる。
【0020】
図42のエンコーダでは可動格子の裏面反射光が受光部に入射し、ノイズ光成分となり良好な信号が得られないという欠点があった。
【0023】
本発明の目的は、光源からの光束を変位物体に固定した光学スケールに入射させるときの光学スケールへの入射及び光学スケールからの回折光を該光学スケールへの再入射させるときの再入射条件等を適切に設定することによって各部材の配置上の空間を少なくすると共に装置全体の簡素化を図りつつ、又各部材の配置上の許容誤差を緩和しつつ変位物体の変位情報を高精度に検出することができるロータリーエンコーダやリニアエンコーダ等に好適な変位情報検出装置の提供にある。
【0024】
【課題を解決するための手段】
請求項1の発明の変位情報検出装置は、一定の周期で配設された格子部が基板に設けられており、前記格子部が配設された方向であって前記格子部が配設された面に垂直な軸を中心回転可能な光学スケールと、
前記光学スケールに光束を照射する光照射手段と、
前記格子部の第1領域を透過し回折した前記光束を反射する反射素子と、
前記反射素子で反射し、前記格子部の第2領域に結像した前記光束を受光する受光手段と、
前記光学スケールと前記光照射手段及び前記受光手段との間に配置され、前記光照射手段から照射された前記光束を集光し、かつ前記反射素子で反射し、前記格子部の第2領域に結像した前記光束を集光する光学素子とを有し、前記光学スケールの回転方向の変位を検出する変位情報検出装置において、
前記光学素子は、
前記光照射手段から照射された前記光束を平行光束にする第1の曲面と、
前記第1の曲面に対向し、前記平行光束を集束光束にする第2の曲面と、
前記反射素子で反射し、前記格子部の前記第2領域に結像した光束を平行光束にする、前記第2の曲面とは異なる第3の曲面と、
前記第3の曲面に対向し、前記第3の曲面を透過した前記平行光束を集束光束にする、前記第1の曲面とは異なる第4の曲面と、を有し、
前記光照射手段を構成する光源の発光中心は前記第1、第2及び第3の曲面の回転対称軸にあり、前記受光手段の受光中心は前記光学スケールの回転中心に対して前記第1、第2及び第3の曲面の回転対称軸よりも遠い前記第4の曲面の回転対称軸にあり、該2つの回転対称軸は略平行であり、
前記格子部は、前記反射素子側の面に平坦部とV溝部が交互に周期的に形成された構造からなる格子部であり、前記受光手段は、前記格子部によって波面分割された複数の光束をそれぞれ受光する複数の受光素子を含み、
前記反射素子は、前記格子部の前記第1領域で回折した0次光と±n次回折光を反射させる凹面ミラーであり、前記第1領域からの0次光と±n次回折光は前記凹面ミラーの光軸から偏心した位置に集光し、前記格子部の第1領域の像を第2領域に拡大結像することを特徴としている。
【0039】
【発明の実施の形態】
図1,図2は本発明の実施形態1の一部分の要部斜視図、図3は本発明の実施形態1の一部分の要部断面図、図4は本発明の実施形態1の一部分の光学スケールと凹面ミラーとの説明図、図5は本発明の実施形態1の一部分の光学スケールの説明図、図6は本発明の実施形態1の一部分の光学スケールの格子部と受光手段からの信号の説明図、図7は本発明の実施形態1の光学スケール上の再結像した像の説明図、図8は本発明の実施形態1における凹面ミラーの偏心量に対するスケールピッチと重ね合わせピッチの説明図、図9は本発明の実施形態1における凹面ミラーの偏心量に対するスケールピッチと重ね合わせピッチの説明図、図10は本発明の実施形態1の一部分の要部断面図、図11は本発明の実施形態1における光学スケールへの光束の入射状態を示す他の実施形態の説明図、図12は本発明の実施形態1における光学スケールへの光束の入射状態を示す他の実施形態の説明図である。
【0040】
図中1は光源であり、例えばLEDや半導体レーザで構成し、波長λ(632.8nm)の可干渉性光束を発している。2はレンズ系であり、球面レンズ又は非球面レンズより成り、光源1からの光束を集光して、後述する光学スケール3に導光している。レンズ系2は後述するように透明部材に4つの曲面2A〜2Dを設けた部材より成っている。
【0041】
光源1とレンズ系2等は光照射手段LRの一要素を構成している。3は位相差検出機能と振幅型の回折格子機能とを有する変位可能な光学スケールであり、図5,図6に示すように円板状の基板3cの表面上に一定周期の複数の放射状格子(スリット数2500又は5000のV溝格子)の構造より成る格子部3dを反射素子側に周期的に設けて構成している。光学スケール3の基板3cは透孔性の光学材料、例えばポリカーボアクリルなどのプラスチックより成り、回転体(不図示)の一部に取り付けており、回転体と一体的に回転軸3eを中心に矢印6方向に回転している。
【0042】
図6(A),(B)は光学スケール3の格子部3dの詳細図であり、V溝部を構成する2つの傾斜面30b−1,30b−2と1つの平面部30aが所定のピッチPで交互に配列されて格子部3dを形成している。V溝幅は(1/2)P、又V溝を形成する2つの傾斜面30b−1,30b−2は各々(1/4)Pの幅を有し、各々の傾斜面30b−1,30b−2はV溝の底部と平坦部30aの垂線とを結ぶ直線に対し各々臨界角以上、本実施形態ではθ=45°で傾いている。
【0043】
本実施形態では光学スケール3からの回折光のうち0次回折光と±1次回折光の3つの光束を利用している。ここで、この格子部3dのV溝は光学スケール3に対して放射状に構成されている為、光学スケール3の内周側と外周側ではピッチが異なっている。ここでピッチとは周方向の平坦部30aの幅と2つの傾斜面30b−1,30b−2の幅との合計した値をいう。
【0044】
本実施形態では光学スケール3の材質をポリカーボアクリルなどのプラスチックとし、射出成形もしくは圧縮成形等の製法によって作成している。4は凹面ミラーであり、球面ミラー,楕円ミラー,放物ミラー,非球面ミラー等の反射素子から成っている。凹面ミラー4は格子部3dのフーリエ変換面に一致している。
【0045】
本実施形態では図3,図4に示すようにレンズ系2で集光され、光学スケール3の第1領域3aに入射した光束101が光学スケール3の格子部で回折し、このときn次の回折光(0次と±1次の回折光L(0),L(+1),L(−1))が凹面ミラー4の面4b又はその近傍(凹面ミラー4の瞳位置又はその近傍)に集光するように各要素を設定している。
【0046】
凹面ミラー4の光軸4aと入射光束101の中心光線(主光線)101aは図4に示すように偏心量Δだけ偏心している。凹面ミラー4は光学スケール3で回折し、集光してきた集束光束(3つの回折光束L(0),L(+1),L(−1))を反射させ、光学スケール3面上の第2領域3bに図7に示すような3つの回折光に基づく干渉パターン像(像)を再結像させている。このとき光学スケール3が回転方向6に移動すると再結像した像は回転方向6とは反対の方向に移動する。即ち、格子部と干渉パターン像は相対的に光学スケール3の移動量の2倍の値で相対変位する。
【0047】
図33は本実施形態における光学スケール3面上に光束が入射する第1領域3aと第2領域3bを示している。
【0048】
本実施形態ではこれにより光学スケール3に構成されている格子部の2倍の分解能の回転情報を得ている。
【0049】
5は受光手段であり、光学スケール3の格子部3dの第2領域3b近傍に形成した図7に示すような干渉パターンと格子部のV溝との位相関係に基づく光束が第2領域3bで幾何学的に屈折され、射出した3つの光束を各々受光する為の3つのフォトディテクタ(受光素子)5a,5b,5cを有している。この受光手段5からの信号をパルスカウント回路や回転方向の判別回路を有する信号処理回路103によって処理し、これより回転情報を得ている。尚、光源1,レンズ系2,そして受光手段5は筐体PK内に固定保持されている。
【0050】
次に本実施形態における光学スケール(回転体)3の回転情報の検出方法について説明する。光照射手段の一要素であるLED1からの光束をレンズ系2により凹面ミラー面上4の反射面4b又はその近傍に集光するようにしている。この集束光を図3,図4に示すように光学スケール3の格子部3d上の第1領域3aに入射させる。第1領域3aに入射した集束光のうち図6に示す格子部3dの平面部30aに到達した光線は該平面部30aを通過して凹面ミラー4に進み、その面上に結像する。またV溝を構成する傾斜面30b−1に到達した光線は、傾斜面30b−1の傾斜角が臨界角以上に設定されている為、図6に示すように全反射してV溝を構成する他方の傾斜面30b−2に向けられ、傾斜面30b−2においても全反射する。
【0051】
このように最終的に格子部3dの傾斜面30b−1へ到達した光線は、凹面ミラーに進入することなく、入射方向に戻されることになる。同様にV溝を構成する他方の傾斜面30b−2に到達した光線も全反射を繰り返して戻される。従って第1領域3aにおいてV溝を形成する2つの傾斜面30b−1,30b−2の範囲に到達する光束は、光学スケール3内に進入することなく反射され、平面部30aに到達した光線のみが光学スケール3を進むことになる。
【0052】
即ち、第1領域3aにおいてV溝型の格子部3dは透過型の振幅回折格子と同様の光学作用を有する。この第1領域3aの格子部3dで光束は回折され、格子部の作用により0次,±1次,±2次‥‥の回折光が生じ、凹面ミラー4の面上にその回折光が集光する。集光した回折光は、主光線101aに対して偏芯している凹面ミラー4によって反射し、光学スケール3の第2領域3b部で再結像し、光学スケール3面上に像(放射状の溝の像)を再結像する。
【0053】
ここで第1領域3aと第2領域3bは光学スケール3面の放射状格子の格子部3dに対して半径方向に異なった(一部が重複していても良い)領域である。このとき、光学スケール3は放射状の格子部3dを有するため、第1領域3aと第2領域3bの格子ピッチが異なる。さらに、第2領域3bの照射領域においても光学スケール3の内周側と外周側のピッチが異なっている。
【0054】
そこで本実施形態では、格子部3d上の第2領域3bに第1領域3aの格子部を拡大投影し、光学スケール3の放射状の格子部3dのピッチと同様の像(反転像)を形成するようにしている。そのために本実施形態では凹面ミラー4を所望の曲率半径Rに設定し、入射光束の主光線101aに対して偏心配置するとともに入射光軸に対するずれ量Δも最適な値にしている。
【0055】
これによって第1領域3aの格子部の像が凹面ミラー4によって第2領域3b面上に再結像するとき放射状格子の一部のピッチが合致するようにしてS/N比の良い検出信号を得ている。
【0056】
第2領域3bにおいて平面部30aに入射した光束は、図6(B)に示すように直線透過し、受光手段5の中央部のフォトディテクタ5cに到着する。また、V溝面を形成する2つの傾斜面30b−1及び30b−2に到達した光線は、各々の面に45°の入射角を持って入射するため、それぞれ異なる方向に大きく屈折して受光手段5の両側のフォトディテクタ5a及び5bに到達する。
【0057】
このように第2領域3bにおいて、入射光束に対して異なる方向に傾斜した2つの傾斜面30b−1,30b−2及びV溝の間の平面部30aの合計3種の傾き方向の異なる面により、光束は3つの方向に別れて進み、各々の面に対応した位置に設けられた各フォトディテクタ5a,5b,5cに到達する。即ち第2領域3bにおいてV溝の格子部3dは光波波面分割素子として機能する。
【0058】
即ち第2領域3bの格子部と、その面上に結像した干渉パターン像との位相関係に基づく光束が3方向に偏向され、各フォトディテクタ5a,5b,5cに入射している。
【0059】
図35は本実施形態において光学スケール3の放射状格子に対する光源1と受光部5の3つの受光素子5a,5b,5cとの位置関係を示している。
【0060】
ここで光学スケール3が回転すると、各フォトディテクタ5a,5b,5cで検出される光量が変化する。格子部3dの位置と像の位置の相対的変位に応じ、各フォトディテクタに入射する光量バランスが変化し、その結果、光学スケール3が反時計廻りに回転したとすると、図6(C)に示すような光学スケール3の回転に伴う光量変化が得られる。ここで横軸は光学スケール3の回転量、縦軸は受光光量である。
【0061】
信号a,b,cはそれぞれフォトディテクタ5a,5b,5cに対応している。尚、逆に光学スケール3が時計廻りに回転した場合は、信号aはフォトディテクタ5b、信号bはフォトディテクタ5a、信号cはフォトディテクタ5cの出力となる。これらの信号を基に光学スケール3の回転角度や回転量あるいは回転速度や回転加速度等の回転情報を得ている。
【0062】
尚、図6(C)は第2領域3bに形成される像のコントラストが非常に高く理想に近い場合の理論的な光量変化の様子を示している。
【0063】
図8,図9は本実施形態において光学スケール3上の格子部として1周当り2500パルス(2500P/R)と5000パルス(5000P/R)のとき、光学スケール3の第1領域3aに入射する光束101の主光線101aが凹面ミラー4で反射して第2領域3bに入射するときの凹面ミラー4の光軸4aに対してΔだけ偏心したとき(偏心量Δのとき)の第2領域3bでの入射主光線からの距離に対する格子部のスケールピッチを示している。
【0064】
又偏心量Δのときに凹面ミラー4によって第1領域3aの格子部が第2領域3bに形成されるときの格子部の像の入射主光線からの距離に対する重ね合わせピッチを示している。
【0065】
図8,図9に示すように偏心量ΔがΔ:0.62(nm)のとき第2領域3bの入射主光線からの距離が1.8mm近傍でスケールピッチと重ね合わせピッチが略一致している。
【0066】
本実施形態では入射主光線101aからの距離が1.8mm近傍の領域を利用している。
【0067】
本実施形態ではレンズ系2によって光源1と凹面ミラー4の反射面4bとが略共役関係となるようにし、光学スケール3からの±n次回折光が凹面ミラー4の反射面4b上又はその近傍に集光するようにしている。又光学スケール3の一部が凹面ミラー4の曲率中心に合致するようにしている。
【0068】
これによって光学スケール3と凹面ミラー4との間隔(ギャップ)が多少設定値から変位しても受光手段5で得られる変位情報の誤差を少なくしている。即ち、ギャップ特性の許容値を緩和させている。
【0069】
図10(A),(B)は光学スケール3と凹面ミラー4とのギャップに誤差があったときの入射光と反射光の説明図である。
【0070】
図10(A)のように光学スケール3が凹面ミラー4の曲率半径の位置、即ちベストギャップの位置にある場合は、V溝によって回折した回折光が凹面ミラー4で反射して光学スケール面3の面上に集光するため、干渉縞のコントスラトが最大値を示す。
【0071】
しかし、図10(B)のように光学スケール3がベストギャップの位置からずれた場合には、光学スケール3の面上で回折光が凹面ミラー4で反射した後に光学スケール3上に集光しないため干渉パターンのコントラストが低下する。
【0072】
このような干渉パターンのコントラストの低下は、受光手段で検出される出力信号の低下と連動しているため、光学スケールがベストギャップからずれることにより、どの程度コントラストが低下するかは重要な値となる。
【0073】
そこで本実施形態では光学スケール3の一点近傍に凹面ミラー4の曲率中心が位置するようにし、又光源1と凹面ミラー4とがレンズ系2によって略共役関係となるようにして光学スケール3がベストギャップからずれた場合のコントラストの低下を少なくし、S/N比の良い信号を得ている。
【0074】
本実施形態では以上のように光学スケールに入射し、凹面ミラーで反射して光学スケールに再入射するときの主光線の入射位置が半径方向に異なるように設定することによって、光源,光学スケール,受光手段等の配置の自由度を増し、装置全体の小型化を図りつつ、回転物体(光学スケール)の回転情報を高精度に検出している。
【0075】
又、光源と凹面ミラーとがレンズ系によって略共役関係となるようにし、更に光学スケールの一部が凹面ミラーの略曲率半径の位置となるように設定することによって光学スケールと凹面ミラーとの間隔(ギャップ)の設計値からの許容値の緩和を図っている。
【0076】
図11,図12は各々本実施形態において光源から射出し、レンズ系を介した光束101が光学スケール3の第1領域3aに入射した後に回折し、凹面ミラー4面上に結像し,凹面ミラー4で反射して光学スケール3の第2領域3bを通過する光束102の他の実施形態の光路を示す説明図である。
【0077】
図11(A),(B),(C)はレンズ系を介した光束101が光学スケール3の格子部上の回転軸3eに近い方の第1領域3aから入射し、凹面ミラー4で反射して回転軸3eの遠い方の第2領域3bに再入射する場合を示している。
【0078】
即ち凹面ミラー4により第1領域3aの格子部を第2領域3bに拡大結像する場合を示している。このうち、図11(A)では光束101が第1領域3aに垂直に入射し、凹面ミラー4で反射した後に第2領域3bに斜入射する場合、図11(B),(C)では光束101が第1領域3aと第2領域3bに各々斜入射する場合を示している。
【0079】
図12(A),(B),(C)はレンズ系を介した光束101が光学スケール3の格子部上の回転軸3eに遠い方の第1領域3aから入射し、凹面ミラー4で反射して、回転軸3eの近い方の第2領域3bに再入射する場合を示している。
【0080】
即ち凹面ミラー4によって第1領域3aの格子部を第2領域3bに縮小結像する場合を示している。このうち、図12(A)は光束101が第1領域3aに斜入射し、凹面ミラー4で反射した後に第2領域3bに垂直に入射する場合、図12(B),(C)は光束101が第1領域3aと第2領域3bに各々斜入射する場合を示している。図11,図12の各構成においても前述の実施形態1と同様の効果を得ている。
【0081】
図36は光学スケール3の放射状格子に対する光源1と受光部5の3つの受光素子5a,5b,5cとの位置関係を示している。これは図12の各要素の光学配置に対応している。
【0082】
図22は図1に示した変位情報検出装置(ロータリーエンコーダ)の光学配置のレンズ系2として用いた複眼光学素子を説明するための図であり、複眼光学素子(以下単に「光学素子」とも言う)2を含むYZ断面図を示している。図23(A),(B)は図22の主要部分の拡大図である。
【0083】
尚、以下の実施形態では光束集束性を有する面を曲面としているが、これは同様の光束集束性を持つフレネルレンズ,フレネルゾーンプレート,バイナリーオプティクス素子等でもよい。
【0084】
図22において、光源1から発した発散光束は発光素子1aの発光中心と曲面2Aの曲率中心とを結んだ線(第1の軸、以下法線Lnという)を回転対称軸とする(曲面が非球面等の場合は第1の軸はそれの回転対称軸であり、この場合この軸上に発中心がある)第1曲面2Aにより理想的な平行光束に変換され光学素子2部材内を進行し、第1曲面2Aに対向した光学素子2の第2曲面2Bへ到達し、集束波面変換され光学スケール3の第1領域3aへ入射し、複数の光束(ここでは3つの光束)に回折し、偏向されて凹面ミラー4面上もしくはその近傍で集光する。その後凹面ミラー4にて反射した光束は発散光束にて再び光学スケール3の第2領域3bに入射し、光学素子2の第3曲面2Cへ到達する。ここで発散光束は第3曲面2Cにより略平行光束となって光学素子2部材内を進行し、受光素子5cの受光部の中心位置と第4曲面2Dの曲率中心とを結んだ線(第2の軸、以下法線Pnという)を、回転対称軸とする(曲面が非球面等の場合は第2の軸はそれの回転対称軸であり、この場合この軸上に発中心がある)第4曲面2Dへ入射し、この曲面にて集束光束へ変換されて3つの光束のうち1つの光束は受光素子5cへ入射する。
【0085】
一方、凹面ミラー4で反射後、光学スケール3のV溝格子の偏向作用により3方向に偏向される光束のうち、2つの光束は第3曲面2C及び第4曲面2Dによりそれぞれ集光されて各受光素子5a,5bへ入射する。
【0086】
このとき、光学素子2の第2曲面2Bと第3曲面2Cは図23(B)に示すように同一回転対称軸を有した異なる回転対称曲面で形成している。第2曲面2B、第3曲面2Cが共有する回転対称面の回転対称軸Mnは法線Ln,Pnと同一平面内に存在し、法線Lnと回転対称面Mnは一致して配置される。また、このとき凹面ミラー4の曲率中心は法線Ln及び法線Pnを含む平面内に配置されている。
【0087】
これらの条件を満たす第1〜第4曲面2A〜2Dを一体的に形成した光学素子2により、ロータリー型エンコーダの光学配置として、最適な状態に構成することが可能となり小型で部品点数の最も少ない変位情報検出装置を達成している。
【0088】
尚、図31は本実施形態において光学素子2の各曲面2A〜2Dの曲率を適切に設定して光源1と受光部5が同一平面上に位置するようにしたときの模式図である。
【0089】
図13は本発明の実施形態2の要部概略図である。本実施形態は図1〜図12に示した実施形態1に比べて、
光源1からの光束をレンズ系2によって平行光束として光学スケール3の第1領域3aに入射させていること。
【0090】
・光学スケール3の第1領域3aからの0次光と±n次回折光を凹面ミラー4によってその焦点位置4cに集光した後に発散光として光学スケール3の第2領域3bに入射させて、その面上に干渉縞を形成していること。
の点が異なっているだけであり、その他の構成は同じである。
【0091】
即ち本実施形態では図13に示すように、光照射手段1からの光束をレンズ系で平行光束として放射状のV溝を一定周期に配設した格子部を円板上の周上に設けた回転可能な光学スケール3上の第1領域3aに入射させ、第1領域3aの格子部で回折した回折光を凹面ミラー4で反射させ焦点位置4cに集光させた後に発散光として光学スケールの第2領域3bに入射させ、第2領域3bの格子部を介した光束を受光手段5で受光することにより、該光学スケール3の変位情報を検出している。
【0092】
このとき第1領域3aと第2領域3bは該光学スケール3の回転軸3eの半径方向に対して異なった領域に位置しており、凹面ミラー4は該光学スケール3の第1領域3aを第2領域3bに偏心系で結像している。
【0093】
図14は本発明の実施形態3の要部概略図である。本実施形態は図1〜図12に示した実施形態1に比べて、
光源1からの光束をレンズ系2によって集光させて光学スケール3の第1領域3aに入射させるとき凹面ミラー4の焦点位置4cに集光するようにしていること。
【0094】
・光学スケール3の第1領域3aからの回折光が焦点位置4cで集光した後に、発散光となって凹面ミラー4で反射した後に平行光束となって光学スケール3の第2領域3bに入射して、その面上に干渉縞を形成していること。
の点が異なっているだけであり、その他の構成は同じである。
【0095】
即ち本実施形態では図14に示すように、光照射手段1からの光束をレンズ系2で集光して放射状のV溝を一定周期に配設した格子部を円板上の周上に設けた回転可能な光学スケール3上の第1領域3aに入射させ、第1領域3aの格子部で回折した回折光を凹面ミラー4の焦点位置4cに集光した後に発散光束として凹面ミラー4で反射させて平行光束とした後に光学スケール3の第2領域3bに入射させ、該第2領域3bの格子部を介した光束を受光手段5で受光することにより、光学スケール3の変位情報を検出している。
【0096】
このとき、第1領域3aと第2領域3bは該光学スケール3の回転軸3eの半径方向に対して異なった領域に位置しており、凹面ミラー4は光学スケール3の第1領域3aを第2領域3bに偏心系で結像している。
【0097】
図15は本発明の実施形態4の要部概略図、図16は図15の一部分の拡大斜視図である。本実施形態は図1〜図12に示した実施形態1に比べて、
光源1からの光束をレンズ系2によって平行光束として光学スケール3の第1領域3aに入射させていること。
・第1領域3aの格子部で回折された0次光と±n次回折光の平行光を各々平面ミラー41,42,43で反射させて、光学スケール3の第2領域3に入射させて、その面上に干渉縞を形成していること。
の点が異なっているだけであり、その他の構成は同じである。
【0098】
即ち本実施形態では図15,図16に示すように、光照射手段1からの光束をレンズ系2で平行光束101として直線状のV溝を一定周期に配設した格子部を基板上に設けた移動可能な光学スケール3上の第1領域3aに入射させ、第1領域3aの格子部で回折した0次光L(0)と±n次(n=1)回折光L(+),L(−1)の平行光を平面ミラー41,42,43で各々反射させて光学スケール3の第2領域3bに入射させ、第2領域3bの格子部を介した光束を受光手段5で受光することにより、光学スケール3の変位情報を検出している。
【0099】
ここで第1領域3aと第2領域3bは該光学スケール3の回転軸3eの半径方向に対して異なった領域に位置している。
【0100】
尚、本実施形態において光学スケール3の第1領域を透過した回折光は、3光束以上であっても良い。
【0101】
以上説明した各実施形態1〜4では、変位情報検出装置としてロータリーエンコーダを対象とし、光学スケール3として放射状の格子を用いた場合について説明した。
【0102】
次に、変位情報検出装置としてリニアエンコーダを用いた場合について説明する。
【0103】
図17は本発明の変位情報検出装置の実施形態5の主要部分の概略図である。本実施形態は図1〜図12に示した実施形態1のロータリーエンコーダで用いた放射状格子よりなる光学スケール3の代わりに移動方向506に等間隔でV溝を配置したリニア型の光学スケール503を用いている。そして、それに伴って、・光学スケール503の第1領域503aと第2領域503bは該光学スケール503の移動方向506に対して直交する方向の異なった領域(一部重なっても良い)に位置していること。
・光学スケール503の第1領域503aの格子部からの0次回折光、±n次回折光は該凹面ミラー504の面またはその近傍に集光しており、該凹面ミラー504は該光学スケール503の第1領域503aを第2領域503bに同心系で等倍に結像していること。
の点が大きく異なっており、その他の基本構成は実施形態1とほぼ同じである。
【0104】
本実施形態は光束の配光を必要とする光学素子として、4つの曲面より成る複眼光学素子502を用いている。即ち、本実施形態では、
・光学スケール503への光源1からの光束の光照射手段としてのレンズ系
・V溝格子等の波面分割素子により分離偏向された光束を複数の受光素子5a,5b,5cへ各々導くためのレンズ系を一体的に形成し、製造される複眼光学素子(光学素子)502を用いている。
【0105】
次に、その複眼光学素子502を用いたリニア型の変位情報検出装置(リニアエンコーダ)について説明する。まず、以下説明に当たりここで座標系を設定する。
【0106】
図17において、
・光学スケール503の移動方向506をX軸
・光学スケール503の面の法線方向をZ軸
・その他の軸をY軸
と定義する。
【0107】
図18は図17で示した変位情報検出装置(リニアエンコーダ)の光学配置において本発明に係る複眼光学素子502を説明するための図であり、複眼光学素子502を含むYZ断面図を示している。図19(A),(B)は図18の主要部分のYZ断面とXY断面の拡大図であり、同じく図20,図21はそれぞれXZ断面を光源1を含む断面と受光部5を含む断面を表している。
【0108】
次に、図17〜図21を用いて光学素子502の面構成、及び光源1から発した光束が受光部5へ到達するまでの光線の経路について説明する。
【0109】
LEDや半導体レーザ等の光源1から発した発散光束は、発光素子1aの発光中心に立てた法線Ln(図19,図20参照)を回転対称軸とする(非球面等の場合は前述同様)光学素子502の第1曲面502Aにより理想的な平行光束に変換され光学素子502の部材内を進行し、光学素子502の第2曲面502Bへ到達し、集束波面変換され光学スケール503の第1領域503aへ入射する。第1領域503aで回折された複数の光(ここでは3つ)は凹面ミラー504面上もしくはその近傍で集光する。その後、凹面ミラー504にて反射した光束(3つの回折光)は発散光束にて再び光学スケール503の第2領域503bに入射し、光学素子502の第3曲面502Cへ到達する。
【0110】
図32は本実施形態5のリニア型のエンコーダにおける光学スケール503の光照射領域503a,503bを示している。506は光学スケール503の移動方向である。このとき、3つの光束のうち1つの発散光束は第3曲面502Cにより集光され略平行光束となって光学素子502の部材内を進行し、受光素子5cの受光部中心位置に立てた法線Pn(図19,図20参照)を回転対称軸とする(非球面等の場合は前述同様)第4曲面502Dへ入射し、この第4曲面502Dにて集束光束へ変換され受光部5cへ入射する。
【0111】
一方、凹面ミラー504で反射後、光学スケール503のV溝格子の偏向作用により3方向に偏向される光束のうち、2つの光束は図21に示すように第3曲面502C及び第4曲面502Dにより夫々集光されて各受光素子5a,5bへ入射する。図34は実施形態の光学スケール503の直線平行格子条と光源1、受光部5a,5b,5cの位置関係を表した説明図である。
【0112】
本実施形態では図19(B)に示すように光学素子502の第2曲面502Bと第3曲面502Cは同一の回転対称曲面であり、その異なる一部分を用いて形成される。第2曲面502B、第3曲面502Cが共有する回転対称面の回転対称軸Mn(図19参照)は、法線Ln,Pnと同一平面内に存在し、法線Ln,Pnから等距離に配置されている。また、このとき、凹面ミラー504の曲率中心は回転対称軸Mn上に配置されている。
【0113】
本実施形態では、これらの条件を満たす第1〜第4曲面502A〜502Dを一体的に形成した光学素子502により、リニア型のエンコーダの光学配置として、最適な構成とすることが可能となり、特に、小型で部品点数の少ない変位情報検出装置を達成している。
【0114】
次に本実施形態における光学スケール(移動体)503の移動情報の検出方法について説明する。光照射手段の一要素であるLED1からの光束をレンズ系(光学素子)2により凹面ミラー面上504の反射面又はその近傍に集光するようにしている。この集束光を光学スケール503の格子部上の第1領域503aに入射させる。第1領域503aに入射した集束光のうち図6に示す格子部の平面部に到達した光線は該平面部を通過して凹面ミラー504に進み、その面上に結像する。またV溝を構成する傾斜面に到達した光線は、傾斜面の傾斜角が臨界角以上に設定されている為、図に示すように全反射してV溝を構成する他方の傾斜面に向けられ、他方の傾斜面においても全反射する。
【0115】
これによって最終的に格子部の傾斜面へ到達した光線は、凹面ミラーに進入することなく、入射方向に戻されることになる。同様にV溝を構成する他方の傾斜面に到達した光線も全反射を繰り返して戻される。従って第1領域503aにおいてV溝を形成する2つの傾斜面の範囲に到達する光束は、凹面ミラーに進入することなく反射され、平面部に到達した光線のみが光学スケール503を進み、凹面ミラー504に進むことになる。
【0116】
即ち、第1領域503aにおいてV溝型の格子部は透過型の振幅回折格子と同様の光学作用を有する。この第1領域503aの格子部で光束は回折され、格子部の作用により0次,±1次,±2次‥‥の回折光が生じ、凹面ミラー4の面上にその回折光が集光する。集光した回折光は、軸Mnに対して対称に反射し、光学スケール503の第2領域503b部で再結像し、光学スケール503面上に等倍の像を再結像させる。
【0117】
ここで第1領域503aと第2領域503bは光学スケール503面の移動方向と直交する直線状格子の格子部に対して異なった(一部が重複していても良い)領域である。このとき、光学スケール503は直線状の格子部を有するため、第1領域503aと第2領域503bの格子ピッチは同じである。
【0118】
本実施形態では、光学スケール503上の第2領域503bに第1領域503aの格子部を等倍投影し、光学スケール503の格子部のピッチと同様の像(反転像)を形成するようにしている。そのために本実施形態では凹面ミラー504を所望の曲率半径Rに設定し、入射光束の主光線と再入射光束の主光線が軸Mnに対して対称となるようにしている。
【0119】
これによって第1領域503aの格子部の像が凹面ミラー504によって第2領域503b面上に再結像するとき放射状格子の一部のピッチが合致するようにしてS/N比の良い検出信号を得ている。
【0120】
第2領域503bにおいて平面部に入射した光束は、図6(B)に示すように直線透過し、受光手段5の中央部のフォトディテクタ5cに到着する。また、V溝面を形成する2つの傾斜面に到達した光線は、各々の面に45°の入射角を持って入射するため、それぞれ異なる方向に大きく屈折して受光手段5の両側のフォトディテクタ5a及び5bに到達する。
【0121】
このように第2領域503bにおいて、入射光束に対して異なる方向に傾斜した2つの傾斜面及びV溝の間の平面部の合計3種の傾き方向の異なる面により、光束は3つの方向に別れて進み、各々の面に対応した位置に設けられた各フォトディテクタ5a,5b,5cに到達する。即ち第2領域503bにおいてV溝の格子部は光波波面分割素子として機能する。
【0122】
即ち第2領域503bの格子部と、その面上に結像した干渉パターン像との位相関係に基づく光束が3方向に偏向され、各フォトディテクタ5a,5b,5cに入射している。
【0123】
ここで光学スケール503が移動すると、各フォトディテクタ5a,5b,5cで検出される光量が変化する。格子部の位置と像の位置の相対的変位に応じ、各フォトディテクタに入射する光量バランスが変化し、その結果、光学スケール503が移動方向506方向に移動したとすると、図6(C)に示すような光学スケール503の移動に伴う光量変化が得られる。
【0124】
図6に示す信号a,b,cはそれぞれフォトディテクタ5a,5b,5cに対応している。尚、逆に光学スケール503が逆方向に移動した場合は、信号aはフォトディテクタ5b、信号bはフォトディテクタ5a、信号cはフォトディテクタ5cの出力となる。これらの信号を基に光学スケール503の移動速度や移動方向等の移動情報を得ている。
【0125】
次に、本実施形態5の光学素子の光学作用を別の図により説明する。
【0126】
図24,図25は図17のリニア型のエンコーダの光学配置を展開した等価光学系を示す概略図であり、特に、光学スケール503として位相差検出機能を持たない一般的な振幅型回折格子を用いた場合のXZ断面とYZ断面について示している。変位情報検出原理は同じである。ここで、光学スケールとして位相型格子でも適用可能である。
【0127】
又、図26、図27は光学スケール503としてV溝型の光学スケールを用いた場合のXZ断面とYZ断面を示している。変位情報検出原理は実施形態5と同じである。
【0128】
図28は図26の凹面ミラー504で反射される光路を示す為に一点鎖線Mにて光学系を折り返すことで得られるXZ断面の等価光学系を示し、図29は同様に図27の凹面ミラー504で折り返した側面図(YZ断面)である。
【0129】
図30は、光源1と受光部5が同一平面にない図29の状態から曲面502Dを最適化し、光源1と受光部5が同一平面に位置するようにしたものであり、図29と同等の配置となっている。
【0130】
尚、本発明の複眼光学素子は変位情報の検出装置への適応のみならず、各種センサー用の投光、及び受光用の光学素子として幅広く応用可能である。
【0131】
図38及び図39は、図18及び図1で示した光学素子502及び2を被検物体600の反射率測定用の光学素子として利用した場合の概略図である。同図において、測定対象600(700)に光源1からの光束を曲面502A,502B(2A,2B)を介して照射し、測定対象600(700)からの反射光を曲面502C,502D(2C,2D)を介して受光部5で受光している。これによって測定対象600(700)の表面反射率を測定している。
【0132】
この他、光学素子は図38,図39と略同様の配置により、チルトセンサーとしても利用可能である。その他、カラートナーセンサー(感光体ドラム上のトナー濃度測定)、ドップラー速度センサー用の光学素子としても利用可能である。
【0133】
【発明の効果】
【0135】
発明によれば以上のように、光源からの光束を変位物体に固定した光学スケールに入射させるときの光学スケールへの入射及び光学スケールからの回折光を該光学スケールへの再入射させるときの再入射条件等を適切に設定することによって各部材の配置上の空間を少なくすると共に装置全体の簡素化を図りつつ、又各部材の配置上の誤差を防止しつつ変位物体の変位情報を高精度に検出することができるロータリーエンコーダやリニアエンコーダー等に好適な変位情報検出装置を達成することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施形態1の一部分の要部斜視図
【図2】 本発明の実施形態1の一部分の要部斜視図
【図3】 本発明の実施形態1の一部分の要部断面図
【図4】 本発明の実施形態1の一部分の光学スケールと凹面ミラーとの説明図
【図5】 本発明の実施形態1の一部分の光学スケールの説明図
【図6】 本発明の実施形態1の一部分の光学スケールの格子部と受光手段からの信号の説明図
【図7】 本発明の実施形態1の光学スケール上の再結像した像の説明図
【図8】 本発明の実施形態1における凹面ミラーの偏心量に対するスケールピッチと重ね合わせピッチの説明図
【図9】 本発明の実施形態1における凹面ミラーの偏心量に対するスケールピッチと重ね合わせピッチの説明図
【図10】 本発明の実施形態1の一部分の要部断面図
【図11】 本発明の実施形態1における光学スケールへの光束の入射状態を示す他の実施形態の説明図
【図12】 本発明の実施形態1における光学スケールへの光束の入射状態を示す他の実施形態の説明図
【図13】 本発明の実施形態2の一部分の要部断面図
【図14】 本発明の実施形態3の一部分の要部断面図
【図15】 本発明の実施形態4の一部分の要部断面図
【図16】 図15の一部分の拡大斜視図
【図17】 本発明の実施形態5の要部斜視図
【図18】 本発明の実施形態5の要部断面図
【図19】 本発明の実施形態5の要部断面図 詳細図(YZ断面)
【図20】 本発明の実施形態5の要部断面図 詳細図(XZ断面)光源部含む断面図
【図21】 本発明の実施形態5の要部断面図 詳細図(XZ断面)受光部含む断面図
【図22】 本発明の実施形態1の要部断面図
【図23】 本発明の実施形態1の要部断面図 詳細図(YZ断面)
【図24】 図17の等価光学系(一般振幅型光学スケールの場合)
【図25】 図17の等価光学系 図24の側面図
【図26】 図17の等価光学系(V溝型光学スケールの場合)
【図27】 図17の等価光学系 図26の側面図
【図28】 図26の折り返し面 Mでの折り返し後 等価光学系
【図29】 図27の等価光学系 図28の側面図
【図30】 光源1と受光部5が同一平面にない図1の状態から曲面502Dを最適化し同一平面に並べたもの
【図31】 光源1と受光部5が同一平面にない図1の状態から曲面502Dを最適化し同一平面に並べたもの
【図32】 図17のリニア型エンコーダにおける光照射領域503a,503b
【図33】 図1のロータリー型エンコーダにおける光照射領域3a,3b
【図34】 図17の光学スケール503の直線平行格子条と光源1、受光部5a,5b,5cの位置関係を表した図
【図35】 図1の光学スケール2の放射状格子条と光源1、受光部5a,5b,5cの位置関係を表した図
【図36】 図12の光学スケール2の放射状格子条と光源1、受光部5a,5b,5cの位置関係を表した別の図
【図37】 図41の従来例における光源1、受光部の位置関係を示した図
【図38】 本発明の光学素子としての応用例の図
【図39】 本発明の光学素子としての応用例の図
【図40】 従来のエンコーダの要部概略図
【図41】 従来のエンコーダの要部概略図
【図42】 従来のエンコーダの要部概略図
【符号の説明】
1,301 光源
2,310,311b,311a,313,315,316レンズ系
2A 第1曲面
2B 第2曲面
2C 第3曲面
2D 第4曲面
502A 第1曲面
502B 第2曲面
502C 第3曲面
502D 第4曲面
3,503,319光学スケール
3a,503a,304第1領域
3b,503b,306第2領域
3c,31c基板
3d,21d格子部
3e 回転軸
4,504,320凹面ミラー
4a 光軸
5 受光手段
6 回転方向
506 移動方向
101,102入射光束
101a,102a主光線
103 信号処理回路

Claims (1)

  1. 一定の周期で配設された格子部が基板に設けられており、前記格子部が配設された方向であって前記格子部が配設された面に垂直な軸を中心回転可能な光学スケールと、
    前記光学スケールに光束を照射する光照射手段と、
    前記格子部の第1領域を透過し回折した前記光束を反射する反射素子と、
    前記反射素子で反射し、前記格子部の第2領域に結像した前記光束を受光する受光手段と、
    前記光学スケールと前記光照射手段及び前記受光手段との間に配置され、前記光照射手段から照射された前記光束を集光し、かつ前記反射素子で反射し、前記格子部の第2領域に結像した前記光束を集光する光学素子とを有し、前記光学スケールの回転方向の変位を検出する変位情報検出装置において、
    前記光学素子は、
    前記光照射手段から照射された前記光束を平行光束にする第1の曲面と、
    前記第1の曲面に対向し、前記平行光束を集束光束にする第2の曲面と、
    前記反射素子で反射し、前記格子部の前記第2領域に結像した光束を平行光束にする、前記第2の曲面とは異なる第3の曲面と、
    前記第3の曲面に対向し、前記第3の曲面を透過した前記平行光束を集束光束にする、前記第1の曲面とは異なる第4の曲面と、を有し、
    前記光照射手段を構成する光源の発光中心は前記第1、第2及び第3の曲面の回転対称軸にあり、前記受光手段の受光中心は前記光学スケールの回転中心に対して前記第1、第2及び第3の曲面の回転対称軸よりも遠い前記第4の曲面の回転対称軸にあり、該2つの回転対称軸は略平行であり、
    前記格子部は、前記反射素子側の面に平坦部とV溝部が交互に周期的に形成された構造からなる格子部であり、前記受光手段は、前記格子部によって波面分割された複数の光束をそれぞれ受光する複数の受光素子を含み、
    前記反射素子は、前記格子部の前記第1領域で回折した0次光と±n次回折光を反射させる凹面ミラーであり、前記第1領域からの0次光と±n次回折光は前記凹面ミラーの光軸から偏心した位置に集光し、前記格子部の第1領域の像を第2領域に拡大結像することを特徴とする変位情報検出装置。
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