JP4136059B2 - 変位情報検出装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は変位情報検出装置に関し、特に変位物体(光学スケール)に光を照射した際に発生する回折を利用して変位物体の回転情報や移動等の変位情報の物理量を高精度に求めることのできるロータリーエンコーダ等に好適なものである。
【0002】
【従来の技術】
従来よりNC工作機械等には物体(変位物体)の移動量,回転量等の変位情報を検出する為の変位情報検出装置としてロータリーエンコーダやリニアエンコーダ(以下「エンコーダ」という。)が使用されている。
【0003】
特にエンコーダは簡易な構成でありながら高精度で角度変位量や移動量等を検出できるので工作機械や計測装置に広く使用されている。
【0004】
図17は特公昭36−11793号公報で提案されているエンコーダの要部概略図である。同図において光源201からの光束は、基板202に設けた開口202aを通過した後にレンズ系203で略平行光束として放射格子(直線状格子)を設けた変位物体としての光学スケール204の第1領域204aに入射している。
【0005】
光学スケール204の第1領域204aの格子で回折した±n次の回折光はレンズ系205,コーナーキューブ206、そしてレンズ系207を介して光学スケール204の第2領域204bに導光され、その面上に干渉パターンを形成する。第2領域204bを通過した干渉パターンに基づく光束をレンズ系208で集光して受光素子209で検出している。
【0006】
このとき光学スケール204が矢印204cの方向に移動すると、光学スケール204上に形成される干渉パターンは逆方向に変位するので受光素子209では格子分解能(格子ピッチ)の2倍の周期の信号が得られる。
【0007】
同図に示すエンコーダは受光素子209で得られる周期信号を利用して光学スケール204の変位情報を得ている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
図17に示すエンコーダでは光源201からの光束の光学スケール204への入射領域(第1領域204a)と光学スケール204で回折した回折光束を光学部材205,206,207を介して該光学スケール204へ再入射させるときの再入射領域(第2領域204b)が光学スケール204上の変位方向204cに位置するように設定している。
【0009】
この為、特にロータリーエンコーダに応用しようとすると、光源,複数のレンズ系,そして受光素子等の各要素の配置に大きな空間を必要とし、又光学スケールからの回折光を該光学スケールに再入射させる為に多くの光学部材を必要とし、装置全体が複雑化及び大型化する傾向があった。
【0010】
この他光学スケールに対して略垂直に入出射する光束(回折光)を用いている為に受光素子の左右に射出する回折光が迷光となりやすく、装置全体の小型化,簡素化を図りつつ、高精度の変位情報を得るのが難しいという問題点があった。
又、光学スケールと複数のレンズ系との間隔が設計値よりずれていると(ギャップ変化があると)受光手段で得られる信号のS/N比が低下してくるという問題点があった。特にこのギャップの設計値からの許容値は格子ピッチが微細化してくるにつれて厳しいものとなってくる。
【0011】
本発明は、装置全体の簡素化を図りつつ回転変位を高精度に検出するロータリーエンコーダに好適な変位情報検出装置の提供を第1の目的とする。
【0012】
各部材の配置上の空間を少なくすると共に装置全体の簡素化を図りつつ、又各部材の配置上の許容誤差を緩和しつつ変位物体の変位情報を高精度に検出するロータリーエンコーダに好適な変位情報検出装置の提供を第2の目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】
請求項1の発明の変位情報検出装置は、平坦部位とV溝形状部位の周期的な構造からなる格子部を有する相対変位可能なスケール手段と、
前記格子部は、一方の面から光束が入射されたときに振幅格子として作用する第1領域と、
前記第1領域に対してその変位方向に略垂直な方向に配置され、前記第1領域の格子幅とは異なる格子幅を有し、前記第1領域と同一方向に変位し、他方の面から光束が入射されたときに波面分割を実行する第2領域を有し、
前記第1領域の一方の面に、該第1の領域と該第2の領域との光路の間で収束する光束を投光するための光照射手段と、
前記第1領域を透過し、回折した光束を反射し、他方の面から前記第2領域に入射させ前記第2領域にスケール手段の移動方向とは逆の方向に移動する干渉パターンを得るための反射手段と、
前記第2領域に入射し、前記格子部の平坦部位とV溝形状部位の作用により波面分割された複数の光束を各々受光し、前記スケール手段の相対変位情報を得る為の受光素子と、を有することを特徴としている。
【0014】
請求項2の発明は、請求項1の発明において、前記スケール手段との間の相対変位情報は相対的回転変位情報であることを特徴としている。
【0015】
請求項3の発明は、請求項1の発明において、前記反射手段は凹面ミラーであることを特徴としている。
【0016】
請求項4の発明は、請求項3の発明において、前記光照射手段からの光束を集光性の光束とする為のレンズ系を有し、前記第1領域からの±n次回折光は前記凹面ミラーの面又はその近傍に集光しており、該凹面ミラーは前記格子部の第1領域を第2領域に等倍で結像していることを特徴としている。
【0017】
請求項5の発明は、請求項4の発明において、前記±n次回折光の複数の回折光は、前記凹面ミラーで反射して前記格子部の第2領域で重ね合わされて干渉パターンを形成していることを特徴としている。
【0018】
請求項6の発明は、請求項4又は5の発明において、前記スケール手段の一部は前記凹面ミラーの曲率中心に位置していることを特徴としている。
【0030】
【発明の実施の形態】
図1,図2は本発明の実施形態1の一部分の要部斜視図、図3は本発明の実施形態1の一部分の要部断面図、図4は本発明の実施形態1の一部分の光学スケールと凹面ミラーとの説明図、図5は本発明の実施形態1の一部分の光学スケールの説明図、図6は本発明の実施形態1の一部分の光学スケールの格子部と受光手段からの信号の説明図、図7は本発明の実施形態1の光学スケール上の再結像した像の説明図、図8は本発明の実施形態1における凹面ミラーの偏心量に対するスケールピッチと重ね合わせピッチの説明図、図9は本発明の実施形態1における凹面ミラーの偏心量に対するスケールピッチと重ね合わせピッチの説明図、図10は本発明の実施形態1の一部分の要部断面図、図11は本発明の実施形態1における光学スケールへの光束の入射状態を示す他の実施形態の説明図、図12は本発明の実施形態1における光学スケールへの光束の入射状態を示す他の実施形態の説明図である。
【0031】
図中1は光源であり、例えばLEDや半導体レーザで構成し、波長λ(632.8nm)の可干渉性光束を発している。2はレンズ系であり、球面レンズ又は非球面レンズより成り、光源1からの光束を集光して、後述する光学スケール3に導光している。
【0032】
光源1とレンズ系2等は光照射手段LRの一要素を構成している。3は位相差検出機能と振幅型の回折格子機能とを有する光学スケールであり、図5,図6に示すように円板状の基板3cの表面上に一定周期の複数の放射状格子(スリット数2500又は5000のV溝格子)より成る格子部3dを設けて構成している。光学スケール3の基板3cは透孔性の光学材料、例えばポリカーボやプラスチックより成り、回転体(不図示)の一部に取り付けており、回転体と一体的に回転軸3eを中心に矢印6方向に回転している。
【0033】
図6(A),(B)は光学スケール3の格子部3dの詳細図であり、V溝部を構成する2つの傾斜面30b−1,30b−2と1つの平面部30aが所定のピッチPで交互に配列されて格子部3dを形成している。V溝幅は(1/2)P、又V溝を形成する2つの傾斜面30b−1,30b−2は各々(1/4)Pの幅を有し、各々の傾斜面30b−1,30b−2はV溝の底部と平坦部30aの垂線とを結ぶ直線に対し各々臨界角以上、本実施形態ではθ=45°で傾いている。
【0034】
本実施形態では光学スケール3からの回折光のうち0次回折光と±1次回折光の3つの光束を利用している。ここで、この格子部3dのV溝は光学スケール3に対して放射状に構成されている為、光学スケール3の内周側と外周側ではピッチが異なっている。ここでピッチとは周方向の平坦部30aの幅と2つの傾斜面30b−1,30b−2の幅との合計した値をいう。
【0035】
本実施形態では光学スケール3の材質をポリカーボやプラスチックとし、射出成形もしくは圧縮成形当の製法によって作成している。4は凹面ミラーであり、球面ミラー,楕円ミラー,放物ミラー,非球面ミラー等から成っている。凹面ミラー4は格子部3dのフーリエ変換面に一致している。
【0036】
本実施形態では図3,図4に示すようにレンズ系2で集光され、光学スケール3の第1領域3aに入射した光束101が光学スケール3の格子部で回折し、このときn次の回折光(0次と±1次の回折光L(0),L(+1),L(−1))が凹面ミラー4の面4b又はその近傍(凹面ミラー4の瞳位置又はその近傍)に集光するように各要素を設定している。
【0037】
凹面ミラー4の光軸4aと入射光束101の中心光線(主光線)101aは図4に示すように偏心量Δだけ偏心している。凹面ミラー4は光学スケール3で回折し、集光してきた収束光束(3つの回折光束L(0),L(+1),L(−1))を反射させ、光学スケール3面上の第2領域3bに図7に示すような3つの回折光に基づく干渉パターン像(像)を再結像させている。このとき光学スケール3が回転方向6に移動すると再結像した像は回転方向6とは反対の方向に移動する。即ち、格子部と干渉パターン像は相対的に光学スケール3の移動量の2倍の値で相対変位する。
【0038】
本実施形態ではこれにより光学スケール3に構成されている格子部の2倍の分解能の回転情報を得ている。
【0039】
5は受光手段であり、光学スケール3の格子部3dの第2領域3b近傍に形成した図7に示すような干渉パターンと格子部のV溝との位相関係に基づく光束が第2領域3bで幾何学的に屈折され、射出した3つの光束を各々受光する為の3つのフォトディテクタ(受光素子)5a,5b,5cを有している。この受光手段5からの信号をパルスカウント回路や回転方向の判別回路を有する信号処理回路103によって処理し、これより回転情報を得ている。尚、光源1,レンズ系2,そして受光手段5は筐体PK内に固定保持されている。
【0040】
次に本実施形態における光学スケール(回転体)3の回転情報の検出方法について説明する。光照射手段の一要素であるLED1からの光束をレンズ系2により凹面ミラー面上4の反射面4b又はその近傍に集光するようにしている。この収束光を図3,図4に示すように光学スケール3の格子部3d上の第1領域3aに入射させる。第1領域3aに入射した収束光のうち図6に示す格子部3dの平面部30aに到達した光線は該平面部30aを通過して凹面ミラー4に進み、その面上に結像する。またV溝を構成する傾斜面30b−1に到達した光線は、傾斜面30b−1の傾斜角が臨界角以上に設定されている為、図6に示すように全反射してV溝を構成する他方の傾斜面30b−2に向けられ、傾斜面30b−2においても全反射する。
【0041】
このように最終的に格子部3dの傾斜面30b−1へ到達した光線は、凹面ミラーに進入することなく、入射方向に戻されることになる。同様にV溝を構成する他方の傾斜面30b−2に到達した光線も全反射を繰り返して戻される。従って第1領域3aにおいてV溝を形成する2つの傾斜面30b−1,30b−2の範囲に到達する光束は、光学スケール3内に進入することなく反射され、平面部30aに到達した光線のみが光学スケール3を進むことになる。
【0042】
即ち、第1領域3aにおいてV溝型の格子部3dは透過型の振幅回折格子と同様の光学作用を有する。この第1領域3aの格子部3dで光束は回折され、格子部の作用により0次,±1次,±2次‥‥の回折光が生じ、凹面ミラー4の面上にその回折光が集光する。集光した回折光は、主光線101aに対して偏芯している凹面ミラー4によって反射し、光学スケール3の第2領域3b部で再結像し、光学スケール3面上に像(放射状の溝の像)を再結像する。
【0043】
ここで第1領域3aと第2領域3bは光学スケール3面の放射状格子の格子部3dに対して半径方向に異なった(一部が重複していても良い)領域である。このとき、光学スケール3は放射状の格子部3dを有するため、第1領域3aと第2領域3bの格子ピッチが異なる。さらに、第2領域3bの照射領域においても光学スケール3の内周側と外周側のピッチが異なっている。
【0044】
そこで本実施形態では、格子部3d上の第2領域3bに第1領域3aの格子部を拡大投影し、光学スケール3の放射状の格子部3dのピッチと同様の像(反転像)を形成するようにしている。そのために本実施形態では凹面ミラー4を所望の曲率半径Rに設定し、入射光束の主光線101aに対して偏心配置するとともに入射光軸に対するずれ量Δも最適な値にしている。
【0045】
これによって第1領域3aの格子部の像が凹面ミラー4によって第2領域3b面上に再結像するとき放射状格子の一部のピッチが合致するようにしてS/N比の良い検出信号を得ている。
【0046】
第2領域3bにおいて平面部30aに入射した光束は、図6(B)に示すように直線透過し、受光手段5の中央部のフォトディテクタ5cに到着する。また、V溝面を形成する2つの傾斜面30b−1及び30b−2に到達した光線は、各々の面に45°の入射角を持って入射するため、それぞれ異なる方向に大きく屈折して受光手段5の両側のフォトディテクタ5a及び5bに到達する。
【0047】
このように第2領域3bにおいて、入射光束に対して異なる方向に傾斜した2つの傾斜面30b−1,30b−2及びV溝の間の平面部30aの合計3種の傾き方向の異なる面により、光束は3つの方向に別れて進み、各々の面に対応した位置に設けられた各フォトディテクタ5a,5b,5cに到達する。即ち第2領域3bにおいてV溝の格子部3dは光波波面分割素子として機能する。
【0048】
即ち第2領域3bの格子部と、その面上に結像した干渉パターン像との位相関係に基づく光束が3方向に偏向され、各フォトディテクタ5a,5b,5cに入射している。
【0049】
ここで光学スケール3が回転すると、各フォトディテクタ5a,5b,5cで検出される光量が変化する。格子部3dの位置と像の位置の相対的変位に応じ、各フォトディテクタに入射する光量バランスが変化し、その結果、光学スケール3が反時計廻りに回転したとすると、図6(C)に示すような光学スケール3の回転に伴う光量変化が得られる。ここで横軸は光学スケール3の回転量、縦軸は受光光量である。
【0050】
信号a,b,cはそれぞれフォトディテクタ5a,5b,5cに対応している。尚、逆に光学スケール3が時計廻りに回転した場合は、信号aはフォトディテクタ5b、信号bはフォトディテクタ5a、信号cはフォトディテクタ5cの出力となる。これらの信号を基に光学スケール3の回転角度や回転量あるいは回転速度や回転加速度等の回転情報を得ている。
【0051】
尚、図6(C)は第2領域3bに形成される像のコントラストが非常に高く理想に近い場合の理論的な光量変化の様子を示している。
【0052】
図8,図9は本実施形態において光学スケール3上の格子部として1周当り2500パルス(2500P/R)と5000パルス(5000P/R)のとき、光学スケール3の第1領域3aに入射する光束101の主光線101aが凹面ミラー4で反射して第2領域3bに入射するときの凹面ミラー4の光軸4aに対してΔだけ偏心したとき(偏心量Δのとき)の第2領域3bでの入射主光線からの距離に対する格子部のスケールピッチを示している。
【0053】
又偏心量Δのときに凹面ミラー4によって第1領域3aの格子部が第2領域3bに形成されるときの格子部の像の入射主光線からの距離に対する重ね合わせピッチを示している。
【0054】
図8,図9に示すように偏心量ΔがΔ:0.62(nm)のとき第2領域3bの入射主光線からの距離が1.8mm近傍でスケールピッチと重ね合わせピッチが略一致している。
【0055】
本実施形態では入射主光線101aからの距離が1.8mm近傍の領域を利用している。
【0056】
本実施形態ではレンズ系2によって光源1と凹面ミラー4の反射面4bとが略共役関係となるようにし、光学スケール3からの±n次回折光が凹面ミラー4の反射面4b上又はその近傍に集光するようにしている。又光学スケール3の一部が凹面ミラー4の曲率中心に合致するようにしている。
【0057】
これによって光学スケール3と凹面ミラー4との間隔(ギャップ)が多少設定値から変位しても受光手段5で得られる変位情報の誤差を少なくしている。即ち、ギャップ特性の許容値を緩和させている。
【0058】
図10(A),(B)は光学スケール3と凹面ミラー4とのギャップに誤差があったときの入射光と反射光の説明図である。
【0059】
図10(A)のように光学スケール3が凹面ミラー4の曲率半径の位置、即ちベストギャップの位置にある場合は、V溝によって回折した回折光が凹面ミラー4で反射して光学スケール面3の面上に集光するため、干渉縞のコントスラトが最大値を示す。
【0060】
しかし、図10(B)のように光学スケール3がベストギャップの位置からずれた場合には、光学スケール3の面上で回折光が凹面ミラー4で反射した後に光学スケール3上に集光しないため干渉パターンのコントラストが低下する。
【0061】
このような干渉パターンのコントラストの低下は、受光手段で検出される出力信号の低下と連動しているため、光学スケールがベストギャップからずれることにより、どの程度コントラストが低下するかは重要な値となる。
【0062】
そこで本実施形態では光学スケール3の一点近傍に凹面ミラー4の曲率中心が位置するようにし、又光源1と凹面ミラー4とがレンズ系2によって略共役関係となるようにして光学スケール3がベストギャップからずれた場合のコントラストの低下を少なくし、S/N比の良い信号を得ている。
【0063】
本実施形態では以上のように光学スケールに入射し、凹面ミラーで反射して光学スケールに再入射するときの主光線の入射位置が半径方向に異なるように設定することによって、光源,光学スケール,受光手段等の配置の自由度を増し、装置全体の小型化を図りつつ、回転物体(光学スケール)の回転情報を高精度に検出している。
【0064】
又、光源と凹面ミラーとがレンズ系によって略共役関係となるようにし、更に光学スケールの一部が凹面ミラーの略曲率半径の位置となるように設定することによって光学スケールと凹面ミラーとの間隔(ギャップ)の設計値からの許容値の緩和を図っている。
【0065】
図11,図12は各々本実施形態において光源から射出し、レンズ系を介した光束101が光学スケール3の第1領域3aに入射した後に回折し、凹面ミラー4面上に結像し,凹面ミラー4で反射して光学スケール3の第2領域3bを通過する光束102の他の実施形態の光路を示す説明図である。
【0066】
図11(A),(B),(C)はレンズ系を介した光束101が光学スケール3の格子部上の回転軸3eに近い方の第1領域3aから入射し、凹面ミラー4で反射して回転軸3eの遠い方の第2領域3bに再入射する場合を示している。
【0067】
即ち凹面ミラー4により第1領域3aの格子部を第2領域3bに拡大結像する場合を示している。このうち、図11(A)では光束101が第1領域3aに垂直に入射し、凹面ミラー4で反射した後に第2領域3bに斜入射する場合、図11(B),(C)では光束101が第1領域3aと第2領域3bに各々斜入射する場合を示している。
【0068】
図12(A),(B),(C)はレンズ系を介した光束101が光学スケール3の格子部上の回転軸3eに遠い方の第1領域3aから入射し、凹面ミラー4で反射して、回転軸3eの近い方の第2領域3bに再入射する場合を示している。
即ち凹面ミラー4によって第1領域3aの格子部を第2領域3bに縮小結像する場合を示している。このうち、図12(A)は光束101が第1領域3aに斜入射し、凹面ミラー4で反射した後に第2領域3bに垂直に入射する場合、図12(B),(C)は光束101が第1領域3aと第2領域3bに各々斜入射する場合を示している。図11,図12の各構成においても前述の実施形態1と同様の効果を得ている。
【0069】
図13は本発明の実施形態2の要部概略図である。本実施形態は図1〜図12に示した実施形態1に比べて、
・光照射手段1からの光束をレンズ系2によって平行光束として光学スケール3の第1領域3aに入射させていること。
【0070】
・光学スケール3の第1領域3aからの0次光と±n次回折光を凹面ミラー4によってその焦点位置4cに集光した後に発散光として光学スケール3の第2領域3bに入射させて、その面上に干渉縞を形成していること。
の点が異なっているだけであり、その他の構成は同じである。
【0071】
即ち本実施形態では図13に示すように、光照射手段1からの光束をレンズ系で平行光束として放射状のV溝を一定周期に配設した格子部を円板上の周上に設けた回転可能な光学スケール3上の第1領域3aに入射させ、第1領域3aの格子部で回折した回折光を凹面ミラー4で反射させ焦点位置4cに集光させた後に発散光として光学スケールの第2領域3bに入射させ、第2領域3bの格子部を介した光束を受光手段5で受光することにより、該光学スケール3の変位情報を検出している。
【0072】
このとき第1領域3aと第2領域3bは該光学スケール3の回転軸3eの半径方向に対して異なった領域に位置しており、凹面ミラー4は該光学スケール3の第1領域3aを第2領域3bに偏心系で結像している。
【0073】
図14は本発明の実施形態3の要部概略図である。本実施形態は図1〜図12に示した実施形態1に比べて、
・光照射手段1からの光束をレンズ系2によって集光させて光学スケール3の第1領域3aに入射させるとき凹面ミラー4の焦点位置4cに集光するようにしていること。
【0074】
・光学スケール3の第1領域3aからの回折光が焦点位置4cで集光した後に、発散光となって凹面ミラー4で反射した後に平行光束となって光学スケール3の第2領域3bに入射して、その面上に干渉縞を形成していること。
の点が異なっているだけであり、その他の構成は同じである。
【0075】
即ち本実施形態では図14に示すように、光照射手段1からの光束をレンズ系2で集光して放射状のV溝を一定周期に配設した格子部を円板上の周上に設けた回転可能な光学スケール3上の第1領域3aに入射させ、第1領域3aの格子部で回折した回折光を凹面ミラー4の焦点位置4cに集光した後に発散光束として凹面ミラー4で反射させて平行光束とした後に光学スケール3の第2領域3bに入射させ、該第2領域3bの格子部を介した光束を受光手段5で受光することにより、光学スケール3の変位情報を検出している。
【0076】
このとき、第1領域3aと第2領域3bは該光学スケール3の回転軸3eの半径方向に対して異なった領域に位置しており、凹面ミラー4は光学スケール3の第1領域3aを第2領域3bに偏心系で結像している。
【0077】
図15は本発明の実施形態4の要部概略図、図16は図15の一部分の拡大斜視図である。本実施形態は図1〜図12に示した実施形態1に比べて
・光照射手段1からの光束をレンズ系2によって平行光束として光学スケール3の第1領域3aに入射させていること。
【0078】
・第1領域3aの格子部で回折された0次光と±n次回折光の平行光を各々平面ミラー41,42,43で反射させて、光学スケール3の第2領域3に入射させて、その面上に干渉縞を形成していること。
の点が異なっているだけであり、その他の構成は同じである。
【0079】
即ち本実施形態では図15,図16に示すように、光照射手段1からの光束をレンズ系2で平行光束101として直線状のV溝を一定周期に配設した格子部を基板上に設けた移動可能な光学スケール3上の第1領域3aに入射させ、第1領域3aの格子部で回折した0次光L(0)と±n次(n=1)回折光L(+),L(−1)の平行光を平面ミラー41,42,43で各々反射させて光学スケール3の第2領域3bに入射させ、第2領域3bの格子部を介した光束を受光手段5で受光することにより、光学スケール3の変位情報を検出している。
【0080】
ここで第1領域3aと第2領域3bは該光学スケール3の回転軸3eの半径方向に対して異なった領域に位置している。
【0081】
尚、本実施形態において光学スケール3の第1領域を透過した回折光は、3光束以上であっても良い。
【0082】
尚、本発明において光学スケールの位相差の検出する為の格子部として断面形状がV形状のV溝格子を用いたが、他の形状で同様の機能を有するものであれば同様に適用可能である。
【0083】
例えば図18〜図22に示すような格子部を有する光学スケールを用いても良い。
【0084】
図18(A),(B)は本発明に係る光学スケール3の格子部3dの他の実施形態の要部断面図である。本実施形態は図6に示した格子部3dを構成する平面より成る傾斜面の代わりに曲率を有した曲面より構成した点が異なっており、その他の構成は同じである。
【0085】
即ち円板状の基板3cの表面上に一定周期の複数の放射格子より成る格子部3dを設けている。この格子部3dは1つの平面部30aと曲率を有した2つの曲面30b−1,30b−2が所定のピッチPで交互に配列して構成している。
【0086】
図18(A)は第1領域3aに相当し、格子部3dの平面部30aに入射した光束のみが光学スケール3を通過し、曲面30b−1(30b−2)に入射した光束は曲面30b−1(30b−2)及び平面部30aで全反射し、入射方向に戻されている状態を示している。
【0087】
図18(B)は光学スケールの第2領域3bに入射した光束の光路を示している。このように格子部3dは図6(A),(B)で示したのと同様に、透過型の振幅回折格子と同様の光学作用を有している。
【0088】
図19(A),(B)は本発明に係る光学スケール3の格子部3dの他の実施形態の要部断面図である。本実施形態は図6に示した格子部3dを構成する平面より成る傾斜面の代わりに曲率を有した曲面30b−1,30b−2とし、かつ曲面と曲面との間に平面部30b−3より構成した点が異なっており、その他の構成は同じである。
【0089】
即ち円板状の基板3cの表面上に一定周期の複数の放射格子より成る格子部3dを設けている。この格子部3dは1つの平面部30aと曲率を有した2つの曲面30b−1,30b−2、そして平面部30b−3が所定のピッチPで交互に配列して構成している。
【0090】
図19(A)は第1領域3aに相当し、格子部3dの平面部30aと平面部30b−3に入射した光束のみが光学スケール3を通過し、曲面30b−1(30b−2)に入射した光束は曲面30b−1(30b−2)及び平面部30aで全反射し、入射方向に戻されている状態を示している。
【0091】
図19(B)は光学スケールの第2領域3bに入射した光束の光路を示している。このように格子部3dは図6(A),(B)で示したのと同様に、透過型の振幅回折格子と同様の光学作用を有している。
【0092】
図20(A),(B)は本発明に係る光学スケール3の格子部3dの他の実施形態の要部断面図である。本実施形態は図6のV溝の代わりに3角形状の突出部(30b−1,30b−2)より構成した点が異なっており、その他の構成は同じである。
【0093】
即ち円板状の基板3cの表面上に一定周期の複数の放射格子より成る格子部3dを設けている。この格子部3dは1つの平面部30aと平面より成る2つの平面部30b−1,30b−2が所定のピッチPで交互に配列して構成している。
【0094】
図20(A)は第1領域3aに相当し、格子部3dの平面部30aに入射した光束のみが光学スケール3を通過し、平面部30b−1(30b−2)に入射した光束は他の平面部30b−2(30b−1)で全反射し、入射方向に戻されている状態を示している。
【0095】
図20(B)は光学スケールの第2領域3bに入射した光束の光路を示している。このように格子部3dは図6(A),(B)で示したのと同様に、透過型の振幅回折格子と同様の光学作用を有している。
【0096】
図21(A),(B)は本発明に係る光学スケール3の格子部3dの他の実施形態の要部断面図である。本実施形態は図6のV溝の代わりに曲率を有した2つの曲面30b−b,30b−2より成る突出部を形成した点が異なっており、その他の構成は同じである。
【0097】
即ち円板状の基板3cの表面上に一定周期の複数の放射格子より成る格子部3dを設けている。この格子部3dは1つの平面部30aと曲率を有し、突出した2つの曲面30b−1,30b−2が所定のピッチPで交互に配列して構成している。
【0098】
図21(A)は第1領域3aに相当し、格子部3dの平面部30aに入射した光束のみが光学スケール3を通過し、曲面30b−1(30b−2)に入射した光束は曲面30b−1(30b−2)で全反射し、入射方向に戻されている状態を示している。
【0099】
図21(B)は光学スケールの第2領域3bに入射した光束の光路を示している。このように格子部3dは図6(A),(B)で示したのと同様に、透過型の振幅回折格子と同様の光学作用を有している。
【0100】
図22(A),(B)は本発明に係る光学スケール3の格子部3dの他の実施形態の要部断面図である。本実施形態は図6に示した格子部3dを構成する平面より成る傾斜面の代わりに曲率を有した曲面30b−1,30b−2とし、曲面と曲面との間に平面部30b−3より構成した点が異なっており、その他の構成は同じである。
【0101】
即ち円板状の基板3cの表面上に一定周期の複数の放射格子より成る格子部3dを設けている。この格子部3dは1つの平面部30aと曲率を有した2つの曲面30b−1,30b−2が所定のピッチPで交互に配列して構成している。
【0102】
図22(A)は第1領域3aに相当し、格子部3dの平面部30aと平面部30b−3に入射した光束のみが光学スケール3を通過し、曲面30b−1(30b−2)に入射した光束は曲面30b−1(30b−2)及び曲面30b−2(30b−1)で全反射し、入射方向に戻されている状態を示している。
【0103】
図22(B)は光学スケールの第2領域3bに入射した光束の光路を示している。このように格子部3dは図6(A),(B)で示したのと同様に、透過型の振幅回折格子と同様の光学作用を有している。
【0104】
【発明の効果】
本発明によれば、第1領域からの光を反射して格子幅の異なる第2領域に入射させて受光する構成により回転検出を装置全体を簡素化して高精度に実行できる。
【0105】
又、本発明によれば集光光を円板上格子部の第1領域に入射させ、回折光を集光位置又は近傍にある凹面ミラーにより偏心系で半径方向に異なった第2領域に結像させ、第2領域の格子部を介した光を受光する構成により、各部材の配置上の空間を少なくすると共に装置全体の簡素化を図りつつ、又各部材の配置上の許容誤差を緩和しつつ変位物体の変位情報を高精度に検出するロータリーエンコーダ等に好適な変位情報検出装置を達成することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態1の一部分の要部斜視図
【図2】本発明の実施形態1の一部分の要部斜視図
【図3】本発明の実施形態1の一部分の要部断面図
【図4】本発明の実施形態1の一部分の光学スケールと凹面ミラーとの説明図
【図5】本発明の実施形態1の一部分の光学スケールの説明図
【図6】本発明の実施形態1の一部分の光学スケールの格子部と受光手段からの信号の説明図
【図7】本発明の実施形態1の光学スケール上の再結像した像の説明図
【図8】本発明の実施形態1における凹面ミラーの偏心量に対するスケールピッチと重ね合わせピッチの説明図
【図9】本発明の実施形態1における凹面ミラーの偏心量に対するスケールピッチと重ね合わせピッチの説明図
【図10】本発明の実施形態1の一部分の要部断面図
【図11】本発明の実施形態1における光学スケールへの光束の入射状態を示す他の実施形態の説明図
【図12】本発明の実施形態1における光学スケールへの光束の入射状態を示す他の実施形態の説明図
【図13】本発明の実施形態2の一部分の要部断面図
【図14】本発明の実施形態3の一部分の要部断面図
【図15】本発明の実施形態4の一部分の要部断面図
【図16】図15の一部分の拡大斜視図
【図17】従来のエンコーダの要部概略図
【図18】本発明に係る光学スケールの他の実施形態の説明図
【図19】本発明に係る光学スケールの他の実施形態の説明図
【図20】本発明に係る光学スケールの他の実施形態の説明図
【図21】本発明に係る光学スケールの他の実施形態の説明図
【図22】本発明に係る光学スケールの他の実施形態の説明図
【符号の説明】
1 光源
2 レンズ系
3 光学スケール
3a 第1領域
3b 第2領域
3c 基板
3d 格子部
3e 回転軸
4 凹面ミラー
4a 光軸
41,42,43 平面ミラー
5 受光手段
101,102 入射光束
101a,102a 主光線
103 信号処理回路

Claims (6)

  1. 平坦部位とV溝形状部位の周期的な構造からなる格子部を有する変位可能なスケール手段と、
    前記格子部は、一方の面から光束が入射されたときに振幅格子として作用する第1領域と、
    前記第1領域に対してその変位方向に略垂直な方向に配置され、前記第1領域の格子幅とは異なる格子幅を有し、前記第1領域と同一方向に変位し、他方の面から光束が入射されたときに波面分割を実行する第2領域を有し、
    前記第1領域の一方の面に、該第1の領域と該第2の領域との光路の間で収束する光束を投光するための光照射手段と、
    前記第1領域を透過し、回折した光束を反射し、他方の面から前記第2領域に入射させ前記第2領域にスケール手段の移動方向とは逆の方向に移動する干渉パターンを得るための反射手段と、
    前記第2領域に入射し、前記格子部の平坦部位とV溝形状部位の作用により波面分割された複数の光束を各々受光し、前記スケール手段の変位情報を得る為の受光素子と、
    を有することを特徴とする変位情報検出装置。
  2. 前記スケール手段との間の相対変位情報は相対的回転変位情報であることを特徴とする請求項1に記載の変位情報検出装置。
  3. 前記反射手段は凹面ミラーであることを特徴とする請求項1の変位情報検出装置。
  4. 前記光照射手段からの光束を集光性の光束とする為のレンズ系を有し、前記第1領域からの±n次回折光は前記凹面ミラーの面又はその近傍に集光しており、該凹面ミラーは前記格子部の第1領域を第2領域に等倍で結像していることを特徴とする請求項3の変位情報検出装置。
  5. 前記±n次回折光の複数の回折光は、前記凹面ミラーで反射して前記格子部の第2領域で重ね合わされて干渉パターンを形成していることを特徴とする請求項4の変位情報検出装置。
  6. 前記スケール手段の一部は前記凹面ミラーの曲率中心に位置していることを特徴とする請求項4、又は5の変位情報検出装置。
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