JP3679604B2 - 変位情報検出装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は変位情報検出装置に関し、特に物体の移動量や移動速度などの変位情報を光学的に測定する変位測定の分野に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から物体の移動量や移動速度などを測定するためにエンコーダが広く用いられている。光学的に測定する方法の大半は可動格子と参照格子を用いており、 (ア-1) 一般的には、その参照格子は光源及び受光部と一体的に設けられており、固定格子とも呼ばれている。
【0003】
(ア-2) 一方、特殊な検出方式として、古くは特開昭36−11793号公報で開示されているような参照格子として移動格子の一部を用いているような構成、いわゆる自己投射型の構成による検出光学系を有した変位測定装置が提案されている。
【0004】
特にエンコーダは簡易な構成でありながら高精度で角度変位量や移動量等を検出できるので工作機械や計測装置に広く使用されている。
【0005】
図5は特公昭36−11793号公報で提案されているエンコーダの要部概略図である。同図において光源201からの光束は、基板202に設けた開口202aを通過した後にレンズ系203で略平行光束として放射格子(直線状格子)を設けた変位物体としての光学スケール204の第1領域204aに入射している。
【0006】
光学スケール204の第1領域204aの格子で回折した±n次の回折光はレンズ系205,コーナーキューブ206、そしてレンズ系207を介して光学スケール204の第2領域204bに導光され、その面上に干渉パターンを形成する。第2領域204bを通過した干渉パターンに基づく光束をレンズ系208で集光して受光素子209で検出している。
【0007】
このとき光学スケール204が矢印204cの方向に移動すると、光学スケール204上に形成される干渉パターンは逆方向に変位するので受光素子209では格子分解能(格子ピッチ)の2倍の周期の信号が得られる。
【0008】
同図に示すエンコーダは受光素子209で得られる周期信号を利用して光学スケール204の変位情報を得ている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
この自己投射型の検出光学系を用いた方式は以下の特徴を有している。
【0010】
(イ-1) 格子ピッチに依存しない検出ヘッドが実現可能である。
【0011】
(イ-2) 格子分解能の2倍の周期信号が得られる。
などのメリットがあり、産業的には(イ-1) の特徴はさまざまな分解能が求められるエンコーダ市場においては大きなメリットで、汎用性の高い分解の依存性のない検出ヘッドが提供可能となり、大量生産によるローコスト化が可能である。また(イ-2) の特徴では高分解能検出も可能である。
【0012】
上記のように多くの優れた特徴を有するこの自己投射型の構成による検出光学系を有した位置検出方式であるので、エンコーダとして必要な2CH以上の位相差信号を、より小型構成で得る方法が求められている。
【0013】
本発明の第1の目的は上記、従来の自己投射型の検出光学系をする変位測定装置において、より小型化が可能な位相差検出方式を用いた情報検出装置を提供することにある。
【0014】
図5に示すエンコーダでは光源201からの光束の光学スケール204への入射領域(第1領域204a)と光学スケール204で回折した回折光束を光学部材205,206,207を介して該光学スケール204へ再入射させるときの再入射領域(第2領域204b)が光学スケール204上の変位方向204cに位置するように設定している。
【0015】
この構成ではスケール204とコーナーキューブ206との相対的アジムスズレ(光軸回りのスケールの回転)により、最終的に得られる信号のS/Nが低下する。
【0016】
又、光学スケール204への入射光束及び再入射光束がいずれも光学スケール204面に対して垂直となるようにしている。この為、光源,複数のレンズ系,そして受光素子等の各要素の配置に大きな空間を必要とし、又光学スケールからの回折光を該光学スケールに再入射させる為に多くの光学部材を必要とし、装置全体が複雑化及び大型化する傾向があった。
【0017】
この他光学スケールに対して略垂直に入出射する光束(回折光)を用いている為に受光素子の左右に射出する回折光が迷光となりやすく、装置全体の小型化,簡素化を図りつつ、高精度の変位情報を得るのが難しいという問題点があった。又、光学スケールと複数のレンズ系との間隔が設計値よりずれていると(ギャップ変化があると)受光手段で得られる信号のS/N比が低下してくるという問題点があった。特にこのギャップの設計値からの許容値は格子ピッチが微細化してくるにつれて厳しいものとなってくる。
【0018】
本発明の第2の目的は、各部材の配置上の空間を少なくすると共に装置全体の簡素化を図りつつ、又各部材の配置上の許容誤差を緩和しつつ変位物体の変位情報を検出することができるリニアエンコーダ等に好適な変位情報検出装置の提供にある。
【0019】
【課題を解決するための手段】
請求項1の発明の変位情報装置は、平坦部位とV溝形状部位の周期的な構造からなる格子部を有する相対変位可能なスケール手段と、
前記格子部は、一方の面から光束が入射されたときに振幅格子として作用する第1領域と、
前記第1領域に対してその変位方向に略垂直な方向に配置され、前記第1領域と同一方向に変位し、他方の面から光束が入射されたときに波面分割を実行する第2領域を有し、
前記第1領域の一方の面に、該第1の領域と該第2の領域との光路の間で収束する光束を投光するための光照射手段と、
前記第1領域を透過し、回折した光束を反射し、他方の面から前記第2領域に入射させ前記第2領域にスケール手段の移動方向とは逆の方向に移動する干渉パターンを得るための反射手段と、
前記第2領域に入射し、前記格子部の平坦部位とV溝形状部位の作用により波面分割された複数の光束を各々受光し、前記スケール手段の相対変位情報を得る為の受光素子と、を有することを特徴としている。
【0020】
請求項2の発明は、請求項1の発明において、前記スケール手段との間の相対変位情報は相対的直動変位情報または相対的回転変位情報であることを特徴としている。
【0021】
請求項3の発明は、請求項1の発明において、前記反射手段は凹面ミラーであることを特徴としている。
【0022】
請求項4の発明は、請求項1の発明において、光照射手段からの光束を集光性の光束とする為のレンズ系を有し、該第1領域の格子部からの±n次回折光は該凹面ミラーの面又はその近傍に集光しており、該凹面ミラーは該光学スケールの第1領域を第2領域に等倍で結像していることを特徴としている。
【0023】
請求項5の発明は、請求項4の発明において、前記±n次回折光の複数の回折光は、前記凹面ミラーで反射して該光学スケールの第2領域で重ね合わされて干渉パターンを形成していることを特徴としている。
【0024】
請求項6の発明は、請求項4又は5の発明において、前記スケール手段の一部は前記凹面ミラーの曲率中心に位置していることを特徴としている。
【0030】
【発明の実施の形態】
図1,図2は本発明の実施形態1の要部斜視図、図3は本発明の実施形態1の一部分の説明図、図4は本発明の実施形態1の一部分の説明図である。
【0031】
図中1は光源であり、例えばLEDや半導体レーザで構成し、波長λ(632.8nm)の可干渉性光束を発している。2はレンズ系であり、球面レンズ又は非球面レンズより成り、光源1からの光束を集光して、後述する光学スケール31に導光している。
【0032】
光源1とレンズ系2等は光照射手段LRの一要素を構成している。31は位相差検出機能と振幅型の回折格子機能とを有する光学スケールである。
【0033】
31は光学スケールであり、移動物体(不図示)に対して固定されており、矢印31eに示す方向に移動している。光学スケール31は基板31c上に移動方向と直交する方向に白黒パターンやV溝等を所定のピッチで形成した格子部31dを設けて構成している。
【0034】
本実施形態ではV溝を用いた場合を示している。図4(A),(B)は光学スケール31の格子部31dの詳細図であり、直線状のV溝部を構成する2つの傾斜面31b−1,31b−2と1つの平面部31aが所定のピッチPで交互に配列されて格子部31dを形成している。V溝幅は(1/2)P、又V溝を形成する2つの傾斜面31b−1,31b−2は各々(1/4)Pの幅を有し、各々の傾斜面31b−1,31b−2は平坦部31aに対し各々臨界角以上、本実施形態ではθ=45°で傾いている。
【0035】
本実施形態では光学スケール31からの回折光のうち0次回折光と±1次回折光の3つの光束を利用している。ここで、この格子部31dの溝は光学スケール31の移動方向に対して直線状に構成されている。
【0036】
尚、本実施形態では光学スケール31の材質をポリカーボやアクリル等のプラスチックとし、射出成形もしくは圧縮成形,シート成形,レプリカ等の製法によって作成している。4は凹面ミラーであり、球面ミラー,楕円ミラー,放物ミラー,非球面ミラー等から成っている。凹面ミラー4は格子部3dのフーリエ変換面に一致している。
【0037】
本実施形態では図1,図2に示すようにレンズ系2で集光され、光学スケール31の第1領域31aに入射した光束101が光学スケール31で回折し、このときn次の回折光(0次と±1次の回折光L(0),L(+1),L(−1))が凹面ミラー4の面4b又はその近傍(凹面ミラー4の瞳位置又はその近傍)に集光するように各要素を設定している。
【0038】
図3に示すように凹面ミラー4の光軸4aに対して入射光束101の主光線101aと凹面ミラー4で反射し、光学スケール31への再入射光束102の主光線102aは対称になっている。又、凹面ミラー4は光学スケール31から透過した収束光束(3つの回折光束)を反射させ、光学スケール31面上の第2領域31bに3つの像を再結像させている(即ち、3つの回折光を重ね合わせて干渉縞を形成している)。このとき光学スケール31が矢印方向31eに移動すると再結像した像は矢印方向31eとは反対の方向に移動する。即ち、格子部と干渉パターン像は相対的に光学スケール31の移動量の2倍の値で相対変位する。
【0039】
本実施形態ではこれにより光学スケール31に構成されている格子部の2倍の分解能の移動情報を得ている。
【0040】
5は受光手段であり、光学スケール31の格子部31dの第2領域31b近傍に形成した干渉パターンと格子部のV溝との位相関係に基づく光束が第2領域31bで幾何学的に屈折され、射出した3つの光束を各々受光する為の3つのフォトディテクタ(受光素子)5a,5b,5cを有している。この受光手段5からの信号をパルスカウント回路や移動方向の判別回路を有する信号処理103によって処理し、これより移動情報を得ている。尚、光源1,レンズ系2,そして受光手段5は筐体PK内に固定保持されている。
【0041】
次に本実施形態における光学スケール(移動体)31の移動情報の検出方法について説明する。光照射手段の一要素であるLED1からの光束をレンズ系2により凹面ミラー面上4の反射面4b又はその近傍に集光するようにしている。この収束光を光学スケール31の格子部31d上の第1領域31aに入射させる。第1領域31aに入射した収束光のうち図4に示す格子部31dの平面部31aに到達した光線は該平面部31aを通過して凹面ミラー4に進み、その面上に結像する。またV溝を構成する傾斜面31b−1に到達した光線は、傾斜面31b−1の傾斜角が臨界角以上に設定されている為、図に示すように全反射してV溝を構成する他方の傾斜面31b−2に向けられ、傾斜面31b−2においても全反射する。
【0042】
これによって最終的に格子部31dの傾斜面31b−1へ到達した光線は、凹面ミラーに進入することなく、入射方向に戻されることになる。同様にV溝を構成する他方の傾斜面31b−2に到達した光線も全反射を繰り返して戻される。従って第1領域31aにおいてV溝を形成する2つの傾斜面31b−1,31b−2の範囲に到達する光束は、凹面ミラーに進入することなく反射され、平面部31aに到達した光線のみが光学スケール31を進み、凹面ミラー4に進むことになる。
【0043】
即ち、第1領域31aにおいてV溝型の格子部31dは透過型の振幅回折格子と同様の光学作用を有する。この第1領域31aの格子部31dで光束は回折され、格子部の作用により0次,±1次,±2次‥‥の回折光が生じ、凹面ミラー4の面上にその回折光が集光する。集光した回折光は、図3に示すように光軸4aに対して対称に反射し、光学スケール31の第2領域31b部で再結像し、光学スケール31面上に等倍の像を再結像させる。
【0044】
ここで第1領域31aと第2領域31bは光学スケール31面の移動方向と直交する直線状格子の格子部31dに対して異なった(一部が重複していても良い)領域である。このとき、光学スケール31は直線状の格子部31dを有するため、第1領域31aと第2領域31bの格子ピッチは同じである。
【0045】
本実施形態では、格子部31d上の第2領域31bに第1領域31aの格子部31dを等倍投影し、光学スケール31の格子部31dのピッチと同様の像(反転像)を形成するようにしている。そのために本実施形態では凹面ミラー4を所望の曲率半径Rに設定し、入射光束101の主光線101aと再入射光束102の主光線102aが光軸4aに対して対称となるようにしている。
【0046】
これによって第1領域31aの格子部の像が凹面ミラー4によって第2領域31b面上に再結像するとき放射状格子の一部のピッチが合致するようにしてS/N比の良い検出信号を得ている。
【0047】
第2領域31bにおいて平面部31aに入射した光束は、図4(B)に示すように直線透過し、受光手段5の中央部のフォトディテクタ5cに到着する。また、V溝面を形成する2つの傾斜面31b−1及び31b−2に到達した光線は、各々の面に45°の入射角を持って入射するため、それぞれ異なる方向に大きく屈折して受光手段5の両側のフォトディテクタ5a及び5bに到達する。
【0048】
このように第2領域31bにおいて、入射光束に対して異なる方向に傾斜した2つの傾斜面31b−1,31b−2及びV溝の間の平面部31aの合計3種の傾き方向の異なる面により、光束は3つの方向に別れて進み、各々の面に対応した位置に設けられた各フォトディテクタ5a,5b,5cに到達する。即ち第2領域31bにおいてV溝の格子部31dは光波波面分割素子として機能する。
【0049】
即ち第2領域31bの格子部と、その面上に結像した干渉パターン像との位相関係に基づく光束が3方向に偏向され、各フォトディテクタ5a,5b,5cに入射している。
【0050】
ここで光学スケール31が移動すると、各フォトディテクタ5a,5b,5cで検出される光量が変化する。格子部31dの位置と像の位置の相対的変位に応じ、各フォトディテクタに入射する光量バランスが変化し、その結果、光学スケール31が移動方向31e方向に移動したとすると、図4(C)に示すような光学スケール31の移動に伴う光量変化が得られる。ここで横軸は光学スケール3の移動量、縦軸は受光光量である。
【0051】
信号a,b,cはそれぞれフォトディテクタ5a,5b,5cに対応している。尚、逆に光学スケール31が逆方向に移動した場合は、信号aはフォトディテクタ5b、信号bはフォトディテクタ5a、信号cはフォトディテクタ5cの出力となる。これらの信号を基に光学スケール31の移動速度や移動方向等の移動情報を得ている。
【0052】
尚、本実施形態においてLED1からの光束をレンズ系2で平行光束として光学スケール31の第1領域31aに入射させ、光学スケール31からの±n次回折光と0次光を各々平面ミラーで反射させて光学スケール31の第2領域31bに入射させ、その面上に3つの回折光による像(干渉縞)を形成し、そして第2領域31bからの3つの光を各々受光素子5a,5b,5cで受光するようにしても良い。
【0053】
図6,図7は本発明の実施形態2の一部分の要部斜視図、図8は本発明の実施形態2の一部分の要部断面図、図9は本発明の実施形態2の一部分の光学スケールと凹面ミラーとの説明図、図10は本発明の実施形態2の一部分の光学スケールの説明図、図11は本発明の実施形態2の一部分の光学スケールの格子部と受光手段からの信号の説明図、図12は本発明の実施形態2の光学スケール上の再結像した像の説明図、図13は本発明の実施形態2における凹面ミラーの偏心量に対するスケールピッチと重ね合わせピッチの説明図、図14は本発明の実施形態2における凹面ミラーの偏心量に対するスケールピッチと重ね合わせピッチの説明図、図15は本発明の実施形態2の一部分の要部断面図、図16は本発明の実施形態2における光学スケールへの光束の入射状態を示す他の実施形態の説明図、図17は本発明の実施形態2における光学スケールへの光束の入射状態を示す他の実施形態の説明図である。
【0054】
図中1は光源であり、例えばLEDや半導体レーザで構成し、波長λ(632.8nm)の可干渉性光束を発している。2はレンズ系であり、球面レンズ又は非球面レンズより成り、光源1からの光束を集光して、後述する光学スケール3に導光している。
【0055】
光源1とレンズ系2等は光照射手段LRの一要素を構成している。3は位相差検出機能と振幅型の回折格子機能とを有する光学スケールであり、図10,図11に示すように円板状の基板3cの表面上に一定周期の複数の放射状格子(スリット数2500又は5000のV溝格子)より成る格子部3dを設けて構成している。光学スケール3の基板3cは透孔性の光学材料、例えばポリカーボやプラスチックより成り、回転体(不図示)の一部に取り付けており、回転体と一体的に回転軸3eを中心に矢印6方向に回転している。
【0056】
図11(A),(B)は光学スケール3の格子部3dの詳細図であり、V溝部を構成する2つの傾斜面30b−1,30b−2と1つの平面部30aが所定のピッチPで交互に配列されて格子部3dを形成している。V溝幅は(1/2)P、又V溝を形成する2つの傾斜面30b−1,30b−2は各々(1/4)Pの幅を有し、各々の傾斜面30b−1,30b−2はV溝の底部と平坦部30aの垂線とを結ぶ直線に対し各々臨界角以上、本実施形態ではθ=45°で傾いている。
【0057】
本実施形態では光学スケール3からの回折光のうち0次回折光と±1次回折光の3つの光束を利用している。ここで、この格子部3dのV溝は光学スケール3に対して放射状に構成されている為、光学スケール3の内周側と外周側ではピッチが異なっている。ここでピッチとは周方向の平坦部30aの幅と2つの傾斜面30b−1,30b−2の幅との合計した値をいう。
【0058】
本実施形態では光学スケール3の材質をポリカーボやプラスチックとし、射出成形もしくは圧縮成形当の製法によって作成している。4は凹面ミラーであり、球面ミラー,楕円ミラー,放物ミラー,非球面ミラー等から成っている。凹面ミラー4は格子部3dのフーリエ変換面に一致している。
【0059】
本実施形態では図8,図9に示すようにレンズ系2で集光され、光学スケール3の第1領域3aに入射した光束101が光学スケール3の格子部で回折し、このときn次の回折光(0次と±1次の回折光L(0),L(+1),L(−1))が凹面ミラー4の面4b又はその近傍(凹面ミラー4の瞳位置又はその近傍)に集光するように各要素を設定している。
【0060】
凹面ミラー4の光軸4aと入射光束101の中心光線(主光線)101aは図4に示すように偏心量Δだけ偏心している。凹面ミラー4は光学スケール3で回折し、集光してきた収束光束(3つの回折光束L(0),L(+1),L(−1))を反射させ、光学スケール3面上の第2領域3bに図12に示すような3つの回折光に基づく干渉パターン像(像)を再結像させている。このとき光学スケール3が回転方向6に移動すると再結像した像は回転方向6とは反対の方向に移動する。即ち、格子部と干渉パターン像は相対的に光学スケール3の移動量の2倍の値で相対変位する。
【0061】
本実施形態ではこれにより光学スケール3に構成されている格子部の2倍の分解能の回転情報を得ている。
【0062】
5は受光手段であり、光学スケール3の格子部3dの第2領域3b近傍に形成した図11に示すような干渉パターンと格子部のV溝との位相関係に基づく光束が第2領域3bで幾何学的に屈折され、射出した3つの光束を各々受光する為の3つのフォトディテクタ(受光素子)5a,5b,5cを有している。この受光手段5からの信号をパルスカウント回路や回転方向の判別回路を有する信号処理回路103によって処理し、これより回転情報を得ている。尚、光源1,レンズ系2,そして受光手段5は筐体PK内に固定保持されている。
【0063】
次に本実施形態における光学スケール(回転体)3の回転情報の検出方法について説明する。光照射手段の一要素であるLED1からの光束をレンズ系2により凹面ミラー面上4の反射面4b又はその近傍に集光するようにしている。この収束光を図8,図9に示すように光学スケール3の格子部3d上の第1領域3aに入射させる。第1領域3aに入射した収束光のうち図11に示す格子部3dの平面部30aに到達した光線は該平面部30aを通過して凹面ミラー4に進み、その面上に結像する。またV溝を構成する傾斜面30b−1に到達した光線は、傾斜面30b−1の傾斜角が臨界角以上に設定されている為、図11に示すように全反射してV溝を構成する他方の傾斜面30b−2に向けられ、傾斜面30b−2においても全反射する。
【0064】
このように最終的に格子部3dの傾斜面30b−1へ到達した光線は、凹面ミラーに進入することなく、入射方向に戻されることになる。同様にV溝を構成する他方の傾斜面30b−2に到達した光線も全反射を繰り返して戻される。従って第1領域3aにおいてV溝を形成する2つの傾斜面30b−1,30b−2の範囲に到達する光束は、光学スケール3内に進入することなく反射され、平面部30aに到達した光線のみが光学スケール3を進むことになる。
【0065】
即ち、第1領域3aにおいてV溝型の格子部3dは透過型の振幅回折格子と同様の光学作用を有する。この第1領域3aの格子部3dで光束は回折され、格子部の作用により0次,±1次,±2次‥‥の回折光が生じ、凹面ミラー4の面上にその回折光が集光する。集光した回折光は、主光線101aに対して偏芯している凹面ミラー4によって反射し、光学スケール3の第2領域3b部で再結像し、光学スケール3面上に像(放射状の溝の像)を再結像する。
【0066】
ここで第1領域3aと第2領域3bは光学スケール3面の放射状格子の格子部3dに対して半径方向に異なった(一部が重複していても良い)領域である。このとき、光学スケール3は放射状の格子部3dを有するため、第1領域3aと第2領域3bの格子ピッチが異なる。さらに、第2領域3bの照射領域においても光学スケール3の内周側と外周側のピッチが異なっている。
【0067】
そこで本実施形態では、格子部3d上の第2領域3bに第1領域3aの格子部を拡大投影し、光学スケール3の放射状の格子部3dのピッチと同様の像(反転像)を形成するようにしている。そのために本実施形態では凹面ミラー4を所望の曲率半径Rに設定し、入射光束の主光線101aに対して偏心配置するとともに入射光軸に対するずれ量Δも最適な値にしている。
【0068】
これによって第1領域3aの格子部の像が凹面ミラー4によって第2領域3b面上に再結像するとき放射状格子の一部のピッチが合致するようにしてS/N比の良い検出信号を得ている。
【0069】
第2領域3bにおいて平面部30aに入射した光束は、図11(B)に示すように直線透過し、受光手段5の中央部のフォトディテクタ5cに到着する。また、V溝面を形成する2つの傾斜面30b−1及び30b−2に到達した光線は、各々の面に45°の入射角を持って入射するため、それぞれ異なる方向に大きく屈折して受光手段5の両側のフォトディテクタ5a及び5bに到達する。
【0070】
このように第2領域3bにおいて、入射光束に対して異なる方向に傾斜した2つの傾斜面30b−1,30b−2及びV溝の間の平面部30aの合計3種の傾き方向の異なる面により、光束は3つの方向に別れて進み、各々の面に対応した位置に設けられた各フォトディテクタ5a,5b,5cに到達する。即ち第2領域3bにおいてV溝の格子部3dは光波波面分割素子として機能する。
【0071】
即ち第2領域3bの格子部と、その面上に結像した干渉パターン像との位相関係に基づく光束が3方向に偏向され、各フォトディテクタ5a,5b,5cに入射している。
【0072】
ここで光学スケール3が回転すると、各フォトディテクタ5a,5b,5cで検出される光量が変化する。格子部3dの位置と像の位置の相対的変位に応じ、各フォトディテクタに入射する光量バランスが変化し、その結果、光学スケール3が反時計廻りに回転したとすると、図11(C)に示すような光学スケール3の回転に伴う光量変化が得られる。ここで横軸は光学スケール3の回転量、縦軸は受光光量である。
【0073】
信号a,b,cはそれぞれフォトディテクタ5a,5b,5cに対応している。尚、逆に光学スケール3が時計廻りに回転した場合は、信号aはフォトディテクタ5b、信号bはフォトディテクタ5a、信号cはフォトディテクタ5cの出力となる。これらの信号を基に光学スケール3の回転角度や回転量あるいは回転速度や回転加速度等の回転情報を得ている。
【0074】
尚、図11(C)は第2領域3bに形成される像のコントラストが非常に高く理想に近い場合の理論的な光量変化の様子を示している。
【0075】
図13,図14は本実施形態において光学スケール3上の格子部として1周当り2500パルス(2500P/R)と5000パルス(5000P/R)のとき、光学スケール3の第1領域3aに入射する光束101の主光線101aが凹面ミラー4で反射して第2領域3bに入射するときの凹面ミラー4の光軸4aに対してΔだけ偏心したとき(偏心量Δのとき)の第2領域3bでの入射主光線からの距離に対する格子部のスケールピッチを示している。
【0076】
又偏心量Δのときに凹面ミラー4によって第1領域3aの格子部が第2領域3bに形成されるときの格子部の像の入射主光線からの距離に対する重ね合わせピッチを示している。
【0077】
図13,図14に示すように偏心量ΔがΔ:0.62(nm)のとき第2領域3bの入射主光線からの距離が1.8mm近傍でスケールピッチと重ね合わせピッチが略一致している。
【0078】
本実施形態では入射主光線101aからの距離が1.8mm近傍の領域を利用している。
【0079】
本実施形態ではレンズ系2によって光源1と凹面ミラー4の反射面4aとが略共役関係となるようにし、光学スケール3からの±n次回折光が凹面ミラー4の反射面4a上又はその近傍に集光するようにしている。又光学スケール3の一部が凹面ミラー4の曲率中心に合致するようにしている。
【0080】
これによって光学スケール3と凹面ミラー4との間隔(ギャップ)が多少設定値から変位しても受光手段5で得られる変位情報の誤差を少なくしている。即ち、ギャップ特性の許容値を緩和させている。
【0081】
図15(A),(B)は光学スケール3と凹面ミラー4とのギャップに誤差があったときの入射光と反射光の説明図である。
【0082】
図15(A)のように光学スケール3が凹面ミラー4の曲率半径の位置、即ちベストギャップの位置にある場合は、V溝によって回折した回折光が凹面ミラー4で反射して光学スケール面3の面上に集光するため、干渉縞のコントスラトが最大値を示す。
【0083】
しかし、図15(B)のように光学スケール3がベストギャップの位置からずれた場合には、光学スケール3の面上で回折光が凹面ミラー4で反射した後に光学スケール3上に集光しないため干渉パターンのコントラストが低下する。
【0084】
このような干渉パターンのコントラストの低下は、受光手段で検出される出力信号の低下と連動しているため、光学スケールがベストギャップからずれることにより、どの程度コントラストが低下するかは重要な値となる。
【0085】
そこで本実施形態では光学スケール3の一点近傍に凹面ミラー4の曲率中心が位置するようにし、又光源1と凹面ミラー4とがレンズ系2によって略共役関係となるようにして光学スケール3がベストギャップからずれた場合のコントラストの低下を少なくし、S/N比の良い信号を得ている。
【0086】
本実施形態では以上のように光学スケールに入射し、凹面ミラーで反射して光学スケールに再入射するときの主光線の入射位置が半径方向に異なるように設定することによって、光源,光学スケール,受光手段等の配置の自由度を増し、装置全体の小型化を図りつつ、回転物体(光学スケール)の回転情報を高精度に検出している。
【0087】
又、光源と凹面ミラーとがレンズ系によって略共役関係となるようにし、更に光学スケールの一部が凹面ミラーの略曲率半径の位置となるように設定することによって光学スケールと凹面ミラーとの間隔(ギャップ)の設計値からの許容値の緩和を図っている。
【0088】
図16,図17は各々本実施形態において光源から射出し、レンズ系を介した光束101が光学スケール3の第1領域3aに入射した後に回折し、凹面ミラー4面上に結像し,凹面ミラー4で反射して光学スケール3の第2領域3bを通過する光束102の他の実施形態の光路を示す説明図である。
【0089】
図16(A),(B),(C)はレンズ系を介した光束101が光学スケール3の格子部上の回転軸3eに近い方の第1領域3aから入射し、凹面ミラー4で反射して回転軸3eの遠い方の第2領域3bに再入射する場合を示している。
【0090】
即ち凹面ミラー4により第1領域3aの格子部を第2領域3bに拡大結像する場合を示している。このうち、図16(A)では光束101が第1領域3aに垂直に入射し、凹面ミラー4で反射した後に第2領域3bに斜入射する場合、図16(B),(C)では光束101が第1領域3aと第2領域3bに各々斜入射する場合を示している。
【0091】
図17(A),(B),(C)はレンズ系を介した光束101が光学スケール3の格子部上の回転軸3eに遠い方の第1領域3aから入射し、凹面ミラー4で反射して、回転軸3eの近い方の第2領域3bに再入射する場合を示している。即ち凹面ミラー4によって第1領域3aの格子部を第2領域3bに縮小結像する場合を示している。このうち、図17(A)は光束101が第1領域3aに斜入射し、凹面ミラー4で反射した後に第2領域3bに垂直に入射する場合、図17(B),(C)は光束101が第1領域3aと第2領域3bに各々斜入射する場合を示している。図16,図17の各構成においても前述の実施形態2と同様の効果を得ている。
【0092】
図18は本発明の実施形態3の要部概略図である。本実施形態は図6〜図17に示した実施形態2に比べて、
・光照射手段1からの光束をレンズ系2によって平行光束として光学スケール3の第1領域3aに入射させていること。
【0093】
・光学スケール3の第1領域3aからの0次光と±n次回折光を凹面ミラー4によってその焦点位置4cに集光した後に発散光として光学スケール3の第2領域3bに入射させて、その面上に干渉縞を形成していること。
の点が異なっているだけであり、その他の構成は同じである。
【0094】
即ち本実施形態では図18に示すように、光照射手段1からの光束をレンズ系で平行光束として放射状のV溝を一定周期に配設した格子部を円板上の周上に設けた回転可能な光学スケール3上の第1領域3aに入射させ、第1領域3aの格子部で回折した回折光を凹面ミラー4で反射させ焦点位置4cに集光させた後に発散光として光学スケールの第2領域3bに入射させ、第2領域3bの格子部を介した光束を受光手段5で受光することにより、該光学スケール3の変位情報を検出している。
【0095】
このとき第1領域3aと第2領域3bは該光学スケール3の回転軸3eの半径方向に対して異なった領域に位置しており、凹面ミラー4は該光学スケール3の第1領域3aを第2領域3bに偏心系で結像している。
【0096】
図19は本発明の実施形態4の要部概略図である。本実施形態は図6〜図17に示した実施形態2に比べて、
・光照射手段1からの光束をレンズ系2によって集光させて光学スケール3の第1領域3aに入射させるとき凹面ミラー4の焦点位置4cに集光するようにしていること。
【0097】
・光学スケール3の第1領域3aからの回折光が焦点位置4cで集光した後に、発散光となって凹面ミラー4で反射した後に平行光束となって光学スケール3の第2領域3bに入射して、その面上に干渉縞を形成していること。
の点が異なっているだけであり、その他の構成は同じである。
【0098】
即ち本実施形態では図19に示すように、光照射手段1からの光束をレンズ系2で集光して放射状のV溝を一定周期に配設した格子部を円板上の周上に設けた回転可能な光学スケール3上の第1領域3aに入射させ、第1領域3aの格子部で回折した回折光を凹面ミラー4の焦点位置4cに集光した後に発散光束として凹面ミラー4で反射させて平行光束とした後に光学スケール3の第2領域3bに入射させ、該第2領域3bの格子部を介した光束を受光手段5で受光することにより、光学スケール3の変位情報を検出している。
【0099】
このとき、第1領域3aと第2領域3bは該光学スケール3の回転軸3eの半径方向に対して異なった領域に位置しており、凹面ミラー4は光学スケール3の第1領域3aを第2領域3bに偏心系で結像している。
【0100】
図20は本発明の実施形態5の要部概略図、図21は図20の一部分の拡大斜視図である。本実施形態は図6〜図17に示した実施形態2に比べて
・光照射手段1からの光束をレンズ系2によって平行光束として光学スケール3の第1領域3aに入射させていること。
【0101】
・第1領域3aの格子部で回折された0次光と±n次回折光の平行光を各々平面ミラー41,42,43で反射させて、光学スケール3の第2領域3に入射させて、その面上に干渉縞を形成していること。
の点が異なっているだけであり、その他の構成は同じである。
【0102】
即ち本実施形態では図20,図21に示すように、光照射手段1からの光束をレンズ系2で平行光束101として直線状のV溝を一定周期に配設した格子部を基板上に設けた移動可能な光学スケール3上の第1領域3aに入射させ、第1領域3aの格子部で回折した0次光L(0)と±n次(n=1)回折光L(+),L(−1)の平行光を平面ミラー41,42,43で各々反射させて光学スケール3の第2領域3bに入射させ、第2領域3bの格子部を介した光束を受光手段5で受光することにより、光学スケール3の変位情報を検出している。
【0103】
ここで第1領域3aと第2領域3bは該光学スケール3の回転軸3eの半径方向に対して異なった領域に位置している。
【0104】
尚、各実施形態において光学スケール3の第1領域を透過した回折光は、3光束以上であっても良い。
【0105】
尚、本発明において光学スケールの位相差の検出する為の格子部として断面形状がV形状のV溝格子を用いたが、他の形状で同様の機能を有するものであれば同様に適用可能である。
【0106】
例えば図22〜図26に示すような格子部を有する光学スケールを用いても良い。
【0107】
図22(A),(B)は本発明に係る光学スケール3の格子部3dの他の実施形態の要部断面図である。本実施形態は図11に示した格子部3dを構成する平面より成る傾斜面の代わりに曲率を有した曲面より構成した点が異なっており、その他の構成は同じである。
【0108】
即ち円板状の基板3cの表面上に一定周期の複数の放射格子より成る格子部3dを設けている。この格子部3dは1つの平面部30aと曲率を有した2つの曲面30b−1,30b−2が所定のピッチPで交互に配列して構成している。
【0109】
図22(A)は第1領域3aに相当し、格子部3dの平面部30aに入射した光束のみが光学スケール3を通過し、曲面30b−1(30b−2)に入射した光束は曲面30b−1(30b−2)及び平面部30aで全反射し、入射方向に戻されている状態を示している。
【0110】
図22(B)は光学スケールの第2領域3bに入射した光束の光路を示している。このように格子部3dは図11(A),(B)で示したのと同様に、透過型の振幅回折格子と同様の光学作用を有している。
【0111】
図23(A),(B)は本発明に係る光学スケール3の格子部3dの他の実施形態の要部断面図である。本実施形態は図11に示した格子部3dを構成する平面より成る傾斜面の代わりに曲率を有した曲面30b−1,30b−2とし、かつ曲面と曲面との間に平面部30b−3より構成した点が異なっており、その他の構成は同じである。
【0112】
即ち円板状の基板3cの表面上に一定周期の複数の放射格子より成る格子部3dを設けている。この格子部3dは1つの平面部30aと曲率を有した2つの曲面30b−1,30b−2、そして平面部30b−3が所定のピッチPで交互に配列して構成している。
【0113】
図23(A)は第1領域3aに相当し、格子部3dの平面部30aと平面部30b−3に入射した光束のみが光学スケール3を通過し、曲面30b−1(30b−2)に入射した光束は曲面30b−1(30b−2)及び平面部30aで全反射し、入射方向に戻されている状態を示している。
【0114】
図23(B)は光学スケールの第2領域3bに入射した光束の光路を示している。このように格子部3dは図11(A),(B)で示したのと同様に、透過型の振幅回折格子と同様の光学作用を有している。
【0115】
図24(A),(B)は本発明に係る光学スケール3の格子部3dの他の実施形態の要部断面図である。本実施形態は図6のV溝の代わりに3角形状の突出部(30b−1,30b−2)より構成した点が異なっており、その他の構成は同じである。
【0116】
即ち円板状の基板3cの表面上に一定周期の複数の放射格子より成る格子部3dを設けている。この格子部3dは1つの平面部30aと平面より成る2つの平面部30b−1,30b−2が所定のピッチPで交互に配列して構成している。
【0117】
図24(A)は第1領域3aに相当し、格子部3dの平面部30aに入射した光束のみが光学スケール3を通過し、平面部30b−1(30b−2)に入射した光束は他の平面部30b−2(30b−1)で全反射し、入射方向に戻されている状態を示している。
【0118】
図24(B)は光学スケールの第2領域3bに入射した光束の光路を示している。このように格子部3dは図11(A),(B)で示したのと同様に、透過型の振幅回折格子と同様の光学作用を有している。
【0119】
図25(A),(B)は本発明に係る光学スケール3の格子部3dの他の実施形態の要部断面図である。本実施形態は図11のV溝の代わりに曲率を有した2つの曲面30b−b,30b−2より成る突出部を形成した点が異なっており、その他の構成は同じである。
【0120】
即ち円板状の基板3cの表面上に一定周期の複数の放射格子より成る格子部3dを設けている。この格子部3dは1つの平面部30aと曲率を有し、突出した2つの曲面30b−1,30b−2が所定のピッチPで交互に配列して構成している。
【0121】
図25(A)は第1領域3aに相当し、格子部3dの平面部30aに入射した光束のみが光学スケール3を通過し、曲面30b−1(30b−2)に入射した光束は曲面30b−1(30b−2)で全反射し、入射方向に戻されている状態を示している。
【0122】
図25(B)は光学スケールの第2領域3bに入射した光束の光路を示している。このように格子部3dは図11(A),(B)で示したのと同様に、透過型の振幅回折格子と同様の光学作用を有している。
【0123】
図26(A),(B)は本発明に係る光学スケール3の格子部3dの他の実施形態の要部断面図である。本実施形態は図11に示した格子部3dを構成する平面より成る傾斜面の代わりに曲率を有した曲面30b−1,30b−2とし、曲面と曲面との間に平面部30b−3より構成した点が異なっており、その他の構成は同じである。
【0124】
即ち円板状の基板3cの表面上に一定周期の複数の放射格子より成る格子部3dを設けている。この格子部3dは1つの平面部30aと曲率を有した2つの曲面30b−1,30b−2が所定のピッチPで交互に配列して構成している。
【0125】
図26(A)は第1領域3aに相当し、格子部3dの平面部30aと平面部30b−3に入射した光束のみが光学スケール3を通過し、曲面30b−1(30b−2)に入射した光束は曲面30b−1(30b−2)及び曲面30b−2(30b−1)で全反射し、入射方向に戻されている状態を示している。
【0126】
図26(B)は光学スケールの第2領域3bに入射した光束の光路を示している。このように格子部3dは図11(A),(B)で示したのと同様に、透過型の振幅回折格子と同様の光学作用を有している。
【0127】
【発明の効果】
本発明によれば、従来、複雑な構成に成りがちな自己投射型の検出方式での位相差検出が容易に実現可能となり、さらに、小型ながら、より高分解能な位置を検出可能とする自己投射型の検出装置が提供できるようになった。
【0128】
特に波面分割により光束が互いに広がっていく方向である格子配列方向に垂直な方向に第1,第2領域を配置したことにより、スケールへの光束照射手段と受光手段とを空間的に間をそれ程あけずに配置する事が可能となり、より小型化した構成が実現される。
【0129】
又、本発明によれば、第1領域の格子部からの回折光を凹面ミラー近傍で集光させて反射させて、第1領域の移動に垂直な方向にある第2領域に等倍結像し、第2領域からの光を受光する構成により各部材の配置上の空間を少なくすると共に装置全体の簡素化を図りつつ、又各部材の配置上の許容誤差を緩和しつつ変位物体の変位情報を高精度に検出するリニアエンコーダに好適な変位情報検出装置を達成することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態1の要部斜視図
【図2】本発明の実施形態1の要部斜視図
【図3】本発明の実施形態1の一部分の説明図
【図4】本発明の実施形態1の一部分の説明図
【図5】従来のエンコーダの要部概略図
【図6】本発明の実施形態2の一部分の要部斜視図
【図7】本発明の実施形態2の一部分の要部斜視図
【図8】本発明の実施形態2の一部分の要部断面図
【図9】本発明の実施形態2の一部分の光学スケールと凹面ミラーとの説明図
【図10】本発明の実施形態2の一部分の光学スケールの説明図
【図11】本発明の実施形態2の一部分の光学スケールの格子部と受光手段からの信号の説明図
【図12】本発明の実施形態2の光学スケール上の再結像した像の説明図
【図13】本発明の実施形態2における凹面ミラーの偏心量に対するスケールピッチと重ね合わせピッチの説明図
【図14】本発明の実施形態2における凹面ミラーの偏心量に対するスケールピッチと重ね合わせピッチの説明図
【図15】本発明の実施形態2の一部分の要部断面図
【図16】本発明の実施形態2における光学スケールへの光束の入射状態を示す他の実施形態の説明図
【図17】本発明の実施形態2における光学スケールへの光束の入射状態を示す他の実施形態の説明図
【図18】本発明の実施形態3の一部分の要部断面図
【図19】本発明の実施形態4の一部分の要部断面図
【図20】本発明の実施形態5の一部分の要部断面図
【図21】図20の一部分の拡大斜視図
【図22】本発明に係る光学スケールの他の実施形態の説明図
【図23】本発明に係る光学スケールの他の実施形態の説明図
【図24】本発明に係る光学スケールの他の実施形態の説明図
【図25】本発明に係る光学スケールの他の実施形態の説明図
【図26】本発明に係る光学スケールの他の実施形態の説明図
【符号の説明】
1 光源
2 レンズ系
3,31 光学スケール
3a,31a 第1領域
3b,31b 第2領域
3c,31c 基板
3d,31d 格子部
3e 回転軸
4 凹面ミラー
4a 光軸
41,42,43 平面ミラー
5 受光手段
101,102 入射光束
101a,102a 主光線
103 信号処理回路
Claims (6)
- 平坦部位とV溝形状部位の周期的な構造からなる格子部を有する相対変位可能なスケール手段と、
前記格子部は、一方の面から光束が入射されたときに振幅格子として作用する第1領域と、
前記第1領域に対してその変位方向に略垂直な方向に配置され、前記第1領域と同一方向に変位し、他方の面から光束が入射されたときに波面分割を実行する第2領域を有し、
前記第1領域の一方の面に、該第1の領域と該第2の領域との光路の間で収束する光束を投光するための光照射手段と、
前記第1領域を透過し、回折した光束を反射し、他方の面から前記第2領域に入射させ前記第2領域にスケール手段の移動方向とは逆の方向に移動する干渉パターンを得るための反射手段と、
前記第2領域に入射し、前記格子部の平坦部位と V 溝形状部位の作用により波面分割された複数の光束を各々受光し、前記スケール手段の相対変位情報を得る為の受光素子と、を有することを特徴とする変位情報検出装置。 - 前記前記スケール手段との間の相対変位情報は相対的直動変位情報または相対的回転変位情報であることを特徴とする請求項1に記載の変位情報検出装置。
- 前記反射手段は凹面ミラーであることを特徴とする請求項1の変位情報検出装置。
- 前記光照射手段からの光束を集光性の光束とする為のレンズ系を有し、前記第1領域からの±n次回折光は前記凹面ミラーの面又はその近傍に集光しており、該凹面ミラーは前記格子部の第1領域を第2領域に等倍で結像していることを特徴とする請求項3の変位情報検出装置。
- 前記±n次回折光の複数の回折光は、前記凹面ミラーで反射して前記格子部の第2領域で重ね合わされて干渉パターンを形成していることを特徴とする請求項4の変位情報検出装置。
- 前記スケール手段の一部は前記凹面ミラーの曲率中心に位置していることを特徴とする請求項4、又は5の変位情報検出装置。
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