JP4323464B2 - 内燃機関のカム軸 - Google Patents

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Description

本発明は内燃機関におけるカム軸の改良技術に関する。
内燃機関のカム軸は、内燃機関における吸気弁及び排気弁の開閉に用いる部材であり、吸気弁を開閉する吸気弁駆動用カム及び排気弁を開閉する排気弁駆動用カムを備える。近年、このようなカム軸の品質を高めるために鍛造品とする技術が知られている(例えば、特許文献1−2参照。)。
特許第2767369号公報 特開2004−301229公報
従来の鍛造品のカムの一例として、特許文献1に示すカムの製造方法及びカムを、次の図6に基づいて説明する。図6(a)〜(e)は従来の内燃機関のカムの製造方法及びカムの説明図である。従来のカムの製造方法は、図6(a)〜(e)に示す手順によるというものである。
先ず、図6(a)に示すように、加熱した丸棒状延伸鋼材を軸方向に圧縮して、樽形鋼材101に形成する。
次に、樽形鋼材101を下金型102にセットした後に、上金型103で型打ちすることで、図6(b)に示すように、鍛造製のカム半完成品104を形成する。
次に、図6(c)に示すように、カム半完成品104をパンチ抜き用下型105に移し替えた後に、バリ取り金型106を落下させて、バリ107を除去する。
次に、図6(d)に示すように、バリ107が除去されたカム半完成品108を切削して、図6(e)に示すカム完成品109に仕上げて、完了する。
このようにして、互いに隣接し合う複数のカム109a,109bを一体に形成したカム完成品109を製造することができる。
ところで、当然のことながら、カム109a,109b同士の位相は異なる。このため、カム109a,109bの成形時において、下・上金型102,103における内面の圧迫によって押し流された余剰材料(偏肉や余剰肉)が生じる。このような余剰材料がカム109a,109bに影響を及ぼさないように、余剰材料を切削加工等によって後加工する必要がある。鍛造製カム完成品109の製造工程数が多いので、カム完成品109の製造コストを抑制するには、改良の余地がある。カム109a,109bをカム軸に一体に形成した場合も同様である。
また、内燃機関においては、カム109a,109bを含む動弁機構の潤滑性を高めることが求められている。上記特許文献1−2に示す従来のカムは、そのような配慮をしたものではない。
これに対し、カムを含む動弁機構の潤滑性を高めるためにオイルデイッパを取付けた、別の技術も知られている(例えば、特許文献3−4参照。)。
実開昭54−171043号公報 実開昭62−105315号公報
従来のオイルデイッパの一例として、特許文献3に示す動弁機構の概要を、次の図7に基づいて説明する。図7は従来の内燃機関の動弁機構の概要図である。
従来の動弁機構200は、動弁室201に回転可能に収納されたカム軸202にカム203,204を備えるとともにオイルデイッパ205(油掻き上げ部205)を取付けたというものである。動弁室201の油溜め部201aに溜まっている潤滑油210をオイルデイッパ205で掻き上げることにより、動弁室201に配置されている動弁機構200の各部材の摺動部分に、潤滑油210が浸入して潤滑する。
しかし、カム軸202に別部材からなるオイルデイッパ205を取付ける構成であるから、部品数が多く構成が複雑になるとともに、製造コストが増す要因となる。
これに対し、カム軸202にオイルデイッパ205を一体に形成することが、考えられる。しかしながら、単に一体に形成するのでは、カム軸202の全体構成が複雑になるだけであり、しかも、オイルデイッパ205を形成した分、大型にならざるを得ず、改良の余地が残る。
本発明は、(1)鍛造製カム軸の製造コストを低減するとともに、(2)部品数が少なく簡便な構成によって、動弁機構の潤滑性を高める技術を提供することを課題とする。
請求項1に係る発明は、内燃機関の吸気弁及び排気弁の開閉に用いられるカム軸において、
このカム軸が、互いに近接して配置した吸気弁駆動用カム及び排気弁駆動用カムと、これらの吸・排気弁駆動用カムの間に介在した余剰の駄肉部とを、一体に形成した鍛造品であり、
駄肉部は、吸気弁駆動用カムの輪郭及び排気弁駆動用カムの輪郭よりも大きい輪郭とすることで、駄肉部の近傍に配置された油溜め部の潤滑油を掻き上げる油掻き上げ部材を兼ねた構成であることを特徴とする。
請求項2に係る発明は、請求項1において、駄肉部の外周面が、カム軸の鍛造のときにカム軸の軸方向に互いに閉じ合う、固定型と可動型との型割り面に合致する位置に配置していることを特徴とする。
請求項3に係る発明は、請求項1又は請求項2において、駄肉部が、カム軸の軸線に対して直角な略平板状を呈していることを特徴とする。
請求項4に係る発明は、請求項1から請求項3のいずれか1項において、吸・排気弁駆動用カムの輪郭に対して、駄肉部の輪郭の突出高さが、駄肉部の全周にわたって概ね一様であることを特徴とする。
請求項1に係る発明では、互いに近接して配置された吸気弁駆動用カム及び排気弁駆動用カムを一体に形成した、鍛造品のカム軸に、さらに、これらの両カムの間に介在した余剰の駄肉部を一体に形成したものである。
つまり、成形用型のうち、互いに近接して配置された両カムの間に駄肉溜まり部を設けることにより、この駄肉溜まり部に余剰材料を流動させることができる。駄肉溜まり部に流動した余剰材料は余剰の駄肉、すなわち駄肉部となる。駄肉部は、互いに近接して配置された両カムの間に介在しているので、カムに影響を与えることはない。このため、鍛造による成形後の駄肉部を、切削加工等の後加工する必要がない。従って、鍛造製カム軸の製造工程を短縮することができるので、カム軸の製造コストを低減することができる。
さらに請求項1に係る発明では、駄肉部の輪郭を、吸気弁駆動用カムの輪郭及び排気弁駆動用カムの輪郭よりも大きくしたので、駄肉部の近傍に配置された油溜め部の潤滑油を掻き上げるための、油掻き上げ部材を兼ねることができる。つまり、油掻き上げ部材の両側にカムが近接しているので、油掻き上げ部材で掻き上げられた潤滑油は、飛散してカム面に付着する。この結果、カム面を潤滑することができる。しかも、カム軸に一体に形成された駄肉部が油掻き上げ部材を兼ねるので、別部材からなる油掻き上げ部材を設ける必要はない。このように、部品数が少なく簡便な構成によって、動弁機構の潤滑性を高めることができる。
請求項2に係る発明では、カム軸を鍛造するときに、カム軸の軸方向に互いに閉じ合う、固定型と可動型との型割り面に合致する位置に、駄肉部の外周面を配置したので、型合わせした部分に発生する多少のバリを、駄肉部の外周面に残したままでも差し支えない。このため、カム軸を成形した後のバリ取り工数を低減することができる。しかも、型割り面に駄肉部の外周面があるので、成形した後に、固定型に対する可動型の型開きが容易である。このため、駄肉部を有するカム軸の成形が一層容易である。
請求項3に係る発明では、駄肉部が、カム軸の軸線に対して直角な略平板状を呈しているので、成形した後に、固定型に対する可動型の型開きが容易である。しかも、平板状の駄肉部に付着した潤滑油を、遠心力によって径外方へ均一に飛散させることができる。このため、動弁機構の潤滑性を、より高めることができる。
請求項4に係る発明では、吸・排気弁駆動用カムの輪郭に対して、駄肉部の輪郭の突出高さを、駄肉部の全周にわたって概ね一様にしたものである。
鍛造時には、成形用型に設けられた駄肉溜まり部の全周にわたって、余剰の駄肉を概ね一様に流動させることができる。このため、余剰の駄肉の流動性が良いので、駄肉部を有するカム軸を、より一層容易に成形することができる。
本発明を実施するための最良の形態を添付図に基づいて以下に説明する。なお、「前」、「後」、「左」、「右」はクランク軸の動力取出し部側から見た方向に従う。
図1は本発明に係る内燃機関を正面から見た断面図であり、クランク軸21の動力取出し部側から見た内燃機関を示す。
図2は本発明に係る内燃機関を上から見た断面図であり、クランク軸21並びにシリンダ31に沿った断面構造を示す。
内燃機関10は、図1に示すように正面から見たとき、略水平なクランク軸21に対してシリンダ31を傾斜させた、すなわち、クランク中心線L1に対してシリンダ軸L2を傾斜させた、傾斜シリンダ型のOHC式空冷型単気筒エンジンである。以下、内燃機関10を詳しく説明する。
図2に示すように、内燃機関10のクランクケース11は、シリンダブロック12を一体に形成するとともに、正面側を開放し、その開放端を着脱可能なリッド13で塞いだボックスからなる。このようなクランクケース11は、内部空間を、取り外し可能な仕切り板14にて中央部のクランク室15と正面側の伝動室16とに仕切ったものである。クランク室15は、クランク軸21及びクランク軸21に対するカウンタバランサ22を収納し且つ回転可能に支持した構成である。クランク室15と伝動室16との間は、底部に溜まっている潤滑油Lu(図1参照)の流通が可能である。
クランク軸21は、前端の動力取出し部(PTO)21aが仕切り板14及びリッド13を貫通して正面側に延びるとともに、クランク室15でクランクピン23にコンロッド24を連結し、このコンロッド24にピストン25を連結したものである。
図1及び図2に示すように、シリンダブロック12は、内部にシリンダ軸L2を中心とするシリンダ31を形成するとともに、先端にシリンダヘッド32をボルト止めし、シリンダ31の先端部とシリンダヘッド32との間に燃焼室33を形成し、さらに、シリンダヘッド32に吸気口(図示せず)並びに排気口35を形成したものである。ピストン25はシリンダ31内を往復動が可能である。
シリンダヘッド32は先端部をヘッドカバー36で塞ぐことで、動弁室37を形成したものである。この動弁室37に動弁機構40を配置することになる。
動弁機構40は、それぞれ1個のカム軸41、ロッカ軸42、吸気弁用ロッカアーム43、吸気弁44、排気弁用ロッカアーム45及び排気弁46を主要構成要素として、シリンダヘッド32に取付けたものである。
カム軸41は、シリンダヘッド32で回転可能に支持されるとともに、クランク軸21で動力伝達機構50を介して駆動される構成であり、さらに、吸気弁駆動用カム61及び排気弁駆動用カム62を備える。
図2に示すように、動力伝達機構50は、伝動室16内でクランク軸21に取付けた駆動プーリ51と、カム軸41に取付けた従動プーリ52と、駆動・従動プーリ51,52間に掛け渡したベルト53とからなる。ベルト53はタイミングベルトである。
図1及び図2に示すように、カム軸41の回転に伴って、吸気弁駆動用カム61及び排気弁駆動用カム62が変位することにより、吸・排気弁用ロッカアーム43,45がスイングし、この結果、吸・排気弁44,46が所定の開閉タイミングで開閉する。
図2に示すように、伝動室16は、クランク軸21の駆動ギヤ71を介して駆動される、油飛散盤72を回転可能に収納したものである。油飛散盤72は伝動室16の低部に溜まっている潤滑油(図示せず)を掻き上げて、伝動室16内に飛散させる作用をなす。なお、伝動室16と動弁室37との間は、ベルト53を通すためのベルト挿通路54で連通している。
次に、伝動室16内の潤滑油による潤滑作用について、図1〜図3に基づき説明する。図3(a),(b)は本発明に係る動弁室及び動弁機構の要部構成図である。図3(a)は、図2の動弁室37及び動弁機構40の要部に対応させて表した。図3(b)は、図1の動弁室37及び動弁機構40の要部に対応させて表した。
伝動室16内の潤滑油は、次のようにして動弁室37内に導かれる。
先ず、図2に示すように、油飛散盤72は回転することで、伝動室16の低部(オイルパン)に溜まっている潤滑油を掻き上げて、伝動室16内に飛散させる。飛散した潤滑油は、ベルト53に直接に付着したり、駆動用プーリ51を介してベルト53に付着し、この結果、油滴になって運ばれる。付着した潤滑油は、ベルト53が従動プーリ52によってUターンするときに、遠心力によって外方へ飛散し、動弁室37等の内壁に衝突することで霧化する。霧化した潤滑油は、図1及び図2に示すように、動弁室37内に拡散し、動弁機構40の各部材の摺動部分に浸入して潤滑する。
このように、伝動室16内の潤滑油を、油飛散盤72やベルト53にて動弁機構40の各部材へ導いて、潤滑することができる。図1及び図3に示すように、潤滑した後の潤滑油Luは、動弁室37の底部における油溜め部37aに溜まる。油溜め部37aから溢れた潤滑油Luは、図1に示すように、油戻り通路73を通ってクランク室15に戻る。
ところで、図1に示すようにコンロッド24は、クランク室15の低部(オイルパン)における潤滑油Luを掻き上げるための、油掻き上げ部74(オイルデイッパ74)を備える。油掻き上げ部74は回転することで、クランク室15の低部に溜まっている潤滑油Luを掻き上げて、クランク室15及びシリンダ31内に飛散させることができる。飛散した潤滑油Luは、クランク室15及びシリンダ31内の各部材の摺動部分に浸入して潤滑する。
さらにクランク室15は、図1に示すように、オイルレベル検出器75(オイルアラート75)を備える。オイルレベル検出器75は、クランク室15内の潤滑油Luの油面が予め設定された下限レベルに低下したことを検出するセンサである。オイルレベル検出器75の検出信号に基づいて、内燃機関10を停止したり警報を発することができる。
次に、カム軸41の詳細について図4に基づき説明する。図4(a),(b)は本発明に係るカム軸の構成図であり、(a)は側方から見たカム軸41を示し、(b)は(a)のb−b線断面構成を示す。
カム軸41は、互いに近接して配置された吸気弁駆動用カム61及び排気弁駆動用カム62と、これらの吸・排気弁駆動用カム61,62(カム駒61,62)の間に介在した余剰の駄肉部63とを、一体に形成した鋼材の鍛造品である。図4(b)に示すように、吸気弁駆動用カム61に対する排気弁駆動用カム62の位相は、角度θだけずれている。カム軸41を軸方向から見たときに、これらのカム61,62の断面形状は、カム軸41から先端へ向かって先細りとなる、概ね卵形である。つまり、カム61,62のカム面61a,62a(外周面)は概ね卵形の輪郭を呈する。
駄肉部63は、吸気弁駆動用カム61及び排気弁駆動用カム62の輪郭よりも大きい輪郭とすることで、駄肉部63の近傍に配置された油溜め部37a(図3参照)の潤滑油Luを掻き上げる油掻き上げ部(オイルデイッパ)を兼ねた構成である。つまり、駄肉部63はカム軸41の径方向に膨出した膨出部である。
より詳しく述べると、駄肉部63は、カム軸41の軸方向の幅をWiとし、カム61,62の輪郭(つまり、カム面61a,62a)から突出する突出高さをHiとした、断面視略卵形の部材である。幅Wi及び突出高さHiは、例えば1〜2mm程度である。
カム軸41を軸方向から見たときに、駄肉部63の輪郭63a(外周面63a)はカム61,62の輪郭61a,62a(外周面61a,62a)に概ね沿った形状である。駄肉部63において、カム軸41の軸方向の両端面63b,63bは、カム軸41の中心L3(軸線L3)に直角な平坦面である。すなわち、駄肉部63は、カム軸41の軸線L3に対して直角な略平板状を呈している。
駄肉部63のうち、カム軸41の中心L3から最も長い部分における先端Tpまでの突出長さはLpである。図3及び図4に示すように、突出長さLpは駄肉部63のうち、少なくとも先端Tpの部分が、油溜め部37a内の潤滑油Luに浸る程度の大きさに、設定されることになる。
図3に示すように、カム軸41が回転することで、駄肉部63は油溜め部37aに溜まっている潤滑油Luを掻き上げることで、潤滑油Luを遠心力によって外方へ飛散させることができる。飛散した潤滑油Luは、動弁室37内に拡散し、動弁機構40の各部材の摺動部分に浸入して潤滑する。
次に、型鍛造(closed-die forging)によるカム軸41の製造工程について、図5に基づき説明する。図5(a),(b)は本発明に係るカム軸の製造工程図であり、(a)は成形用型にカム軸素材をセットする状態を示し、(b)は成形用型でカム軸を製造した状態を示す。
先ず、図5(a)に基づいて成形用型80の概要を説明する。成形用型80は、固定型81と、固定型81に対して移動可能な可動型91とからなり、型鍛造で用いる。
固定型81は、固定型81のパーティング面(型割り面)82に臨んで開口した駄肉溜まり部83と、駄肉溜まり部83よりも奥に配置した第1カム成形部84と、第1カム成形部84よりも奥に配置した円筒状の軸挿通部85とを、同心上に形成したものである。
可動型91は、可動型91のパーティング面(型割り面)92に臨んで開口した駄肉溜まり部93と、駄肉溜まり部93よりも奥に配置した第2カム成形部94と、第2カム成形部94よりも奥に配置した円筒状の軸挿通部95とを、同心上に形成したものである。
図4を参照しつつ説明すると、第1カム成形部84は排気弁駆動用カム62を成形する部分であり、第2カム成形部94は吸気弁駆動用カム61を成形する部分である。第1カム成形部84に対して第2カム成形部94の位相は異なる。
駄肉溜まり部83,93は、駄肉部63のそれぞれ半分ずつを成形する部分である。従って、駄肉部63の外周面63aには、固定型81のパーティング面82と可動型91のパーティング面92とを型合わせしたことによる、パーティングラインPaが残ることになる。
鍛造にてカム軸41を製造するには、例えば次のような工程による。
先ず、鋼材からなる一定長さの円柱の素材を準備する。
次に、その素材に絞り加工を施すことで、図5(a)に示すように長手中央部に大径のカム形成部66を形成したカム半完成品67を得る。
次に、図5(a)に示すように、固定型81にカム半完成品67の一端側をセットする。次に、固定型81に対して可動型91を移動させて、カム半完成品67の他端側に被せる。
次に、エアハンマ等の型打ち機(図示せず)を用いて、固定型81及び可動型91にて型打ちする。型内面の圧迫によって押し流された余剰材料(偏肉や余剰肉)は、パーティング面82,92に形成された駄肉溜まり部83,93(張り溝83,93)に流動する。このようにして、図5(b)に示すように鍛造製のカム完成品、すなわち、カム軸41を成形する。
次に、可動型91を移動して開いた後に、固定型81からカム軸41を抜き取り、製造工程を完了する。この結果、図4に示すカム軸41が完成する。
以上の説明をまとめると、次の通りである。
本発明は、図4に示すように、互いに近接して配置された吸気弁駆動用カム61及び排気弁駆動用カム62を一体に形成した、鍛造品のカム軸41に、さらに、これらの両カム61,62の間に介在した余剰の駄肉部63を一体に形成したことを特徴とする。
吸気弁駆動用カム61に対して排気弁駆動用カム62の位相は角度θだけ異なる。このため、図4及び図5に示すように、鍛造によるカム軸41の成形時において、成形用型80における内面の圧迫によって押し流された余剰材料(偏肉や余剰肉)が生じる。このような余剰材料を、カム61,62に影響を与えない箇所へ流動させる必要がある。
そこで、本発明では、互いに近接して配置された両カム61,62の間に余剰の駄肉部63を介在させることにした。つまり、成形用型80のうち、互いに近接して配置された両カム61,62の間に駄肉溜まり部83,93を設け、この駄肉溜まり部83,93に余剰材料を流動させることができる。駄肉溜まり部83,93に流動した余剰材料は余剰の駄肉、すなわち駄肉部63となる。駄肉部63は、互いに近接して配置された両カム61,62の間に介在しているので、これらのカム61,62に影響を与えることはない。このため、鍛造による成形後の駄肉部63を、切削加工等の後加工する必要がない。従って、鍛造製カム軸41の製造工程を短縮することができるので、カム軸41の製造コストを低減することができる。
さらに本発明では、図3及び図4に示すように、駄肉部63の輪郭63aを、吸気弁駆動用カム61の輪郭61a及び排気弁駆動用カム62の輪郭62aよりも大きくしたので、駄肉部63の近傍に配置された油溜め部37aの潤滑油Luを掻き上げるための、油掻き上げ部材を兼ねることができる。つまり、油掻き上げ部材63の両側にカム61,62が近接しているので、油掻き上げ部材63で掻き上げられた潤滑油Luは、飛散してカム面61a,62aに付着する。この結果、カム面61a,62aを潤滑することができる。しかも、カム軸41に一体に形成された駄肉部63が油掻き上げ部材を兼ねるので、別部材からなる油掻き上げ部材を設ける必要はない。このように、部品数が少なく簡便な構成によって、動弁機構40の潤滑性を高めることができる。
ところで、図4及び図5に示すように、カム軸41は成形用型80による成形であるため、カム61,62には型割り面82,92上でバリが発生し得る。このため、両カム61,62の隣接部分、すなわち、型割り面82,92(パーティング面82,92)付近のカム61,62の形状を複雑にするか、必要なカム面を確保するために幅広のカム型割り面とする必要がある。
これに対して本発明では、カム軸41を鍛造するときに、カム軸41の軸方向に互いに閉じ合う、固定型81と可動型91との型割り面82,92に合致する位置に、駄肉部63の外周面63a(輪郭63a)を配置したので、型合わせした部分に発生する多少のバリを、駄肉部63の外周面63aに残したままでも差し支えない。このため、カム軸41を成形した後のバリ取り工数を低減することができる。しかも、型割り面82,92に駄肉部63の外周面63aがあるので、成形した後に、固定型81に対する可動型91の型開きが容易である。このため、駄肉部63を有するカム軸41の成形が一層容易である。
さらに本発明では、駄肉部63が、カム軸41の軸線L3に対して直角な略平板状を呈している。このため、図4及び図5に示すように、成形した後に、固定型81に対する可動型91の型開きが容易である。
しかも、図3及び図4に示すように、平板状の駄肉部63に付着した潤滑油Luを遠心力によって、径外方へ均一に飛散させることができる。このため、動弁機構40の潤滑性を、より高めることができる。
さらに本発明では、図4及び図5に示すように、吸・排気弁駆動用カム61,62の輪郭61a,62aに対して、駄肉部63の輪郭63aの突出高さHiを、駄肉部63の全周にわたって概ね一様にしたものである。
鍛造時には、成形用型80に設けられた駄肉溜まり部83,93の全周にわたって、余剰の駄肉を概ね一様に流動させることができる。このため、余剰の駄肉の流動性が良いので、駄肉部63を有するカム軸41を、より一層容易に成形することができる。
なお、本発明の実施の形態において、駄肉部63は、カム軸41の中心L3を基準とした円形であってもよい。
本発明のカム軸41は、各種の内燃機関10に採用、特に農・作業機等に搭載される小型の汎用エンジンや、自動車用エンジンの動弁機構に用いるのに好適である。
本発明に係る内燃機関を正面から見た断面図である。 本発明に係る内燃機関を上から見た断面図である。 本発明に係る動弁室及び動弁機構の要部構成図である。 本発明に係るカム軸の構成図である。 本発明に係るカム軸の製造工程図である。 従来の内燃機関のカムの製造方法及びカムの説明図である。 従来の内燃機関の動弁機構の概要図である。
符号の説明
10…内燃機関、37a…油溜め部、41…カム軸、61…吸気弁駆動用カム、61a…吸気弁駆動用カムの輪郭、62…排気弁駆動用カム、62a…排気弁駆動用カムの輪郭、63…駄肉部(油掻き上げ部材)、63a…駄肉部の輪郭(外周面)、81…固定型、82…固定型の型割り面、91…可動型、92…可動型の型割り面、L3…カム軸の軸線、Lu…潤滑油、Hi…駄肉部の輪郭の突出高さ。

Claims (4)

  1. 内燃機関の吸気弁及び排気弁の開閉に用いられるカム軸において、
    このカム軸は、互いに近接して配置した吸気弁駆動用カム及び排気弁駆動用カムと、これらの吸・排気弁駆動用カムの間に介在した余剰の駄肉部とを、一体に形成した鍛造品であり、
    前記駄肉部は、前記吸気弁駆動用カムの輪郭及び前記排気弁駆動用カムの輪郭よりも大きい輪郭とすることで、駄肉部の近傍に配置された油溜め部の潤滑油を掻き上げる油掻き上げ部材を兼ねた構成であることを特徴とした内燃機関のカム軸。
  2. 前記駄肉部の外周面は、前記カム軸の鍛造のときにカム軸の軸方向に互いに閉じ合う、固定型と可動型との型割り面に合致する位置に配置していることを特徴とした請求項1記載の内燃機関のカム軸。
  3. 前記駄肉部は、前記カム軸の軸線に対して直角な略平板状を呈していることを特徴とした請求項1又は請求項2記載の内燃機関のカム軸。
  4. 前記吸・排気弁駆動用カムの輪郭に対して、前記駄肉部の輪郭の突出高さは、駄肉部の全周にわたって概ね一様であることを特徴とした請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の内燃機関のカム軸。
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