JP4323185B2 - 印刷版用円筒状クッション構成体 - Google Patents

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    • B41N6/00Mounting boards; Sleeves Make-ready devices, e.g. underlays, overlays; Attaching by chemical means, e.g. vulcanising

Description

【0001】
【本発明の属する技術分野】
本発明は、印刷機に装着して用いる継ぎ目のないクッション層を有する円筒状クッション構成体およびその製造方法に関する。特にフレキソ印刷分野に適した円筒状クッション構成体およびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
フレキソ印刷分野において用いる印刷機には、印刷版を装着するための版胴が装着されている。通常、印刷版を版胴に取り付ける場合、印刷品質の向上を目的として、先ず版胴上にウレタンフォーム等のクッション版を、接着剤を用いて装着し、その上にパターンを形成した印刷版を固定することが広く行なわれている。したがって、この場合、2度の位置合わせと固定作業が必要となる。更に、クッション板および印刷版を固定する作業では、膜厚均一性の高い接着剤層が必要であり、接着剤層との間に気泡が入らないように細心の注意払うことが必要となる。気泡が入ると厚み精度を大幅に低下させ、更には印刷物の品質の低下を招くという問題を抱えていた。
【0003】
作業の簡略化と厚み精度確保を目的として、印刷版とクッションシートを一体化させたものを用いることが行なわれている。クッションシートと印刷版を一体化させたものが、特開平7−28229号、特開平9−160224号、特開平11−184072号の各公報で提案されている。しかしながら、一体化させた印刷版においても版胴への位置合わせ工程と固定する作業が必要となる。また、感光性樹脂を撹拌することにより気泡を導入し、光硬化させたものをクッション層として使用することが、特開昭61−182043号公報、特開平3−136051号公報に記載されているが、気泡の安定性不足から経時で版厚が変化してしまうという問題があった。更に、膨張させた微小球を用いたクッション層に関する記載がWO01/49510号公報にあるが、シート状に成形されたもののみであり、円筒状であって、しかも継ぎ目のないクッション層に関する記載は一切ない。
【0004】
スリーブコア層、クッション層、剛性層および継ぎ目のない印刷レリーフ層がこの順番で配置されたシームレススリーブ印刷版構成体が、特開2003−025749号公報に記載がある。しかしながら、この特許ではクッション層をスリーブコア層に接着剤を介して巻き付け固定する構造であり、作製工程が単純ではない。また、隔壁を有する気泡についての記載もない。
日本国特許第2846955号公報に、可燒性支持体、クッション層、レーザー彫刻可能な印刷版層をこの順序で積層したシート状多層印刷版に関する記載があり、その中で円筒状物体上に前記シート状多層印刷を巻き付け、継ぎ目の部分を溶着させる方法が述べられている。しかしながら、この方法は、円筒状物体上への貼り付け工程、継ぎ目の部分の溶着工程、更には継ぎ目の部分で盛り上がった箇所を圧縮する工程が必要であり、極めて煩雑な処理が必要となる。また、この特許の中で使用されているクッション層には、隔壁を有する気泡についても一切記載されていない。
【0005】
また、日本国特許第3357587号公報に、高速オフセット輪転印刷機用に使用される円筒状の印刷用ブランケットの記載がある。この特許では、多層からなるブランケット積層体の一部、すなわち円筒状支持体上の第一圧縮性層の中に、中空状微粒子を含有させることが記述されている。ただし、熱膨張性の微粒子という記載はない。また、加硫により架橋させるゴムをバインダーとして用いており、円筒状物への成形後、研磨により厚み精度を確保している。したがって、加硫ゴム系材料を用いているため、加硫架橋工程およびその安定化工程に多大な時間を要することが大きな問題である。
このように、これまで種々のクッション材料、印刷版構成体が提案されている。しかし、厚さ精度、寸法精度よく短時間で提供でき、かつ、作業性の問題を解決した材料は知られていなかった。
【0006】
【特許文献1】
特開平7−28229号公報
【特許文献2】
特開平9−160224号公報
【特許文献3】
特開平11−184072号公報
【特許文献4】
特開昭61−182043号公報
【特許文献5】
特開平3−136051号公報
【特許文献6】
WO01/49510号パンフレット
【特許文献7】
特開2003−025749号公報
【特許文献8】
日本国特許第2846955号公報
【特許文献9】
日本国特許第3357587号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
クッション層の厚み精度が高く、クッション層の経時的な変化が少なく、また、短時間で成形でき、更に印刷版を印刷機に装着する際の作業を簡略化できる印刷版用円筒状クッション構成体の提供。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは鋭意検討し、印刷版用円筒状クッション構成体が、円筒状支持体(A)上に、継ぎ目のないクッション層(B)を、積層された積層体であって、前記クッション層が隔壁を有する気泡を含有した感光性樹脂硬化物層であることにより、上記の課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。すなわち、均一なクッション効果が得られように、継ぎ目がなく、隔壁を有する独立気泡を含有する短時間で成形可能なクッション層を用いることが、本発明の設計思想である。また、本発明の円筒状クッション構成体は、円筒状支持体上に継ぎ目のないクッション層が形成されているため、パターンを形成した印刷版を直接貼り付けることができるため、従来から行なわれている版胴上での印刷版の位置合わせ工程、印刷版の固定作業を簡略化することができる。
【0009】
本発明は下記の通りである
【0010】
. 印刷版用円筒状クッション構成体の製造方法において、(i)熱膨張性マイクロカプセルを含有した感光性樹脂層(g)を円筒状支持体上に積層する工程、(ii)得られた積層体を60〜250℃に加熱して該膨張性マイクロカプセルを膨張させることにより前記樹脂層(g)の厚さを1.1から100倍に膨張させ、継ぎ目のない円筒状クッション層(B)を形成する工程を含み、かつ円筒状支持体(A)上に形成した熱膨張性マイクロカプセルを含有する樹脂層(g)を熱膨張させる工程において、該円筒状支持体(A)と一定の間隔を離して設置された板状あるいはロール状物体(h)の間を、樹脂層(g)を加熱しながら円筒状支持体(A)を回転させることにより前記樹脂層(g)を、前記物体(h)に接触させながら通過させること、および(iii)光照射により感光性樹脂層(g)を硬化させる工程が、工程(ii)の前あるいは後に実施されることを特徴とする印刷版用円筒状クッション構成体の製造方法。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について、特にその好ましい実施態様を中心に、詳細に説明する。
本発明の方法によって得られる印刷用円筒状クッション構成体は、円筒状支持体(A)上に、隔壁を有する気泡を含有する継ぎ目のない感光性樹脂硬化物層からなるクッション層(B)を形成した積層体である。
本発明の印刷用円筒状クッション構成体の製造方法は、(i)熱膨張性マイクロカプセルを含有した感光性樹脂層(g)を円筒状支持体(A)上に形成する工程、(ii)得られた感光性樹脂層(g)を60〜250℃に加熱して前記マイクロカプセルを膨張させることにより前記感光性樹脂層(g)の厚さを1.1から100倍に膨張させ、継ぎ目のない円筒状クッション層(B)を形成する工程を含み、円筒状支持体(A)上に形成した熱膨張性マイクロカプセルを含有する樹脂層(g)を熱膨張させる工程において、該円筒状支持体(A)と一定の間隔を離して設置された板状あるいはロール状物体(h)の間を、樹脂層(g)を加熱しながら円筒状支持体(A)を回転させることにより前記樹脂層(g)を、前記物体(h)に接触させながら通過させること、および(iii)光照射により感光性樹脂層(g)を硬化させる工程が、工程(ii)の前あるいは後に実施されることを特徴とする方法である。熱膨張性マイクロカプセルを含有する感光性樹脂組成物を光硬化させることにより、該熱膨張性マイクロカプセルを膨張させる前あるいは後で、光照射により感光性樹脂層(g)を硬化させる。光を使って架橋硬化させる方法は、装置が簡便で厚み精度が高くでき、更に短時間で硬化反応を完了させ硬化物の機械的物性を確保できるなどの利点を有し好適である。硬化に用いられる光源としては高圧水銀灯、超高圧水銀灯、紫外線蛍光灯、カーボンアーク灯、キセノンランプ等が挙げられ、その他公知の方法で硬化を行うことができる。また、複数の種類の光源の光を照射しても構わない。感光性樹脂組成物を光で硬化させる場合、表面に透明なカバーフィルムを被覆し、酸素を遮断した状態で光を照射することもできる。更に、クッション層(B)上に感光性樹脂組成物層を形成し、円筒状の印刷版を作製する場合、該感光性樹脂組成物層を光硬化させる工程で、該クッション層を一緒に光硬化させることもできる。
【0013】
本発明の特徴は、隔壁を有する独立気泡を含有し、かつ継ぎ目のない感光性樹脂硬化物層からなるクッション層(B)を円筒状支持体上に容易に形成できることである。すなわち、熱膨張性のあるマイクロカプセルを含有する感光性樹脂組成物を円筒状支持体上に塗布して形成する。形成方法は特に限定するものではないが、スプレーコート法、リバースローラー塗工法、ブレードコート法、グラビアコート法、キスタッチ塗工法、高圧エアナイフ塗工法など、一般的に用いられている塗布方法を挙げることができる。
したがって、シート状に成形されたクッション層を円筒状支持体上に貼り付け、継ぎ目の部分を溶着させ、更に、研磨あるいは切削することにより継ぎ目を無くしたクッション積層体は、本発明の製造方法で得られる印刷版用クッション構成体には含まれない。
【0014】
熱膨張させて形成したクッション層(B)の厚さは、熱膨張マイクロカプセルを膨張させる前の厚さの1.1倍から100倍の範囲、より好ましくは1.1倍から50倍の範囲であることが望ましい。1.1倍以上であれば、クッション性を得ることができ、100倍以下であればクッション層の機械的強度を得ることができる。クッション層の厚さは、断面を露出させ走査型電子顕微鏡あるいは光学顕微鏡を用いて観察することが好ましい。
【0015】
クッション層(B)内に存在する隔壁を有する気泡の平均径は0.5μm以上500μm以下であることが好ましい。0.5μm以上であれば、クッション性を付与することができ、500μm以下であれば厚さ数mmのクッション層においても機械的物性の確保が可能である。クッション層内の気泡の大きさは、光学顕微鏡、あるいはレーザー共焦点顕微鏡を用いて観察することが好ましい。クッション層の厚さが数mm以上に厚い場合には、深い場所に存在する気泡を、顕微鏡を用いて観察することが困難となるため、クッション層を面方向に平行に薄くスライスして得られた切片を顕微鏡で観察することが好ましい。薄くスライスする装置としては、電子顕微鏡観察用サンプルを作製するために使用されるミクロトーム等の機器を使用することが好ましい。
【0016】
隔壁の厚さの平均値は、0.05μm以上10μm以下であることが好ましい。0.05μm以上であれば気泡を保持することができ、10μm以下でればクッション性を確保することが可能である。隔壁の厚さは、クッション層を切断し、切断された面内に存在する気泡の切断面を高分解能走査型電子顕微鏡を用いて観察し、評価することができる。
クッション層(B)の好ましい密度の範囲は、0.1g/cm3以上0.9g/cm3以下、より好ましくは0.3g/cm3以上0.7g/cm3以下である。0.1g/cm3以上であれば、クッション層の機械的強度を確保することができ、0.9g/cm3以下であればクッション性を確保することができる。
クッション層の形成には、感光性樹脂組成物を用いることが好ましく、そうすることにより取り扱いの容易さ、機械的物性を短時間で大幅に向上させることができる。
【0017】
感光性樹脂組成物は、熱膨張性マイクロカプセル以外に、少なくとも1種類以上のバインダー(a)、少なくとも1種類以上のエチレン性不飽和化合物(b)、少なくとも1種類以上の光重合開始剤(c)を有する化合物であることが好ましい。また、20℃において液状であることが成形性の観点から好ましく、膜厚の均一な継ぎ目のない層を形成することができる。また、成形する膜厚が薄い場合には、粘度を低く抑えることが望ましい。粘度を低くする方法としては、溶剤を添加する方法が簡便である。
【0018】
熱膨張性マイクロカプセルは、熱可塑性エラストマーを隔壁とし内部に揮発性有機系液体を含有する微粒子であり、60から250℃、より好ましくは100から200℃に加熱することにより体積膨張する。通常用いられる熱可塑性エラストマーとしては、ポリ塩化ビニリデン、ポリアクリロニトリル、ポリメチルメタクリレートなどを挙げることができる。また、揮発性有機系液体としては、ブタン、イソブタン、ブテン、イソブテン、ペンタン、イソペンタン、ネオペンタン、ヘキサン、ヘプテン等の炭化水素を挙げることができる。熱膨張性マイクロカプセルを用いることにより、熱膨張した時に比較的粒子径の揃った独立気泡を形成できる。また、隔壁は無機系微粒子でコーティングされていても構わない。無機系微粒子としては、シリカ、炭酸カルシウム、酸化チタン等を挙げることができる。
【0019】
円筒状支持体(A)上に形成した熱膨張性マイクロカプセルを含有する感光性樹脂層(g)を熱膨張させる工程において、該円筒状支持体(A)と一定の間隔を離して設置された板状あるいはロール状物体(h)との間を、感光性樹脂層(g)を加熱しながら円筒状支持体(A)を回転させることにより前記感光性樹脂層(g)を、前記物体(h)に接触させながら通過させることが、均一な厚さのクッション層(B)を形成させる方法として好ましい。加熱する方法としては、熱風を吹付ける方法、赤外線を照射する方法、ヒーターを用いて加熱された板状あるいはロール状物体(h)を通して加熱する方法などを挙げることができ、これらの方法を組み合わせて使用することもできる。また、加熱による発泡を急速に停止させる方法として、冷風を吹付け冷却する方法、あるいは冷却ロールまたは冷却板に接触させる方法を挙げることができる。
【0020】
バインダー(a)としては、公知の高分子化合物を用いることができる。具体的には、合成ゴム、熱可塑性エラストマー等のゴム弾性のある化合物が好ましく、天然ゴム、スチレンブタジエンゴム、アクリロニトリルブタジエンゴム、ポリブタジエンゴム、ポリイソプレンゴム、エチレンプロピレンゴム、モノビニル置換芳香族炭化水素と共役ジエンモノマーとの重合物が好ましい。該モノビニル置換芳香族炭化水素モノマーとしては、スチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−メトキシスチレンなどが、また共役ジエンモノマーとしてはブタジエン、イソプレンなどが用いられ、熱可塑性エラストマーの代表的な例としてはスチレン−ブタジエンブロック共重合体、スチレン−イソプレンブロック共重合体などが挙げられる。
【0021】
感光性樹脂組成物の不揮発成分全重量に基づいて、バインダー(a)成分は10〜90wt%の範囲であることが好ましく、より好ましくは20〜80wt%、さらに好ましくは30〜69wt%である。
感光性樹脂組成物に含まれるエチレン性不飽和化合物(b)としては感光性樹脂に使用される公知のエチレン性不飽和化合物を使用することができる。例えば、t−ブチルアルコールやラウリルアルコールなどのアルコールとアクリル酸のエステル、ラウリルマレイミド、シクロヘキシルマレイミド、ベンジルマレイミドなどのマレイミド誘導体、あるいはジオクチルフマレートなどのアルコールのフマル酸エステル、更にはヘキサンジオール(メタ)アクリレート、ノナンジオール(メタ)アクリレート、トリメチロール(メタ)アクリレートなどの多価アルコールとアクリル酸、メタクリル酸とのエステルなどを単独、または組み合わせて感光性樹脂組成中に使用することができる。
【0022】
感光性樹脂組成物に含まれる光重合開始剤(c)としては、公知の光重合開始剤を使用することができる。例えば、芳香族ケトン類やベンゾイルエーテル類などの公知のラジカル重合開始剤を使用することができる。例えば、ベンゾフェノン、ミヒラーケトン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、α−メチロールベンゾインメチルエーテル、α−メトキシベンゾインメチルエーテル、2,2−ジメトキシフェニルアセトフェノンなどの中から使用することができ、それらを組み合わせても使用できる。
その他、感光性樹脂層(g)を形成するための感光性樹脂組成物には、重合禁止剤、紫外線吸収剤、染料、顔料、滑剤、界面活性剤、可塑剤、香料などを添加することもできる。
【0023】
本発明の製造方法により得られる円筒状クッション構成体の上に、パターンを形成された印刷版を貼り付けるだけでなく、クッション層の上に印刷用パターンを形成するための感光性樹脂層を形成させ、レーザービームを走査することによりビームの照射された部分が光硬化し、未硬化部を現像工程により除去することにより凹凸パターンを形成させた印刷版、更には、該感光性樹脂層を全面光硬化させ、その後レーザービームを走査することによりビームの照射された部分を除去することにより凹凸パターンを形成させたレーザー彫刻印刷版を積層することもできる。
【0024】
円筒状クッション構成体の上に円筒状に感光性樹脂組成物層を成形する方法は、既存の樹脂の成形方法を用いることができる。例えば、注型法、ポンプや押し出し機等の機械で樹脂をノズルやダイスから押し出し、ブレードで厚みを合わせる、ロールによりカレンダー加工して厚みを合わせる方法等が例示できる。その際、樹脂の性能を落とさない範囲で加熱しながら成形を行なうことも可能である。また、シート状に成形された感光性樹脂版を円筒状クッション構成体上に巻きつけ継ぎ目部を溶着し、その後圧延、研摩あるいは切削することにより継ぎ目のない積層体を作製することもできる。円筒状クッション構成体上に感光性樹脂組成物層を形成する場合、感光性樹脂組成物層中の低分子成分が、クッション層側に移行する可能性があり、その後のパターン形成性に影響することがあるので、クッション層と感光性樹脂組成物層中の低分子成分を同じ化合物を用い、濃度についても10%以内、好ましくは5%以内で同程度にしておくことにより、移行を抑制することもできる。
【0025】
レーザー彫刻可能な感光性樹脂硬化物層を形成する場合、感光性樹脂組成物を円筒状支持体上に塗布した後、光を全面に照射し該感光性樹脂組成物を硬化・固化させる装置内に、レーザー彫刻用のレーザー光源を組み込んだ円筒状印刷原版成形・彫刻装置を用いて印刷版を形成することもできる。このような装置を用いた場合、円筒状印刷原版を形成した後、直ちにレーザー彫刻し印刷版を形成することができ、成形加工に数週間の期間を必要としていた従来のゴムスリーブでは到底考えられない短時間加工が実現可能となる。円筒状印刷原版を作製する工程において、感光性樹脂組成物を用いることにより円筒状印刷原版を極めて短時間で作製することが可能である。
【0026】
本発明で用いる円筒状支持体(A)は、剛直性支持体であっても可燒性支持体であっても構わない。本発明で用いる円筒状支持体の役割は、印刷原版の寸法安定性を確保することである。したがって、寸法安定性の高いものを選択することが好ましい。線熱膨張係数を用いて評価すると、好ましい材料の上限値は100ppm/℃以下、更に好ましくは70ppm/℃以下である。材料の具体例としては、ポリエステル樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリビスマレイミド樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリフェニレンチオエーテル樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、全芳香族ポリエステル樹脂からなる液晶樹脂、全芳香族ポリアミド樹脂、エポキシ樹脂、あるいはニッケル、ステンレス等の金属などを挙げることができる。また、これらの樹脂を積層して用いることもできる。
【0027】
また、円筒状支持体の線熱膨張係数を小さくする方法として、充填剤を添加する方法、全芳香族ポリアミド等のメッシュ状クロス、ガラスクロスなどに樹脂を含浸あるいは被覆する方法などを挙げることができる。充填剤としては、通常用いられる有機系微粒子、金属酸化物あるいは金属等の無機系微粒子、有機・無機複合微粒子などを用いることができる。また、多孔質微粒子、内部に空洞を有する微粒子、マイクロカプセル粒子、低分子化合物が内部にインターカレーションする層状化合物粒子を用いることもできる。特に、アルミナ、シリカ、酸化チタン、ゼオライト等の金属酸化物微粒子、ポリスチレン・ポリブタジエン共重合体からなるラテックス微粒子、高結晶性セルロース、生物が生成した高結晶性セルロースナノファイバー等の天然物系の有機系微粒子、繊維等が有用である。繊維強化プラスチック(FRP)等の材料は、円筒状支持体として特に有用である。
【0028】
本発明で用いる円筒状支持体の表面に物理的、化学的処理を行うことにより、クッション層との接着性を向上させることができる。物理的処理方法としては、サンドブラスト法、微粒子を含有した液体を噴射するウエットブラスト法、コロナ放電処理法、プラズマ処理法、紫外線あるいは真空紫外線照射法などを挙げることができる。また、化学的処理方法としては、強酸・強アルカリ処理法、酸化剤処理法、カップリング剤処理法などである。また、接着剤層を形成しても構わない。
【0029】
ッション層(B)は、感光性樹脂組成物を硬化させて形成したものであり、分析することが可能である。感光性樹脂の場合、エチレン性不飽和化合物(b)の重合性不飽和基、あるいはバインダーとエチレン性不飽和化合物(b)の重合性不飽和基が反応することにより3次元架橋構造が形成され、通常用いるエステル系、ケトン系、芳香族系、エーテル系、アルコール系、ハロゲン系溶剤に不溶化する。この反応は、エチレン性不飽和化合物(b)同士、バインダー同士、あるいはバインダーとエチレン性不飽和化合物(b)との間で起こり、重合性不飽和基が消費される。また、光重合開始剤を用いて架橋硬化させる場合、光重合開始剤が光により分解されるため、前記架橋硬化物を溶剤で抽出し、GC−MS法(ガスクロマトグラフィーで分離したものを質量分析する方法)、LC−MS法(液体クロマトグラフィーで分離したものを質量分析する方法)、GPC−MS法(ゲル浸透クロマトグラフィーで分離し質量分析する方法)、LC−NMR法(液体クロマトグラフィーで分離したものを核磁気共鳴スペクトルで分析する方法)を用いて解析することにより、未反応の光重合開始剤および分解生成物を同定することができる。更に、GPC−MS法、LC−MS法、GPC−NMR法を用いることにより、溶剤抽出物中の未反応のバインダー、未反応のエチレン性不飽和化合物(b)、およびエチレン性不飽和基が反応して得られる比較的低分子量の生成物についても溶剤抽出物の分析から同定することができる。
3次元架橋構造を形成した溶剤に不溶の高分子量成分については、熱分解GC−MS法を用いることにより、高分子量体を構成する成分として、重合性不飽和基が反応して生成した部位が存在するかを検証することが可能である。例えば、メタクリレート基、アクリレート基、ビニル基等の重合性不飽和基が反応した部位が存在することを質量分析スペクトルパターンから推定することができる。熱分解GC−MS法とは、試料を加熱分解させ、生成するガス成分をガスクロマトグラフィーで分離した後、質量分析を行なう方法である。架橋硬化物中に、未反応の重合性不飽和基又は重合性不飽和基が反応して得られた部位と共に、光重合開始剤に由来する分解生成物や未反応の光重合開始剤が検出されると、感光性樹脂組成物を光架橋硬化させて得られたものであると結論付けることができる。
【0030】
【実施例1】
スチレン−ブタジエンコポリマー(旭化成株式会社製、商標「タフプレンA」)60重量部、液状ポリブタジエン(日本石油化学株式会社製、商標「B−2000」)29重量部、1,9−ノナンジオールジアクリレート7重量部、2,2−ジメトキシ−フェニルアセトフェノン2重量部、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール1重量部、熱膨張性カプセル(松本油脂製薬株式会社製、商標「マツモトマイクロスフェアーF−30VS」、最適発泡温度110〜120℃、乾燥重量)1重量部をニーダーにて混錬し、得られた混錬物10重量部に対して、トルエン60重量部を混合し、均一な溶液である感光性樹脂組成物(カ)を得た。
【0031】
得られた感光性樹脂組成物(カ)を、円筒状支持体であるガラス繊維強化プラスチックスリーブ上に所定量の感光性樹脂組成物を載せ、前記スリーブを中心軸の周りに回転させながらブレードコート法を用いて均一に塗布し、その後溶剤であるトルエンを乾燥除去することにより、継ぎ目のない樹脂層を得ることができた。得られた樹脂層の厚さは、150μmであった。その後、前記樹脂層を有する円筒状積層体と加熱機構を有する金属性ロールとを接触するように配置し、両者を回転させながら金属性ロールの加熱を開始し、150℃まで加熱した。熱膨張性カプセルが膨張を開始したことを確認後、円筒状積層体と金属ロールとの間隔を除々に広げた。円筒状積層体と金属ロールの接触部から少し離れた位置に冷却用の金属ロールを配置し、円筒状積層体との間隔を550μmに設定した。この冷却ロールも円筒状積層体の回転速度と同じ速度で回転させた。この加熱処理により、熱膨張性マイクロカプセルを膨張させ、厚さ550μmのクッション層(α)を得た。
【0032】
得られたクッション層は、失透しており熱膨張性マイクロカプセルが膨張していることを確認した。表面近傍の気泡径を、光学顕微鏡を用いて観察したところ、クッション層(α)では、70%以上の気泡が30から60μmの範囲に入り、平均値は48μmであった。
作製された円筒状クッション積層体の径を10箇所測定したところ、精度は10μm以内に入っていた。
【0033】
【実施例2】
スチレン−ブタジエンコポリマー(旭化成株式会社製、商標「タフプレン912」)8.5重量部、熱膨張性マイクロカプセル(松本油脂製薬株式会社製、商標「マツモトマイクロスフェアーF−55」、最適発泡温度135〜145℃、乾燥重量)2.5重量部、2−ヒドロキシメタクリレート2重量部、硬化剤〔トリメチロールプロパン(1モル)のトルエンジイソシアネート(3モル)付加物〕1重量部、トルエン60重量部を混合し、均一な溶液である樹脂組成物(キ)を得た。
【0034】
円筒状積層体と冷却ロールとの間隔を1.2mmとする以外は、実施例1と同様の加熱処理を行うことにより、厚さ1.2mmのクッション層(β)を得た。
得られたクッション層は、失透しており熱膨張性マイクロカプセルが膨張していることを確認した。表面近傍の気泡径を、光学顕微鏡を用いて観察したところ、クッション層(β)では、70%以上の気泡が40から70μmの範囲に入り、平均値は59μmであった。
作製された円筒状クッション積層体の径を10箇所測定したところ、精度は10μm以内に入っていた。
【0035】
【比較例1】
実施例と同じ円筒状支持体上に厚さ25μmの両面テープを貼り付け、その上に連続気泡を有する厚さ1mmの発泡ポリウレタンシートを貼り付けたが、所々気泡が入ってしまい、その部分が100μm以上盛り上がってしまった。また、隙間が発生しないように継ぎ目を注意深く合わせる作業を行なったが、隙間を0.5mm以下に抑えることはできなかった。
【0036】
【発明の効果】
クッション層の厚み精度が高く、クッション層の経時的な変化が少なく、また、短時間で成形でき、更に印刷版を印刷機に装着する際の作業を簡略化できる印刷版用円筒状クッション構成体の提供が可能になった。

Claims (1)

  1. 印刷版用円筒状クッション構成体の製造方法において、(i)熱膨張性マイクロカプセルを含有した感光性樹脂層(g)を円筒状支持体上に積層する工程、(ii)得られた積層体を60〜250℃に加熱して該膨張性マイクロカプセルを膨張させることにより前記樹脂層(g)の厚さを1.1から100倍に膨張させ、継ぎ目のない円筒状クッション層(B)を形成する工程をふくみ、かつ円筒状支持体(A)上に形成した熱膨張性マイクロカプセルを含有する樹脂層(g)を熱膨張させる工程において、該円筒状支持体(A)と一定の間隔を離して設置された板状あるいはロール状物体(h)の間を、樹脂層(g)を加熱しながら円筒状支持体(A)を回転させることにより前記樹脂層(g)を、前記物体(h)に接触させながら通過させること、および(iii)光照射により感光性樹脂層(g)を硬化させる工程が、工程(ii)の前あるいは後に実施されることを特徴とする印刷版用円筒状クッション構成体の製造方法。
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