JP4322650B2 - 円筒ころ軸受 - Google Patents

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Description

本発明は、合成樹脂製の保持器を備えた円筒ころ軸受に係り、例えば、工作機械主軸等のように高速で回転する回転部材の支持に用いられる円筒ころ軸受に関する。
周知のように、マシニングセンタ、CNC旋盤、フライス盤等の工作機械においては、主軸はハウジングに対して軸受で回転自在に支持されるのが通例であって、この主軸の向きは、機械形式によって、縦軸(軸線が鉛直方向に向いたもの)と横軸(軸線が水平方向に向いたもの)とに大別される。また、この主軸を支持する軸受の潤滑方式は、使用条件等に応じて、グリース潤滑やエアオイル潤滑等の油潤滑が採用されると共に、その軸受形式としては、組合せアンギュラ玉軸受や円筒ころ軸受が一般に広く使用されている。
この場合、工作機械の主軸の支持に用いられる円筒ころ軸受は、内輪と外輪との相互間に所定間隔おきに複数の円筒ころを保持しておくための保持器を備えているのが通例である。そして、この保持器としては、従来より高力黄銅鋳物のもみ抜き(削り出し)保持器が主に使用されてきたが、運転時の保持器の摩耗粉による潤滑剤劣化の問題や軽量化の点から、近年においては合成樹脂製保持器への切り換えが進むに至っている。
このような技術の変遷に伴って、現在使用されている円筒ころ軸受の合成樹脂製保持器としては、例えば下記の特許文献1、2に記載されているように、環状部と、環状部の内側面から軸方向の一方に延びた複数の柱部と、円周方向に隣接する柱部の円周方向側面間に形成され、円筒ころを回転自在に保持する複数のポケットとを備えた、所謂くし形と呼ばれる形態の保持器が公知となっている。しかしながら、この形態の合成樹脂製保持器は、柱部の先端が自由端であるため、特に高速回転時では、回転時の遠心力の作用で柱部が外径側に比較的大きく弾性変形して、その円周方向側面の先端側内周部が円筒ころの転動面と強く接触(異常接触)することにより、該接触部分に油膜切れが生じて異常摩耗が発生したり、軸受温度上昇の増大要因になったりする場合がある。
そこで、特許文献1、2によれば、この問題に対応するため、図11に示すように、保持器14の環状部14aから軸方向に延びた柱部14bの円周方向側面14b1を、ポケット14cのポケット中心Oを通るころPCDを境にして、外周側領域と内周側領域に区分し、外周側領域を円筒ころ13の転動面に沿う円弧面(円筒面)14b11に形成すると共に、内周側領域をその軸方向全長さに亘ってポケット中心Oを通る半径線r1と平行なストレート面14b12に形成することにより、回転時の遠心力の作用で柱部14bが外径側に弾性変形したときに、柱部14bの円周方向側面14b1の内周側領域14b12が円筒ころ3の転動面と半径方向の接触圧を生じないようにしている。
特開平11−166544号公報(段落番号0027、図10) 国際公開WO03/029670号公報(24頁17〜26行、図23)
工作機械の主軸に要求される主要な特性として、高速回転{通常、dmn値(=転動体のピッチ円径mm×回転数rpm)で100万以上}が可能であることと、非繰り返し振れ(NRRO)が小さいことが挙げられ、この特性は主に主軸を支持する軸受の軸支持機能によって決まる。しかしながら、特許文献1、2に記載された円筒ころ軸受は、次の理由により、工作機械の主軸に要求される非繰り返し振れ(NRRO)を満足することが難しい。
すなわち、特許文献1、2に記載された円筒ころ軸受の保持器14において、柱部14bの円周方向側面14b1は、上述のように、ころPCDよりも内周側領域がその軸方向全長さに亘ってストレート面14b12に形成されており、回転時の遠心力の作用で柱部14bが外径側に弾性変形したときに、円周方向側面14b1の内周側領域14b12が円筒ころ13の転動面と半径方向の接触圧を生じないようになっている。しかしながら、この構成は、柱部14bの円周方向側面14b1と円筒ころ13の転動面との異常接触を防止する点では効果的であるものの、その反面、柱部14bの円周方向側面14b1の内周側領域を上記のストレート面14b12に形成したことにより、柱部14bの外径側への弾性変形を助長する結果ともなっている。すなわち、柱部14bの円周方向側面14b1の内周側領域を上記のストレート面14b12に形成したことにより、通常のポケット形態(柱部の円周方向側面の全領域を円筒ころの転動面に沿う円弧面に形成したポケット形態)に比較して、柱部14bの外径側への弾性変形を規制する部位がなくなり、また、柱部14bの内周側領域の円周方向肉厚が小さくなって柱部14bの剛性が低下する結果、柱部14bの外径側への弾性変形が助長されている。
図12は、特許文献1、2に記載された円筒ころ軸受の保持器14の柱部14bが高速回転時の遠心力の作用で外径側に弾性変形した状態(実線)と、変形前の状態(点線)とを模式的にしている。同図に示すように、特許文献1、2に記載された円筒ころ軸受の保持器14では、柱部14bが外径側に弾性変形すると、柱部14bの円周方向側面14b1と円筒ころ13の転動面との間のポケット隙間gが初期隙間(変形前の隙間)よりも増大する。しかも、上述のように、柱部14bの外径側への弾性変形が助長される結果、ポケット隙間gの増大も助長される。そして、このポケット隙間gの増大により、円筒ころの等配機能が低下し、円筒ころの公転中心が振れて、内輪が不安定に振れる非繰り返し振れが発生する。特に、ころ案内形式の保持器では、保持器の半径方向の自由度が増大することにより、ポケット隙間gが増大する箇所と縮小する箇所とができ、しかもこれらの箇所の発生位置が一定しないために、非繰り返し振れの程度が大きくなる。この非繰り返し振れ(NRRO)は、回転数の上昇に比例して増大し、工作機械の主軸に取付けられた工具による加工精度を悪化させる等の原因となる。
また、この種の円筒ころ軸受の保持器14によれば、柱部14bが円筒ころ13に接触した状態でその保持を行う関係上、両者の接触抵抗或いは摺動抵抗等によって摩耗等が生じるため、これに対応すべく、両者間にグリースやエアオイル等の潤滑剤の油膜を形成することが行われる。しかしながら、特許文献1、2に記載された円筒ころ軸受の保持器14のように、柱部14bの円周方向側面14b1に、単にストレート面14b12を形成するのみでは、回転時の接触、特に長時間に亘る回転時の接触或いは摺動に伴って、両者間に油膜切れが生じる確率が高くなり、潤滑性能の悪化を招くことは必至である。それにも拘わらず、同文献によれば、潤滑性能の悪化を的確に防止するための対策が、何ら講じられていないばかりでなく、そのような問題意識すらも開示及び示唆されておらず、適切な対応が望まれているのが実情である。
本発明の課題は、所謂くし形の合成樹脂製保持器を備えた円筒ころ軸受において、高速回転時における柱部の弾性変形、及びこれに起因する柱部の先端と円筒ころの転動面との異常接触を防止しつつ、その両者間に可及的長時間に亘って適切な油膜を確保できるようにして、潤滑性能の向上を図ることである。
上記技術的課題を解決するためになされた本発明は、内輪と、外輪と、内輪と外輪との間に転動自在に配された複数の円筒ころと、合成樹脂製の保持器とを備え、該保持器は、環状部と、該環状部の内側面から軸方向の一方に延びた複数の柱部と、円周方向に隣接する前記柱部の円周方向側面間に形成され、前記円筒ころを回転自在に保持する複数のポケットとを備えている円筒ころ軸受において、前記保持器の柱部の円周方向側面が、前記円筒ころの転動面に沿う円弧面を有すると共に、その軸方向先端側部分における内周部に、柱部の遠心力による弾性変形時における円筒ころとの接触に対する逃げ部を有し、該逃げ部は、軸方向先端及び内周端が開放された凹部であり且つ外周側端縁部に段差部が形成されると共に、該逃げ部における前記外周側端縁部を含む全部または一部領域が、第1潤滑剤溜り部とされていることを特徴とするものである。この場合、第1潤滑剤溜り部は、逃げ部の全領域であってもよく、換言すれば、逃げ部が第1潤滑剤溜り部を兼ねていても良く、あるいは、逃げ部の一部領域(例えば逃げ部の外周側端縁を含む一部領域)が第1潤滑剤溜り部であっても良い。ここで、「軸方向先端」とは、柱部の軸方向先端を意味すると共に、「内周」とは、環状体の内周つまり柱部の内周を意味し、「外周」とは、環状体の外周つまり柱部の外周を意味するものである。また、「外周側」は、「外径側」と同義であり、「内周側」は「内径側」と同義である。尚、以下の説明においては、上記の「軸方向先端側部分における内周部」を単に「先端側内周部」という。
このような構成によれば、保持器の柱部の円周方向側面に形成された円弧面によって円筒ころが案内されて転動するが、この転動時に、円筒ころを覆っているグリースや油等の潤滑剤が、例えば柱部の円弧面によって掻き取られても、柱部に形成された逃げ部の第1潤滑剤溜り部から潤滑剤が補充されていくことになるので、柱部と円筒ころとの間に潤滑不良が生じ難くなる。そして、例えば複数の柱部の全てにおける円周方向の両側面をこのような構成とすることにより、潤滑剤の補充が充分に行なわれて、長期間に亘って良好な潤滑性能を維持することが可能となる。更に、高速回転時であっても上記と同様にして良好な潤滑性能を確保できることから、潤滑不良が原因となって焼き付きが生じる等の不具合を可及的に回避することが可能となる。しかも、柱部の遠心力による弾性変形時における円筒ころとの接触に対する逃げ部としての役目をも果たすことから、柱部が回転時の遠心力により外径側に弾性変形した場合であっても、円周方向側面の先端側内周部は円筒ころの転動面と非接触になるか、或いは、接触する場合でも半径方向の接触圧を生じない程度の軽い接触となる。このため、高速回転時における円周方向側面の先端側内周部と円筒ころの転動面との異常接触が回避され、先端側内周部の異常摩耗が防止されると共に、軸受温度上昇が抑制されるという利点をも享受することができる。
さらに、詳細には、前記保持器の柱部の円周方向側面は、その軸方向基端側部分における内周部に、円筒ころの転動面に沿う円弧面として形成され、柱部が回転時の遠心力により外径側に弾性変形したときに、円筒ころの転動面を案内するころ案内部を有すると共に、その先端側内周部に、ころ案内部よりも柱部の円周方向中心側に退避し、柱部が回転時の遠心力により外径側に弾性変形したときに、円筒ころの転動面と半径方向の接触圧を生じない逃げ部を有し、且つ、その逃げ部が第1潤滑剤溜り部を有する構成とすることが好ましい。ここで、「軸方向基端」とは、柱部の軸方向先端と反対側の端を意味する。尚、以下の説明においては、上記の「軸方向基端側部分における内周部」を単に「基端側内周部」という。
このようにすれば、柱部が回転時の遠心力により外径側に弾性変形した場合に、柱部の円周方向側面の基端側内周部に円筒ころの転動面に沿う円弧面として形成されたころ案内部が、円筒ころの転動面との間のポケット隙間が減少する方向(外径側)に変位して、円筒ころの転動面を案内する。このため、円筒ころの良好な等配機能が確保され、高速回転時における非繰り返し振れ(NRRO)が問題のない程度まで低減される。また、柱部の弾性変形量は基端側が先端側よりも小さくなるため、基端側内周部のころ案内部で円筒ころを案内する構成としても、両者の異常接触は発生しない。一方、柱部の円周方向側面の先端側内周部には、ころ案内部よりも柱部の円周方向中心側に退避した逃げ部(第1潤滑剤溜り部)が設けられているので、既述のように、円周方向側面の先端側内周部は円筒ころの転動面と非接触になるか、或いは、接触する場合でも半径方向の接触圧を生じない程度の軽い接触となる。
また、円周方向側面の基端側内周部に上記のようなころ案内部を設けることにより、柱部の基端側内周部の円周方向肉厚が増大して、柱部の剛性が向上する。そのため、回転時の遠心力や円筒ころからの荷重による柱部の外径方向及び円周方向への弾性変形量が小さくなる。これにより、円筒ころの良好な等配機能が維持される。
上記構成において、逃げ部(第1潤滑剤溜り部)の軸方向長さは円筒ころの長さの10%〜35%であることが好ましい。また、この逃げ部の半径方向の開始位置とポケットのポケット中心とを結ぶ線が、ポケットのポケット中心におけるポケットPCDの接線に対して、内周側に20度以下の角度をなすように、当該逃げ部の半径方向の開始位置を設定することが好ましい。これらの基準に基づいて逃げ部を形成することにより、工作機械主軸で要求される高速回転域において、上記の効果を発揮することができる。
また、逃げ部(第1潤滑剤溜り部)の円周方向側面は、その外周側端縁に段差部(凹部を形成するための段差部)を有し、この段差部の底端に柱部の円周方向中心線と平行なストレート面が連なっていることが好ましい。このようにすれば、逃げ部及び潤滑剤溜り部としての機能を充分に発揮しつつ、柱部の先端側内周部の円周方向肉厚を適度に厚くして、柱部の剛性を高めることができる。
あるいは、逃げ部(第1潤滑剤溜り部)の円周方向側面は、その外周側端縁の段差部の低端に、柱部の円周方向中心線に近づく方向に傾斜した傾斜面を連ならせるようにしても良い。これにより、高速回転時における柱部の円周方向側面の先端側内周部と円筒ころの転動面との異常接触をより確実に回避することができる。
上記構成において、逃げ部(第1潤滑剤溜り部)の外周側に離隔した位置には、第2潤滑剤溜り部を有することが好ましい。
このようにすれば、柱部の円周方向側面の一箇所のみならず二箇所に潤滑剤溜り部が形成されることから、例えば複数の柱部の全てにおける円周方向の両側面をこのような構成としたならば、一個のポケットについて合計四つの潤滑剤溜り部を有することになるため、潤滑剤の補充がより一層充分に行なわれる。しかも、第1潤滑剤溜り部は、柱部の遠心力による弾性変形時における円筒ころとの接触に対する逃げ部に設けられていることから、効率良く、高速回転時における円周方向側面の先端側内周部と円筒ころの転動面との異常接触が回避される。
上記構成において、前記第1潤滑剤溜り部は、前記ポケットの中心を通るポケットPCDの内周側に形成され、且つ、前記第2潤滑剤溜り部は、前記ポケットPCDの外周側に形成されていることが好ましい。
このようにすれば、逃げ部に設けられた第1潤滑剤溜り部と、第2潤滑剤溜り部とが、柱部の円周方向側面において、それぞれの機能を充分に発揮できる状態で、適切配置されることになる。すなわち、ポケットPCDの内周側に配置された第1潤滑剤溜り部は、逃げ部としての役割に加えて、その内周側領域に潤滑剤を供給又は補充する役割を果たすと共に、ポケットPCDの外周側に配置された第2潤滑剤溜り部は、その外周側領域に潤滑剤を重点的に供給又は補充する役割を果たすことになる。したがって、潤滑剤は、柱部の円周方向側面の全領域に不当な片寄りなく適度に均一に供給又は補充されることになる。
以上の構成において、前記第2潤滑剤溜り部は、軸方向に延びる溝として形成されていることが好ましい。
すなわち、第2潤滑剤溜り部を、軸方向と直交する方向に延びる溝とすることも可能であるが、そのようにした場合には、遠心力によりグリース等が容易に径方向に排出され、潤滑剤溜りの保持力が低下する。しかしながら、この技術的手段のように、第2潤滑剤溜り部が、軸方向に延びる溝として形成されている場合には、柱部が遠心力によって弾性変形する際に充分な強度を確保できると共に、潤滑剤を柱部の軸方向の広い領域に亘って効率良く供給又は補充できるという利点が得られる。
このような構成において、前記第2潤滑剤溜り部は、前記柱部の軸方向途中から先端に亘って直線状に形成されていることが好ましい。
このようにすれば、柱部の軸方向基端部(根元部)には、第2潤滑剤溜り部としての直線状の溝が存在しなくなるため、柱部の必要部位が適切な高さの剛性に維持され、弾性変形に対して充分に耐え得ることになり、耐久性の悪化を阻止することが可能となる。しかも、溝が直線状であることから、加工の容易化、構造の簡素化、更にはレイアウトの適切化が図られる。
このような構成において、前記第2潤滑剤溜り部は、溝長さが、前記円筒ころの軸方向長さの40〜60%に、溝深さが、前記円筒ころの直径の2〜8%に、溝幅が、前記円筒ころの直径の10〜15%に形成されていることが好ましい。
すなわち、第2潤滑剤溜り部の溝長さ、溝深さ、及び溝幅が、それぞれ上記の数値範囲内にあれば、柱部の剛性を不当に低下させることなく溝を形成することができ、弾性変形に対する耐久性を充分に確保した状態で、潤滑剤の補充を適切に行い、潤滑性能を向上させることが可能となる。
このような構成において、前記第2潤滑剤溜り部は、前記柱部が遠心力によって外径側に弾性変形するときの軸心に対する傾斜方向と反対方向に傾斜して形成されていることが好ましい。
このようにすれば、柱部が回転時の遠心力によって外径側に弾性変形しても、第2潤滑剤溜り部を構成する直線状の溝は、その弾性変形によって柱部が傾斜する方向と反対側に傾斜していることから、柱部の弾性変形による軸心に対する傾斜角度が大きくなる過程においては、直線状の溝は軸心と平行になるまでの間は軸心に対する傾斜角度が小さくなると共に、その傾斜の方向は柱部の軸心に対する傾斜の方向とは反対となる。この場合、柱部が弾性変形した際には、その基端部よりも先端部が外径側寄りとなるように傾斜することから、直線状の溝が柱部の先端に通じている場合(直線状の溝が柱部の先端に開放されている場合)には、上記の遠心力によって直線状の溝の先端から潤滑剤が一挙に漏出して長時間に亘る潤滑を困難にするという事態が可及的に回避される。
このような構成において、前記第2潤滑剤溜り部の傾斜して形成されている直線状の溝の傾斜角度は、2〜10度に設定されていることが好ましい。
すなわち、上記の溝の傾斜角度が2度未満である場合には、柱部が僅かに弾性変形しただけで、その溝の軸心に対する傾斜方向が、柱部の軸心に対する傾斜方向に倣うことになり、遠心力によってその溝から一挙に潤滑剤が出てしまうという不具合を招く一方、その溝の傾斜角度が10度を超えている場合には、柱部が大きく弾性変形した場合であっても充分な量の潤滑剤がその溝から供給又は補充され難くなったり、或いは柱部の限られた領域にその溝と逃げ部とを形成することが困難になる等の不具合を招く。したがって、上記の溝の傾斜角度が2〜10度の範囲内にあれば、これらの不具合が生じ難くなる。
このような構成において、前記第1潤滑剤溜り部の外周側端縁は、前記柱部が遠心力によって外径側に弾性変形するときの軸心に対する傾斜方向と反対方向に傾斜して形成されていることが好ましい。
このようにすることによっても、柱部が回転時の遠心力によって外径側に弾性変形した場合に、逃げ部における第1潤滑剤溜り部の外周側端縁(好ましくは直線状の端縁)は、その弾性変形によって柱部が傾斜する方向と反対側に傾斜していることから、柱部の弾性変形による軸心に対する傾斜角度が大きくなる過程においては、第1潤滑剤溜り部の外周側端縁は軸心と平行になるまでの間は軸心に対する傾斜角度が小さくなると共に、その傾斜の方向は柱部の軸心に対する傾斜の方向とは反対となる。この場合、柱部が弾性変形した際には、その基端部よりも先端部が外径側寄りとなるように傾斜することから、第1潤滑剤溜り部の外周側端縁が柱部の先端に通じている場合には、上記の遠心力によって第1潤滑剤溜り部の外周側端縁の先端から潤滑剤が一挙に漏出して長時間に亘る潤滑を困難にするという事態が可及的に回避される。
このような構成において、前記第1潤滑剤溜り部の傾斜して形成されている直線状の外周側端縁の傾斜角度は、2〜10度に設定されていることが好ましい。
すなわち、第1潤滑剤溜り部の外周側端縁の傾斜角度が2度未満である場合には、柱部が僅かに弾性変形しただけで、その外周側端縁の軸心に対する傾斜方向が、柱部の軸心に対する傾斜方向に倣うことになり、遠心力によってその外周側端縁を通じて一挙に潤滑剤が出てしまうという不具合を招く一方、その外周側端縁の傾斜角度が10度を超えている場合には、柱部が大きく弾性変形した場合であっても充分な量の潤滑剤がその外周側端縁を通じて供給又は補充され難くなったり、或いは柱部の限られた領域に第1潤滑剤溜り部を有する逃げ部と第2潤滑剤溜り部とを形成することが困難になる等の不具合を招く。したがって、上記の第1潤滑剤溜り部の外周側端縁の傾斜角度が2〜10度の範囲内にあれば、これらの不具合が生じ難くなる。
そして、本発明は、円筒ころが複数列で配列されている複列円筒ころ軸受に特に好適である。この場合、円筒ころの各列をそれぞれ上記の保持器によって個別的に保持する構成とするのが好ましい。より好ましくは、円筒ころの各列を保持する上記の保持器の環状部同士を軸受中央側で相互に付き合わせた状態で配置する。
以上のように本発明に係る円筒ころ軸受によれば、保持器の柱部の円周方向側面に、第1潤滑剤溜り部を有する逃げ部を形成したから、円筒ころの転動時に、該円筒ころを覆っているグリースや油等の潤滑剤が、例えば柱部の円弧面によって掻き取られても、柱部に形成された逃げ部の第1潤滑剤溜り部から潤滑剤が補充されていくことになるので、柱部と円筒ころとの間に潤滑不良が生じ難くなる。そして、高速回転時であっても良好な潤滑性能を確保できることから、潤滑不良が原因となって焼き付きが生じる等の不具合を可及的に回避することが可能となる。しかも、柱部の円周方向側面における逃げ部の存在によって、柱部が回転時の遠心力により外径側に弾性変形した場合であっても、円周方向側面の先端側内周部は円筒ころの転動面と非接触になるか、或いは、接触する場合でも半径方向の接触圧を生じない程度の軽い接触となり、したがって高速回転時における円周方向側面の先端側内周部と円筒ころの転動面との異常接触が回避され、先端側内周部の異常摩耗が防止されると共に、軸受温度上昇が抑制されるという利点をも享受することが可能となる。
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。
図1は、本発明の第1実施形態に係る複列円筒ころ軸受を示している。この複列円筒ころ軸受は、工作機械の主軸装置において、高速で回転駆動される主軸をハウジングに対して回転自在に支持するもので、複列の軌道面1aを有する内輪1と、複列の軌道面2aを有する外輪2と、内輪1の軌道面1a及び外輪2の軌道面2aの相互間に転動自在に配置された複列の円筒ころ3と、各列の円筒ころ3をそれぞれ保持する一対の合成樹脂製の保持器4とで構成される。この場合、内輪1の軸方向中央部には中鍔1bが設けられ、軸方向両外側の端部には外鍔1cが設けられている。
外輪2の軌道面2aの軸方向両外側の端縁にはそれぞれ面取り部2bが形成されると共に、内輪1の軌道面1aにおける外鍔1cの軸方向両外側の端縁にもそれぞれ相対的に小さな面取り部1dが形成されている。また、内輪1は主軸の外周に嵌合され、外輪2はハウジングの内周に嵌合されている。そして、この複列円筒ころ軸受は、例えば、油やグリース等の潤滑剤で潤滑され、ラジアル内部隙間が負、すなわちラジアル方向の予圧を付与した状態で運転されることが多々ある。なお、内輪1の内周面はテーパ形状であっても良く、したがってこの内輪1は、テーパ形状に形成した主軸の外周面、あるいは、主軸の外周に嵌合したテーパ状スリーブの外周面に嵌合されるものであっても良い。
図2及び図3に拡大して示すように、保持器4は、例えば、ポリエーテルエーテルケトン樹脂(PEEK)、ポリアミド樹脂(PA:PA66、PA46)、ポリフェニレンサルファイド樹脂(PPS)等の自己潤滑性を有する合成樹脂(必要に応じてカーボンファイバ(CF)、グラスファイバ(GF)等の充填材を所要量配合する。)を射出成形して形成され、環状部4aと、環状部4aの内側面4a1から軸方向の一方に一体に連続して延びた複数の柱部4bと、円周方向に隣接する柱部4bの円周方向側面4b1間に形成され、円筒ころ3を回転自在に保持する複数のポケット4cとを備えている。複数の柱部4bは円周等配位置に配列されている。各ポケット4cは円周方向に隣接する柱部4bの円周方向側面4b1と環状部4aの内側面4a1とで三方から囲まれ、軸方向の一方に向かって開口している。この場合、図3(a)に示すように、保持器4における柱部4bの軸方向長さTbは、円筒ころ3の軸方向長さTdの65〜75%、好ましくは70%に設定されている。
一方、図3(a)、(b)に示すように、保持器4における柱部4bの円周方向両側面4b1は、ポケット4cのポケット中心Oを通るポケットPCD(同図に示す例では、ポケットPCDは円筒ころ3の中心を通るころPCDと等しい。)から内周側及び外周側に亘って形成された円弧面(円筒面)4b11を有する。そして、この柱部4bの円弧面4b11には、その先端側内周部に、逃げ部4b12が形成されており、この実施形態では、逃げ部4b12が第1潤滑剤溜り部を兼ねている。この第1潤滑剤溜り部4b12は、先端及び内周端が開放された状態となる凹部であって、その外周側端縁4b15に湾曲凹状の段差部が形成され、且つポケットPCDの内周側に配置されている。
詳述すると、柱部4bの円弧面4b11は、例えば、ポケット中心Oを中心とし、円筒ころ3の半径(D/2)の1.005〜1.1倍の半径の円弧で描かれており、その外周端は、ポケット中心Oを通る半径線r1と平行なストレート面4b13と連続している。円周方向に相対向するストレート面4b13間の離間距離W1は円筒ころ3の直径Dよりも小さく、これにより、ポケット4cに対する円筒ころ3の外周側への抜けが規制される。円弧面4b11の内周端は、基端側においては柱部4bの内周端まで延び、先端側においては内周部の第1潤滑剤溜り部(逃げ部)4b12に連続している。円周方向に相対向する円弧面4b11の基端側内周部4b14間の最小離間距離W2は円筒ころ3の直径Dよりも小さい。この基端側内周部4b14は、柱部4bが回転時の遠心力によって外径側に弾性変形したときに、円筒ころ3の転動面を案内するころ案内部となる。
第1潤滑剤溜り部4b12は、柱部4bの先端から軸心Z(円筒ころ3又はポケット4cの軸心)方向に沿って基端部に至る途中部分まで形成され、基端側内周部4b14よりも柱部4bの円周方向中心線r2の側に退避するように肉取りされている。第1潤滑剤溜り部4b12の軸方向長さT1は円筒ころ3の軸方向長さTdの10%〜35%である。また、第1潤滑剤溜り部4b12の円周方向側面は、柱部4bの円周方向中心線r2と平行なストレート面が、外周側端縁における円弧状の段差部に連なっている。このような態様で形成された第1潤滑剤溜り部4b12は、柱部4bが高速回転時の遠心力の作用で円周方向中心線r2に沿って外径側に弾性変形したときにおいても、円筒ころ3の転動面とは接触しなくなる。尚、円周方向に相対向する第1潤滑剤溜り部4b12の円周方向側面間の最小離間距離は円筒ころ3の直径Dと略同等であるが、第1潤滑剤溜り部4b12は円周方向中心線r2に沿って外径側に変位するため、円筒ころ3の転動面とは接触しない。このように、第1潤滑剤溜り部4b12の円周方向側面に円周方向中心線r2と平行なストレート面が形成されていることにより、半径線r1と平行なストレート面が形成される場合に比べ、柱部4bの先端側内周部の円周方向肉厚を厚くして、柱部4bの剛性を高めることができる。
図1に示すように、この実施形態において、保持器4は転動体案内形式のものであり、軸受回転時、保持器4は柱部4bの円周方向側面4b1を円筒ころ3の転動面に接触案内されながら回転する。そして、軸受の回転が所定の高速回転域に達し、柱部4bが高速回転時の遠心力により外径側に弾性変形すると、柱部4bの円周方向側面4b1の基端側内周部(ころ案内部)4b14が円筒ころ3の転動面との間のポケット隙間が減少する方向(円周方向中心線r2に沿って外径側)に変位して、円筒ころ3の転動面を案内する。これにより、円筒ころ3の良好な等配機能が確保され、高速回転時における非繰り返し振れ(NRRO)が問題のない程度まで低減される。このとき、柱部4bの円周方向側面4b1の先端側内周部には逃げ部でもある第1潤滑剤溜り部4b12が設けられていることにより、円筒ころ3の転動面との接触が回避される。さらに、円周方向側面4b1の基端側内周部(ころ案内部)4b14を円筒ころ3の転動面に沿う円弧面とすることにより、柱部4bの基端側内周部4b14の円周方向肉厚が増大して、柱部4bの剛性が向上する。そのため、高速回転時の遠心力や円筒ころ3からの荷重による柱部4bの外径方向及び円周方向への弾性変形量が小さくなり、これにより、円筒ころ3の良好な等配機能が維持される。
この場合、柱部4bの円周方向側面4b1には、上記の接触に対する逃げ部を兼ねる第1潤滑剤溜り部4b12が形成されていることから、円筒ころ3を覆っているグリースや油等の潤滑剤が、柱部4bの円弧面4b11によって掻き取られても、第1潤滑剤溜り部4b12から潤滑剤が補充されていくことになるので、柱部4bと円筒ころ3との間に潤滑不良が生じ難くなる。そして、高速回転時であっても良好な潤滑性能を確保できることから、潤滑不良が原因となって焼き付きが生じる等の不具合を適切に回避することができる。
図4〜図7は、本発明の第2実施形態に係る複列円筒ころ軸受及びその保持器を示している。なお、この第2実施形態に係る保持器4についての以下の説明に際しては、上述の第1実施形態に係る保持器4との相違点を主として述べることとし、その他の構成要素及び作用効果は、上述の第1実施形態に準じるので、この両者に共通の構成要素については該当する各図に同一符号を付し、重複する説明を省略する。
本発明の第2実施形態に係る保持器4は、図4及び図5に示すように、柱部4bの円弧面4b11における逃げ部(第1潤滑剤溜り部)4b12の外周側に離隔した位置に、直線状の溝からなる第2潤滑剤溜り部4b22が形成されており、この第2潤滑剤溜り部4b22は、先端のみが開放された状態となる溝であって且つポケットPCDの外周側に配置されている。また、この第2潤滑剤溜り部4b22は、柱部4bの先端から軸心Z方向に沿って基端部に至る途中部分まで形成され、その軸方向長さは、第1潤滑剤溜り部4b12よりも長尺とされている。
具体的には、図6(a)、(b)に示すように、第2潤滑剤溜り部4b22の軸方向長さT2は、円筒ころ3の軸方向長さTdの40〜60%、好ましくは50%とされており、この第2潤滑剤溜り部4b22は、円筒ころ3の軸方向略中央部に配置されるように両者が設定されている。また、図7(a)、(b)に示すように、第2潤滑剤溜り部4b22の溝深さTxは、円筒ころ3の直径Dの2〜8%とされ、更に第2潤滑剤溜り部4b22の溝幅Tyは、円筒ころ3の直径Dの10〜15%とされている。
この場合、図7(a)は、第2潤滑剤溜り部4b22の溝深さTx及び溝幅Tyが上限となる態様を例示し、図7(b)は、第2潤滑剤溜り部4b22の溝深さTx及び溝幅Tyが下限となる態様を例示している。これらの各図に示すように、第2潤滑剤溜り部4b22の溝底面は円弧状(円筒状)に形成されている。この場合、ポケット中心Oからその溝底面までの長さが最大となる直線L1に沿って、円弧面4b11の表面からその溝底面まで離隔している寸法を溝深さTxとし、上記の直線L1と直交する方向に沿って、第2潤滑剤溜り部4b22の幅方向両側の各端縁4b25が相互に離隔している寸法を溝幅Tyとしている。また、第1潤滑剤溜り部4b12の外周側端縁4b15にも、第2潤滑剤溜り部4b22の溝底面と同一曲率で同一深さの円弧状の面(段差部)が形成されている。尚、第1潤滑剤溜り部4b12の円周方向側面は、外周側端縁に段差部を有することなく、円周方向中心線r2と平行なストレート面がその外周側端縁に直接連なっていても良い。
このような第2実施形態の保持器4によれば、柱部4bの円周方向側面4b1に、逃げ部を兼ねる第1潤滑剤溜り部4b12と、第2潤滑剤溜り部4b22とが形成されていることから、円筒ころ3を覆っているグリースや油等の潤滑剤が、柱部4bの円弧面4b11によって掻き取られても、2つの潤滑剤溜り部4b12、4b22から潤滑剤が補充されていくことになるので、柱部4bと円筒ころ3との間に潤滑不良がより一層生じ難くなる。しかも、一個のポケット4cについて合計四つの潤滑剤溜り部4b12、4b22が形成されていることから、潤滑剤の補充が確実且つ充分に行なわれて、長期間に亘って良好な潤滑性能を維持することができ、更なる耐久性の改善或いは長寿命化が図られる。そして、高速回転時であっても良好な潤滑性能を確保できることから、潤滑不良が原因となって焼き付きが生じる等の不具合をより的確に回避することができる。
しかも、第1潤滑剤溜り部4b12は、ポケットPCDの内周側に形成され、且つ、第2潤滑剤溜り部4b22は、ポケットPCDの外周側に形成されていることから、柱部4bの先端内周部と円筒ころ3との接触を回避しつつ、潤滑剤が、柱部4bの円周方向側面4b1の全領域に不当な片寄りなく適度に均一に供給されることになる。加えて、第2潤滑剤溜り部4b22が、軸方向に延びる直線状の溝として形成されていることから、柱部4bが遠心力によって弾性変形する際に充分な強度を確保できると共に、潤滑剤を柱部4bの軸方向の広い領域に亘って適切に供給することができる。また、第2潤滑剤溜り部4b22が、柱部4bの軸方向途中から先端に亘って形成されていることから、柱部4bの軸方向基端部(根元部)には、直線状の溝4b22が存在しなくなり、柱部4bの必要部位が高い剛性に維持され、弾性変形に対して充分に耐え得ることになる。
さらに、第2潤滑剤溜り部4b22の溝長さ(軸方向長さ)T2は、円筒ころ3の軸方向長さTdの40〜60%に形成されていることから、40%未満である場合における潤滑性能の低下等が回避されると共に、60%を超えた場合における柱部4bの剛性低下等が回避される。また、第2潤滑剤溜り部4b22の溝深さTxが、円筒ころ3の直径Dの2〜8%に形成されていることから、2%未満とした場合における潤滑剤の溜め量不足等が回避されると共に、8%を超えた場合における柱部4bの部分的な肉厚不足等が回避される。さらに、第2潤滑剤溜り部4b22の溝幅Tyが、円筒ころ3の直径Dの10〜15%に形成されていることから、特に、溝内面を円弧面で形成した状態において、10%未満とした場合における潤滑剤の溜め量不足等が回避されると共に、15%を超えた場合における柱部4bの部分的な肉厚不足等が回避され、又、ころ案内部4b14の減少も回避される。
図8(a)、(b)に示す本発明の第3実施形態に係る保持器4は、第2潤滑剤溜り部4b22である直線状の溝を、回転に伴う遠心力によって柱部4bが弾性変形するときの軸心Zに対する傾斜方向と反対方向、つまり先端側に移行するに連れて内径側寄りとなる方向に傾斜させて形成すると共に、第1潤滑剤溜り部4b12の直線状の外周側端縁4b15も、軸心Zに対して同様の方向に傾斜させたものである。このようにすれば、第1潤滑剤溜り部4b12の外周側端縁4b15及び第2潤滑剤溜り部4b22を軸心Zと平行に形成した場合、或いは先端側に移行するに連れて外径側寄りとなる方向に傾斜させた場合に生じる不具合、すなわち柱部4bの弾性変形に起因して潤滑剤が一挙に両潤滑剤溜り部4b12、4b22から出てしまい、長時間に亘る潤滑が困難になるという不具合が回避される。換言すれば、図8(b)に鎖線で示すように柱部4bが遠心力によって弾性変形した場合であっても、両潤滑剤溜り部4b12、4b22から潤滑剤を徐々に供給或いは補充でき、高速回転時においても良好な潤滑性能を確保することが可能となる。
この場合、上記の両者4b15、4b22の傾斜角度αは、2〜10度であることが好ましい。すなわち、2度未満である場合には、柱部4bが僅かに弾性変形しただけで、上記の両者4b15、4b22の軸心Zに対する傾斜方向が、柱部4bの軸心Zに対する傾斜方向に倣うことになり、遠心力によって両潤滑剤溜り部4b12、4b22から一挙に潤滑剤が出てしまうという不具合を招く一方、10度を超えている場合には、柱部4bが大きく弾性変形した場合であっても充分な量の潤滑剤が両潤滑剤溜り部4b12、4b22から供給又は補充され難くなったり、或いは柱部4bの限られた領域に両潤滑剤溜り部4b12、4b22を形成することが困難になる等の不具合を招く。したがって、上記の両者4b15、4b22の傾斜角度が2〜10度の範囲内にあれば、これらの不具合が生じ難くなる。
なお、この第3実施形態におけるその他の構成要素及び作用効果は、上述の第2実施形態に準じるので、この両者に共通の構成要素については図8(a)、(b)に同一符号を付し、重複する説明を省略する。
図9(a)、(b)に示す本発明の第4実施形態に係る保持器4は、柱部4bの第1潤滑剤溜り部4b12を、その外周端が柱部4bの先端から基端部に向かって内径側に傾斜するように形成したものである。この場合、第2潤滑剤溜り部4b22である直線状の溝は、回転に伴う遠心力によって柱部4bが弾性変形するときの軸心Zに対する傾斜方向と反対方向に傾斜していても良い。その他の構成要素及び作用効果は、上述の第2実施形態に準じるので、この両者に共通の構成要素については図9(a)、(b)に同一符号を付し、重複する説明を省略する。
図10に示す本発明の第5実施形態に係る保持器4は、柱部4bの第1潤滑剤溜り部4b12を、その円周方向側面が柱部4bの円周方向中心線r2に近づく方向に傾斜した傾斜面となるように形成したものである。この場合、第2潤滑剤溜り部4b22である直線状の溝と、第1潤滑剤溜り部4b12の外周側端縁4b15とは、回転に伴う遠心力によって柱部4bが弾性変形するときの軸心Zに対する傾斜方向と反対方向に傾斜していても良い。この第5実施形態は、第4実施形態と組み合わせても良い。その他の構成要素及び作用効果は、上述の第2実施形態に準じるので、この両者に共通の構成要素については図10に同一符号を付し、重複する説明を省略する。
尚、以上の第1〜第5実施形態において、保持器の案内形式は、転動体案内に限らず、外輪案内や内輪案内でも良い。すなわち、本発明は保持器の案内形式の如何を問わない。また、図1には、NN形の複列円筒ころ軸受を例示しているが、本発明はNNU形、その他の軸受形式の複列円筒ころ軸受にも同様に適用可能である。さらに、本発明は複列円筒ころ軸受に限らず、単列円筒ころ軸受や多列円筒ころ軸受にも同様に適用可能である。また、以上の第1〜第5実施形態は、環状部4aから軸方向の一方に一体に連続して延びた複数の柱部4bの全てに、第1潤滑剤溜り部4b12(好ましくはそれに加えて第2潤滑剤溜り部4b22)を形成したが、この複数の柱部4bの一つおき或いは二つおき等に第1潤滑剤溜り部4b12(好ましくはそれに加えて第2潤滑剤溜り部4b22)を形成するようにしても良い。
本発明の第1実施形態に係る複列円筒ころ軸受の要部を示す断面図である。 本発明の第1実施形態に係る保持器の要部を示す斜視図である。 図3(a)は、本発明の第1実施形態に係る保持器の要部を示す断面図、図3(b)は、その保持器を柱部の先端側から見た部分側面図である。 本発明の第2実施形態に係る複列円筒ころ軸受の要部を示す断面図である。 本発明の第2実施形態に係る保持器の要部を示す斜視図である。 図6(a)は、本発明の第2実施形態に係る保持器の要部を示す断面図、図6(b)は、その保持器を柱部の先端側から見た部分側面図である。 図7(a)は、本発明の第2実施形態に係る保持器(溝の大きさが上限)を柱部の先端側から見た部分側面図、図7(b)は、本発明の第2実施形態に係る保持器(溝の大きさが下限)を柱部の先端側から見た部分側面図である。 図8(a)は、本発明の第3実施形態に係る保持器の要部を示す断面図、図8(b)は、その保持器の作用を示す断面図である。 図9(a)は、本発明の第4実施形態に係る保持器の要部を示す斜視図、図9(b)は、その保持器の要部を示す断面図である。 本発明の第5実施形態に係る保持器を柱部の先端側から見た部分側面図である。 従来の円筒ころ軸受における保持器を柱部の先端側から見た部分側面図である。 従来の円筒ころ軸受における保持器の柱部が高速回転時の遠心力の作用で外径側に弾性変形したときの状態(実線)と、変形前の状態(点線)とを模式的に示す図である。
符号の説明
1 内輪
2 外輪
2a 外輪の軌道面
3 円筒ころ
4 保持器
4a 環状部
4a1 内側面
4b 柱部
4b1 円周方向側面
4b12 第1潤滑剤溜り部(逃げ部)
4b14 ころ案内部
4b15 第1潤滑剤溜り部の外周側端縁
4b22 第2潤滑剤溜り部(溝)
T1 第2潤滑剤溜り部の軸方向長さ
T2 第2潤滑剤溜り部の軸方向長さ(溝長さ)
Td 円筒ころの軸方向長さ
Tx 第2潤滑剤溜り部の深さ(溝深さ)
Ty 第2潤滑剤溜り部の幅(溝幅)

Claims (11)

  1. 内輪と、外輪と、内輪と外輪との間に転動自在に配された複数の円筒ころと、合成樹脂製の保持器とを備え、該保持器は、環状部と、該環状部の内側面から軸方向の一方に延びた複数の柱部と、円周方向に隣接する前記柱部の円周方向側面間に形成され、前記円筒ころを回転自在に保持する複数のポケットとを備えている円筒ころ軸受において、
    前記保持器の柱部の円周方向側面が、前記円筒ころの転動面に沿う円弧面を有すると共に、その軸方向先端側部分における内周部に、柱部の遠心力による弾性変形時における円筒ころとの接触に対する逃げ部を有し、該逃げ部は、先端及び内周端が開放された凹部であり且つ外周側端縁部に段差部が形成されると共に、該逃げ部における前記外周側端縁部を含む全部または一部領域が、第1潤滑剤溜り部とされていることを特徴とする円筒ころ軸受。
  2. 前記逃げ部の外周側に離隔した位置に、第2潤滑剤溜り部を有することを特徴とする請求項1に記載の円筒ころ軸受。
  3. 前記第1潤滑剤溜り部は、前記ポケットの中心を通るポケットPCDの内周側に形成され、且つ、前記第2潤滑剤溜り部は、前記ポケットPCDの外周側に形成されていることを特徴とする請求項2に記載の円筒ころ軸受。
  4. 前記第2潤滑剤溜り部は、軸方向に延びる溝として形成されていることを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載の円筒ころ軸受。
  5. 前記第2潤滑剤溜り部は、前記柱部の軸方向途中から先端に亘って直線状に形成されていることを特徴とする請求項4に記載の円筒ころ軸受。
  6. 前記第2潤滑剤溜り部は、溝長さが、前記円筒ころの軸方向長さの40〜60%に、溝深さが、前記円筒ころの直径の2〜8%に、溝幅が、前記円筒ころの直径の10〜15%に形成されていることを特徴とする請求項5に記載の円筒ころ軸受。
  7. 前記第2潤滑剤溜り部は、前記柱部が遠心力によって外径側に弾性変形するときの軸心に対する傾斜方向と反対方向に傾斜して形成されていることを特徴とする請求項5または6に記載の円筒ころ軸受。
  8. 前記第2潤滑剤溜り部の傾斜して形成されている直線状の溝の傾斜角度は、2〜10度に設定されていることを特徴とする請求項5〜7の何れかに記載の円筒ころ軸受。
  9. 前記第1潤滑剤溜り部の外周側端縁は、前記柱部が回転時の遠心力によって外径側に弾性変形するときの軸心に対する傾斜方向と反対方向に傾斜して形成されていることを特徴とする請求項7または8に記載の円筒ころ軸受。
  10. 前記第1潤滑剤溜り部の傾斜して形成されている直線状の外周側端縁の傾斜角度は、2〜10度に設定されていることを特徴とする請求項9に記載の円筒ころ軸受。
  11. 前記円筒ころが複数列で配列されていると共に、前記円筒ころの各列がそれぞれ前記保持器によって個別的に保持されていることを特徴とする請求項1〜10の何れかに記載の円筒ころ軸受。

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