JP4322457B2 - アミノ基を有する新規アザ芳香族化合物及びそれを利用した有機エレクトロルミネッセンス素子 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、アミノ基を有する新規アザ芳香族化合物及びそれを利用した有機エレクトロルミネッセンス素子(有機EL素子)に関し、特に、発光輝度及び発光効率が高く、色純度が高く、赤色系に発光する有機EL素子を提供可能なアミノ基を有する新規アザ芳香族化合物及びそれを利用した有機EL素子に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
有機物質を使用した有機EL素子は、固体発光型の安価な大面積フルカラー表示素子としての用途が有望視され、多くの開発が行われている。一般に、有機EL素子は、発光層及び該層を挟んだ一対の対向電極から構成されている。
有機EL素子の発光は、両電極間に電界が印加されると、陰極側から電子が注入され、陽極側から正孔が注入され、電子が発光層において正孔と再結合し、励起状態を生成し、励起状態が基底状態に戻る際にエネルギーを光として放出する現象である。
最近では、有機EL素子ディスプレイの実用化が開始されているものの、フルカラー表示素子は開発途中である。特に、色純度及び発光効率が高く、赤色系に発光する有機EL素子及びそれを実現する発光材料が求められている。
これらを解決しようとするものとして、例えば、特開平8−311442号公報には、ナフタセン又はペンタセン誘導体を発光層に添加した赤色発光素子が開示されているが、この発光素子は、赤色純度は優れているものの、印加電圧が11Vと高く輝度の半減時間は約150時間と不十分であった。特開平3−162481号公報には、ジシアノメチレン系化合物を発光層に添加した素子が開示されているが赤色の純度が不十分であった。特開2001−81451号公報には、アミン系芳香族化合物を発光層に添加した赤色発光素子が開示され、この発光素子はCIE色度(0.64、0.33)の色純度を有しているものの駆動電圧が10V以上と高かった。特開平2001−160489号公報には、アザフルオランテン化合物を発光層に添加した素子が開示されているが、黄色から緑色の発光となり、十分な赤色を発光するに至っていない。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、前記の課題を解決するためになされたもので、発光輝度及び発光効率が高く、色純度が高く、赤色系に発光する有機EL素子を提供可能なアミノ基を有する新規アザ芳香族化合物及びそれを利用した有機EL素子を提供することである。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、前記課題を解決するために鋭意検討した結果、アリールアミノ基が結合したアザフルオランテン骨格を有する化合物を有機EL素子の有機薄膜層の材料として用いることにより、前記の課題を解決することを見出し本発明を解決するに至った。
【0005】
すなわち、本発明は、下記一般式(3)で表されるアリールアミノ基が結合したアザフルオランテン骨格を有する新規アザ芳香族化合物を提供するものである。
【0006】
一般式(3)
【化3】
(式中、R1 〜R12は、それぞれ独立に、水素原子、置換もしくは無置換の炭素数1〜30のアルキル基、置換もしくは無置換の炭素数1〜30のアルコキシ基、置換もしくは無置換の炭素数6〜40のアリール基、炭素数3〜20のトリアルキルシリル基、置換もしくは無置換の炭素数6〜20のアリールオキシ基、トリフルオロメチル基、シアノ基、又は下記一般式(A)で表わされる基であって、R1 〜R12のうち少なくとも1つは下記一 また、前記置換もしくは無置換における置換基は、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、無置換のアミノ基、ニトロ基、シアノ基、無置換のアルキル基、無置換のアルケニル基、無置換のアルコキシ基、無置換のアラルキル基、無置換のアリールオキシ基、無置換のアルコキシカルボニル基、カルボキシル基である。)
【0007】
【化4】
(式中、Ar1 及びAr2 は、それぞれ独立に、置換もしくは無置換のフェニル基、置換もしくは無置換のナフチル基、置換もしくは無置換のアントラセン基、置換もしくは無置換のフェニルアントラセン基、置換もしくは無置換のジフェニルアントラセン基、置換もしくは無置換のフェナントレン基、置換もしくは無置換のアセナフテン基、置換もしくは無置換のビフェニル基、置換もしくは無置換のフルオレン基、置換もしくは無置換のカルバゾール基、置換もしくは無置換のチオフェン基、置換もしくは無置換のトリアゾール基、又は置換もしくは無置換のチアジアゾール基である。
また、前記置換もしくは無置換における置換基は、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、無置換のアミノ基、ニトロ基、シアノ基、無置換のアルキル基、無置換のアルケニル基、無置換のアルコキシ基、無置換のアラルキル基、無置換のアリールオキシ基、無置換のアルコキシカルボニル基、カルボキシル基である。)
【0008】
また、本発明は、陰極と陽極間に一層又は複数層からなる有機薄膜層が挟持されている有機エレクトロルミネッセンス素子において、該有機薄膜層の少なくとも1層が、アリールアミノ基が結合したアザフルオランテン骨格を有するアザ芳香族化合物を含有する有機エレクトロルミネッセンス素子を提供するものである。
【0009】
【発明の実施の形態】
上記一般式(3)において、R1 〜R12は、それぞれ独立に、水素原子、置換もしくは無置換の炭素数1〜30のアルキル基、置換もしくは無置換の炭素数1〜30のアルコキシ基、置換もしくは無置換の炭素数6〜40のアリール基、炭素数3〜20のトリアルキルシリル基、置換もしくは無置換の炭素数6〜20のアリールオキシ基、トリフルオロメチル基、シアノ基、又は上記一般式(A)で表わされる基であって、R1 〜R12のうち少なくとも1つは上記一般式(A)で表わされる基である。
【0010】
炭素数1〜30のアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、s−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、ヒドロキシメチル基、1−ヒドロキシエチル基、2−ヒドロキシエチル基、2−ヒドロキシイソブチル基、1,2−ジヒドロキシエチル基、1,3−ジヒドロキシイソプロピル基、2,3−ジヒドロキシ−t−ブチル基、1,2,3−トリヒドロキシプロピル基、クロロメチル基、1−クロロエチル基、2−クロロエチル基、2−クロロイソブチル基、1,2−ジクロロエチル基、1,3−ジクロロイソプロピル基、2,3−ジクロロ−t−ブチル基、1,2,3−トリクロロプロピル基、ブロモメチル基、1−ブロモエチル基、2−ブロモエチル基、2−ブロモイソブチル基、1,2−ジブロモエチル基、1,3−ジブロモイソプロピル基、2,3−ジブロモ−t−ブチル基、1,2,3−トリブロモプロピル基、ヨードメチル基、1−ヨードエチル基、2−ヨードエチル基、2−ヨードイソブチル基、1,2−ジヨードエチル基、1,3−ジヨードイソプロピル基、2,3−ジヨード−t−ブチル基、1,2,3−トリヨードプロピル基、アミノメチル基、1−アミノエチル基、2−アミノエチル基、2−アミノイソブチル基、1,2−ジアミノエチル基、1,3−ジアミノイソプロピル基、2,3−ジアミノ−t−ブチル基、1,2,3−トリアミノプロピル基、シアノメチル基、1−シアノエチル基、2−シアノエチル基、2−シアノイソブチル基、1,2−ジシアノエチル基、1,3−ジシアノイソプロピル基、2,3−ジシアノ−t−ブチル基、1,2,3−トリシアノプロピル基、ニトロメチル基、1−ニトロエチル基、2−ニトロエチル基、2−ニトロイソブチル基、1,2−ジニトロエチル基、1,3−ジニトロイソプロピル基、2,3−ジニトロ−t−ブチル基、1,2,3−トリニトロプロピル基等が挙げられる。
【0011】
炭素数1〜30のアルコキシ基としては、−OYで表される基であり、Yの例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、s−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、ヒドロキシメチル基、1−ヒドロキシエチル基、2−ヒドロキシエチル基、2−ヒドロキシイソブチル基、1,2−ジヒドロキシエチル基、1,3−ジヒドロキシイソプロピル基、2,3−ジヒドロキシ−t−ブチル基、1,2,3−トリヒドロキシプロピル基、クロロメチル基、1−クロロエチル基、2−クロロエチル基、2−クロロイソブチル基、1,2−ジクロロエチル基、1,3−ジクロロイソプロピル基、2,3−ジクロロ−t−ブチル基、1,2,3−トリクロロプロピル基、ブロモメチル基、1−ブロモエチル基、2−ブロモエチル基、2−ブロモイソブチル基、1,2−ジブロモエチル基、1,3−ジブロモイソプロピル基、2,3−ジブロモ−t−ブチル基、1,2,3−トリブロモプロピル基、ヨードメチル基、1−ヨードエチル基、2−ヨードエチル基、2−ヨードイソブチル基、1,2−ジヨードエチル基、1,3−ジヨードイソプロピル基、2,3−ジヨード−t−ブチル基、1,2,3−トリヨードプロピル基、アミノメチル基、1−アミノエチル基、2−アミノエチル基、2−アミノイソブチル基、1,2−ジアミノエチル基、1,3−ジアミノイソプロピル基、2,3−ジアミノ−t−ブチル基、1,2,3−トリアミノプロピル基、シアノメチル基、1−シアノエチル基、2−シアノエチル基、2−シアノイソブチル基、1,2−ジシアノエチル基、1,3−ジシアノイソプロピル基、2,3−ジシアノ−t−ブチル基、1,2,3−トリシアノプロピル基、ニトロメチル基、1−ニトロエチル基、2−ニトロエチル基、2−ニトロイソブチル基、1,2−ジニトロエチル基、1,3−ジニトロイソプロピル基、2,3−ジニトロ−t−ブチル基、1,2,3−トリニトロプロピル基等が挙げられる。
【0012】
炭素数6〜40のアリール基としては、フェニル基、ナフチル基、アントリル基、フェナントリル基、ナフタセニル基、ピレニル基、フルオレニル基、ビフェニル基、ターフェニル基等が挙げられる。
炭素数6〜20のアリールオキシ基は、−OArで表される基であり、Arとしては、例えば、フェニル基、ナフチル基、アントリル基、フェナントリル基、ビフェニル基、ターフェニル基等が挙げられる。
また、前記アルキル基、アルコキシ基、アリール基及びアリールオキシ基の置換基の例としては、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、置換もしくは無置換アミノ基、ニトロ基、シアノ基、置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のアルケニル基、置換もしくは無置換のシクロアルキル基、置換もしくは無置換のアルコキシ基、置換もしくは無置換の芳香族炭化水素基、置換もしくは無置換の芳香族複素環基、置換もしくは無置換のアラルキル基、置換もしくは無置換のアリールオキシ基、置換もしくは無置換のアルコキシカルボニル基、カルボキシル基等が挙げられる。
炭素数3〜20のトリアルキルシリル基としては、トリメチルシリル基、トリエチルシリル基、トリプロピルシリル基、トリブチルシリル基、トリペンチルシリル基、トリヘキシルシリル基、t−ブチルジメチルシリル基等が挙げられる。
【0013】
上記一般式(A)において、Ar1 及びAr2 は、それぞれ独立に、置換もしくは無置換のフェニル基、置換もしくは無置換のナフチル基、置換もしくは無置換のアントラセン基、置換もしくは無置換のフェニルアントラセン基、置換もしくは無置換のジフェニルアントラセン基、置換もしくは無置換のフェナントレン基、置換もしくは無置換のアセナフテン基、置換もしくは無置換のビフェニル基、置換もしくは無置換のフルオレン基、置換もしくは無置換のカルバゾール基、置換もしくは無置換のチオフェン基、置換もしくは無置換のトリアゾール基、又は置換もしくは無置換のチアジアゾール基であり、置換基としては、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、置換もしくは無置換アミノ基、ニトロ基、シアノ基、置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のアルケニル基、置換もしくは無置換のシクロアルキル基、置換もしくは無置換のアルコキシ基、置換もしくは無置換の芳香族炭化水素基、置換もしくは無置換の芳香族複素環基、置換もしくは無置換のアラルキル基、置換もしくは無置換のアリールオキシ基、置換もしくは無置換のアルコキシカルボニル基、カルボキシル基等が挙げられる。
【0014】
本発明の一般式(3)で表されるアリールアミノ基が結合したアザフルオランテン骨格を有する新規アザ芳香族化合物の具体例を以下に示すが、これら例示化合物に限定されるものではない。
【化5】
【0015】
【化6】
【0016】
本発明の上記一般式(3)の新規アザ芳香族化合物は、有機EL素子用の有機化合物として使用することが好ましい。
【0017】
本発明の有機EL素子は、陰極と陽極間に一層又は複数層からなる有機薄膜層が挟持されている有機EL素子において、該有機薄膜層の少なくとも1層が、アリールアミノ基が結合したアザフルオランテン骨格を有するアザ芳香族化合物を含有する。アリールアミノ基が結合したアザフルオランテン骨格を有するアザ芳香族化合物が上記一般式(3)の新規アザ芳香族化合物である。
【0018】
本発明の有機EL素子は、前記したように陽極と陰極間に一層もしくは多層の有機薄膜層を形成した素子である。一層型の場合、陽極と陰極との間に発光層を設けている。発光層は、発光材料を含有し、それに加えて陽極から注入した正孔、もしくは陰極から注入した電子を発光材料まで輸送させるために、正孔注入材料もしくは電子注入材料を含有してもよい。また、発光材料は、極めて高い蛍光量子効率、高い正孔輸送能力及び電子輸送能力を併せ持ち、均一な薄膜を形成することが好ましい。多層型の有機EL素子としては、(陽極/正孔注入層/発光層/陰極)、(陽極/発光層/電子注入層/陰極)、(陽極/正孔注入層/発光層/電子注入層/陰極)等の多層構成で積層したものがある。
【0019】
発光層には、必要に応じて、本発明の一般式(3)の化合物に加えてさらなる公知のホスト材料、発光材料、ドーピング材料、正孔注入材料や電子注入材料を使用し、組み合わせて使用することもできる。有機EL素子は、多層構造にすることにより、クエンチングによる輝度や寿命の低下を防ぐことができ、他のドーピング材料により、発光輝度や発光効率の向上、赤色や白色の発光を得ることもでき、りん光発光に寄与する他のドーピング材料と組み合わせて用いることにより、従来の発光輝度や発光効率を向上させることができる。また、本発明の有機EL素子における正孔注入層、発光層、電子注入層は、それぞれ二層以上の層構成により形成されてもよい。その際、正孔注入層の場合、電極から正孔を注入する層を正孔注入層、正孔注入層から正孔を受け取り発光層まで正孔を輸送する層を正孔輸送層と呼ぶ。同様に、電子注入層の場合、電極から電子を注入する層を電子注入層、電子注入層から電子を受け取り発光層まで電子を輸送する層を電子輸送層と呼ぶ。これらの各層は、材料のエネルギー準位、耐熱性、有機薄膜層もしくは金属電極との密着性等の各要因により選択されて使用される。
【0020】
本発明の有機EL素子は、前記電子輸送層が、アリールアミノ基が結合したアザフルオランテン骨格を有する化合物、好ましくは上記一般式(3)の新規アザ芳香族化合物を含有してもよく、前記正孔輸送層が、アリールアミノ基が結合したアザフルオランテン骨格を有する化合物、好ましくは上記一般式(3)の新規アザ芳香族化合物を含有してもよい。
【0021】
本発明のアザ芳香族化合物と共に有機薄膜層に使用できる発光材料又はホスト材料としては、アントラセン、ナフタレン、フェナントレン、ピレン、テトラセン、コロネン、クリセン、フルオレセイン、ペリレン、フタロペリレン、ナフタロペリレン、ペリノン、フタロペリノン、ナフタロペリノン、ジフェニルブタジエン、テトラフェニルブタジエン、クマリン、オキサジアゾール、アルダジン、ビスベンゾキサゾリン、ビススチリル、ピラジン、シクロペンタジエン、キノリン金属錯体、アミノキノリン金属錯体、ベンゾキノリン金属錯体、イミン、ジフェニルエチレン、ビニルアントラセン、ジアミノアントラセン、ジアミノカルバゾール、ピラン、チオピラン、ポリメチン、メロシアニン、イミダゾールキレート化オキシノイド化合物、キナクリドン、ルブレン、スチルベン系誘導体及び蛍光色素等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0022】
正孔注入材料としては、正孔を輸送する能力を持ち、陽極からの正孔注入効果、発光層又は発光材料に対して優れた正孔注入効果を有し、発光層で生成した励起子の電子注入層又は電子注入材料への移動を防止し、かつ薄膜形成能力の優れた化合物が好ましい。具体的には、フタロシアニン誘導体、ナフタロシアニン誘導体、ポルフィリン誘導体、オキサゾール、オキサジアゾール、トリアゾール、イミダゾール、イミダゾロン、イミダゾールチオン、ピラゾリン、ピラゾロン、テトラヒドロイミダゾール、オキサゾール、オキサジアゾール、ヒドラゾン、アシルヒドラゾン、ポリアリールアルカン、スチルベン、ブタジエン、ベンジジン型トリフェニルアミン、スチリルアミン型トリフェニルアミン、ジアミン型トリフェニルアミン等と、それらの誘導体、及びポリビニルカルバゾール、ポリシラン、導電性高分子等の高分子材料が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0023】
これらの正孔注入材料の中で、さらに効果的な正孔注入材料は、芳香族三級アミン誘導体又はフタロシアニン誘導体である。芳香族三級アミン誘導体の具体例としては、トリフェニルアミン、トリトリルアミン、トリルジフェニルアミン、N,N’−ジフェニル−N,N’−(3−メチルフェニル)−1,1’−ビフェニル−4,4’−ジアミン、N,N,N’,N’−(4−メチルフェニル)−1,1’−フェニル−4,4’−ジアミン、N,N,N’,N’−(4−メチルフェニル)−1,1’−ビフェニル−4,4’−ジアミン、N,N’−ジフェニル−N,N’−ジナフチル−1,1’−ビフェニル−4,4’−ジアミン、N,N’−(メチルフェニル)−N,N’−(4−n−ブチルフェニル)−フェナントレン−9,10−ジアミン、N,N−ビス(4−ジ−4−トリルアミノフェニル)−4−フェニル−シクロヘキサン等、又はこれらの芳香族三級アミン骨格を有したオリゴマーもしくはポリマーであるが、これらに限定されるものではない。フタロシアニン(Pc)誘導体の具体例は、H2 Pc、CuPc、CoPc、NiPc、ZnPc、PdPc、FePc、MnPc、ClAlPc、ClGaPc、ClInPc、ClSnPc、Cl2 SiPc、(HO)AlPc、(HO)GaPc、VOPc、TiOPc、MoOPc、GaPc−O−GaPc等のフタロシアニン誘導体及びナフタロシアニン誘導体であるが、これらに限定されるものではない。
【0024】
電子注入材料としては、電子を輸送する能力を持ち、陰極からの電子注入効果、発光層又は発光材料に対して優れた電子注入効果を有し、発光層で生成した励起子の正孔注入層への移動を防止し、かつ薄膜形成能力の優れた化合物が好ましい。具体的には、フルオレノン、アントラキノジメタン、ジフェノキノン、チオピランジオキシド、オキサゾール、オキサジアゾール、トリアゾール、イミダゾール、ペリレンテトラカルボン酸、キノキサリン、フレオレニリデンメタン、アントラキノジメタン、アントロン等とそれらの誘導体が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0025】
これらの電子注入材料の中で、さらに効果的な電子注入材料は、金属錯体化合物又は含窒素五員環誘導体である。金属錯体化合物の具体例は、8−ヒドロキシキノリナートリチウム、ビス(8−ヒドロキシキノリナート)亜鉛、ビス(8−ヒドロキシキノリナート)銅、ビス(8−ヒドロキシキノリナート)マンガン、トリス(8−ヒドロキシキノリナート)アルミニウム、トリス(2−メチル−8−ヒドロキシキノリナート)アルミニウム、トリス(8−ヒドロキシキノリナート)ガリウム、ビス(10−ヒドロキシベンゾ[h]キノリナート)ベリリウム、ビス(10−ヒドロキシベンゾ[h]キノリナート)亜鉛、ビス(2−メチル−8−キノリナート)クロロガリウム、ビス(2−メチル−8−キノリナート)(o−クレゾラート)ガリウム、ビス(2−メチル−8−キノリナート)(1−ナフトラート)アルミニウム、ビス(2−メチル−8−キノリナート)(2−ナフトラート)ガリウム等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0026】
また、含窒素五員誘導体は、オキサゾール、チアゾール、オキサジアゾール、チアジアゾールもしくはトリアゾール誘導体が好ましい。具体的には、2,5−ビス(1−フェニル)−1,3,4−オキサゾール、ジメチルPOPOP、2,5−ビス(1−フェニル)−1,3,4−チアゾール、2,5−ビス(1−フェニル)−1,3,4−オキサジアゾール、2−(4’−tert−ブチルフェニル)−5−( 4”−ビフェニル) 1,3,4−オキサジアゾール、2,5−ビス(1−ナフチル)−1,3,4−オキサジアゾール、1,4−ビス[2−( 5−フェニルオキサジアゾリル) ]ベンゼン、1,4−ビス[2−( 5−フェニルオキサジアゾリル) −4−tert−ブチルベンゼン]、2−(4’−tert−ブチルフェニル)−5−( 4”−ビフェニル) −1,3,4−チアジアゾール、2,5−ビス(1−ナフチル)−1,3,4−チアジアゾール、1,4−ビス[2−( 5−フェニルチアジアゾリル) ]ベンゼン、2−(4’−tert−ブチルフェニル)−5−( 4”−ビフェニル) −1,3,4−トリアゾール、2,5−ビス(1−ナフチル)−1,3,4−トリアゾール、1,4−ビス[2−( 5−フェニルトリアゾリル) ]ベンゼン等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0027】
また、正孔注入材料に電子受容物質を、電子注入材料に電子供与性物質を添加することにより電荷注入性を向上させることもできる。
本発明の有機EL素子の陽極に使用される導電性材料としては、4eVより大きな仕事関数を持つものが適しており、炭素、アルミニウム、バナジウム、鉄、コバルト、ニッケル、タングステン、銀、金、白金、パラジウム等及びそれらの合金、ITO基板、NESA基板に使用される酸化スズ、酸化インジウム等の酸化金属、さらにはポリチオフェンやポリピロール等の有機導電性樹脂が用いられる。陰極に使用される導電性物質としては、4eVより小さな仕事関数を持つものが適しており、マグネシウム、カルシウム、錫、鉛、チタニウム、イットリウム、リチウム、ルテニウム、マンガン、アルミニウム等及びそれらの合金が用いられるが、これらに限定されるものではない。合金としては、マグネシウム/銀、マグネシウム/インジウム、リチウム/アルミニウム等が代表例として挙げられるが、これらに限定されるものではない。合金の比率は、蒸着源の温度、雰囲気、真空度等により制御され、適切な比率に選択される。陽極及び陰極は、必要があれば二層以上の層構成により形成されていてもよい。
【0028】
本発明の有機EL素子は、少なくとも一方の電極と前記有機薄膜層との間に無機化合物層を有していてもよい。無機化合物層に使用される好ましい無機化合物としては、アルカリ金属酸化物、アルカリ土類酸化物、希土類酸化物、アルカリ金属ハロゲン化物、アルカリ土類ハロゲン化物、希土類ハロゲン化物、SiOX 、AlOX 、SiNX 、SiON、AlON、GeOX 、LiOX 、LiON、TiOX 、TiON、TaOX 、TaON、TaNX 、Cなど各種酸化物、窒化物、酸化窒化物である。特に陽極に接する層の成分としては、SiOX 、AlOX 、SiNX 、SiON、AlON、GeOX 、Cが安定な注入界面層を形成して好ましい。また、特に陰極に接する層の成分としては、LiF、MgF2 、CaF2 、MgF2 、NaFが好ましい。
【0029】
本発明の有機EL素子は、効率良く発光させるために、少なくとも一方の面は素子の発光波長領域において充分透明にすることが望ましい。また、基板も透明であることが望ましい。
透明電極は、上記の導電性材料を使用して、蒸着やスパッタリング等の方法で所定の透光性が確保するように設定する。発光面の電極は、光透過率を10%以上にすることが望ましい。基板は、機械的、熱的強度を有し、透明性を有するものであれば限定されるものではないが、ガラス基板及び透明性樹脂フィルムが挙げられる。透明性樹脂フィルムとしては、ポリエチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−ビニルアルコール共重合体、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリメチルメタアクリレート、ポリ塩化ビニル、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール、ナイロン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリサルホン、ポリエーテルサルフォン、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体、ポリビニルフルオライド、テトラフルオロエチレン−エチレン共重合体、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体、ポリクロロトリフルオロエチレン、ポリビニリデンフルオライド、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリウレタン、ポリイミド、ポリエーテルイミド、ポリイミド、ポリプロピレン等が挙げられる。
【0030】
本発明の有機EL素子は、温度、湿度、雰囲気等に対する安定性の向上のために、素子の表面に保護層を設けたり、シリコンオイル、樹脂等により素子全体を保護することも可能である。
【0031】
本発明の有機EL素子の各層の形成は、真空蒸着、スパッタリング、プラズマ、イオンプレーティング等の乾式成膜法やスピンコーティング、ディッピング、フローコーティング等の湿式成膜法のいずれの方法を適用することができる。各層の膜厚は特に限定されるものではないが、適切な膜厚に設定する必要がある。膜厚が厚すぎると、一定の光出力を得るために大きな印加電圧が必要になり発光効率が悪くなる。膜厚が薄すぎるとピンホール等が発生して、電界を印加しても充分な発光輝度が得られない。通常の膜厚は5nm〜10μmの範囲が適しているが、10nm〜0.2μmの範囲がさらに好ましい。
【0032】
湿式成膜法の場合、各層を形成する材料を、エタノール、クロロホルム、テトラヒドロフラン、ジオキサン等の適切な溶媒に溶解又は分散させて薄膜を形成するが、その溶媒はいずれであってもよい。また、いずれの層においても、成膜性向上、膜のピンホール防止等のため適切な樹脂や添加剤を使用してもよい。使用の可能な樹脂としては、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリエステル、ポリアミド、ポリウレタン、ポリスルフォン、ポリメチルメタクリレート、ポリメチルアクリレート、セルロース等の絶縁性樹脂及びそれらの共重合体、ポリ−N−ビニルカルバゾール、ポリシラン等の光導電性樹脂、ポリチオフェン、ポリピロール等の導電性樹脂が挙げられる。また、添加剤としては、酸化防止剤、紫外線吸収剤、可塑剤等が挙げられる。
以上のように、有機EL素子の有機薄膜層に本発明の新規アザ芳香族化合物を用いることにより、色純度及び発光効率が高く、寿命が長く、赤色系に発光する有機EL素子を得ることができ、この有機EL素子は、例えば電子写真感光体、壁掛けテレビ用フラットパネルディスプレイ等の平面発光体、複写機、プリンター、液晶ディスプレイのバックライト又は計器類等の光源、表示板、標識灯、アクセサリー等に好適に用いられる。
【0033】
【実施例】
次に、実施例を用いて本発明をさらに詳しく説明するが、本発明は実施例に限定されるものではない。
合成例1(化合物3−3及び3−4の合成)
アザ芳香族化合物化合物(上記化合物3−3及び3−4)の合成経路を以下に示す。
【化7】
【0034】
5−ブロモアセナフテンキノン2.0g(7.7mmol)にホルムアミド40ミリリットルを加えて180℃で3時間反応させた。反応終了後、得られた固体をろ別した後、ニトロベンゼンを用いて再結晶化させた。得られた結晶をろ別し、少量のエタノールで洗浄した後、50℃で真空乾燥し、ジ−(ブロモアセナフテノ)−ピラジン1.3g(2.7mmol)を得た(収率26%)。
次に異性体混合物のジ−(ブロモアセナフテノ)−ピラジン1.2g(2.5mmol)に、ジトリルアミン1.12g(5.7mmol)、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)38mg(0.04mmol)、(S)−(−)−BINAP(2,2 ’‐ビス‐(ジフェニルホスフィノ)‐1,1 ’‐ビナフチル)50mg(0.08mmol)、ナトリウムt−ブトキシド658mg(6.84mmol)を入れてアルゴン置換した後、脱水キシレン40ミリリットルを加えて攪拌しながら120℃に昇温し、9時間攪拌した。反応終了後、室温まで冷やし、ジクロロメタンを加え、室温でしばらく攪拌した後濾過した。濾液を濃縮し、シリカゲルカラムクロマトグラフィーで目的物を分離した。溶媒を除去し、得られた残さをさらにトルエンで再結晶化させ、析出した結晶を濾別、乾燥し、1.1g(1.53mmol)の目的物を得た(収率61%)。次に得られた目的物1.0gを300℃、5.0×10-6Torrで脱気精製し、赤紫色粉末を得た。NMRにより3−3、3−4の異性体比はほぼ3:7であった。
FDマス分析:718(M+ ,bp)
HPLC純度:98%
【0035】
実施例1
25×75×1.1mmサイズのガラス基板上に、膜厚120nmのインジウムスズ酸化物からなる透明電極を設けた。このガラス基板に紫外線及びオゾンを照射して洗浄を行なったのち、真空蒸着装置にこのガラス基板を設置した。
まず、下記TPD74を60nmの厚さに蒸着した後、その上に下記NPDを20nmの厚さに蒸着した。次いで発光材料及び発光媒体として化合物3−3,3−4(3:7混合物)及びAlq(8−ヒドロキシキノリンのアルミニウム錯体)を重量比2:40で同時蒸着し、厚さ50nmの発光媒体層を形成した。
次にAlqを10nmの厚さに蒸着した。次に、ハロゲン化アルカリ金属であるLiFを0.2nmの厚さに蒸着し、次いでアルミニウムを150nmの厚さに蒸着し、有機EL素子を作製した。
得られた有機EL素子について、通電試験を行なったところ、電圧6.5V、電流密度4.7mA/cm2 にて、発光輝度100cd/m2 の赤色発光が得られた。
【0036】
【化8】
【0037】
実施例2
実施例1において、発光媒体として用いたAlqの代わりにアントラセン誘導体である下記DPVDPANを用いた以外は同様にして有機EL素子を作製した。得られた有機EL素子の直流電圧6.5Vでの電流密度4.5mA/cm 2 、発光輝度112cd/m 2 、発光色は橙色であった。
【0038】
【化9】
【0039】
比較例1
実施例1において、発光材料及び発光媒体として化合物3−3,3−4(3:7混合物)とAlqの代わりに下記Ru2とAlqを重量比2:40で同時蒸着したこと以外は、実施例1と同様にして有機EL素子を作製した。得られた有機EL素子の性能を評価したところ、電圧10Vで28.0mA/cm2 の電流が流れ、発光輝度は116cd/m2 の赤色発光が得られた。しかしながら、この素子は電圧が高く、発光効率が低い。
【化10】
【0040】
比較例2
実施例1において、発光材料及び発光媒体として化合物3−3,3−4(3:7混合物)とAlqの代わりに下記化合物10とAlqを重量比2:40で同時蒸着したこと以外は、実施例1と同様にして有機EL素子を作製した。得られた有機EL素子の性能を評価したところ、電圧8.8Vで10mA/cm2 の電流が流れ、輝度は203cd/m2 の黄緑色発光が得られた。しかしながら、この素子は電圧が高く、発光色が赤色ではない。
【化11】
【0041】
比較例3
実施例2において、発光材料及び発光媒体として化合物3−3,3−4(3:7混合物)とDPVDPANの代わりに上記化合物10とDPVDPANを重量比2:40で同時蒸着したこと以外は、実施例1と同様にして有機EL素子を作製した。得られた有機EL素子の性能を評価したところ、電圧8.5Vで9.8mA/cm2 の電流が流れ、輝度は235cd/m2 の緑色発光が得られた。しかしながら、この素子は電圧が高く、発光色が赤色ではない。
【0042】
【発明の効果】
以上詳細に説明したように、本発明の新規アザ芳香族化合物を利用すると、発光輝度及び発光効率が高く、色純度が高く、赤色系に発光する有機エレクトロルミネッセンス素子が得られる。このため、本発明の有機エレクトロルミネッセンス素子は、各種電子機器の光源等として極めて有用である。
Claims (10)
- 下記一般式(3)で表されるアリールアミノ基が結合したアザフルオランテン骨格を有する新規アザ芳香族化合物。
一般式(3)
また、前記置換もしくは無置換における置換基は、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、無置換のアミノ基、ニトロ基、シアノ基、無置換のアルキル基、無置換のアルケニル基、無置換のアルコキシ基、無置換のアラルキル基、無置換のアリールオキシ基、無置換のアルコキシカルボニル基、カルボキシル基である。)
また、前記置換もしくは無置換における置換基は、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、無置換のアミノ基、ニトロ基、シアノ基、無置換のアルキル基、無置換のアルケニル基、無置換のアルコキシ基、無置換のアラルキル基、無置換のアリールオキシ基、無置換のアルコキシカルボニル基、カルボキシル基である。) - 一般式(3)において、R 3 及びR 10 もしくはR 4 及びR 9 、又はR 3 及びR 9 もしくはR 4 及びR 10 が前記一般式(A)で表わされる基である請求項1に記載のアザ芳香族化合物。
- 一般式(A)において、Ar 1 及びAr 2 が、それぞれ独立に、置換もしくは無置換のフェニル基である請求項1に記載のアザ芳香族化合物。
- 一般式(A)において、Ar 1 及びAr 2 が、それぞれ独立に、メチルフェニル基である請求項1に記載のアザ芳香族化合物。
- 有機エレクトロルミネッセンス素子用の有機化合物である請求項1〜4のいずれかに記載の新規アザ芳香族化合物。
- 陰極と陽極間に一層又は複数層からなる有機薄膜層が挟持されている有機エレクトロルミネッセンス素子において、該有機薄膜層の少なくとも1層が、請求項1〜4のいずれかに記載のアザ芳香族化合物を含有する有機エレクトロルミネッセンス素子。
- 陰極と陽極間に少なくとも発光層及び電子輸送層が挟持されている有機エレクトロルミネッセンス素子において、該電子輸送層が、請求項1〜4のいずれかに記載のアザ芳香族化合物を含有する有機エレクトロルミネッセンス素子。
- 陰極と陽極間に少なくとも発光層及び正孔輸送層が挟持されている有機エレクトロルミネッセンス素子において、該正孔輸送層が、請求項1〜4のいずれかに記載のアザ芳香族化合物を含有する有機エレクトロルミネッセンス素子。
- 少なくとも一方の電極と前記有機薄膜層との間に無機化合物層を有する請求項6〜8のいずれかに記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
- 赤色系発光する請求項6〜9のいずれかに記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
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