JP4322011B2 - デコーキング方法およびvcm連続製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、1,2−ジクロロエタン(以下、EDCという)分解炉内表面に付着したコークを除去するデコーキング方法、および該デコーキング方法を使用した塩化ビニル(以下、VCMという)の連続製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般的に、VCMを製造する方法として、熱分解炉を用いて、EDCを450〜550℃で熱分解する方法が採用されている。
【0003】
通常、上記方法によりVCMの製造を行なうと、分解炉内表面にコークと呼ばれる炭化物が付着する。そして長時間VCMの製造を行なうと、このコークの付着が進行し、その結果、装置内の差圧が上昇して、VCMの製造を継続することが困難となる。そのため、上記VCMの製造においては、装置内の差圧が一定以上上昇すると、運転を停止して、デコーキングと呼ばれる、分解炉内表面に付着したコークを除去する作業が必要となる。
【0004】
一般的に、炭化水素等の改質に使われる熱分解炉のデコーキング方法としては、分解炉中に水蒸気と空気/酸素を高温で導入して付着したコークを燃焼除去するスチームエアー法、分解炉内に加熱水蒸気量を変化させながら導入して熱的ショックにより付着したコーク除去するスチームポンピング法、研磨微粒子を分解炉内に導入して付着したコークを削り取るサンドジェット法、治具等により機械的に付着したコークを削り取るメカニカルクリーニング法等が提案されている。
【0005】
上記した方法の中で、スチームポンピング法では限られた部分しか有効にコークを除去できない、サンドジェット法では、装置自体も破損の恐れがある、メカニカルクリーニング法では装置の分解等が必要である、という問題点があるため、スチームエアー方法が幅広く採用されている。
【0006】
しかしながら、本発明者らが、コークが付着したEDC分解炉において、スチームエアー法によるデコーキングを検討した結果、スチームエアー法では装置内の差圧上昇を十分に改善することができないことが判明した。
【0007】
すなわち、上記方法ではEDC分解炉内表面に付着したコークを燃焼除去することができるが、上記したコークの燃焼除去後、VCMの製造をおこなうと、分解炉のあとに設置されている配管、熱交換機や蒸留塔等の装置が閉塞するという問題が発生する。そのため、この閉塞を改善するために、さらに別の除去方法を実施する必要があった。
【0008】
したがって、上記した問題により、実質的に長期間VCMを連続的に製造することが困難であった。
【0009】
【特許文献1】
特開昭63−139140号公報
【特許文献2】
特開平7−16552号公報
【特許文献3】
特開平7−179863号公報
【特許文献4】
特開平11−292806号公報
【発明が解決しようとする課題】
したがって、簡便に分解炉内表面に付着したコークを十分に除去でき、さらに、その後のVCM製造時に配管、熱交換機や蒸留塔等の閉塞をおこさないデコーキング方法が望まれており、また、VCMを長期間連続的に製造する方法も望まれていた。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題について鋭意研究をおこなった結果、分解炉内の温度をEDCの気化温度以上分解温度以下にし、その後EDCを分解炉内に供給することにより、非常に短時間かつ簡便に、分解炉内に付着したコークを十分に除去でき、装置の閉塞が発生しないことを見出し、さらに、前記方法をVCM製造に適用することにより、VCMを長期間連続的に製造できることを見出し、本発明を完成させるに至った。
【0011】
すなわち、本発明は、EDC分解炉内表面に付着したコークを除去するデコーキング方法において、VCM製造後、一旦、EDCの供給を停止し、EDC分解炉内の温度を、EDCの気化温度以上分解温度以下にしてから、EDCを分解炉内に供給することを特徴とするデコーキング方法、および上記デコーキング方法を使用したVCMの連続製造方法である。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。
【0013】
本発明のデコーキング方法においては、まず、EDC分解炉内の温度を、EDCの気化温度以上分解温度以下にすることが必要である。その中でも分解炉内表面付着したコークを十分に除去することを勘案すると、100〜200℃の温度範囲が好ましい。
【0014】
上記したEDC分解炉内の温度を所定の範囲に設定する条件としては、通常は、デコーキング効率を勘案すると、VCM製造後、一旦、EDCの供給を停止し、常温に低下させてから、温度の所定の範囲に設定するのが好ましい。
【0015】
本発明においては、次いで、分解炉内の温度が所定の温度になってから、EDCを分解炉内に供給する。EDCの供給量は、VCM製造時に分解炉内に導入する時と同等の流速が確保できれば特に制限されず、通常はVCM製造時の1〜10%から適宜設定すればよい。EDCを分解炉内に供給する時間も特に制限されないが、通常は0.2〜2時間の間から適宜選択される。
【0016】
本発明の方法により、分解炉内表面に付着していたコークは、EDCと共に分解炉外に除去される。これらコーク含有コークは、通常設けられている分解炉の後の生成物分離工程で、取り出されたコークのみを分離除去することができる。
【0017】
本発明のVCM連続製造方法は、EDCの熱分解によるVCMの製造と、上記デコーキング方法とを、交互に行なうことにより実施される。
【0018】
EDCの熱分解によるVCMの製造と上記デコーキング方法との間隔は、特に限定されないが、分解炉内表面に付着したコーク量の目安となるVCM製造装置の差圧が製造前より1.5〜3倍程度になった段階で本発明のデコーキングを行なうのが好適である。
【0019】
【実施例】
以下、本発明を実施例に基づき説明する。ただし本発明は、本実施例に限定されるものではない。
【0020】
参考例1
EDC供給口と生成物排出口を供えたEDC分解炉と、該EDC分解炉に接続された生成物分離精製設備を備えた装置を用いて、500℃でEDCの分解をおこない、VCMを製造した。100日連続運転後の装置内の差圧は起動前の1.5倍、200日連続運転後の差圧は、起動前の2.5倍であった。
【0021】
実施例1
参考例1と同様に、EDC供給口と生成物排出口を供えたEDC分解炉と、生成物分離精製設備を備えた装置を用いて、500℃でEDCの分解をおこない、VCMを製造した。
【0022】
VCM製造100日経過後、EDCの供給を止め、分解炉内の温度を一旦常温にした後、150℃に設定した。次いで分解炉内にEDCを2時間供給した。分解炉から排出されたコーク含有EDCは、生成物分離精製設備で、コークとEDCに分離し、コークのみを系外から除去した。
【0023】
上記処理後、EDCの供給を止め、分解炉の温度を500℃にしてから、再度EDCの供給をおこない、VCMの製造を再開した。その時の装置内の差圧は、起動前と差圧と同じであり、その後100日間連続運転後の差圧は、起動前の1.5倍であった。
【0024】
なお、EDC供給停止から、再度VCMの製造を開始するまでに要した時間は3時間であった。
【0025】
比較例1
EDC供給口と生成物排出口の他に、さらに水蒸気と空気の供給口を備えた分解炉、該EDC分解炉に接続された生成物と廃ガスとを切り替える設備、該生成物と廃ガスとを切り替える装置に接続された生成物分離精製設備、該生成物と廃ガスとを切り替える装置に接続された廃ガス処理設備を備えた装置を用いて、500℃でEDCの分解をおこない、VCMを製造した。
【0026】
100日経過後、EDCの供給を止め、EDCを分解炉内から除去した後、分解炉の温度を600℃にしてから、水蒸気と空気を12時間供給した。分解炉から排出されるコーク燃焼廃ガスは、生成物と廃ガスとを切り替える設備により廃ガス処理設備に送った。
【0027】
上記処理後、水蒸気と空気の供給を止め、水蒸気と空気を分解炉内から除去した後、分解炉の温度を500℃にしてから、再度EDCの供給をおこない、VCMの製造を再開した。その時の装置内の差圧は、起動前の1.5倍であった。その後、100日間連続運転後の装置内の差圧は起動前の5倍となり、事実上VCMの製造を行なうことはできなくなった。
【0028】
なお、EDC供給停止から、VCMの製造を再開するまでに要した時間は72時間であった。
【0029】
【発明の効果】
本発明によれば、分解炉内表面に付着したコークを十分に除去でき、かつ、その後のEDC分解によるVCM製造時に装置の閉塞をおこさない。さらには、他のデコーキング方法に比べて、特別な装置等が不要で、配管等の取り外しも不要であり、非常に短時間で分解炉内のコークを十分に除去することができる。
【0030】
そのため、長期間EDC分解によるVCMの製造を実質上連続的に行なうことが可能となる。
【0031】
この効果の発現機構については定かでないが、本発明者らが検討した結果、以下のように推定している。
【0032】
分解炉温度を運転時の温度から一旦EDC気化温度以上分解温度以下とすることにより、分解炉内表面に付着したコークが収縮して、微細な亀裂や分解炉壁面からの剥離が発生する。その後、EDCを分解炉内に供給すると、EDCが前記したコークの微細な亀裂に浸透して、堆積したコークは微細な亀裂や分解炉壁面からの剥離が促進される。その結果、コークが剥離・粉砕され、EDCの気流とともに分解炉内から除去されるものと推定している。
【0033】
また、従来のスチームエアー法では装置材質の酸化も促進されて分解炉表面に酸化物が生成し、次いでVCM製造時に発生する塩化水素と上記酸化物とが反応して揮発性の高い金属塩化物が生成することにより、この金属塩化物が配管等を閉塞させていると推定している。
【0034】
一方、本発明においては、装置材質の酸化を促進すると考えられる水蒸気と空気/酸素による処理を行なわないので、分解炉表面に酸化物が生成しにくく、その後のVCMの製造時に発生する塩化水素との反応による金属塩化物も生成しにくいため、閉塞は発生しないものと推定している。
Claims (2)
- 1,2−ジクロロエタン分解炉内表面に付着したコークを除去するデコーキング方法において、1,2−ジクロロエタンの熱分解による塩化ビニルの製造後、一旦、1,2−ジクロロエタンの供給を停止し、1,2−ジクロロエタン分解炉内の温度を、1,2−ジクロロエタンの気化温度以上分解温度以下にしてから、1,2−ジクロロエタンを分解炉内に供給することを特徴とするデコーキング方法。
- 1,2−ジクロロエタンの熱分解による塩化ビニルの製造と、請求項1記載のデコーキング方法とを交互に行なうことを特徴とする塩化ビニルの連続製造方法。
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