JP4321699B2 - 溶断シール包装用フィルム - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は溶断シール強度、ヒートシール強度、厚薄精度等に優れた包装用フィルムに関する。
【0002】
【従来の技術】
二軸延伸ポリプロピレンフィルム(以下OPPフィルムと呼ぶことがある)は、その優れた透明性、機械的強度、防湿性、剛性等を活かして包装材料をはじめ広い分野で使用されている。しかし、OPPフイルムは単層では溶断シール温度が高いため、溶断面が熱に負けて波打つような状況になり、しかも溶断シール適正な温度範囲が狭いという欠点がある。そこで、OPPフイルムの溶断シール性を改善するために、OPPフイルムの両面に低融点のプロピレン・エチレン共重合体層を積層した二軸延伸複合フィルム(特公昭49−14343号公報)、特定の三元ランダム共重合体層をヒートシール層としたフィルム(特公平8−5174号公報)、特定のプロピレン・1−ブテンランダム共重合体と結晶性プロピレン・α―オレフィンランダム共重合体との組成物を積層したポリプロピレン複合フィルム(特公昭61−42626号公報)等、ポリプロピレンに比べて低融点の樹脂を積層させる方法が多数提案され、且つ、幅広く使用されている。
しかしながら、かかる方法で得られる複合フィルムは、複合フィルム故、用途によっては、溶断シール強度が不足ししばしば問題となり、溶断シール性の改良が常に望まれている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
そこで本発明者らは、溶断シール特性に優れた二軸延伸多層ポリプロピレンフィルムを開発することを目的として種々検討した結果、OPPフィルムの原料としてプロピレン単独重合体とプロピレン・エチレンランダム共重合体とからなるプロピレン重合体組成物とすることにより、溶断シール強度、ヒートシール強度に優れた溶断シール用包装用フィルムを得ることができた。
【0004】
【課題を解決するための手段】
【発明の概要】
本発明は、プロピレン単独重合体(A)95〜10重量%とα―オレフィン含有量が0.4〜2.2モル%であるプロピレン・α−オレフィン共重合体(B)5〜90重量%とのプロピレン重合体組成物でα―オレフィン含有量が0.1〜1.8モル%の範囲にある基層(ただし、当該基層のエチレン含有量が0.2〜1.5モル%の範囲にある場合は、プロピレン・α−オレフィン共重合体(B)のα−オレフィンはエチレンを除くα−オレフィンである。)と、その両面に積層された融点が80〜155℃の範囲にあるプロピレン・α−オレフィン共重合体(C)層からなり、共押出し成形の後、二軸延伸されて得られることを特徴とする溶断シール包装用フィルムである。
【0005】
【発明の具体的説明】
プロピレン単独重合体(A)
本発明に係わるプロピレン単独重合体(A)は、プロピレンの単独重合体からなり、通常、MFR(メルトフローレート;ASTM D−1238 荷重2160g、温度230℃)が、通常0.5〜10g/10分、好ましくは2〜5g/10分の範囲にある。
【0006】
プロピレン・α−オレフィン共重合体(B)
本発明に係わるプロピレン・α−オレフィン共重合体(B)は、α―オレフィン含有量が0.4〜2.2モル%、好ましくは0.6〜1.8モル%のプロピレンとのランダム共重合体である。α―オレフィンの含有量が0.4モル%未満のものでは、延伸性が改良されず、一方、2.2モル%を越えると剛性に劣る。α―オレフィンとしては、エチレン、1−ブテン、1−ヘキセン、4−メチル・1−ペンテン、1−オクテン等が例示できる。これらの中では、エチレンが好ましい。又、MFR(メルトフローレート;ASTM D−1238 荷重2160g、温度230℃)は延伸フィルムとすることができる限り特に限定はされないが、通常0.5〜10g/10分、好ましくは2〜5g/10分の範囲にある。
【0007】
プロピレン・α−オレフィン共重合体(C)
本発明に係わるプロピレン・α−オレフィン共重合体(C)の融点が80〜155℃、更に好ましくは90〜150℃の範囲にある。α―オレフィンの融点が155℃を超えるのものは、ヒートシール性、溶断シール強度が改良されず、一方、80℃以下になるとべたが発生し、ブロッキングし易くなる。α―オレフィンとしては、エチレン、1−ブテン、1−ヘキセン、4−メチル・1−ペンテン、1−オクテン等が例示できる。具体的な共重合体としては、プロピレン・エチレンランダム共重合体、プロピレン・エチレン・1−ブテンランダム共重合体、プロピレン・1−ブテンランダム共重合体等が挙げられる。これら共重合体は、単独で用いても良いし、二種以上を混合して用いても良い。本発明に係わるプロピレン・α−オレフィン共重合体(C)のMFR(メルトフローレート;ASTM D−1238 荷重2160g、温度230℃)はフィルムとすることができる限り特に限定はされないが、通常1〜15g/10分、好ましくは2〜10g/10分の範囲にある。
【0008】
重合体の製造方法
本発明に係わるプロピレン単独重合体(A)、プロピレン・α−オレフィン共重合体(B)及びプロピレン・α−オレフィン共重合体(C)は種々公知の方法、例えば、典型的には固体状チタン触媒成分と有機金属化合物触媒成分から形成される触媒、あるいはこれら両成分および電子供与体から形成される触媒を用いて製造することができる。
固体状チタン触媒成分としては、各種方法で製造された三塩化チタンまたは三塩化チタン組成物、あるいはマグネシウム、ハロゲン、電子供与体、好ましくは芳香族カルボン酸エステルまたはアルキル基含有エーテルおよびチタンを必須成分とする、比表面積が好適には100m2/g以上の担体付チタン触媒成分が挙げられる。特に後者の担体付触媒成分を用いて製造された重合体が好適である。
有機金属化合物触媒成分としては、有機アルミニウム化合物が好適であり、具体的には、トリアルキルアルミニウム、ジアルキルアルミニウムハライド、アルキルアルミニウムセスキハライド、アルキルアルミニウムジハライドなどが挙げられる。これらの化合物のうち、好適な有機金属化合物触媒成分は、使用する上記チタン触媒成分の種類によって異なる。
電子供与体は、窒素、リン、イオウ、酸素、ケイ素、ホウ素などを含む有機化合物であり、好適な具体例としては、これらの元素を有する有機エステル、有機エーテルなどを挙げることができる。
担体付触媒成分を用いた重合体の製造方法に関しては、たとえば特開昭50−108385号、特開昭50−126590号、特開昭51−20297号、特開昭51−28189号、特開昭52−151691号などの各公報に開示されている。
【0009】
本発明に係わるIsoが高いプロピレン単独重合体およびプロピレン・α−オレフィン共重合体は、またシングルサイト触媒を用いても製造することができる。シングルサイト触媒は、活性点が均一(シングルサイト)である触媒であり、例えばメタロセン触媒(いわゆるカミンスキー触媒)やブルックハート触媒などがあげられる。例えばメタロセン触媒は、メタロセン系遷移金属化合物と、有機アルミニウム化合物および上記メタロセン系遷移金属化合物と反応してイオン対を形成する化合物からなる群から選ばれる少なくとも一種の化合物とからなる触媒であり、無機物に担持されていてもよい。
前記メタロセン系遷移金属化合物としては、例えば特開平5−209014号、特開平6−100579号、特開平1−301704号、特開平3−193796号、特開平5−148284号等に記載された化合物などがあげられる。
有機アルミニウム化合物としては、アルキルアルミニウム、または鎖状あるいは環状アルミノキサン等があげられる。上記鎖状あるいは環状アルミノキサンは、アルキルアルミニウムと水とを接触させることにより生成される。例えば重合時にアルキルアルミニウムを加えておいて、後で水を添加するか、あるいは錯塩の結晶水または有機、無機化合物の吸着水とアルキルアルミニウムとを反応させることにより得られる。
前記メタロセン系遷移金属化合物と反応してイオン対を形成する化合物は、例えば特表平1−501950号、特開平3−207704号等に記載された化合物などがあげられる。シングルサイト触媒を担持させる前記無機物としては、シリカゲル、ゼオライト、珪藻土等があげられる。
重合方法としては、塊状重合、溶液重合、懸濁重合、気相重合等があげられる。これらの重合はバッチ法であっても連続法であっても良い。重合条件は通常、重合温度;−100〜+250℃、重合時間;5分〜10時間、反応圧力;常圧〜300Kg/cm2(ゲージ圧)である。
【0010】
プロピレン重合体組成物
本発明に係わるプロピレン重合体組成物は、プロピレン単独重合体(A)とプロピレン・α−オレフィン共重合体(B)とから得られ得る組成物で、α―オレフィン含有量が0.4〜2.2モル%、好ましくは0.6〜1.8モル%の範囲にあり、好ましくはプロピレン単独重合体(A)95〜10重量%、更に好ましくは90〜20重量%、プロピレン・α−オレフィン共重合体(B)5〜90重量%、更に好ましくは10〜80重量%の範囲にある。プロピレン・α−オレフィン共重合体(B)が5重量%未満では、二軸延伸フィルムを得る場合の延伸温度幅の改良効果が少ない虞があるので、厚薄精度に優れた二軸延伸フィルムにならない場合があり、又、プロピレン・α−オレフィン共重合体(C)層と積層した場合に、溶断シール強度が改良されない場合がある。一方、95重量%を越えると得られる二軸延伸フィルムの剛性、機械的強度等が低下する虞がある。
【0011】
本発明に係わるプロピレン重合体組成物は、プロピレン単独重合体(A)とプロピレン・α−オレフィン共重合体(B)とを種々公知の方法で混合することにより得られる。例えば、予めプロピレン単独重合体(A)とプロピレン・α−オレフィン共重合体(B)とを夫々別個に重合して得たものを、機械的に混合する方法、混合した後溶融混練する方法、あるいはプロピレン単独重合体(A)若しくはプロピレン・α−オレフィン共重合体(B)とを重合した後、引き続きプロピレン・α−オレフィン共重合体(B)若しくはプロピレン単独重合体(A)を重合する方法等により得られる。
本発明のプロピレン単独重合体(A)、プロピレン・α−オレフィン共重合体(B)若しくはプロピレン重合体組成物には、夫々にあるいは何れかに、耐熱安定剤、耐候安定剤、紫外線吸収剤、滑剤、スリップ剤、核剤、アンチ・ブロッキング剤、帯電防止剤、防曇剤、顔料、染料、無機または有機の充填剤等の通常ポリオレフィンに用いる各種添加剤を本発明の目的を損なわない範囲で添加しておいてもよい。
【0012】
溶断シール包装用フィルム
本発明のオーバーラップ包装用フィルムは、プロピレン重合体(A)とプロピレン・α―オレフィン共重合体(B)とから得られ得るプロピレン重合体組成物層の両面にプロピレン・α−オレフィン共重合体(C)とを共押出し成形して得た多層シートを、公知の同時二軸延伸法あるいは逐次二軸延伸法等の二軸延伸フィルム製造方法により得られ得る。本発明に係わるプロピレン重合体組成物は、特に、逐次二軸延伸フィルム製造方法で、横延伸の温度範囲を従来に比べ7℃と広くすることができ、その結果横延伸操作が容易となり、得られる二軸延伸フィルムの厚薄精度、通常OPPフィルムの基準厚みに対する厚薄ばらつき(2σ)が現行に対し20〜50%低下可能となる。
本発明の溶断シール包装用フィルムの厚さは用途により種々決められるものであり、特に限定はされないが、通常、プロピレン重合体組成物層が10〜100μm、好ましくは13〜50μmの範囲、プロピレン・α−オレフィン共重合体(C)層が0.3〜10μm、好ましくは0.5〜5μmの範囲にある。
本発明の溶断シール包装用フィルムは必要に応じて片面あるいは両面をコロナ処理、火炎処理等の表面処理をしてもよい。
【0013】
【発明の効果】
本発明の溶断シール包装用フィルムは、二軸延伸する際の均一延伸性、広温度域延伸性等の延伸性が改良されており、また、本発明の溶断シール包装用フィルムは厚薄精度が良好であるために高速包装時のフィルム供給不良(スティッキング)を起こしづらくなり、不良発生率を格段に抑える事が可能となる。
また、本発明の溶断シール包装用フィルムは厚薄精度に優れ、ベタ感が少なく、透明性に優れており、従来溶断シール包装用フィルムが使用されているあらゆる用途に使用できる。
【0014】
【実施例】
次に実施例を挙げて本発明を更に具体的に説明するが、本発明はその要旨を越えない限りこれらの実施例に制約されるものではない。
【0015】
実施例及び比較例における物性値等は、以下の評価方法により求めた。
(評価方法)
1)弾性率:JIS K 7127に準じて測定した。
2)フィルム厚みムラ:規定幅の標準偏差を測定した
3)静摩擦係数:No162スリップテスター(安田精機製作所製)を用いてコロナ処理面/コロナ処理面のスリップ性を測定した。
4)表面固有抵抗:デジタル超抵抗測定器R8340(アドバンテスト社製)を用いて測定した。
5)溶断シール強度:各OPPフィルムを溶断シール製袋装置(トタニ技研製)にてシール温度400℃、ショット数180個/分にて製袋した。この製袋品の溶断部分を15mm幅に切り出し、引張試験機(東洋精機社製)にて引張速度300mm/分で測定した。
【0016】
実施例1
<基層:ポリプロピレン組成物層>
プロピレン単独重合体(MFR:3.0g/10分)40重量%に対しプロピレン・エチレンランダム共重合体(エチレン量含有量:1.3モル% MFR:3.0g/10分)を60重量%配合した、エチレン含有量が0.8モル%のポリプロピレン組成物に酸化防止剤としてテトラキス[メチレンー3−(3‘、5’―ジーt―ブチルー4‘ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン(日本チバガイキー社製品 製品名イルガノックス1010)1000ppm、ステアリン酸カルシウム(日本油脂製)1000ppm、帯電防止剤としてステアリン酸モノグリセリド(理研ビタミン製)6000ppm、ステアリルジエタノールアミン(東邦化学製)2000ppm配合した。
<表面層:プロピレン・エチレン共重合体組成物層>
プロピレン・エチレン共重合体(エチレン含有量:2.5モル%、MFR:7g/10分、融点145℃)に先に記載した酸化防止剤及びアンチブロッキング剤として粒径:約2μmのシリカ粒子を夫々1000ppm配合した。
<二軸延伸ポリプロピレンフィルムの製造>
先に示したプロピレン・エチレン共重合体組成物層/ポリプロピレン組成物層/プロピレン・エチレン共重合体組成物層を押出量比(1/10/1)になるよう各々スクリュー押出機を用いて溶融押出しマルチマニホールドタイプT−ダイを用いて賦形、冷却ロール上にて急冷し厚さ約1.3mmの原反シートを得た。このシートを約125度まで加熱しフィルム流れ方向(縦方向)に5倍延伸した。この5倍延伸したシートを155度まで加熱した後流れ方向に対して直交する方向(横方向)に9倍延伸した。このOPPフィルムの片面にコロナ処理を施し、厚さ30μmのOPPフィルムを得た。
【0017】
比較例1
基層に用いた樹脂を実施例1で用いたプロピレン単独重合体に変えた他は実施例1と同様に行い、厚さ30μmのフィルムを調整した。
【0018】
【表1】
【0019】
表1の結果から明らかなように、本発明のプロピレン単独重合体(A)及びプロピレン・α―オレフィン共重合体(B)とから得られ得るポリプロピレン組成物を基層とした二軸延伸ポリプロピレンフィルムは、比較例に示した二軸延伸ポリプロピレンフィルムに比べ、フィルムの厚みむらが低減されており、溶断シールが強くなることが分かる。
Claims (2)
- プロピレン単独重合体(A)95〜10重量%とα―オレフィン含有量が0.4〜2.2モル%であるプロピレン・α−オレフィン共重合体(B)5〜90重量%とのプロピレン重合体組成物でα―オレフィン含有量が0.1〜1.8モル%の範囲にある基層(ただし、当該基層のエチレン含有量が0.2〜1.5モル%の範囲にある場合は、プロピレン・α−オレフィン共重合体(B)のα−オレフィンはエチレンを除くα−オレフィンである。)と、その両面に積層された融点が80〜155℃の範囲にあるプロピレン・α−オレフィン共重合体(C)層からなり、共押出し成形の後、二軸延伸されて得られることを特徴とする溶断シール包装用フィルム。
- プロピレン・α−オレフィン共重合体(B)のα−オレフィンがエチレン及び/又は1−ブテンである請求項1記載の溶断シール包装用フィルム。
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