JP4321292B2 - 鋼の連続鋳造用浸漬ノズル - Google Patents

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Description

本発明は、鋼の連続鋳造の際に鋳型内に溶鋼を供給する鋼の連続鋳造用浸漬ノズルおよびそれを用いた鋼の連続鋳造方法に関し、詳しくは、内壁部へのAl23の付着による溶鋼通流孔の閉塞を防止することのできる鋼の連続鋳造用浸漬ノズルに関する。
アルミキルド鋼の製造においては、酸化脱炭精錬された溶鋼がAlにより脱酸され、酸化脱炭精錬により増加した溶鋼中の酸素が除去される。この脱酸工程で生成したAl23粒子は、溶鋼とAl23との密度差を利用して溶鋼から浮上分離され除去されるが、数10μm以下の微小なAl23粒子の浮上速度は極めて遅いため、実際のプロセスにおいて、Al23を完全に浮上・分離することは極めて困難であり、そのため、アルミキルド溶鋼中には微細なAl23粒子が懸濁した状態で残留する。また、溶鋼中酸素を安定して低減させるため、Al脱酸後の溶鋼中にはAlが溶解して存在しており、このAlが取鍋からタンデッシュへの注入過程やタンデッシュ内において大気と接触して酸化した場合には、新たにAl23が溶鋼中に生成される。
一方、鋼の連続鋳造では、タンディッシュから鋳型へと溶鋼を注湯する際に、耐火物製の浸漬ノズルを用いる。この浸漬ノズルに求められる特性としては、高温強度、耐熱衝撃性およびモールドパウダーや溶鋼に対する耐溶損性に優れることであり、そのため、これら特性に優れるAl23−黒鉛質やAl23−SiO2−黒鉛質の浸漬ノズルが広く用いられている。
しかしながら、Al23−黒鉛質やAl23−SiO2−黒鉛質の浸漬ノズルを用いると、溶鋼中に懸濁しているこれらのAl23が、Al23−黒鉛質からなる浸漬ノズルやAl23−SiO2−黒鉛質を通過する際に、浸漬ノズル内壁に付着・堆積して、浸漬ノズルの閉塞が発生してしまう。
浸漬ノズルが閉塞すると、鋳造作業上及び鋳片品質上で様々な問題が発生する。例えば、鋳片引き抜き速度を低下せざるを得ず、生産性が落ちるのみならず、甚だしい場合には、鋳込み作業そのものの中止を余儀なくされる。また、浸漬ノズル内壁に堆積したAl23が突然剥離し、大きなAl23粒子となって鋳型内に排出され、これが鋳型内の凝固シェルに捕捉された場合には製品欠陥となり、さらには、この部分の凝固が遅れ、鋳型直下に引き抜かれた時点で溶鋼が流出し、ブレークアウトにつながることさえもある。このような理由から、アルミキルド鋼を連続鋳造する際における浸漬ノズル内壁でのAl23
の付着・堆積機構、およびその防止方法が従来から研究されてきた。
従来考えられているAl23付着機構として、(1):溶鋼中に懸濁しているAl23
が浸漬ノズル内壁に衝突して堆積する、(2):浸漬ノズルを通過する溶鋼の温度が下がり、そのために溶鋼中のAlおよび酸素の溶解度が低下し、Al23が晶出して内壁に付着する、(3):浸漬ノズル中のSiO2と黒鉛とが反応してCOとSiOとなり、これが溶鋼中のAlと反応してAl23が浸漬ノズル内壁で生成し、浸漬ノズルの内壁を覆い、その上に溶鋼中に懸濁していた微細なAl23粒子が衝突して堆積する等が提言されている。
そして、これらの付着・堆積機構に基づき、(1):浸漬ノズル内壁にArガスを吹き込んで浸漬ノズル内壁と溶鋼との間にガス膜をつくり、Al23が壁に接触しないようにする(例えば特許文献1参照)、(2):浸漬ノズル内壁側の溶鋼温度が下がらないようにするため、浸漬ノズルの一部を導電性セラミックスで形成し、当該部分を浸漬ノズルの外部から高周波加熱する、または、浸漬ノズルの壁からの伝熱量を下げるために2層にする、もしくは断熱層を浸漬ノズル肉厚の間に設置する(例えば特許文献2参照)、(3):酸素源となるSiO2の添加量を少なくした材質の浸漬ノズルを用い、Al23の生成を抑える(例えば特許文献3参照)等のAl23付着防止対策が提言されている。また、浸漬ノズル内壁に付着したAl23を除去する対策として、(4):浸漬ノズル材質にAl23と化合して低融点化合物をつくる成分を含有させ、浸漬ノズル内壁に付着したAl23を低融点化合物として流出させる(例えば特許文献4参照)といった対策が提言されている。
しかしながら、上記の各対策には以下の問題点がある。すなわち、上記(1)の対策では、浸漬ノズル内に吹き込んだArガスの一部は鋳型内の溶鋼表面から放散できずに凝固シェルに捕捉される。Arガスが捕捉されて生成した気孔(ピンホール)中には介在物が同時に見つかることが多く、これが製品欠陥になる。また、鋳片表層部に捕捉された場合には、気孔内面が連続鋳造機内や圧延前の加熱炉内で酸化され、これがスケールオフされずに製品欠陥となる場合もある。
このようなAr気泡によるピンホールの問題を解決するためには、溶鋼中にCaを添加し、介在物の組成をアルミナからカルシウム-アルミネートに変化させることによって、介在物の形態を固相から液相に変化させ、これによって浸漬ノズルの内壁に介在物が付着、堆積することを防止している。この鋳造方法によればArガスを吹き込まなくてもAl23の浸漬ノズルの内壁への付着が発生せず鋳造が可能である。しかし、この方法では、上記介在物が液相となるため溶鋼から分離しにくくなり、溶鋼とともに鋳型へ流出し、結果的に介在物の多い鋳片となり、清浄性が劣化するという問題がある。
上記(2)の対策では、浸漬ノズル内壁での鋼の凝固を防ぐ効果はあるが、Al23付着を防止する効果は少ない。このことは、溶鋼中に浸漬しているノズル内壁部分でもAl23の付着・堆積が多いことからも理解できる。
上記(3)の対策では、浸漬ノズル材質中のSiO2が低下するため、浸漬ノズルの耐熱衝撃性が劣化する。通常、浸漬ノズルは予熱した後に使用される。それは耐火物が熱衝撃に弱く割れるためである。SiO2は耐熱衝撃性を向上させる効果が極めて高く、SiO2の含有量を下げることにより、鋳造開始時の溶鋼の通過直後、浸漬ノズルに割れの発生する頻度が非常に高くなる。
また、上記(4)の対策では、例えばCaOを浸漬ノズルの構成材料として添加することにより、CaOとAl23とを化合させて低融点化合物を生成させ、この低融点化合物を溶鋼と一緒に鋳型内へ注入して、浸漬ノズル内壁のAl23付着を防止することはできるが、介在物の原因となる低融点化合物を鋳型内へ流出させるため、鋳片の清浄性が劣化するという問題点がある。さらに、浸漬ノズルの内壁が損耗していくので、長時間の鋳造には適していない。
このように従来のAl23付着防止対策は、浸漬ノズルの閉塞は防止可能であっても鋳片中の介在物を増加させたり、または操業の安定性を阻害したりするものであり、操業面および鋳片品質面の全ての面で満足するAl23付着防止対策は、未だ確立されていないのが実状である。
特開平4−28463号公報 特開平1−205858号公報 特開平4−94850号公報 特開平1−122644号公報
本発明はかかる事情に鑑みなされたものであって、溶鋼の連続鋳造の際に、鋳片の清浄性を損なうことなくかつ連続鋳造操業の安定性を阻害することなく、溶鋼中のAl23による閉塞を防止することができ、かつ構造安定性の高い連続鋳造用浸漬ノズルを提供することを目的とする。
本発明者等は、Al23粒子の浸漬ノズル内壁表面への付着・堆積機構を解明するために、Al23−黒鉛質の耐火物材料で作製した耐火物棒をアルミキルド溶鋼中に浸漬させ、Al23付着試験を行った。
そして、Al23粒子の浸漬ノズル内壁表面への付着・堆積に及ぼす溶鋼中のS濃度の影響を調べた結果、以下の事実を見出した。
(1):溶鋼中のS濃度が高くなるほど、Al23付着厚みが厚くなる。
(2):溶鋼中S濃度を0.002mass%以下にすると、Al23の付着現象は起こらない。
(3):Sと同じように、表面活性元素であるSeやTeを溶鋼中に添加すると、(1)や(2)の現象が生じる。
これらの結果から、Al23の付着機構を次のように考えた。すなわち、表面活性元素であるS原子は、浸漬ノズルの内壁面と溶鋼との界面に集積する性質があるため、溶鋼中のS濃度は浸漬ノズル内壁面側で高く、壁面から離れるにしたがって低くなるという濃度分布を形成する。この場合に、図1の(a)のように浸漬ノズルの内壁面の位置を0として、内壁面から溶鋼バルク側へ離れる方向を“正”とすると、S濃度は浸漬ノズルの内壁面からの距離の増加にしたがって減少する。すなわち、Sの濃度勾配は“負”の値を示す。このようなSの濃度勾配を持つ濃度境界層中にAl23粒子が侵入した場合、Al23粒子の浸漬ノズル内壁面側のS濃度は高く、これと反対側のS濃度は低くなる。一方、Al23と溶鋼との間の界面張力はS濃度に著しく依存することが知られており、S濃度が高くなるほど界面張力は小さくなる。そのため、図1の(a)に示すように、Al23粒子の浸漬ノズル内壁面に近い側で界面張力が小さく、浸漬ノズル内壁面から遠い側で界面張力が大きくなる。このようにして生じたAl23粒子に作用する界面張力の差によって、Al23粒子は浸漬ノズル内壁表面側に吸引され、その内壁表面に堆積していく。
この場合、溶鋼中のS濃度が高くなると、浸漬ノズル内壁面と溶鋼との界面のS濃度が高くなるとともにS濃度境界層の厚みが広がるので、Al23粒子はこのS濃度境界層に侵入しやくなり、かつ浸漬ノズル内壁面側への吸引力も一層大きくなるため、浸漬ノズル内壁表面へのAl23 付着量が増大する。一方、溶鋼中S濃度を極端に低下させると、浸漬ノズル内壁面と溶鋼との界面のS濃度が低下し、S濃度境界層厚みも薄くなるので、Al23粒子はS濃度境界層に侵入し難くなり、かつ浸漬ノズル内壁面側への吸引力も小さくなるため、Al23付着が起こり難くなる。Al23付着機構をこのように考えた場合、図1の(b)に示すように、浸漬ノズル内壁面部分の溶鋼中S濃度を内壁から離れた溶鋼内部のS濃度よりも低下させると、上記のAl23粒子に作用した界面張力による吸引力は逆に反撥力に変わり、Al23粒子は浸漬ノズル内壁から反撥するように離れていくことになる。
そこで、浸漬ノズル内壁面部分の溶鋼のS濃度を低下させて図1の(b)に示すような“正”のS濃度勾配を形成する手段について検討した結果、MgO含有材料に、金属Al、金属Ti、金属Zr、金属Ceおよび金属Caからなる金属群から選択された1種または2種以上の金属を所定の割合で配合することにより、これら金属の還元作用によってMgガスを生成し、浸漬ノズル内壁面部分の溶鋼中SをMgSで固定すればよいことに想到した。
また、Al23付着を有効に防止するためには、このようなMgを連続鋳造の開始と同時に発生させ、Mgガスの発生を長時間持続することが重要であるが、そのためにはMgO含有材料としてMgガス発生の反応が緩慢で持続性に富むスピネル(MgO・Al23)を添加することが重要であり、かつMgガスの発生量を十分なものとするためにはスピネル(MgO・Al23)の他にマグネシアを配合することが必要であり、これらの配合比率を適切に調整すればよいことを見出した。また、スピネル(MgO・Al23)が配合されることにより耐火物の構造安定性も高いことを見出した。
さらに、上記耐火物を構成する耐火物材料にCaOを配合させることにより、Mgガスと溶鋼中Sとの反応で生成したMgSが逆反応によりMgガスとSに戻り、Al23粒子の付着防止機能が損なわれることが防止されることを見出した。
さらにまた、炭素は、上述のMgガス発生反応に寄与し、かつ浸漬ノズル製造時に還元剤として作用する上記金属の酸化を防止して還元作用を有効に発揮させる作用を有し、かつ成形性、強度や熱膨張率などの改善のために必須の成分であるが、その量が多すぎると、添加された金属と反応して炭化物を形成し、Mgガス発生に寄与する金属の量を減少させ、かつ形成された炭化物が浸漬ノズルの耐スポーリング性を悪化させるおそれがあるため、10mass%以下の配合が有効であることを見出した。
本発明は、以上のような本発明者らの知見に基づいてなされたものであり、鋳型内に溶鋼を供給する連続鋳造用浸漬ノズルであって、スピネル(MgO・Al23)およびマグネシアを含有し、かつCaOを含有する耐火物材料に、金属Al、金属Ti、金属Zr、金属Ceおよび金属Caからなる金属群から選択された1種または2種以上の金属、ならびに炭素を配合した耐火物で少なくともその一部分が構成されており、前記耐火物は、スピネル(MgO・Al23)の配合比率が40〜80mass%、マグネシアの配合比率が5〜20mass%、CaOの配合比率が5mass%以下(0を含まず)、金属Al、金属Ti、金属Zr、金属Ceおよび金属Caからなる金属群から選択された1種または2種以上の金属の配合比率が、マグネシアに含まれるMgOを全量還元するのに必要な化学量論量の1〜2.5倍の範囲、かつ炭素の配合比率が0.5mass%以上10mass%未満であることを特徴とする鋼の連続鋳造用浸漬ノズルを提供するものである。
なお、Mgガスの発生自体は多くの耐火物中で観察される現象であり、例えばマグネシア−カーボン質れんがでは、マグネシアと黒鉛との反応によりMgガスが発生することが知られており、また、スピネル(MgO・Al23)を添加したアルミナ−炭化珪素−カーボン質れんがでは、スピネルとSiCとの反応によってもMgガスが発生することが知られている。しかしながら、連続鋳造の開始と同時に安定的にMgガスを発生させるためには、還元剤としての上記金属を添加することが必須である。
本発明における浸漬ノズルの内壁へのAl23付着防止のメカニズムについて以下、具体的に説明する。
本発明に係る、スピネル(MgO・Al23)およびマグネシアを含有し、かつCaOを含有する耐火物材料に、金属Al、金属Ti、金属Zr、金属Ceおよび金属Caからなる金属群から選択された1種または2種以上の金属(以下、還元金属という)、および炭素を配合し、これらの配合比率を特定範囲に規定した耐火物を浸漬ノズルの少なくとも一部に用いた場合には、浸漬ノズルの溶鋼通流孔を流下する溶鋼により、浸漬ノズルが1200〜1600℃程度まで加熱され(その内壁面は1500℃前後、その外壁面は900〜1200℃程度、鋳型内の溶鋼中に浸漬している部分は1540℃程度)、浸漬ノズル内の耐火物材料中に存在するMgO成分と、上記金属Al等の還元金属含有物質と、炭素とが加熱されて、還元金属としてAlを用いた場合を例にとると、MgOと還元金属であるAlとで下記(1)式に示す反応を生じ、MgOと炭素とで下記(2)式に示す反応が生じ、いずれの場合にも上記耐火物内にMgガスが生成される。
3MgO(s)+2Al(l)→3Mg(g)+Al23(s) …(1)
MgO(s)+C(s)→Mg(g)+CO(g) …(2)
また、スピネル(MgO・Al)中のMgO成分とAlおよびCとについてもほぼ同様の下記(1a)、(2a)式で示される反応により、そのMgO成分が還元されて、Mgガスが発生する。
3MgO(スピネル中)+2Al(l)→3Mg(g)+Al23(s) …(1a)
MgO(スピネル中)+C(s)→Mg(g)+CO(g) …(2a)
ただし、上記(2)、(2a)の式の反応開始温度が高く(例えば、COおよびMgガスの分圧が1atmでは1800℃程度)、1550〜1600℃の連続鋳造条件では、MgOを還元する炭素の還元能力が非常に小さい。したがって、十分な量のMgガスを長時間持続させるためには、Al等の還元金属が必須である。
上記(1)、(1a)式の反応は、還元金属として金属Alを用いた場合の反応であるが、金属Ti、金属Zr、金属Ceおよび金属Caを用いた場合にも同様の還元反応によりMgを発生する。ただし、安価に入手できる等の理由でこれらの中では金属Alが好ましい。
ここで、炭素は(2)、(2a)式に示す反応の他に、浸漬ノズルの予熱中におけるこれら金属の酸化を防止する役割も果たしている。
高速度で溶鋼が流下している浸漬ノズルの溶鋼通流孔内部は減圧され、大気圧よりも低くなり、また、浸漬ノズルを構成する耐火物材料が通常10数%から20数%の気孔率を有していることも相俟って、上記反応により浸漬ノズルの耐火物内で発生したMgガスは浸漬ノズル側壁を拡散して、浸漬ノズル内壁面に到達する。
浸漬ノズルの内壁面側には溶鋼が存在しており、MgはSとの親和力が強く、Mgガスは浸漬ノズル内壁面と溶鋼との境界層に存在するSと反応してMgSを生成し、その部分の溶鋼のS濃度は低くなる。浸漬ノズル内壁近傍の溶鋼中S濃度の濃度勾配は、浸漬ノズル側が低く、溶鋼側が高い濃度勾配となる。その結果、浸漬ノズル内壁面と溶鋼との境界層に存在するAl23粒子においては、浸漬ノズル側と溶鋼側とで溶鋼との界面張力に差が生じ、この界面張力の差に基づきAl23粒子は浸漬ノズル内壁面から反撥するように離れていく。この効果によって浸漬ノズルの内壁面にはAl23が付着せず、Al23
によるノズル閉塞が防止される。
本発明において、上記耐火物中のスピネル(MgO・Al23)の配合比率を40〜80mass%、マグネシアの配合比率を5〜20mass%としたのは、スピネルの高いMgガス発生持続性を維持し、かつスピネルによる耐火物の構造安定化効果を有効に発揮し、かつマグネシアによる十分な量のMg発生をバランスよく確保するためである。
また、上記耐火物中のCaOの配合比率を5mass%以下(0を含まず)としたのは、5mass%を超えると耐火物中への吸湿が大きくなるからである。なお、上記耐火物中のCaOの配合比率が0.5mass%未満であるとAl粒子の付着防止機能が損なわれるため、0.5mass%以上が好ましい。
上記耐火物中の還元金属の配合比率を、マグネシアに含まれるMgOを全量還元するのに必要な化学量論量の1〜2.5倍の範囲としたのは、MgOを十分に還元してMgガスの発生量を多くし、かつこれら金属の存在による耐酸化性の低下を極力抑制するためである。上記耐火物中の還元金属の配合比率は15mass%の範囲内にあることが好ましい。還元金属が15mass%を超えて配合された場合にもAl23付着防止効果は得られるが、15mass%以下の配合で得られる付着防止効果を超えるものではなく、特に金属Ti、金属Zr、金属Ce、金属Caは高価であるため、コスト増を招き好ましくない。
さらに、上記耐火物中の炭素の配合比率を10mass%未満としたのは、その量が10mass%以上であると、耐火物本体内でCOが発生して、これが浸漬ノズル内壁と溶鋼との界面でMgガスと再度反応してMgOを生成させ、その上にAl23が堆積してスピネルを生成し、Sと反応するMgガスが減少してAl23付着防止効果を有効に発揮することができないからである。また、炭素の配合比率が10mass%以上であると添加された金属と反応して炭化物を形成し、Mgガス発生に寄与する金属の量を減少させ、かつ形成された炭化物が浸漬ノズルの耐スポーリング性を悪化させるおそれがある。また、炭素の配合比率を0.5mass%以上としたのは、0.5mass%未満であると、その添加効果が有効に発揮されないからである。上記耐火物に炭素を添加する主な理由は以下の通りである。上記還元金属がノズルの製造時に酸化すると、連続鋳造中にMgOを還元する作用が損なわれ、Al23付着防止効果を発揮することができないため、炭素を添加しない場合には、上記還元金属の酸化を防止するために浸漬ノズルを製造中に不活性雰囲気や還元雰囲気に厳密に制御する必要があり製造が煩雑であるが、炭素を添加することによりこのような厳密な制御を行うことなく上記還元金属の酸化を抑制することができる。また、炭素はそれ自体がMgガス発生反応に寄与し、かつ耐火物の製造時に成形性、強度や熱膨張率などの改善に寄与する。
以上のように構成される耐火物を浸漬ノズルに用いる場合には、急速加熱、急速冷却によりノズルが破損する場合があるため、必要なMgガスの発生を維持しつつ耐熱衝撃性を向上させる目的で、耐火物材料としてスピネル(MgO・Al23)およびマグネシア、ならびにCaOの他に、Al23、ZrO2、TiO2を含有させてもよい。その他、SiC、ZrC等の炭化物や、BCやZrBなどのホウ化物を添加してもよい。
本発明においては、MgOと還元金属との反応によってMgガスを発生させ、このMgガスと溶鋼中のSとを反応させることによって浸漬ノズル内壁面近傍の溶鋼中のS分布を制御しようとするものであり、しかも1本の浸漬ノズルの連続鋳造時間は4〜6時間であるので、上記反応を有効に生じさせること、およびその反応を長時間持続させることが重要であり、そのために上記耐火物において、各配合原料の粒度を調整することが好ましい。本発明者らがスピネルおよびマグネシアならびに還元金属について0.5mm以下、1.5mm以下、3mm以下、5mm以下の4水準について、炭素粉末について0.5mm以下、1mm以下の2水準を組み合わせて耐火物棒を作製し、実験した結果、スピネルおよびマグネシアならびに還元剤金属については3mm以下、炭素粉末については0.5mm以下の場合に最も良好であり、5時間の溶鋼浸漬実験条件においてもAl23粒子の付着防止効果があった。したがって、スピネルおよびマグネシアならびに還元剤金属の粒度を3mm以下、炭素粉末の粒度を0.5mm以下とすることが好ましい。
本発明に係る浸漬ノズルは、以上のような耐火物でその全体が構成されていてもよいが、その一部が以上のような耐火物であってもよい。例えば、浸漬ノズルの溶鋼通流孔の周囲部分の全周に亘ってこのような耐火物で構成してもよい。この場合には、後述する図4のように浸漬ノズルの高さ方向の全部にこのような耐火物を設けてもよいし、図5に示すように高さ方向の一部であってもよい。また、Al23の付着防止効果をより確実なものとするためには、溶鋼通流孔を含む内側部で溶鋼が充満する部位、具体的には浸漬ノズルを溶鋼に浸漬した際の溶鋼湯面レベル以下の部位の全周に亘って(溶鋼吐出孔の周囲部分も含む)以上のような耐火物を配置することが好ましい。さらに、以上のような耐火物を支持用の耐火物で支持する構成としてもよい。これにより、上記耐火物が強度的に多少劣るものであっても、浸漬ノズルとして使用することが可能となる。具体的には、上述のように、浸漬ノズルの溶鋼通流孔の周囲部分の全周に亘って、または浸漬ノズルの溶鋼通流孔を含む内側部で溶鋼が充満する部位の全周に亘って以上のような耐火物を配置し、その外側を支持用耐火物として通常の浸漬ノズルの耐火物で構成することが好ましい。これにより、Al23の付着防止効果を発揮するのみならず、浸漬ノズルの強度が向上し、浸漬ノズルのハンドリングや使用可能時間を従来の浸漬ノズルと同等にすることができる。
このような支持用耐火物は、実質的に酸素供給源が発生しない耐火物で構成されていることが好ましい。支持用耐火物に酸素供給源が発生すると、支持用耐火物からAl23の付着防止効果を発揮する耐火物に酸素が供給され、生成されたMgガスと再度反応してMgOを生成し、Mgガスの発生量が減少してAl23付着防止効果を有効に発揮することができないからである。例えば、アルミナ−シリカ−黒鉛質耐火物の場合には、SiOと黒鉛が反応してCOガスとSiOガスが発生し、これらのガスがMgガスと共存することにより、以下の(3)および(4)式に示す反応を生じ、Mgと溶鋼中Sとの反応が阻害されAl付着防止効果が低下する。
SiO(ガス)+Mg(ガス)→MgO(s)+Si(溶鋼中に溶解)(3)
CO(ガス)+Mg(ガス)→MgO(s)+C(溶鋼中に溶解) (4)
酸素供給源が発生しない耐火物としては、SiOを含まないアルミナ−黒鉛質耐火物や、炭素を含まないアルミナ−シリカ質耐火物を挙げることができる。
本発明によれば、スピネル(MgO・Al23)およびマグネシアを含有し、かつCaOを含有する耐火物材料に、金属Al、金属Ti、金属Zr、金属Ceおよび金属Caからなる金属群から選択された1種または2種以上の金属、ならびに炭素を配合した耐火物で少なくともその一部分が構成されており、前記耐火物は、スピネル(MgO・Al23)の配合比率が40〜80mass%、マグネシアの配合比率が5〜20mass%、CaOの配合比率が5mass%以下(0を含まず)、金属Al、金属Ti、金属Zr、金属Ceおよび金属Caからなる金属群から選択された1種または2種以上の金属の配合比率が、マグネシアに含まれるMgOを全量還元するのに必要な化学量論量の1〜2.5倍の範囲、かつ炭素の配合比率が0.5mass%以上10mass%未満である耐火物で浸漬ノズルの少なくともその一部分を構成したので、浸漬ノズルの内壁面部分において溶鋼のS濃度を低下させて浸漬ノズル内壁面でのAl23付着層の成長を抑制することができ、Al23による浸漬ノズルの閉塞を防止することが可能となる。しかもこのような配合により、耐スポーリング性に優れた構造安定性の高いものとなる。
以下、添付図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。
図2は本発明が適用される鋼の連続鋳造設備の鋳型部分を示す概略断面図である。この鋼の連続鋳造設備は、相対する鋳型長辺銅板11と、鋳型長辺銅板11内に内装された相対する鋳型短辺銅板12とから構成される鋳型2を有し、この鋳型2の上方には、内部を耐火物で施行され、溶鋼Lを貯留するタンディッシュ3が配置されている。このタンディッシュ3の底部には上ノズル4が設けられ、この上ノズル4に接続して、固定板13、摺動板14、および整流ノズル15からなるスライディングノズル5が配置されている。スライディングノズル5の下面側には、浸漬ノズル1が配置されている。そして、タンディッシュ3から鋳型2へ溶鋼Lが流出する溶鋼流出孔16が形成されている。
浸漬ノズル1は、鋳型2内の溶鋼Lに浸漬され、その下端部に溶鋼吐出孔17が形成されていて、この溶鋼流出孔17から吐出流18を鋳型短辺銅板12に向けて溶鋼を吐出する。鋳型2内に注入された溶鋼Lは鋳型2内で冷却されて凝固シェル6を形成し、鋳型2内の溶鋼湯面7にはモールドパウダー8が添加される。
本発明の実施形態においては、浸漬ノズル1は、Al23付着防止機能を有する耐火物でその少なくとも一部分が構成される。図3の概略断面図に示す例では、スラグと接触するスラグライン部24以外の全てをそのようなAl23付着防止機能を有する耐火物22で構成する(以下、「一体型」と呼ぶ)。また、図4の概略断面図に示す例では、スラグライン部24以外の部分のうち、溶鋼が通流する溶鋼通流孔25の周囲部分をAl23付着防止機能を有する耐火物22で構成し、その外側を母材耐火物(支持用耐火物)23で構成する(以下、「内挿型」と呼ぶ)。この場合に、図5に示すようにAl23付着防止機能を有する耐火物22を下部のみに設けてもよい。また、図6に示すように、溶鋼流出孔17の周囲部分にもAl23付着防止機能を有する耐火物22を配してもよい。さらに、図7の概略断面図に示す例では、Al23付着防止機能を有する耐火物22を、母材耐火物23の内壁表面側に分散させて、埋め込んで構成する(以下、「複層型」と呼ぶ)。
耐火物22は、スピネル(MgO・Al23)およびマグネシアを含有し、かつCaOを含有する耐火物材料に、還元金属、および炭素を配合した耐火物で少なくともその一部分が構成されており、スピネル(MgO・Al23)の配合比率が40〜80mass%、マグネシアの配合比率が5〜20mass%、CaOの配合比率が5mass%以下、還元金属の配合比率が、マグネシアに含まれるMgOを全量還元するのに必要な化学量論量の1〜2.5倍の範囲、かつ炭素の配合比率が0.5mass%以上10mass%未満である。
このように耐火物材料中に、スピネル(MgO・Al23)とマグネシアとを適切な配合比率で共存させ、かつMgOに対して還元金属を適量配合することにより、スピネル中のMgO成分の還元速度の緩慢性と、マグネシアの還元速度の急進性とが適切にバランスされ、連続鋳造開始と同時にMgガスを発生させるとともに、鋳造中の長時間にわたりMgガスの発生を持続させることが可能となる。また、耐火物材料にCaOを配合させることにより、Mgガスと溶鋼中Sとの反応で生成したMgSが逆反応によりMgガスとSに戻ることが阻止され、Al23粒子付着防止機能を有効に発揮させることができる。さらに、炭素を0.5mass%以上配合することにより、浸漬ノズル製造時に還元剤として作用する上記還元金属の酸化を防止して還元作用を有効に発揮させる作用を有し、かつ成形性、強度や熱膨張率などを改善する。しかし、その量が10mass%以上となると、耐火物本体内でCOが発生して、これが浸漬ノズル内壁と溶鋼との界面でMgガスと再度反応してMgOを生成させるため、10mass%未満とする。また、炭素が10mass%以上であると、添加された金属と反応して炭化物を形成し、Mgガス発生に寄与する金属の量を減少させ、かつ形成された炭化物が浸漬ノズルの耐スポーリング性を悪化させるおそれもある。
耐火物22は、耐火物材料として、スピネル(MgO・Al23)およびマグネシア、ならびにCaOの他、Al23、ZrO2、TiO2を含有させてもよい。その他、SiC、ZrC等の炭化物や強度付与や耐酸化性の向上を目的にBCやZrBなどのホウ化物を添加してもよい。
スピネル原料やマグネシア原料としては、天然品、焼結品または電融品のいずれでも使用できる。炭素原料としては、天然黒鉛、ピッチまたはカーボンブラック等、連続鋳造用ノズルに一般的に使用される炭素原料を使用することができる。また、バインダーなどからの炭素(残炭)も含む。また、CaO原料としては、CaOは水和性があるため耐水和処理を行ったCaO原料、CaCOなどの炭酸塩、CaO・ZrOやCaO・TiOなど遊離CaOを含まないCaO含有化合物、CaO成分を含有したMgO原料などを使用することができる。
還元金属は、Al、Ti、Zr、Ce、Caの単体であってもよいが、これらを含む合金等、複合化されたものであってもよい。例えばAlを例にとると、Mg、Si、Fe、Ti、Ni、Mn、Cr、Cや希土類元素から選択された1種または2種以上を含有するAl合金が挙げられる。還元金属含有物質の形状としては、球状でもよいし、片状などの非球状なものでもよい。
本発明の浸漬ノズルの製造工程で、使用するバインダー、配合原料の混練方法、成形方法および焼成方法は、一般の連続鋳造用浸漬ノズルの製造時と同様にして行うことができ、例えば同時成形法および内装成形法を使用することができる。同時成形法は、例えばノズル本体およびスラグライン部用の耐火物原料と本発明の耐火物原料とを、それぞれ型枠の所定の位置に充填し、同時に成形加圧する方法である。内装成形法は、慣用の方法により予め製作されたノズル本体に本発明の耐火物原料を内装充填、あるいは流し込みする成形方法である。
また、図4〜6に示した内装型ノズルを製造する場合には、内管である耐火物22の厚さを2mm以上とすることが好ましい。その厚さが2mm未満であると、金属Al等とMgO成分との反応が長時間継続せず、Al付着防止効果が小さいおそれがある。また、内管としての耐火物22の強度が弱く、ノズル本体部分である母材耐火物(支持用耐火物)23から剥離するおそれもある。
ノズル成形後の焼成については、焼成温度は1300℃以下が好ましいが、焼成雰囲気は、焼成温度が500℃以下の場合には酸化雰囲気でも非酸化雰囲気のいずれでもよく、500℃以上の場合には窒素、アルゴンまたはCO等の非酸化雰囲気が好ましい。
図4〜6に示す耐火物22の外側の母材耐火物(支持用耐火物)23としては、実質的に酸素供給源が存在しない耐火物で構成されていることが好ましい。母材耐火物23に酸素供給源が存在すると、耐火物22に酸素が供給され、生成されたMgガスと再度反応してMgOを生成し、Mgガスの発生量が減少してしまう。このような酸素供給源としてはSiOが挙げられ、したがって酸素供給源が存在しない耐火物としては、SiOを含まないアルミナ−黒鉛質耐火物が好ましい。
モールドパウダーと接触する範囲に設けられるスラグライン部24としては、スラグに対する耐食性に優れる、例えばZrO2−黒鉛質耐火物等を用いればよい。本発明に係る浸漬ノズル1において、スラグライン部24の設置は必ずしも必要ではないが、浸漬ノズル1の耐用性から設置した方が好ましい。
以上のような浸漬ノズル1を用いた上記図2に示す連続鋳造設備により鋼の連続鋳造を行う際には、取鍋(図示せず)からタンディッシュ3内に注入された溶鋼Lを、スライディングノズル5で溶鋼流量を調整しながら、溶鋼流出孔16を経由させ、浸漬ノズル1の溶鋼吐出孔17から吐出流18を鋳型短辺銅板12に向けて鋳型2内に注入する。注入された溶鋼Lは鋳型2内で冷却されて凝固シェル6を形成し、鋳型2の下方に連続的に引き抜かれ鋳片となる。鋳造に際しては、鋳型2内の溶鋼湯面7上にはモールドパウダー8を添加する。
この場合に、溶鋼LはAlにより脱酸されたアルミキルド鋼である場合が多く、溶鋼中にAl23粒子が懸濁しているが、以上のような浸漬ノズル1を用いることにより、Al23粒子の付着が防止される。
すなわち、本発明の実施形態の耐火物22はスピネルおよびマグネシアの中のMgOが還元されてMgが発生し、このMgが浸漬ノズル1の内壁に到達し、溶鋼通流孔25を通流する溶鋼Lのうち内壁面部分に存在する溶鋼中のSと反応してその部分の溶鋼のS濃度が低くなり、内壁面から離れた溶鋼通流孔25の中心側の溶鋼のS濃度が相対的に高くなって、溶鋼LとAl23粒子との間の界面張力に差が生じ、この界面張力の差により溶鋼L中に懸濁しているAl23は浸漬ノズル1の内壁面から離脱するように移動するので、浸漬ノズル1の内壁面でのAl23付着層厚みの成長が抑制され、Al23によるノズル閉塞が防止される。その結果、鋳造可能時間を飛躍的に延長させることが可能となり、また、浸漬ノズル1の内壁でのAl23粒子の付着・堆積による粗大化を防止することができるので、粗大化したAl23の剥離に起因する鋳片の大型介在物を大幅に削減することができる。
従来、上ノズル4、スライディングノズル5の固定板13、浸漬ノズル1のいずれか、またはこれらの2箇所以上から、溶鋼流出孔16内を流下する溶鋼L中にAl23付着防止のためのArガスを吹き込むことが行われているが、本発明に係る浸漬ノズル1を用いた場合には、上述のようにAl23粒子がほとんど付着しないため、Al23付着防止のためのArガスは吹き込む必要がない。仮に吹き込む場合にも極少量のArガス吹き込みで十分である。
なお、上記説明では鋳片断面が矩形型の鋳型2について説明したが、鋳片断面が円形の鋳型であっても本発明方法を使用することができる。さらに、連続鋳造機の個々の装置は上記に限るものではなく、例えば溶鋼流量調整装置としてスライディングノズル5の代わりにストッパーを用いてもよいように、その機能が同一であればどのような装置としてもよい。
(実施例1)
スピネル(MgO・Al)、マグネシア、金属Al粉末、CaO、炭素粉末を表1のA−1〜A−14に示すように配合した耐火物を図5に示す内挿型の浸漬ノズル1の耐火物22に適用し、母材耐火物(支持耐火物)23をSiOを含有しないアルミナ−黒鉛質耐火材料で構成した浸漬ノズルを作製した。また、比較のため表1のA−0に示す従来品のアルミナ−黒鉛質耐火物製の浸漬ノズルを作製した。A−1〜A−14のうち、A−1、A−2、A−4、A−5、A−9、A−11、A−12は本発明例であり、A−3、A−6〜A−8、A−10、A−13、A−14は比較例である。
上記A−0〜A−14の各浸漬ノズルを図2に示す連続鋳造設備のタンディッシュに装着して連続鋳造を実施した。鋳造条件は、300トン/ヒートを6ヒート連続して鋳造後、鋳造後の浸漬ノズルを回収してスラグライン部の内側に付着した付着物を観察した。鋳造鋼種は低炭素アルミキルド鋼(C:0.04〜0.05mass%、Si:tr、Mn:0.1〜0.2mass%、Al:0.03〜0.04mass%)であり、スラブ幅は950〜1200mmの範囲であり、鋳片引抜速度は2.2〜2.8m/minであった。
使用後の浸漬ノズルの内側に付着したAl23の付着厚さおよび亀裂の発生状況を観察し、その結果を表1に併記した。評価は、Al23付着厚さが5mm以下で亀裂が全く観察されない状態を「良好」(表1では◎で表示)、Al23付着厚さが10mm未満で亀裂が全く観察されない状態を「可」(表1では○で表示)、Al23付着厚さが10mm以上15mm未満の場合または微小な亀裂が発生した場合を「不良」(表1では△で表示)、Al23付着厚さが15mm以上の場合または亀裂が発生した場合を「不適」(表1では×で表示)とした。
表1に示すように、本発明例においては、ノズル内壁面のAl23付着厚さが小さく、亀裂も発生せず、評価は全て「良好」◎または「可」○であった。また、浸漬ノズル内面に凝固・付着した地金も全く見られなかった。これに対して、A−0に示す従来品のアルミナ−黒鉛質耐火物製の浸漬ノズルは、Al23付着厚さが18mm超と極めて悪かった。また、本発明の範囲を外れる比較例はいずれも評価が「不良」△または「不適」×であった。なお、A−13はAl23付着厚さが5mm未満で亀裂も発生していなかったが、CaOが多いため空気中の水分を吸収し(水和反応)、使用前に不良品が多発したため評価を「不良」△とした。
以上の結果から、母材耐火物としてSiOを含有しないアルミナ−黒鉛質耐火材料を用いた図5の内装型の浸漬ノズルにおいて、耐火物22を、スピネル(MgO・Al23)およびマグネシアを含有し、かつCaOを含有する耐火物材料に、還元金属、および炭素を配合した耐火物で少なくともその一部分を構成し、スピネル(MgO・Al23)の配合比率を40〜80mass%、マグネシアの配合比率を5〜20mass%、CaOの配合比率を5mass%以下、還元金属の配合比率が、スピネルおよびマグネシアに含まれるMgOを全量還元するのに必要な化学量論量の1〜2.5倍の範囲、かつ炭素の配合比率を0.5mass%以上10mass%未満とすれば、Al23付着が少なく亀裂が発生しないことが確認された。
Figure 0004321292
(実施例2)
実施例1で良好な判定となったA−9の耐火物を図5に示す内挿型の浸漬ノズル1の耐火物22に適用し、母材耐火物(支持耐火物)23を酸素供給源となるSiOを含有しないアルミナ−黒鉛質耐火材料で構成した浸漬ノズルと、酸素供給源となるSiOを含有したアルミナ−シリカ−黒鉛質耐火材料で構成した浸漬ノズルを準備し、実施例1と同様に図2に示す連続鋳造設備のタンディッシュに装着し、実施例1と同一の鋼種について同一の条件で連続鋳造を実施した。鋳造後の浸漬ノズルを回収して切断し、実施例1と同様に浸漬ノズル内壁面へのAl23の付着状況を観察した。その結果、母材耐火物(支持耐火物)23を酸素供給源となるSiOを含有しないアルミナ−黒鉛質耐火材料で構成した浸漬ノズルではAl23の付着厚さが5mm以下であったのに対し、酸素供給源となるSiOを含有したアルミナ−シリカ−黒鉛質耐火材料で構成した浸漬ノズルでは5mmを超えており、Al23付着防止効果に明確な差が認められた。これは、浸漬ノズルの母材耐火物をアルミナ−シリカ−黒鉛質耐火材料で構成した場合には、母材耐火物中のSiOとCとが反応してCOガスおよびSiOガスが生成し、内挿耐火物22中から発生したMgガスとの間で上記(3)および(4)式が生じてMgOを生成し、MgガスによるAl23付着防止効果が低下したことによると考えられる。
(実施例3)
スピネル(MgO・Al)、マグネシア、金属Al粉末、CaO、炭素粉末を表2のB−1〜B−14に示すように配合した耐火物を図5に示す内挿型の浸漬ノズル1の耐火物22に適用し、母材耐火物(支持耐火物)23を炭素を含有しないアルミナ−シリカ質耐火材料で構成した浸漬ノズルを作製した。また、比較のため実施例1と同様、A−0に示す従来品のアルミナ−黒鉛質耐火物製の浸漬ノズルを作製した。B−1〜B−14のうち、B−1、B−2、B−4、B−5、B−9、B−11、B−12は本発明例であり、B−3、B−6〜B−8、B−10、B−13、B−14は比較例である。
上記A−0、B−1〜B−14の各浸漬ノズルを図2に示す連続鋳造設備のタンディッシュに装着して連続鋳造を実施した。鋳造鋼種としては実施例1と同様の低炭素アルミキルド鋼を用い、実施例1と同様の条件で300トン/ヒートを6ヒート連続して鋳造後、鋳造後の浸漬ノズルを回収してスラグライン部の内側に付着した付着物を観察した。
使用後の浸漬ノズルの内側に付着したAl23の付着厚さおよび亀裂の発生状況を観察し、その結果を表2に併記した。評価基準は実施例1と同様とした。
表2に示すように、本発明例においては、ノズル内壁面のAl23付着厚さが小さく、亀裂も発生せず、評価は全て「良好」◎または「可」○であった。また、浸漬ノズル内面に凝固・付着した地金も全く見られなかった。これに対して、A−0に示す従来品のアルミナ−黒鉛質耐火物製の浸漬ノズルは、Al23付着厚さが18mm超と極めて悪かった。また、本発明の範囲を外れる比較例はいずれも評価が「不良」△または「不適」×であった。なお、B−13はAl23付着厚さが5mm未満で亀裂も発生していなかったが、CaOが多いため空気中の水分を吸収し(水和反応)、使用前に不良品が多発したため評価を「不良」△とした。
以上の結果から、母材耐火物として炭素を含有しないアルミナ−シリカ耐火材料を用いた図5の内装型の浸漬ノズルにおいて、耐火物22を、スピネル(MgO・Al23)およびマグネシアを含有し、かつCaOを含有する耐火物材料に、還元金属、および炭素を配合した耐火物で少なくともその一部分を構成し、スピネル(MgO・Al23)の配合比率を40〜80mass%、マグネシアの配合比率を5〜20mass%、CaOの配合比率を5mass%以下、還元金属の配合比率が、マグネシアに含まれるMgOを全量還元するのに必要な化学量論量の1〜2.5倍の範囲、かつ炭素の配合比率を0.5mass%以上10mass%未満とすれば、Al23付着が少なく亀裂が発生しないことが確認された。
Figure 0004321292
(実施例4)
スピネル(MgO・Al)、マグネシア、CaO、炭素粉末を本発明の範囲内とし、金属粉末の種類を変えて表3のC−1〜C−6に示すように配合した耐火物を図5に示す内挿型の浸漬ノズル1の耐火物22に適用し、母材耐火物(支持耐火物)23を炭素を含有しないアルミナ−シリカ質耐火材料で構成した浸漬ノズルを作製した。また、比較のため実施例1と同様、A−0に示す従来品のアルミナ−黒鉛質耐火物製の浸漬ノズルを作製した。
上記A−0、C−1〜C−6の各浸漬ノズルを図2に示す連続鋳造設備のタンディッシュに装着して連続鋳造を実施した。鋳造鋼種としては実施例1と同様の低炭素アルミキルド鋼を用い、実施例1と同様の条件で300トン/ヒートを6ヒート連続して鋳造後、鋳造後の浸漬ノズルを回収してスラグライン部の内側に付着した付着物を観察した。
使用後の浸漬ノズルの内側に付着したAl23の付着厚さおよび亀裂の発生状況を観察し、その結果を表3に併記した。評価基準は実施例1と同様とした。
表3に示すように、金属粉末として本発明で規定するAl等の還元能力を有する金属を用いたC−1〜C−4の場合には十分なAl23付着抑制効果が得られたが、金属粉末(A)/MgOの還元に必要な金属量(B)の値が本発明の範囲から外れるC−5はAl23付着抑制効果が低く、また、金属粉末としてMgOを還元できない金属種であるSiを用いたC−6はAl23付着抑制効果が全く見られなかった。
Figure 0004321292
本発明によれば、Al23による閉塞が生じず、かつ、耐スポーリング性に優れた構造安定性の高い連続鋳造用浸漬ノズルが提供されるので、鋳造可能時間を飛躍的に延長させることができると同時に、浸漬ノズル内壁から剥離する粗大化したAl23に起因する鋳片の大型介在物性の欠陥、ならびに、浸漬ノズルの閉塞による鋳型内溶鋼の偏流に起因するモールドパウダー性の欠陥を大幅に削減することができ、工業上有益な効果がもたらされる。
本発明の原理を説明するための図。 本発明に係る浸漬ノズルを適用した鋼の連続鋳造設備の鋳型部を示す断面図。 本発明の一実施形態に係る浸漬ノズルを概略的に示す垂直断面図および水平断面図。 本発明の他の実施形態に係る浸漬ノズルを概略的に示す垂直断面図および水平断面図。 本発明のさらに他の実施形態に係る浸漬ノズルを概略的に示す垂直断面図。 本発明のさらに他の実施形態に係る浸漬ノズルを概略的に示す垂直断面図。 本発明のさらに他の実施形態に係る浸漬ノズルを概略的に示す垂直断面図および水平断面図。
符号の説明
1 浸漬ノズル
2 鋳型
3 タンディッシュ
4 上ノズル
5 スライディングノズル
6 凝固シェル
8 モールドパウダー
17 溶鋼吐出孔
22 Al23付着防止機能を有する耐火物
23 母材耐火物(支持用耐火物)
24 スラグライン部
25 溶鋼通流孔
L 溶鋼

Claims (6)

  1. 鋳型内に溶鋼を供給する連続鋳造用浸漬ノズルであって、スピネル(MgO・Al23)およびマグネシアを含有し、かつCaOを含有する耐火物材料に、金属Al、金属Ti、金属Zr、金属Ceおよび金属Caからなる金属群から選択された1種または2種以上の金属、ならびに炭素を配合した耐火物で少なくともその一部分が構成されており、前記耐火物は、スピネル(MgO・Al23)の配合比率が40〜80mass%、マグネシアの配合比率が5〜20mass%、CaOの配合比率が5mass%以下(0を含まず)、金属Al、金属Ti、金属Zr、金属Ceおよび金属Caからなる金属群から選択された1種または2種以上の金属の配合比率が、マグネシアに含まれるMgOを全量還元するのに必要な化学量論量の1〜2.5倍の範囲、かつ炭素の配合比率が0.5mass%以上10mass%未満であることを特徴とする鋼の連続鋳造用浸漬ノズル。
  2. 前記耐火物材料は、Al23、ZrOおよびTiOからなる群から選択された1種または2種以上を含有することを特徴とする請求項1に記載の鋼の連続鋳造用浸漬ノズル。
  3. 前記耐火物は、溶鋼と接触するノズル内孔部に配置されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の鋼の連続鋳造用浸漬ノズル。
  4. 請求項1から請求項3のいずれかに記載の耐火物と、その耐火物の外側を支持する支持用耐火物とを有することを特徴とする鋼の連続鋳造用浸漬ノズル。
  5. 前記支持用耐火物は、実質的に酸素供給源が発生しない耐火物で構成されていることを特徴とする請求項4に記載の鋼の連続鋳造用浸漬ノズル。
  6. 前記支持用耐火物は、SiOを含まないアルミナ−黒鉛質耐火物で構成されていることを特徴とする請求項5に記載の鋼の連続鋳造用浸漬ノズル。
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