JP4319865B2 - 回転電機の制御方法 - Google Patents

回転電機の制御方法 Download PDF

Info

Publication number
JP4319865B2
JP4319865B2 JP2003182190A JP2003182190A JP4319865B2 JP 4319865 B2 JP4319865 B2 JP 4319865B2 JP 2003182190 A JP2003182190 A JP 2003182190A JP 2003182190 A JP2003182190 A JP 2003182190A JP 4319865 B2 JP4319865 B2 JP 4319865B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
mode
winding
electrical machine
rotating electrical
current
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2003182190A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2005020888A (ja
Inventor
光二 佐々木
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Mitsuba Corp
Original Assignee
Mitsuba Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Mitsuba Corp filed Critical Mitsuba Corp
Priority to JP2003182190A priority Critical patent/JP4319865B2/ja
Publication of JP2005020888A publication Critical patent/JP2005020888A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4319865B2 publication Critical patent/JP4319865B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Control Of Electric Motors In General (AREA)
  • Synchronous Machinery (AREA)

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、SRモータ(Switched Reluctance Motor)構造を備える回転電機の制御技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、電気自動車やモータとエンジンを共用するいわゆるハイブリッドカー等においては、高価な永久磁石を使用せず、構造が簡単かつ堅牢であり高速回転や耐環境性に優れたSRモータの使用が検討されている。一般にSRモータは、コイルを巻装したステータの内側に、磁性鋼板よりなるロータをステータと同軸上に回転自在に配置した構成となっている。ステータの内周側には内向きに突出する突極が形成されており、この突極にはコイルが巻装され巻線を形成している。ロータの外周には外向きに突出する突極が放射状に形成されており、ロータの回転に伴ってステータの突極と近接・対向・離隔するようになっている。ロータの突極とステータの突極は、ある突極同士が対向したとき他の突極同士の位置がずれるように、相互に倍数関係ではない偶数個に設定される。すなわち、例えばロータの突極が4個の場合、ステータの突極を6個に設定し、ロータの突極が6個の場合にはステータの突極を8個に設定する。
【0003】
このようなSRモータでは、例えばステータの一対の対向する巻線に電流を流すと、ステータの突極からロータの突極へ向かう磁束が発生する。これにより、ロータの突極がステータの突極に引き付けられロータにトルクが発生する。前述のように、ステータとロータの突極は、ある突極同士が対向すると他の突極同士にはずれが生じるように設定されている。そこで、他のずれた状態にある突極の巻線に通電すると、ずれた状態の突極が引き付けられロータが回転する。この操作を連続的に行うことにより、ロータの突極が連続的にステータの突極に引き付けられ、ロータが軸回りに回転する。
【0004】
図6は、SRモータの制御形態を示す説明図である。図6に示すように、SRモータでは、巻線のインダクタンスLが最小Lmin→最大Lmaxになる領域(Lが増加する領域)で巻線に電流が供給される。また、より大きな駆動力を得るために、巻線電流を大きくすると共に、巻線に電流を流し始めるタイミングを早めるいわゆる進角制御も一般に行われる。この進角制御では、Lminの時点より時間Taだけ早い時点で巻線に電流が供給されるため、インダクタンス増大に伴って直ちに駆動力が増大し、モータ効率の向上が図られる。
【0005】
一方、SRモータは発電機として用いることもできる。図6に示すように、SRモータでは、巻線電流の供給を停止すると巻線に起電力が生じ図中Rにて示した部分のエネルギが回生される。図7は、SRモータを発電機として利用する場合の制御形態を示す説明図である。図7に示すように、SRモータは、巻線のインダクタンスLが最大Lmax→最小Lminになる領域(Lが減少する領域)で発電機として機能する。そこでは、Lmax近傍にて、まず最初に巻線電流を流して巻線電流を高め、その後電流を遮断し、このとき巻線に発生する回生電流により発電を行う(図中R部分)。この場合、発電量を大きくするためには最初の供給電流を大きくする必要があるが、モータリング時と同様に、進角制御により電流供給時間を確保して回生開始時の電流値増大を図ることも行われる。
【0006】
特開2001-57795号公報や特開2001-78490号公報には、発電時の過電流を防止し高効率的な発電を行う制御方式が開示されている。特開2001-57795号公報においては、バッテリから電力を供給し、SRモータをモータとして機能させる供給モード中に、ロータ回転数や供給電流量に基づいて、現時点で電力回生を行った場合の最大電流量を予測演算する。そして、この最大電流量が所定値に達した場合に、巻線に生じる起電力をバッテリに回収する回生モードを実施する。
【0007】
特開2001-78490号公報においては、前述の供給モードと回生モードに加えて、巻線両端を同電位とする還流モードが設定されている。この還流モード時には巻線がショートされる形となり、巻線電流は増加する。巻線電流値は常時モニタされており、供給モードから回生モードに切り替えた後、巻線電流値が下限値に達すると、前述の還流モードに切り替えられる。還流モードでは電流値が上昇し、それが上限値に達したときには、再び回生モードに切り替えられる。この回生モードと還流モードの切り替えは、ロータが所定の回転角度となるまで継続される。これにより、巻線電流値は上限値と下限値との間で制御され、巻線電流が突出的に大きくなることが防止される。
【0008】
ところで、このようなSRモータでは、巻線への供給電流はPWM方式にて制御され、その際のパワーデバイスとしてはMOS/FETやIGBT(insulated gate bipolar transistor)を使用する場合が多い。図8は、SRモータの駆動回路の一部を示す説明図である。図8に示すように、当該駆動回路では、HI側のパワーデバイスを駆動するドライバ回路DRVHのフローティング電源として、ダイオードDHとコンデンサCHを用いたブートストラップ回路が使用される。
【0009】
このようなブートストラップ回路では、まず、FETQHを駆動する前にコンデンサCHを充電しておく必要がある。コンデンサCHの充電は、FETQHがOFFでFETQLがONのとき、すなわち、図6においてHS:OFF,LS:ONのときに行われる。このとき、図8の回路には破線にて示したような電流が流れ、コンデンサCHが充電される。従って、図6のようにPWM制御のONdutyが100%でない場合には、PWM周期内にコンデンサCHの充電時間が生じ、それによりFETQHの駆動が行われる。
【0010】
【特許文献1】
特開2001-57795号公報
【特許文献2】
特開2001-78490号公報
【特許文献3】
特表平9-509820号公報
【特許文献4】
特願2002-298357号
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、PWM制御のONdutyが100%近い状態となると、PWM周期内におけるコンデンサCHの充電時間が不足するおそれがある。また、ONdutyが100%になると充電時間はゼロとなる。このような場合、コンデンサCHの充電電圧が低下するため、パワーデバイス(FETQH)を駆動できなくなるという問題が生じる。
【0012】
これに対し、PWM制御が開始される以前のFETQHがOFFの時に一旦FETQLをONさせ、コンデンサCHの充電時間を確保する方式が知られている。かかる方式では、PWM制御のONdutyが100%近くなってもコンデンサCHが充電され、FETQHの駆動を確保できる。しかしながら、このような充電方式を採ると、装置始動時におけるコンデンサCHの充電時間が問題となる。このため、始動時の充電時間確保のために煩雑な制御が必要となったり、充電時間のため始動遅れが生じたりするという問題があった。
【0013】
本発明の目的は、SRモータ型回転電機の駆動回路に使用されるブートストラップ回路のコンデンサ充電時間を確保し、駆動回路中のパワーデバイスを安定的に駆動させることにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】
本発明の回転電機の制御方法は、複数個の突極を有するステータと、前記ステータの突極とは異なる個数の複数個の突極を有するロータと、前記ステータに巻装された巻線とを有してなる回転電機の制御方法であって、前記巻線の一端側に、ダイオードとコンデンサを用いたブートストラップ電源を備えるドライバによって駆動される第1スイッチング素子を配置すると共に、前記巻線の他端側に第2スイッチング素子を配置し、前記第2スイッチング素子を前記第1スイッチング素子よりも先に駆動させることを特徴とする。
【0015】
本発明にあっては、第1スイッチング素子が駆動される以前に第2スイッチング素子を駆動するので、例えば、第1スイッチング素子を駆動するドライバにブートストラップ電源を用いた場合、ブートストラップ電源のコンデンサを第1スイッチング素子の駆動前に充電される。このため、第1スイッチング素子はコンデンサが充電された状態で駆動され、駆動当初から第1スイッチング素子を確実に動作させることが可能となる。また、第1スイッチング素子をPWM制御する場合に、そのONdutyが100%近い状態、あるいは100%となっても、コンデンサの充電時間を確保できるため、第1スイッチング素子を確実に動作させることができる。
【0016】
前記回転電機の制御方法において、前記第1スイッチング素子を、前記ドライバによってPWM制御するようにしても良い。さらに、前記ブートストラップ電源の前記コンデンサを、前記第1スイッチング素子がOFFの状態で前記第2スイッチング素子が前記第1スイッチング素子よりも先行して駆動されたときに充電するようにしても良い。
【0017】
一方、前記回転電機の制御方法において、前記回転電機が発電機の場合、前記第1及び第2スイッチング素子を、前記巻線のインダクタンスが最大となる時点以前に駆動するようにしても良い。また、前記回転電機がモータの場合、第1及び第2スイッチング素子を、前記巻線のインダクタンスが最小値から増大する時点以前に駆動するようにしても良い。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。図1は、本発明の制御方法が適用される回転電機の構成を示す説明図である。図1の回転電機1はいわゆるSRモータ構造を有しており、モータとしてもまた発電機としても使用できる。
【0019】
図1に示すように、回転電機1は、ステータ2と、ステータ2の内側に回転自在に配設されたロータ3とを備えている。ステータ2は図示しないハウジングに収容される。ロータ3はエンジンのクランクシャフトに連結され、回転電機1が例えばスタータモータとして使用される場合は、クランクシャフトを回転駆動させ自動車エンジンを始動させる。また、回転電機1が例えば発電機として使用される場合は、ロータ3は自動車エンジンによって駆動される。なお、実施の形態の回転電機1はインナーロータタイプであるが、ステータとロータの位置関係が逆のアウターロータタイプであっても良い。
【0020】
ステータ2は、ステータコア4と複数の巻線5を備えた構成となっている。ステータコア4は複数の磁性鋼板を積層して形成され、ハウジング内に固定される。ステータコア4は、円筒状のヨーク部6と、ヨーク部6の内側に径方向内側に向けて突出する6個の突極7とから構成される。巻線5は各突極7にコイルを巻回して形成される。回転電機1は3相のモータ及び発電機として構成されており、巻線5はU,V,Wの各相の巻線5Ua,5Ub,5Va,5Vb,5Wa,5Wbを構成している。対向する一対の巻線5は直列に接続され、各相の巻線組5U,5V,5Wを構成する。
【0021】
ロータ3は、シャフト8とロータコア9から構成される。シャフト8は、ハウジングに設けた軸受によって回転自在に支持されている。シャフト8の回転角度はシャフト位置センサ17(図2参照)にて検出される。このシャフト位置センサ17の周期やパルス幅からロータ3の回転数を算出することができる。なお、別途回転数検出センサがあればそれを利用しても良い。ロータコア9は、複数枚の磁性鋼板を積層して形成され、シャフト8に固定されている。ロータコア9には、外周側に4個の突極10が設けられている。ロータ3はステータ2内に同軸に挿入配置され、その突極10とステータ2の突極7との間には所定の間隙が形成される。
【0022】
このような回転電機1は、各相の巻線5を順次通電することによりSRモータとして使用することもできる。ここで、巻線5に電流を流すと、ステータ2の突極7からロータ3の突極10へ向かう磁束が発生する。例えば、図1において巻線5Va,5Vbに通電すると、その近傍に存在するロータ3の突極10bを引き付け、トルクが発生しロータ3が反時計回りに移動する。ステータ2の突極7Vとロータ3の突極10bが対向すると、ステータ2が6極、ロータ3が4極のため、他の突極7W,10aの間には位置ズレが生じる。
【0023】
次に、突極7Wの巻線5Wa,5Wbに通電すると、今度は突極10aが突極7Wに引き付けられる。このとき突極7U,10bの間には位置ズレが生じており、次に突極7Uの巻線5Ua,5Ubに通電すると、突極10bが突極7Uに引き付けられる。このように各相の巻線5を順次通電すると、ロータ3の突極10は連続的にステータ2の突極7に引き付けられ、ロータ3はステータ2内にてシャフト8と共に回転しSRモータとして動作する。
【0024】
図2は、図1の回転電機1における駆動回路の構成を示す回路図である。図2に示すように、各相の巻線組5U,5V,5Wの両端にはそれぞれFETとダイオードからなるスイッチング回路19が接続されている。巻線組5U,5V,5Wの一端側(HI側:UH,VH,WH)は、FET11U,11V,11W(第1スイッチング素子)を介してバッテリ(電源)16の+極に接続されると共に、ダイオード13U,13V,13Wを介してバッテリ16の−極に接続されている(接地)。巻線組5U,5V,5Wの他端側(LO側:UL,VL,WL)は、ダイオード14U,14V,14W(第2スイッチング素子)を介してバッテリ16の+極に接続されていると共に、FET12U,12V,12Wを介してバッテリ16の−極に接続されている。
【0025】
FET11,12は、ゲートドライバ15U,15V,15Wによって制御される。ゲートドライバ15U,15V,15WはCPU18に接続されており、CPU18によって制御される。ゲートドライバ15U,15V,15WのHI側FET11U,11V,11Wを駆動する部位には、図8と同様のブートストラップ回路20を用いたフローティング電源が接続されている。ブートストラップ回路20U,20V,20Wには、ブートストラップダイオード21U,21V,21Wとブートストラップコンデンサ22U,22V,22Wが設けられている。
【0026】
回転電機1にはさらに、シャフト位置センサ17が設けられており、シャフト8の回転角度が検出できるようになっている。シャフト位置センサ17の出力はCPU18に入力され、CPU18はこの検出信号に基づいてゲートドライバ15U,15V,15Wを制御し、巻線組5U,5V,5Wに適宜通電を行う。また、CPU18は、シャフト位置センサ17の信号からシャフト8の回転数を算出する。なお、バッテリ16の電圧はCPU18によって常時モニタされている。
【0027】
図3は図2の回路図のU相部分についてのみ抽出した回路図であり、(a)は供給モード、(b)は回生モード、(c)(d)は還流モードを示している。なお、以下の説明ではU相についてのみ説明するが、V相、W相もU相と同様の動作が行われる。当該制御方法では、回転電機1を供給モード、回生モード及び還流モードの3つの制御モードにて駆動する。供給モードは巻線組5Uに電力を供給するモード、回生モードは巻線組5Uに生じる起電力を回収するモード、還流モードは巻線組5Uの両端を同電位としショートさせるモードである。
【0028】
供給モードでは、図3(a)に示すように、FET11U,12Uを同時にONさせる。当該モードでは、電流はFET11U、巻線組5U、FET12Uの経路で流れる。これにより、バッテリ16によって巻線組5Uの巻線5Ua,5Ubに電力が供給され、ロータ3の突極10がステータ2の突極7Uに引き付けられ、ロータ3が回転又は制動される。
【0029】
回生モードでは、図3(b)に示すように、FET11U,12Uが同時にOFFされる。FET11U,12UをOFFすると、バッテリ16から巻線組5Uに対する電力供給は停止される。このとき、巻線組5Uには磁束を保持すべく起電力が生じる。当該モードでは、この起電力により、電流がダイオード13U、巻線組5U、ダイオード14Uの経路で流れる。これにより、バッテリ16にエネルギが回生される。
【0030】
還流モードは、図3(c)(d)に示すように2通りの場合がある。まず、図3(c)の場合は、FET11UをOFFし、FET12UをONさせる。この状態においてもバッテリ16から巻線5Ua,5Ubに対する電力供給は停止され、巻線5Ua,5Ubには起電力が生じる。当該モードでは、この起電力により、電流はダイオード13U、巻線組5U、FET12Uの経路で流れる。すなわち、巻線組5Uは両端が接地された状態となり、還流モードの間、電流は前記経路を還流する。
【0031】
図3(d)の場合は、FET11UをONし、FET12UをOFFさせる。このとき、巻線5Ua,5Ubの両端はバッテリ16に接続されて同電位となり、巻線5Ua,5Ubに起電力が生じる。この起電力により、電流はFET11U、巻線組5U、ダイオード14Uの経路で流れ、還流モードの間、電流は前記経路を還流する。
【0032】
当該実施の形態では、前述のような3種類のモードを次のように実行する。図4は、回転電機1を発電機として使用した場合における本発明の一実施の形態である制御方法のU相での各モードの実行タイミングを示す説明図である。図4の横軸は何れもロータ3の回転角となっており、(a)はロータ回転角とインダクタンスLの関係、(b)は駆動回路におけるHI側,LO側の通電状態、(c)はロータ回転角と巻線電圧の関係、(d)はロータ回転角と巻線電流の関係をそれぞれ示している。なお、ここではU相を例にとって説明するが、V相、W相もU相と同様の制御が行われる。
【0033】
図4に示すように、本発明による制御方法では、インダクタンスLが最大値Lmaxとなる以前に巻線5に電力供給を開始する進角制御が行われる。また、供給モードと還流モードが交互に繰り返される第1交番モードC1の後に、還流モードと回生モード第2交番モードC2が交互に繰り返される第2交番モードC2を実施する。この場合、HI側FET11UのON時間を長くすると第1交番モードC1における電流上昇値が大きくなる。ところが、ON時間を長くしても第2交番モードC2開始時の巻線電流量が不足するような場合は、進角制御を実施して第1交番モードC1の継続時間Tdを長くする。
【0034】
進角制御においては、HI側のFET11UはLmaxの時点から時間Tah、LO側のFET12UはLmaxの時点から時間Talだけ進角した時点で電力供給が開始される。巻線5に対する電力供給はゲートドライバ15Uによって制御され、ここでは、Tal>Tahとなっており、HI側のFET11Uに先駆けてLO側のFET12UがONされる。進角時間Tah,Talは、第2交番モードC2開始時の巻線電流量、すなわち、FET11UのONduty比に対応させて設定される。なお、LO側進角時間Talは、HI側のduty値に対応させて設定するのが望ましいが、HI側に対して一定の進角量(角度)や進角時間に設定しても良い。
【0035】
ここで、HI側,LO側共にOFFの状態から、LO側のFET12UのみがONされると、ブートストラップ回路20Uに図8の破線と同様に電流が流れ、ブートストラップコンデンサ22Uが充電される。すなわち、HI側のFET11Uが駆動される直前に、第1交番モードC1の継続時間Tdと連続的にブートストラップコンデンサ22Uの充電時間Tc(=Tal−Tah)が確保され、ブートストラップコンデンサ22Uが充電される。このため、HI側のFET11Uには、ブートストラップコンデンサ22Uが充電された状態でPWM制御のパルス信号が出力される。従って、当該制御方法によれば、装置始動時も含め、FET11Uを最初の1パルス目から駆動できる。また、ONdutyが100%近い状態、あるいは100%となっても、ブートストラップコンデンサ22Uの充電時間Tcが確保されているため、FET11Uを確実に動作させることができる。
【0036】
一方、ブートストラップコンデンサ22Uの充電時間Tcは、HI側とLO側の進角時間の差によって形成される。このため、本発明の制御方法は、従来の制御方法を大きく変えることなく、ソフトウエア上にて対応可能である。従って、システムを大きく変更せずに図4のような制御が容易に実現可能であり、コストアップを招来することなく制御性の改善を図ることが可能となる。
【0037】
このようにしてブートストラップ回路20Uを充電した後、Lmaxから時間Tah進角した時点でFET11UのON/OFFを開始する。このとき、LO側のFET12Uは常時ONとなっており、HI側のFET11UがONのとき図3(a)の状態となり、供給モードが実施される。これに対しHI側のFET11UがOFFのとき図3(c)の状態となり、還流モードが実施される。すなわち、供給モードと還流モードが交互に繰り返される第1交番モードC1が時間Tahだけ進角した位置から実施される。この場合、巻線電流はインダクタンス負荷となるため、第1交番モードC1開始後直ちに理想的な形で巻線電流が立ち上がらない場合が多い。これに対し、進角によりLmax時点以前に第1交番モードC1を開始すれば、Lmax時点で有効に巻線電流値を増大させることができ、より大きな発電量を確保することが可能となる。
【0038】
第1交番モードC1の間、供給モード実施時(図4(d)のP部)では巻線電流が増加し、還流モード実施時(図4(d)のQ部)では巻線電流が減少する。第1交番モードC1では、供給モードPでの巻線電流の増加分に比べて、還流モードQでの巻線電流の減少分の方が小さく、時間Tdの間、電流波形は鋸歯状波形で総体的に増加するようにPWMduty比が設定される。時間Tdが経過した後、CPU18は作動モードを第2交番モードC2に切り換える。第2交番モードC2では、還流モードQと回生モード(図4(d)のR部)が交互に繰り返される。なお、第1交番モードC1の継続時間Tdは、シャフト位置センサ17の信号から算出されたロータ回転数に応じて設定されるが、ロータ回転角度で設定することもでき、回転数によらず一定の角度にすることもできる。
【0039】
第2交番モードC2における還流モードQ(特にQe)の電流量の上昇傾向は、還流モード開始時の電流値とロータ回転数により決まり、それらが十分に大きくないと還流モード時に電流値が増大しない。還流モード時の電流増が十分取れないと、回生モードにおける回生エネルギ量が確保できず、発電効率が低下する。その反面、還流モード開始時の電流値が大きくなるように巻線電流を制御すると、それによる制動力が大きくなる。そこで、当該制御方法では、巻線電流によって制動力が発生する領域での平均電流値を第1交番モードC1によって抑え、かかる制動力を抑制しつつ第2交番モードC2における還流モード開始時の電流値がなるべく大きくなるように制御している。
【0040】
第2交番モードC2では、PWM制御を活用して第1交番モードC1の後もHI側のFET11UをON/OFFさせ、第1交番モードC1実施後の還流モードをチョッピングする。ここで、図7のような従来の制御方法では、第1交番モードC1実施後に還流モードのみを実行して巻線電流を増加させた後、回生モードを実行して回生電流量の増大を図っている。ところが、第1交番モードC1実施後の還流モードにより巻線電流が過大となる場合があり、パワーデバイスの負担が増大するおそれがある。
【0041】
これに対し、当該制御方法では、第1交番モードC1実施後に単に還流モードと回生モードを実施するのではなく、還流モードと回生モードを繰り返し実施し、還流モードにおける巻線電流の増加を適宜回生モードにて抑制する。このため、図7のように還流モードにて巻線電流を単調増加させる場合に比して、図4から明らかなように、第2交番モードC2を実施する当該制御方法では最大電流値imaxを低く抑えることが可能となる。
【0042】
第2交番モードC2の最終段階では回生モードのみを実施する。回生モード実施時には巻線電圧は−Eとなり、最後の回生モードReでは巻線電流値iは徐々に減少してやがて0となる。これにより、図4(d)のR部の面積にて示される量のエネルギが、バッテリ16に回生される。ここで、最後の回生モードReにおける回生エネルギ量は、回生モードRe開始時の電流量に依存する。従って、通常、最大電流値imaxが抑えられると回生モードReにおける回生電流量も減少する。つまり、図4の回生モードReでは、図7の回生モードRのように大きな面積(回生エネルギ量)が確保できなくなる。
【0043】
ところが、当該制御方法においては、第2交番モードC2において還流モードを実施しており、そこでは巻線電流の増加が図られる。また、回生モードReに至る以前にも回生モードRが設けられている。このため、第1交番モードC1後に単に回生モードを実施した場合に比して、還流モードによる電流増加分だけ回生電流量が増加すると共に、途中の回生モードでも回生電流が得られる。従って、回生モードReにおける回生エネルギ量は図7の場合よりも少なくなるが、全体的な回生エネルギ量は十分に確保される。
【0044】
なお、回生エネルギ量は、回生モード開始時の電流量によって決まるため、PWM制御のduty比や電源電圧、第1交番モードC1の継続時間Td、第1交番モードC1後の交番回数等により変化する。従って、CPU18はこれらの値を適宜調整することにより回生エネルギ量を制御する。また、CPU18は、常時バッテリ16の電圧をモニタしており、電圧フィードバックによるPI制御を行って、バッテリ16の過充電を防止する。この場合、バッテリ電圧を見ながら、交番モードにおけるPWMduty比や継続時間を適宜制御して、バッテリ電圧が所定値となるようにしても良い。PWM制御では、制御精度確保のためには電圧値の安定が肝要であり、バッテリ電圧の検出はこの点においても重要である。
【0045】
このように、図4に示した制御方法では、進角により第1交番モードC1の継続時間Tdが長く取れるので、第2交番モードC2開始時の電流量が増加する。このため、Lmaxの時点から第1交番モードC1を開始すると発電量が不足する場合に有効である。一方、第2交番モードC2では電流量の増加が抑えられるため、還流モードでの巻線電流量が大きくなり過ぎるのも抑制できる。従って、進角による電流量増加と、第2交番モードC2における電流量抑制をバランス良く組み合わせることにより、最大電流値imaxを抑えつつ、回生電流量を十分確保し得る良好な制御形態が実現できる。このため、パワーデバイスの負担増を最小限に抑えて発電量を増加させることができ、大容量素子の使用によるコストアップを防止できる。また、電流センサや高速比較器などを付加することなく巻線電流量を抑制でき、コスト増加を招くことなく効率の良い発電を行うことが可能となる。
【0046】
本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることは言うまでもない。
例えば、前述の実施の形態では、HI側のFETをPWM駆動、LO側のFETを相制御に使用した場合について説明したが、LO側FETをPWM駆動、HI側FETを相制御に使用しても良い。
【0047】
また、前述の実施の形態では、コンデンサ充電時間Tcを進角時間Tal,Tahの差によって形成する方法を示したが、HI側は進角させず、LO側のみ進角を行って充電時間Tcを形成しても良い。さらに、HI側,LO側を何れも進角させず、通電開始時点を異ならせることにより充電時間Tcを形成することも可能である。
【0048】
一方、前述の実施の形態では、回転電機1を発電機として使用する場合について説明したが、それをモータとして使用する場合も本発明の制御形態は有効である。図5は、回転電機をモータとして使用した場合における本発明の一実施の形態である制御方法のU相での各モードの実行タイミングを示す説明図である。この場合も、図5に示すように、進角時間TaはHI側とLO側で異なる値に設定され(Tal>Tah)、ブートストラップコンデンサ22Uの充電時間Tc(=Tal−Tah)が確保される。なお、図5の場合にはモータとしての使用であり、発電量を考慮する必要はないため、第2交番モードは実施しなくとも良い。
【0049】
【発明の効果】
本発明の回転電機の制御方法によれば、巻線の一端側に配置した第1スイッチング素子に先行させて巻線の他端側に配置した第2スイッチング素子を駆動させるので、例えば、第1スイッチング素子を駆動するドライバにブートストラップ電源を用いた場合、ブートストラップ電源のコンデンサを第1スイッチング素子の駆動前に充電することができる。このため、コンデンサが充電された状態で第1スイッチング素子を駆動させることができ、駆動当初から第1スイッチング素子を確実に動作させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の制御方法が適用される回転電機の構成を示す説明図である。
【図2】図1の回転電機における駆動回路の構成を示す回路図である。
【図3】図2の回路図のU相部分についてのみ抽出した回路図であり、(a)は供給モード、(b)は回生モード、(c)(d)は還流モードを示している。
【図4】回転電機を発電機として使用した場合における本発明の一実施の形態である制御方法のU相での各モードの実行タイミングを示す説明図であり、(a)はロータ回転角とインダクタンスLの関係、(b)は駆動回路におけるHI側,LO側の通電状態、(c)はロータ回転角と巻線電圧の関係、(d)はロータ回転角と巻線電流の関係をそれぞれ示している。
【図5】回転電機をモータとして使用した場合における本発明の一実施の形態である制御方法のU相での各モードの実行タイミングを示す説明図であり、(a)はロータ回転角とインダクタンスLの関係、(b)は駆動回路におけるHI側,LO側の通電状態、(c)はロータ回転角と巻線電圧の関係、(d)はロータ回転角と巻線電流の関係をそれぞれ示している。
【図6】SRモータの制御形態を示す説明図である。
【図7】SRモータを発電機として利用する場合の制御形態を示す説明図である。
【図8】SRモータの駆動回路の一部を示す説明図である。
【符号の説明】
1 回転電機
2 ステータ
3 ロータ
4 ステータコア
5 巻線
5Ua,5Va,5Wa、5Ub,5Vb,5Wb 巻線
5U,5V,5W 巻線組
6 ヨーク部
7 突極
7U,7V,7W 突極
8 シャフト
9 ロータコア
10 突極
10a,10b 突極
11U,11V,11W HI側FET(U相,V相,W相)
12U,12V,12W LO側FET(U相,V相,W相)
13U,13V,13W HI側ダイオード(U相,V相,W相)
14U,14V,14W LO側ダイオード(U相,V相,W相)
15U,15V,15W ゲートドライバ(U相,V相,W相)
16 バッテリ
17 シャフト位置センサ
18 CPU
19 スイッチング回路
20U,20V,20W ブートストラップ回路
21U,21V,21W ブートストラップダイオード
22U,22V,22W ブートストラップコンデンサ
1 第1交番モード
2 第2交番モード
Td 第1交番モード継続時間
P 供給モード
Q 還流モード
R 回生モード
Tah HI側進角時間
Tal LO側進角時間
Tc 充電時間
H コンデンサ
H ダイオード
DRVH HI側ドライバ回路
H HI側FET
L LO側FET

Claims (5)

  1. 複数個の突極を有するステータと、前記ステータの突極とは異なる個数の複数個の突極を有するロータと、前記ステータに巻装された巻線とを有してなる回転電機の制御方法であって、
    前記巻線の一端側に、ダイオードとコンデンサを用いたブートストラップ電源を備えるドライバによって駆動される第1スイッチング素子を配置すると共に、前記巻線の他端側に第2スイッチング素子を配置し、
    前記第2スイッチング素子を前記第1スイッチング素子よりも先に駆動させることを特徴とする回転電機の制御方法。
  2. 請求項1記載の回転電機の制御方法において、前記第1スイッチング素子は、前記ドライバによってPWM制御されることを特徴とする回転電機の制御方法。
  3. 請求項1又は2記載の回転電機の制御方法において、前記ブートストラップ電源の前記コンデンサは、前記第1スイッチング素子がOFFの状態で前記第2スイッチング素子が前記第1スイッチング素子よりも先行して駆動されたときに充電されることを特徴とする回転電機の制御方法。
  4. 請求項1〜3の何れか1項に記載の回転電機の制御方法において、前記回転電機は発電機であり、前記第1及び第2スイッチング素子は、前記巻線のインダクタンスが最大となる時点以前に駆動されることを特徴とする回転電機の制御方法。
  5. 請求項1〜3の何れか1項に記載の回転電機の制御方法において、前記回転電機はモータであり、第1及び第2スイッチング素子は、前記巻線のインダクタンスが最小値から増大する時点以前に駆動されることを特徴とする回転電機の制御方法。
JP2003182190A 2003-06-26 2003-06-26 回転電機の制御方法 Expired - Fee Related JP4319865B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2003182190A JP4319865B2 (ja) 2003-06-26 2003-06-26 回転電機の制御方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2003182190A JP4319865B2 (ja) 2003-06-26 2003-06-26 回転電機の制御方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2005020888A JP2005020888A (ja) 2005-01-20
JP4319865B2 true JP4319865B2 (ja) 2009-08-26

Family

ID=34182640

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2003182190A Expired - Fee Related JP4319865B2 (ja) 2003-06-26 2003-06-26 回転電機の制御方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4319865B2 (ja)

Families Citing this family (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP4943719B2 (ja) * 2006-03-02 2012-05-30 株式会社ミツバ スイッチトリラクタンスモータの回生制御装置
KR101644572B1 (ko) * 2014-07-16 2016-08-03 주식회사 에스엔이노베이션 스위치드 릴럭턴스 모터

Also Published As

Publication number Publication date
JP2005020888A (ja) 2005-01-20

Similar Documents

Publication Publication Date Title
EP1990908B1 (en) Rotary electric system designed to utilize zero-phase circuit
JP4116292B2 (ja) ハイブリッド車用電動発電システム
JP4442006B2 (ja) 車両用冷却ファンの制御装置
JP5557282B2 (ja) 電動モータ,モータ駆動システム、及びそれを搭載した車両
JP2010193700A (ja) スイッチドリラクタンスモータ装置
JP5916201B2 (ja) スイッチトリラクタンスモータの制御装置
US8339075B2 (en) Method for controlling a deceleration process of a DC motor and controller
US7545122B2 (en) Control method of generator
JP2013093966A (ja) ブラシレス発電電動機の制御装置
CN110182150B (zh) 车辆用电源装置
JP2002021687A (ja) スタータを兼用したオルタネータ
JP2011259571A (ja) モータ駆動装置
JP4319865B2 (ja) 回転電機の制御方法
JP2000316299A (ja) 始動発電機
JP5225709B2 (ja) スイッチトリラクタンスモータの制御装置
JP6643968B2 (ja) Srモータ制御システム及びsrモータ制御方法
JP2001157497A (ja) 同期発電機の発電制御装置
JP2006129668A (ja) モータ制御装置
JP6086429B2 (ja) Srモータの駆動回路およびその制御方法
JP2020156166A (ja) スイッチトリラクタンスモータ制御装置及びスイッチトリラクタンスモータ制御方法
TWI425762B (zh) Power generation control method
JP2006230072A (ja) スイッチトリラクタンスモータの駆動装置
JP2001069797A (ja) 始動発電機の電流調整装置
JP2001016900A (ja) 始動発電機
JP3659119B2 (ja) Srモータの制御方法及びsrモータ

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20060623

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20081225

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20090106

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20090129

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20090526

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20090529

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120605

Year of fee payment: 3

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 4319865

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130605

Year of fee payment: 4

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20140605

Year of fee payment: 5

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees