JP2010193700A - スイッチドリラクタンスモータ装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】トルクリップルが少なく、トルクが大きいスイッチドリラクタンスモータを実現すること。
【解決手段】一例において、ステータ磁極の周方向幅Wsはロータ磁極の周方向幅Wrの1.5倍とされる。ステータ磁極の磁極間隙Wgsの60%とされる。モータ駆動回路は、インダクタンス増大期間の直前におけるインダクタンスが平坦なボトム期間Tbに電流をほぼ立ち上げ、かつ、インダクタンス増大期間Tiの直後におけるインダクタンスが平坦なピーク期間Tpに電流をほぼ立ち下げる。これにより、トルクリップルを大幅に低減することができる。
【選択図】図5

Description

本発明は、スイッチドリラクタンスモータ装置の改良に関する。
スイッチドリラクタンスモータ(SRM)は、相コイルのインダクタンスが軟磁性ロータ磁極の接近及び離脱により変化することを利用してトルクを発生する。SRMは、正弦波駆動されるシンクロナスリラクタンスモータ(SynRM)や永久磁石式同期モータ(PM)と比較して、リラクタンストルクが発生可能なインダクタンス増大期間に電流を集中的に流すため効率的な通電が可能であるという利点をもつ。また、高速回転及び可変速運転に適している。
しかしながら、これらの利点にもかかわらず、SRMはかなり特殊なモータであり、誘導モータ(IM)やPMとの競争により、広く使用され段階に達していない。これらの一般的なモータとの競争、特に励磁電流通電を必要としないPMとの競争に打ち勝つためには、モータの性能(特に出力重量比)/コストを更に向上させる必要がある。また、良く知られているSRMの課題であるトルクリップル及び騒音を更に低減する必要がある。トルクリップル及び騒音の改善は、解決を要するSRMの大きな問題であった。これらの問題に対して、たとえば下記の技術が提案されている。
特許文献1(Li)は、ステータコアの奥部に直流コイルを巻き、ステータ磁極に巻いた相コイルに交流の矩形波電流を通電するSRMを記載している。しかし、このSRMのステータ構造及び通電回路及び通電パターンは複雑であり、一般的では無かった。
特許文献2(Nashiki)は、それぞれ直流巻線である励磁コイル及びトルクコイルがそれぞれ集中巻きされた6つのステータ磁極と4つのロータ磁極とをもつSRMを記載している。
特許文献3(Nashiki)は、それぞれ直流巻線である励磁コイル及びトルクコイルがそれぞれ集中巻きされた6つのステータ磁極と2つのロータ磁極とをもつSRMを提案している。特許文献2及び3のダブルコイル型SRMは、インダクタンス減少期間に逆トルクが発生するという問題をもつ。
特許文献4(Tang)は、ステータ磁極に集中巻きされた3相コイルと、フルターンピッチで巻かれた3相コイルとをもつダブルコイルSRMを記載している。しかし、このSRMは、本質的に6相SRMであり、フルターンピッチで巻かれた3相コイルは、モータの軸長を増大させ、モータ駆動回路は合計6相の電流を制御しなければならない。
特許文献5(Li)は、ロータ磁極の間の間隙に周方向極性交互に永久磁石を追加することにより励磁電流を低減し、トルクを増大するSRMを記載している。しかし、インダクタンス増大期間に通電が行われるSRMでは、磁石磁束と電流との相互作用による磁石トルクは限定的であり、磁石の設置による製造コスト増加などの不利益を十分にカバーすることができない。
特許文献6(Lipo)は、ロータ内部に互いに平行に2つの永久磁石を有するSRMを記載する。この2つの永久磁石は、互いに隣接する2つのロータ突極を同一極性に励磁する。けれども、このSRMでは、磁石磁束がロータ突極に流れるため、ロータ突極のインダクタンス変化のための磁束変化は減少してしまう。つまり、ロータが磁石を持たないSRMに比べて、このSRMのリラクタンストルクは減少する。
スイッチドリラクタンスモータは、軟磁性のステータ突極(ステータ磁極とも呼ばれる)に向けて突出する軟磁性のロータ突極(ロータ磁極とも呼ばれる)をもち、ステータ磁極に巻かれたステータコイルのインダクタンス増加期間に、ロータ磁極を吸引する電流をステータコイルに通電する構造をもつ。
特許文献7は、このスイッチドリラクタンスモータのロータに永久磁石を追加することを記載している。このハイブリッド型SRMは、周方向に隣接する2つのロータ磁極の間の凹部(ロータ磁極間隙)に永久磁石をもつ。しかしながら、このハイブリッド型SRMの永久磁石は、周方向に隣接する2つのロータ磁極の間の中央部分に配置されていた。更に、このハイブリッドSRMにおいて、トルク増強のためにステータコイルへの交流電流通電する点について記載していない。
モータ性能(たとえばトルク/重量比)を改善するために、磁石トルクとリラクタンストルクとを発生するPMが知られている。たとえば、特許文献8(Tajima)は、ロータの磁石磁極の周方向中央部に軟磁性のロータ突極をもつPMを記載している。特許文献9(Miura)及び特許文献10(Tajima)に記載されている。
しかしながら、これら特許文献8、9及び10のPMは、正弦波電流により駆動されるいわゆるPMにおける永久磁石の位置変更について記載しているが、インダクタンス増加期間に通電される矩形波電流によりスイッチドリラクタンストルクを発生するSRMにおける磁石使用について何ら記載していない。
SRMが必要とする更なる課題は、SRMを駆動する電源の電流リップルが大きい点である。SRMのトルク電流当たりの励磁電流は大きい。これは、SRMの電流遮断時にコイルの残留磁気エネルギーが電源(バッテリ)に回収されるためである。この回収される励磁電流は、以下、リカバリ電流とも呼ばれる。このリカバリ電流は、バッテリの寿命に悪影響を与える。更に、SRMの大きなインダクタンスは、SRMへの通電期間の初期に電流の増大を遅らせる。すなわち、SRMは悪い力率をもち、損失を増大させる。リカバリ電流がバッテリに与える悪影響を減らすために、キャパシタを採用することが、下記の特許文献11及び特許文献12に記載されている。
特許文献11は、バッテリに直列接続されたキャパシタを用いるSRM駆動回路を記載する。このSRM駆動回路は、バッテリから給電される4相SRMの3つの相コイルのリカバリ電流をフライホイルダイオードを通じてキャパシタに蓄電する。キャパシタに蓄電された電力は、残る1つの相コイルを駆動するのに用いられる。この残る1相の相コイルのリカバリ電流は、バッテリを充電する(図1参照)。
けれども、このキャパシタ利用SRMは、キャパシタの電圧がバッテリの電圧と異なるため、キャパシタ26が駆動する相コイルDと、バッテリ24が駆動する3つの相コイル(A、B及びC)のトルク差が大きいという問題があった。
特許文献12は、リカバリ電流を蓄電するためのキャパシタC1をもつ他のSRM駆動回路を記載する。キャパシタC1の電力は、スイッチS4を通じて相コイルL3に流れる。けれども、このキャパシタ利用SRMは、キャパシタの電圧がバッテリの電圧と異なるため、相コイルL3と相コイル(L1及びL2)のトルク差が大きいという問題があった(図2参照)。
USP5923142 USP6252325 USP6194804 USP5811905 USP5973431 USP5304882 特開2004−248370 特開平6−38475 特開平7−143694 特開平9−271151 USP5864477 USP5742146
(発明の目的)
本発明は、上記問題点に鑑みなされたものであり、トルクリップルが少ないスイッチドリラクタンスモータ装置を提供することをその第1の目的としている。また、本発明は、損失の低減が可能なスイッチドリラクタンスモータ装置を提供することをその第2の目的としている。更に、本発明は、トルク/重量比が大きいスイッチドリラクタンスモータ装置を提供することをその第3の目的としている。更に、本発明は、リカバリ電流によるバッテリの負担が小さいスイッチドリラクタンスモータ装置を提供することをその第4の目的としている。
(発明の要約)
下記の説明は、円筒状のステータコアをもつラジアルギャップ型スイッチドリラクタンスモータを例として説明される。しかし、この明細書で開示されるラジアルギャップ型スイッチドリラクタンスモータをアキシャルギャップ型、リニアモータ型、斜めギャップ型のスイッチドリラクタンスモータに適用できることはもちろんである。すなわち、ラジアルギャップモータの軸方向はアキシャルギャップモータの径方向に相当し、ラジアルギャ
ップモータの径方向はアキシャルギャップモータの軸方向に相当する。したがって、理解を簡単とするため、ラジアルギャップモータ構造に対して請求された本発明は、当業者による方向の読み替えを想定してアキシャルギャップ型、リニアモータ型、斜めギャップ型のスイッチドリラクタンスモータの態様を包含する。
この発明のスイッチドリラクタンスモータ装置は、ステータコイルを構成する複数相の相コイルが巻かれる偶数個のステータ磁極を周方向一定ピッチでもつ軟磁性のステータコアと、前記ステータ磁極に対面可能な偶数個のロータ磁極を周方向一定ピッチでもつ軟磁性のロータコアと、前記各相コイルのインダクタンス増大期間に略台形波の電流を通電するモータ駆動回路とを備えるスイッチドリラクタンスモータ(SRM)に適用される。この種のSRMは周知である。
(本発明のSRM装置の第1の特徴)
この第1の特徴のSRM装置において、モータ駆動回路は、相コイルのインダクタンス増大期間Ti直前のインダクタンス変化が小さい期間であるボトム期間Tbに電流をほぼ立ち上げ、インダクタンス増大期間Tiの直後のインダクタンス変化が小さい期間であるピーク期間Tpに電流をほぼ立ち下げることを特徴としている。
すなわち、この第1の特徴において、相コイルのインダクタンス増大期間の開始時点前に相コイルへの通電電流の最大値のほとんど(好適には80%更に好適には90%以上)の電流を通電し、かつ、相コイルのインダクタンス増大期間の終了時点後に相コイルへの通電電流の最大値のほとんど(好適には80%更に好適には90%以上)の電流を減衰させる。つまり、相コイルの電流が大きく変化する相電流の立ち上がり期間及び立ち下がり期間を、相コイルのインダクタンスが大きく増大するインダクタンス増大期間(電動動作時)から除外して設定される。
このようにすれば、相電流の立ち上がり期間及び立ち下がり期間におけるトルクを大幅に小さくすることができる。このため、一つの相コイルに流れる相電流によるトルクを急峻に立ち上げ、立ち下げることができる。したがって、この角形のトルクを各相順次に連続させることにより、トルクリップルを大幅に低減することができる。ボトム期間及びピーク期間には、リラクタンストルクは発生しないため、これがトルクリップルを生じさせることはない。
好適態様において、ロータ磁極の先端部の周方向幅Wrは、ステータ磁極の先端部の周方向幅Wsよりも小さく、かつ、互いに周方向に隣接する2つのステータ磁極の間のステータ磁極間隙の周方向幅Wgsよりも小さくされる。このようにすれば、ボトム期間Tb及びピーク期間Tpを容易に形成することができる。
好適態様において、ステータコイルは、3相の相コイルからなり、各相コイルのインダクタンス変化の1周期を電気角2πとする時、インダクタンス増大期間Tiは略2π/3の長さに設定される。これにより、3相SRMにおいて、容易に各相のトルクを切れ目なく順番に発生させることができる。
好適態様において、各相コイルのボトム期間Tb及びピーク期間Tpは、電気角π/6からπ/3の長さをもつ。これにより、ボトム期間Tbの十分な電流立ち上げ及びピーク期間Tpの十分な電流立ち下げを実施することができる。
好適態様において、ロータ磁極の先端部の周方向幅Wrは、ステータ磁極の先端部の周方向幅Wsの略2/3の周方向幅をもち、ステータ磁極の先端部は、ステータ磁極間隙の周方向幅Wgsの略60%の周方向幅をもつ。これにより、ボトム期間Tbの十分な電流立ち上げ及びピーク期間Tpの十分な電流立ち下げを実施することができる。
好適態様において、6N(Nは自然数)個のステータ磁極と、8N個のロータ磁極とをもつ。これにより、ロータ磁極の周方向幅が狭いためにインダクタンスの最大値が小さいという問題を頻繁に(従来の6ステータ磁極と4ロータ磁極とをもつSRMの2倍の繰り返し周波数で)トルク発生を行うことができるので、平均トルクを増大することができる。
好適態様において、モータ駆動回路は、大トルクを発生する際にボトム期間における通電開始時点を早め、小トルクを発生する際にボトム期間における通電開始時点を遅らせる。これにより、小トルクを発生する際にトルクを発生しない電流立ち上がり期間の銅損を低減することができる。
(本発明のSRM装置の第2の特徴)
この第2の特徴のSRM装置において、3相以上の相コイル(10U、10V及び10W)を有するスイッチドリラクタンスモータをキャパシタを有する直流電源により駆動する。直列接続されたキャパシタ及びバッテリからなる直流電源は、相コイルの両端に接続された第1通電制御スイッチ及び第2通電制御スイッチをオンすることにより、相コイルに通電する。この通電は、昇圧通電と呼ばれる。
この通電によりキャパシタの電圧が低下すると、バッテリは、第1通電制御スイッチ及び第2通電制御スイッチのどちらか一方と、第1フライホイルダイオード及び第2フライホイルダイオードのどちらか一方を通じて相コイルに通電する。この通電は通常通電と呼ばれる。
第1通電制御スイッチ及び第2通電制御スイッチの両方をオフすると、相コイルの残留磁気エネルギーは、相コイルの両端に接続された第1フライホイルダイオード及び第2フライホイルダイオードを通じてキャパシタにリカバリ電流を流す。これにより、キャパシタは、この残留磁気エネルギーを回収する。この回収は、リカバリ通電と呼ばれる。
この発明のSRM駆動回路は、相コイルの残留磁気エネルギーをバッテリではなくキャパシタに回収するため、SRMの励磁のためのバッテリの放電電流、及び、SRMの励磁解消のための充電電流を低減することができる。つまり、このSRM駆動回路は、バッテリに流れる交流電流を減らすことができる。したがって、キャパシタに比べて内部抵抗が大きいバッテリの発熱、劣化、電圧変動を低減する。
更に、このSRM駆動回路は、相コイルへの通電初期に昇圧電圧を相コイルに印加するので、相コイルに通電される電流である相電流の立ち上がりを促進する。これは、インダクタンス増加期間の初期の相電流が相コイルのインダクタンスのために小さくなるため、トルクが落ち込むのを防止する。
更に、このSRM駆動回路は、バッテリに比べて容量が小さいキャパシタに残留磁気エネルギーを回収するので、リカバリ通電期間のキャパシタ電圧の増加が大きい。キャパシタ電圧の増加は、キャパシタ充電に必要な電力を増大する。その結果、キャパシタ電圧の増加により、リカバリ電流の急速な減少を実現する。リカバリ電流の急速な減少は、リカバリ電流通電期間の短縮を実現する。この短縮は、相コイルのインダクタンス増加期間の大部分において、十分な相電流を相コイルに通電できることを意味する。その結果、トルクを増加することができる。
好適な態様において、昇圧通電は、相コイルのインダクタンス増加期間の初期又はその直前のインダクタンス略一定期間に行われる。通常通電は、昇圧通電終了後のインダクタンス増加期間に実施される。リカバリ通電は、通常通電終了後のインダクタンス増加期間の終期又はその後のインダクタンス略一定期間又はその後のインダクタンス減少期間に行われる。
更に好適には、昇圧通電は、相コイルのインダクタンス増加期間の直前のインダクタンス略一定期間にほぼ行われる。通常通電は、昇圧通電終了後のインダクタンス増加期間に実施される。リカバリ通電は、通常通電終了後のインダクタンス略一定期間にほぼ行われる。ここで言うほぼとは、通常通電期間の平均電流値の80%以上の変化が昇圧通電期間又はリカバリ通電期間に実施することを意味する。
これにより、相電流が急激に増大する昇圧通電期間、及び、相電流が急激に減少するリカバリ通電期間にトルクが発生しないため、それによるトルクリップルを防止することができる。なお、リラクタンストルクは、インダクタンスの角度微分値と電流の2乗値との積に比例する。
好適な態様において、3相以上のスイッチドリラクタンスモータにおいて、各相コイルのインダクタンス増加期間はほぼ連続して設定される。これにより、トルクリップルを大幅に低減することができる。
好適な態様において、キャパシタ(74A)は、スイッチ(74B)を通じてバッテリに直列接続され、スイッチは、リカバリ電流を遮断した後、トルクアシスト期間にオンされる。
この態様によれば、各相コイルのリカバリ電流は、キャパシタに蓄電される。そ後、スイッチは、スイッチドリラクタンスモータが駆動する電気負荷(たとえばエンジン又は車輪)が大きなモータトルクを必要な場合に、オンされる。これにより、トルクアシスト期間に、相コイル(10U、10V及び10W)に大きな電流を流すことができるので、キャパシタ(74A)が放電するまでの期間だけ、モータトルクを増大することができる。
(本発明のSRM装置の第3の特徴)
この第3の特徴のSRM装置において、相コイルとともにすべてのステータ磁極に別々に集中巻きされる偶数個のDCコイルを有する。モータ駆動回路は、電動動作に際して、相コイルのインダクタンス減少期間における相コイルの電流がステータ磁極に形成する磁束量と略等しく(好適には80〜120%、更に好適には90〜110%、更に好適には95〜105%)、かつ、向きが反対の磁束を前記ステータ磁極に形成する直流電流Idcを前記DCコイルに通電する。相コイルのインダクタンス増大期間における相コイルの電流がステータ磁極に形成する磁束と同一向きの磁束をステータ磁極に形成する。
すなわち、このSRMは、直流電流が通電されるDCコイルと、各相の交流電流が通電される一つの相の相コイルとを同一のステータ磁極に集中巻きする。したがって、DCコイルと相コイルとは、すべてのステータ磁極に集中巻きされる。これにより、直流電流制御により発電の制御が容易となる。
また、電動動作時においても、交流電流と直流電流との合計が流れる一つの等価コイルと考えることができるので、交流電流の振幅が小さいにもかかわらず交流電流と直流電流との和の2乗に比例する大きなトルクをインダクタンス増大期間に得ることができる。すなわち、ACコイル及びDCコイルの電流によりインダクタンス増大期間におけるトルクを増大することができる。
更に、インダクタンス減少期間の相電流(の負半波成分)による逆トルクをDCコイルに流れる直流電流Idcによる磁界によりほぼキャンセルすることができるため、トルクリップルを低減することができる。
好適態様において、モータ駆動回路は、星形接続されて3相の相コイルをなす3つのACコイルに3相交流電流を給電する3相ブリッジ回路を有する。3相ブリッジ回路の3つの上アーム素子は、電気角略2π/3づつ順番にオンする。3相ブリッジ回路の3つの下アーム素子は、電気角略4π/3づつ順番にオンする。DCコイルに流れる直流電流Idcは、3相ブリッジ回路の3つの上アーム素子の電流の約半分とされる。星形接続される3相の相コイルを駆動する簡素な3相ブリッジ回路により、そのインダクタンス増大期間以外の期間の交流電流磁束を直流電流磁束によりキャンセルすることができる。
好適態様において、DCコイルは、相コイルよりも、小さい導体断面積と多いターン数とをもつ。これにより、DCコイルの銅損を低減できるとともに、スロット内のACコイルの占有率を向上することができるたけ、ACコイルの銅損も低減することができる。
好適態様において、モータ駆動回路は、互いに直列された各DCコイルと並列に接続されたキャパシタを有する。これにより、DCコイルに流れる直流電流をスイッチング制御する時に生じるスイッチングノイズを低減するとともに、DCコイルに誘導される交流誘導電圧を大幅に低減することができる。なお、この発明は、複数相のDCコイルをもつ公知の一般のSRMにも適用することができることに留意されたい。
好適態様において、モータ駆動回路は、互いに直列された各DCコイルに略定電流を通電する定電流回路を有する。これにより、ロータセグメントの移動やACコイルの電流変化によりDCコイルに誘導される誘導電圧によるDCコイルの直流電流の変動を大幅に低減することができる。なお、この発明は、複数相のDCコイルをもつ公知の一般のSRMにも適用することができることに留意されたい。
好適態様において、モータ駆動回路は、互いに直列された各DCコイルに高周波電流を通電する発振回路と、高周波電流による複数のDCコイルの電圧降下に基づいてロータの回転角を検出するロータ回転角検出回路とを有する。これにより、既存のDCコイルを利用することにより、ロータセグメントとの相対位置関係に依存するDCコイルのインダクタンス変化に応じて変化するロータ回転角を静止時及び回転時に検出することができる。なお、この態様は、複数相のDCコイルをもつ公知の一般のSRMにも適用することができる。
(本発明のSRM装置の第4の特徴)
このSRMは、軟磁性のロータ磁極の間のロータ磁極間隙Wgrに永久磁石を有する。永久磁石は、ロータ磁極間隙Wgrの周方向一方側の端部がステータ磁極に与える磁気的影響と、ロータ磁極間隙Wgrの周方向他方側の端部がステータ磁極に与える磁気的影響とが異なる磁石磁界分布をもつ。このようにすれば、無駄に磁石を使うことなく、相コイルのインダクタンス増大期間Tiに相コイルに流れる相電流と磁石磁束とにより有効に磁石トルクを発生させることができる。
好適な態様において、永久磁石は、軟磁性のロータ磁極の回転方向前方に隣接して配置される。モータ駆動回路は、相コイルに略矩形波状の交流電圧を印加することにより、相コイルのインダクタンス増加期間において、ロータ磁極を吸引するリラクタンストルクを発生させると同時に、永久磁石を反発する磁石反発トルクを発生させる。これにより、モータトルクを増大し、励磁電流を低減することができる。
好適態様において、永久磁石のステータ対向側の表面のうち周方向一方側の端部は、周方向他方側の端部と逆極性に形成される。これにより、SRMのロータ磁極に発生する磁石トルクを増大することができる。簡単に説明すると、相コイルが集中巻きされたステータ磁極に永久磁石が接近し、離脱する際の磁石トルクTmは、ロータ角速度をωとする時、Tm=i・(dΦm/dt)/ωにより表される。すなわち、インダクタンス増大期間Tiに相コイルに選択的に相電流が通電されるSRMにおいては、インダクタンス増大期間Tiにステータ磁極に流れ込む磁石磁束の変化ができるだけ大きい方がよい。言い換えれば、この態様ではリラクタンストルクを発生しないステータ磁極に磁気反発力と磁気吸引力の両方が作用する(たとえば図15のU相コイルを参照されたい)ので、トルクを増大することが可能となる。
好適態様において、永久磁石は、ロータ磁極間隙Wgrのうち、周方向一方側に偏って配置される。このようにすれば、相コイルのインダクタンス増大期間Tiに主として通電されるSRMにおいて、トルク形成にあまり寄与しない磁石部分を省略することができるため、永久磁石使用量を減らしてモータ製造コストを低減し、かつ、ロータを軽量化することができる。
好適態様において、永久磁石は、ロータ磁極の表面部に埋設され、永久磁石の周方向幅は、ステータ磁極の周方向幅に略等しい。ここで言う略等しいとは、永久磁石の周方向幅が、ステータ磁極の周方向幅の50%より大きいことを意味する。これりにより、スイッチドリラクタンストルクと磁石トルクとの両方によりモータトルクを発生することができるので、モータトルクを大幅に増加することができる。
(本発明のSRM装置の第5の特徴)
この発明のSRMは、ロータコアに巻かれる二次コイルを短絡して構成される短絡回路を有する。短絡回路は、対面するステータ磁極から離れるロータ磁極により誘導される誘導電圧により、ステータ磁極に接近するロータ磁極の磁束を強化する短絡電流を流すことを特徴としている。本発明によれば、一つの相の相電流がオフされた時の残留磁気エネルギーにより、インダクタンス増加期間における他の相の電流立ち上がりを促進する。
たとえば、この短絡回路は、周方向において、N(Nは自然数)番目とN+1番目の軟磁性ロータ極をまとめて巻かれた第1の短絡コイルと、N+2番目とN+3番目の軟磁性ロータ極をまとめて巻かれた第2の短絡コイルとをもつ。たとえば、第1の短絡コイルと第2の短絡コイルは、一体の籠形コイルにより構成される。
好適な態様において、短絡回路は、1ターンの二次コイルにより構成される。これにより、二次コイルを簡素に製造することができる。
従来のSRMの駆動回路を示す回路図である。 従来のSRMの駆動回路を示す回路図である。 実施形態1のSRMの全体構成を示すブロック回路図である。 図3に示されるSRMに採用されたSRMを示す模式径方向断面図である。 図4に示されるSRMのインダクタンス、電流及びトルクの波形を示すタイミングチャートである。 図3に示されるSRMのトルク制御を示すフローチャートである。 図3に示されるSRMに採用されたSRMの他の構造を示す模式径方向断面図である。 実施例2のSRMの駆動回路を示す回路図である。 図8に示される駆動回路が駆動するSRMのインダクタンス、電流及びトルクの波形を示すタイミングチャートである。 図8に示される駆動回路の変形態様を示す回路図である。 実施例3のSRMの駆動回路を示す回路図である。 図11に示される駆動回路の変形態様を示す回路図である。 実施例4のSRMの模式径方向断面図である。 図13のSRMのインダクタンス、電流及びトルクの波形を示すタイミングチャートである。 図13にSRMを駆動する駆動回路を示す回路図である。 図15により実行されるトルク制御を示すフローチャートである。 実施例5のSRMの模式径方向断面図である。 図17のSRMのインダクタンス、電流及びトルクの波形を示すタイミングチャートである。 実施例6のSRMの模式径方向断面図である。 図19の状態から反時計方向へ30度回転した状態を示す模式径方向断面図である。 図20の状態から反時計方向へ30度回転した状態を示す模式径方向断面図である。 図19のSRMのインダクタンス、電流及びトルクを波形を示すタイミングチャートである。 実施例6のSRMを駆動するための駆動回路の一例としての3相インバータを示すブロック回路図である。 実施例6のSRMを駆動するための駆動回路の他例としての3相インバータを示すブロック回路図である。 実施例4の変形態様(2相同時通電モード)を示す模式径方向断面図である。 図25において1相同時通電モードを行う場合を示す模式径方向断面図である。 実施例7のSRMの模式径方向断面図である。 図27の状態から反時計方向へ30度回転した状態を示す模式径方向断面である。 図28の状態から反時計方向へ30度回転した状態を示す模式径方向断面図である。 図29の状態から反時計方向へ30度回転した状態を示す模式径方向断面図である。 図30の状態から反時計方向へ30度回転した状態を示す模式径方向断面図である。 図26の状態から反時計方向へ30度回転した状態を示す模式径方向断面図である。 図27に示されるSRMのインダクタンス、電流及びトルクの波形を示すタイミングチャートである。 実施例7の変形態様(1相同時通電モード)を示す模式径方向断面図である。 実施例7の変形態様(逆回転2相同時通電モード)を示す模式径方向断面図である。 図35において1相同時通電モードを行う場合を示す模式径方向断面図である。 実施例7の変形態様を示す模式径方向断面図である。 実施例7の変形態様を示す模式径方向断面図である。 実施例8のSRMの模式径方向断面図である。 図39の状態から反時計方向へ30度回転した状態を示す模式径方向断面である。 図40の状態から反時計方向へ30度回転した状態を示す模式径方向断面図である。 図41の状態から反時計方向へ30度回転した状態を示す模式径方向断面図である。 図42の状態から反時計方向へ30度回転した状態を示す模式径方向断面図である。 図43の状態から反時計方向へ30度回転した状態を示す模式径方向断面図である。 図44の状態から反時計方向へ30度回転した状態を示す模式径方向断面図である。 図45の状態から反時計方向へ30度回転した状態を示す模式径方向断面である。 図46の状態から反時計方向へ30度回転した状態を示す模式径方向断面図である。 図47の状態から反時計方向へ30度回転した状態を示す模式径方向断面図である。 図48の状態から反時計方向へ30度回転した状態を示す模式径方向断面図である。 図49の状態から反時計方向へ30度回転した状態を示す模式径方向断面図である。 図39に示されるSRMのインダクタンス、電流及びトルクの波形を示すタイミングチャートである。 図39に示されるSRMの変形態様を示す模式径方向断面図である。 図52に示されるSRMの模式軸方向断面図である。
本発明のSRM装置の好適な実施形態が、インナーロータのラジアルギャップモータ型式を例として以下に説明される。ただし本発明は下記の実施形態に限定解釈されるべきではなく、当業者は、この明細書の記載事項と公知の他の技術に基づいて本発明の技術思想を実現することができる。
たとえば、実施形態で記載される軸方向を径方向と考えることにより、実施形態のラジアルギャップ型SRMをアキシャルギャップ型SRMに適用することができる。また、実施形態のSRMの周方向を直線方向とすることにより、実施形態のラジアルギャップ型SRMをリニアSRMに適用することができる。’AX’は軸方向を示す。’RA’は径方向を示す。’PH’は周方向を示す。
(実施例1)
本発明のSRM装置の好適な実施例1が図3を参照して説明される。
(全体構成)
図3は、実施例1のSRM装置の全体構成を示すブロック回路図である。直流電源900は、駆動回路901に直流電力を供給する。駆動回路901は、3相のSRM902に3相電力を供給する。モータコントローラ903は、駆動回路901を制御する。この実施形態では、SRM902の3相コイルには略台形波の直流電流が通電されるので、駆動回路901は、3相ユニポーラタイプのモータ駆動回路により構成される。
モータコントローラ903は、外部から入力される回転数指令Ns、トルク指令Ts、検出したロータ回転角及び3相電流値に基づいて、モータ制御プログラムに従って駆動回路901内のスイッチング素子のPWM通電率をフィードバック制御する。
(構造説明)
SRM902の構造例が図4を参照して説明される。図4は、このSRM902の模式径方向断面図である。SRM902は、図略のハウジングの内周面に固定されたステータ1と、ステータ1の径方向内側に収容された円筒状のロータ2とをもつ。ステータ1は、積層軟磁性鋼板を積層して構成されたステータコア3と、ステータコア3に巻かれたステータコイル4とを有する。
ステータコア3は、60度ピッチで周方向内側に突出する6つのステータ磁極(31乃至36)をもつ。ステータコイル4は、ステータ磁極(31及び34)に集中巻きされたU相コイル(41及び44)と、ステータ磁極(32及び35)に集中巻きされたV相コイル(42及び45)と、ステータ磁極(33及び36)に集中巻きされたW相コイル(43及び46)とを有する。
3つの相コイル(41乃至46)は、相ごとに直列接続されている。ロータ2は、ハウジングに回転自在に支持される回転軸5に嵌着、固定されている積層軟磁性鋼板からなる。ロータ2の外周面は、45度ピッチで周方向内側に突出する8つのロータ磁極20をもつ。つまり、このSRMは、6つのステータ磁極と8つのロータ磁極とをもつ3相のSRMである。この実施例の特徴は、ロータ磁極の数がステータ磁極数よりも2つ多い点にある。ステータ磁極数が12である場合、16個のロータ磁極が採用される。つまり、ステータ磁極とロータ磁極との比率は、3対4である。
ロータ磁極20に対面するステータ磁極31〜36の先端部の周方向幅Wsと、ステータ磁極31〜36に対面するロータ磁極20の先端部の周方向幅Wrと、ステータ磁極31〜36の間のステータ磁極間隙Wgsと、各ロータ磁極20間のロータ磁極間隙Wgrは、次の関係をもつ。
Ws=1.5Wr=0.6Wgs
Wgr=2Wr
(動作説明)
この3相SRM902の動作が、図5に示されるタイミングチャートを参照して説明される。Luは、U相コイル(41及び44)の合計インダクタンスである。Lvは、V相コイル(42及び45)の合計インダクタンスである。Lwは、W相コイル(43及び46)のインダクタンスである。
インダクタンス(Lu、Lv及びLw)は、ロータ磁極20の回転により変動する。ロータ磁極20の1つのピッチ(機械角度45度)が電気角2πに相当する。’Ti’はインダクタンスが増大する期間である。’Tu’は、U相のインダクタンス増大期間Tiである。’Tv’は、V相のインダクタンス増大期間Tiである。’Tw’は、W相のインダクタンス増大期間Tiである。ロータ磁極20の周方向幅Wrは、ステータ磁極31〜36の周方向幅(Wsと呼ばれる)より狭い。その結果、インダクタンスが最大値となるピーク期間Tpは、約π/3期間継続する。ステータ磁極間隙(Wgsと呼ばれる)は広い。その結果、インダクタンスが最小値となるボトム期間Tbが約π/3期間継続する。インダクタンス増大期間Tiは約2π/3期間である。インダクタンス減少期間も約2π/3期間である。
電動動作において、略台形波状の直流電流が、インダクタンス増大期間Tiにおいて3相コイル(41乃至46)に通電される(図5参照)。3相コイル(41乃至46)がもつ大きなインダクタンスのため、たとえ矩形波電圧が3相コイル(41乃至46)に印加されても、一定の電流立ち上がり期間が電流立ち上がりのために必要となる。同様に、3相コイル(41乃至46)の電流が遮断されても、一定の電流立ち下がり期間が蓄積磁気エネルギーの回生又は消費のために必要となる。その結果、相電流の波形は略台形波形状となる。
この実施形態は、インダクタンス増大期間Tiの開始前に電流の立ち上がりをほぼ終了させ、かつ、インダクタンス増大期間Tiのほぼ終了後に電流の立ち下がりを開始する点にその特徴をもつ。更に、電流の立ち上がりをボトム期間Tb内にほぼ完了し、電流立ち下がりをピーク期間Tp内にほぼ完了する。ここで言う「ほぼ」とは85%以上、更に好適には90%以上、更に好適には95%以上を意味するものとする。
SRMのリラクタンストルクは、インダクタンスのロータ角微分値(dL/dθ)と電流(I)の2乗との積に比例する。U相電流IU、V相電流IV及びW相電流IWの変化は、インダクタンスが略一定のボトム期間Tb及びピーク期間Tpにほぼ完了する。このため、電流はインダクタンス増大期間Tiにほとんど変化しない。
更に、インダクタンス増大期間Tiにおけるインダクタンス増加率は略一定とみなすことができるため、結局、各相のトルクは各相のインダクタンス増大期間Tiに略一定となる。ボトム期間Tb及びピーク期間Tpにおいて、リラクタンストルクは略0とみなすことができる。その結果、このSRMの合成トルクΣTは、図5に示されるようにほぼ一定となるので、トルクリップル及びそれに伴う振動騒音は非常に小さくなる。
この実施例において、SRM902のロータ磁極20は、ステータ磁極(31乃至36)の周方向幅より狭い周方向幅をもつ。SRM902のロータ磁極20は、ステータ磁極間隙Wgsの両方よりも狭い周方向幅をもつ。更に、U相電流IU、V相電流IV及びW相電流IWの立ち上げ期間(ΔT)及び立ち下げ期間(ΔT’)は、インダクタンス変化が非常に小さいインダクタンスのボトム期間Tb及びピーク期間Tpにほぼ完了する。その結果、合成トルクのリップルは大幅に低減される。
立ち上げ期間(ΔT)及び立ち下げ期間(ΔT’)を短縮することにより、ボトム期間Tb及びピーク期間Tpを短縮することができる。ボトム期間Tb及びピーク期間Tpにおける電流は実質的に無駄な銅損を発生させるため、立ち上がり時間及び立ち下がり時間の短縮は好ましい。更に、ボトム期間Tb及びピーク期間Tpの短縮は、インダクタンス増加期間Tiの延長を可能とするので、トルクの増大を実現する。立ち上げ期間(ΔT)及び立ち下げ期間(ΔT’)の短縮方法については、後で説明される。
(通電開始タイミングの制御)
モータコントローラ903により行われるモータトルクの制御が図6を参照して説明される。まず、外部から回転数指令Ns及びトルク指令Tsが読み込まれる。更に、図略のロータ回転角検出回路及び相電流検出回路からロータ回転角θ及び3相電流Iu、Iv、Iwが読み込まれる(S104)。
次に、3相コイル41〜46に通電される略台形波状の3相電流(Iu、Iv及びIw)の振幅が、読み込まれたトルク指令Tsに基づいて算出される(S102)。すなわち、モータコントローラ903は、予め記憶する数式(T=dL/dθ・I・I)に基づいて、3相電流(Iu、Iv及びIw)の振幅を算出する。3相コイル(41乃至46)のインダクタンス増加率(dL/dθ)は、回転数に比例する。この実施例では、所定のロータ角速度ωoにおける(dL/dθ)の値Aを記憶しておき、任意の角速度ωにおけるdL/dθを次の式から算出する。
dL/dθ=(ω/ωo)・A
もちろん、磁気飽和によるインダクタンス減少やステータ磁極及びロータセグメントの形状効果などを考慮するために、更に複雑な方程式又はマップを利用する演算が、インダクタンス増加率(dL/dθ)の算出に利用されることは可能である。
次に、算出された振幅に基づいて3相電流(Iu、Iv及びIw)の立ち上がり時点が設定される。この立ち上がり時点は、インダクタンス増加期間Tiの開始時点から時間ΔTだけ前の時点を意味する。3相電流(Iu、Iv及びIw)が大きい場合には、3相電流(Iu、Iv及びIw)がほぼ定常状態に達するまでの時間ΔTは長くなる。3相電流(Iu、Iv及びIw)が小さい場合には、3相電流(Iu、Iv及びIw)がほぼ定常状態に達するまでの時間ΔTは短くなる。
図5において、ΔTは、実線で示す3相電流(Iu、Iv及びIw)が大きい場合を示す。ΔT’は破線で示す3相電流(Iu、Iv及びIw)が小さい場合を示す。ΔTは、モータコントローラ903に予め記憶されたΔTと電流Iの振幅との関係を示すマップに電流Iを代入することにより、計算される。
したがって、3相電流(Iu、Iv及びIw)は、ほぼインダクタンス増大期間Tiの開始時点にてほぼ定常状態となるので、ボトム期間Tbにおける無駄な銅損を低減しつつ、トルクリップルを低減することができる。図5において、’Tu’はU相トルクである。’Tv’はV相トルクである。’Tw’はW相トルクである。
モータコントローラ903は、トルク指令Tsから求めた3相電流(Iu、Iv及びIw)の指令値及び検出値の差に基づいて駆動回路901をフィードバック制御する。このモータフィードバック制御自体は従来と同じである。
モータコントローラ903は、このトルクフィードバック制御に優先して、検出されたロータ回転角θから求めた角速度ωと回転数指令Nsとの偏差に基づいて速度を回転数指令Nsに収束させるために3相電流(Iu、Iv及びIw)をフィードバック制御する。
モータコントローラ903は、検出されたロータ回転角θに基づいて各相のインダクタンス増大期間Tiのタイミングを判定する。これらの制御は従来のSRMのそれと本質的に同じであるため、説明が省略される。
(変形態様)
SRM902の相数は3相に限定されない。ボトム期間Tb及びピーク期間Tpは、ステータ磁極の周方向幅とロータ磁極(ロータセグメントのうちステータ磁極に対面する領域)の周方向幅とを調整することにより実現される。たとえば、図7は、ステータ磁極(41及び46)の周方向幅がロータ磁極の周方向幅よりも小さい態様を示す。
(実施例2)
本発明のSRM装置の好適な実施例2が図8を参照して説明される。図8は、スイッチドリラクタンスモータの相電流の立ち下げ期間(リカバリ期間とも言う)の短縮を実現するSRMの駆動回路を示す。図8の回路は、たとえば実施例1の駆動回路901として採用されることができる。
(回路構成)
この駆動回路は、スイッチドリラクタンスモータ(SRM)の3つの相コイル(10U、10V及び10W)を駆動する。この駆動回路は、第1通電制御スイッチ(11、12及び13)、第2通電制御スイッチ(14、15及び16)、第1フライホイルダイオード(D1、D2及びD3)、及び、第2フライホイルダイオード(D4、D5及びD6)をもつ。この駆動回路は、直列接続されたキャパシタ74及びバッテリ75により構成される直流電源から給電されている。更に、この直流電源は、予備キャパシタ74Aをもつ。予備キャパシタ74Aは、リレーの接点74Bを通じてキャパシタ74と並列に接続されている。
U相コイル10Uの高電位端UH、V相コイル10Vの高電位端VH及びW相コイルの高電位端WHは、第1通電制御スイッチ(11、12及び13)を通じて電源線100に接続されている。U相コイル10Uの低電位端UL、及び、V相コイル10Vの低電位端VL及びW相コイルの低電位端WLは、第2通電制御スイッチ(14、15及び16)を通じて接地線200に接続されている。
U相コイル10Uの低電位端UL、V相コイル10Vの低電位端VL及びW相コイルの低電位端WLは、第1フライホイルダイオード(D1、D2及びD3)を通じて電源線100に接続されている。U相コイル10Uの高電位端UH、及び、V相コイル10Vの高電位端VH及びW相コイルの高電位端WHは、第2フライホイルダイオード(D4、D5及びD6)を通じて直流電源の接続点Xに接続されている。
電源線100は、キャパシタ74の高電位端に接続されている。接地線200は、バッテリ75の負極端に接続されている。キャパシタ74とバッテリ75との接続点Xは、キャパシタ74の低電位端、及び、バッテリ75の正極端に接続されている。第1フライホイルダイオード(D1、D2及びD3)のカソードは、電源線100に接続されている。第2フライホイルダイオード(D4、D5及びD6)のアノードは、接地線200に接続されている。
第1通電制御スイッチ(11、12及び13)及び第2通電制御スイッチ(14、15及び16)は、MOSトランジスタと、それと逆並列接続されたダイオードとにより構成されている。これらのスイッチは、他のパワースイッチング素子により構成されることができる。キャパシタ74は、一つの相コイルの残留磁気エネルギーを蓄積することにより、バッテリ75の電圧と同程度の蓄電電圧を発生させる静電容量をもつ。キャパシタ74の静電容量は、種々設定可能である。
キャパシタ74Aは、キャパシタ74よりも格段に大きい静電容量をもつ。キャパシタ74Aの蓄電電力は、SRMが車両のエンジンを始動する時にSRMに大きなトルクを一時的に与える。このSRM駆動回路は、補助電源線300、キャパシタ74、予備キャパシタ74A及びリレーの接点74Bををもつ点が、伝統的なアシンメトリカルハーフブリッジコンバータに対して異なっている。
(動作説明)
図8に示される駆動回路の動作は、従来の駆動回路と本質的に同じである。第1通電制御スイッチ(11、12及び13)及び第2通電制御スイッチ(14、15及び16)は、図略のロータ回転角センサにより検出されたロータ回転角に基づいて相ごとに順番にオンされる。一つの相の第1通電制御スイッチ及び第1通電制御スイッチがオフされた後、次の相の第1通電制御スイッチ及び第1通電制御スイッチがオフされる。
これにより、キャパシタ74及びバッテリ75の電圧の合計が3相コイル(10U、10V及び10W)に順番に印加される。その結果、スイッチドリラクタンスモータのロータは、与えられたリラクタンストルクにより通電順序により決定される方向へ回転する。
第1通電制御スイッチ(11、12及び13)及び第2通電制御スイッチ(14、15及び16)をオフした後、3相コイル(10U、10V及び10W)の残留磁気エネルギーは、第1フライホイルダイオード(D1、D2及びD3)及び第2フライホイルダイオード(D4、D5及びD6)を通じてキャパシタ74のみを充電する。キャパシタ74の蓄電電力は、次の相コイルへの通電により消費される。
キャパシタ74の静電容量が小さいので、キャパシタ74の電圧は、急速に増加する。キャパシタ74の電圧増加により、単位電流当たりの静電エネルギー量が増大する。これは、インダクタンス電流を発生させる3相コイル(10U、10V及び10W)の残留磁気エネルギーが急速に減衰することを意味する。たとえば、静電容量Cをもつ補助キャパシタ74の電圧が0Vから10Vまで増加させるための静電エネルギーは50Cである。この補助キャパシタ74の電圧が40Vから50Vま増加させるための静電エネルギーは450Cとなる。
したがって、SRMの電流立ち下がり期間(電流減衰期間又はテール期間とも呼ばれる)は大幅に短縮される。このテール期間の短縮はバッテリ75の負担無しに実行される。したがって、バッテリ75の劣化は抑制される。テール期間の短縮は、3相コイル(10U、10V及び10W)のインダクタンス増加期間の延長により、リラクタンストルクの平均値の増加を可能とする。テール期間の短縮は、ピーク期間の無駄な通電による銅損を低減する。
第1通電制御スイッチ(11、12及び13)及び第2通電制御スイッチ(14、15及び16)がオンすることにより、バッテリ75の電圧とキャパシタ74の電圧との合計が3相コイル(10U、10V及び10W)に印加される。その結果、3相コイル(10U、10V及び10W)への通電初期において、3相電流は急速に立ち上がる。これは、3相コイル(10U、10V及び10W)のインダクタンス増加期間に大きな電流を流すことにより、このインダクタンス増加期間をリラクタンストルク発生のために十分に利用できることを意味する。また、電流立ち上げ期間の短縮は、ボトム期間の無駄な通電による銅損を低減する。
たとえば、キャパシタ74の蓄電電圧が50Vであり、バッテリ75の電圧Vbが12Vであると仮定される。通電直後において、合計電圧62Vが、3相コイル(10U、10V及び10W)に印加される。3相コイル(10U、10V及び10W)の電流は印加電圧に略比例する。したがって、通電直後において、約5倍の電流が、バッテリのみにより通電する場合に比べて3相コイル(10U、10V及び10W)に流れる。
(具体的な動作例)
図8に示されるSRM駆動回路の更に詳細な通電制御の例が図9を参照して説明される。’Lu’はU相コイル10Uのインダクタンスである。’Lv’はV相コイル10Vのインダクタンスである。’Lw’はW相コイル10Wのインダクタンスである。’Iu’はU相コイル10Uに流れる相電流である。’Iv’はV相コイル10Vに流れる相電流である。’Iw’はW相コイル10Wに流れる相電流である。
U相の通電制御スイッチ(11及び14)は、時点t11にてオンされた後、時点t4にてオフされる。V相の通電制御スイッチ(12及び15)は、時点t3にてオンされた後、時点t8にてオフされる。W相の通電制御スイッチ(13及び16)は、時点t7にてオンされた後、時点t0にてオフされる。時点t0から時点t12までの期間は電気角2πに相当する。電気角2πは、ステータ磁極ピッチを意味する。
期間(t11−t12)はU相電流Iuの電流立ち上がり期間である。期間(t3−t4)はV相電流Ivの電流立ち上がり期間である。期間(t7−t8)はW相電流Iwの電流立ち上がり期間である。期間(t4−t5)はU相電流Iuの電流立ち下がり(テール)期間Chである。期間(t8−t9)はV相電流Ivのテール期間Chである。期間(t0−t1)はW相電流Iwのテール期間Chである。
期間(t0−t4)はU相電流Iuの一定制御期間である。期間(t4−t8)はV相電流Ivの一定制御期間である。期間(t8−t0(=t12))はW相電流Iwの一定制御期間である。これらの一定制御期間は、同一相の一対の第1通電制御スイッチ及び第2通電制御スイッチをPWM制御することにより、実施される。PWM制御のデューティ比は、従来と同じく目標トルクを発生するために必要な電流値により決定される。
U相コイル10Uは、増加期間(t0−t4)と、略一定期間(t4−t6)と、減少期間(t6−t10)と、略一定期間(t10−t12)とをもつ。V相コイル10Vは、増加期間(t4−t8)と、略一定期間(t8−t10)と、減少期間(t10−t2)と、略一定期間(t2−t4)とをもつ。W相コイル10Wは、増加期間(t8−t12)と、略一定期間(t0−t2)と、減少期間(t2−t6)と、略一定期間(t6−t8)とをもつ。
増加期間は、インダクタンスが増加する期間を意味する。減少期間はインダクタンスが減少する期間を意味する。略一定期間は、インダクタンスが略一定の期間を意味する。インダクタンスが略一定となるのは、ステータ磁極とロータ磁極との周方向幅が異なる場合に発生する。略一定期間の設置は必須ではない。
スイッチ(11及び14)は、時点t12以降におけるPWM制御によるU相電流の一定化が可能な時点に設定される。たとえば、スイッチ(11及び14)は期間(t10ーt12)における好適な時点(t11)にてオンされる。スイッチ(11及び14)は、期間(t0−t4)においてトルク指令に相当する一定電流値にPWM制御される。スイッチ(11及び14)は、時点t以降においてU相電流が0となる時点にてオフされる。たとえば、スイッチ(11及び14)は時点t4にてオフされる。
スイッチ(12及び15)は、時点t4以降においてPWM制御によるV相電流の一定化が可能な時点に設定される。たとえば、スイッチ(12及び15)は期間(t2ーt4)における好適な時点(t3)にてオンされる。スイッチ(12及び15)は、期間(t4−t8)においてトルク指令に相当する一定電流値にPWM制御される。スイッチ(12及び15)は、時点t10以降においてV相電流が0となる時点にオフされる。たとえば、スイッチ(12及び15)は時点t8にてオフされる。
スイッチ(13及び16)は、時点t8以降においてPWM制御によるW相電流の一定化が可能な時点に設定される。たとえば、スイッチ(13及び16)は期間(t6ーt8)における好適な時点(t7)にてオンされる。スイッチ(13及び16)は、期間(t8−t12)においてトルク指令に相当する一定電流値にPWM制御される。スイッチ(13及び16)は、時点t2以降においてW相電流が0となる時点にオフされる。たとえば、スイッチ(13及び16)は期間(t0)にオフされる。
これにより、合成トルクΣTは、ほぼ一定となる(図9参照)。つまり、各相のPWM期間(トルク発生期間)は、切れ目無く順番に接続されるので、合成トルクΣTはほぼ一定となる。図9において、テール期間Chは、相コイル(10U、10V及び10W)の残留磁気エネルギーがキャパシタ74に蓄積されるリカバリ期間である。キャパシタ74に蓄積された残留磁気エネルギーは、次の相電流立ち上げ期間(t3−t4、t7−t8及びt11−t12)の少なくとも初期期間である昇圧期間(di)において、3相コイル(10U、10V及び10W)に印加される昇圧電圧により消費される。したがって、相電流は急速に立ち上がることができる。上記説明された相電流の急速な立ち上げ及び急速な減衰は、相コイル(10U、10V及び10W)の銅損を減らす。
相電流立ち上げ期間(t3−t4、t7−t8及びt11−t12)において、キャパシタ74の蓄電電力が消費されると、相コイル(10U、10V及び10W)の高電位端(UH、VH及びWH)の電位が低下する。これにより、第2フライホイルダイオード(D4、D5及びD6)がオンして、バッテリ75の電圧が相コイル(10U、10V及び10W)の高電位端(UH、VH及びWH)に印加され、通電が継続される。
この実施例では、相電流立ち上げ期間(t3−t4、t7−t8及びt11−t12)において、キャパシタ74の蓄電電力はトルク発生に使用されない。したがって、キャパシタ74の蓄電電力が、相電流の立ち上げのために使用される。つまり、キャパシタ74は、互いにタイミングが異なる一つの相電流の立ち上がり期間と他の一つの相の立ち下がり期間との間の時間差を解消する機能をもつ。図8に示される矢印は、キャパシタ74による残留磁気エネルギーの時間シフトを示す。
(大モータトルクの一時的な発生)
次に、図8に示されるキャパシタ74Aの機能が説明される。このSRMは、車両のエンジン又は車輪に連結されている。キャパシタ74Aは、車両加速のための電流を数秒程度を発生したり、エンジン始動のための電流を1秒程度発生することが可能な静電容量をもつ。このような大容量をもつキャパシタとして、たとえば電気二重層キャパシタの採用が好適である。キャパシタ74Aは高電圧まで蓄電されている。リレーの接点74Bはオフされている。
リレーの接点74Bは、エンジン始動時にオンされる。これにより、バッテリ及びキャパシタ74Aの大きな合計電圧が、エンジン始動時に約1秒程度だけ相コイル(10U、10V及び10W)に印加される。リレーの接点74Bは、車両の加速時にオンされる。これにより、バッテリ及びキャパシタ74Aの大きな合計電圧が、車両加速時に数秒程度の間だけ相コイル(10U、10V及び10W)に印加される。
これにより、短期間だけ大きなモータトルクを発生することができる。放電されたキャパシタ74Aの蓄電電圧は、リレーの接点74Bがオンしている期間に、3相コイル(10U、10V及び10W)のリカバリ電流により徐々に回復される。この短期間の大トルク発生動作は、電動ターボチャージャの加速にも採用されることができる。
(変形態様1)
変形態様1が図10を参照して説明される。図10は、図8において、3相コイル(10U、10V及び10W)のリカバリ電流を蓄電するキャパシタ74をバッテリ75の負極端子側に接続した回路例を示す。図10の回路動作は、本質的に既述された図8の回路と同じである。
(変形態様2)
相電流の急速な立ち上げ及び立ち下げは、銅損減少は可能とするが鉄損増加を招く。この問題を改善するために、キャパシタ74による昇圧通電は、所定しきい値回転数を超える高速回転時にのみ実施されることができる。すなわち、キャパシタ74と並列接続された図略のスイッチが、低速回転時にオンされる。
(実施例3)
本発明のSRM装置の好適な実施例3が図11を参照して説明される。図11は、ミラーコンバータと呼ばれるSRM駆動回路において、リカバリ電流を回収するためのキャパシタ74を追加した点にその特徴がある。キャパシタ74の電荷は、スイッチ11を通じて3相コイル(10U、10V及び10W)に流される。スイッチ11は、図8に示される第1通電制御スイッチ(11、12及び13)の代わりをなすスイッチである。更に、フライホイルダイオードD4が、図8に示されるフライホイルダイオード(D4、D5及びD6)の代わりに採用されている。フライホイルダイオードD10のアノードは、接続点Xに接続されている。
つまり、図8に示される第1通電制御スイッチ(12及び13)及び第2フライホイルダイオード(D5及びD6)が省略される。その代わりに、相コイル(10V及び10W)の高電位端(VH及びWH)は相コイル(10U)の高電位端(UH)に接続されている。
スイッチ11は、図8における第1通電制御スイッチ(11、12及び13)のいずれかがオンされる期間にオンされる。これにより、図9に示される相コイル(10U、10V及び10W)の残留磁気エネルギーの時間移動が可能となる。
けれども、スイッチ11のオンにより、既にPWM通電期間(略一定通電期間)に移行している相コイルにもキャパシタ74の電圧とバッテリ75の電圧との合計電圧が印加される。そこで、この実施例では、スイッチ11のオンにより昇圧電圧がPWM通電中の相コイルの電流を増大させるのを防止するため、PWM通電中の相コイルのPWMデューティ比が減らされる。
このPWMデューティ比の制御が図9を参照して更に詳しく説明される。V相電流IVの電流立ち上げ期間(t3−t4)において、U相電流IUはPWM一定通電期間である。そこで、U相コイル10Uを目標電流値と一致させるために、第2通電制御スイッチ14のPWMデューティ比がフィードバック制御される。W相電流IWの電流立ち上げ期間(t7−t8)において、V相電流IVはPWM一定通電期間である。そこで、V相コイル10Vを目標電流値と一致させるために、第2通電制御スイッチ15のPWMデューティ比がフィードバック制御される。U相電流IUの電流立ち上げ期間(t11−t12)において、W相電流IWはPWM一定通電期間である。そこで、W相コイル10Wを目標電流値と一致させるために、第2通電制御スイッチ16のPWMデューティ比がフィードバック制御される。これにより、ミラーコンバータ形式の駆動回路でも、リカバリ電流の急速な立ち下げと、相電流の急速な立ち上げが可能となる。
(変形態様1)
変形態様1が図12を参照して説明される。図12は、図11において、キャパシタ74をバッテリ75の負極端子側に接続した例であり、本質的な動作は、図10と同じである。
(実施例4)
本発明のSRM装置の好適な実施例4が図13を参照して説明される。図13は、このSRMの模式径方向断面図を示す。図13は、図4に示されるSRMにおいて、ステータ磁極(31乃至36)に集中巻きされたDCコイル(40A、40B及び40C)をもつ点にその特徴がある。直流電流が、DCコイル(40A、40B及び40C)に通電される。つまり、3相コイル(41乃至46)と、DCコイル(40A、40B及び40C)とが、ステータ磁極(31乃至36)に集中巻きされている。
このSRMの動作が図14を参照して説明される。図14は、このSRMのインダクタンス及び相電流の波形を示すタイミングチャートである。このSRMのインダクタンス波形は図5及び図9に示される波形と本質的に等しい。したがって、このSRMのステータ磁極(31乃至36)及びロータ磁極20は、図4又は図7に示されるステータ磁極及びロータ磁極の形状及び配置をもつことができる。
この実施例の電流は、図5に示される実施例1の3相電流(Iu、Iv及びIw)を、3相交流電流(Iuac、Ivac及びIwac)と直流電流Idcとに分割したものである。3相交流電流(Iuac、Ivac及びIwac)は、3相コイル(41乃至46)に相ごとに別々に通電される。3相コイル(41乃至46)はACコイルとも呼ばれる。直流電流Idcは、直列接続されたDCコイル(40A、40B及び40C)に通電される。
図13に示される矢印は、DCコイル(40A、40B及び40C)に通電される直流電流Idcの方向を示す。3相コイル(41乃至46)に通電される3相交流電流(Iuac、Ivac及びIwac)の方向は、インダクタンス増大期間Tiにおいて、DCコイル(40A、40B及び40C)のうち同一のステータ磁極に巻かれたDCコイルに流れる直流電流Idcの方向と同じとされる。
したがって、ステータ磁極(31乃至36)は、インダクタンス増大期間Tiに互いに方向が同じである交流電流と直流電流Idcとにより励磁される。これは、ACコイルとDCコイルとを兼ねる一つの相コイルがステータ磁極(31乃至36)に別々に集中巻きされる場合と等しい磁束が形成されることを意味する。
つまり、3相コイル(41乃至46)に流れる3相交流電流(Iuac、Ivac及びIwac)が、DCコイル(40A、40B及び40C)に流れる直流電流Idcとともに形成する磁界は、図5に示される3相電流(Iu、Iv及びIw)が形成する磁界と等しくなる。したがって、この実施例のSRMは、実施例1のSRMと同じ動作を行うことができる。
ただし、図14に示される直流電流Idcは、3相コイル(41乃至46)nターン数が、DCコイル(40A、40B及び40C)のターン数に等しい条件で記載されている。実際には、DCコイル(40A、40B及び40C)のターン数は3相コイル(41乃至46)のそれよりも大幅に(5〜10倍程度)多いことが好適である。
この実施例で重要なことは、DCコイル(40A、40B及び40C)の形成磁界(アンペアターン)を、インダクタンス増大期間Tiにおける3相交流電流(Iuac、Ivac及びIwac)の形成磁界(アンペアターン)に対して略一致(85%以上更に好ましくは90%以上等しい)している点にある。
これにより、インダクタンス減少期間Tdにおいて、3相交流電流(Iuac、Ivac及びIwac)の形成磁界は、直流電流Idcの形成磁界によりほぼキャンセルされる。すなわち、ロータ磁極20に形成される合成磁界は、インダクタンス減少期間Tdにほぼ0となる。したがって、インダクタンス減少期間Tdにおける逆リラクタンストルクの発生がほぼ0となるので、トルク減少及びトルクリップルが低減される。
なお、3相交流電流(Iuac、Ivac及びIwac)と直流電流Idcとは一つの電流とみなすことができるので、3相コイル(41乃至46)とDCコイル(40A、40B及び40C)とが等しいターン数Nをもつ時、モータトルクTは(一つの相の交流電流(たとえばIuac)と、直流電流Idcとの和)の二乗値に比例する。
(モータ駆動回路)
この実施例の駆動回路が図15を参照して説明される。’21’はロータ回転角検出回路である。’22’は正弦波発振回路である。’23’は直流電流制御用のトランジスタである。’24’及び’25’はキャパシタである。’26’はフライホイルダイオードである。’27’は電流検出抵抗である。’28’はベース電流制限抵抗である。
キャパシタ24及びフライホイルダイオード26は直列接続されたDCコイル(40A、40B及び40C)と並列に接続されている。電流検出抵抗27は、トランジスタ34のエミッタ電流による電圧降下を検出してモータコントローラ903に送る。
駆動回路901は、3相コイル(41乃至46)に3相交流電流(Iuac、Ivac及びIwac)を供給する3つのHブリッジ回路(単相フルフレームブリッジ回路)により構成されている。4つのスイッチングトランジスタをもつHブリッジ回路により構成されたSRM駆動回路が図24に示されている。
U相コイル(41及び44)は直列接続されている。V相コイル(42及び45)は直列接続されている。W相コイル(43及び46)は直列接続されている。
直列接続されたDCコイル(40A、40B及び40C)に通電される直流電流Idcは、トランジスタ23によりPWM制御される。キャパシタ24はトランジスタ23のスイッチングノイズを吸収するとともに、ロータ磁極20の移動によるDCコイル(40A、40B及び40C)の誘起電圧合計の変動を吸収する。
つまり、この実施例では、ロータ磁極20がステータ磁極(31乃至36)に順次対面する期間に、3相コイル(41乃至46)とDCコイル(40A、40B及び40C)とが磁気的に結合する。その結果、交流電圧がDCコイル(40A、40B及び40C)に順次誘導される。けれども、この交流電圧はキャパシタ24に吸収される。したがって、この誘導された交流電圧が直流電源900へ与える悪影響は、大幅に低減される。
更に、この実施例では、トランジスタ23のPWMデユーティ比は、電流検出抵抗27により検出された直流電流Idcに基づいてフィードバック制御される。これにより、直流電流Idcは、3相交流電流(Iuac、Ivac及びIwac)の各インダクタンス減少期間Tdの振幅に略等しい値に調整される。正確に言えば、直流電流Idcによる直流磁界は、インダクタンス減少期間Tdの3相交流電流(Iuac、Ivac及びIwac)が形成する交流磁界と略等しく設定される。
上記説明された直流電流の制御が、更に詳しく説明される。
モータコントローラ903は、電流検出抵抗27の電圧降下を増幅した後、その高調波成分を除去して直流電流Idc及び低周波数電圧(誘導電圧)を検出する。次に、モータコントローラ903は、直流電流Idcの検出値と指令値との差が0となるように、トランジスタ23をPWM制御する。これにより、DCコイル(40A、40B及び40C)に流れる直流電流Idcは、直流電流Idcの指令値に一致する。その結果、DCコイル(40A、40B及び40C)に流れる直流電流Idcの変動を防止することができる。
正弦波発振回路22は、約100kHzの正弦波電圧を直流カット用のキャパシタ25を通じてDCコイル40A、40Bの接続点に印加する。なお、この正弦波電圧は、DCコイル40Cとトランジスタ23との接続点に印加されてもよく、キャパシタ24とDCコイル40Aとの接続点に印加されてもよい。正弦波電圧の代わりにその他の波形、周波数の高周波数電圧を用いても良い。DCコイル40A、40B、40Cの電圧降下はロータ回転角検出回路21に入力される。
ロータ回転角検出回路21は、入力されたDCコイル(40A、40B及び40C)の電圧降下のうち上記正弦波電圧成分を含む帯域成分を抽出する。ロータ回転角検出回路21は、この帯域成分を整流して回転角信号を形成する。この回転角信号は、既述したようにロータ回転角に応じて変化するDCコイル(40A、40B及び40C)のインダクタンスに略比例する。ロータ回転角検出回路21は、各相のインダクタンス変化波形に基づいてロータ回転角を決定する。検出されたロータ回転角は、モータコントローラ903に出力される。このロータ回転角検出回路21は、ロータが静止していてもロータ回転角を検出することができる。
すなわち、この実施例によれば、SRMがDCコイル(40A、40B及び40C)に通電する直流電流Idcに高周波電流を重畳させる。DCコイル(40A、40B及び40C)のインダクタンスがロータ磁極20の位置により周期的に変化するので、ロータ回転角を検出することができる。DCコイル(40A、40B及び40C)は、3相コイル(41乃至46)よりも大きなターン数をもつことができるため、3相コイル(41乃至46)よりも大幅に大きなインダクタンスをもつことができる。このことは、直流電流Idcに重畳する高周波電流を低減できるため、正弦波発振回路22を小型化できることを意味する。
(トルク制御)
モータコントローラ903により行われるモータトルクの制御が図16を参照して説明される。まず、回転数指令Ns及びトルク指令Tsが外部から読み込まれる。更に、ロータ回転角θ、3相交流電流(Iuac、Ivac及びIwac)及び直流電流Idcがロータ回転角検出回路21及び電流検出回路から読み込まれる(S100)。
次に、トルク指令Tsに基づいて3相コイル(41乃至46)に通電する台形波状の3相電流(Iu、Iv及びIw)の振幅が算出される。次に、3相電流(Iu、Iv及びIw)が、3相交流電流(Iuac、Ivac及びIwac)の指令値と、直流電流Idcの指令値とに分割される(S102)。次に、3相交流電流(Iuac、Ivac及びIwac)及び直流電流Idcの検出値が上記指令値に一致するフィードバック制御が実行される。トルク指令値Tsから3相電流(Iu、Iv及びIw)の指令値を算出するために使用されるインダクタンス増大率dL/dθは、図6でセル瞑された実施例1と同じ方法により算出されることができる。
(効果)
この実施例によれば、ステータ磁極(31乃至36)は、インダクタンス増加期間に3相交流電流(Iuac、Ivac及びIwac)及び直流電流Idcの両方により強く励磁されるため、大きなリラクタンストルクを発生することができる。DCコイル(40A、40B及び40C)に通電される直流電流Idcは、3相交流電流(Iuac、Ivac及びIwac)の振幅に略等しいので、インダクタンス減少期間Tdにおける逆リラクタンストルク(発電トルク)の発生をほぼ0とすることができる。多くのターン数をもつDCコイル(40A、40B及び40C)に高周波電圧を印加することにより、DCコイル(40A、40B及び40C)のインダクタンス変化を利用してロータ回転角を検出するので、回転角検出が容易かつ正確となる。
(実施例5)
本発明のSRM装置の好適な実施例5が図17を参照して説明される。図17は、ハイブリッドSRMの模式径方向断面図である。このハイブリッドSRMは、図4に示されるSRMに永久磁石6を追加した点にその特徴がある。各図において、一端側にだけ矢印をもつ線は磁気吸引力を示し、線の両端にそれぞれ矢印をもつ線は磁気反発力を示す。
このハイブリッドSRMは、図4に示される実施例1のSRM902において、ロータ磁極20の間のロータ磁極間隙Wgrに永久磁石6を有する点にその特徴がある。ステータ磁極(31乃至36)に対面する8つの永久磁石6の表面は、周方向極性交互に磁化されている(図17参照)。電動動作時において、実施例1と同様に、略台形波の3相電流(Iu、Iv及びIw)が3相コイル(41乃至46)に個別に通電される。
この実施例のハイブリッドSRMは、スイッチドリラクタンストルクに加えて、磁石磁束によるトルク(磁石トルク)も発生するため、トルクを増大することができる。このことは、同じモータトルクを発生するために必要な3相電流(Iu、Iv及びIw)のうちの励磁電流成分を低減できることを意味する。
(動作説明)
タイミングチャートである図18を参照して、このハイブリッドSRMの動作が説明される。
’Lu’はU相コイル(41及び44)のインダクタンスである。’Lv’はV相コイル(42及び45)のインダクタンスである。’Lw’はW相コイル(43及び46)のインダクタンスである。3相コイル(41乃至46)のインダクタンス(Lu、Lv及びLw)は、ロータ磁極20のピッチを電気角2πとする周期で変動する。’Ti’はインダクタンス増大期間である。’Tu’はU相のインダクタンス増大期間Tiである。’Tv’はV相のインダクタンス増大期間Tiである。’Tw’はW相のインダクタンス増大期間Tiである。インダクタンス(Lu、Lv及びLw)及び3相電流(Iu、Iv及びIw)の波形は、図5に示される実施例1のそれと本質的に同じである。たとえば、3相電流(Iu、Iv及びIw)は、異なる単相フルフレームブリッジ(Hブリッジ)により互いに独立に給電されることができる。
永久磁石6がステータ磁極(31乃至36)に与える磁束変化は、図18に示されるように電気角4πの周期で変化する。図18において、各相電流は、インダクタンス増大期間Tiと、その前後の電流立ち上がり期間と電流立ち下がり期間とに流れる。したがって、U相磁石磁束ΦuとU相電流IuとによるU相磁石トルクと、V相磁石磁束ΦvとV相電流IvとによるV相磁石トルクと、W相磁石磁束ΦwとW相電流IwとによるW相磁石トルクとの和が、合成磁石トルクとなる。
相コイルが集中巻きされた軟磁性のステータ磁極がロータに与える磁石トルクは通常のフレミングの法則では理解が容易ではない。けれども、永久磁石の運動による相コイルの逆起電力Eと、相コイルの電流Iとの積は、磁石トルクTmと角速度ωとの積に等しいロータ駆動電力Pとなる。
したがって、一つのステータ磁極が永久磁石を駆動するトルクTmは、E・I/ωとなる。角速度ω及び電流Iが一定である条件において、トルクTは逆起電力E(=−dΦ/dt)に比例する。つまり、永久磁石がステータ磁極に与える磁石磁束の変化率が一定であれば、ステータ磁極が永久磁石に与える磁石トルクは一定であるとみなすことができる。
図18に示されるように、各相のインダクタンス増大期間Tiにおいて、磁石磁束(Φu、Φv及びΦw)は略一定となる。このため、各相のインダクタンス増大期間Tiにおいて発生する各ステータ磁極の磁石トルクの合計は略一定の合成磁石トルクを発生させる。
次に、図18に示されるU相電流立ち下がり期間Tdoにおいて、U相磁石磁束Φu及びU相電流の両方が変化する。V相及びW相も同じである。結局、各相の電流立ち下がり期間Tdoにおいて、磁石トルクが変化し、それらがトルクリップルを発生させることがわかる。
この問題を解決するには、3相電流(Iu、Iv及びIw)の電流立ち下がりを加速することによりその時間を短縮するのが有益である。他の解決策は、図17に示す磁石6の進行方向後端側に逆極性の小さい補助永久磁石を配置することである。この補助永久磁石の周方向幅は図17に示される永久磁石6の周方向幅の1/8乃至1/4とされることが好適である。この補助永久磁石の磁界の影響により、ステータ磁極(31乃至36)に与えられる磁石磁束はその終期において、急速に減少する。
以上により、トルクが大きく、励磁電力による銅損が小さく、トルクリップルも比較的小さいスイッチドリラクタンスモータを実現することができる。
(実施例6)
本発明のSRM装置の好適な実施例6が図19を参照して説明される。図19は、ロータ2のロータ磁極20の間の間隙に永久磁石を有するハイブリッドSRMを示す模式径方向断面図である。なお、各図において、一端側にだけ矢印をもつ線は磁気吸引力を示し、線の両端にそれぞれ矢印をもつ線は磁気反発力を示す。
このSRMは、2つの永久磁石(6A及び6B)がロータ磁極20の間のロータ磁極間隙Wgrすなわちロータ2の凹部に配置されるハイブリッドSRMである。すなわち、このハイブリッドSRMは、図17に示されるハイブリッドSRMにおいて、ロータ磁極20の間のロータ磁極間隙Wgrにそれぞれ配置される永久磁石6の磁極分布を変更した点にその第1の特徴がある。
永久磁石6Aと永久磁石6Bとは径方向逆向きに磁化されている。永久磁石6Aと永久磁石6Bとは周方向に隣接している。つまり、ロータ磁極20の後端面に隣接している永久磁石6Aの外周側の表面はS極に磁化されている。ロータ磁極20の前端面に隣接している永久磁石6Bの外周側の表面はN極に磁化されている。
実際には、一つのロータ磁極間隙Wgrに配置される2つの永久磁石(6A及び6B)は一つの永久磁石により構成される。この一つの永久磁石の前側の一半部がS極に、後側の他半部がN極に磁化されている。もちろん、NとSを逆としてもよい。
ロータ2は4つのロータ磁極20をもつ。ステータ1は、6つのステータ磁極(31乃至36)をもつ。ロータ磁極20の周方向幅Wrは、ステータ磁極(31乃至36)の周方向幅Wsに略等しい。ステータ磁極間隙Wgsは、ステータ磁極(31乃至36)の周方向幅Wsに略等しい。ただし、ロータ磁極20の数、周方向幅及び磁極間隙を実施例1(図4参照)と同じとされてもよい。
(動作説明)
図19において、U相コイル(41及び44)とW相コイル(43及び46)とが通電される。これにより、ステータ磁極(31及び34)は、磁気反発力及び磁気吸引力によりロータ2を反時計方向に付勢する。ステータ磁極(33及び36)は、リラクタンストルク及び磁気反発力によりロータ2を反時計方向に付勢する。その結果、ロータ2は図20の位置まで回転する。
図20において、U相コイル(41及び44)とV相コイル(42及び45)が通電される。これにより、ステータ磁極(31及び34)はリラクタンストルク及び磁気反発力によりロータ2を反時計方向に付勢する。ステータ磁極(32及び35)は磁気反発力及び磁気吸引力によりロータ2を反時計方向に付勢する。ロータ2は図21の位置まで回転する。
図21において、V相コイル(42及び45)とW相コイル(43及び46)に通電される。これにより、ステータ磁極(32及び35)はリラクタンストルク及び磁気反発力によりロータ2を反時計方向に付勢する。ステータ磁極(33及び36)は磁気反発力及び磁気吸引力によりロータ2を反時計方向に付勢する。
以下、順次、交流通電を行うことにより、ロータ2は反時計方向に回転する。3相コイル(41乃至46)のインダクタンス変化と、磁石磁束(Φu、Φv及びΦw)の変化と、3相電流(Iu、Iv及びIw)の波形が図22に示される。
この実施例のハイブリッドSRMは、ロータ磁極20の間の磁極間隙に2つの永久磁石(6A及び6B)を有する。各磁極間隙において、反時計方向側に永久磁石6Aが、時計方向側にN極が配置されている。永久磁石(6A及び6B)は逆に配置されてもよい。このハイブリッドSRMは、3相コイル(41乃至46)と鎖交する磁石磁束の変化が実施例5のそれによりも大きくできる。したがって、磁石トルクは増大する(図22参照)。
図23は、このハイブリッドSRMを駆動するための駆動回路901としての三相インバータを示す。図22からわかるように、3相電流(Iu、Iv及びIw)は交流電流である。更に、3相電流(Iu、Iv及びIw)のうち同時に通電される2相の電流の大きさは等しく、かつ、方向が逆向きとなる。したがって、このハイブリッドSRMの星形接続された3相コイル(41乃至46)は、周知の3相インバータ(図23参照)により駆動されることができる。その他、この9ハイブリッドSRMの3相コイル(41乃至46)は、図24に示される3つのHブリッジにより給電されることもできる。
(変形態様)
図19に示す実施例6のハイブリッドSRMの変形態様が図25及び図26を参照して説明される。この変形態様は、図19に示される4つのロータ磁極間隙Wgrにそれぞれ一対固定される合計8つの永久磁石(6A及び6B)の極性を、回転軸を挟んで反対にした点にその特徴がある。すなわち、図25において、8つの永久磁石(6A及び6B)は、仮想線(A−A)を中心として回転対称配置されている。
3つのHブリッジにより構成された駆動回路901が形成する3相電流(Iu、Iv及びIw)の方向は、接近したり離脱したりする永久磁石6の極性に合わせて調整される。つまり、図22に示される3相電流(Iu、Iv及びIw)の正の半波波形及び負の半波波形は、永久磁石(6A及び6B)の位置変更に合わせて変更される。
その他、大トルクが必要な場合に図25に示される通電モードを実行し、かつ、小トルク高速回転時に図26に示される磁石トルクのみを発生するステータ磁極に巻かれた相コイルへの通電を休止させることができる。
(実施例7)
本発明のSRM装置の好適な実施例7が図27乃至図32を参照して説明される。図27乃至図32は、ロータ2のロータ磁極20の間の間隙に永久磁石を有するハイブリッドSRMを示す模式径方向断面図である。なお、各図において、一端側にだけ矢印をもつ線は磁気吸引力を示し、線の両端にそれぞれ矢印をもつ線は磁気反発力を示す。
この実施例のハイブリッドSRMは、図26に示されるハイブリッドSRMにおいて、ロータ磁極20の後端面に隣接する永久磁石を省略した点にその特徴がある。永久磁石の省略により、ロータ2は凹部6cをもつ。
ロータ磁極20の前端面に隣接する永久磁石6は、図26に示される永久磁石6Aに等しい周方向幅をもつ。これにより、図26に示される永久磁石6Bの磁気反発力が失われる。しかし、これは全体の回転力の一部であるため、トルク合計の減少率は大きくない。その代わりに、永久磁石使用量を減らすことができる。また、ステータ磁極の鉄損を減らすことができる。図27乃至図32の順に回転するこの実施例のハイブリッドSRMの動作が図33に示される。図33はタイミングチャートである。
図33に示されるように、3相電流(Iu、Iv及びIw)のうちの2相が常に通電される。このため、駆動回路901として3相インバータ(図23参照)を採用することにより、3相星形接続された3相コイル(41乃至46)に対して、図28に示す波形の3相交流電流を通電すればよい。
(変形態様)
図27に示されるこのハイブリッドSRMの変形態様が図34を参照して説明される。この変形態様は、大トルク発生時には図27に示される2相同時通電を実行し、かつ、小トルク高速回転時には図34に示される1相通電を実行するものである。これにより、トルク調節が容易となる。
(変形態様)
図22に示されるこのハイブリッドSRMの変形態様が図35を参照して説明される。この変形態様は、図27のハイブリッドSRMの回転方向を逆方向に変更した点にその特徴をもつ。この変形態様は、図27の磁気吸引力をもたない。しかし、大トルク運転を図35に示される通電パターンを永久磁石の極性に合わせて2相同時に通電し、かつ、小トルク高速回転時には図36に示される1相通電を行うことができる。この変形態様では、この1相通電時モードにおいて、リラクタンストルクだけ発生することができる。
(変形態様)
図28に示されるハイブリッドSRMにおいて、永久磁石6をロータコアに埋め込んだ例を図37に示す。すなわち、このハイブリッドSRMは、ほぼ2倍の周方向幅をもつロータ磁極20をもつ。このロータ磁極20の周方向前半部又は後半部に永久磁石6が埋め込まれる。これにより、高速回転性能を改善することができる。
(変形態様)
図25に示されるハイブリッドSRMにおいて、永久磁石6をロータコアに埋め込んだ例を図38に示す。すなわち、このハイブリッドSRMは、略円筒形状のロータコアをもつ。このロータコア形状は、従来公知の埋め込み磁石型同期モータ(IPM)とほぼ同じである。けれども、ロータコアに埋め込まれる永久磁石(6A及び6B)の配置が異なっている。更に、3相コイル(41乃至46)に略矩形波電流が通電されて、モータがスイッチドリラクタンストルクを発生する点が異なっている。
その他、図示は省略されるが、図17に示されるハイブリッドSRMの永久磁石6も埋め込まれることができる。同様に、図19に示されるハイブリッドSRMの永久磁石(6A及び6B)も埋め込まれることができる。
(実施例8)
本発明のSRM装置の好適な実施例8が図39乃至図50を参照して説明される。図39乃至図50は、ロータ2のロータ磁極20の間の間隙に短絡コイルが巻かれたSRMを示す模式径方向断面図である。ただし、図39乃至図50の符号は、他の図の符号から独立している。
このSRMは、回転軸3に嵌められたロータ2と、ステータ1とをもつ。ステータ1は、ステータコア4と、このステータコア4に巻かれたステータコイルとをもつ。ステータコア4は、ヨーク40で磁気的に連結された6つのステータ磁極(41乃至46)をもつ。ステータコイルは、3相コイル(51乃至56)により構成されている。3相コイル(51乃至56)は、6つのステータ磁極(41乃至46)に別々に集中巻きされている。ロータ2は、4つのロータ磁極20をもつ。ロータ2は、回転軸3に嵌められている。
この実施形態では、ロータ2に短絡コイル(2A、2B、2C及び2D)が巻かれている。径方向内側に向けて見た場合に、短絡コイル(2A及び2B)は時計方向に巻かれている。短絡コイル(2A及び2B)は反時計方向に巻かれている。各短絡コイル(2A、2B、2C及び2D)は、各端が接続されて短絡回路を構成している。短絡コイル(2A、2B、2C及び2D)以外は、このSRMは、6つのステータ磁極と4つのロータ磁極とをもつ周知のSRMである。したがって、このSRMの基本的な構造及び動作の説明は省略される。
このSRMの特徴をなす短絡コイル(2A、2B、2C及び2D)による機能が回転状態図(図39乃至図50に示される)及びタイミングチャート(図51に示される)を参照して以下に説明される。
(時点t1の説明)
時点t1近傍において、U相コイル(51及び54)に通電されるU相電流Iuがオフされる。これにより、U相コイル(51及び54)と鎖交する磁気回路に蓄積された残留磁気エネルギーは、短絡コイル(2A及び2C)に電圧を誘導する。この誘導電圧は、短絡コイル(2B及び2D)に印加される。結局、短絡コイル(2A、2B、2C及び2D)からなる短絡回路に、二次電流I2が流れる。この二次電流I2は、減少するU相電流IuによるU相磁束の減少を抑制する向きである。すなわち、短絡コイル(2A及び2C)に流れる二次電流I2は、U相電流Iuと同じ向きである(図39参照)。これにより、短絡コイル(2B及び2D)に図39に示す向きの二次電流I2が流れる。
時点t1において、V相電流Ivがオンされる。この時、図39に示されるように、V相電流Ivは、短絡コイル(2B及び2D)に流れる二次電流I2と同じ向きに通電される。言い換えると、V相電流Ivは、短絡コイル(2B及び2D)に流れる二次電流I2がV相電流Ivによる励磁をアシストする向きに通電される。これにより、V相電流Ivの立ち上がりは促進される。
(時点t2の説明)
時点t2近傍において、V相コイル(52及び55)に通電されるV相電流Ivがオフされる。これにより、V相コイル(52及び55)と鎖交する磁気回路に蓄積された残留磁気エネルギーは、短絡コイル(2B及び2D)に電圧を誘導する。この誘導電圧は、短絡コイル(2A及び2C)に印加される。結局、短絡コイル(2A、2B、2C及び2D)からなる短絡回路に、二次電流I2が流れる。この二次電流I2は、減少するV相電流IvによるV相磁束の減少を抑制する向きである。すなわち、短絡コイル(2B及び2D)に流れる二次電流I2は、V相電流Ivと同じ向きである(図40参照)。これにより、短絡コイル(2A及び2C)に図40に示す向きの二次電流I2が流れる。
時点t2において、W相電流Iwがオンされる。この時、図40に示されるように、W相電流Iwは、短絡コイル(2A及び2C)に流れる二次電流I2と同じ向きに通電される。言い換えると、W相電流Iwは、短絡コイル(2A及び2C)に流れる二次電流I2がW相電流Iwによる励磁をアシストする向きに通電される。これにより、W相電流Iwの立ち上がりは促進される。
(時点t3の説明)
時点t3近傍において、W相コイル(53及び56)に通電されるW相電流Iwがオフされる。これにより、W相コイル(53及び56)と鎖交する磁気回路に蓄積された残留磁気エネルギーは、短絡コイル(2A及び2C)に電圧を誘導する。この誘導電圧は、短絡コイル(2B及び2D)に印加される。結局、短絡コイル(2A、2B、2C及び2D)からなる短絡回路に、二次電流I2が流れる。この二次電流I2は、減少するW相電流IwによるW相磁束の減少を抑制する向きである。すなわち、短絡コイル(2A及び2C)に流れる二次電流I2は、W相電流Iwと同じ向きである(図41参照)。これにより、短絡コイル(2B及び2D)に図41に示す向きの二次電流I2が流れる。
時点t3において、U相電流Iuがオンされる。この時、図41に示されるように、U相電流Iuは、短絡コイル(2B及び2D)に流れる二次電流I2と同じ向きに通電される。言い換えると、U相電流Iuは、短絡コイル(2B及び2D)に流れる二次電流I2がU相電流Iuによる励磁をアシストする向きに通電される。これにより、U相電流Iuの立ち上がりは促進される。
(時点t4から時点t12までの説明)
上記と同様に、時点t4から時点t12までの動作が行われる。時点t4の状態が図42に示される。時点t5の状態が図43に示される。時点t6の状態が図44に示される。時点t7の状態が図45に示される。時点t8状態が図46に示される。時点t9の状態が図47に示される。時点t10の状態が図48に示される。時点t11の状態が図49に示される。時点t12の状態が図50に示される。
時点t1から時点t12までのインダクタンス、3相電流(Iu、Iv及びIw)及び二次短絡電流I2の電流の変化が図51に示される。結局、このSRMは、一つの相電流の立ち下がり期間と、他の一つの相の電流立ち上がり期間とが、オーバーラップしている。更に、一つの相電流の立ち下がり期間に放出される残留磁気エネルギーが、他の一つの相電流の立ち上がり期間における励磁動作をアシストする。これは、電流が立ち下がる相から電流が立ち上がる相への磁気エネルギーのシフトを意味する。これにより、相電流の立ち下がりの促進と、相電流の立ち上がりの促進とが、ロータ磁極20に巻かれた短絡コイルからなる簡素な構造により実現する。
この実施形態によれば、3相コイル(51乃至56)の電流を遮断する時に残留磁気エネルギーを相間でシフトするので、バッテリの負担を軽減することができる。
(変形態様)
この変形態様は、短絡コイル(2A、2B、2C及び2D)が1ターンのリング状の籠形コイル200により構成される点にその特徴がある。図52は、図43の状態を示す模式径方向断面図である。リング状の籠形コイル200は、第1のロータ磁極20及び第2のロータ磁極20との間の凹部201を貫通し、更に、第3のロータ磁極20と第4のロータ磁極20との間の凹部202との間を貫通してリング状に形成される。図53は、リング状の籠形コイル200を示す模式軸方向断面図である。ロータ2は、回転軸5に嵌められている。このリング状の籠形コイル200は、ロータ2を金型にセットして、アルミニウム溶湯を注入するダイキャスト法により製造されることができる。

Claims (25)

  1. ステータコイルを構成する複数相の相コイルが巻かれる偶数個のステータ磁極を周方向一定ピッチでもつ軟磁性のステータコアと、前記ステータ磁極に対面可能な偶数個のロータ磁極を周方向一定ピッチでもつ軟磁性のロータコアと、前記各相コイルのインダクタンス増大期間に略台形波の電流を通電するモータ駆動回路とを備えるスイッチドリラクタンスモータ装置において、
    前記モータ駆動回路は、前記相コイルのインダクタンス増大期間Ti直前のインダクタンス変化が小さい期間であるボトム期間Tbに電流をほぼ立ち上げ、前記インダクタンス増大期間Tiの直後のインダクタンス変化が小さい期間であるピーク期間Tpに電流をほぼ立ち下げることを特徴とするスイッチドリラクタンスモータ装置。
  2. 前記ロータ磁極の先端部の周方向幅Wrは、前記ステータ磁極の先端部の周方向幅Wsよりも小さく、かつ、互いに周方向に隣接する2つの前記ステータ磁極の間のステータ磁極間隙の周方向幅Wgsよりも小さくされる請求項1記載のスイッチドリラクタンスモータ装置。
  3. 前記ステータコイルは、3相の前記相コイルからなり、
    前記各相コイルのインダクタンス変化の1周期を電気角2πとする時、前記インダクタンス増大期間Tiは略2π/3の長さに設定される請求項2記載のスイッチドリラクタンスモータ装置。
  4. 前記各相コイルの前記ボトム期間Tb及び前記ピーク期間Tpは、電気角π/6からπ/3の長さをもつ請求項3記載のスイッチドリラクタンスモータ装置。
  5. 前記ロータ磁極の先端部の周方向幅Wrは、前記ステータ磁極の先端部の周方向幅Wsの略2/3の周方向幅をもち、
    前記ステータ磁極の先端部は、前記ステータ磁極間隙の周方向幅Wgsの略60%の周方向幅をもつ請求項4記載のスイッチドリラクタンスモータ装置。
  6. 6N(Nは自然数)個の前記ステータ磁極と、8N個の前記ロータ磁極とをもつ請求項5記載のスイッチドリラクタンスモータ装置。
  7. 前記モータ駆動回路は、大トルクを発生する際に前記ボトム期間における通電開始時点を早め、小トルクを発生する際に前記ボトム期間における通電開始時点を遅らせる請求項1記載のスイッチドリラクタンスモータ装置。
  8. 前記モータ駆動回路は、前記相コイルへ通電する相電流の立ち上がり期間又は立ち下がり期間を加速する加速回路を有する請求項1記載のスイッチドリラクタンスモータ装置。
  9. ステータコイルを構成する複数相の相コイルが巻かれる偶数個のステータ磁極を周方向一定ピッチでもつ軟磁性のステータコアと、前記ステータ磁極に対面可能な偶数個のロータ磁極を周方向一定ピッチでもつ軟磁性のロータコアと、前記各相コイルのインダクタンス増大期間に略台形波の電流を通電するモータ駆動回路とを備えるスイッチドリラクタンスモータ装置において、
    スイッチドリラクタンスモータの相コイル(10U、10V及び10W)の両端に別々に接続される第1通電制御スイッチ(11、12及び13)及び第2通電制御スイッチ(14、15及び16)と、
    相コイル(10U、10V及び10W)の両端に別々に接続される第1フライホイルダイオード(D1、D2及びD3)及び第2フライホイルダイオード(D4、D5、D6)と、
    を備え、
    相コイル(10U、10V及び10W)は、第1通電制御スイッチ(11、12及び13)及び第2通電制御スイッチ(14、15及び16)を通じて直流電源から電流が受け取り、
    相コイル(10U、10V及び10W)は、第1フライホイルダイオード(D1、D2及びD3)及び第2フライホイルダイオード(D4、D5、D6)を通じて直流電源にリカバリ電流を送り、
    前記直流電源は、直列接続されたキャパシタ(74又は74A)とバッテリ(75)により構成され、
    互いに直列接続されたキャパシタ(74又は74A)及びバッテリ(75)の接続点(X)は、第1フライホイルダイオード(D1、D2及びD3)及び第2フライホイルダイオード(D4、D5、D6)のどちらか一方を通じて相コイル(10U、10V及び10W)の端部に接続され、
    第1フライホイルダイオード(D1、D2及びD3)、相コイル(10U、10V及び10W)、第2フライホイルダイオード(D4、D5、D6)及びキャパシタ(74又は74A)は、キャパシタ(74又は74A)にリカバリ電流を流すための閉回路であるリカバリ回路を構成し、
    第1通電制御スイッチ(11、12及び13)、相コイル(10U、10V及び10W)及び第2通電制御スイッチ(14、15及び16)は、互いに直列接続されたキャパシタ(74又は74A)及びバッテリ(75)から相コイル(10U、10V及び10W)へ電流を通電する第1通電回路を構成し、
    第1通電制御スイッチ(11、12及び13)及び第2通電制御スイッチ(14、15及び16)のどちらか一方、相コイル(10U、10V及び10W)、及び、第1フライホイルダイオード(D1、D2及びD3)及び第2フライホイルダイオード(D4、D5、D6)のどちらか一方は、バッテリ(75)から相コイル(10U、10V及び10W)へ電流を通電する第2通電回路を構成することを特徴とするスイッチドリラクタンスモータ装置。
  10. 前記第1通電回路は、相コイル(10U、10V及び10W)のインダクタンス増加期間の初期に相コイル(10U、10V及び10W)への通電を行い、
    前記第2通電回路は、相コイル(10U、10V及び10W)のインダクタンス増加期間の終期に相コイル(10U、10V及び10W)への通電を行う請求項9記載のスイッチドリラクタンスモータ装置。
  11. 相コイル(10U、10V及び10W)は、インダクタンス増加期間とインダクタンス減少期間の間にインダクタンス変化が小さいインダクタンス一定期間を有し、
    第1通電回路は、前記インダクタンス増加期間の直前の前記インダクタンス一定期間に設定された電流立ち上げ期間に相電流をほぼ立ち上げ、
    リカバリ回路は、インダクタンス増加期間の直後のインダクタンス一定期間に設定された電流立ち下げ期間に前記リカバリ電流をほぼ立ち下げ、
    相コイル(10U、10V及び10W)のうちの一つの相コイルの電流立ち下げ期間は、相コイル(10U、10V及び10W)のうちの他の一つの相の電流立ち上げ期間が終了した後で開始される請求項10記載のスイッチドリラクタンスモータ装置。
  12. 相コイル(10U、10V及び10W)のインダクタンス増加期間は連続して設定される請求項11記載のスイッチドリラクタンスモータ装置。
  13. キャパシタ(74A)は、スイッチ(74B)を通じてバッテリ(75)に直列接続され、
    スイッチ(74B)は、前記リカバリ電流を遮断した後、トルクアシスト期間にオンされる請求項9記載のスイッチドリラクタンスモータ装置。
  14. ステータコイルを構成する複数相の相コイルが巻かれる偶数個のステータ磁極を周方向一定ピッチでもつ軟磁性のステータコアと、前記ステータ磁極に対面可能な偶数個のロータ磁極を周方向一定ピッチでもつ軟磁性のロータコアと、前記各相コイルのインダクタンス増大期間に略台形波の電流を通電するモータ駆動回路とを備えるスイッチドリラクタンスモータ装置において、
    前記相コイルとともにすべての前記ステータ磁極に別々に集中巻きされる偶数個のDCコイルを有し、
    前記モータ駆動回路は、電動動作に際して、前記相コイルのインダクタンス減少期間における前記相コイルの電流が前記ステータ磁極に形成する磁束量と略等しくかつ向きが反対の磁束を前記ステータ磁極に形成する直流電流Idcを前記DCコイルに通電し、かつ、前記相コイルのインダクタンス増大期間における前記相コイルの電流が前記ステータ磁極に形成する磁束と同一向きの磁束を前記ステータ磁極に形成することをことを特徴とするスイッチドリラクタンスモータ装置。
  15. 前記DCコイルは、前記相コイルよりも、小さい導体断面積と多いターン数とをもつ請求項14記載のスイッチドリラクタンスモータ装置。
  16. 前記モータ駆動回路は、互いに直列された前記各DCコイルと並列に接続されたキャパシタを有する請求項14記載のスイッチドリラクタンスモータ装置。
  17. 前記モータ駆動回路は、互いに直列された前記各DCコイルに略定電流を通電する定電流回路を有する請求項14記載のスイッチドリラクタンスモータ装置。
  18. 前記モータ駆動回路は、互いに直列された前記各DCコイルに高周波電流を通電する発振回路と、前記高周波電流による前記複数のDCコイルの電圧降下に基づいて前記ロータの回転角を検出するロータ回転角検出回路とを有する請求項14記載のスイッチドリラクタンスモータ装置。
  19. ステータコイルを構成する複数相の相コイルが巻かれる偶数個のステータ磁極を周方向一定ピッチでもつ軟磁性のステータコアと、前記ステータ磁極に対面可能な偶数個のロータ磁極を周方向一定ピッチでもつ軟磁性のロータコアと、前記各相コイルのインダクタンス増大期間に略台形波の電流を通電するモータ駆動回路とを備えるスイッチドリラクタンスモータ装置において、
    各前記ロータ磁極の間のロータ磁極間隙Wgrに永久磁石を有し、
    前記永久磁石は、前記ロータ磁極間隙Wgrの周方向一方側の端部が前記ステータ磁極に与える磁気的影響と、前記ロータ磁極間隙Wgrの周方向他方側の端部が前記ステータ磁極に与える磁気的影響とが異なる磁石磁界分布をもつことを特徴とするスイッチドリラクタンスモータ装置。
  20. 前記永久磁石は、軟磁性の前記ロータ磁極の回転方向前方に隣接して配置され、
    前記モータ駆動回路は、前記相コイルに略矩形波状の交流電圧を印加することにより、前記相コイルのインダクタンス増加期間に前記ロータ磁極を吸引するリラクタンストルクと、前記永久磁石を反発する磁石反発トルクとを発生させる請求項19記載のスイッチドリラクタンスモータ装置。
  21. 前記永久磁石のステータ対向側の表面のうち周方向一方側の端部は、周方向他方側の端部と逆極性に形成される請求項19記載のスイッチドリラクタンスモータ装置。
  22. 前記永久磁石は、前記ロータ磁極間隙Wgrのうち、周方向一方側に偏って配置される請求項19記載のスイッチドリラクタンスモータ装置。
  23. 前記永久磁石は、前記ロータ磁極の表面部に埋設され、
    前記永久磁石の周方向幅は、前記ステータ磁極の周方向幅に略等しい請求項19記載のスイッチドリラクタンスモータ装置。
  24. ステータコイルを構成する複数相の相コイルが別々に集中巻きされる偶数個のステータ磁極を周方向一定ピッチでもつ軟磁性のステータコアと、前記ステータ磁極に対面可能な偶数個のロータ磁極を周方向一定ピッチでもつ軟磁性のロータコアと、前記各相コイルのインダクタンス増大期間に略台形波の電流を通電するモータ駆動回路とを備えるスイッチドリラクタンスモータ装置において、
    前記ロータコアに巻かれる二次コイルを短絡して構成される短絡回路を有し、
    前記短絡回路は、対面する前記ステータ磁極から離れる前記ロータ磁極により誘導される誘導電圧により、前記ステータ磁極に接近する前記ロータ磁極の磁束を強化する短絡電流を流すことを特徴とするスイッチドリラクタンスモータ装置。
  25. 前記短絡回路は、1ターンの前記二次コイルにより構成される請求項24記載のスイッチドリラクタンスモータ装置。
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