JP4319554B2 - 屈折率分布の測定方法および測定装置 - Google Patents
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Description
誤差要因としては、移動手段の真直度誤差や、あるいは、被検体自身の曲がりなどもある。
図18に示す屈折率分布図の場合、各断面が正しくつながれており、正しく計測されている。一方図19は、図18と同じ被検体であるが、被検体をy方向に移動した際、正しく垂直方向に移動できず、約30秒傾いてしまった状態で測定し、そのまま解析した例である。図18とは大きく異なり、正しく測定されていないことがわかる。
このため、各断面の座標を正確に入手する必要がある。したがって、y方向へ移動させたときに被検体のx座標の移動量あるいは、基準を認識しておく必要がある。
また、位相つなぎ処理においては、隣り合うデータが連続である場合にのみ、位相をつなぐことが可能であることが知られている(例えば、特許文献1 参照。)。しかしながら、yの間隔が長いと不連続の場合もあるので、その場合には、従来技術を用いることができない。
また、理論的にレンズの屈折率分布を予測することは、きわめて困難である。しかしながら、成形条件が一定で有れば、製造されたレンズ毎の屈折率分布のばらつきは非常に小さいことがわかっている(例えば、特願2002−147934 参照。)。
そこで、一旦成型した光学部品の屈折率分布を測定することができ、それを光学設計にフィードバックすることができれば、形状補正を行うことにより、良好な光学性能を得る光学系を提供することができる。
請求項3に記載の発明では、請求項2に記載の屈折率分布の測定方法において、位相分布解析結果より被検体の境界部を検出することを特徴とする。
同図において符号1は光源としてのレーザ、2はNDフィルタ、3は第1の偏向器、4は偏光方向回転装置、5はビームエキスパンダ、6は空間フィルタ、7は第1の光束分割素子としてのビームスプリッタ、8は被検体収容装置、9は第2の偏向器、10は第1の光束合成素子としてのビームスプリッタ、11は第2の光束合成素子としてのビームスプリッタ、15は第3の偏向器、16は結像レンズ、17は拡散板、18はズームレンズ、19は第2の光束分割素子としてのビームスプリッタ、20、21は結像レンズ、22は1次元センサ、23は2次元センサ、26はハロゲンランプ、27はスケール、28は第4の偏向器、29はマッチング液、Eは被検体の制御装置、Oは被検体をそれぞれ示す。
被検体収容装置8内には、屈折率が被検体Oとほぼ等しいマッチング液29が充填されており、被検体表面での屈折の影響を排除している。従って、被検体Oがいかなる外形形状であっても被検波は直進する。入射・射出窓には面精度の高いオプティカルフラットOFを配置した。また、光束の有効径よりも大きな被検体を測定可能とするために、光軸に対して直交するy軸方向の上下への昇降可能な機構をつける。またy軸周りに回動可能となっており、任意の入射方向に対して透過波面の計測を可能としている。
干渉縞から透過波面を計測するために、ビームスプリッタ11は図示しないピエゾ素子(PZT)で矢印Aで示す方向に駆動され、参照波の光路長を波長オーダで可変としている。ピエゾ駆動素子の上にビームスプリッタ11を設置する構成がとれるため、光学面が非常に安定して、駆動できる。ピエゾ素子の駆動方向は、同図では、被検光と平行な方向にしてあるが、参照光の入射方向でも構わない。駆動はビームスプリッタ11に対してでなく、ビームスプリッタ7に対してでも構わない。
干渉縞解析方法としては、光路差をπ/2間隔でステップ状に駆動し、5回前後干渉縞を取り込んで解析する位相シフト法を用いる。これに限らず、フーリエ変換法などの他の公知の縞解析方法を使用しても良い。
同図において符号81はセル、82は水槽部、83は循環水の注入部、84は循環水の排出部、85は断熱材、821〜824は水槽をそれぞれ示す。
本体はセル81と循環水水槽部82のアルミ一体鋳造により製造された二重の円筒形状をしており、内側の円筒(セル)81にはマッチング液29と被検体Oが収納され、測定が行われる。水槽部82は、下部の一方に循環水の注入部83,および排出部84を有し、装置内部は、セル81と平行な方向に4つの部屋821〜824に区切られ、水槽部82外側には断熱材85を充填し、外気との熱の伝達を遮断している。サーキュレータによって温度制御された水が水槽821〜824の順番で上方向と下方向に流れることによりセルとの間で熱交換を行い、マッチング液29を所定の温度に制御する。
この構造により、水路の断面積が常に一定になり、流れの抵抗を低減し水流をスムーズに流すことができ、またセル81外壁の窓を除くすべての隔壁が循環水水流と接触するため、熱の伝達が良く温度制御の効率を高めることができる。
同図において符号30は取り付け装置、31は基台、32は被検体昇降用モータ、33はリニアガイド、34は移動台、35は被検体回転用モータ、36はモータジョイント部、37はシャフト、38は被検体ジョイント部、39は校正用部材をそれぞれ示す。
被検体Oの測定領域を相対的に移動するために、被検体昇降用のモーター32と同回転用モータ35があり、被検体Oは被検体ジョイント部38、シャフト37、モータジョイント部36を通じて、それらに固定されている。
被検体を取り付ける部分、すなわち被検体ジョイント部38に同図(a)に示すような開口を有する校正用部材39を取り付ける。このとき、部材は高精度に加工されている物を選択する。その状態で、強度信号を観測すると、光束の通過部と遮光部で強度信号が異なるので、開口部のエッジが判定できる。
リニアガイド33の真直度が正しく出ていないと、開口部のエッジが、リニアガイド33の位置によって移動する。この問題を解消するための校正方法を説明する。
例えば高さy1でのエッジ部左端がx1、y2でのエッジ部左端がx2であったとし、本来x座標としては同じ値になる筈のものであると考えれば、x1とx2が等しくない場合、リニアガイドの傾き量は、
tanθ=(x2−x1)/(y2−y1)・・・・(1)
であるから、このデータを用いて補正すればよい。補正はCPU等に組み込んだプログラムでソフト的に行うことができる。
部材としては、図4(a)の校正用部材39のほかに例えば光軸中心位置を割り出すために同図(b)のような十字形状の校正用部材39’でもよい。
このように事前に開口部を有する校正用部材39、39’を用いて、キャリブレーションを行い、各y座標でのx座標の相対位置を把握し、その後測定することで、測定精度を真直度0.1mm以下相当に抑えることが可能となる。
透過波面の位相分布から、屈折率分布を求めるために、被検体の光軸方向肉厚d(x)を事前に計算しておくとよい。被検体に光束を透過させて干渉縞検出器上に干渉縞像を結像させる。干渉縞検出器のリニアCCDの出力から位相シフト法などの縞解析方法を用いて、透過波面の位相分布WF(x)(単位:λ)を計測する。λは、光源の波長である。そして、特定の位置をx=0として、その位置に対応する断面の位相分布を基準のWF(0)として求め、次式によりΔn(x)を算出する。
Δn(x)=(WF(x)−WF(0))・λ/d(x)・・・・(2)
こうして任意の測定断面について、屈折率分布Δn(x)を算出することができる。
断面測定の際、同図(a)に測定領域として示すように、基準となるマッチング液の領域を含んで測定するとよい。このような状態で、干渉縞解析を行うと、被検体の境界(エッジ部)で位相分布が不連続になる。これにより、被検体の境界を検出することが可能となる。被検体の境界は、設計データや実際のものを計測することにより算出することができるので、これにより、各断面の相対座標が揃うように補正して、Δn(x,y)を求めることが可能となる。
以下、計測結果を処理する手順を説明する。
複数の断面の測定結果より以下の式で、2次元的に表現する。
Δn(x,y)=(WF(x,y)−WF(0,y))・λ/d(x,y)
・・・・(3)
上記式では、基準となる波面は、WF(0,0)ではなくWF(0,y)としている点である。これは、fθレンズのように、被検体の肉厚がy方向で、数10%以上異なる場合に、被検体とマッチング液とのわずかなずれにともなう、誤差要因となるのを補正するためである。このため、
Δn(0,y)=0と近似している。
また、Δn(x,y)を多項式級数に展開することも可能である。
4次に多項式近似した場合を一例として挙げる。
ただし、
a(y)=a0+a1×y+a2×y2+a3×y3+a4×y4
b(y)=b0+b1×y+b2×y2+b3×y3+b4×y4
c(y)=c0+c1×y+c2×y2+c3×y3+c4×y4
d(y)=d0+d1×y+d2×y2+d3×y3+d4×y4
e(y)=e0+e1×y+e2×y2+e3×y3+e4×y4
これにより得られた係数(a0,b0,...e4)をレンズ設計シミュレーションへフィードバックすることが容易となる。
「主走査断面内における非円弧形状」
主走査面内の近軸曲率半径をRm、光軸からの主走査方向の距離をY、円錐定数をKm、高次の係数をA1、A2、A3、A4、A5、A6、・・・・として、光軸方向のデプスXを次式の多項式で示し、式(5)とする。
副走査断面内で曲率が主走査方向(光軸位置を原点とする座標Yで示す)に変換する場合、副走査断面内における曲率Cs(Y)は、高次の計数をB1、B2、B3、B4、B5、B6、・・・・として、次式で表すことができ、式(6)とする。Rs(0)は、副走査断面内における光軸上の曲率半径を示す。
同図において符号101は発光源、102はカップリングレンズ、103はアパーチャ、104はシリンドリカルレンズ、105は回転多面鏡、106、107はレンズ、109は感光体をそれぞれ示す。
上記光学系の仕様は次の通りである。
光源波長 λ=780nm
カップリングレンズ f=27mm
シリンドリカルレンズ f=46.95mm
ポリゴンミラー
反射面数 5面
内接円半径 18mm
ビーム入射角 60°(ポリゴン入射ビームが光学系光軸となす角)
レンズ106、107のデータは表1に示す。
図9ないし12はレンズ第1ないし第4面の主・副走査方向の係数をそれぞれ示す図である。
レンズ106、107がガラス等による屈折率分布のない材料であるとして、レンズを最適に設計すると、各面の主走査方向と副走査方向の係数は、図9ないし図12に示すようなものとなる。これらの図で得られたデータを基に、ガラスで屈折率分布のないレンズを製造して、図7に示す走査光学系に組み込んで結像位置を測定した結果、図8(a)に示すような副走査方向の結像位置を得た。主走査方向の結像位置はほとんどずれがないので図示を省略した。
図9ないし図12に示したデータを用いて、プラスチック成形により光走査用レンズ106、107を製造した。走査光学系に組み込んだときの結像位置は図8(b)のようになった。
有効領域内での屈折率差(PV値)をδnとすれば、
レンズ106は副走査方向4mm幅において、δn=2.9×10−5
レンズ107は副走査方向8mm幅において、δn=3.16×10−5
となっている。
このとき副走査方向結像位置偏差は1.027mmであった。
光学素子の屈折率分布は、被走査面において、光スポットが走査する有効書き込み幅W(mm)に対応する有効範囲内で、PV値が0.5×10−6以上である場合にこのような結像位置ずれを生じやすく、補正する必要がある。なお、屈折率分布の上限については、ここでは特に限定しないが、金型の補正のしやすさから考慮するとPVは、5.0×10−4以下とすることが望ましい。
そこで、結像位置ずれを各像高毎に補正するように、レンズ106の各面の副走査方向の係数を決定した。
図15、16は補正後の主・副走査方向の係数を示す図である。
ただし、主走査方向の係数は変えず、副走査方向の係数のみを変えてある。この結果、副走査方向結像位置偏差は、0.011mmと良好な結果を得ることができた。
補正設計によって、同図(b)に示すように、ガラス等の屈折率分布のない材料に対しては性能が劣化しているが、同図(a)、(c)に示すように、実際に使われるプラスチック材料に対しては、非常に高度に補正がなされている。
7 第1の光束分割素子
8 被検体収容装置
11 第2の光束合成素子
17 拡散板
22 1次元センサ
29 マッチング液
30 取り付け装置
33 リニアガイド
39 校正用部材
106 レンズ
107 レンズ
Claims (5)
- 可干渉光を出射する光源を用い、該光源からの光束を被検波と参照波とに分割し、測定対象である被検体を該被検体とほぼ同一の屈折率を有するマッチング液内に浸し、前記被検体を収容する収容器を透過した被検波と前記参照波とを重畳させ、前記光束を干渉縞像として検出する屈折率分布の測定方法において、
前記被検体と前記被検波を相対的に移動させ、各移動位置にて前記被検体の断面を透過する透過波面を計測し、前記各断面の相対座標が揃うように、被検体保持部に移動方向に細長い開口を有した部材を用いて、各透過波面データのつなぎ合わせ処理を行い、光束の有効径より大きな領域を測定することを特徴とする屈折率分布の測定方法。 - 請求項1に記載の屈折率分布の測定方法において、
断面測定の際、前記光源からの光束が前記被検体を透過しない領域であるマッチング液の領域を含んで測定することを特徴とする屈折率分布の測定方法。 - 請求項2に記載の屈折率分布の測定方法において、
位相分布解析結果より被検体の境界部を検出することを特徴とする屈折率分布の測定方法。 - 可干渉光を出射する光源と、
該光源からの光束を被検波と参照波とに分割する手段と、
測定対象である被検体を該被検体とほぼ同一の屈折率のマッチング液内に保持する被検体収容器と、
該被検体収容器を透過した被検波と前記参照波とを重畳させ干渉させる重畳手段と、
該重畳手段から出射された光束を干渉縞像として結像させる結像光学系と、
該結像光学系により結像する光像を検出する干渉縞像検出器と、
前記被検体と前記被検波を相対的に移動させ、各移動位置にて前記被検体の断面を透過する透過波面を計測し、各透過波面データをつなぎ合わせ処理することにより、光束の有効径より大きな範囲を測定する手段と、
前記各断面の相対座標が揃うようにする手段と、
を有し、
前記各断面の相対座標が揃うようにする手段として、被検体保持部に移動方向に細長い開口を有した部材を用いることを特徴とする屈折率分布の測定装置。 - 請求項4に記載の屈折率分布の測定装置において、
前記被検体と前記被検波を相対的に移動させたときに発生する位置ずれ誤差をソフト的に補正する機能を有することを特徴とする屈折率分布の測定装置。
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