JP4318967B2 - Icカード - Google Patents
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- Y02E60/13—Energy storage using capacitors
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、蓄電素子が内蔵されたICカードに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、この技術の分野におけるICカードは、例えば、下記特許文献1に開示されている。特許文献1に記載の非接触型ICカードは、キャパシタ又は二次電池である蓄電素子と、アンテナコイルと、ICモジュールと、これらの部品を挟む一対のカバーシートとを備える。このようなICカードは、一般に、蓄電素子、アンテナコイル及びICモジュールを一対のカバーシートの間に挟んで、カバーシート同士を圧着固定することにより成形される。
【0003】
ところで、キャパシタ等の蓄電素子は、通常、対向する2つの電極と、その電極の間に挟まれたセパレータと、電解質溶液と、上記2つの電極、セパレータ及び電解質溶液を密封した状態で収容するケースとを有している。電極などを密封した状態で収容するケースとしては、例えば、特許文献2及び特許文献3には、ケースの周囲を熱融着してシールしたものが開示されている。
【0004】
【特許文献1】
特開2000−90221号公報
【0005】
【特許文献2】
特公昭63−33291号公報
【0006】
【特許文献3】
特開2000-353645号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、ICカードに上記蓄電素子が内蔵されると、蓄電素子のケースの角部上においてICカードの表面の色が本来の色から変色する場合や、蓄電素子の角部がICカードの表面から突出する場合があった。
【0008】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、内蔵された蓄電素子のICカード表面への影響が低減されたICカードを提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、蓄電素子(例えば、電気二重層キャパシタ)を搭載した場合のICカードの構造に関し鋭意研究を重ねた。図8は、略平板状の電気二重層キャパシタ100を搭載した従来のICカード110の平面図である。図9は、図8のICカード110に搭載している電気二重層キャパシタ100の角部S2を拡大した平面図である。また、図10は、図8のICカード110のX-X線に沿った模式断面図である。図10に示すように、電気二重層キャパシタ100は、ICカード110のカード基体75を構成するコアシート71に樹脂を用いてモールド固定されて、ICカード110に搭載されている。
【0010】
ところで、図9から理解されるように、ケース101の角に近づくにつれて、蓄電素体60からケース101の角までの距離が長くなるので、ケース101の角部S2は一般に剛性が低くなっている。そのため、図10に示すように、ICカード110を構成しているコアシート71に電気二重層キャパシタ100を樹脂でモールド固定する際に、ケース101の角部S2が曲がっている場合があった。
【0011】
このように、角部S2が曲がると、その角部S2の先端部分がICカード110の表面近傍に接近し、曲がり方に応じてはICカード110の表面の平滑性を阻害する場合や表面から突出する場合があった。そして、ICカード110の表面から突出しない場合でも、角部S2がICカード110の表面近傍まで近づくと、ケース101の色がICカード110を構成しているデザインシート73a上のデザインの色に影響を与え、ICカード110の表面の色が本来の色から変色する場合があることを本発明者らは見出した。
【0012】
そのため、上記課題を解決するために、本発明に係るICカードは、複数のシートが積層されて一体化されたカード基体と、カード基体に埋設された蓄電素子とを有し、蓄電素子は、第1の電極及び第2の電極を含んで構成される平板状の蓄電素体と、蓄電素体を密閉した状態で収容するケースとを有し、ケースの角部のうち少なくとも1つに面取りが施され面取り部が形成されており、少なくとも1つの前記面取り部のうち少なくとも1つの形状が円弧であり、上記ケースは、1枚の矩形状のフィルムを折り曲げて形成された、互いに対向する第1の領域及び第2の領域を有すると共に、第1の領域と第2の領域の縁部が接合されたシール部を有し、シール部の幅は、上記円弧の領域と、該円弧の両側に位置するケースの辺部の領域とで等しくなっていることを特徴とする。
【0013】
また、本発明は、複数のシートが積層されて一体化されたカード基体と、カード基体に埋設された蓄電素子とを有し、蓄電素子は、第1の電極及び第2の電極を含んで構成される平板状の蓄電素体と、蓄電素体を密閉した状態で収容するケースとを有し、ケースの角部のうち少なくとも1つに面取りが施され面取り部が形成されており、少なくとも1つの前記面取り部のうち少なくとも1つの形状が円弧であり、上記ケースは、互いに対向する第1のフィルム及び第2のフィルムを有すると共に、第1のフィルムと第2のフィルムの縁部が接合されたシール部を有し、シール部の幅は、上記円弧の領域と、該円弧の両側に位置するケースの辺部の領域とで等しくなっている、ICカードにも係る。
【0014】
上記構成では、カード基体に埋設された蓄電素子が有するケースの角部のうち少なくとも1つが面取りされていることから、角部は、面取りされていない場合に比べて尖鋭化されておらず、また、蓄電素体から面取り部までの距離が、面取りされていない場合にくらべて短くなっている。したがって、その面取りされた角部の剛性は面取りされていない場合に比べてより高くなるので、角部が曲がることが抑制される。また、上記のように少なくとも1つの面取り部のうち少なくとも1つの形状が円弧であれば、形状が円弧である面取り部において尖鋭化している部分が実質的になくなるので、その角部の剛性がより高くなり曲がりにくい。
【0015】
また、上記ケースは、1枚の矩形状のフィルムを折り曲げて形成された、互いに対向する第1の領域及び第2の領域を有すると共に、第1の領域と第2の領域の縁部が接合されたシール部を有し、シール部の幅は、円弧の領域と、その円弧の両側に位置するケースの辺部の領域とで等しくなっている。或いは上記ケースは、互いに対向する第1のフィルム及び第2のフィルムを有すると共に、第1のフィルムと第2のフィルムの縁部が接合されたシール部を有し、シール部の幅は、円弧の領域と、その円弧の両側に位置するケースの辺部の領域とで等しくなっている。そのため、蓄電素体から面取り部までの距離をより短くすることが可能である。蓄電素体から面取り部までの距離がより短くなれば角部の剛性がより高くなるので、その角部が曲がることが抑制される。
【0016】
また、上記蓄電素子としては、キャパシタ若しくは二次電池であることが好ましい。
【0017】
また、本発明に係るICカードでは、上記ケースが有する4つの角部に面取り部がそれぞれ形成されていることが好ましい。この場合、4つの面取り部のうち2つの面取り部の形状が円弧であり、他の2つの面取り部の形状が直線であることが好ましい。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、以下の説明では、同一または相当部分には同一符号を付し、重複する説明は省略する。また、図中の寸法比率は、説明のものとは必ずしも一致していない。
【0019】
本実施形態に係るICカード(例えば、非接触型ICカード)は、電気二重層キャパシタ(蓄電素子)を内蔵している。先ず、このICカードに内蔵されている電気二重層キャパシタについて図1〜図4を参照して説明する。
【0020】
図1は本実施形態に係るICカードに内蔵されている電気二重層キャパシタ1の模式断面図である。また、図2は図1に示す電気二重層キャパシタ1の平面図である。更に、図3は図2の電気二重層キャパシタ1をIII-III線に沿って切断した場合の模式断面図である。なお、図1は、図2の電気二重層キャパシタ1をI-I線に沿って切断した場合の断面図である。
【0021】
図1〜図3に示すように、電気二重層キャパシタ1は、主として、互いに対向する平板状のアノード(第1の電極)10及び平板状のカソード(第2の電極)20と、アノード10とカソード20との間に隣接して配置される平板状のセパレータ40と、電解質溶液30と、これらを密閉した状態で収容するケース50と、アノード10に一方の端部が電気的に接続されると共に他方の端部がケース50の外部に突出されるアノード用リード11と、カソード20に一方の端部が電気的に接続されると共に他方の端部がケース50の外部に突出されるカソード用リード21とから構成されている。ここで、アノード10、セパレータ40及びカソード20から構成される平板状の積層体を蓄電素体60と称す。「アノード」10及び「カソード」20は、電気二重層キャパシタ1の放電時の極性を基準に決定したものである。なお、電気二重層キャパシタ1の厚さD1は、例えば、約0.5mmである。
【0022】
図1を参照すると、アノード10は、集電体12と、その集電体12と積層している電子伝導性の多孔体層13とから構成される。また、カソード20は、集電体22と、その集電体22と積層している電子伝導性の多孔体層23とから構成される。
【0023】
集電体12及び集電体22は、多孔体層13及び多孔体層23への電荷の移動を充分に行うことができる良導体であれば特に限定されず、公知の電気二重層キャパシタに用いられている集電体を使用することができる。集電体12及び集電体22としては、アルミニウムなどの金属箔等が例示される。
【0024】
また、集電体12は、例えばアルミニウムからなるアノード用リード11の一端に電気的に接続され、アノード用リード11の他端はケース50の外部に延びている。一方、集電体22は、例えばアルミニウムからなるカソード用リード21の一端に電気的に接続され、カソード用リード21の他端はケース50の外部に延びている。
【0025】
多孔体層13,23の構成材料としては特に限定されず、公知の電気二重層キャパシタに用いられている炭素電極等の分極性電極を構成する多孔体層に使用されているものと同様の材料を使用することができる。多孔体層13,23としては、例えば、活性炭を構成材料の主成分としているものを使用することができる。なお、多孔体層13,23には、バインダー等の炭素材料以外の構成材料が含まれていてもよい。
【0026】
なお、アノード10及びカソード20は、蓄電素体60において、夫々多孔体層13,23がセパレータ40と接するように配置されている。
【0027】
セパレータ40は、イオン透過性を有し、絶縁性の多孔体から形成されていれば特に限定されず、公知の電気二重層キャパシタに用いられているセパレータを使用することができる。絶縁性の多孔体としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン又はポリオレフィンからなるフィルムの積層体や上記樹脂の混合物の延伸膜、或いは、セルロース、ポリエステル及びポリプロピレンからなる群より選択される少なくとも1種の構成材料からなる繊維不織布が挙げられる。
【0028】
電解質溶液30はケース50の内部空間に充填され、その一部は、アノード10及びカソード20、並びに、セパレータ40の内部に含有されている。この電解質溶液30は特に限定されず、公知の電気二重層キャパシタに用いられている電解質溶液(電解質水溶液、有機溶媒を使用する電解質溶液)を使用することができる。
【0029】
ケース50は、1枚の矩形状のフィルムFを用いて形成されている。フィルムFは、可とう性を有するフィルムであれば特に限定されないが、電解質溶液に接触する合成樹脂製の最内部の層と、最内部の層の上方(外側の面上)に配置される金属層とを少なくとも有する複合包装フィルムであることが好適である。ケース50は、フィルムFを用いて次のようにして形成されている。すなわち、ケース50は、先ず、フィルムFをほぼ半分に折り曲げて形成された互いに対向する第1の領域51及び第2の領域52の縁部同士を重ね合せ、その重ね合わされている部分を接着剤を用いるか又はヒートシールを行うことにより接合して形成する。
【0030】
本明細書において、ケース50においてフィルムFの第1の領域51と第2の領域52とが接合されている縁部をシール部53と称す。また、蓄電素体60から外側に突出する方向、すなわち、蓄電素体60の側面に略直交する方向のシール部53の長さをシール部53の幅と称す。
【0031】
なお、図2に示すように、シール部53からは、アノード用リード11及びカソード用リード21のそれぞれの一端が外部に突出している。図3に示すように、アノード用リード11及びカソード用リード21におけるシール部53との重複領域は絶縁膜14,24で被覆されていることが好ましい。第1のフィルム51及び第2のフィルム52を構成する複合包装フィルム中の金属層とアノード用リード11及びカソード用リード21が接触するの防止することができるからである。
【0032】
また、図2を参照すると、ケース50は平面視において略長方形であり、ケース50の横幅W及び縦幅T夫々は、例えば、約14mm及び約12mmである。
【0033】
ケース50の4つの角部54A,54B,54C,54D夫々には面取りが施され、面取り部55a,55b,55c,55dが形成されている。角部54B及び角部54Cの拡大図を図4(a)及び図4(b)に示す。
【0034】
角部54A,54Bの面取り部55a,55bの形状は円弧であることが好適である。面取り部55a,55bの形状を円弧とすることにより、角部54A,54Bにおいて尖鋭化している部分が実質的になくなるからである。この円弧の領域におけるシール部53の幅(すなわち、円弧の半径)Rは、その円弧の両側に位置するケース50の辺部の領域のシール部53の幅と等しいことが好適である。この場合には、蓄電素体60の角から面取り部55a,55bの外周面までの距離がより短くなるからである。図4(a)を参照し、面取り部55bを例としてより具体的に説明すると、角部54Bにおける面取り部55bが形成されている領域(円弧の領域)のシール部53の幅Rは、面取り部55bの両側に位置するケース50の辺部56,57におけるシール部53の幅l1と等しくなっている。ここで、辺部56,57の幅l1は、例えば、2mmである。
【0035】
また、フィルムFが折り曲げられている側、すなわち、ケース50の外周面58側の面取り部55c,55dの形状は、シール部53の機能を確保する観点から直線であることが好ましい。この場合、外周面58におけるシール部53の長さl2は、シールを確実にできる長さとする。図4(b)を参照して、角部54Cの場合を例にして直線形状に面取りする場合の条件について説明する。
【0036】
図4(b)に示すように、面取り部55cの外周面とその外周面に隣接するケース50の外周面58とのなす角度をαとし、面取り部55cの外周面とケース50の外周面59とのなす角度をβとした場合に、角度βが角度α以上であることが好適である。この場合、シール部53の幅l1と長さl2との差を小さくしつつ角部54Cの剛性を向上させることができるからである。なお、角度αは約120°以上が好ましく、面取り部55cの両端(外周面58,59との境界)近傍の剛性を同じにするという観点からは約135°が例示される。
【0037】
上記のように、角部54A,54Bには、面取り部55a,55bが形成されているので、蓄電素体60の角から面取り部55a,55bまでの距離が、面取りされていない場合に比べて短くなっている。更に、その形状が円弧であることから尖鋭化している部分が実質的になくなっている。そのため、面取りされていない場合に比べて角部54A,54Bの剛性が高く曲がりにくくなっている。また、角部54C,54Dには、面取り部55c,55dが形成されており、角部54A,54Bの場合と同様に蓄電素体60の角から面取り部55c,55dまでの距離が面取りされていない場合に比べて短くなっている。そのため、角部54C,54Dの剛性が高く曲がりにくくなっている。また、面取り部55c,55dの形状を直線としているので、シール部53の機能を確保しつつ角部54C,54Dの剛性を高くすることができている。
【0038】
図5は、上記電気二重層キャパシタ1を内蔵した本実施形態に係るICカード70の平面図である。図6は、ICカード70の分解構成図であり、図7は、図5のICカード70のVII-VII線に沿った模式断面図である。図5に示すように、ICカード70は非接触型ICカードであって、ICモジュール80、アンテナコイル90及び電気二重層キャパシタ1等が内蔵されている。
【0039】
アンテナコイル90は、ICカード70に対応するICカードリーダ・ライタ(不図示)から電磁誘導による電力やクロックの供給を受けるためのアンテナであり、また、ICカードリーダ・ライタとの間でデータ伝送を行うためのアンテナである。アンテナコイル90は、例えば、アルミニウム、導、銀、金、鉛、インジウム、クロム、ニッケル等の良導性金属材料から構成されていれば良い。
【0040】
ICモジュール80にはICが搭載されている。ICモジュール80は、アンテナコイル90の両端部と電気的に接続されており、アンテナコイル90で受信したデータのデジタル変換や格納、アンテナコイル90で受信した電力の直流変換等、ICカード70に要求される各種処理を行う。
【0041】
電気二重層キャパシタ1は、アノード用リード11及びカソード用リード11を介してICモジュール80と電気的に接続されており、ICモジュール80に電力を供給する機能を有する。また、電気二重層キャパシタ1は、アンテナコイル90を介して得られる電力を蓄電する機能を有する。電気二重層キャパシタ1が電力を供給及び蓄電する機能は、ICモジュール80により制御される。
【0042】
図6を参照すると、ICモジュール80、アンテナコイル90及び電気二重層キャパシタ1は、熱可塑性樹脂から構成されたコアシート71に搭載されている。コアシート71としては、ポリエチレンテレフタレート(PET)が例示されるが、絶縁性樹脂から構成されていれば特に限定されない。
【0043】
図6及び図7を参照すると、コアシート71の両面を白色のカバーシート72a,72bが被覆している。カバーシート72a,72bは、絶縁性樹脂から構成されていれば特に限定されないが、コアシート71と同じ組成であることが好適である。カバーシート72a,72bとしてはPETが例示される。
【0044】
更に、カバーシート72aの上面及びカバーシート72bの下面には、デザインシート73a,73bが設けられている。デザインシート73aの上面及びデザインシート73bの下面には夫々各種デザインが施されている。デザインシート73a,73bも熱可塑性樹脂から構成されていれば特に限定されないが、例えば、ポリ塩化ビニル(PVC)である。また、デザインシート73a,73b夫々のデザインが施されている面は、透明のカバーシート74a,74bで被覆されている。カバーシート74a,74bは、熱可塑性樹脂であれば特に限定されないが、デザインシート73a,73bと同じ組成であることが好適である。カバーシート74a,74bとしては、PVCが例示される。上記構成のICカード70の厚さD2は、例えば、0.75mmである。
【0045】
上記コアシート71、カバーシート72a,72b、デザインシート73a,73b及びカバーシート74a,74bは、一体化されておりカード基体75を構成している。したがって、ICカード70は、カード基体75中にICモジュール80、アンテナコイル90及び電気二重層キャパシタ1等が埋設されたものである。
【0046】
上記ICカード70は、例えば、次のようにして製造される。すなわち、アンテナコイル90が形成されICモジュール80が搭載されたコアシート71に電気二重層キャパシタ1を樹脂でモールド固定する。なお、電気二重層キャパシタ1をモールド固定するための樹脂としては、例えば、コアシート71を構成している樹脂と同じである。アンテナコイル90は、例えば、導電性ペーストをコアシート71上にスクリーン印刷、乾燥させることにより形成すればよい。
【0047】
次に、電気二重層キャパシタ1が搭載されたコアシート71の両面にカバーシート72a,72b夫々を重ねて熱圧着する。これにより、コアシート71とカバーシート72a,72bとが一体化して積層体72が形成される。上記熱圧着を実施するための条件として、圧力約10×105Pa、温度140℃、時間25分が例示される。
【0048】
そして、積層体72の両面に、夫々デザインシート73a,73b、カバーシート74a,74bを重ねて熱圧着すると、積層体72、デザインシート73a,73b及びカバーシート74a,74bが一体化されてカード基体75が形成され、カード基体75中にICモジュール80、アンテナコイル90及び電気二重層キャパシタ1等が埋設されたICカード70が得られる。なお、上記熱圧着を実施するための条件としては、圧力約15×105Pa、温度130℃、時間20分が例示される。
【0049】
ここで、比較のために、図8に角部S1,S2,S3,S4に面取り部を形成していない電気二重層キャパシタ100を内蔵した従来のICカード110の平面図を示す。図9は、電気二重層キャパシタ100の角部S2近傍を拡大した平面図である。図10は、図8のICカード110のX-X線に沿った断面を拡大した模式断面図である。
【0050】
従来のICカード110の場合、図10に示すように電気二重層キャパシタ100におけるケース101の角部S2が曲がってICカード110の表面近傍まで接近する場合があった。これは次の理由による。図9に示すように、角部S2に面取りが施されていないと、ケース101の隣接する2つの外周面のなす角度は90°であり、その角は尖鋭化している。また、蓄電素体60の角から角部S2の先端までの距離l3が比較的長くなる。そのため、角部S2の剛性が比較的低く、電気二重層キャパシタ100をコアシート71に樹脂でモールド固定してICカード110に内蔵する時に角部S2が曲がっている場合がある。蓄電素体60の角から角部S2の角までの距離l3は上述したシール部53の幅l1(例えば、約2mm)よりも長い。一方、ICカード110の厚さD2は約0.75mmであるので、角部S2が曲がるとその角部S2の先端近傍がICカード110の表面から飛び出したり、ICカード110の表面近傍まで接近しその部分のICカード110の色が本来の色から変色したりする場合があった。なお、上記では、電気二重層キャパシタ100の角部S2について説明したが、他の角部S1,S3,S4に関しても同様である。
【0051】
これに対して、本実施形態に係るICカード70は、角部54A〜54D夫々に面取り部55a〜55dを形成した電気二重層キャパシタ1を内蔵している。そのため、蓄電素体60の4つの角から、各角の近くの面取り部55a〜55dの外周面までの距離は、面取りされていない場合に比べて短くなっている。これにより、電気二重層キャパシタ1の角部54A〜54Dは、面取りが施されていない場合に比べて剛性がより高くなっている。したがって、ICカード70が電気二重層キャパシタ1を内蔵していても、電気二重層キャパシタ1の角部54A〜54Dが曲がりにくく、図7に示すように角部54A〜54Dの先端部はICカード70の表面近傍に近づかない。
【0052】
また、仮に曲がったとしても、蓄電素体60から角部54A〜54Dまでの距離が短くなっているので、ICカード70の表面まで達しにくい。そのため、図7に示すように電気二重層キャパシタ1のケース50がICカード70の表面から突出することや、ICカード70の表面の本来の色がケース50の影響を受けて変色することが抑制されている。言い換えれば、電気二重層キャパシタ1がICカード70に内蔵されても、ICカード70の表面への電気二重層キャパシタ1の影響が低減されている。
【0053】
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されないことは言うまでもない。例えば、ICカード70に内蔵する蓄電素子として、電気二重層キャパシタとしたが、リチウムイオン二次電池などの二次電池でも良い。二次電池とする場合には、アノード10、カソード20及びセパレータ40(言い換えれば、蓄電素体60)を、二次電池を構成する公知の材料で構成すればよい。また、電解質溶液30を二次電池に用いられる公知の電解質溶液とすれば良い。
【0054】
また、角部54C,54Dの面取り部の形状は直線としているが、シール部53の機能を保持可能な程度に丸められていても良く、角部54A,54Bの面取り部の形状は直線でも良い。面取り部の形状を円弧とした場合、その円弧の半径(円弧の領域のシール部の幅)Rを、辺部56,57のシール部53の幅l1としているが、必ずしもl1に一致させなくても良い。例えば、l1よりも若干長くても良く、またシール部53の機能を保持可能な程度に短くしても良い。更に、電気二重層キャパシタ1の4つの角部54A〜54D夫々に面取り部55a〜55dを形成しているが、角部54A〜54Dのうちの少なくとも1つの角部に面取りが施され面取り部が形成されていれば良い。
【0055】
更に、上記実施形態では、1枚のフィルムFを折り曲げてケース50を構成しているが、例えば、夫々独立した矩形状の第1のフィルムと第2のフィルムとを重ね合わせて、その対向している縁部を熱融着または接着剤で接合してシール部を形成しケース50を構成しても良い。この場合、第1のフィルムが、フィルムFの第1の領域51(又は第2の領域52)に相当し、第2のフィルムが、フィルムFの第2の領域52(又は第1の領域51)に相当する。
【0056】
また、カード基体75を、コアシート71、カバーシート72a,72b、デザインシート73a,73b及びカバーシート74a,74bから構成しているが、少なくともコアシートと、その両面を被覆するシートから構成されていれば良い。なお、上記カード基体75を構成する複数のシートは、絶縁性があればよいので必ずしも全て樹脂製である必要はない。
【0057】
【発明の効果】
本発明のICカードによれば、内蔵されている蓄電素子のICカードの表面への影響を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施形態に係るICカードに内蔵される電気二重層キャパシタの構成を示すための模式断面図である。
【図2】図1の電気二重層キャパシタの平面図である。
【図3】図1の電気二重層キャパシタのIII-III線に沿った平面で切断した場合の模式断面図である。
【図4】図4(a)は、電気二重層キャパシタの角部54Bの拡大平面図である。図4(b)は、電気二重層キャパシタの角部54Cの拡大平面図である。
【図5】図1の電気二重層キャパシタを内蔵した本実施形態に係るICカードの平面図である。
【図6】図5のICカードの分解構成図である。
【図7】図5のICカードのVII-VII線に沿った模式断面図である。
【図8】角部が面取りされていない電気二重層キャパシタを内蔵した従来のICカードの平面図である。
【図9】図8のICカードに内蔵されている電気二重層キャパシタの角部を拡大した平面図である。
【図10】図8のICカードをX-X線に沿った模式断面図である。
【符号の説明】
1…電気二重層キャパシタ(蓄電素子)、10…アノード、11…アノード用リード、20…カソード、21…カソード用リード、30…電解質溶液、40…セパレータ、50…ケース、51…第1の領域、52…第2の領域、53…シート部、54A〜54D…ケースの角部、55a〜55d…面取り部、56,57…円弧の両側に位置する辺部、60…蓄電素体、70…非接触型ICカード、71…コアシート、72a,72b…カバーシート、73a,73b…デザインシート、74a,74b…カバーシート、75…カード基体、80…ICモジュール、90…アンテナコイル、F…フィルム。
Claims (6)
- 複数のシートが積層されて一体化されたカード基体と、
前記カード基体に埋設された蓄電素子と
を有し、
前記蓄電素子は、第1の電極及び第2の電極を含んで構成される平板状の蓄電素体と、前記蓄電素体を密閉した状態で収容するケースとを有し、
前記ケースの角部のうち少なくとも1つに面取りが施され面取り部が形成されており、
少なくとも1つの前記面取り部のうち少なくとも1つの形状が円弧であり、
前記ケースは、1枚の矩形状のフィルムを折り曲げて形成された、互いに対向する第1の領域及び第2の領域を有すると共に、前記第1の領域と前記第2の領域の縁部が接合されたシール部を有し、
前記シール部の幅は、前記円弧の領域と、該円弧の両側に位置する前記ケースの辺部の領域とで等しくなっていることを特徴とするICカード。 - 複数のシートが積層されて一体化されたカード基体と、
前記カード基体に埋設された蓄電素子と
を有し、
前記蓄電素子は、第1の電極及び第2の電極を含んで構成される平板状の蓄電素体と、前記蓄電素体を密閉した状態で収容するケースとを有し、
前記ケースの角部のうち少なくとも1つに面取りが施され面取り部が形成されており、
少なくとも1つの前記面取り部のうち少なくとも1つの形状が円弧であり、
前記ケースは、互いに対向する第1のフィルム及び第2のフィルムを有すると共に、前記第1のフィルムと前記第2のフィルムの縁部が接合されたシール部を有し、
前記シール部の幅は、前記円弧の領域と、該円弧の両側に位置する前記ケースの辺部の領域とで等しくなっていることを特徴とするICカード。 - 前記蓄電素子がキャパシタであることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のICカード。
- 前記蓄電素子が二次電池であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のICカード。
- 前記ケースが有する4つの前記角部に前記面取り部がそれぞれ形成されている、請求項1〜請求項4の何れか1項に記載のICカード。
- 4つの前記面取り部のうち2つの前記面取り部の形状が円弧であり、他の2つの前記面取り部の形状が直線である請求項5に記載のICカード。
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