JP4060549B2 - 電気化学素子の外装体 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、リチウムイオン電池や電気二重層キャパシタ等、シート状の電気化学素子の外装体に関する。
【0002】
【従来の技術】
本発明における電気化学素子とは、電気化学反応を利用した素子を意味し、具体例として電池、電気二重層キャパシタ、エレクトロミック表示素子等が挙げられる。以下、その代表例として、薄型シート状電池を例にとって説明する。
【0003】
現在、様々な形の電池が、エレクトロニクスの分野から自動車用途、あるいは電力貯蔵を意図した大型電池まで広く利用されている。
【0004】
通常、このような電池の電解質には液体が用いられているが、電解質を固体状にできれば、液漏れの防止やシート構造化が可能となる。このため、固体電解質を利用する電池は、次世代タイプの電池として注目を集めている。特に、現在、ノート型パソコン、携帯電話等での利用が急速に広まっているリチウムイオン2次電池等をシート化あるいは積層小型化することができれば、さらに応用範囲が広がるものと期待されている。
【0005】
こうした固体状の電解質を用いる場合、セラミックス材料、高分子材料、あるいは、それらを複合化した材料が提案されている。中でも、高分子電解質と電解液等とを用い、可塑化したゲル電解質は、液体系の高導電率と高分子系のプラスチック性とを兼ね備えており、電解質開発の上で有望視されている。
【0006】
また、このような固体電解質を用いた電池の長所の一つとして、薄型大面積化、すなわちシート状形態化を可能にする点がある。これにより、さらに応用用途の展開が加速される。
【0007】
ところで、このようなシート型電池の外装体としては、特開平10−208711号、同10−208725号、同10−214606号各公報等に開示されているようなアルミニウム等の金属箔を有する袋状体が用いられている。このものは、ラミネートフィルムを折り曲げて電池を収納し、その外周部のラミネートフィルムの積層部(封口部)を熱融着して密閉構造としたもので、形状としては、三方シール型、カマス型、合掌型等がある。このようなアルミラミネートフィルムの袋状体を用いる利点は、軽量薄層化に寄与できる点である。しかしながら、このような外装体を用いる場合においても従来の電池と同様に高温におけるケースの信頼性が要求されるが、アルミラミネートフィルムの袋状体は、シール部の機械的強度が劣るという欠点がある。
【0008】
ラミネートフィルムの袋状体を用いる場合、形状としては様々な種類が考えられるが、いずれの場合にもシール部を外周に設ける必要がある。外装体は、内蔵する電池を完全に密閉すること、特に、密閉された内部に空気中の水分等が侵入しないように、また、揮発成分が外にでないように気密に密閉することが必要である。水分等が内部に侵入すると、電池特性、特に、電池の保存特性が低下してしまう。そのため、ガスバリアー性および防湿性を確保するために、ラミネートフィルムには水分透過率、ガス透過率の少ないものが使用され、通常、アルミニウムラミネートが使用されている。アルミニウムは樹脂フィルムに比較して水分やガスの透過率が非常に小さいが、それのみでは熱融着できないので、アルミニウムの内側に熱融着に適したポリプロピレンフィルム等を積層し、これをアルミニウムに熱融着してシールする。しかし、ポリプロピレンは水分透過率、ガス透過率がアルミニウムと比べて高いため、シール部の幅が狭いとポリプロピレンフィルムを水分やガスが通過してしまうので、ポリプロピレンフィルムの熱融着する幅を相当に広く、換言すると、水分やガスが透過する距離を長くしてこれらの透過を少なくする必要がある。つまり、ラミネート外装体は、シール部からの水分の侵入、揮発成分の透過を阻止するために、シール部の幅を広くする必要がある。従って、電池全体のサイズとしては、このシール部のために結果的には大きくならざるを得ない。これは、前述したように薄型省スペース化に相反するものである。これに対して、このシール部を折り曲げることが当然考えられるが、アルミ箔を折り曲げると、折り曲げ部分にマイクロクラックが生じ、本来のガスバリヤー性、防湿性は確保できなくなる。また、意図的に折り曲げなくても落下衝突等によりシール部が折れ曲がる可能性が生じる。従って、アルミラミネートフィルムの袋状体を外装体として用いる場合、信頼性、安全性という点で問題が生じていた。また、アルミラミネートフィルムの袋状体は、リード部のシール性に問題があり、隙間が生じやすいという欠点もある。
【0009】
また、電池の外装体には、内部に絶縁層を設けて電池と絶縁した、ステンレスやニッケルメッキを施した鉄、または、アルミ等の金属製のものも用いられる。このものは、気密性が高く、かつ、機械的強度にも優れるが、電池容器の材料やデザイン化には大きな制約となる。そして、製造においては、電池蓋との溶接や電池蓋の端子と極板との接続、電池組立後の溶接不良試験等の多くの工程を必要とせざるを得ない。また、樹脂材料を用いるもの、袋状体と比べて重く、軽量薄型化、小型化することはできない。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、アルミラミネートフィルムの袋状体の欠点を改善し、十分な強度を有し、ガスバリヤー性、防水性に優れ、しかも、小型化に寄与できるシート状電気化学素子外装体を提供することである。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記目的は、下記のいずれかの本発明によって達成される。
(1) 電気化学素子を収納する外装体であって、少なくとも電気化学素子の外周部に枠が配置され、この枠が剛性の高い樹脂により形成されており、前記電気化学素子の上下には前記枠を挟んで金属箔が配置されており、この2枚の金属箔が、前記枠に直接接着されており、前記枠の樹脂が、下記式;
【化1】
で示される構造を有する環状オレフィンコポリマーである、電気化学素子の外装体。
(2) 前記金属箔が、アルミニウム箔である上記(1)の電気化学素子の外装体。
(3) 前記枠の樹脂の40℃、90%RHにおける透湿係数が0.4g・mm/m2・d以下である上記(1)又は(2)の電気化学素子の外装体。
(4) 前記電気化学素子が固体電解質を有する上記(1)〜(3)のいずれかの電気化学素子の外装体。
【0012】
【作用】
本発明の電気化学素子の外装体は、少なくとも電気化学素子の外周部に枠を配置し、この枠が剛性の樹脂から形成されているものであり、さらに、電気化学素子の上下に枠を挟んで金属箔が配置されており、この2枚の金属箔が枠に直接接着されているものである。この樹脂は、下記式;
【化1】
で示される構造を有する環状オレフィンコポリマーである。樹脂の40℃、90%RHにおける透湿係数は0.4g・mm/m2・d以下であることが好ましい。
【0013】
本発明では、従来のアルミニウムの袋状体のシール部に用いられているポリプロピレン等ではなく、ガスバリヤー性が高く、軽量な上記のような樹脂を用い、これを外装体の枠とすることにより、従来のアルミニウムの袋状体と同等のガスバリヤー性、防湿性を得ている、しかも、ポリプロピレン等を用いてシールする袋状体のものと比べて、シール部の面積が小さくてすみ、外装体を小型化できる。また、アルミニウムを折り曲げることがなく、シール部を小さくすることができるので、マイクロクラックが生じたりすることなく、十分な強度が得られ、耐衝撃性が高い。その結果、信頼性、安全性が高く、しかも、小型化可能な外装体が得られる。
【0014】
また、樹脂を電気化学素子の外周部の枠に用いることで、様々な形状とすることができるという利点がある。しかも、本発明のシート状電気化学素子外装体の製造は容易である。
【0015】
【発明の実施の形態】
まず、本発明で用いる樹脂について説明する。本発明の枠に用いる樹脂は、高剛性で、ガスバリヤー性、防湿性が高いものが好ましい。
【0016】
本発明で用いる樹脂の40℃、90%RHにおける透湿係数は、0.4g・mm/m2・d以下、特に0.08〜0.15g・mm/m2・dであることが好ましい。透湿係数がこれより大きいと、十分な防湿性が確保できず、電気化学素子の十分な寿命が得られ難くなってくる。なお、ポリプロピレンの40℃、90%RHにおける透湿係数は0.3g・mm/m2・d程度である。
【0017】
また、23℃、0%RHにおける酸素の透過率は、600cm3・mm/m2・d・MPa以下、特に200〜400cm3・mm/m2・d・MPaであることが好ましい。23℃、0%RHにおける二酸化炭素の透過率は、1000cm3・mm/m2・d・MPa以下、特に500〜1000cm3・mm/m2・d・MPaであることが好ましい。なお、ポリプロピレンの23℃、0%RHにおける酸素の透過率は850cm3・mm/m2・d・MPa程度、23℃、0%RHにおける二酸化炭素の透過率は3000cm3・mm/m2・d・MPa程度である。
【0018】
また、本発明で用いる樹脂は、強度が強いことが好ましく、23℃におけるアイゾット衝撃強度(ノッチあり)は20〜40J/m、ロックウェル硬度は70〜100であることが好ましい。引っ張り強度は40〜80MPa、引っ張り伸び率は1〜20%、曲げ弾性率は2000〜3000MPa、曲げ強度は80〜110MPaであることが好ましい。熱変形温度(1.82MPa)は90〜120℃、線膨張係数は5〜8、であることが好ましい。吸水率(23℃×24h)は0.03以下であることが好ましい。
【0019】
本発明で用いる樹脂としては、環状オレフィン構造を有するものであることが好ましく、特に化1に示される構造を有する環状オレフィンコポリマーが好ましい。このものは、主骨格に嵩高い脂環構造を有するため、非晶性で、かつ、高いガラス転移温度(Tg)を示す。従って、ポリオレフィン樹脂としての性質と、非晶性樹脂としての性質を併せ持っており、防湿性、耐薬品性、耐熱剛性、耐低温性に優れている。また、寸法安定性、成形性にも優れている。
【0020】
【化1】
【0021】
このような樹脂の重量平均分子量(Mw)は、1×105 程度であることが好ましい。
【0022】
このような樹脂は、市販されており、例えば、三井化学製アペル6509、6011、6013、6015等がある。
【0023】
本発明の電気化学素子の外装体は、少なくとも電気化学素子の外周部に配置されている枠(フレーム)が樹脂からなるものである。この外装体は、すべて上記のような樹脂からなるものでもよいが、強度、耐衝撃性を得るために、電気化学素子の上下に枠を挟んで金属箔を配置し、この2枚の金属箔が、前記樹脂からなるフレームに接着されている形状のものが好ましい。
【0024】
このような電気化学素子の一例として、角形フレームのシート状電気化学素子外装体の平面図を図1に、断面図を図2に示す。このものは、電気化学素子3の外周部に、これから僅かに離間するか、あるいは場合によっては接するように樹脂からなる枠(フレーム)1が配置され、電気化学素子3の上下には、前記枠を挟み込むようにして金属箔2が配置されている。そして、この枠(フレーム)1と金属箔2とは、熱圧着や超音波融着により、接着されている。
【0025】
なお、外装体の蓋、つまり枠を除く外装体構成要素として金属箔を用いているが、前述の通り、枠と同様の樹脂であってもよい。また、電気化学素子3に接続されているリード線4は、枠1を貫通するか、その一方の側面に沿って枠の外に引き出されている。このように枠1からリード線4を引き出すには、例えば枠1に予めリード線取り付け溝を設置し、そこにリード線を設け、接着すればよい。ここでは、リード線は、フレームの前後から取り出す形になっているが、例えば、片方から取り出してもよく、引き出す位置や態様は特に制限されるものではない。
【0026】
金属箔ないし金属板は、所定の強度と、耐電解液性、耐食性等を備えていれば特に限定されるものではなく、ステンレススチール(SUS303,304)等を用いることも可能であるが、軽量、加工が容易、安価等の点で、アルミニウムを用いることが好ましい。金属箔の厚さは0.01〜0.1mmが好ましい。厚さがこれより薄いと、十分な強度、耐衝撃性が得られにくくなってくる。これより厚いと、軽量化という点で不十分になってくる。
【0027】
金属箔は、外装体の内部にポリプロピレン等の樹脂による絶縁層を設け、電池と絶縁するとよい。
【0028】
金属箔と樹脂との接着は、接着剤を用いてもよいが、熱圧着や超音波融着で行えばよい。
【0029】
本発明のシート状電気化学素子外装体の大きさは、特に限定されず、電気化学素子の大きさ、形状に合わせて適宜決めればよいが、枠すなわちフレームの樹脂の厚さは0.1〜10mm、特に0.1〜3mm であることが好ましい。樹脂がこれより薄いと、十分なガスバリヤー性、防湿性が得られにくくなる。また、樹脂がこれより厚いと、小型化という面で不利になる。
【0030】
フレームの形状は、角形に限られず、円形、矩形、オーバル形状等、携帯電話等の電気化学素子を取り付ける機器の形状に合わせて適宜決めればよいよい。その一例として、本発明のシート状電気化学素子外装体の平面図を図3、図4に示す。図3、図4においてリード線は省略してある。また、図1、2と重複する構成要素に関しては同一符号を付して説明を省略する。
【0031】
リード線は、電気化学素子の内部電極、集電体と外部とを接続するための引き出し電極である。リード線は、前述のように樹脂製の枠にリード線取り付け溝を設置して、そこにリード線を配置し、接着したり、樹脂製の枠に埋め込み型コネクタを設置し、これにリード線をつないだりすればよい。
【0032】
また、本発明のシート状電気化学素子外装体内に、電気化学素子の制御回路を素子とともに収納してもよい。
【0033】
<電気化学素子>
電気化学素子は、例えば、アルミニウム箔や銅箔等の金属箔等で構成される正負両極の電極と高分子固体電解質とが交互に積層された構造を有する。正負両極の電極には、それぞれ引き出し電極(導出端子)が接続されている。引き出し電極は、アルミニウム、銅、ニッケル、ステンレス等の金属箔で構成される。
【0034】
電気化学素子は、積層タイプや、巻回タイプ等があるが、本発明は特に積層タイプに有効である。
【0035】
本発明の電気化学素子に用いられる電気化学素子は、積層構造の二次電池に限定されるものではなく、巻回された二次電池、あるいはこれらと同様な構造を有するキャパシタなどを用いることができる。
【0036】
本発明の電気化学素子は、次のようなリチウム二次電池、電気二重層キャパシタとして用いることができる。
【0037】
<リチウム二次電池>
本発明のリチウム二次電池の構造は特に限定されないが、通常、正極、負極及び高分子固体電解質ないしセパレータから構成され、積層型電池や角型電池等に適用される。
【0038】
また、高分子固体電解質ないしセパレータと組み合わせる電極は、リチウム二次電池の電極として公知のものの中から適宜選択して使用すればよく、好ましくは電極活物質とゲル電解質、必要により導電助剤との組成物を用いる。
【0039】
負極には、炭素材料、リチウム金属、リチウム合金あるいは酸化物材料のような負極活物質を用い、正極には、リチウムイオンがインターカレート・デインターカレート可能な酸化物または炭素材料のような正極活物質を用いることが好ましい。このような電極を用いることにより、良好な特性のリチウム二次電池を得ることができる。
【0040】
電極活物質として用いる炭素材料は、例えば、メソカーボンマイクロビーズ(MCMB)、天然あるいは人造の黒鉛、樹脂焼成炭素材料、カーボンブラック、炭素繊維などから適宜選択すればよい。これらは粉末として用いられる。中でも黒鉛が好ましく、その平均粒子径は1〜30μm 、特に5〜25μm であることが好ましい。平均粒子径が小さすぎると、充放電サイクル寿命が短くなり、また、容量のばらつき(個体差)が大きくなる傾向にある。平均粒子径が大きすぎると、容量のばらつきが著しく大きくなり、平均容量が小さくなってしまう。平均粒子径が大きい場合に容量のばらつきが生じるのは、黒鉛と集電体との接触や黒鉛同士の接触にばらつきが生じるためと考えられる。
【0041】
リチウムイオンがインターカレート・デインターカレート可能な酸化物としては、リチウムを含む複合酸化物が好ましく、例えば、LiCoO2、LiMn2O4、LiNiO2、LiV2O4などが挙げられる。これらの酸化物の粉末の平均粒子径は1〜40μm 程度であることが好ましい。
【0042】
電極には、必要により導電助剤が添加される。導電助剤としては、好ましくは黒鉛、カーボンブラック、炭素繊維、ニッケル、アルミニウム、銅、銀等の金属が挙げられ、特に黒鉛、カーボンブラックが好ましい。
【0043】
電極組成は、正極では、重量比で、活物質:導電助剤:ゲル電解質=30〜90:3〜10:10〜70の範囲が好ましく、負極では、重量比で、活物質:導電助剤:ゲル電解質=30〜90:0〜10:10〜70の範囲が好ましい。ゲル電解質は、特に限定されず、通常用いられているものを用いればよい。また、ゲル電解質を含まない電極も好適に用いられる。この場合、バインダとしてはフッ素樹脂、フッ素ゴム等を用いることができ、バインダの量は3〜30質量%程度とする。
【0044】
電極の製造は、まず、活物質と必要に応じて導電助剤を、ゲル電解質溶液またはバインダ溶液に分散し、塗布液を調製する。
【0045】
そして、この電極塗布液を集電体に塗布する。塗布する手段は特に限定されず、集電体の材質や形状などに応じて適宜決定すればよい。一般に、メタルマスク印刷法、静電塗装法、ディップコート法、スプレーコート法、ロールコート法、ドクターブレード法、グラビアコート法、スクリーン印刷法等が使用されている。その後、必要に応じて、平板プレス、カレンダーロール等により圧延処理を行う。
【0046】
集電体は、電池の使用するデバイスの形状やケース内への集電体の配置方法などに応じて、適宜通常の集電体から選択すればよい。一般に、正極にはアルミニウム等が、負極には銅、ニッケル等が使用される。なお、集電体は金属箔、金属メッシュなどが、通常、使用される。金属箔よりも金属メッシュの方が電極との接触抵抗が小さくなるが、金属箔でも十分小さな接触抵抗が得られる。
【0047】
そして、溶媒を蒸発させ、電極を作製する。塗布厚は、50〜400μm 程度とすることが好ましい。
【0048】
高分子固体電解質ないしセパレータは、例えば、PEO(ポリエチレンオキシド))系、PAN(ポリアクリロニトリル)系、PVDF(ポリフッ化ビニリデン)系等の高分子微多孔膜を用いることができる。
【0049】
本発明の電気化学素子は、高分子固体電解質を用いるとよい。
【0050】
固体電解質(SPE)として利用可能な高分子物質の具体例としては、公知のゲル型SPE用高分子が挙げられ、例えば、
1)光重合性のモノマーであるエチレンオキシドを含むアクリレートと多官能のアクリレートとの重合体、
2)ポリアクリロニトリル、
3)ポリエチレンオキサイド、ポリプロピレンオキサイド等のポリアルキレンオキサイド、
4)ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、フッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体、フッ化ビニリデン−塩化3フッ化エチレン(CTFE)共重合体〔P(VDF−CTFE)〕、フッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレンフッ素ゴム、フッ化ビニリデン−テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレンフッ素ゴム〔P(VDF−TFE−HFP)〕、フッ化ビニリデン−テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテルフッ素ゴム等のフッ素系高分子等が挙げられる。フッ化ビニリデン系ポリマーとしては、フッ化ビニリデンが50重量%以上、特に70重量%以上であるものが好ましく、特に、ポリフッ化ビニリデン、フッ化ビニリデンとヘキサフルオロプロピレン(HFP)との共重合体、フッ化ビニリデンと塩化3フッ化エチレンとの共重合体〔P(VDF−CTFE)〕が好ましい。
【0051】
VDF−CTFE共重合体は、例えばセントラル硝子(株)から商品名「セフラルソフト(G150,G180)」として、日本ソルベイ(株)から商品名「ソレフ31508」等として販売されている。また、VDF−HFP共重合体は、エルフ・アトケム社から商品名「KynarFlex2750(VDF:HFP=85=15wt%)」、「KynarFlex2801(FDF:HFP=90:10wt%)」等として、日本ソルベイ(株)から商品名「ソレフ11008」、「ソレフ11010」、「ソレフ21508」、「ソレフ21510」等として販売されている。
【0052】
高分子物質を溶解するための溶媒には、例えばアセトン、テトラヒドロフラン、酢酸メチル等を用いることができる。
【0053】
分子量は、材料の強度の点で、重量平均分子量Mwが1.0×105以上、特に3.0×105程度以上であることが好ましい。Mwの上限は、通常、1.0×106程度である。
【0054】
このような正極、高分子膜、負極をこの順に積層し、圧着して電池素体とする。
【0055】
高分子膜に含浸させる電解液は一般に電解質塩と溶媒よりなる。電解質塩としては、例えば、LiBF4 、LiPF6 、LiAsF6 、LiSO3 CF3 、LiClO4 、LiN(SO2 CF3 )2 等のリチウム塩が適用できる。
【0056】
電解液の溶媒としては、前述の高分子固体電解質、電解質塩との相溶性が良好なものであれば特に制限はされないが、リチウム電池等では高い動作電圧でも分解の起こらない極性有機溶媒、例えば、エチレンカーボネート(略称EC)、プロピレンカーボネート(略称PC)、ブチレンカーボネート、ジメチルカーボネート(略称DMC)、ジエチルカーボネート、エチルメチルカーボネート等のカーボネート類、テトラヒドロフラン(THF)、2−メチルテトラヒドロフラン等の環式エーテル、1,3−ジオキソラン、4−メチルジオキソラン等の環式エーテル、γ−ブチロラクトン等のラクトン、スルホラン等が好適に用いられる。3−メチルスルホラン、ジメトキシエタン、ジエトキシエタン、エトキシメトキシエタン、エチルジグライム等を用いてもよい。
【0057】
溶媒と電解質塩とで電解液を構成すると考えた場合の電解質塩の濃度は、好ましくは0.3〜5mol/lである。通常、1mol/l辺りで最も高いイオン伝導性を示す。
【0058】
このような電解液に微多孔性の高分子膜を浸漬すると、高分子膜が電解液を吸収してゲル化し、高分子固体電解質となる。
【0059】
高分子固体電解質の組成を共重合体/電解液で示した場合、膜の強度、イオン伝導度の点から、電解液の比率は40〜90質量%が好ましい。
【0060】
<電気二重層キャパシタ>
電気二重層キャパシタの構造は特に限定されないが、通常、一対の分極性電極が高分子固体電解質ないしセパレータを介して配置されており、分極性電極および高分子固体電解質ないしセパレータの周辺部には絶縁性ガスケットが配置されている。このような電気二重層キャパシタはペーパー型、積層型等と称されるいずれのものであってもよい。
【0061】
分極性電極としては、活性炭、活性炭素繊維等を導電性活物質とし、これにバインダとしてフッ素樹脂、フッ素ゴム等を加える。そして、この混合物をシート状電極に形成したものを用いることが好ましい。バインダの量は5〜15質量%程度とする。また、バインダとしてゲル電解質を用いてもよい。
【0062】
分極性電極に用いられる集電体は、白金、導電性ブチルゴム等の導電性ゴムなどであってよく、またアルミニウム、ニッケル等の金属の溶射によって形成してもよく、上記電極層の片面に金属メッシュを付設してもよい。
【0063】
電気二重層キャパシタには、上記のような分極性電極と高分子固体電解質とを組み合わせる。
【0064】
高分子固体電解質ないしセパレータは、例えば、PEO(ポリエチレンオキシド))系、PAN(ポリアクリロニトリル)系、PVDF(ポリフッ化ビニリデン)系等の高分子微多孔膜を用いることができる。高分子固体電解質の詳細は、上記リチウム二次電池と同様である。
【0065】
電解質塩としては、(C2H5)4 NBF4 、(C2H5)3 CH3 NBF4 、(C2H5)4 PBF4 等が挙げられる。
【0066】
電解液に用いる非水溶媒は、公知の種々のものであってよく、電気化学的に安定な非水溶媒であるプロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、γ−ブチロラクトン、アセトニトリル、ジメチルホルムアミド、1,2−ジメトキシエタン、スルホラン単独または混合溶媒が好ましい。
【0067】
このような非水溶媒系の電解質溶液における電解質の濃度は、0.1〜3mol/lとすればよい。
【0068】
このような電解液に微多孔性の高分子膜を浸漬すると、高分子膜が電解液を吸収してゲル化し、高分子固体電解質となる。
【0069】
高分子固体電解質の組成を共重合体/電解液で示した場合、膜の強度、イオン伝導度の点から、電解液の比率は40〜90質量%が好ましい。
【0070】
絶縁性ガスケットとしては、ポリプロピレン、ブチルゴム等の絶縁体を用いればよい。
【0071】
【実施例】
<実施例1>
固体電解質成分として下記のものを用いた。
高分子物質 PVDF Kynar 2801(アトフィナ社製)
(ポリフッ化ビニリデンと6フッ化プロピレンの共重合体)
電解液 1M LiPF6 /EC+DEC(エチレンカーボネート:ジエチルカーボネート=1:1(体積比)の混合溶媒)(ELと略す)
溶媒 アセトン (Acと略す)
【0072】
上記各成分を重量比でPVDF:EL:Ac=3:7:20を室温を混合し、溶解してゲル電解質溶液を調整した。
【0073】
このゲル電解質溶液を、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム上にドクターブレード法で幅50mmに塗布した。これを1時間風乾し、Acを蒸発させ、PVDF/1M LiPF6 EC+DEC(EC:DEC=1:1(体積比)の混合溶媒)からなる透明なゲル電解質フィルム(シート)を得た。このフィルムの膜厚は90μm であった。
【0074】
正極活物質としてLiCoO2 を、導電助剤としてアセチレンブラックを使用し、重量比で、ゲル電解質溶液:LiCoO2 :アセチレンブラック=2:7.5:1.2となるように秤量し、室温下でゲル電解質溶液に正極活物質と導電助剤を分散・混合して正極用スラリーとした。
【0075】
また、負極活物質として黒鉛を使用し、重量比で、ゲル電解質溶液:黒鉛=2:1となるように秤量し、室温下でゲル電解質溶液に負極活物質を分散・混合して負極用スラリーとした。
【0076】
そして、得られた正極用スラリー、負極用スラリーをそれぞれドクターブレード法によりPETフィルム上に塗布し、室温でアセトンを蒸発させてシート化し、正極、負極とした。
【0077】
このようにして得られた固体電解質、正極および負極を所定のサイズに切断して、各シートを積層し、130〜160℃で熱ラミネートした。その後、正極には集電体として予め導電性接着剤を塗布したアルミニウムグリッドを、負極には集電体として予め導電性接着剤を塗布した銅グリッドを熱ラミネートし、電池素体を作製した。電池素体の大きさは、縦38mm×横65mm×厚さ5mmとした。
【0078】
この電池素体を、環状オレフィンコポリマー(三井化学製アペル)からなる図1、2のような角形フレームに挿入した。枠は、外側が縦48mm×横75mmとし、枠の高さは6mm、枠(樹脂)の厚さは5mmとした。そして、枠にリード線とりつけ溝を設置してそこにリード線を設けた後、電池素体の上下に厚さ0.1mmのアルミニウム箔(縦48mm×横75mm)で覆い、熱融着してリチウム2次電池とした。
【0079】
<実施例2>
固体電解質の高分子マトリックスとして、熱可塑性フッ素樹脂、セフラルソフト(セントラル硝子社製)(主鎖がフッ化ビニリデンと塩化フッ化エチレンの共重合体からなり、側鎖がポリフッ化ビニリデンからなる)を用いた他は実施例1と同様にして電気化学素子を作製し、実施例1と同様にして外装体に挿入してリチウム2次電池とした。
【0080】
<実施例3>
電解液を添加せず、正極負極を積層後に電解液を含浸させて高分子材料をゲル化した他は実施例1と同様にして電気化学素子を作製し、実施例1と同様にして外装体に挿入してリチウム2次電池とした。
【0081】
<比較例1>
実施例1と同じ電池素体を、アルミラミネートフィルム(ポリプロピレン50μm /アルミニウム70μm /変性ポリプロピレン50μm )を用いて、図5に示すような三方シール型のアルミニウムの袋状体に収納した他は実施例1と同様にして、リチウム2次電池を作製した。この外装体の大きさは、50mm×横78mm×高さ5.4mmとし、シール部の幅は5mmとした。
【0082】
<比較例2>
比較例1のリチウム2次電池のシール部をシールせずに、アルミラミネートフィルムを折り曲げてリチウム2次電池を作製した。この外装体の大きさは、50mm×横78mm×高さ5.4mmとし、シール部の幅は5mmとした。
【0083】
実施例1〜3および比較例1、2のリチウム2次電池について、85℃における重量変化を測定した。その結果を表1に示す。
【0084】
【表1】
【0085】
表1から明らかなように、本発明実施例のサンプルは、85℃における重量変化がいずれも比較例のものよりも小さい。
【0086】
さらに、上記全ての電池に対して、耐衝撃試験を行った。試験には、衝撃試験装置を用い、試験後、電池の開回路電圧の変化率が10%以下のものを合格とし、5サンプル中での不合格サンプルの数を表示した。試験条件は、リチウム二次電池安全性評価基準実施ガイドライン(社団法人 電池工業会 1997年)に従った。結果を表2に示す。
【0087】
【表2】
【0088】
表2の結果より、衝撃試験は、本発明実施例が比較例より良好であることがわかる。
【0089】
【発明の効果】
以上のように、本発明によれば、アルミラミネートフィルムの袋状体の欠点を改善し、十分な強度を有し、ガスバリヤー性、防水性に優れ、しかも、小型化に寄与できる電気化学素子の外装体を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のシート状電気化学素子外装体の一例の平面図である。
【図2】図1と同じシート状電気化学素子外装体の断面図である。
【図3】本発明のシート状電気化学素子外装体の一例の平面図である。
【図4】本発明のシート状電気化学素子外装体の一例の平面図である。
【図5】従来の三方シール型のアルミニウムの袋状体の平面図である。
【符号の説明】
1 枠
2 金属箔
3 電気化学素子
4 リード線
5 シール部
Claims (4)
- 前記金属箔が、アルミニウム箔である請求項1の電気化学素子の外装体。
- 前記枠の樹脂の40℃、90%RHにおける透湿係数が0.4g・mm/m2・d以下である請求項1又は2の電気化学素子の外装体。
- 前記電気化学素子が固体電解質を有する請求項1〜3のいずれかの電気化学素子の外装体。
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