JP4318388B2 - 防水コネクタ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、自動車等に使用される防水コネクタに関し、特にカバーとコネクタハウジングとでシール材を押圧挟持することにより防水性を確保するように構成した防水コネクタに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、自動車等は雨水に曝されるなど使用環境が厳しいので、エンジンルーム内等では電気接続に防水コネクタが使用されている。
以下、防水コネクタの一例を図7乃至図9を参照して説明する。
防水コネクタ61として、例えば、電線90が接続された接続端子91を収容する端子収容室63と端子収容室63の後方に延設されて電線90が配置される電線支持部64とを装備したコネクタハウジング62と、電線支持部64を覆い且つカバー係止部65となる係止穴66を有してコネクタハウジング62の係止突起67に係止されるカバー68と、電線90を挟持して防水性を確保する軟質弾性体のハウジング側シール材70およびカバー側シール材71とを備えて構成されたものがある。
【0003】
この防水コネクタ61について更に細部を説明すると、コネクタハウジング62とカバー68とは、端子収容室63の後部上面とカバー68の前部上面とが可撓性を有するヒンジ69により接続されている。
また、電線支持部64の内側両側部には、防水性向上を目的として、電線支持部64の略中央部から前方に向けて、即ち接続端子91の挿入方向に向けて上り勾配に傾斜した傾斜面75を有するハウジング傾斜部76が設けられ、傾斜面75のそれぞれ頂部が、平板状のハウジング側押圧部82により連結された構造になっている。そして、このハウジング側押圧部82は、カバー68を閉じた場合に、カバー68に設けられた前方押圧部83によって密着状態に押圧される。
【0004】
一方、カバー68の内側両側部には、ハウジング側傾斜部76の傾斜面75と面接触可能に形成された傾斜面77を有するカバー側傾斜部78が設けられている。この傾斜面77のそれぞれ頂部は、中央部が凹状に湾曲した押圧部84により連結され、押圧部84にはカバー側シール材71が貼付されている。そして、この押圧部84は、カバー68を閉じた場合、コネクタハウジング62に設けられた後方押圧部74とともに電線90を押圧して接着挟持する作用を有する。
【0005】
次に、ハウジング側シール材70およびカバー側シール材71について説明すると、ハウジング側シール材70はゴム等の弾性材を平板状の枠型に形成したものであり、側方シール部79、前方シール部80および後方シール部81を備えている。ハウジング側シール材70は、コネクタハウジング62に装着されるのであるが、裏面には予め接着剤が施されている。そして、装着に際しては図9に示すように、側方シール部79を傾斜面75に対応させ、前方シール部80をハウジング側押圧部82に対応させ、幅広の後方シール部81を後方押圧部74に対応させて貼着する。
カバー側シール材71も、ゴム等を平板状に形成したものであり、裏面に接着剤が施されていて、前記のようにカバー68の押圧部84に貼着される。
【0006】
係る構成の防水コネクタ61を組立てる場合、コネクタハウジング62に前記したようにハウジング側シール材70を貼着し、カバー68に前記したようにカバー側シール材71を貼着する。この結果、コネクタハウジング62に形成した後方押圧部74は、図9に示したように先端部を残して後方シール部81により覆われる。
次いで、接続端子91を端子収容室63内に差し込み、接続端子91に形成されている係止溝部92を端子収容室63内の不図示のハウジングランスに係止させて抜け出し不可にする。この結果、接続端子91に接続された電線90が、各端子収容室63からハウジングシール材70の後方シール部81上を通過して、コネクタハウジング62の外部に引き出される。
この状態で、ヒンジ69を中心にしてカバー68を図9に矢印aで示すように回動させ、係止穴66と係止突起67とを係止させて組立を行う。
そして、組立完了後の防水コネクタ61にあっては、図8に示すように、電線90がハウジング側シール材10およびカバー側シール材11によって強く挟持され、シール性が完璧に確保された。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記した従来の防水コネクタは、下記のような問題があった。つまり、図8に示すように防水コネクタ61を組立た後、例えば誤配線があって再組立を行う場合、カバー68を開いて接続端子91を端子収容室63から引き抜かねばならない。この時、特にハウジング側シール材70が押圧により圧延されて端子収容室63の近傍にまで広がっていて、端子収容室63から引き抜かれる接続端子91に付着することがあった。このようにシール材70が付着した接続端子91をそのまま端子収容室63に再度差し込むと、シール材70の絶縁作用によって電気的に導通不良を起こしてしまう。
【0008】
また、シール材70、71には接着材が塗布されているので、シール材70、71を前記のように貼着する場合、作業者の手に付いて伸びる等の変形を生じることがあった。このような変形が生じると、枠型状のハウジング側シール材70では、接続端子91を挿通させるシール材70の中央空間が塞がれてしまうことがあり、このため、接続端子91の差し込み作業が行い難くなるうえに、前記同様の付着による問題も発生する。
【0009】
更に、シール材70、71は、コネクタハウジング62とカバー68との間で押圧状態に強く挟み付けられるのであるから、コネクタハウジング62とカバー68との隙間、あるいは、電線90を挟み付けている隙間等から漏れ出すことがあった。そのため、シール材70、71が手に付着して組立作業を行い難いものにしたり、シール材70、71に塵等が付着して汚染され、外観が損なわれることもあった。
【0010】
本発明は上記事情に基づいてなされたもので、シール材の接続端子への付着を防止するとともに、接続端子を挿入する際の作業の円滑化が図れ、また、シール材による汚染等の防止も実現できる防水コネクタを提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するための本発明に係る防水コネクタは、端部に接続端子を接続した複数本の電線が並列し、防水性を確保するためのシール材により前記複数本の電線が挟持された略平板状の配線材が装着される防水コネクタであって、
前記シール材から突き出た前記接続端子を収容する端子収容室と該端子収容室の後方に延設された電線支持部とを有するコネクタハウジングと、前記電線支持部を覆い且つカバー係止部によって前記コネクタハウジングに係止されるカバーと、を有し、前記電線支持部は、内側両側部に、前記接続端子の挿入方向に向けて上り勾配に傾斜した傾斜面を備え、
前記カバーは、該カバーを閉じたときに前記電線支持部の前記傾斜面と平行な角度で傾斜するカバー側傾斜部を備え、前記カバーを開いた状態で、前記電線支持部の前記傾斜面に案内された前記配線材の前記接続端子が前記端子収容室に収容され、前記カバーを閉じた状態で、前記電線支持部の前記傾斜面と、該傾斜面に対向する前記カバー側傾斜部の両側部とが、前記配線材の前記シール材を押圧することを特徴とする。
【0012】
前記構成の防水コネクタによれば、コネクタハウジングに設けた電線支持部に形成された傾斜面が略平板状の配線板を端子収容室に案内できる傾斜面を有しているので、ケーブル接続された接続端子の端子収容室への挿入が一括して行われ、配線材の端子収容室への挿入を円滑に行うことができる。
【0015】
また、本発明に係る請求項2記載の防水コネクタは、上記請求項1記載の防水コネクタにおいて、前記配線材が、フラットケーブルと、該フラットケーブルを挟持するシール材とから成ることを特徴とする。
【0016】
配線材としてフラットケーブルが適用されることで、ケーブル接続された接続端子の端子収容室への挿入が一括して行われるので、誤挿入事故が低減される。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る防水コネクタの好適な実施の形態を図面を参照して詳細に説明する。
図1は本発明に係る防水コネクタの一実施の形態による分解斜視図、図2はシール材の構成を示す斜視図、図3はシール材をフラットケーブルに適用した配線材の斜視図、図4は配線材の装着状態を示す防水コネクタの斜視図、図5はカバーを閉じた状態の防水コネクタの外観形状を示す斜視図、図6はカバー閉じた状態の防水コネクタの内部構造を示す要部の断面図である。
【0018】
図1に示すように本実施形態の防水コネクタ1は、後述するフラットケーブル40の導体40a(図3参照)に固着された接続端子41を収容する端子収容室3と該端子収容室3の後方に延設された電線支持部4とを有するコネクタハウジング2と、電線支持部4を覆い、且つ、係止穴6を有してコネクタハウジング2の係止突起7に係止されるカバー8と、フラットケーブル40がシール材10で挟持された状態の配線材50(図3参照)とを備える。なお、この実施形態では係止穴6と係止突起7とで係止部材5を構成している。また、このシール材10となる防水材料としては、手等に付着し難いシリコンジェル等が好適である。
【0019】
防水コネクタ1について更に細部を説明すると、コネクタハウジング2とカバー8とは、端子収容室3の後部上面とカバー8の前部上面とが可撓性を有するヒンジ9により接続されている。
【0020】
また、電線支持部4の内側両側部には、防水性向上を目的として、電線支持部4の略中央部から前方に向けて、即ち接続端子41の挿入方向に向けて上り勾配に傾斜した第1の傾斜面15と、上縁16aが第1の傾斜面15に連続して傾斜するとともに下縁16bが端子挿入方向に向けて端子収容室3を狭めるようにした第2の傾斜面16とが設けられ、各傾斜面15、16の頂部において配線材50が端子収容室3に挿入案内されるようになっている。つまり、端子収容室3は各端子41に共通した一つの開口部として形成され、また開口された空間46の上方位置において配線材50が配設される。
端子収容室3として開口した電線支持部4の上部外面は、平板状のハウジング側押圧部22として形成され、このハウジング側押圧部22は、カバー8を閉じたとき、カバー8内面の前方押圧部23と密接される。
【0021】
なお、コネクタハウジング2については、図1に示すように後方押圧部14の後端側に張出防止突起45が設けられている。張出防止突起45は、後方押圧部14を横切るように、コネクタハウジング2の内側いっぱいに形成され、第1の傾斜部15に連設されている。
【0022】
一方、カバー8の内側両側部には、コネクタハウジング2の第1の傾斜面15に対応して傾斜した広面積のカバー側傾斜部18が前方押圧部23に連続して設けられている。カバー8の自由端側には押圧部32が突出形成され、該押圧部32に対して前記したカバー側傾斜部18が段差を有して設けられている。
この押圧部32は、カバー8を閉じた場合、コネクタハウジング2に設けられ張出防止突起45とともにフラットケーブル40を押圧し挟持する。
【0023】
次に、配線材50について説明すると、電線40としては、本実施形態では、既述したように、フラットケーブル(FFC:Flexible Flat Cabl/FPC:Flexible Print Circuit)が用いられる。また、シール材としては、図2に示すような板状のシール材10が使用される。このシール材10にはスリット10aが中間部に形成され、配線材50は、図3に示すように、例えばFPCをスリット10aに挿通させた状態にして上下方向から挟み付けて略平板状に構成される。なお、シール材10としては、先に述べたとおり、シリコンジェルが適用されている。
【0024】
配線材50は、フラットケーブル40の導体40aと接続された接続端子41がシール材10の一端から突出するように挟み付けられ、この端子端子41が前記した空間46より端子収容室3に案内される。
【0025】
次に、防水コネクタ1の組立について説明する。
防水コネクタ1の組立に際しては、図2に示すよう、にシール材10を広げ、スリット10aを中心とした片側にフラットケーブル40を載せ、スリット10aを利用してフラットケーブル40を挟み込むようにしてシール材10を折り畳み、図3に示したような配線材50を構成する。
【0026】
次いで、図4に示すように配線材50の一端から突出される接続端子41を挿入先端として空間46内に差し込む。即ち、配線材50を構成する端子端子41は一括して端子収容室3に差し込まれることになる。この際、本実施形態によれ第2の傾斜面16が後方押圧部14の底面を狭めるようにし、且つ、第1の傾斜面15に連続した傾斜面を形成しているので、譬え配線材50が一端を両側の第1の傾斜面15から外した状態で配置されても、この第2の傾斜面16を摺接して挿入されることで、挿入時の姿勢が徐々に矯正され、言わばガイドされながら端子収容室3に差し込まれるようになる。そして、配線材50を所定位置まで差し込むと、図4に示すように、コネクタハウジング2の後方押圧部14全体が配線材50のシール材10によって覆われるようになる。
【0027】
この状態で、カバー8を図4に矢印Aで示すように回動させ、係止穴6と係止突起7とを係止させて防水コネクタ1の組立を完了する。組立後の防水コネクタ1は、図5に示したように一体化されたコネクタハウジング2およびカバー8の先端部から、フラットケーブル40を引き出した構造になる。
【0028】
ここで、組立完了後の防水コネクタ1の内部構造を見ると、カバー8を閉じることにより、カバー側傾斜部18が配線材50のシール材10に対し押圧状態に密接される。つまり、配線材50は、コネクタハウジング2の第1の傾斜面15とカバー側傾斜部18との間に挟み付けられる。しかし、シール材10は、図6に示すように張出防止突起45と後方押圧部14とで形成された電線支持部4の領域に収納されたようになり、しかも張出防止突起45とカバー8の押圧部32とがフラットケーブル40を挟み付けているので、シール材10がフラットケーブル40に沿って防水コネクタ1の外部に突出されない。
【0029】
以上の如く、本実施形態における防水コネクタ1は、シール面を実質的に拡大させる第1の傾斜面15および配線材50を挿入案内する第2の傾斜面16を設けたので、防水性向上が図られるとともに、配線材50の端子収容室3への挿入性を良好にして組立作業を容易にできる。また、シール材10にシリコンジェルを適用すれば、組立時は元よりメンテナンスを行う際に手に付着したり伸びる等の変形を生じることがなく、しかも、コネクタハウジング2より突出して塵等の付着も防止されるので外観上に優れたものになる。
【0030】
更に、配線材50としてフラットケーブル40を適用したものであれば、端子収容室3への差し込みを一括で行うことができて作業性の向上が図れると同時に、個々の接続端子41を装着する場合に較べて誤挿入の発生が抑えられる。また、仮に誤配線があって挿入作業をやり直す場合でも、配線材50が常に位置規制されて所定位置に配置され、カバー側傾斜部18が押圧状態に密接されるので、シール性が損なわれることはない。
【0031】
なお、上記の実施形態では、電線としてフラットケーブルが適用された場合について説明したが、本発明はこのような構成に限定するものでなく、被覆電線が複数本に並設されたものにあっても適用できる。
【0032】
【発明の効果】
以上述べたように、本発明の請求項1に係る防水コネクタは、コネクタハウジングに設けた電線支持部の両側面に、第1の傾斜面および第2の傾斜面を装備する構成としたので、配線板の端子収容室への挿入時の姿勢を整えて、挿入作業を円滑に行うことができる。そして、配線材のシール材にシリコンジェル等の剥離性に優れた材料を使用すれば、組立時は元よりメンテナンスを行う際の手等への付着を防止でき、また伸び等の変形も防止でき、さらに、外観上の不良等も招かない。
また、本発明の請求項2に係る防水コネクタは、第1および第2の傾斜面上に配置された配線材に対し、この配線材を押圧状態にして密接するカバー側傾斜部がカバーに設けられているので、カバーを閉じることによって、高いシール性を得ることができる。
さらに、本発明の請求項3に係る防水コネクタは、配線材にフラットケーブルが適用されることにより、接続端子の端子収容室への装着が一度の挿入で一括して行え、作業性の向上と同時に、誤挿入の発生を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る防水コネクタの一実施形態による分解斜視図である。
【図2】シール材の構成を示す斜視図である。
【図3】図2のシール材をフラットケーブルに適用した配線材の斜視図である。
【図4】配線材の装着状態を示す防水コネクタの斜視図である。
【図5】カバーを閉じた状態位の防水コネクタの外観形状を示す斜視図である。
【図6】防水コネクタの内部構造を示す断面図である。
【図7】従来の防水コネクタの分解斜視図である。
【図8】図7の防水コネクタの外観形状を示す斜視図である。
【図9】図7の防水コネクタのシール材の装着状態を示す斜視図である。
【符号の説明】
1 防水コネクタ
2 コネクタハウジング
3 端子収容室
4 電線支持部
5 係止部材
6 係止穴
7 係止突起
8 カバー
9 ヒンジ
10 シール材
14 後方押圧部
15 第1の傾斜面
16 第2の傾斜面
16a 上縁
16b 下縁
18 カバー側傾斜部
32、35 押圧部
40 フラットケーブル(電線)
41 接続端子
45 張出防止突起
50 配線材
Claims (2)
- 端部に接続端子を接続した複数本の電線が並列し、防水性を確保するためのシール材により前記複数本の電線が挟持された略平板状の配線材が装着される防水コネクタであって、
前記シール材から突き出た前記接続端子を収容する端子収容室と該端子収容室の後方に延設された電線支持部とを有するコネクタハウジングと、
前記電線支持部を覆い且つカバー係止部によって前記コネクタハウジングに係止されるカバーと、
を有し、
前記電線支持部は、内側両側部に、前記接続端子の挿入方向に向けて上り勾配に傾斜した傾斜面を備え、
前記カバーは、該カバーを閉じたときに前記電線支持部の前記傾斜面と平行な角度で傾斜するカバー側傾斜部を備え、
前記カバーを開いた状態で、前記電線支持部の前記傾斜面に案内された前記配線材の前記接続端子が前記端子収容室に収容され、前記カバーを閉じた状態で、前記電線支持部の前記傾斜面と、該傾斜面に対向する前記カバー側傾斜部の両側部とが、前記配線材の前記シール材を押圧することを特徴とする防水コネクタ。 - 前記配線材が、フラットケーブルと、該フラットケーブルを挟持するシール材とから成ることを特徴とする請求項1記載の防水コネクタ。
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