JP4318127B2 - 温度調整機構を備えた測定装置 - Google Patents
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Description
【発明が属する技術分野】
本発明は、試料中に含まれる特定成分を測定するために用いるクロマトグラフィに関する。詳しくは、装置を構成する主要部分の温度調整を行い、常に一定の分析能を保持させることによって、精度の高い測定結果を得るための測定装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
液体クロマトグラフィを用いて試料中に含まれる特定成分を測定する手段は、測定方法の中でも最も精度の高い結果が得られるとして定評が高い。日常的に行われる特定成分の測定としては、例えばグリコヘモグロビン、グリコアルブミンが病院の検査施設或いは検査センタで行われている。
液体クロマトグラフィは、分析対象となる特定成分の種類によって、分離を行うために最適なカラムが選択される。例えば赤血球中に存在するグリコヘモグロビンを分析するために最適なカラムが選別され、血清又は血漿中に存在するグリコアルブミンを分析するために、最適なカラムが選別されて測定装置が構成される。
カラムの選別以外に最良な分析結果を得るための検討も行われている。
例えば、溶離液の成分となる溶質の種類、濃度、溶離液のpHの調整、溶離液の流れる速度によっても得られる分析結果が異なるため、特定成分の分離に最適な条件の検討が必要となる。
この様な液体クロマトグラフィにおける特定成分の分離条件については、使用する測定者が設定された分離条件を守らなければならない。測定者が設定された条件を守らなければ、測定結果に差異を生じて精度が悪くなってしまう。多くの場合、守るべき測定条件は測定装置によって制御されることになる。よって測定者は、測定装置を操作する上で必要な分離条件を確実に守ることによって精度の高い安定した測定結果が得られるはずである。
しかし、液体クロマトグラフィによって得られる特定成分の分析結果であるクロマトグラムは、上述した場合以外にも種々の測定環境条件によって影響を受ける。よって、測定のために用いられる液体クロマトグラフィは、管理された環境下において測定されることが望ましい。上述した通り、同一の測定条件でなければ、得られる測定結果は不正確になってしまう。
測定環境条件の中でも特に温度による影響は、十分注意しなければならない。
例えば、特定成分を吸着又は分離するための溶離液の温度、前記溶離液の温度によって影響を受ける溶離液の流量、特定成分のインジェクション時の温度、特定成分の分離又は吸着が行われるカラムにおける温度等が原因となる場合がある。
【0003】
液体クロマトグラフィによる測定は、試料中に存在する特定成分の測定が、カラムによって分離されることにより行われている。前記カラムによる分離は、分離する試料そのままでは特定成分濃度が非常に高く、分離が完全に行えなくなるため、前もって試料を希釈液によって希釈をする方法が一般的である。
前記希釈の後、インジェクションを行うまでに希釈試料溶液の温度を一定にするためのヒータが必要であり、それ以外にもカラムが保持される部分に、カラム恒温槽を設けて、前記恒温槽をヒータによって温度調整する必要があった。
また、検出器も環境温度の影響を受けるので、同一温度で測定する方が望ましいため、検出器も温度調整しなければならない。
従来の測定装置の場合、これら3つのヒータは別個独立しており、別々に温度調整することで分離条件を一定に保つ役割を果たしていた。
【0004】
これら別個独立された場所で温度調整されている従来法に対して、特開平9−264890号では、試料溶液を温度調整するためのヒータと、特定成分を分離するためのカラムと、分離された特定成分を検出する検出器を単一の温度調整用オーブン中に設置させて温度調整を行う発明が記載されている。
具体的な温度調整用のオーブンの記載として底板に発熱体を用いた箱状のものが紹介されている。
温度調整は、温度調整を行う範囲が同一の温度で調整される必要がある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
従来の液体クロマトグラフィによる測定装置には、温度調整を行っている場所が、上述した3カ所しか存在していなかった。
希釈液によって希釈された試料がカラムに到達されるまでの間には、溶離液供給ユニット、送液ポンプ、インジェクションバルブ、プレフィルタが存在する。前記溶離液供給ユニット、送液ポンプ、インジェクションバルブも、測定環境温度による影響を大きく受けており、溶離液の流量を不安定にさせて、測定結果に影響を及ぼしていた。
更に、前記特開平9−264890号に記載されているオーブンを用いる方法では、温度調整を行う範囲が広範囲に及ぶため、発熱体を内存する大きな底板が必要になるので、一定温度を保つために必要なエネルギーが大きくなり、コストの負担が大きくなってしまう。
また、大きな底板の使用は、測定装置の重量を増すことにもなる。
前記溶離液供給ユニット、送液ポンプ、インジェクションバルブ、プレフィルタ、カラム保持部をも含めた広範囲の温度調整を行う事を目的として、常時安定したクロマトグラムを得ることができるためものであって、一定温度を維持するために必要なコストを押さえ、しかも測定装置の重量が増加しない機構を備えた測定装置が望まれていた。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上述した課題を解決するために、液体クロマトグラフィの装置を構成している溶離液供給ユニット、送液ポンプ、インジェクションバルブ、プレフィルタ、カラム保持部を温度調整ボックスに格納し、前記温度調整ボックス内に温風を送風することによって安定したクロマトグラムを得るための温度調整を行っている。
この様に温風によって前記各部を温度調整する方法が、非常に効果的であることが、検討の結果判明した。
前記カラム保持部は、温風によって管理される事が望ましいが、
更に前記カラム保持部が独自の温度調整機構を設けて、温度調整ができる場合であっても良い。
検出器も、温風の温度と、特定成分を検出するための検出器における温度が異なる場合は、それぞれ別の温度調整機構を設けて温度調整してもかまわない。
また、脱気装置も一緒に温風によって温度調整しても良い。
【0007】
本発明で言う温度調整ボックスとは、金属又は合成樹脂のパネルを組み合わせた箱状の隔離されたものを示し、この隔離された環境中に溶離液供給ユニット、送液ポンプ、インジェクションバルブ、プレフィルタ、カラム保持部を内蔵させるためのボックスを言う。
前記温度調整ボックスに、更に脱気装置及び検出器を内蔵させても良い。
温度の管理方法は、温度調整ボックスに、一定温度に調整された温風をあてることによって、温度調整ボックス内の温度調整をおこなう。
カラム保持部、検出器が独自の温度調整機構を持ち、更に温風によって温度調整を行っても良い。この時、カラム保持部の温度又は検出器の温度と、温風が別々の温度で管理されてもかまわない。
【0008】
【発明の実施の形態】
(実施形態1)
本発明の液体クロマトグラフィによる測定装置の例を以下に示す。
血液試料中に含まれるヘモグロビンA1cを、高速液体クロマトグラフィによる測定装置で測定を行った。
測定装置は、溶離液ボトルA、溶離液ボトルB内にある溶離液A、溶離液Bの各溶離液が、脱気装置2、溶離液切換えバルブ3a,3b及びマニホールド4からなる溶離液供給ユニットを介して送液ポンプ5によって吸引される。マニホールド4では溶離液A、Bが混合される。
送液ポンプを通過した溶離液A及びBは、試料導入部7から送られてくる血液試料と共にインジェクションバルブに入り、血液試料のインジェクションに続いて溶離液A及びBが送液される。続いてカラム恒温槽9内にあるプレフィルタ6及びカラム7を通り、カラム7の下流側に配置された分光光度計10と、この装置を制御する制御部11とから構成されている。
【0009】
溶離液ボトルA及び溶離液ボトルBには、それぞれ溶離液A及び溶離液Bが収容されており、溶離液A及び溶離液Bは濃度の異なるリン酸緩衝液である。これらの溶離液A、溶離液BのヘモグロビンA1cに対する溶出力は、溶離液A、溶離液Bの順で大きくなっている。溶離液切換えバルブ5a,5bは、制御部11によって開閉制御され、常にどちらか一つが開き、溶離液AとBの割合を変えてカラム7へ供給することによってヘモグロビンA1cの分離を行っている。
【0010】
送液ポンプ5は、プランジャ型ポンプであり、溶離液を30〜200kg/cm3の圧力範囲内でカラム7へ送液している。インジェクションバルブ8は、六方バルブで、試料導入部7より導入される血液試料を、カラムに続く送液管内に注入される。カラム6は、イオン交換カラム又は逆相分配カラムが用いられる。
カラム恒温槽9は、カラム6の温度を一定に調整している。
分光光度計10は、カラム6から分離されて溶出される血液試料の各成分の吸光度を測定するもので、測定波長は415nmである。
【0011】
制御部11は、内蔵するマイクロコンピュータによって本装置の各部分を制御して作動させるとともに、分析条件を最適化させるためのものである。制御部の読み出し専用メモリには、予め、分析条件の変化に対するHbA1cの溶出時間の変化量の関係を示すチャートが格納されている。分析条件は溶離液切り換えバルブ3bから3aへの切り換え時間によって制御されている。
【0012】
本発明は、上述した溶離液供給ユニット、送液ポンプ、インジェクションバルブ、プレフルタ、カラム保持部を、温度調整ボックスに内蔵している。温度調整ボックスは合成樹脂によって作製し、温度調整方法は、40℃に加熱された空気をファンモータによって温度調整ボックス内に送風する。この際温度調整ボックスには、送風入口と出口によって温風を循環させている。
【0013】
【発明の効果】
液体クロマトグラフィの装置を構成している溶離液離供給ユニット、送液ポンプ、インジェクションバルブ、プレフィルタ、カラム保持部を温度調整ボックスに格納し、前記温度調整ボックス内に温風を送風することによって、安定したクロマトグラムを得ることができた。
【図面の簡単な説明】
【図1】 溶離液供給ユニット、送液ポンプ、インジェクションバルブ、プレフィルタ、カラム保持部を温度調整ボックスに格納した液体クロマトグラフィの概略図である。
Claims (4)
- 血液試料中に含まれるグリコヘモグロビン又はグリコアルブミンを、液体クロマトグラフィによって測定する装置であって、
溶離液供給ユニット、送液ポンプ、インジェクションバルブ、プレフィルタ、およびカラムを備えており、
溶離液供給ユニットは、リン酸緩衝液を供給するものであり、
前記カラムはイオン交換カラム又は逆相分配カラムであり、
前記溶離液供給ユニット、前記送液ポンプ、前記インジェクションバルブ、前記プレフィルタ、および前記カラムを収容した温度調整ボックスをさらに備えており、
前記溶離液供給ユニット、前記送液ポンプ、前記インジェクションバルブ、前記プレフィルタ、および前記カラムを、前記温度調整ボックスに温風を送風することによって一括して温度調整されることを特徴とする測定装置。 - 脱気装置をさらに備えており、
前記脱気装置は、温風によって温度調整されることを特徴とする、請求項1に記載の測定装置。 - 検出器をさらに備えており、
前記検出器は、温風によって温度調整されることを特徴とする、請求項1または2に記載の測定装置。 - 前記温度調整ボックスは、脱気装置および検出器のうちの少なくとも一方を収容しており、
前記脱気装置および前記検出器の少なくとも一方は、前記温度調整ボックスに温風を送風することによって、前記溶離液供給ユニット、前記送液ポンプ、前記インジェクションバルブ、前記プレフィルタ、および前記カラムとともに温度調整されることを特徴とする、請求項1に記載の測定装置。
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