JP4318091B2 - 防炎性樹脂エマルジョンと防炎性布帛 - Google Patents

防炎性樹脂エマルジョンと防炎性布帛 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、車両や建物の内装に使用される防炎性布帛に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
壁張地、天井張地、椅子張地、床敷物等、車両や建物の内装に使用される織物や編物、不織布、パイル布帛等の布帛には、耐久性、特に光劣化防止のためにポリエステル繊維が使用されている。近年、車両や建物の内装に使用されるこれらの布帛には、火災時の延焼を防止するために高い難燃性が要求され、壁張地、天井張地、椅子張地、床敷物等の裏面に樹脂エマルジョン組成物を塗布・裏打し、糸解れ防止や抜糸強度、成形性等の物性を付与して仕上られる内装布帛では、難燃性エマルジョン・ラテックスが裏打に使用されている。その難燃性エマルジョン・ラテックスとしては塩化ビニル樹脂エマルジョンや塩化ビニリデン樹脂エマルジョン等のハロゲン系樹脂エマルジョンが使用され、非ハロゲン系樹脂エマルジョンでは難燃剤を添加する方法が採られている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
樹脂エマルジョンに配合される難燃剤の多くは、臭素や塩素を含んだハロゲン化合物か燐を含んだ無機や有機の燐化合物であり、ハロゲン系樹脂エマルジョンと共に燃焼時の有毒ガスの発生や環境保全の点で問題が多い。難燃剤には、水酸化アルミニウムや水酸化マグネシウム等の金属水酸化物、三酸化アンチモンその他のアンチモン化合物等の非ハロゲン・非燐系難燃剤も知られているが、それらの単独使用による防炎効果は低く、ハロゲン系樹脂エマルジョンとの併用が必要になる。そして従来、試験片(車両内装布帛)を水平に支持して接炎し平均燃焼速度に判定される難燃試験・FMVSS−302法において合格と判定されるポリエステル繊維によって構成された目付けが200〜500g/m2 の車両内装用防炎性ニードルパンチング布帛は得られていない。
【0004】
【発明の目的】
そこで本発明は、ハロゲン系樹脂エマルジョンやハロゲン系難燃剤を使用することなく、壁張地、天井張地、椅子張地、床敷物等の内装布帛に優れた防炎性を付与すること、特に、ポリエステル繊維によって構成された目付けが200〜500g/m2 の車両内装用防炎性ニードルパンチング布帛を得ることを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る防炎性樹脂エマルジョンは、内装布帛に防炎性を付与する防炎剤であり、又、内装布帛にパイル抜糸強度、引張強度、形状安定性、加熱成形性等を付与する仕上加工剤でもあり、ハロゲン原子とリン原子を有しない合成樹脂エマルジョンに、結晶水を有する好ましくは脱水温度が200〜400℃の無機金属水酸化物と、硫黄・窒素化合物と、アスペクト比10以上の不燃性粉末との3種類の物質を配合して構成され、その硫黄・窒素化合物の分解温度が170℃以上であることを第1の特徴とする。
【0006】
本発明に係る防炎性樹脂エマルジョンの第2の特徴は、上記第1の特徴に加えて、合成樹脂エマルジョンが、ポリアクリル酸エステルエマルジョン、酢酸ビニル・エチレン共重合エマルジョン、スチレン・アクリル酸エステルエマルジョン、スチレン・ブタジエン共重合体ラテックス、アクリロニトリル・ブタジエン共重合体ラテックスの何れかを含み、無機金属水酸化物が水酸化アルミニウムと水酸化マグネシウムの何れかを含み、硫黄・窒素化合物がトリメチルチオ尿素、N,N’−ジエチルチオ尿素、テトラメチルチウラムジスルフイド、テトラエチルチウラムジスルフイド、及び、縮合硫酸カルバメートの何れかを含んでいることにある。
【0007】
而して、本発明に係る防炎性布帛は、ハロゲン原子とリン原子を有しない合成樹脂エマルジョンに、結晶水を有する好ましくは脱水温度が200〜400℃の無機金属水酸化物と、硫黄・窒素化合物と、アスペクト比10以上の不燃性粉末との3種類の物質が配合されており、その硫黄・窒素化合物の分解温度が170℃以上である防炎性樹脂エマルジョンを、ポリエステル繊維をベースとする被加工布帛の裏面に塗布し乾燥して構成されていることを第1の特徴とする。
【0008】
本発明に係る防炎性布帛の第2の特徴は、上記第1の特徴に加えて、被加工布帛を、ポリエステル繊維によって構成された目付けが200〜500g/m2 のニードルパンチング不織布としたことにある。
【0009】
【発明の実施の形態】
無機金属水酸化物と硫黄・窒素化合物は粒径150μm以下に微粉末にし、それよりも不燃性粉末は粗くし、充填剤を兼ねて樹脂エマルジョンに配合する。樹脂エマルジョン中の樹脂固形分100重量部に対し、無機金属水酸化物は50〜300重量部、好ましくは70〜120重量部、硫黄と硫黄・窒素化合物は10〜50重量部、好ましくは15〜30重量部、不燃性粉末は5〜50重量部、好ましくは10〜30重量部配合する。被加工布帛の裏面に塗布する防炎性樹脂エマルジョンの乾燥重量(g/m2 )は、被加工布帛の重量(g/m2 )の15〜65重量%、概して20重量%前後(20±5重量%)とする。
【0010】
無機金属水酸化物としては前記の水酸化アルミニウム(Al23 ・3H2 O)と水酸化マグネシウム(Mg(OH)2 )のほか、硫酸カルシウム(CaSO4 ・2H2 O)、亜硫酸カルシウム、水酸化カルシウム(Ca(OH)2 )、塩基性炭酸マグネシウム(3MgCO3 ・Mg(OH)2 ・3H2 O〜4MgCO3 ・Mg(OH)2 ・4H2 O)、アタパルジャイト(5MgO・8SiO2 ・9H2 O)等、脱水温度が100〜600℃、好ましくは脱水温度が200〜400℃で含水量が15重量%以上のものを使用することが出来、好ましくは2種類以上の無機金属水酸化物を混用する。無機金属水酸化物を2種類以上混用する理由は、その種類によって脱水温度と放出水量が異なり、布帛の燃焼過程で絶えず水分を放出し防炎作用をなすようにするためであり、脱水温度が200〜400℃のものを含む2種類以上の無機金属水酸化物を混用することが望ましい。
【0011】
不燃性粉末は、アスペクト比が10以上であれば、その形状は燐片状、フレーク状の何れでもよく、ケイ酸アルミニウム(Al2 (SiO33 )、ケイ酸マグネシウム(MgSiO3 ,Mg2 SiO4 )、ケイ酸カルシウム(CaSiO3 )のほか、カオリンクレー(天然ケイ酸アルミニウム;Al23 ・2SiO2 ・2H2 O)、タルク(天然ケイ酸マグネシウム;Mg3 SiO10 (OH)2 )、 雲母(白雲母・マスコバイト;K2 Al4 (Si3 Al)220 (OH)4 , 金雲母・フロゴパイト;K2 Mg6 (Si3 Al)220 (OH)4 )、 天然産マイカ等、結晶水を有するものでも脱水温度が600℃以上のものが使用され、又、形状が繊維状のセピオライト( Mg8 Si1230 (OH)4 (OH24 ・8H2 O)、 ゾノライト(6CaO・6SiO2 ・H2 O)、チタン酸カリ(K2 O・(TiO2n )、鉱滓繊維(スラック)、ガラス繊維、炭素繊維等の不燃性繊維微粉末も使用することが出来、好ましくは2種類以上混用する。不燃性粉末を2種類以上混用する理由は、その種類によってアスペクト比と形状が異なり、それらを樹脂エマルジョンに配合して塗布した場合、それらが網状に絡み合って綺麗な皮膜を形成するようにするためである。
【0012】
硫黄・窒素化合物としては、前記のトリメチルチオ尿素、N,N’−ジエチルチオ尿素、テトラメチルチウラムジスルフイド、テトラエチルチウラムジスルフイド、及び、縮合硫酸カルバメートのほか、2−メルカプトベンゾチアゾール、ジベンゾチアジルジスルフイド、2−メルカプトベンゾチアゾールの亜鉛塩、2−(2’−4’−ジニトロフェニルチオ)ベンゾチアゾール、2−(N,N−ジエチルチオカルバモイルチオ)ベンゾチアゾール、2−(4’−モルホリノジチオ)ベンゾチアゾール、N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド、N−オキシジエチレン−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド、N,N−ジシクロヘキシル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド、テトラメチルチウラムモノスルフイド、ジメチルジチオカルバミン酸亜鉛、ジエチルジチオカルバミン酸亜鉛、ジブチルジチオカルバミン酸亜鉛、N−エチル−N−フェニルジチオカルバミン酸亜鉛、N−ペンタメチレンジチオカルバミン酸亜鉛、ジメチルジチオカルバミン酸ナトリウム、ジエチルジチオカルバミン酸ナトリウム、ジメチルジチオカルバミン酸銅、ジメチルジチオカルバミン酸第二鉄、ジエチルジチオカルバミン酸テルル、4,4’−ジチオジモルホリン等を使用することが出来、好ましくは2種類以上混用する。硫黄・窒素化合物を2種類以上混用する理由は、その種類によって分解温度や不燃性分解ガスが異なり、布帛の燃焼過程で絶えず不燃性分解ガスを放出し防炎作用をなすようにするためである。
【0013】
防炎性樹脂エマルジョンを塗布して防炎処理する被加工布帛は、ベースがポリエステル繊維で構成された織物、編物、不織布の何れでもよく、それらは表面パイルを有するもの、或いは、表面が起毛されたものであってもよい。即ち、パイル布帛や起毛布帛の如くパイル(毛羽)層とベース(基布)層との二層構造を成すものでは、ベース(基布)となる下層がポリエステル繊維で構成されていれば、上層(パイル・毛羽層)はナイロンやポリプロピレン繊維などポリエステル繊維以外の繊維で構成されていてもよい。特に、車両トランクルームその他の車両内装材として好ましい被加工布帛は、ポリエステル繊維によって構成された目付けが200〜500g/m2 のニードルパンチング不織布である。
【0014】
バインダー(接着剤)成分となる合成樹脂エマルジョンは、被加工布帛の仕上がり後の風合い、剛軟度、パイル抜糸強度、引張強度、形状安定性、加熱成形性など、内装布帛に要求される品質特性に応じて、ポリアクリル酸エステルエマルジョン、酢酸ビニル・エチレン共重合エマルジョン、スチレン・アクリル酸エステルエマルジョン、スチレン・ブタジエン共重合体ラテックス、アクリロニトリル・ブタジエン共重合体ラテックスの中の一種又は数種を組み合わせて使用する。防炎性樹脂エマルジョンには、被加工布帛の仕上がり後の風合い、剛軟度、遮音・防音性、目付け(重量感)など、内装布帛に要求される品質特性に応じて、中空球体(マイクロバルーン)、炭酸カルシウム、硫酸バリウムなど充填剤が配合される。防炎性樹脂エマルジョンは、それを機械的に発泡し(泡立て)、或いは、それに熱分解性発泡剤を配合して被加工布帛に塗布することも出来る。
本発明において、被加工布帛のベース(多層積層構造のニードルパンチング不織布では裏面側,パイル布帛ではパイルを係止する基布)をポリエステル繊維に限定するのは、本発明の防炎性樹脂エマルジョンがポリエステル繊維によく馴染んで強く接着し、熱溶融し易いポリエステル繊維の燃焼時の熱変形を防止して有効に防炎作用をなすとの理由による。
【0015】
【実施例1】
50%ポリアクリル酸エステルエマルジョン100重量部、水酸化アルミニウム(脱水温度;250〜350℃)40重量部、マイカ(アスペクト比35,平均粒子径20μm)10重量部、50%縮合硫酸カルバメート10重量部、25%アンモニア水1重量部にポリアクリル酸系増粘剤を添加して粘度20000mPa.sの樹脂エマルジョン組成物を調製し、目付け450g/m2 のポリエステル繊維ニードルパンチング不織布の裏面に、ロールコーターによって乾燥塗着量100g/m2 になるように塗布し、120℃にて10分間プレ乾燥した後、180℃にて1分間キュアリングして内装布帛に仕上げた。
【0016】
【比較例1】
50%ポリアクリル酸エステルエマルジョン100重量部、炭酸カルシウム50重量部、25%アンモニア水1重量部にポリアクリル酸系増粘剤を添加して粘度20000mPa.sの樹脂エマルジョン組成物を調製し、実施例1で使用したものと同じ不織布の裏面に、ロールコーターによって乾燥塗着量100g/m2 になるように塗布し、120℃にて10分間プレ乾燥した後、180℃にて1分間キュアリングして内装布帛に仕上げた。
【0017】
【比較例2】
50%ポリアクリル酸エステルエマルジョン100重量部、水酸化アルミニウム(脱水温度;250〜350℃)50重量部、25%アンモニア水1重量部にポリアクリル酸系増粘剤を添加して粘度20000mPa.sの樹脂エマルジョン組成物を調製し、実施例1で使用したものと同じ不織布の裏面に、ロールコーターによって乾燥塗着量100g/m2 になるように塗布し、120℃にて10分間プレ乾燥した後、180℃にて1分間キュアリングして内装布帛に仕上げた。
【0018】
【比較例3】
50%ポリアクリル酸エステルエマルジョン100重量部、水酸化アルミニウム40(脱水温度;250〜350℃)重量部、マイカ(アスペクト比35,平均粒子径20μm)10重量部、25%アンモニア水1重量部にポリアクリル酸系増粘剤を添加して粘度20000mPa.sの樹脂エマルジョン組成物を調製し、実施例1で使用したものと同じ不織布の裏面に、ロールコーターによって乾燥塗着量100g/m2 になるように塗布し、120℃にて10分間プレ乾燥した後、180℃にて1分間キュアリングして内装布帛に仕上げた。
【0019】
【比較例4】
50%ポリアクリル酸エステルエマルジョン100重量部、水酸化アルミニウム(脱水温度;250〜350℃)50重量部、50%縮合硫酸カルバメート10重量部、25%アンモニア水1重量部にポリアクリル酸系増粘剤を添加して粘度20000mPa.sの樹脂エマルジョン組成物を調製し、実施例1で使用したものと同じ不織布の裏面に、ロールコーターによって乾燥塗着量100g/m2 になるように塗布し、120℃にて10分間プレ乾燥した後、180℃にて1分間キュアリングして内装布帛に仕上げた。
【0020】
【比較例5】
50%ポリアクリル酸エステルエマルジョン100重量部、炭酸カルシウム40重量部、マイカ(アスペクト比35,平均粒子径20μm)10重量部、50%縮合硫酸カルバメート10重量部、25%アンモニア水1重量部にポリアクリル酸系増粘剤を添加して粘度20000mPa.sの樹脂エマルジョン組成物を調製し、実施例1で使用したものと同じ不織布の裏面に、ロールコーターによって乾燥塗着量100g/m2 になるように塗布し、120℃にて10分間プレ乾燥した後、180℃にて1分間キュアリングして内装布帛に仕上げた。
【0021】
上記の実施例1と比較例1〜5において得られた内装布帛の防炎性能を、JIS−D−1201(1977)の準拠する自動車内装用品安全規準に定められた車両内装布帛に対する難燃試験・FMVSS−302法により試験片(内装布帛)を水平に支持して試験し、次の表1に示す通り、実施例1の内装布帛が、燃焼過程で内装布帛の熱溶融物の垂れ落ちが不燃性粉末(マイカ)に妨げられて、その平均燃焼速度が比較例1〜5の内装布帛に比較して著しく遅く、優れた防炎性能を有することが確認された。尚、試験片は、内装布帛のタテ方向とヨコ方向からそれぞれ10個採取し、次の表1には、それぞれの方向における10回の難燃試験における最高燃焼速度(cm/分)と最低燃焼速度(cm/分)と平均燃焼速度(cm/分)を示している。
【0022】
【表1】
Figure 0004318091
【0023】
【実施例2】
目付け100g/m2 のポリエステル不織布を一次基布とし、ナイロンカットパイルをタフテイングしたパイル目付けが450g/m2 で総目付けが550g/m2 のタフテッドパイル布帛の裏面に、50%ポリアクリル酸エステルエマルジョン100重量部、水酸化マグネシウム(脱水温度;350℃)40重量部、タルク(アスペクト比18,平均粒子径15μm)20重量部、50%縮合硫酸カルバメート15重量部、25%アンモニア水1重量部にポリアクリル酸系増粘剤を添加して粘度20000mPa.sに調製した樹脂エマルジョン組成物を、乾燥塗着量100g/m2 になるようにロールコーターによって塗布し、120℃にて10分間プレ乾燥した後、180℃にて1分間キュアリングしてタフテッドカーペットに仕上げた。
【0024】
【比較例6】
実施例2で使用したものと同じタフテッドパイル布帛の裏面に、50%ポリアクリル酸エステルエマルジョン100重量部、炭酸カルシウム60重量部、25%アンモニア水1重量部、にポリアクリル酸系増粘剤を添加して粘度20000mPa.sに調製した樹脂エマルジョン組成物を、乾燥塗着量100g/m2 になるようにロールコーターによって塗布し、120℃にて10分間プレ乾燥した後、180℃にて1分間キュアリングしてタフテッドカーペットに仕上げた。
【0025】
【比較例7】
実施例2で使用したものと同じタフテッドパイル布帛の裏面に、50%ポリアクリル酸エステルエマルジョン100重量部、水酸化マグネシウム(脱水温度;350℃)60重量部、25%アンモニア水1重量部にポリアクリル酸系増粘剤を添加して粘度20000mPa.sに調製した樹脂エマルジョン組成物を、乾燥塗着量100g/m2 になるようにロールコーターによって塗布し、120℃にて10分間プレ乾燥した後、180℃にて1分間キュアリングしてタフテッドカーペットに仕上げた。
【0026】
【比較例8】
実施例2で使用したものと同じタフテッドパイル布帛の裏面に、50%ポリアクリル酸エステルエマルジョン100重量部、水酸化マグネシウム(脱水温度;350℃)40重量部、マイカ(アスペクト比35,平均粒子径20μm)20重量部、25%アンモニア水1重量部にポリアクリル酸系増粘剤を添加して粘度20000mPa.sに調製した樹脂エマルジョン組成物を、乾燥塗着量100g/m2 になるようにロールコーターによって塗布し、120℃にて10分間プレ乾燥した後、180℃にて1分間キュアリングしてタフテッドカーペットに仕上げた。
【0027】
【比較例9】
実施例2で使用したものと同じタフテッドパイル布帛の裏面に、50%ポリアクリル酸エステルエマルジョン100重量部、水酸化マグネシウム(脱水温度;350℃)60重量部、50%縮合硫酸カルバメート15重量部、25%アンモニア水1重量部にポリアクリル酸系増粘剤を添加して粘度20000mPa.sに調製した樹脂エマルジョン組成物を、乾燥塗着量100g/m2 になるようにロールコーターによって塗布し、120℃にて10分間プレ乾燥した後、180℃にて1分間キュアリングしてタフテッドカーペットに仕上げた。
【0028】
【比較例10】
実施例2で使用したものと同じタフテッドパイル布帛の裏面に、50%ポリアクリル酸エステルエマルジョン100重量部、炭酸カルシウム40重量部、タルク(アスペクト比18,平均粒子径15μm)20重量部、50%縮合硫酸カルバメート15重量部、25%アンモニア水1重量部にポリアクリル酸系増粘剤を添加して粘度20000mPa.sに調製した樹脂エマルジョン組成物を、乾燥塗着量100g/m2 になるようにロールコーターによって塗布し、120℃にて10分間プレ乾燥した後、180℃にて1分間キュアリングしてタフテッドカーペットに仕上げた。
【0029】
上記の実施例2と比較例6〜10において得られたタフテッドカーペットの防炎性能を、自治省消防庁消防法施行規則(自治省第5号;昭和54年3月23日)に定められた絨毯等の試験法(45度エアーミックスバーナー法)により試験し、次の表2に示す通り、実施例2のタフテッドカーペットが、その残炎時間と炭化長が比較例6〜10のタフテッドカーペットに比較して短く、優れた防炎性能を有することが確認された。尚、試験片は、タフテッドカーペットのタテ方向とヨコ方向からそれぞれ3個採取した。次の表2には、それぞれの方向における3回の難燃試験における残炎時間(秒)と炭化長(cm)を示している。表2のの中の残炎時間の欄の『<』は、そこに記載された時間(秒)よりも長いことを示している。
【0030】
【表2】
Figure 0004318091
【0031】
【発明の効果】
本発明において、硫黄・窒素化合物は、布帛の燃焼時に不燃性ガスを発生して燃焼を妨げると共に、ポリエステル繊維と共に炭化して難燃性溶融物を形成して延焼を妨げる。不燃性粉末は、それが球状ではなくアスペクト比10以上の鱗片或いはフレーク状或いは繊維状を成すので、ポリエステル繊維の溶融物の中に継ぎ材の如く介在し、その溶融物の垂れ落ちや移動を妨げ、溶融状態にある布帛の形状を維持し、燃焼箇所の変形や溶融物の垂れ落ちに伴う新たな空気(酸素)の流入を妨げ、その燃焼箇所を不燃性ガスに包まれた状態に維持して延焼を妨げる。無機金属水酸化物は、燃焼時に水分を放出し気化熱を奪って消火作用を成すが、その結晶水が分解する脱水温度が繊維の燃焼温度に近く、又、それがバインダーである樹脂(樹脂エマルジョン)に包まれているので、火勢が衰えるまで水分を放出し続け、残炎時間を短くする。
【0032】
このように無機金属水酸化物と不燃性粉末と硫黄・窒素化合物の防炎機構が異なり、硫黄・硫黄・窒素化合物が燃焼箇所の変形や溶融物の垂れ落ちを妨げる機能や残炎時間を短くする機能を有しないとしても無機金属水酸化物と不燃性粉末がそれらの機能を補完し、又、不燃性粉末が不燃性ガスを発生したり残炎時間を短くする機能を有しないとしても無機金属水酸化物と硫黄・窒素化合物がそれらの機能を補完し、或いは又、無機金属水酸化物が不燃性ガスを発生したり燃焼箇所の変形や溶融物の垂れ落ちを妨げる機能を有しないとしても不燃性粉末と硫黄・窒素化合物がそれらの機能を補完する。このため、無機金属水酸化物と不燃性粉末と硫黄・窒素化合物の3種類の物質を個々に適用しても十分な防炎効果が得られない場合でも十分な防炎効果が得られ、それら使用量が少なくても済み、無機金属水酸化物を多く付与して粉噴きが生じたり、不燃性粉末を多く付与して布帛を粗硬にしたり、硫黄・窒素化合物を多く付与してベトツキ感や布帛の変色を招く等の不都合が回避される。
【0033】
このように本発明によると、ハロゲン系樹脂エマルジョンやハロゲン系難燃剤を使用することなく、壁張地、天井張地、椅子張地、床敷物等の内装布帛に優れた防炎性を付与することが出来る。特に、車両内装材には高度な難燃性と共に、耐光性や省エネルギーのために軽量化が要求されるが、実施例1が示す如く、車両内装材が耐光性に優れたポリエステル繊維によって構成され、難燃化のための無機金属水酸化物と不燃性粉末と硫黄・窒素化合物の3種類の物質をエマルジョンラテックスに配合して裏面に適用しているので表面の物性や外観を損なわず、試験片(内装布帛)を水平に支持して接炎し平均燃焼速度に判定される難燃試験・FMVSS−302法においても難燃化のための物質を少ない使用量で十分な防炎効果が得られるので、本発明は車両内装布帛の難燃化に頗る好都合である。

Claims (4)

  1. ハロゲン原子とリン原子を有しない合成樹脂エマルジョンに、結晶水を有する無機金属水酸化物と、硫黄・窒素化合物と、アスペクト比10以上の不燃性粉末との3種類の物質が配合されており、前記硫黄・窒素化合物の分解温度が170℃以上である防炎性樹脂エマルジョン。
  2. 前掲請求項1に記載の合成樹脂エマルジョンが、ポリアクリル酸エステルエマルジョン、酢酸ビニル・エチレン共重合エマルジョン、スチレン・アクリル酸エステルエマルジョン、スチレン・ブタジエン共重合体ラテックス、アクリロニトリル・ブタジエン共重合体ラテックスの何れかを含み、無機金属水酸化物が水酸化アルミニウムと水酸化マグネシウムの何れかを含み、硫黄・窒素化合物がトリメチルチオ尿素、N,N’−ジエチルチオ尿素、テトラメチルチウラムジスルフイド、テトラエチルチウラムジスルフイド、及び、縮合硫酸カルバメートの何れかを含む前掲請求項1に記載の防炎性樹脂エマルジョン。
  3. ハロゲン原子とリン原子を有しない合成樹脂エマルジョンに、結晶水を有する無機金属水酸化物と、硫黄・窒素化合物と、アスペクト比10以上の不燃性粉末の3種類の物質が配合されており、その硫黄・窒素化合物の分解温度が170℃以上である防炎性樹脂エマルジョンが、ポリエステル繊維をベースとする被加工布帛の裏面に塗布・乾燥して仕上げられた防炎性布帛。
  4. ポリエステル繊維によって構成された目付けが200〜500g/m2 のニードルパンチング不織布の裏面に、ハロゲン原子とリン原子を有しない合成樹脂エマルジョンに、結晶水を有する無機金属水酸化物と、硫黄・窒素化合物と、アスペクト比10以上の不燃性粉末の3種類の物質が配合されており、その硫黄・窒素化合物の分解温度が170℃以上である防炎性樹脂エマルジョンが、塗布・乾燥して仕上げられた防炎性ニードルパンチング布帛。
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