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Description

本発明は、エッジゾーンとコアゾーンとを有するレール頭部と、レール足部と、レール頭部とレール足部とを結合させている中央部分とを備える熱間圧延されたレールの熱処理方法であって、圧延時の温度を持つレールのレール頭部を部分的に熱処理および冷却するようにした前記熱処理方法に関するものである。
レールを冷却ベッド上で圧延熱から80゜以下の温度まで冷却することは知られている。レールには種々の異形部分があり、寸法構成が非対称であるので、レールの頭部と足部との間には異なった冷却挙動が生じる。足部は頭部よりも急速に冷え、その結果冷却時にレールが湾曲する。まだ熱い状態にあるレールを前もって湾曲させることにより、或いは、頭部と足部とで冷却プロセスを異ならせることにより、この湾曲を防止することができる。しかしながら、前もって湾曲させることにより、或いは、異なった冷却プロセスにより、レールに残留応力が発生し、レールの機械的特性、よって寿命に悪影響を及ぼす。
特許文献6からは、レールを圧延熱からA r3 温度へ、或いはそれ以下へ冷却し、その後950℃以下のA C3 変質温度の温度範囲へ加熱し、続いて再び冷却することが知られるようになった。
このため、レールの足部と頭部とを均一に冷却することが保証されるように、特許文献1では、頭部が下方へ垂れ下がった状態でレールを冷却ベッドを介して搬送することが提案され、さらに特許文献2では、下方へ垂れ下がっているレール頭部の全体または一部を、水で充填した容器の中に浸漬させ、その際同時に押圧ねじを用いて強固な対向支持部に対して押圧させることが提案されている。
冷却の際に生じる組織変質については特許文献3に記載されている。この文献で提案される構成によれば、圧延材を高々1100℃の平均温度で、しかし少なくとも750℃の温度で直線状に方向を調整し、次に横方向に持ち来たし、第1の冷却工程において、同じ局所冷却強度でAr以上の860℃と120℃の間の温度に冷却し、その後第2の冷却工程において、横断面にて広範囲に異なっている同じ冷却強度で且つ表面積に対する体積成分に応じて圧延材から長手方向において熱を引き出してマルテンサイトを含まない微細層の構造へ組織変質させ、次に仕上げ工程で再び同じ局所冷却強度で室温になるまで冷却を続行する。
特許文献4から知られている方法では、再加熱による中間工程によって冷却を中断させて、まず圧延熱からレールを冷却することにより横断面全体に変質を生じさせ、次にレール頭部を特に誘導加熱により再度オーステナイト化し、引き続きさらに冷却する。結果的には微細層のパーライト組織が得られるが、ベイナイトやマルテンサイトのような望ましくない成分が組織内に形成される恐れがある。
これを避けるために、特許文献5では、種々の合金成分を点火する以外に、方法的には、レール頭部をまず通過時に50mm以下の十分な深さでバーナーを用いて、或いは誘導的に950℃ないし1050℃の温度へ加熱し、次に圧縮空気によりレール頭部を第1の冷却段階において10秒ないし20秒以内で650℃ないし600℃のパーライト変質範囲前の温度に冷却し、第2の冷却段階において、第1の冷却段階に比べて空気量を絞って2分ないし4分の時間内でパーライト変質終了までにほぼ400℃に冷却させて微細層のパーライト組織を形成させる。引き続き、レール頭部を4分ないし6分の時間で新たに600℃ないし650℃の温度へ加熱し、その後急速に100℃以下へ冷却する。
ドイツ連邦共和国特許公開第4237991A1号公報 米国特許第468788号公報 欧州特許第0693562B1号公報 ドイツ連邦共和国特許第3006695号公報 欧州特許第0187904B1号公報 米国特許第4933024号公報
本発明の課題は、上記従来の技術から出発して、レール頭部の冷却中に所定の熱処理を可能にさせ、特定の硬度レベルを特徴とし、よって高い耐磨耗性を特徴とする微細層のパーライトを有する組織を簡単な手段により発生させ、冷却中にレール頭部のエッジゾーンにベイナイトが生じないような方法を提供することである。
この課題は、前記種類のレールの場合、以下の工程を連続的に設けることを特徴とする請求項1の構成により解決される。
a)レール頭部のエッジゾーンにおけるベイナイトの発生が阻止されて該エッジゾーンに微細層のパーライト組織が生じるように、圧延時の温度を持つレールを750℃−850℃のレール頭部のコア温度へ予め冷却する予冷却工程。
b)レール頭部のエッジゾーンを少なくともコア温度へ加熱する加熱工程。
c)レール頭部のコアゾーンが800℃ないし500℃の温度へ冷却されるような熱流密度でレールを仕上げ冷却する仕上げ冷却工程。
本発明に従って実施されるこれら工程は、まず所定の冷却を行ない、引き続き再加熱を行い、再加熱によって、冷却したエッジゾーンを少なくとも再びコア温度へ加熱するものであるが、直接に接続している冷却区間において、エッジゾーンをベイナイト硬化温度以下に冷却することなく、レールに対し高い熱流密度を発生させることができる。しかも同時に、コアゾーンに対しては可能な限り短いt8/5時間が達成されるよう保証される。これが意味するところは、特に、所望の微細層のパーライト組織が生じるような高速度でレール頭部全体が変質ゾーンへ冷却されるということである。
したがって、中間時点でのエッジゾーンの過冷却と、エッジゾーンにおける早期の変質とが阻止され、ベイナイトの発生が回避される。同時に、最終的な冷却区間に進入する前のレール頭部の温度プロフィールが均一化されるので、レール頭部のコアゾーンもエッジゾーンと同様に微細層のパーライト組織に変質する。
本発明による方法を適用しなければ、冷却区間は熱流密度が著しく低い状態で作動し、或いは、レール頭部のエッジゾーンでのベイナイトの形成を回避させるために設定されるべき熱伝導率がほぼ30%ないし40%低くなる。これによりコア領域に対してはt8/5時間がかなり長くなり、パーライト組織内での層間隔が大きくなり、よって硬度が小さくなる。
レール頭部を予め750℃ないし850℃のコア温度へ冷却する工程は、本発明によれば、自然対流により、或いは強制的にベンチレータを用いて空気で冷却することにより行なう。他方、ノズルを用いて水・空気混合物により冷却してもよい(エアゾール冷却)。この場合には、この冷却を、適当な数量の横置きスペースを備えた横搬送機上で行うのが有利である。
冷却工程を実施している間に、表面温度を、たとえばレール頭部中心部における表面温度を高温計を用いて無接触に測定する。ここで検出したエッジゾーン温度は、冷却の種類および強度に応じて、まだ存在しているコア温度以下のほぼ30℃ないし60℃である。
本発明による方法の有利な構成によれば、レール頭部の温度測定は熱処理を行なっている間中行い、すなわち予冷却装置に進入した時点から仕上げ冷却装置を離れるまでの間行なう。測定した値は測定・制御装置に蓄積し、仕上げ冷却の上流側で行なう加熱工程をも含めて、実施する個々の工程を制御するために使用する。
次に、本発明の実施形態を添付の図面を用いて詳細に説明する。
図1にはレール1の横断面が図示されている。レール1は異なる寸法の異形部分から成っており、すなわちエッジゾーン5およびコアゾーン6とを備えたレール頭部2と、中央部分3と、レール足部4とから成っている。図1ではレール頭部2のエッジゾーン5を線影で示した。エッジゾーン5は、初期の所定の熱処理によって微細層のパーライト組織に変質させるべき領域であり、しかも熱処理の際にこのエッジゾーンまたはこの領域5にベイナイトが生じないように変質させるべき領域である。
図2は、本発明に従って熱処理を実施するための熱処理設備10の概略図である。この熱処理設備10は、圧延ラインx−x上において最後の圧延機11の後方に直列に配置される、予冷却装置12と、有利には誘導性の加熱装置13と、仕上げ冷却装置14とから成っている。レール1は圧延機11から出た後これらの装置を順次通過する。熱処理の制御は、冷却または加熱の強度と、個々の装置12,13,14を通過する通過速度とを含んでおり、測定・制御装置15によりその都度測定した温度に依存して行う。測定・制御装置15は、温度測定値および制御信号のための適当なケーブル16,17,18を介してそれぞれの装置12,13,14と接続されている。
図示した熱処理設備の実施形態は、順次行なわれる本発明による方法ステップが内容的に完全に維持される限りは、レールの種類およびサイズ、選定した予冷却および仕上げ冷却の種類、測定・制御装置の規模に応じて広範囲に変形できることは言うまでもない。
レールの横断面図である。 熱処理設備の工程図である。
符号の説明
1 レール
2 レール頭部
3 レール中央部分
4 レール足部
5 エッジゾーン
6 コアゾーン
10 熱処理設備
11 圧延機
12 予冷却装置
13 加熱装置
14 仕上げ冷却装置
15 制御装置
16 ケーブル
17 ケーブル
18 ケーブル

Claims (6)

  1. エッジゾーン(5)とコアゾーン(6)とを有するレール頭部(2)と、レール足部(4)と、レール頭部(2)とレール足部(4)とを結合させている中央部分(3)とを備える熱間圧延されたレール(1)の熱処理方法であって、圧延時の温度を持つレール(1)のレール頭部(2)を部分的に熱処理および冷却するようにした前記熱処理方法において、
    a)レール頭部(2)のエッジゾーン(5)におけるベイナイトの発生が阻止されて該エッジゾーン(5)に微細層のパーライト組織が生じるように、圧延時の温度を持つレール(1)を750℃−850℃のレール頭部(2)のコア温度へ予め冷却する予冷却工程と、
    b)レール頭部(2)のエッジゾーン(5)を少なくともコア温度へ加熱する加熱工程と、
    c)レール頭部(2)のコアゾーン(6)が800℃ないし500℃の温度へ冷却されるような熱流密度でレール(1)を仕上げ冷却する仕上げ冷却工程と、
    を含むことを特徴とする熱処理方法。
  2. 仕上げ冷却工程において、エッジゾーン(5)をベイナイト始動温度で冷却せずに微細層のパーライト組織が生じるようにレール頭部(2)全体を冷却させることを特徴とする、請求項1に記載の熱処理方法。
  3. レール(1)の予冷却をレール横断面サイズに応じて空気を用いて自然対流冷却により行い、または、ベンチレータ或いはノズルにより水・空気混合物を用いて強制的に行うことを特徴とする、請求項1または2に記載の熱処理方法。
  4. 予冷却の冷却工程を実施している間に、レール頭部の中心部の表面温度を、無接触で測定することを特徴とする、請求項3に記載の熱処理方法。
  5. 予冷却中の温度測定に加えて、レール頭部の中心部の表面温度を、加熱中および仕上げ冷却中にも測定することを特徴とする、請求項4に記載の熱処理方法。
  6. 測定したレール頭部の中心部の表面温度値を、測定・制御装置(15)を用いて、レール(1)の熱処理全体の経時的変化の制御および個々の工程におけるレール頭部(2)の加熱強度または冷却強度の制御のために使用することを特徴とする、請求項4または5に記載の熱処理方法。
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