JP4317661B2 - 棒状被処理物の部分的な電気化学的処理用装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、棒状の被処理物を浸漬浴設備である電気めっき-、エッチング(酸洗い)-及び洗浄設備内で、部分的に、電気めっき、電気化学的エッチングあるいは電気化学的洗浄からなる処理を施すための装置並びに方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
以下の説明では、被処理物は棒状のものとして記述している。長く伸びたシリンダー、とりわけ丸棒を電気化学的エッチング、電気めっき並びに電気化学的洗浄するための装置が知られている。これらの棒の片方あるいは両端は、先細り及び/又はねじを備えることがある。これに対する例としては、車両のショックアブソーバー用シリンダーである。本発明はしかしながら丸棒の処理に限らずに、さらに異なる断面を有する棒の処理にも適する。
【0003】
例えばショックアブソーバーシリンダーの場合に、棒の電気化学的処理は、耐磨耗性及び耐腐食性を向上するのに役立つ。このため、これらの棒は、作動中必要とされる表面にのみ硬質クロムで皮膜される。棒の他の個所は、皮膜されず、あるいは一時的な表面保護としてフラッシュクロムめっきで皮膜が施される。クロム皮膜の付着性を高めるために、表面をあらかじめ電気化学的エッチングする。両方の方法ステップでは好適に不溶性の電極が使われる。処理ステップの間ごとに棒は電気めっき設備内ですすぎがなされる。搬送設備は棒を処理場から処理場に運ぶのに役立つ。
【0004】
棒の中間領域を部分処理するために、両端をおおう必要があり、つまりこれらの寸法を正確に前もって決められた領域では、金属めっきも一時的な保護としてフラッシュクロムめっきも析出されないように遮蔽される必要がある。析出領域と析出されるべきでない領域との境界は、通常許容範囲が狭くなっている。或るショックアブソーバーシリンダーでは、皮膜されない領域が例えばわずか±1ミリメーターの範囲内で析出される領域に接しなければならない。析出されるべき皮膜は、この境界まで均一な膜厚である必要がある。境界領域での膜厚の増加あるいは減少となるエッジ効果を避けなければならない。引き続きなされる研磨を省くのが、正確な皮膜を施すための目標である。
【0005】
従来の設備では棒は支持枠に固定されて処理がなされ、そこでは支持枠はまた可動性のキャリアバー(担い台)に固定されている。支持枠は個別のマスク(覆い)を備えているため、棒の両端は所定範囲で皮膜されない。流通しているあらゆる棒の長さ、棒径及び皮膜領域に合わせて、めっき設備では十分な数のマスクや支持枠を有していなければならない。支持枠はまた棒に浴で導かれる電流を供給するのにも使われるため、金属的に伝導性でなければならない。この金属は合成樹脂皮膜によって電気めっきの前に保護される必要がある。
【0006】
出版物DE-AS 1103103では、ポペット弁の外表面をクロムめっきするための装置が説明されている。柄の部分的な電気めっきを可能にするために、それらの柄が管状アノードの中心に来るように配置され、段の付いた金属コア内の上側に固定される。電流が金属コアを通って供給され、その際、金属コアは絶縁体によって電解槽から分離される。金属コア及び絶縁体は柄の上端でめっき膜と境を接している。下端は、保護ラッカーによって、電気めっきがなされないよう保護される。
【0007】
これを実行するにあたっては、それぞれ個別の電気めっきされるべき素材が別個に固定され、保護ラッカーを一方の末端に寸法的に正確に塗らなければならないという欠点がある。さらに電気めっき後に保護ラッカーを剥がすのにも費用を要する。
【0008】
DE 19722983 A1では、部分的な電気化学的処理、とりわけ異なる寸法からなる棒の電気化学的処理を浸漬浴設備で可能とする方法並びに装置が記載されている。
【0009】
処理されるべき面の範囲を定めるために、棒ごとに棒の両端に終端鍔体(パッキン)の形状をした限定して調整可能なシール手段付きマスクが用いられる。供給ステーションでは、キャリアバー(担い台)に固定された幾つかの導電性グリッパーが、同時に片側で1つずつ棒を止めている。電解処理ステーション内に沈める際に、個別の棒は、棒とそれぞれ1本の固定の管状電極からなる個別の電解槽に装入される。電解作用で有効な電極の上端、下端は、それぞれ管状の軸方向に調節可能なマスクによって決まる。マスク端はそれぞれ鍔体で終端される。キャリアバーを沈めると、棒はまず上側鍔体(アッパー鍔体)を通り、次に電極を抜けその後に下側鍔体(ロアー鍔体)を通り抜ける。棒軸に対して平行に互いに無関係に上下のマスクを変位することにより、両方の皮膜境界ないし棒の皮膜されるべき面が、夫々のキャリアバー(担い台)あるいは夫々のキャリアバー(担い台)での棒列に対して一様に調整される。この方法では確かに従来の支持枠技術の欠点である、夫々の棒のサイズに応じてキャップあるいはホルダーの形をした特殊なマスクを必要とする欠点が回避される。しかしながら実際の作動では、金属析出がはさみ止めのところに形成したり、ホルダーを損傷するために、被処理物が斜めに吊るされるということがしばしば生じる。中心に掲げられてない被処理物をマスク内に装入すると、鍔体は片側が開いたりまた尖った角で傷ついたりする。そのため傷ついた鍔体では、もはや正確に寸法を決められた電気めっきは不可能である。その上困ったことには鍔体の損傷が電気めっき素材を設備から引き上げて初めて分かるということで、それは電解液中に浸漬した鍔体が浴の表面から見えないからである。この様な状況にあって製造された被処理物(加工素材)は使えない。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の基礎をなす課題は、棒を電気めっきする際に遮蔽(シールド)するための従来の方法並びに装置の欠点を回避し、とりわけ棒上の電気めっきを施してはならない領域を遮蔽するために必要な作業量やそのコストをできるだけ少なく抑えることである。そのうえ、上記方法は製造条件下においても完璧に作動すべきである。
【0011】
【課題を解決するための手段】
この課題は、請求項1に係るセルフセンタリング(連動)装置並びに請求項11に係る方法により解決される。本発明の好ましい実施形態は従属請求項に記載されている。
【0012】
本発明に係る装置は、浸漬浴設備内で棒状の被処理物を部分的に電気化学的処理するのに役立つ。上記装置は
a.少なくとも一つの浴槽、
b.上記少なくとも一つの浴槽内での、管状の電極並びに被処理物が少なくとも部分的に入ることができる少なくとも一つの管状の膜キャリア、及び
c.上記少なくとも一つの膜キャリア内に配置された膜ホルダー
を擁している。
【0013】
管状の膜キャリアは好適には化学的耐性で、また少なくとも表面が電気的に不導体性物質からなる。
上記装置は被処理物の寸法に応じて、軸方向に調整可能な電気的不導体の遮蔽設備を有している。各々の棒に対して少なくとも一つの遮蔽設備が設けられている。例えば浴内にある棒の下端にある遮蔽設備は、棒のこれらの下側部分領域を電気化学的に処理してしまうのを避けるために設けられている。この場合には棒の上部領域が処理液に浸漬しないことによって、処理されぬままとなる。しかしながらまた棒の両端にも遮蔽設備を具備することができる。
【0014】
遮蔽設備は夫々管状の膜キャリア内に少なくとも一つのかご(ケージ、cage)を有する。当該ケージは、被処理物がこれらを通り抜け得るように配置され、そのケージは夫々少なくとも一つのケージカバーと少なくとも一つのケージ底から構成されている。夫々のケージには、膜を保持する膜ホルダーがケージカバーと底の間を放射状に動くことができる様になっている。少なくとも一つの内側センタリングばね(復心ばね)が被処理物のガイドのため、また少なくとも一つの外側センタリングばねが上記ケージ内にある膜ホルダー及び膜を中心にもってくるようにするために、夫々の膜ホルダーに設けられている。膜は好ましくは化学的に耐性があり、伸長性で、電気的不導体の材料からなる。
【0015】
ケージは遮蔽設備の棒の中央部に面した側に配置される。外側センタリングばねは好適には棒状に板ばねとして形成され、膜ホルダーの外面に接線方向で固定されている。それらはケージ内で膜ホルダー及び膜を中心にもってくるのに役立ち、また膜及び膜ホルダーへの片寄った棒の半径方向の力に抗する。外側センタリングばねの弾力は弾性膜の強さ(引っ張り特性)に適合する。弾力の値は、膜が被処理物の側圧によりぱっくり開かないようにあるいは極端な場合には破れないように、またこの個所での遮蔽効果も失われないような大きさが選ばれるべきである。
【0016】
しかし内側センタリングばねの弾力は、棒を確実に固定することと止めバサミでの電気的な接触を危険にさらさないために、棒の止めバサミの弾力より小さい値が選ばれる。膜ホルダーの内側ばねが吸収する棒の側圧が大きすぎると、つまり棒を中心にもってくるのに十分なセンタリング効果に達していないと、棒が遮蔽設備内に入る際に膜は中心から外れた位置にずれ、膜の損傷が回避される。それにより、しかしながらフィールドラインを正確にシールドすることが可能となる。それに対して従来の遮蔽設備にきつく固定された遮蔽膜では、弾性素材で仕上がった膜が、棒の側圧によってぱっくり穴が開き、その結果シールド効果がこの個所で妨げられる結果となる。
【0017】
下側膜キャリア内で且つ膜の下側には、内側センタリングばねとして、中心に向かって先細りした形でまた膜ホルダーに弾力性を備え固定されたセンタリングばねの幾つかの翼か、あるいはまた弾性を備え中心に配置され且つガイドとなる少なくとも3本のばね棒が取り付けられ、その内側センタリングばねは膜を通って押し込まれた棒を挟み込み、それによりセンタリング効果のあるガイドを形成することによって、棒のセンタリングに影響を与える。とりわけばね棒は細長い形状で、膜ホルダーによって形成された平面から斜めに末端が固定されずに延び、膜ホルダーの中心と一直線となった開口部を形成し、ここを通って棒は押し込まれることができる。
【0018】
下側膜キャリア内の内側センタリングばねとして、さらに一端で膜ホルダーに固定された少なくとも2本の回転しないばね棒が用いられ得、これは対応して回転せず膜ホルダーの自由端に固定されたセンタリング効果のあるガイドを有している。これらのばね棒は、膜ホルダーで支えらた膜を通って押し込まれる棒がばね棒で挟み込まれるように調整されている。棒に対するガイドとして夫々角柱(プリズム)の形状であってばね棒に対してほぼ平行に延びたガイドが設けられている。
【0019】
上側膜キャリア内に設置された内側センタリングばねは、特に長く延びた形状で、膜ホルダーが形成する平面上に本質的に垂直に立ち、少なくとも45°、好適には90°、さらに好適には180°に曲がった自由端と共に、膜ホルダーの中心と一直線となる開口部を形成し、それを通って棒が押し込まれる。
【0020】
棒を本発明に係るシールド装置から抜く際に、膜ホルダーに付いている外側のばねは、次のバッチで入る棒に対して膜が再びセンタリングする、つまり最初の位置に戻っていることがもたらされる。
【0021】
長さの異なった棒乃至幾何学的に大きさの違う棒の塗装されるべき領域とそうでない領域を処理するための装置を調整するため、高さの調節器が設けられていて、それにより膜キャリアが膜ホルダー及び膜と共に垂直方向に可動できる。
【0022】
上記装置を用いて、浸漬装置(浸漬浴)で棒を部分的に電気化学的処理する方法が、次の方法ステップで実施されることができる:
a.適切な固定エレメントを用いて本質的に垂直に向けられた棒を挟むこと、
b.棒をめっきタンク並びに少なくとも一つの膜キャリア内に配置された膜ホルダーに入れること、その際、浴槽は管状の電極及び少なくとも一つの管状の膜キャリアを有し、これらの中を棒が少なくとも部分的に入ることができ、
c.被処理物を、膜ホルダーにより保持された少なくとも一つの膜に夫々ある中央の開口部を通して搬送すること。
【0023】
その際、垂直に配置されていない棒は、少なくとも一つの膜を通る時に膜の中央の開口部と自動的に一線上に合わせられる。
【0024】
【発明の実施の形態】
本発明を、図面に示された例に基づいて以下により詳しく説明する。
図1aでは、棒をクロムめっきするための多数の従来の電解槽個々を備えためっきタンクを通る垂直断面を図示している。図1bでは、図1aのめっきタンク内にあるひとつの従来の単一電解槽を断面的に抜粋した垂直断面を図示している。
【0025】
めっきタンク14はふち33の所まで電解液で満たされている。当該めっきタンクには、図示されていない直流電源と電気的に接続している管状の電極30が備え付けられている。さらにめっきタンク14内と当該浴槽に接して、互いに独立に垂直方向に可動する二つの隔膜キャリア17及び25がある。浴中でフライトバー支え2により正しい位置で保持されているフライトバー1には、棒10と電気的に接続し固定する止めバサミ3がある。フライトバー1を管状の電極30内に沈めると、まず棒10は上側膜キャリア26(図1b)において垂直に調整できる隔膜キャリア25にしっかりと固定された鍔体27を突き抜ける。フライトバー1をさらに沈めると、棒10は同じく下側隔膜キャリア17に固定された下側膜キャリア23(図1b)の鍔体24をも突き抜ける。膜キャリア23及び鍔体24(図1b)を備えた下側隔膜キャリア17も、膜キャリア26及び鍔体27を備えた上側隔膜キャリア25も、棒10の要件に応じて、調整器20及び28により高さ調整される。棒の下部領域での電流密度をさらに低下するに、図1bで図示されているように、伝導性の補助カソードが取り付けられ、そのカソードは侵入する被処理物10に対しばね21を介して押され、それによりカソード的に作用する表面が著しく上昇しあるいはカソードの電流密度が減少して、下側遮蔽領域では析出がもはや見られない。それによって、様々な寸法で部分的な被覆/処理位置要件が異なる棒10が、浴において処理可能である。
【0026】
以下に本発明に係る実施形態を述べる。図2から図4までで所定の装置部分が図示されていない場合には、代わりに対応する部分が図1a及び1bでの属する参照番号を有して引き合いにだされる。その限りにおいて図1a及び図1bも同様に本発明に係る装置の特徴を表している。
【0027】
図2では、本発明に係る上側膜キャリア26が、ここでは図示されていないめっきタンク14(図1a参照)内にある個別のめっき浴槽の切り取りとして垂直な断面図で示されている。上記管状の膜キャリア26は、上側隔膜キャリア25に固定され、それはここでは図示されていない高さ調整器28(図1a)を介して製造されるべき棒に対し正しい位置に調整される。
【0028】
隔膜キャリア25の調整は、同時に膜キャリア26の不導体性管が切り取りで示された不溶性の電極30内に入り、それにより電極の不必要な長さを遮ることになる。棒10をめっきタンク14内に差し込む場合、隔膜キャリア25は上方位置にあるのが好ましい。
【0029】
隔膜キャリア25並びに浴内に浸漬するすべての部分は、化学的耐性のある物質で仕上げられている。電気的に不導体な物質として例えばPVC,PVDF,PTFEが利用される。導電性物質としては例えばチタン又は鉛が用いられる。
【0030】
棒10は、ここで図示されていないフライトバー1を沈める際、まず内側のセンタリングばね7の領域に入り込む。このばねは棒がセンタリングの状態でなく下側に吊るされている場合に、センタリング圧を棒10に加えて調整するものである。ばね圧が棒10を調整するのに十分でないと、外側のセンタリングばね19で保持されている膜ホルダー5が水平方向にずれて、その結果、棒の位置を調整し、傷つきやすい膜が損傷したり延びたりすることを阻止する。膜ホルダー5の機能を正しく調整するために、管状の膜キャリア26にはケージカバー12及びケージ底16が取り付けられ、膜ホルダーは水平(放射)方向に自由に動けるが、垂直方向には十分にしっかり固定されている状態となる。棒10が一番下の位置に沈んだ後、上側隔膜キャリア25は、棒構造により予め与えられた遮蔽位置に下方へ沈むことができる。好ましい実施の形態では、その際に棒に密接している遮蔽膜9が内側にアーチ状になり、上に向かった円錐形になる。これは棒10の端部においてボーン(骨)効果(厚いめっき析出皮膜の形成)を減少することができる。
【0031】
処理後、棒10は垂直上方にめっき浴から引き上げられる。棒10が膜9から引き上げられると直ちに、膜ホルダー5は外側のばね19を介して再び膜キャリア26の中央の位置にセンタリングされる。
【0032】
図3では、本発明に係る下側膜キャリア23が、ここで図示されていないめっきタンク14(図1a参照)内にある個別のめっき浴槽を通る垂直な断面で、隔膜キャリア17の小さな切断面と共に図示されている。上記管状の膜キャリア23は、下側隔膜キャリア17に固定され、ここでは図示されていない高さ調整器20(図1aを参照)を介して製造されるべき棒に対応して正しい下側位置に調整される。膜キャリア23の高さの位置は、好適には図示されていないフライトバー1を沈める前に調整される。
【0033】
下側遮蔽設備の基本的な構造は、図2の上側遮蔽設備に対応する。ここでも同様に膜ホルダー4は、外側センタリングばね18、ケージカバー11、ケージ底15及び内側センタリングばね6と共にある。もっとも内側センタリングばね6は、膜8の下側に配置され、棒10の電気めっき面でのフィールドラインの濃度に悪い影響がでるのを回避する。ここで大事なことは、センタリングばね6の膜8からの距離を多くとりすぎないことで、それはセンタリングのまだなされていない棒10ないし膜8の正しい状態によって膜8を損傷しないようにするためである。棒10は浴槽に沈み上側遮蔽設備を通って入り込んだ後、さらに沈むとまず膜8に突き当たり、膜を貫通して内側センタリングばね6に向かい、必要に応じて(上側遮蔽設備のセンタリング効果が十分でない場合)センタリングがなされる。ばね6に加わる圧力が大き過ぎると、ここでも膜8を支える膜ホルダー4は外側センタリングばね18の弾力に抗して水平方向に(放射状に)ずれ、棒10によって押されていない側にある膜8が破れたりあるいは損傷するのを避ける。それにより棒端の縁精度のある遮蔽が保証される。上側遮蔽設備の場合と同様に、外側センタリングばね18は棒10が下側遮蔽設備から抜け出た後、膜ホルダー4が再び開始位置に戻る、すなわち新たにセンタリングすることがもたらされる。
【0034】
棒10の条件に応じて、上側だけ、下側だけあるいは両方の隔膜設備(上側及び下側)が用いられる。同様に遮蔽設備上/下との組み合わせも本発明の提案と従来技術に対応して可能である。
【0035】
図4aでは、下側膜ホルダー4の好ましい実施形態が平面図及び側面図で図示されている。シリンダー状の膜ホルダー4の外周に、外側の棒状センタリングばね18が接線方向において接するように取り付けられている。内側のセンタリングばね29は羽状で、膜ホルダー4の中心に向かって交差してあるいは斜めに取り付けられているため、三つの中に向かった円錐状の平面をつくり、それに対して中心に吊るされていない棒10(図3参照)が設備内に入り込む時に押す。棒10がさらに沈むと、羽状のセンタリングばね29は下外方向に曲がる。この特殊な実施形態は、ばねの特性に対する要求が少ないため、内側センタリングばね29には理想的な遮蔽特性を備えた材料として耐摩性の高分子を使うことができるという長所を有する。
【0036】
図4bでも膜ホルダー4が図示されている。図4aの膜ホルダー4と比べて内側センタリングばねの形は異なったものを具備している。その際センタリングばねはそれぞればね棒32からなり、それは外側で膜ホルダー4に回転しないように固定されている。ばね棒32の内側には、同様に回転しないように角柱のガイド31が取り付けられている。ばね棒32の取付方向は、膜ホルダーから斜め下方になるように示される。両方のばね32は、角柱ガイド31ともに棒10のセンタリングに優れた作用を示す(図3を参照)。
【0037】
図4a及び4bの内側センタリングばね29,32は、また上側膜ホルダー5での使用にも適する。しかし、この場合にはセンタリングばね29、32は図2に図示されているように、膜ホルダー5の上側に取り付けられなければならない。
【図面の簡単な説明】
【図1】 (a)は従来技術に対応する処理ステーションを通る切断面の概略図であり、(b)は従来技術に対応する処理ステーション内の固定されたマスクを通る切断面の概略図である。
【図2】 本発明に係る上側膜キャリアを通る切断面の概略図である。
【図3】 本発明に係る下側膜キャリアを通る切断面の概略図である。
【図4】 (a)は下側膜ホルダーの実施例の概略図であり、(b)は下側膜ホルダーの異なる実施例の概略図である。
【符号の説明】
1 キャリアバー
2 キャリアバーの支え
3 止めバサミ
4 膜ホルダー 下
5 膜ホルダー 上
6 内側センタリングばね 下
7 内側センタリングばね 上
8 遮蔽膜 下
9 遮蔽膜 上
10 棒(被処理物)
11 下側遮蔽設備内にあるケージカバー
12 上側遮蔽設備内にあるケージカバー
13 高分子板
14 めっきタンク
15 下側遮蔽設備内にあるケージ底
16 上側遮蔽設備内にあるケージ底
17 下側隔膜キャリア
18 遮蔽膜 下のための外側センタリングばね
19 遮蔽膜 上のための外側センタリングばね
20 遮蔽膜 下のための高さ調整器
21 圧縮ばね
22 補助カソード
23 管状の膜キャリア 下
24 鍔体 下
25 上側隔膜キャリア
26 管状の膜キャリア 上
27 鍔体 上
28 遮蔽設備 上のための高さ調整器
29 羽状のセンタリングばね
30 電極
31 角柱型ガイド
32 ばね棒
33 ふち
Claims (11)
- 棒状被処理物の浸漬浴設備内での部分的な電気化学的処理用装置にして、当該装置が
a.少なくとも一つの浴槽、
b.上記少なくとも一つの浴槽内での、管状の電極並びに被処理物が少なくとも部分的に入ることができる少なくとも一つの管状の膜キャリア、
c.上記少なくとも一つの膜キャリア内に配置された膜ホルダー
を有するような電気化学的処理用装置において、
夫々少なくとも一つのケージが上記少なくとも一つの管状の膜キャリア(23,26)内に設けられ、被処理物(10)が上記ケージを通って押し込まれ得るように配置され、どのケージも夫々少なくとも一つのケージカバー(11,12)と少なくとも一つのケージ底(15,16)から構成され、夫々のケージには膜(8,9)を保持する膜ホルダー(4,5)が上記ケージカバー(11,12)とケージ底(15,16)の間で放射状に動くことができる様に設置され、また夫々少なくとも一つの内側センタリングばね(6,7,29,32)が被処理物(10)のガイドのために、また少なくとも一つの外側センタリングばね(18,19)が膜(8,9)を有した膜ホルダー(4,5)をセンタリングするために、ケージ内に設けられていることを特徴とする電気化学的処理用装置。 - 夫々少なくとも3本の内側センタリングばね(6,7)が膜ホルダー(4,5)に固定され、膜ホルダー(4,5)により保持される膜(8,9)を通って押し込まれ得る被処理物(10)が上記ばね(6,7)により挟み込まれ、また上記ばね(6,7)が共に被処理物(10)のためにセンタリング作用のあるガイドを形成するようになっていることを特徴とする請求項1に記載の装置。
- 内側センタリングばねとして少なくとも2本のばね棒(32)が設けられ、それらは夫々一方の端で膜ホルダー(4,5)に回転しないように固定され、また膜ホルダー(4,5)により保持される膜(8,9)を通って押し込まれる被処理物(10)が上記ばね棒(32)により挟まれるように調整され、また他方の自由端に夫々角柱状で且つ上記ばね棒(32)にほぼ平行になる被処理物(10)用ガイド(31)が回転しないように固定され、それらにより被処理物(10)のためのセンタリング効果のあるガイドをなし得るを特徴とする請求項1に記載の装置。
- 内側センタリングばねとして翼状のばね(29)が設けられ、それらは夫々一方の端で膜ホルダー(4,5)に固定され、また膜ホルダー(4,5)により支えられている膜(8,9)を通って押し込まれる被処理物(10)が上記ばね(29)で挟み込まれるように調整され、また上記ばね(29)がともに被処理物(10)のためのセンタリング効果のあるガイドを形成することを特徴とする請求項1に記載の装置。
- 内側センタリングばね(6,7)は、細長い形状に形成され、自由端で膜ホルダー(4,5)によって形成された平面から斜めに延び、膜ホルダー(4,5)の中心と一直線に並んだ開口部を形成し、それを通って被処理物(10)が押し込まれることができることを特徴とする請求項4に記載の装置。
- 内側センタリングばね(6,7)は、細長い形状に形成され、膜ホルダー(4,5)によって形成された平面上に本質的に垂直に立ち、少なくとも45°曲がった自由端で、膜ホルダー(4,5)の中心と一直線上にある開口部を形成し、そこを通って被処理物(10)が押し込まれることができることを特徴とする請求項4に記載の装置。
- 膜ホルダー(4,5)に外側センタリングばね(18,19)として板ばね(18,19)が接線方向に固定されていることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載の装置。
- 管状の膜キャリア(23,26)は、化学的に耐性があり少なくとも表面上では電気的に不導体物質からなることを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項に記載の装置。
- 膜(8,9)が、化学的に耐性で、伸縮性で且つ電気的不導体の物質からなることを特徴とする請求項1〜8のいずれか一項に記載の装置。
- 膜ホルダー(4,5)及び膜(8,9)を有する膜キャリア(23,26)が、高さ調整器(20,28)を介して垂直方向に動くことができることを特徴とする請求項1〜9のいずれか一項に記載の装置。
- 棒状の被処理物を浸漬浴で部分的に電気化学的処理する方法にして、次の方法ステップ:
a.先ず、適切な固定エレメントを用いて本質的に垂直に向けられた被処理物を把持すること;
b.そして、管状の電極と、上記被処理物が少なくとも部分的に入り込むことができる少なくとも一つの管状の膜キャリアと、当該少なくとも一つの膜キャリア内に配置された膜ホルダーとを有しためっきタンクに被処理物を入れること;
c.その際、膜ホルダーにより保持された少なくとも一つの膜内にある中央の開口部を夫々通って被処理物が突き抜けること;
を有し、それら方法ステップを経ることによって部分的に電気化学的処理をする方法において、
垂直に配されていない被処理物(10)が、少なくとも一つの膜(8,9)を突き抜ける際に、自動的に中央の開口部と一線上に合わせられることを特徴とする方法。
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