JP4316755B2 - 内燃機関の燃料調量制御方法および制御装置 - Google Patents

内燃機関の燃料調量制御方法および制御装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は内燃機関の燃料調量制御方法および制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
内燃機関の公知の燃料調量制御方法および制御装置では、電磁弁が噴射の開始と終了を制御するために使用されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の課題は、燃料調量制御方法および制御装置において、噴射を制御するパラメタの計算を実行し、これによりこれらのパラメタが噴射の前の適切な時点で得られ、計算したこれらのパラメタが可能な限り瞬時状態を表し、しかも先に得られたパラメタが後の計算により影響を受けないようにすることである。
【0004】
【課題を解決するための手段】
上記課題は本発明により、高圧噴射を有する内燃機関の燃料調量制御方法において、噴射を少なくとも1つの第1部分噴射と、これに続く第2部分噴射とに分け、クランク軸および/またはカム軸の第1角度位置にて第1部分噴射の制御に使用する複数の第1パラメタを決定しまた第1角度位置に続く第2角度位置で、第2部分噴射の制御に使用する第2パラメタを決定し、ここで当該のパラメタによって前記の各部分噴射の開始および/または持続時間の少なくとも1つを決定し、前記の第1パラメタを使用して、目下の噴射における第1角度位置の直後の第1部分噴射を制御し、第2パラメタのうちで第2部分噴射の開始を決定する第2パラメタを使用して、当該の目下の噴射に続く次の噴射を制御することを特徴とする、内燃機関の燃料調量制御方法とこの制御方法を実行する制御装置とを構成することによって解決される。
【0005】
本発明の有利な実施形態および発展形態は従属請求項に記載されている。
【0006】
【発明の実施の形態】
本発明を以下、図面に示した実施形態により説明する。
【0007】
図1には、内燃機関の燃料調量制御装置の主要な部材が示されている。制御部は100で示されている。この制御部は操作器110に制御信号Aを供給する。またパルスホイール125が設けられており、このパルスホイール125はクランク軸および/またはカム軸に配置されており、制御部100に接続されているセンサ120により走査される。さらに別の複数のセンサ130が設けられており、これらのセンサ130は、内燃機関の動作状態ならびに周囲条件を表す信号を形成する。
【0008】
センサ120は、クランク軸および/またはカム軸の所定の角度位置で発生するパルスを供給する。パルスホイール125のマークは有利には、内燃機関のシリンダの上死点毎に1つのパルスを発生するように配置されている。別の複数のセンサ130は例えば運転者の要求を表す信号を供給する。
【0009】
種々の動作特性パラメタから、制御部100は操作器110に供給する制御信号Aを計算する。運転者の要求および内燃機関の回転数から制御部100は、噴射すべき燃料量を決定するパラメタQKを求める。さらに種々のパラメタ例えば噴射すべき燃料量QKから、噴射開始時点を決定するパラメタが求められる。運転者の要求および回転数の他に、自動車および/または内燃機関の動作状態を表すさらに別のパラメタを考慮することもできる。噴射開始と噴射すべき燃料量を表すパラメタから制御部100は操作器110に供給する制御信号Aを計算する。
【0010】
操作器110は有利には電磁弁またはいわゆる圧電操作器である。制御信号Aに依存して操作器110は、噴射が行われるポジションになったり、噴射が行われないポジションになる。有利には制御開始時点を決定する信号と制御終了を決定する信号とが出力される。
【0011】
実際の噴射は複数の部分噴射に分割されることが多い。有利にはシリンダの燃焼サイクル毎に、少量の予備噴射と大量の主噴射とが実行される。予備噴射と主噴射の他に、さらに別の部分噴射を設けることも可能である。したがって例えば付加的に後噴射を設けることもできる。さらに予備噴射、主噴射および/または後噴射をそれぞれ、複数の予備噴射、主噴射および/または後噴射に分割することもできる。
【0012】
以下では本発明の手法を予備噴射および主噴射の例で説明する。しかし本発明の手法は別の部分噴射にも適用することができる。本発明の手法は、第1および第2部分噴射が行われる場合に適用することができる。以下では第1部分噴射を予備噴射とし、また第2噴射を主噴射と称する。
【0013】
最適な燃焼を達成するために、部分噴射は各々のシリンダの上死点に対して所定の位置を有しなければならない。例えばディーゼル内燃機関では制御開始時点を、予備噴射に対しても主噴射に対しても正確に設定しなければならない。予備噴射は上死点から約95゜前の領域で、主噴射は上死点の25゜前で開始される。
【0014】
制御開始時点の計算では、予備噴射に対してもまた主噴射に対しても噴射量QKと平均エンジン回転数Nとが必要である。予備噴射の制御持続時間の計算にもまた主噴射の制御持続時間の計算にも、噴射量QKと瞬時の噴射圧Pが必要である。
【0015】
エンジン回転数Nは予備噴射と主噴射との間の時間では実質的に一定である。噴射量QKは、この時間内にはっきりと変化することがある。例えば燃料圧力がいわゆるレール内の圧力に相応するいわゆるコモンレールシステムでは、燃料圧力Pは極めて変動の大きな動的特性を有する。したがって予備噴射と主噴射との間におけるこれらのパラメタの大きな変化を出発点としなければならない。
【0016】
上記のような理由から、予備噴射と主噴射とを別々の時点で計算する必要がある。ここでは角度に同期した割り込みが設けられており、これらの割り込みはクランク軸および/またはカム軸の所定の角度位置でそれぞれ発生する。予備噴射のためのパラメタの計算をトリガする割り込みは有利には上死点の168゜前に行われ、主噴射のためのパラメタの計算をトリガする割り込みは上死点の78゜前に行われる。
【0017】
予備噴射の燃焼技術的な意味は、後続の主噴射に対して燃焼室を前もって調整することである。したがってクランク軸および/またはカム軸の位置に対する絶対位置よりもむしろ主噴射に対する予備噴射の相対位置が重要である。この要求は、予備噴射の制御開始時点と主噴射の制御開始時点との間隔を特性マップから読み出すことによって考慮される。すなわち予備噴射の制御開始時点ABVEは次の式により得られる。
【0018】
ABVE=ABVR+ABHE
ここでパラメタABHEは主噴射の制御開始時点に相応し、またパラメタABVRは予備噴射のための制御開始時点と主噴射のための制御開始時点との間隔に相応する。
【0019】
ここで問題なのは噴射過程に対する予備噴射の計算の際に、主噴射のための制御開始時点ABHEがまだ計算されていないことである。その後新たな動作条件で主噴射の制御開始時点が計算されると、この新たに計算された主噴射の開始時点のための値ABHEは、予備噴射の計算に使用された先行の値から明らかに偏差してしまう。この結果不利な条件下では、主噴射と予備噴射との間隔が大きくなりすぎるかまたは明らかに小さくなりすぎることがある。
【0020】
図2には時間tの種々のパラメタが示されている。最も上の行には下向き矢印により、センサ120のパルスが発生する時点がマークされている。OT(K−1)によりK−1番目のシリンダの上死点が、OT(K)によりK番目のシリンダの上死点が示されている。
【0021】
その下には上向き矢印により、割り込みが発生する時点が示されている。これら割り込みにより予備噴射と主噴射のためのパラメタの計算がそれぞれトリガされる。その下の行には第1シリンダおよび第2シリンダに予備噴射が発生することのできる時間区間が示されている。VE(K−1)によりK−1番のシリンダに予備噴射可能な時間区間が、またVE(K)によりK番目のシリンダに予備噴射可能な時間区間が示されている。
【0022】
その下の行には相応に、K−1番のシリンダに主噴射HE(K−1)が可能な時間区間と、K番目のシリンダに主噴射HE(K)が可能な時間区間とが示されている。最も下の行には、噴射制御パラメタを計算する領域が示されている。
【0023】
これらの2つの計算を時間的に分けることはできない。それは殊に制御持続時間は、可能な限り瞬時値に則して計算すべきであるからである。さらにK番目の主噴射HE(K)ための計算開始時点では、K番目の予備噴射VE(K)のための制御開始時点ABVE(K)はすでに決定しており、ないしは制御信号がすでに操作器に送出されている。
【0024】
上記のような境界条件下であってもK番目の予備噴射とK番目の主噴射HEとの間隔が所望の値に相応するために、後ほど計算される主噴射HE(K)のための制御開始時点ABHE(K)を、基にした主噴射HE(K−1)の値ABHE(K−1)から変化させてはならない。
【0025】
主噴射の計算による、予備噴射と主噴射との間隔ABVERへの影響を除去するため、以下に説明するようにする。第1のステップ300では、上死点OTが生じたかどうかをチェックする。判定300で上死点が生じたことを識別した場合には、ステップ310でカウンタKが1だけインクリメントされる。引き続く判定320では、第1割り込みIR1(K)が生じたかどうかをチェックする。
【0026】
割り込みIR1(K)が生じていた場合には、ステップ330で予備噴射のためのパラメタの計算が行われる。ここで予備噴射の持続時間DVE(K)は、噴射すべき燃料量QKと燃料圧力Pとに依存して設定される。間隔ABVER(K)は、少なくとも回転数Nと別のパラメタ例えば噴射される燃料量QKとの関数f1として設定される。有利にはこの値は相応の1つまたは複数の特性マップから読み出される。
【0027】
その次に次の予備噴射のための制御開始時点ABVE(K)を、間隔ABVER(K)とパラメタABHEW(K−1)とから計算する。ここでABHEW(K−1)は、先行の噴射において計算された主噴射のための制御開始時点である。
【0028】
引き続きの判定340では、割り込みIR2(K)が発生したかどうかがチェックされる。発生していた場合には、ステップ350で主噴射のためのパラメタを計算する。主噴射の持続時間DHE(K)は、噴射した燃料量QKと燃料圧力Pとに依存して設定される。引き続いて所望の制御開始時点に対する新しい値ABHEW(K)を、少なくとも噴射した燃料量QKと回転数Nとの関数f2として計算する。これらのパラメタにより主噴射のための所望の制御開始時点が表され、この主噴射はこの動作状態に対して最適と思われる主噴射である。その次にパラメタABHEK(K)の計算が行われ、このパラメタは値ABHEW(K−1)に等しく設定される。パラメタABHEK(K)は、操作器が制御されるパラメタに相応し、この制御により主噴射の開始がトリガされる。主噴射の制御開始時点では、先行の噴射で計算した、先行の主噴射の制御開始時点のための値を使用する。
【0029】
本発明では主噴射に対して2つの異なる制御開始時点が扱われる。第1の値ABHEKは実際に使用される制御信号に相応しており、この値により予備噴射と主噴射の所要の間隔が考慮される。第2の値ABHEWにより、変化した動作条件がこの時点で考慮される。しかしこの値は次の噴射の際に、はじめて制御値として使用される。
【0030】
クランク軸の第1の角度位置は、第1パラメタの算定をトリガする第1割り込みIR1に作用する。第1パラメタABVE,DVEにより、予備噴射の開始および/または持続時間が求められる。予備噴射の持続時間を決定するパラメタDVEは、割り込みIR1に続く次の予備噴射時に使用される。予備噴射の開始の制御に使用されるパラメタABVEは、割り込み後の次の予備噴射を制御するために使用される。
【0031】
クランク軸の第2の角度位置は、第2パラメタの算定をトリガする第2割り込みに作用する。第2のパラメタABHE、DHEは、主噴射の開始および/または持続時間を決定する。主噴射の持続時間を決定するパラメタDHEは、割り込みIR2に続く次の主噴射時に使用される。主噴射の開始の制御に使用されるパラメタABHEは、割り込み後の次々回の主噴射を制御するためにはじめて使用される。
【0032】
この手段により、予備噴射および/または主噴射の持続時間を決定するパラメタDVEおよびDHEにおいてそれぞれ、瞬時値に最も則した動作特性パラメタが使用されることが保証される。さらに予備噴射と主噴射との間隔が所望の値に相応することが保証される。
【図面の簡単な説明】
【図1】燃料調量制御装置のブロック図である。
【図2】時間についてプロットした種々の信号を示す図である。
【図3】本発明の手法を説明する流れ図である。
【符号の説明】
100 制御部
110 操作器
120 センサ
125 パルスホイール
130 センサ

Claims (5)

  1. 高圧噴射を有する内燃機関の燃料調量制御方法において、
    噴射を少なくとも1つの第1部分噴射と、これに続く第2部分噴射とに分け、
    クランク軸および/またはカム軸の第1角度位置にて第1部分噴射の制御に使用する複数の第1パラメタを決定しまた第1角度位置に続く第2角度位置で、第2部分噴射の制御に使用する第2パラメタを決定し、ここで当該のパラメタによって前記の各部分噴射の開始および/または持続時間の少なくとも1つを決定し、
    前記の第1パラメタを使用して、目下の噴射における第1角度位置の直後の第1部分噴射を制御し、
    第2パラメタのうちで第2部分噴射の開始を決定する第2パラメタを使用して、当該の目下の噴射に続く次の噴射を制御することを特徴とする、
    内燃機関の燃料調量制御方法。
  2. 前記第1および/または第2角度位置により割り込みを生じさせ、
    該割り込みにより前記第1および/または前記第2パラメタの算定をトリガさせる、
    請求項1に記載の方法。
  3. 前記第2部分噴射の持続時間を決定するパラメタを使用して、目下の噴射の第2角度位置の直後の第2部分噴射を制御する
    請求項1または2に記載の方法。
  4. 前記第1部分噴射は予備噴射であり、前記第2部分噴射は主噴射である
    請求項1からまでのいずれか1項に記載の方法。
  5. 高圧噴射装置を有する内燃機関への燃料調量を制御する装置において、
    噴射が少なくとも1つの第1部分噴射と、これに続く第2部分噴射とに分けられており、
    前記装置は手段を有しており、
    該手段により、
    クランク軸および/またはカム軸の第1角度位置にて第1部分噴射の制御に使用する複数の第1パラメタが決定されまた第1角度位置に続く第2角度位置で、第2部分噴射の制御に使用する第2パラメタが決定されここで当該のパラメタによって前記の各部分噴射の開始および/または持続時間の少なくとも1つが決定され、
    前記の第1パラメタが使用されて、目下の噴射における第1角度位置の直後の第1部分噴射が制御され、
    第2パラメタのうちで第2部分噴射の開始を決定する第2パラメタが使用されて、当該の目下の噴射に続く次の噴射が制御されることを特徴とする、
    内燃機関への燃料調量制御する装置。
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