JP4218496B2 - 内燃機関の噴射量制御装置 - Google Patents
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Description
エンジン回転数の変動量(回転数変動量)は、例えば、図1(f)に示す様に、TDC(時刻t10)の回転数ωtと、ATDC90°CA(時刻t11)の回転数ωcを比較、あるいは、予め決めておいた所定値とATDC90°CAの回転数ωcを比較して算出する方法が公知である(特許文献1、2参照)。なお、図中のωa、ωb、ωc、ωdは、それぞれATDC90°CAの位置(時刻t3、t8、t11、t14)で検出される回転数であり、例えば、時刻t3での回転数ωaは、時刻t2〜t4の所要時間から算出される。
従って、ATDC90°CAの位置では、図1(a)の筒内圧グラフに示す様に、噴射によって高まった筒内圧(Sp1+Sp2)のうち、Sp2部に発生するトルクが回転数上昇に寄与する前に回転数を検出していることになる。
本発明は、上記事情に基づいて成されたもので、その目的は、噴射量学習を実行する際に、単発噴射の実施によって生じる内燃機関の回転数変動量を正確に検出できると共に、次気筒のコンプレッションによる回転数変動の影響を排除することにより、噴射量学習を高精度に実行できる内燃機関の噴射量制御装置を提供することにある。
本発明は、回転数センサによって検出される内燃機関の回転速度を機関回転数として取り込み、その機関回転数を基に推定した単発噴射を実施しなかった場合の機関回転数と、単発噴射実施時に取り込まれた機関回転数との差を、単発噴射によって生じる内燃機関の回転数変動量として検出する回転数変動量検出手段を備え、これによって検出された回転数変動量を基に、単発噴射に対する指令噴射量を増量または減量すべき補正量を算出し、その補正量に応じて指令噴射量を増減補正する内燃機関の噴射量制御装置であって、
回転数変動量検出手段は、排気弁が開いてから、次気筒の上死点が検出されるまでの間(図1中のt1位相(タイミング)と#1の膨張行程の終端位相との間)に、回転数センサによって検出された機関回転数(ω3)を取り込んで、回転数変動量を検出することを特徴とする。
上記の構成によれば、単発噴射が実施された時に、次気筒の圧縮行程によって生じる内燃機関の回転数変動量を推定することにより、次気筒の圧縮行程に伴う回転数変動量の影響を排除でき、単発噴射によって生じる内燃機関の回転数変動量を、より正確に検出できる。
請求項1に記載した内燃機関の噴射量制御装置において、推定手段は、学習条件が成立している状態で、単発噴射が実施される前に、回転数センサによって検出される機関回転数の変動量より、単発噴射が実施された時の圧縮行程に伴う回転数変動量を推定することを特徴とする。
単発噴射が実施される前であれば、特定気筒の圧縮行程によって生じる回転数変動量(回転数の落ち込み)を、回転数センサによって検出される機関回転数より求めることができる。従って、特定気筒の圧縮行程によって生じる回転数変動量より、単発噴射が実施された時に生じる次気筒の圧縮行程に伴う回転数変動量を推定できる。
請求項1または2に記載した内燃機関の噴射量制御装置において、例えば、単発噴射によって生じる内燃機関の回転数変動量と、単発噴射に対する指令噴射量との相関を予めマップ化して記憶することにより、回転数変動量検出手段によって検出された回転数変動量と、マップから得られる目標値との誤差を算出し、その誤差に応じて補正量を算出することが可能である。
請求項1または2に記載した内燃機関の噴射量制御装置において、例えば、単発噴射によって生じる内燃機関の回転数変動量(回転数変動量検出手段によって検出された回転数変動量)を基に、単発噴射によって実際に噴射された燃料量を算出し、その燃料量と単発噴射に対する指令噴射量との誤差に応じて補正量を算出することが可能である。
請求項1〜4に記載した何れかの内燃機関の噴射量制御装置において、学習条件には、少なくとも、インジェクタに指令する指令噴射量がゼロ以下となる無噴射時であることが含まれる。これにより、単発噴射によって生じる内燃機関の回転数変動量を正確に検出でき、噴射量学習を高精度に実行できる。
なお、インジェクタに指令する指令噴射量がゼロ以下となる無噴射時とは、例えば、シフトチェンジ時あるいは減速時等のフューエルカット状態である。
本実施例の内燃機関は、例えば、4気筒のディーゼル機関(以下、エンジン1と呼ぶ)であり、以下に説明する蓄圧式の燃料噴射システムを備えている。
その燃料噴射システムは、図2に示す様に、高圧燃料を蓄えるコモンレール2と、燃料タンク3から汲み上げた燃料を加圧してコモンレール2に供給する燃料ポンプ4と、コモンレール2より供給される高圧燃料をエンジン1の気筒内(燃焼室1a)に噴射するインジェクタ5と、本システムを電子制御する電子制御ユニット(以下ECU6と呼ぶ)とを備えている。
噴射量学習は、例えば、パイロット噴射に対する指令噴射量と、その指令噴射量(噴射指令パルス)を受けて実際にインジェクタ5より噴射された燃料量(以下、実噴射量と呼ぶ)との誤差を検出し、その誤差量に応じて指令噴射量を補正するものである。なお、ECU6は、本発明に係わる判定手段、単発噴射指令手段、回転数変動量検出手段、補正量算出手段、噴射量補正手段等の機能を有している。
ステップ10…噴射量学習を実行するための学習条件が成立しているか否かを判定する。学習条件には、インジェクタ5に指令する指令噴射量がゼロ以下となる無噴射時(例えば、シフトチェンジ時や減速時等でフューエルカット状態の時)であること、所定のレール圧が維持されていること等が含まれる。この判定結果がYESの時は、次のステップ20へ進み、判定結果がNOの時は、本処理を終了する。
ステップ30…単発噴射の実施によって発生するエンジントルク(発生トルク)に比例した特性値(トルク比例量)を検出する。この特性値の検出方法は、後に詳述する。
ステップ60…ステップ30で検出した特性値を廃棄して本処理を終了する。
ステップ70…メモリに保存された特性値(トルク比例量)より補正量を算出する。
ステップ80…ステップ70で算出された補正量に応じて、インジェクタ5に指令する指令噴射量を補正する。
ステップ31…回転数センサ18の信号を取り込んでエンジン回転数ωを検出する。
本実施例の4気筒エンジン1では、図1(f)に示す様に、クランクシャフトが2回転(720°CA)する間に4回(各気筒に1回ずつ)、エンジン回転数ω(時系列順にω1、ω2、ω3、ω4…)が検出される。
図1の横軸に示されるt6、t9、t13、t15は、それぞれエンジン回転数ω1、ω2、ω3、ω4の検出時刻を表しており、例えば、時刻t6のエンジン回転数ω1は、排気弁の開弁時刻t5から次気筒TDCの検出時刻t7までの所要時間より算出される。
回転数変動量δは、単発噴射を実施しなかった場合のエンジン回転数ω′(推定値)と、単発噴射の実施によって上昇したエンジン回転数ω(回転数センサ18の検出値)との差として求められる。例えば、図1(f)にて説明すると、単発噴射直後の回転数変動量δ1は、ω3(図1では#3での回転数)とω′3との差として求められる。
T=K・δx・ωt……………………………………………(1)
K:比例定数
本実施例では、エンジン回転数ωの検出位置を、排気弁が開いてから、次気筒のTDCが検出されるまでの間に設定しているので、単発噴射直後のエンジン回転数ω3は、図1に示される様に、単発噴射によって上昇した筒内圧(Sp1+Sp2)が、単発噴射を実施しなかった場合の筒内圧と略同レベルまで低下してから検出される。言い換えると、単発噴射の実施により上昇した筒内圧によって発生するトルクが、全て回転数上昇に変換される時刻t12以降に検出される。その結果、図1(d)に示す様に、単発噴射によって発生したトルクが回転数を上昇させた量(回転数変動量δ1)を正確に検出することができる。
この回転数変動量δ(図1ではδ1)は、回転数センサ18によって直接検出することができない。実際に検出できるのは、δn(ω2とω3との差)であるが、このδnは、噴射による回転数変動のみでなく、次気筒(図1では#3)の圧縮行程による回転数変動の影響を受けたものである。そこで、次気筒の圧縮行程に伴う回転数変動量を推定し、その推定値δ′mと、単発噴射の前後に回転数センサ18によって検出されるδnとを加算すれば、噴射のみによる回転数変動量δ(δ1)を求めることができる。
また、上記δ′mとω2から、単発噴射を実施しなかった場合のω′3が推定できるので、ステップ32で算出される回転数変動量δは、単発噴射を実施しなかった場合のω′(推定値)と、回転数センサ18によって検出されるエンジン回転数ωとの差として求められる。
これにより、次気筒のコンプレッションによる回転数変動の影響を排除できるので、噴射量学習を高精度に実行することが可能である。
図5に示す作動説明図と図6に示すフローチャートを基に、トルク比例量Tpを算出する処理手順を説明する。
ステップ34…単発噴射の前後に検出されるエンジン回転数ωより、気筒毎に回転数変動量δ1を算出する。例えば、図5に示す様に、#3の場合は、ω3(i)とω3(i+1)との差Δω3を算出する。
実施例1では、パイロット噴射に対する噴射量学習の一例を記載したが、パイロット噴射を実施しない通常噴射(同一気筒に対し燃焼1行程の間に1回だけ噴射する)に対する噴射量学習、あるいはパイロット噴射後のメイン噴射やメイン噴射後のアフタ噴射に対する噴射量学習にも本発明を適用できる。
本発明のエンジン1は、実施例1に記載した蓄圧式(コモンレール式)の燃料噴射システム以外にも、例えば電磁スピル弁を有する分配型燃料噴射ポンプを備えた燃料噴射システムにも適用できる。
5 インジェクタ
6 ECU(噴射量制御装置)
18 回転数センサ
Claims (5)
- 噴射量学習を実施するための学習条件が成立しているか否かを判定する判定手段と、
前記学習条件が成立している時に、内燃機関の特定気筒に対してインジェクタより学習用の単発噴射を実施する単発噴射指令手段と、
回転数センサによって検出される前記内燃機関の回転速度を機関回転数として取り込み、その機関回転数を基に推定した単発噴射を実施しなかった場合の機関回転数と、単発噴射実施時に取り込まれた機関回転数との差を、前記単発噴射によって生じる前記内燃機関の回転数変動量として検出する回転数変動量検出手段と、
検出された前記内燃機関の回転数変動量を基に、前記インジェクタに指令する指令噴射量を増量または減量すべき補正量を算出する補正量算出手段と、
算出された補正量に応じて前記指令噴射量を増減補正する噴射量補正手段とを備え、
前記回転数変動量検出手段は、排気弁が開いてから、次気筒の上死点が検出されるまでの間に、前記回転数センサによって検出された機関回転数を取り込んで、前記回転数変動量を検出する内燃機関の噴射量制御装置であって、
前記回転数変動量検出手段は、前記単発噴射が実施された時に、前記次気筒の圧縮行程によって生じる前記内燃機関の回転数変動量を、圧縮行程に伴う回転数変動量として推定する推定手段を有し、
前記回転数センサにより検出される機関回転数を基に、前記単発噴射の前後に生じる回転数変動量を実回転数変動量として算出し、
この実回転数変動量と前記圧縮行程に伴う回転数変動量とに基づいて、前記単発噴射によって生じる前記内燃機関の回転数変動量を検出することを特徴とする内燃機関の噴射量制御装置。 - 請求項1に記載した内燃機関の噴射量制御装置において、
前記推定手段は、前記学習条件が成立している状態で、前記単発噴射が実施される前に、前記回転数センサによって検出される機関回転数の変動量より、前記単発噴射が実施された時の前記圧縮行程に伴う回転数変動量を推定することを特徴とする内燃機関の噴射量制御装置。 - 請求項1または2に記載した内燃機関の噴射量制御装置において、
前記補正量算出手段は、前記単発噴射に対する指令噴射量から前記回転数変動量の目標値を算出し、この目標値と、前記回転数変動量検出手段によって検出された前記回転数変動量との差を誤差量として算出し、その誤差量に応じて前記補正量を算出することを特徴とする内燃機関の噴射量制御装置。 - 請求項1または2に記載した内燃機関の噴射量制御装置において、
前記補正量算出手段は、前記回転数変動量検出手段によって検出された前記内燃機関の回転数変動量を基に、前記単発噴射によって実際に噴射された燃料量を算出し、その燃料量と、前記単発噴射に対する指令噴射量との差を誤差量として算出し、その誤差量に応じて前記補正量を算出することを特徴とする内燃機関の噴射量制御装置。 - 請求項1〜4に記載した何れかの内燃機関の噴射量制御装置において、
前記学習条件には、少なくとも、前記インジェクタに指令する指令噴射量がゼロ以下となる無噴射時であることが含まれることを特徴とする内燃機関の噴射量制御装置。
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