JP4316065B2 - 光導波路素子の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、高い特性を有するエピタキシャル酸化物薄膜光導波路素子、特にチャンネル光導波路やグレーティングなどを設けた光導波路素子、およびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
プレーナ導波路材料としては石英などのガラス、LiNbO3などの酸化物強誘電体または電気光学材料、Y3Ga5O12などの磁気光学材料、PMMAなどのポリマー、またはGaAs系の化合物半導体が用いられている。これらのうち、例えば、良好な音響光学効果または電気光学効果を有する材料はLiNbO3などの酸化物強誘電体材料であり、これらの効果を利用して実際に作製された素子はほとんどがLiNbO3である。強誘電体としてはLiNbO3のほかにBaTiO3、PbTiO3、Pb1]x Lax(ZryTi1]y)1]x/4O3 (xおよびyの値によりPZT、PLT、PLZT)、Pb(Mg1/3Nb2/3)O3、KNbO3、LiTaO3、SrxBa1]xNb2O6、PbxBa1]xNb2O6、Bi4Ti3O12、Pb2KNb5O15、K3Li2Nb5O15など多くの材料があり、これらのうち多くの材料はLiNbO3よりも良好な特性を有している。特に、Pb1]x Lax(ZryTi1]y)1]x/4O3はLiNbO3よりも非常に高い電気光学係数を有する材料として知られ、LiNbO3単結晶の電気光学係数が30.9 pm/Vであるのに対し、PLZT(8/65/35: x=8%, y=65%, 1]y=35%)セラミックスの電気光学係数は612 pm/Vが得られている。
【0003】
LiNbO3よりも良好な特性を有している強誘電体が多いにもかかわらず実際に作製された素子がほとんどLiNbO3やLiTaO3を用いているのは、単結晶成長技術とそのウエハへのTi拡散やプロトン交換による光導波路技術の確立したLiNbO3やLiTaO3以外は薄膜のエピタキシャル成長を行わなければならず、従来の気相成長では実用レベルの品質の薄膜光導波路が作製できなかったことがある。
これに対して本発明者らは、実用レベルの品質の薄膜光導波路作製に関して固相エピタキシャル成長技術により実用レベルの品質の薄膜光導波路を作製する方法を発明し(特開平7-78508)、上記の実用レベルの品質の光導波路が作製できなかった問題を解決した。
【0004】
しかし、エピタキシャル薄膜光導波路が作製できてもチャンネル光導波路やグレーティングなどの良好な微細パターンを作製する技術がなかったことが、実際に作製されている素子がほとんどLiNbO3やLiTaO3を用いているもうひとつの大きな理由である。すなわち、LiNbO3などにおいてはTi拡散やプロトン交換技術を応用した三次元(チャンネル)光導波路やグレーティングの作製法が西原、春名、栖原、光集積回路、オーム社 (1993) pp. 195〜230.にも示されているが、それら以外の材料、特にPb1]x Lax(ZryTi1]y)1]x/4O3においては他元素を拡散したりイオン交換をする方法は知られていない。また、LiNbO3やLiTaO3において単結晶ウエハにTi拡散やプロトン交換によって光導波路を作製するために、チャンネル光導波路の実効屈折率をそのまわりの実効屈折率より十分に高くできず、屈折率差を大きくできないため、S字型チャンネル光導波路の曲率を大きくする必要も生じ、マトリックス光スイッチのサイズが大きくなることも課題である。
【0005】
一方、石英光導波路などでは、反応性イオン・エッチングによりチャンネル光導波路などを作製する方法が河内、NTT R&D、43 (1994) 1273.などに示されているが、単結晶状のエピタキシャル強誘電体薄膜光導波路に散乱損失の原因となる表面荒れを与えず、かつ、薄膜光導波路と同種の酸化物である基板などにダメージを与えずに選択的にエッチングすることは困難である。このため、損失の少ないチャンネル光導波路がエピタキシャル強誘電体薄膜光導波路に作製された報告例は見られなかった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記問題点に鑑みなされたもので、その目的は、高い特性を有し各種スイッチング素子、変調素子、フィルター素子、偏向素子、グレーティング素子あるいは光増幅素子など広範囲の光導波路素子となる、パターニングされたエピタキシャル酸化物薄膜光導波路を備えた光導波路素子を提供すること、また前記の光導波路素子のパターニングを精度よくまた生産性よく行うことができる光導波路素子の製造方法を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記課題は以下に記載の光導波路素子およびその製造方法を提供することにより解決される。
(1)単結晶基板の表面に、アモルファス状薄膜を形成した後、このアモルファス状薄膜をエッチングによって凸型形状にパターニングし、次いで、パターニングされたアモルファス状薄膜を加熱して固相エピタキシャル成長させることにより、パターニングされたエピタキシャル状酸化物薄膜光導波路を形成することを特徴とする光導波路素子の製造方法。
上記のように、本発明の光導波路素子の製造方法は、アモルファス状薄膜をエッチングによってパターニングするため、パターニング速度が速く、その制御性も良好である。したがって、本発明の製造法により、従来法では困難であったチャンネル光導波路やグレーティングなどの微細パターンを効率よく形成することができ、優れた特性を有する光導波路素子が生産性よく得られる。また、本発明ではパターニングされたアモルファス薄膜を固相エピタキシャル成長させるために、散乱による光損失が小さい極めて平滑なエッジ、側壁、表面を有するパターニングされた酸化物薄膜光導波路が得られる。従来法では、エピタキシャル状酸化物から構成され、チャンネル光導波路やグレーティングなどの微細パターンを有する光導波路素子を形成することは困難であったが、本発明の製造方法により初めて可能となったものである。
【0008】
(2)単結晶基板の表面に、凸型形状にパターニングされたエピタキシャル状酸化物薄膜光導波路を設けた後、
1)前記酸化物薄膜光導波路より小さい屈折率を有する酸化物クラッド層を固相エピタキシャル成長により形成する工程、
2)次いで、加熱によってエピタキシャル状酸化物薄膜光導波路となるアモルファス状薄膜を形成した後、このアモルファス状薄膜をエッチングによって凸型形状にパターニングし、次いで、パターニングされたアモルファス状薄膜を加熱して固相エピタキシャル成長させることにより、パターニングされたエピタキシャル状酸化物薄膜光導波路を形成する工程、
の1)および2)の工程の組み合わせを1回以上行うことを特徴とする光導波路素子の製造方法。
本発明は前記のようなエッチング工程を使用することにより、複数のエピタキシャル状酸化物薄膜光導波路を積層した3次元構造を有する光導波路素子を、精度よくかつ生産性よく製造することができる。
【0009】
(3)最外層のパターニングされたエピタキシャル状酸化物薄膜光導波路の上に、さらに該光導波路より小さい屈折率を有するエピタキシャル状酸化物クラッド層を設けることを特徴とする前記(1)または(2)に記載の光導波路素子の製造方法。
(4)前記酸化物クラッド層が、固相エピタキシャル成長により形成されることを特徴とする前記(3)に記載の光導波路素子の製造方法。
(5)前記酸化物クラッド層が、パターニングされた加熱によりエピタキシャル状酸化物薄膜光導波路となるアモルファス状薄膜と、この上に設けられた加熱によりエピタキシャル状酸化物クラッド層となるアモルファス状薄膜を形成した後に、加熱して固相エピタキシャル成長させることにより、エピタキシャル状酸化物薄膜光導波路の形成と同時に形成されることを特徴とする前記(4)に記載の光導波路素子の製造方法。
【0010】
(6)単結晶基板の表面に、
1)エピタキシャル状酸化物薄膜光導波路となるアモルファス状薄膜を形成した後、このアモルファス状薄膜をエッチングによって凸型形状にパターニングする工程、
2)次いで、加熱により前記酸化物薄膜光導波路より小さい屈折率を有するエピタキシャル状酸化物クラッド層となるアモルファス状薄膜を形成する工程、
3)次いで、加熱して固相エピタキシャル成長させることによりパターニングされたエピタキシャル状酸化物薄膜光導波路とエピタキシャル状酸化物クラッド層とを形成する工程、
の1)から3)までの工程の組み合わせを2回以上行うことを特徴とする光導波路素子の製造方法。
【0011】
(7)前記単結晶基板は、前記凸型形状にパターニングされたエピタキシャル状酸化物薄膜光導波路よりも小さい屈折率を有することを特徴とする前記(1)ないし(6)のいずれか1に記載の光導波路素子の製造方法。
(8)前記単結晶基板は、前記凸型形状にパターニングされたエピタキシャル状酸化物薄膜光導波路よりも小さい屈折率を有するエピタキシャル状酸化物バッファ層を表面に有することを特徴とする前記(1)ないし(7)のいずれか1に記載の光導波路素子の製造方法。
(9)前記酸化物バッファ層が、単結晶基板表面へ固相エピタキシャル成長により形成されることを特徴とする前記(8)に記載の光導波路素子の製造方法。
(10)前記単結晶基板は、前記凸型形状にパターニングされたエピタキシャル状酸化物薄膜光導波路と同じ屈折率を有するエピタキシャル状のスラブ型酸化物光導波路を表面に有することを特徴とする前記(1)ないし(9)のいずれか1に記載の光導波路素子の製造方法。
【0012】
(11)前記スラブ型酸化物光導波路が、単結晶基板表面へ固相エピタキシャル成長により形成されることを特徴とする前記(10)に記載の光導波路素子の製造方法。
(12)前記スラブ型酸化物光導波路が、前記スラブ型酸化物光導波路よりも屈折率の小さい酸化物バッファ層を単結晶基板表面へ固相エピタキシャル成長させた後、固相エピタキシャル成長により形成されることを特徴とする前記(10)または(11)に記載の光導波路素子の製造方法。
(13)前記単結晶基板は、前記凸型形状にパターニングされたエピタキシャル状酸化物薄膜光導波路と同じ屈折率を有する単結晶状のスラブ型酸化物光導波路を表面に有し、前記スラブ型酸化物光導波路が、単結晶基板表面へ不純物拡散あるいはイオン交換により形成されることを特徴とする前記(1)ないし(9)のいずれか1に記載の光導波路素子の製造方法。
(14)前記パターニングされたエピタキシャル状酸化物薄膜光導波路および前記スラブ型酸化物光導波路は、電気光学効果を有する強誘電体であることを特徴とする前記(10)ないし(13)のいずれか1に記載の光導波路素子の製造方法。
(15)前記パターニングされたエピタキシャル状酸化物薄膜光導波路が、チャンネル型光導波路であることを特徴とする前記(1)ないし(14)のいずれか1に記載の光導波路素子の製造方法。
【0013】
(16)前記パターニングされたエピタキシャル状酸化物薄膜光導波路が、グレーティングを有する光導波路であることを特徴とする前記(1)ないし(15)のいずれか1に記載の光導波路素子の製造方法。
(17)前記固相エピタキシャル成長が、金属有機化合物溶液の塗布工程と、加熱によるアモルファス化工程と、加熱による結晶化工程より構成されることを特徴とする前記(1)ないし(16)のいずれか1に記載の光導波路素子の製造方法。
(18)前記エッチングがウエット・エッチングであることを特徴とする前記(1)ないし(17)のいずれか1に記載の光導波路素子の製造方法。
【0017】
【発明の実施の形態】
本発明者らはチャンネル光導波路やグレーティングを有する光導波路などの微細パターンの製造方法として薄膜のエピタキシャル成長を利用したプロセスを鋭意検討した結果、単結晶基板等の表面に設けたエピタキシャル薄膜となるアモルファス薄膜を、エッチング、特にウエット・エッチングした後に固相エピタキシャル成長する方法、特に金属有機化合物溶液の塗布工程と、アモルファス化工程と、加熱による結晶化工程より構成される固相エピタキシャル成長を利用し、エピタキシャル薄膜となるアモルファス薄膜をウエット・エッチングした後に固相エピタキシャル成長する方法によって、側壁および表面が平滑で散乱損失の少ないチャンネル光導波路やグレーティングを有する光導波路などの微細パターンを有する光導波路素子を形成することが可能となることが判明した。
【0018】
本発明の製造方法によって作製される光導波路素子の構造として、図1および図2に示されるものを挙げることができる。図1および図2は本発明の製造方法により作製することができる、直線状のチャンネル型光導波路を形成した光導波路素子の一例を示しており、図1はその断面図を、また図2はその斜視図を示す。図中1は基板、2はエピタキシャル状のバッファ層、3はエピタキシャル状のスラブ型酸化物光導波路、4はエピタキシャル状の直線状チャンネル型光導波路を、5は該光導波路のエッジ部分、および6は入射端をそれぞれ示す。(なお、以下の図において、同じ数字で表される各層は同じものをさすので、説明を省略することがある。)
図3は、本発明の光導波路素子の他の例を示すもので、基板1の上にエピタキシャル状スラブ型酸化物光導波路3とエピタキシャル状酸化物薄膜光導波路を形成した光導波路素子である。図4は、本発明の光導波路素子の他の例を示すもので、基板1の上にエピタキシャル状酸化物薄膜光導波路4を形成した光導波路素子である。図5は、さらに本発明の光導波路素子の他の例を示すもので、基板1の上にエピタキシャル状酸化物バッファ層2とエピタキシャル状酸化物薄膜光導波路4を形成した光導波路素子である。
【0019】
また、本発明におけるパターニング、すなわちチャンネル光導波路やグレーティングを有する光導波路などの微細パターンとしては、直線型、S字型、Y分岐型、X交差型、あるいはそれらの組み合わせのチャンネル光導波路があげられ、一般的に適用される埋め込み型、リッジ型、リブ型のいずれかの方式を用いることができるが、本発明では薄膜光導波路に凸を設けたチャンネル光導波路構造、薄膜光導波路に凸を設けた後にクラッド層を設けるチャンネル光導波路構造が容易に作製できる。チャンネルの幅と高さあるいは深さも薄膜の積層によるため、例えばマッハツェンダ干渉スイッチ、方向性結合スイッチ、全反射型スイッチ、ブラッグ反射型スイッチ、あるいはデジタル型スイッチなどのスイッチング方式、曲がりチャンネル導波路の曲率、導波路の材料、および作製プロセスによって最適な値を選択することが容易である。また、湾曲方向の異なるS字型チャンネル光導波路間や、S字型チャンネル光導波路と直線型チャンネル光導波路との間には必要に応じてオフセットを設けることによって、光伝搬損失を低下させることができる。
【0020】
図6ないし図8は本発明の製造方法によって作製されるチャンネル型光導波路の形状(パターニング)の例を示すもので、図6はS字型を、図7は1×8スプリッター型を、図8は方向性結合器型をそれぞれ示す。
図9は、図8で示す形状を有するチャンネル型光導波路を備えた光導波路素子の断面を示すもので、酸化物薄膜光導波路4の上にエピタキシャル状のクラッド層7を形成している。
図10は、スラブ型酸化物光導波路3の端部にグレーティング型結合器8を設けた光導波路素子を示すもので、図11は、その断面図を示す。
【0021】
さらに、本発明の製造方法によって作製される光導波路素子においては、酸化物薄膜光導波路とクラッド層の組み合わせを複数設けることができ、例えば図15には、単結晶基板1の上に酸化物バッファ層2を設け、その上にスラブ型酸化物光導波路3/酸化物薄膜光導波路4/クラッド層7の組み合わせを2つ設けた光導波路素子が示されている。また、図16には、単結晶基板1の上に酸化物バッファ層2を設け、その上酸化物薄膜光導波路4/クラッド層7の組み合わせを2つ設けた光導波路素子が示されている。
【0022】
本発明の製造方法によって作製される光導波路素子は、上記のように最外層にクラッド層を設けない構造のものも、またクラッド層を設ける構造のものも可能であるが、最外層にクラッド層を設ける方が、上部電極を設けた場合に生ずる光損失の低減の点からみて好ましい。
また本発明の製造方法によって作製される光導波路素子は、上記のように基板とスラブ型酸化物光導波路の間にバッファ層を設けない構造のものも、またバッファ層を設ける構造のものも可能であるが、半導体基板を用いる場合や光導波路より高い屈折率を有する基板を用いる場合には、光損失の低減の点から見て、バッファ層を設ける方が好ましい。
【0023】
本発明における前記単結晶基板としてはSrTiO3、NbドープSrTiO3、LaドープSrTiO3、BaTiO3、BaZrO3、LaAlO3、ZrO2、Y2O38%−ZrO2、MgO、 MgAl2O4、LiNb O3、LiTaO3 、Al2O3、ZnO、AlドープZnO、In2O3、RuO2、BaPbO3、SrRuO3、YBa2Cu3O7-X、SrVO3、LaNiO3、La0.5Sr0.5CoO3、ZnGa2O4、CdGa2O4、Mg2TiO4、MgTi2O4などの酸化物が使用される。電気光学効果に優れるPLZT系の光導波路を用いる場合には、中でもSrTiO3、NbドープSrTiO3、LaドープSrTiO3などの少なくともSrTiO3よりなる酸化物より選ばれる単結晶基板が格子整合の点からみて好ましく用いられるが、これらの組み合わせに限定されるものではない。
【0024】
また、本発明において、単結晶状あるいはエピタキシャル状のスラブ型酸化物光導波路および凸状にパターニングされた酸化物薄膜光導波路として用いることが可能な材料は、ABO3型のペロブスカイト型強誘電体または電気光学材料では正方晶、三方晶、斜方晶または擬立方晶系として例えばBaTiO3、PbTiO3、Pb1]x Lax(ZryTi1]y)1]x/4O3 (0<x<0.3、0<y<1.0、xおよびyの値によりPZT、PLT、PLZT)、Pb(Mg1/3Nb2/3)O3、KNbO3など、六方晶または三方晶系として例えばLiNbO3、LiTaO3などに代表される強誘電体およびそれにTi拡散またはプロトン交換を行った強誘電体、タングステンブロンズ型ではSrxBa1]xNb2O6、PbxBa1]xNb2O6など、またこのほかに、Bi4Ti3O12、Pb2KNb5O15、K3Li2Nb5O15、さらに以上の置換誘導体などより選ばれる。またこれらにEr、Nd、Prなどをドープした光増幅材料より選ばれる。磁気光学材料ではY3Al5O12、Y3Fe5O12、Y3Ga5O12などや、これらにEr、Nd、Prなどをドープした光増幅材料より選ばれるがこれらに限られるわけではない。
【0025】
本発明の第一の光導波路素子の製造方法は、単結晶基板の表面に、加熱によってエピタキシャル状酸化物となるアモルファス状薄膜を形成した後、このアモルファス状薄膜をエッチングによってパターニングし、さらにこのアモルファス薄膜を加熱することによってパターニングされた酸化物薄膜光導波路を固相エピタキシャル成長することを特徴とする。
【0026】
また、本発明の第二の光導波路素子の製造方法は、単結晶基板の表面に、凸型形状にパターニングされたエピタキシャル状酸化物薄膜光導波路を設けた後、
(1)前記酸化物薄膜光導波路より小さい屈折率を有する酸化物クラッド層を固相エピタキシャル成長により形成する工程、
(2)次いで、加熱によってエピタキシャル状酸化物薄膜光導波路となるアモルファス状薄膜を形成した後、このアモルファス状薄膜をエッチングによって凸型形状にパターニングし、次いで、パターニングされたアモルファス状薄膜を加熱して固相エピタキシャル成長させることにより、パターニングされたエピタキシャル状酸化物薄膜光導波路を形成する工程、
の(1)および(2)の工程の組み合わせを1回以上行うことを特徴とし、前記工程を2回以上行うことにより積層型の光導波路素子(3次元的光導波路素子)を作製することができる。
【0027】
さらに、本発明の第三の光導波路素子の製造方法は、3次元的光導波路素子を製造するための他の方法であり、
単結晶基板の表面に、
(1)エピタキシャル状酸化物薄膜光導波路となるアモルファス状薄膜を形成した後、このアモルファス状薄膜をエッチングによって凸型形状にパターニングする工程、
(2)次いで、加熱により前記酸化物薄膜光導波路より小さい屈折率を有するエピタキシャル状酸化物クラッド層となるアモルファス状薄膜を形成する工程、
(3)次いで、加熱して固相エピタキシャル成長させることによりパターニングされたエピタキシャル状酸化物薄膜光導波路とエピタキシャル状酸化物クラッド層とを形成する工程、
の(1)から(3)までの工程の組み合わせを2回以上行うことを特徴とする。
【0028】
前記(1)ないし(3)の製造方法において、単結晶基板は、その上に形成される凸型形状にパターニングされるエピタキシャル状酸化物薄膜光導波路よりも小さい屈折率を有することが好ましい。
また、前記単結晶基板の表面には、前記凸型形状にパターニングされるエピタキシャル状酸化物薄膜光導波路よりも小さい屈折率を有するエピタキシャル状酸化物バッファ層が設けられていることが好ましい。またこの酸化物バッファ層は、単結晶基板表面へ固相エピタキシャル成長により形成されることが好ましい。
さらに、前記単結晶基板の表面には、前記凸型形状にパターニングされるエピタキシャル状酸化物薄膜光導波路と同じ屈折率を有する単結晶状あるいはエピタキシャル状のスラブ型酸化物光導波路が設けられていることが好ましい。
さらに、このスラブ型酸化物光導波路の下に前記のごとき酸化物バッファ層が設けられていることが好ましい。
【0029】
本発明の製造方法によって作製される光導波路素子においては、前記のごとく凸型形状にパターニングされたエピタキシャル状酸化物薄膜光導波路が、該薄膜光導波路と同じ屈折率を有する単結晶状あるいはエピタキシャル状のスラブ型酸化物光導波路の上に設けられていることが好ましいが、このような光導波路素子は、単結晶状あるいはエピタキシャル状のスラブ型酸化物光導波路の表面に、加熱によって屈折率が前記スラブ型酸化物光導波路と同じエピタキシャル状酸化物薄膜光導波路となるアモルファス状薄膜を形成した後、このアモルファス状薄膜をエッチングによって凸型形状にパターニングし、次いで、パターニングされたアモルファス状薄膜を加熱して固相エピタキシャル成長させることにより、前記スラブ型酸化物光導波路と同じ屈折率を有するパターニングされたエピタキシャル状酸化物薄膜光導波路を形成することができる。
【0030】
前記スラブ型酸化物光導波路は、1)単結晶基板表面への固相エピタキシャル成長によって形成されるか、2)単結晶基板表面へスラブ型光導波路よりも屈折率の小さい酸化物バッファ層を固相エピタキシャル成長させた後に、固相エピタキシャル成長によって形成されるか、または3)単結晶基板表面への不純物拡散あるいはイオン交換によって形成されるかのいずれかによって作製することができるが、これらに限られるものではない。
【0031】
本発明においては、前記のようにスラブ型酸化物光導波路が、単結晶基板表面に形成された前記スラブ型酸化物光導波路よりも屈折率の小さいエピタキシャル状酸化物バッファ層の上に設けられていることが好ましく、前記エピタキシャル状酸化物バッファ層もエピタキシャル状スラブ型酸化物光導波路や酸化物薄膜光導波路と同様の方法によって形成することができる。
また、本発明においては、パターニングされたエピタキシャル状酸化物薄膜光導波路の上に、エピタキシャル状酸化物クラッド層を設けることが好ましい。前記の図9、図15および図16には、その一例が示されている。
【0032】
本発明において、酸化物クラッド層は、スラブ型酸化物光導波路や酸化物薄膜光導波路の形成と同様エピタキシャル成長によって形成することができるが、例えば、パターニングされたエピタキシャル状酸化物薄膜光導波路の上に、固相エピタキシャル成長により酸化物クラッド層を形成したり、あるいは加熱によりエピタキシャル状酸化物薄膜光導波路となるパターニングされたアモルファス状薄膜の上に、加熱によってエピタキシャル状酸化物クラッド層となるアモルファス状薄膜を形成した後、加熱して酸化物薄膜光導波路と酸化物クラッド層を固相エピタキシャル成長させることにより、エピタキシャル状酸化物薄膜光導波路の形成と同時に酸化物クラッド層を形成することができる。また、後者の方法において、加熱して酸化物薄膜光導波路と酸化物クラッド層を固相エピタキシャル成長させたのち、さらに固相エピタキシャル成長によりクラッド層を形成することができる。
【0033】
本発明におけるパターニングされたエピタキシャル状の酸化物薄膜光導波路は、パターニングされたアモルファス状薄膜をエピタキシャル成長させることによって形成することを特徴とするが、エピタキシャル状のスラブ型酸化物光導波路、ならびにエピタキシャル状のバッファ層およびクラッド層も同様にアモルファス状薄膜のエピタキシャル成長によって形成することができる。
【0034】
前記のエピタキシャル成長に供されるアモルファス状薄膜は、電子ビーム蒸着、フラッシュ蒸着、イオン・プレーティング、Rf]マグネトロン・スパッタリング、イオン・ビーム・スパッタリング、レーザー・アブレーション、MBE、CVD、プラズマCVD、MOCVDなどより選ばれる気相成長法、またはゾルゲル法、MOD法などのウエット・プロセスによって作製することができる。
【0035】
こうして作製されたアモルファス状薄膜は、加熱工程によって下地表面から固相エピタキシャル成長を行わせることができる。
これらのエピタキシャル成長による薄膜形成法のうち、ゾルゲル法やMOD法などのウエット・プロセスにより金属アルコキシドや有機金属塩などの金属有機化合物の溶液を基板に塗布した後、アモルファス薄膜形成工程を経て、加熱により前記アモルファス薄膜を固相エピタキシャル成長させる方法は、各種気相成長法と比較して設備コストが低く、基板面内での均一性が良いだけでなく、前記酸化物バッファ層、スラブ型酸化物光導波路、酸化物薄膜光導波路、およびクラッド層等の層の構造制御にとって重要な屈折率の制御を、前記各層に必要な屈折率に応じて、金属有機化合物前駆体の組成を調節するだけで、容易にかつ再現性良く実現することができる。また、光伝搬損失が低いバッファ層、光導波路、およびクラッド層の形成が可能である。さらに、この方法によってエピタキシャル状薄膜を作製する工程には、アモルファス薄膜を形成する工程が含まれているため、本発明のパターニングに最も適している。
【0036】
前記のエピタキシャル成長による薄膜形成法に用いる有機金属化合物は、各種の金属と、有機化合物、望ましくは常圧での沸点が80℃以上である有機化合物との反応生成物である金属アルコキシドまたは金属塩より選ばれるがこれに限られるわけではない。金属アルコキシド化合物の有機配位子としては、R1O]またはR2OR3O] より選ばれる(式中、R1およびR2は脂肪族炭化水素基を表し、R3はエーテル結合を有してもよい2価の脂肪族炭化水素基を表す)。 これらの原料は所定の組成にて望ましくは常圧での沸点が80℃以上であるアルコール類、ジケトン類、ケトン酸類、アルキルエステル類、オキシ酸類、オキシケトン類、及び酢酸などより選ばれた溶媒と反応され、または溶媒中に溶解されたのち、基板への塗布をされる。これら有機金属化合物は加水分解をした後に塗布をすることも可能であるが、エピタキシャル強誘電体薄膜を得るためには加水分解をしないことが望ましい。
【0037】
さらに、これらの反応工程は、乾燥した窒素やアルゴン雰囲気中にて行うことが得られる薄膜の品質の点より望ましい。金属アルコキシド化合物はR1OHまたはR2OR3OHで表される有機溶媒中で蒸留や還流によって合成することができ、 R1およびR2の脂肪族炭化水素基としては、炭素数1〜4のアルキル基が好ましく、R3は、炭素数2〜4のアルキレン基、炭素数2〜4のアルキレン基がエーテル結合によって結合している全炭素数4〜8の2価の基が好ましい。沸点が80℃以上である溶媒としては具体的には、金属アルコキシドのアルコール交換反応が容易な例えば(CH3)2CHOH (沸点82.3℃)、CH3(C2H5)CHOH (沸点99.5℃)、(CH3)2CHCH2OH (沸点108℃)、C4H9OH (沸点117.7℃)、(CH3)2CHC2H4OH (沸点130.5℃)、CH3OCH2CH2OH (沸点124.5℃)、C2H5OCH2CH2OH (沸点135℃)、C4H9OCH2CH2OH (沸点171℃)などのアルコール類が最も望ましが、これらに限定されるものではなくC2H5OH (沸点78.3℃)なども使用可能である。
【0038】
この金属有機化合物溶液の塗布と加熱を利用した固相エピタキシャル成長では段差のある表面を平坦化する効果があるので、この方法を使用した製造方法によって作製される光導波路素子は極めて平坦な表面を有している。
上記のごとき有機金属化合物を用いてエピタキシャル状のスラブ型酸化物光導波路および酸化物薄膜光導波路、ならびにエピタキシャル状のバッファ層およびクラッド層を形成する方法を以下に詳細に説明する。
【0039】
有機金属化合物の溶液を単結晶基板上にスピンコート法、ディッピング法、スプレー法、スクリーン印刷法、インクジェット法より選ばれた方法にて塗布する。これらの塗布の工程は、乾燥した窒素やアルゴン雰囲気中にて行うことが得られる薄膜の品質の点より望ましい。この後、必要に応じて、前処理として酸素を含む雰囲気中、望ましくは酸素中にて、0.1〜1000℃/秒の昇温速度、望ましくは1〜100℃/秒の昇温速度で基板を加熱し、100℃〜500℃、望ましくは200℃〜400℃の結晶化の起こらない温度範囲で塗布層を熱分解することによりアモルファス状の薄膜を形成する。
【0040】
さらに、酸素を含む雰囲気中、望ましくは酸素中にて、1〜500℃/秒の昇温速度、望ましくは10〜100℃/秒の昇温速度で高速加熱し、500℃〜1200℃、望ましくは600℃〜900℃の温度範囲で強誘電体薄膜を基板表面より固相エピタキシャル成長させる。このエピタキシャル結晶化においては、上記の温度にて1秒間から24時間、望ましくは10秒間から12時間の加熱を行う。これらの酸素雰囲気としては少なくとも一定時間乾燥した酸素雰囲気を用いることが得られる薄膜の品質の点より望ましいが、必要に応じて加湿することも可能である。これらのエピタキシャル結晶化工程において、一層の膜厚が10 nmから1000 nm、望ましくは膜厚10 nmから200 nmの強誘電体薄膜層を単結晶基板上に固相エピタキシャル成長することを一回以上行う。それぞれのエピタキシャル成長の後には0.01〜100℃/秒の冷却速度で冷却を行なう。
【0041】
パターニングされるアモルファス状薄膜を作製する場合には、上記と同様のアモルファス状薄膜の形成を1回以上行って所望の膜厚のアモルファス状薄膜の形成を行う。一層の膜厚が10 nmから1000 nm、望ましくは膜厚10 nmから200 nmとなるように、スラブ型酸化物光導波路の上にアモルファス状薄膜を形成し、それぞれのアモルファス状薄膜の形成の後には冷却を行う。
本発明では単結晶基板、または単結晶状あるいはエピタキシャル状のスラブ型酸化物光導波路、または酸化物バッファ層等の層の表面に、加熱によって酸化物となるアモルファス状薄膜を形成した後、このアモルファス状薄膜をエッチングによってパターニングするため、エッチング速度が速く、エッチストップも容易であり制御性が良く、ウエット・エッチングおよびドライ・エッチングを用いることができる。
【0042】
本発明のようにアモルファス状薄膜をパターニングするのではなく、多結晶薄膜をエッチングによってパターニングした場合では、ランダムな結晶粒による凹凸でエッジ、側壁、表面などが粗れてしまうのに対し、本発明ではパターニングされたアモルファス薄膜を固相エピタキシャル成長させるために、散乱による光損失が小さい極めて平滑なエッジ、側壁、表面が得られる。多結晶薄膜をエッチングによってパターニングした場合では、ランダムな結晶粒による凹凸でエッジ、側壁、表面などが粗れてしまい、散乱による光損失が極めて大きくなる。これは、多結晶薄膜はランダムな結晶粒を有するために、図12の光導波路の表面の図に示すように、スラブ型光導波路3とチャンネル型光導波路4の境界のエッジ部5(図1参照)に露出した各結晶粒のサイズもランダムとなることと、エッジ部に露出した各結晶粒の表面エネルギーが不均一なために粒界に溝が生じることとによって、エッジ部5に凹凸が生じるためと考えられる。
【0043】
一方、本発明による方法でパターニングされたアモルファス薄膜を固相エピタキシャル成長させる場合には、散乱による光損失が小さい極めて平滑なエッジ、側壁、および表面が得られる。エッジ部5の凹凸またはうねりとしては0.1 μm以下が容易に得られる。このため、光ファイバーから波長1.3 μmのレーザー光を入射端面6へ導入した場合のスラブ型薄膜光導波路の光伝搬損失を差引いたチャンネル型に加工したことによる光伝搬損失は、無視できるレベルと小さい。これは、アモルファスを結晶化したエピタキシャル薄膜は3次元的に配列した微細な結晶粒を有するために、図13に示すようにエッジ部5に露出した各結晶粒のサイズも均一となることと、エッジ部5に露出した各結晶粒の表面エネルギーも均一なために粒界に溝が生じないこととによって、エッジ部5が極めて平滑になるものと考えられる。
【0044】
本発明の製造方法において使用しうる具体的なエッチング方法としては、まずアモルファス状薄膜表面にフォトレジスト、あるいは電子線レジストを塗布した後、露光、現像、エッチング、レジスト剥離をすることによる方法によってこのアモルファス薄膜をパターニングする。エッチングはHCl、HNO3、HF、H2SO4、H3PO4、C2H2O2、NH4Fなどの水溶液やその混合水溶液によるウエット・エッチング、CCl4、CCl2F2、CHClFCF3などや、それらのO2との混合ガスによるリアクティブ・イオン・エッチング、またはイオンビーム.エチングなどのドライ・エッチングなどが有効であるが、アモルファス薄膜をエッチングできるためウエット・エッチングによって短時間で、容易に、精度良くエッチングすることが可能である。
【0045】
さらに、ウェットエッチングの場合、エッチングの深さと幅を独立に制御することができるため、光導波路を理想形状に精度よく加工することができる。すなわち、深さ方向のエッチングはアモルファス状薄膜の下のエピタキシャル膜によってストップされて終了し、また幅方向のエッチングはマスク下のアモルファス状薄膜がアンダーエッチまたはサイドエッチされるためエッチング時間を調節することにより制御することができる。
【0046】
【実施例】
以下に、本発明を実施例を用いてさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
実施例 1
この例では図1および図2で示される、基板1の上にバッファ層2、スラブ型酸化物光導波路3、直線状チャンネル型酸化物薄膜光導波路4を順次設けた光導波路素子の製造方法について説明する。1の基板は、波長1.3 μmでの屈折率が2.31のSrTiO3 (100)単結晶基板であり、2のバッファ層は、モード・フィールド径を拡大するために屈折率が2.415で1200 nmの膜厚のエピタキシャル状のPZTバッファ層であり、金属有機化合物溶液の塗布と加熱を利用した固相エピタキシャル成長によって作製される。3のスラブ型酸化物光導波路は、屈折率が2.477で1370 nmの膜厚のエピタキシャル状のPZT光導波路層でありバッファ層と同様にして作製される。4のチャンネル型光導波路は、エピタキシャル成長後の屈折率が2.477の組成のアモルファスPZT薄膜を230 nmの膜厚で形成の後、線幅6.5 μmの直線状のフォトレジスト・パターンを用いてHCl水溶液によるウエット・エッチングを行い、その後加熱をすることによって作製され、屈折率が2.477で薄膜が230 nmのエピタキシャル状チャンネル型光導波路である。
以下に、上記の構造を有する光導波路素子の製造方法について詳細に説明する。
【0047】
(1)バッファ層の形成
無水酢酸鉛 Pb(CH3COO)2、ジルコニウムイソプロポキシド Zr(O]i]C3H7)4、およびチタンイソプロポキシド Ti(O]i]C3H7)4を出発原料として、2]メトキシエタノールに溶解し、蒸留と還流を行い、最終的にPb濃度で0.6 M の、エピタキシャル成長後の屈折率が2.415のPZTバッファ層用前駆体溶液を得た。次にこの前駆体溶液を、洗浄、エッチング、および乾燥を行った、波長1.3 μmでの屈折率が2.31のSrTiO3 (100)単結晶基板上へスピンコーティングを行った。O2雰囲気中で昇温して350℃にて保持し、さらに650℃にて保持の後、冷却した。これを繰り返すことにより1200 nmの膜厚のPZTバッファ層2を固相エピタキシャル成長させた。
(2)スラブ型酸化物光導波路3の形成
エピタキシャル成長後の屈折率が2.477となるようなPZT光導波路層用前駆体溶液を同様に調製し、上記(1)で作製したエピタキシャルPZTバッファ層の上へスピンコーティングを行い、O2雰囲気中で昇温して350℃にて保持し、さらに650℃にて保持の後、冷却した。これを繰り返すことにより1370 nmの膜厚のPZT光導波路層3を固相エピタキシャル成長させた。
(3)チャンネル型光導波路4の形成
上記(2)で使用したPZT光導波路層用前駆体溶液と同じ組成を有する溶液を上記エピタキシャルPZTスラブ型光導波路上にスピンコーティングを行い、次いでO2雰囲気中で昇温して350℃にて保持の後、冷却することを繰り返すことにより270 nmの膜厚のアモルファスPZT薄膜を形成した。
【0048】
次に、前記アモルファスPZT薄膜の上にフォトレジストをスピンコートし、プリベークの後、露光し、さらに現像を行うことにより、チャンネル幅6.5 μmのレジスト・パターンを形成した。続いて、ポストベークの後、HCl水溶液でアモルファスP ZT薄膜をエッチングした。深さ方向のエッチングはエッチング溶液がエピタキシャル・バッファ層に到達することによってストップし、幅方向、すなわちチャンネル幅の制御はアンダー・エッチングによりレジスト・パターンよりも狭い5.0 μmのチャンネル幅となる時間でエッチングをストップさせることによって行った。本実施例においては、エッチング速度は0.1 μm/minから0.5 μm/min程度の範囲の速度を採用した。このエッチングプロセスにより高さ230 nm、幅5.0 μmの凸型のチャンネル型アモルファスPZT薄膜が形成された。
さらに、リムーバによって凸型形状のアモルファスPZT薄膜上のレジストを剥離した後、O2雰囲気中で昇温して350℃にて保持の後、650℃にて保持することにより前記アモルファス状のPZT薄膜の固相エピタキシャル成長を行わせ、エピタキシャル状チャンネル型光導波路4を形成した。
【0049】
(4)このようにして作製されたチャンネル型光導波路素子の結晶学的関係は、単一配向のPZT (100) 薄膜光導波路 // PZT (100)バッファ層 // SrTiO3 (100)基板、面内方位PZT [001] 薄膜光導波路 // PZT [001]バッファ層 // SrTiO3 [001]基板 の構造を有していた。
上記のように本実施例においては、エッチングの際の深さと幅が独立に制御できるため、チャンネル光導波路4を理想形状に精度良く加工することができた。さらに、チャンネル型光導波路4のエッジ、側壁、表面に粗れは観察されず、散乱による光損失が小さいチャンネル型光導波路が形成された。エッジ部の凹凸またはうねりとしては0.1 μm以下が容易に得られた。このため、光ファイバーから波長1.3 μmのレーザー光を導入した場合のスラブ型薄膜光導波路の光伝搬損失を差引いたチャンネル型に加工したことによる光伝搬損失は、無視できるレベルと小さい。また、上記のようにして製造された光導波路素子の表面は極めて平坦であった。
【0050】
実施例2
本実施例においては実施例1の直線状チャンネル型光導波路に代え、図6に示すような放射損失が無視できるレベルとなる曲率9 mmのS字型チャンネルを形成する他は同様にして、各層の化学組成、結晶形態、屈折率および膜厚が実施例1と同じ構成の光導波路素子を作製した。
エッチングは、線幅6.5 μmのS字型パターンを有するフォトレジストを用いて行い、チャンネル幅は5.0μmのS型チャンネルが形成された。
【0051】
本実施例のS字型チャンネル光導波路の場合にも、エッチングの際の深さと幅が独立に制御できるため、チャンネル光導波路4を理想形状に精度良く加工することができた。さらに、チャンネル型光導波路4のエッジ、側壁、表面に粗れは観察されず、散乱による光損失が小さいチャンネル型光導波路が形成された。エッジ部の凹凸またはうねりとしては0.1 μm以下が容易に得られた。このため、光ファイバーから波長1.3 μmのレーザー光を導入した場合のスラブ型薄膜光導波路の光伝搬損失を差引いたチャンネル型に加工したことによる光伝搬損失は、無視できるレベルと小さい。また、上記のようにして製造された光導波路素子の表面は極めて平坦であった。
【0052】
実施例3
本実施例においては実施例1の直線状チャンネル光導波路に代え、図7に示すような直線型チャンネル光導波路、Y分岐型光導波路、および放射損失が無視できるレベルとなる曲率9 mmのS字型チャンネルからなり、線幅を有する1×8スプリッターを形成する他は同様にして、各層の化学組成、結晶形態、屈折率および膜厚が実施例1と同じ構成の光導波路素子を作製した。
エッチングは、図7のような線幅6.5 μmの1×8スプリッター状のパターンを有するフォトレジストを用いて行い、チャンネル幅が5.0μmの1×8スプリッターを形成した。
【0053】
本実施例の1×8スプリッター状のチャンネル光導波路の場合にも全体に渡って散乱による光損失が小さい極めて平滑なエッジ、側壁、および表面が得られた。エッジ部の凹凸またはうねりとしては0.1 μm以下が容易に得られた。このため、光ファイバーから波長1.3 μmのレーザー光を導入した場合のスラブ型薄膜光導波路の光伝搬損失を差引いたチャンネル型に加工したことによる光伝搬損失は、無視できるレベルと小さい。このため、全長15 mm程度と小型の1×8スプリッターが構成可能となる。また、上記のようにして製造された光導波路素子の表面は極めて平坦であった。
【0054】
実施例4
本実施例においては方向性結合器型の3 dBカプラーを作製した。図8はこのカプラ−の平面図を、また図9は断面図を示す。図9中7はエピタキシャル状のクラッド層を示す。
(1)バッファ層2の形成
波長1.3 μmでの屈折率が2.31のSrTiO3 (100)単結晶基板上へ、エピタキシャル成長後の屈折率が2.396となるような組成のPZTバッファ層用前駆体溶液を塗布する以外は実施例1と同様にして、膜厚2000 nmで屈折率が2.396のバッファ層を固相エピタキシャル成長させた。
(2)スラブ型酸化物光導波路3の形成
上記のバッファ層の上に、エピタキシャル成長後の屈折率が2.420となるような組成のPLZT光導波路層用前駆体溶液を用い、またエピタキシャル成長の際の温度を750℃とする他は実施例1と同様にして、膜厚1500 nmで屈折率が2.420のエピタキシャル状のPLZTスラブ型酸化物光導波路を作製した。
【0055】
(3)チャンネル型光導波路4およびクラッド層7の形成
前記の(2)で用いたと同じ組成のPLZT光導波路層用前駆体溶液を用いる他は、実施例1と同様にして、膜厚が500 nmのアモルファス状PLZT薄膜を形成した。図8のような3 dBカプラー状のパターンを有するフォトレジストによるマスクを用いてHCl水溶液によるウエット・エッチングを行った。深さ方向のエッチングはエピタキシャルPLZTスラブ型光導波路層3表面でストップし、幅方向はマスク下のアモルファスPLZT薄膜がアンダー・エッチまたはサイド・エッチされるため、幅はエッチング時間で制御できた。この例においてもパターニングは理想形状に精度良く行うことができた。
エッチングの後、エピタキシャル成長後の屈折率が2.396となるような組成のPZTクラッド層用前駆体溶液を用い、上記のエッチング後の表面の上にスピンコーティングを行い、O2雰囲気中で350℃に保持の後冷却を行うことを繰り返すことにより、アモルファスPZT薄膜を500 nmの膜厚に形成した。
これを750℃に加熱することによって方向性結合器型の3 dBカプラー状のPLZTチャンネル光導波路層およびPZTクラッド層の固相エピタキシャル成長を行った。その後、同様な工程を用い、屈折率2.396で膜厚が1500 nmのPZTクラッド層を650℃にて固相エピタキシャル成長させた。図9のような断面構造を有する光導波路素子が作製された。
【0056】
(4)本実施例の製造方法で得られた光導波路素子の結晶学的関係は、単一配向のPZT (100)クラッド層 // PLZT (100) 薄膜光導波路 // PZT (100 )バッファ層 // SrTiO3 (100)基板、面内方位PZT [001]クラッド層 // PLZT [001] 薄膜光導波路 // PZT [001]バッファ層 // SrTiO3 [001]基板 の構造を有していた。
また、本実施例のチャンネル光導波路の場合にも全体に渡って散乱による光損失が小さい極めて平滑なエッジ、側壁、および表面が得られた。チャンネルのエッジ部の凹凸またはうねりとしては0.1 μm以下が容易に得られた。このため、光ファイバーから波長1.3 μmのレーザー光を入射端面6へ導入した場合のスラブ型薄膜光導波路の光伝搬損失を差引いたチャンネル型に加工したことによる光伝搬損失は、無視できるレベルと小さい。
さらに、本実施例においても平坦な表面を有する光導波路素子が得られた。
【0057】
実施例5
本実施例においては図10に示すようにスラブ型導波路の端部にグレーティング型結合器を設けた光導波路素子の製造を説明する。図11にはその断面図が示されている。
SrTiO3 (100)単結晶基板1の上へ、スラブ型PLZT光導波路層3をRfスパッタリングの後、750℃で加熱することによりエピタキシャル成長させる。次に、エピタキシャルPLZT光導波路と同様の組成のアモルファスPLZT薄膜をRfスパッタリングによって室温で形成の後、グレーティング状のパターンを有する電子線レジストを用いてHCl水溶液によるウエット・エッチングを行う。このエッチングの後、750℃に加熱することによって固相エピタキシャル成長を行い、グレーティング8を表面に有するズラブ型PLZT光導波路素子を作製できる。
【0058】
実施例6
本実施例においては実施例5と同様、図10および図11に示すようにスラブ型導波路の端部にグレーティング型結合器を設けた光導波路素子の製造を説明する。図11にはその断面図が示されている。
SrTiO3 (100)単結晶基板1の上へ、スラブ型PLZT光導波路層3を実施例1と同様にして固相エピタキシャル成長させる。次に、エピタキシャルPLZT光導波路と同様の組成のアモルファスPLZT薄膜を実施例1と同様にして形成した後、グレーティング状の開口パターンを有する電子線レジストを用いてHCl水溶液によるウエット・エッチングを行う。このエッチングの後、750℃に加熱することによって固相エピタキシャル成長を行い、グレーティング8を表面に有するスラブ型PLZT光導波路素子を作製できる。
【0059】
実施例7
本実施例においては図11の断面図に示すようなスラブ型導波路内にグレーティングを設けた光導波路素子の製造を説明する。本実施例ではAl2O3基板単結晶基板1の上へ、LiTaO3バッファ層2を700℃にて固相エピタキシャル成長させた後、300℃でアモルファスLiTaO3薄膜を形成する。次に、グレーティング状のパターンを有する電子線レジストによるマスクを用いてリアクティブ・イオン・エッチングを行う。このエッチングの後、70 0℃に加熱することによってLiTaO3薄膜固相エピタキシャル成長を行う。その後、LiNbO3薄膜光導波路3を700℃で固相エピタキシャル成長することにより、グレーティング8を導波路中に有するスラブ型LiNbO3薄膜光導波路素子を作製できる。
【0060】
実施例8
本実施例においては図14の断面図に示すような直線型チャンネル光導波路を設けた光導波路素子を説明する。本実施例ではLiNbO3基板単結晶基板1へ、Tiを蒸着の後、1100℃に加熱を行うことによってスラブ型Ti拡散光導波路3をLiNbO3単結晶基板表面へ形成する。次に、TiドープLiNbO3用前駆体溶液をその表面に塗布し、300℃に加熱することによってアモルファスTiドープLiNbO3薄膜を形成する。次に、直線状のレジスト・パターンを形成し、HCl水溶液でアモルファスTiドープLiNbO3薄膜をエッチングすることによって、深さ方向はスラブ型Ti拡散光導波路に到達することによってストップし、チャンネル幅はアンダー・エッチにより適当な線幅となる時間でエッチングをストップさせることによりチャンネル光導波路4を形成できる。さらに、リムーバによってレジストを剥離した後、O2雰囲気中で昇温して300℃にて保持の後、700℃にて保持することによりアモルファス状のTiドープLiNbO3チャンネル光導波路4の固相エピタキシャル成長を行う。
【0061】
実施例9
本実施例においては実施例4とほぼ同様なプロセスを繰り返すことによって図15のような3次元的に光導波路を積層した素子を作製する。波長1.3 μmでの屈折率が2.31のSrTiO3 (100)単結晶基板上へ、屈折率2.396の組成のPZTバッファ層2を実施例4と同様にしてエピタキシャル成長させる。次に、さらにエピタキシャル成長後の屈折率が2.420となるようなPZT光導波路用前駆体溶液を用いて、アモルファスPZT光導波路層を実施例4と同様にして形成の後、チャンネル光導波路状のパターンを有するフォトレジストによるマスクを用いてリアクティブ・イオン・エッチングを行う。このパターニングされたアモルファス薄膜を750℃に加熱することによってチャンネル光導波路4を固相エピタキシャル成長する。次に、屈折率2.396の組成のPZTクラッド層7を実施例4と同様にして固相エピタキシャル成長させる。次に、エピタキシャル成長後の屈折率が2.420の組成のアモルファスPZT光導波路層を上記と同様にして形成の後、チャンネル光導波路状のパターンを有するフォトレジストによるマスクを用いてリアクティブ・イオン・エッチングを行う。このパターニングされたアモルファス薄膜を750℃に加熱することによってチャンネル光導波路4を固相エピタキシャル成長する。この上にさらに屈折率2.396の組成のPZTクラッド層7を上記と同様にして固相エピタキシャル成長させることによって図15のような断面構造のチャンネル型光導波路が積層された素子を形成できる。
【0062】
実施例10
本実施例においては実施例9とほぼ同様なプロセスを繰り返すことによって図16のような3次元的に光導波路を積層した素子を作製する。波長1.3 μmでの屈折率が2.31のSrTiO3 (100)単結晶基板上へ、屈折率2.396の組成のPZTバッファ層2を実施例4と同様にしてエピタキシャル成長させる。次に、さらにエピタキシャル成長後の屈折率が2.420となるようなPZT光導波路用前駆体溶液を用いて、アモルファスPZT光導波路層を実施例4と同様にして形成の後、チャンネル光導波路状のパターンを有するフォトレジストによるマスクを用いてリアクティブ・イオン・エッチングを行う。このパターニングされたアモルファス薄膜を750℃に加熱することによってチャンネル光導波路4を固相エピタキシャル成長する。次に、屈折率2.396の組成のPZTクラッド層7を実施例4と同様にして固相エピタキシャル成長させる。次に、エピタキシャル成長後の屈折率が2.420の組成のアモルファスPZT光導波路層を上記と同様にして形成の後、チャンネル光導波路状のパターンを有するフォトレジストによるマスクを用いてリアクティブ・イオン・エッチングを行う。このパターニングされたアモルファス薄膜を750℃に加熱することによってチャンネル光導波路4を固相エピタキシャル成長する。この上にさらに屈折率2.396の組成のPZTクラッド層7を上記と同様にして固相エピタキシャル成長させることによって図16のような断面構造のチャンネル型光導波路が積層された素子を形成できる。
【0063】
【発明の効果】
本発明の製造方法においては単結晶基板等の表面に、加熱によってエピタキシャル状薄膜となるアモルファス状薄膜を形成した後、このアモルファス状薄膜をエッチングによってパターニングするため、パターニング速度が速く、エッチストップも容易であり制御性が良い。したがって、本発明の製造法により、チャンネル光導波路やグレーティングなどの微細パターンを効率よく形成することができ、優れた特性を有する光導波路素子が生産性よく得られる。また、本発明ではパターニングされたアモルファス薄膜を固相エピタキシャル成長させるために、散乱による光損失が小さい極めて平滑なエッジ、側壁、表面を有するパターニングされた酸化物薄膜光導波路が得られる。
したがって、本発明の製造法により、高機能な各種のスイッチング素子、変調素子、フィルター素子、偏向素子、グレーティング素子あるいは光増幅素子などの広範囲な用途の光導波路素子を高生産性で提供可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の製造方法によって作製される光導波路素子の一例の断面を示す。
【図2】図1の光導波路素子の斜視図である。
【図3】本発明の製造方法によって作製される光導波路素子の他の一例の断面を示す。
【図4】本発明の製造方法によって作製される光導波路素子の他の一例の断面を示す。
【図5】本発明の製造方法によって作製される光導波路素子の他の一例の断面を示す。
【図6】S字型チャンネル光導波路を示す図である。
【図7】1×8スプリッター光導波路型を示す図である。
【図8】方向性結合器型の3 dBカプラーを示す図である。
【図9】図8の光導波路素子の断面を示す図である。
【図10】グレーティングを設けた光導波路素子を示す斜視図である。
【図11】図10の光導波路素子の断面を示す図である。
【図12】多結晶膜にパターニングを行った場合にエッジに生じる凹凸を示す概念図である。
【図13】アモルファス薄膜にパターニングを行った後エピタキシャル成長させた場合のエッジを示す概念図である。
【図14】実施例8の光導波路素子の断面を示す図である。
【図15】チャンネル光導波路を3次元的に積層した光導波路素子の断面を示す図である。
【図16】チャンネル光導波路を3次元的に積層した光導波路素子の断面を示す図である。
【符号の説明】
1 基板
2 バッファ層
3 スラブ型光導波路
4 チャンネル光導波路
5 エッジ部
6 入射端
7 クラッド層
8 グレーティング
Claims (18)
- 単結晶基板の表面に、アモルファス状薄膜を形成した後、このアモルファス状薄膜をエッチングによって凸型形状にパターニングし、次いで、パターニングされたアモルファス状薄膜を加熱して固相エピタキシャル成長させることにより、パターニングされたエピタキシャル状酸化物薄膜光導波路を形成することを特徴とする光導波路素子の製造方法。
- 単結晶基板の表面に、凸型形状にパターニングされたエピタキシャル状酸化物薄膜光導波路を設けた後、
(1)前記酸化物薄膜光導波路より小さい屈折率を有する酸化物クラッド層を固相エピタキシャル成長により形成する工程、
(2)次いで、加熱によってエピタキシャル状酸化物薄膜光導波路となるアモルファス状薄膜を形成した後、このアモルファス状薄膜をエッチングによって凸型形状にパターニングし、次いで、パターニングされたアモルファス状薄膜を加熱して固相エピタキシャル成長させることにより、パターニングされたエピタキシャル状酸化物薄膜光導波路を形成する工程、
の(1)および(2)の工程の組み合わせを1回以上行うことを特徴とする光導波路素子の製造方法。 - 最外層のパターニングされたエピタキシャル状酸化物薄膜光導波路の上に、さらに該光導波路より小さい屈折率を有するエピタキシャル状酸化物クラッド層を設けることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の光導波路素子の製造方法。
- 前記酸化物クラッド層が、固相エピタキシャル成長により形成されることを特徴とする請求項3に記載の光導波路素子の製造方法。
- 前記酸化物クラッド層が、パターニングされた加熱によりエピタキシャル状酸化物薄膜光導波路となるアモルファス状薄膜と、この上に設けられた加熱によりエピタキシャル状酸化物クラッド層となるアモルファス状薄膜を形成した後に、加熱して固相エピタキシャル成長させることにより、エピタキシャル状酸化物薄膜光導波路の形成と同時に形成されることを特徴とする請求項4に記載の光導波路素子の製造方法。
- 単結晶基板の表面に、
(1)エピタキシャル状酸化物薄膜光導波路となるアモルファス状薄膜を形成した後、このアモルファス状薄膜をエッチングによって凸型形状にパターニングする工程、
(2)次いで、加熱により前記酸化物薄膜光導波路より小さい屈折率を有するエピタキシャル状酸化物クラッド層となるアモルファス状薄膜を形成する工程、
(3)次いで、加熱して固相エピタキシャル成長させることによりパターニングされたエピタキシャル状酸化物薄膜光導波路とエピタキシャル状酸化物クラッド層とを形成する工程、
の(1)から(3)までの工程の組み合わせを2回以上行うことを特徴とする光導波路素子の製造方法。 - 前記単結晶基板は、前記凸型形状にパターニングされたエピタキシャル状酸化物薄膜光導波路よりも小さい屈折率を有することを特徴とする請求項1ないし請求項6のいずれか1項に記載の光導波路素子の製造方法。
- 前記単結晶基板は、前記凸型形状にパターニングされたエピタキシャル状酸化物薄膜光導波路よりも小さい屈折率を有するエピタキシャル状酸化物バッファ層を表面に有することを特徴とする請求項1ないし請求項7のいずれか1項に記載の光導波路素子の製造方法。
- 前記酸化物バッファ層が、単結晶基板表面へ固相エピタキシャル成長により形成されることを特徴とする請求項8に記載の光導波路素子の製造方法。
- 前記単結晶基板は、前記凸型形状にパターニングされたエピタキシャル状酸化物薄膜光導波路と同じ屈折率を有するエピタキシャル状のスラブ型酸化物光導波路を表面に有することを特徴とする請求項1ないし請求項9のいずれか1項に記載の光導波路素子の製造方法。
- 前記スラブ型酸化物光導波路が、単結晶基板表面へ固相エピタキシャル成長により形成されることを特徴とする請求項10に記載の光導波路素子の製造方法。
- 前記スラブ型酸化物光導波路が、前記スラブ型酸化物光導波路よりも屈折率の小さい酸化物バッファ層を単結晶基板表面へ固相エピタキシャル成長させた後、固相エピタキシャル成長により形成されることを特徴とする請求項10または請求項11に記載の光導波路素子の製造方法。
- 前記単結晶基板は、前記凸型形状にパターニングされたエピタキシャル状酸化物薄膜光導波路と同じ屈折率を有する単結晶状のスラブ型酸化物光導波路を表面に有し、前記スラブ型酸化物光導波路が、単結晶基板表面へ不純物拡散あるいはイオン交換により形成されることを特徴とする請求項1ないし請求項9のいずれか1項に記載の光導波路素子の製造方法。
- 前記パターニングされたエピタキシャル状酸化物薄膜光導波路および前記スラブ型酸化物光導波路は、電気光学効果を有する強誘電体であることを特徴とする請求項10ないし請求項13のいずれか1項に記載の光導波路素子の製造方法。
- 前記パターニングされたエピタキシャル状酸化物薄膜光導波路が、チャンネル型光導波路であることを特徴とする請求項1ないし請求項14のいずれか1項に記載の光導波路素子の製造方法。
- 前記パターニングされたエピタキシャル状酸化物薄膜光導波路が、グレーティングを有する光導波路であることを特徴とする請求項1ないし請求項15のいずれか1項に記載の光導波路素子の製造方法。
- 前記固相エピタキシャル成長が、金属有機化合物溶液の塗布工程と、加熱によるアモルファス化工程と、加熱による結晶化工程より構成されることを特徴とする請求項1ないし請求項16のいずれか1項に記載の光導波路素子の製造方法。
- 前記エッチングがウエット・エッチングであることを特徴とする請求項1ないし請求項17のいずれか1項に記載の光導波路素子の製造方法。
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