JP4315436B2 - 圧粉磁心の製造方法及び圧粉磁心 - Google Patents

圧粉磁心の製造方法及び圧粉磁心 Download PDF

Info

Publication number
JP4315436B2
JP4315436B2 JP2004038851A JP2004038851A JP4315436B2 JP 4315436 B2 JP4315436 B2 JP 4315436B2 JP 2004038851 A JP2004038851 A JP 2004038851A JP 2004038851 A JP2004038851 A JP 2004038851A JP 4315436 B2 JP4315436 B2 JP 4315436B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
manufacturing
molding
powder
shape
dust core
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2004038851A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2005226152A (ja
Inventor
博司 岡島
昌揮 杉山
登士也 山口
忠義 亀甲
幹夫 近藤
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Toyota Motor Corp
Original Assignee
Toyota Motor Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Toyota Motor Corp filed Critical Toyota Motor Corp
Priority to JP2004038851A priority Critical patent/JP4315436B2/ja
Publication of JP2005226152A publication Critical patent/JP2005226152A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4315436B2 publication Critical patent/JP4315436B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Iron Core Of Rotating Electric Machines (AREA)
  • Powder Metallurgy (AREA)

Description

本発明は、圧粉磁心の製造方法及び圧粉磁心に係り、特に酸化皮膜を表面に有する鉄系磁性粉末の加圧成形による圧粉磁心の製造方法及び圧粉磁心に関する。
鉄心にコイルを巻きつけ、これを電磁石として用いることは、例えばモータのステータあるいはロータ部分に、あるいはプランジャ等のアーマチュアにおいて広く知られている。鉄心は、絶縁層の介在した薄いケイ素鋼板を積層したものや、鉄系磁性粉末を焼結させたもの、絶縁性皮膜で被覆した鉄系磁性粉末を加圧成形したものが用いられる。本願の出願人は、絶縁性皮膜で被覆した鉄系磁性粉末を加圧成形して得られる鉄心を、ほかの加圧成形鉄心と区別して「圧粉磁心」とし、特許文献1、2において、比抵抗等の電気的特性及び透磁率等の磁気的特性に優れる圧粉磁心とその製法について開示した。すなわち、成形用金型の内面に高級脂肪酸系潤滑剤を塗布し、その成形用金型内に酸化皮膜を表面に有する鉄系磁性粉末を充填し、温間で加圧成形することで、加圧成形圧力を大きくしても成形用金型の表面にかじり等が生ずることを抑制、防止できること、加圧成形圧力を大きくして得られる圧粉磁心は、電気的特性、磁気的特性、密度、機械的強度等に優れているものであることを述べた。
これらの鉄心、磁心の製造方法においてバリ等が発生し、コイルを巻きつける際にコイルの絶縁皮膜等を損傷することがある。
図9は、電磁鋼板を打ち抜いてコア片10を作り、これを順次積層して積層鉄心30を得る場合に、バリ20が生ずる様子を示す図である。図9において上方に示す図は、コア片の打ち抜きの模式図であり、下方に示す図は、コア片10を積層して積層鉄心30を形成し、コイル32を巻回する様子を示す図である。図9に示されるように、電磁鋼板のブランク材を図示していない金型等で打ち抜くと、コア片10と残材12との分離により、バリ20がコア片10の一方側の面の打ち抜き辺に沿って生ずる。そして、コア片10のバリ20の生じている面を上面として、その上に次のコア片10のバリ20が生じている面の裏面を合わせるように順次積層してゆくと、積層のところでバリ20はある程度隠され目立たなくなる。しかし、最後のコア片10のところで、表面にバリ20が露呈する。ここでコイル32を巻回すると、バリ20のためにコイル32が損傷を受けることがある。
図10は、鉄系磁性粉末40を金型42−44により加圧成形して圧粉磁心50を得るときにバリ52が生ずる様子を示す図である。図9において上方に示す図は、鉄系磁性粉末40の金型42−44による加圧成形の様子を示す図で、下方に示す図は、加圧成形後の圧粉磁心50にコイル32を巻回する様子を示す図である。図10に示されるように、鉄系磁性粉末40が可動側の金型43,44によって加圧され容積が圧縮されるときに、可動側の金型43,44の加圧面の辺に沿って鉄系磁性粉末40が一部引きずられ、加圧成形された圧粉磁心50の上下面の辺に沿ってバリ52が生ずる。ここでコイル32を巻回すると、バリ20のためにコイル32が損傷を受けることがある。
このように、鉄心を製造する際にはバリ等の好ましくない外形部分が生ずることがある。コイルの巻回する部分にバリ等の外形欠陥があるとコイルを損傷する恐れがある。そこで、絶縁材料からなるボビンを鉄心の外周に設け、ボビンにコイルを巻回することが行われる。
特開2002−329626号公報 国際公開第02/058085A1号パンフレット
鉄心の外周にボビンを設け、これを介してコイルを巻回することで、バリ等の外形欠陥によるコイルの損傷を防止できるが、反面、ボビンの大きさの分に応じ、限られた体積の中で巻けるコイルの巻数が減り、電磁石やモータとしての性能が落ちる。あるいは同じ性能を得るためには、電磁石やモータとして大型化する。また、ボビンの分だけコストアップ要因となる。
そこで、ボビンを用いないで、バリ等の外形欠陥を除去し、形状修正を行うための追加工が考えられる。この場合絶縁性皮膜で被覆された鉄系磁性粉末を加圧成形する圧粉磁心の場合、困難な問題がある。すなわち、上記の圧粉磁心は、鉄系磁性粉末を高温、例えば1000℃以上で焼結する鉄心と異なり、高温焼結を行わず型で固めたものであるので、一般的に欠けやすくくずれやすい。例えば形状修正のために砥石加工、バレル加工、ブラスト加工等が考えられるが、これらの機械加工により、本来の外形が余計に欠け、あるいはくずれて、かえって全体の外形形状を損なう恐れがある。このことは、バリ等の形状欠陥を修正する場合でも、また積極的に好ましい形状に追加的な形状修正を行おうとする場合でも同じである。
なお、圧粉磁心に対し、強度増大のための高温熱処理を行えないのは、次のような理由からである。すなわち、圧粉磁心が材料として絶縁性皮膜で被覆された鉄系磁性粉末を用いるのは、圧粉磁心の比抵抗の増大を図り、渦電流による鉄損を少なくするためである。つまり、絶縁性皮膜により個々の鉄系磁性粉末を分離することで、渦電流の発生を小さな個々の鉄系磁性粉末内に留め、全体の鉄損を小さくできる。この個々の鉄系磁性粉末を分離するための絶縁性皮膜は、例えば20nm等の厚みの絶縁コーティングによって形成されるので、各粉末を焼結して強固にするために高温で熱処理すると拡散等でその一部が消失してしまう。したがって、圧粉磁心は焼結等で強固にするための高温熱処理を行うことができず、一般的に欠けやすくくずれやすいものとなっている。
積層鉄心の場合も、薄いケイ素鋼板同士の間に絶縁層を介在させて積層させ、渦電流の発生を個々の薄いケイ素鋼板内に留めて全体の鉄損を低減させている。しかし、ケイ素鋼板自身は高温熱処理をしなくてもそれ自体機械加工に耐えうる強度が十分あり、ケイ素鋼板の場合にはバリ取りの機械加工を行うことができるが、絶縁性皮膜で被覆された鉄系磁性粉末を加圧成形する圧粉磁心の場合、機械加工によってバリ取り等の形状修正を行うのは困難である。
本発明の目的は、かかる従来技術の課題を解決し、絶縁性皮膜で被覆された鉄系磁性粉末を加圧成形する圧粉磁心において、バリを低減することを可能とする圧粉磁心の製造方法を提供することである。また、本発明の他の目的は、絶縁性皮膜で被覆された鉄系磁性粉末を加圧成形する圧粉磁心において、外形形状の修正を可能とする圧粉磁心の製造方法を提供することである。また、本発明の他の目的は、電気的特性、磁気的特性に優れ、バリのない圧粉磁心を提供することである。以下に述べる各請求項は、上記の目的の中の少なくとも1つを達成するために貢献するものである。
1.本発明の基礎となる知見
本発明は、特許文献1、2に記載の製造方法によって得られる圧粉磁心において、加圧成形後において、塑性加工が可能であることを見出したことに基づく。すなわち、特許文献1に示されるように、かかる圧粉磁心は、電気的特性及び磁気的特性に優れているとともに、4点曲げ強度において相当の強度を有していることがわかった。また、特許文献2の表1−4等には、さらに詳細な4点曲げ強度のデータが示されており、いずれも相当な強度を有していることがわかる。
すなわち、本願出願人が特許文献1,2において提案した圧粉磁心の製造方法は、成形用金型の内面に水に分散したステアリン酸リチウム等の高級脂肪酸系潤滑剤を塗布し、高級脂肪酸系潤滑剤の塗布された成形用金型内に酸化皮膜を表面に有する鉄系磁性粉末を充填し、充填された鉄系磁性粉末を温間で加圧成形するものであり、この方法により、金型へのかじり等を抑制、防止して高い成形圧力による加圧成形を可能とする。そして得られる圧粉磁心は、例えば、電気的特性において比抵抗ρ≧0.7μΩm、磁気的特性において1.6MA/mの磁場中における飽和磁化Ms≧1.9T、2kA/mの磁場中における磁束密度B2k≧0.9T、10A/mの磁場中における磁束密度B10k≧1.6Tと、従来の圧粉磁心に比べ大幅に特性の向上が見られる。さらに、機械的強度についても4点曲げ強度σ≧50MPaと相当の強度を有している。
このように、本願出願人が特許文献1,2において提案した圧粉磁心の製造方法は、電気的特性及び磁気的特性の向上を果たすものであったが、同時に機械的強度も優れていることがわかった。従来、絶縁性皮膜で被覆された鉄系磁性粉末を加圧成形するには、金型へのかじり等のために成形圧力を上げることができず、したがって、低い成形圧力で固めたものであり、機械的強度が低く、上記のように一般に欠けやすく崩れやすいものである。
特許文献1,2のデータが示すように、例えば4点曲げ強度において50MPa以上もあるならば、塑性加工がある程度可能ではないか、と考えて実験を行ったことが本発明の出発点である。図1は、塑性加工実験の概念図である。最初に、特許文献1,2に述べた方法で圧粉成形体60を作り、これを圧縮試験機62によって圧縮し、変形する圧粉成形体64の応力−ひずみ特性を測定する。
試験片となる圧粉成形体60は、以下の条件で製作した。原料鉄粉は、スエーデンのヘガネス社製絶縁被覆鉄粉Somaloy500(ヘガネス社の商品名)である。成形用金型の内面に塗布した高級脂肪酸系潤滑剤は、水に分散させたステアリン酸リチウムの1%溶液である。この金型に原料鉄粉を充填し加圧成形を行う。成形圧力は800−1600MPaの範囲の数条件であり、成形温度は150℃である。圧縮試験温度は、常温及び150℃の2条件である。得られた圧粉成形体についての焼鈍処理は、行わないものと、400℃、1時間行うものの2条件である。
図2は、各試験片についての応力−ひずみ線図の例で、いずれも横軸に圧縮率、縦軸に応力をとってある。図2(a)は(圧縮試験温度が常温、焼鈍処理なし)、(b)は(圧縮試験温度が常温、焼鈍処理が400℃1時間)、(c)は(圧縮試験温度が150℃、焼鈍処理なし)、(d)は(圧縮試験温度が150℃、焼鈍処理が400℃1時間)で、それぞれについて成形圧力を3条件変えてある。
これらの実験データにおいて変形抵抗σc、限界圧縮率εcを求める。図3は、応力−ひずみ線図において、変形抵抗σc、限界圧縮率εcを説明する図である。変形抵抗σcは、応力−ひずみ線図が弾性領域から塑性領域に遷移するときの応力で定義する。具体的には、応力−ひずみ線図において弾性領域の勾配線と、塑性領域の勾配線が交わるところの応力値をもって変形抵抗σcとする。限界圧縮率εcは、塑性領域において勾配が変化するところから弾性領域の勾配で応力ゼロまで戻したときの圧縮率で定義する。具体的には、塑性領域において、弾性領域から遷移した最初の勾配線と、次に勾配が変化したその勾配線との交点から、弾性領域の勾配で戻し線を引き、応力ゼロの線と交わった点の圧縮率の値をもって限界圧縮率εcとする。
このように変形抵抗σc、限界圧縮率εcを定義すると、いずれの試験片においても限界圧縮率の範囲では、その外形が欠けたり崩れたりせず、いわゆる塑性変形領域であることが確認された。図4は、図2(a)−(d)の12種の試験片についての成形圧力条件、焼鈍条件、圧縮試験条件と、変形抵抗σc、限界圧縮率εcとの関係をまとめたものである。図2及び図4の結果から次のことが明らかとなった。
第1に、成形圧力を高くするほど変形抵抗は高くなり、限界圧縮率も高くなる。第2に、圧粉成形体を焼鈍処理すると、焼鈍処理をしないときに比べ、変形抵抗はほとんど変化せずに限界圧縮率が高くなる。第3に、150℃で圧縮試験すると、常温で試験したときに比べ、変形抵抗は約10%程度低くなるが、限界圧縮率は大幅に向上する。
このように、成形用金型の内面に高級脂肪酸系潤滑剤を塗布し、高級脂肪酸系潤滑剤の塗布された成形用金型内に酸化皮膜を表面に有する鉄系磁性粉末を充填し、充填された鉄系磁性粉末を温間で加圧成形して得られる圧粉磁心は、限界圧縮率で約4−18%もの塑性加工が可能であることが見出された。本発明は、かかる実験結果に基づき、高圧成形により得られた圧粉磁心に塑性加工工程を加えることを可能とし、それにより圧粉磁心に対しバリの除去等の形状変更を可能とする方法及びそれにより得られる圧粉磁心を提供するものである。
2.課題解決手段
本発明に係る圧粉磁心の製造方法は、成形用金型の内面に高級脂肪酸系潤滑剤を塗布する塗布工程と、高級脂肪酸系潤滑剤の塗布された成形用金型内に酸化皮膜を表面に有する鉄系磁性粉末を充填する充填工程と、成形用金型に充填された鉄系磁性粉末を温間で加圧成形し、限界圧縮率で4%以上18%以下の塑性変形が可能となる圧粉成形体を得る成形工程と、得られた圧粉成形体を形状修正用金型により加圧成形し、その外形形状を修正する形状修正工程と、を備えることを特徴とする。
また、形状修正工程は、成形工程により生ずるバリを低減させる形状修正であることが好ましい。また、形状修正工程は、圧粉成形体の外形に丸みをつける形状修正であることが好ましい。
また、本発明に係る圧粉磁心の製造方法において、形状修正用金型は、成形用金型の内面を摺動する加圧パンチ部分を形状修正用のパンチ部分に交換して構成することが好ましい。
また、本発明に係る圧粉磁心の製造方法において、形状修正工程の成形温度は、成形工程の成形温度と略同じであることが好ましい。
また、形状修正工程は、成形温度が100−200℃であることが好ましい。また、形状修正工程は、修正成形圧力が700MPa以上であることが好ましい。
また、本発明に係る圧粉磁心の製造方法において、形状修正工程の前に、圧粉成形体を予め焼鈍する予備焼鈍工程を備えることが好ましい。また、予備焼鈍工程は、焼鈍温度が350−450℃であることが好ましい。
また、本発明に係る圧粉磁心の製造方法において、外形形状が修正された修正圧粉成形体を磁気焼鈍する磁気焼鈍工程を備えることが好ましい。
また、本発明に係る圧粉磁心の製造方法は、1.6MA/mの磁場中における飽和磁化Ms≧1.9T、比抵抗ρ≧0.7μΩm、2kA/mの磁場中における磁束密度B2k≧0.9T、10A/mの磁場中における磁束密度B10k≧1.6T、4点曲げ強度σ≧50MPaの特性を有し、少なくともコイル線を巻回する部分に成形によるバリを有しない圧粉磁心が得られることを特徴とする。
また、本発明に係る圧粉磁心は、酸化皮膜を表面に有する鉄系磁性粉末を加圧成形して得られる圧粉磁心において、1.6MA/mの磁場中における飽和磁化Ms≧1.9T、比抵抗ρ≧0.7μΩm、2kA/mの磁場中における磁束密度B2k≧0.9T、10A/mの磁場中における磁束密度B10k≧1.6T、4点曲げ強度σ≧50MPaの特性を有し、少なくともコイル線を巻回する部分に成形によるバリを有しないことを特徴とする。

上記のように、本発明に係る圧粉磁心の製造方法によれば、絶縁性皮膜で被覆された鉄系磁性粉末を加圧成形する圧粉磁心において、バリを低減することが可能となる。また、本発明に係る圧粉磁心の製造方法によれば、絶縁性皮膜で被覆された鉄系磁性粉末を加圧成形する圧粉磁心において、外形形状の修正が可能となる。また、本発明に係る圧粉磁心の製造方法によれば、電気的特性、磁気的特性に優れ、バリのない圧粉磁心を提供することができる。また、本発明に係る圧粉磁心によれば、電気的特性、磁気的特性に優れ、かつ少なくともコイルを巻回する部分に成形によるバリがない。
以下に図面を用いて本発明に係る実施の形態につき詳細に説明する。図5は、圧粉成形体を形成し、さらに塑性加工による形状修正を行う圧粉磁心の製造方法の手順を示す図である。なお、図5(a)から(d)までは、加圧成形により圧粉成形体を得る手順に相当し、その詳細な内容は上記特許文献1,2に詳細に記載されているので、以下では代表的な工程内容について述べることとする。したがって、図5(a)から(d)の工程については、以下に述べる工程内容の他に、特許文献1,2に記載される他の実施形態による工程内容を適用してもよい。
最初に、成形用金型をセットする(成形用金型セット工程)。図5(a)に示すように、成形用金型は、成形しようとする磁心の断面形状に対応する内側形状を有する固定側金型100と、固定側金型100の内面に沿ってスライドできる可動側の成形用上下金型102,104から構成することができる。成形用金型セット工程は、かかる成形金型を、所定の加圧成形装置にセットする工程である。
成形用金型100,102,104の内面に高級脂肪酸系の潤滑剤106を塗布する(潤滑剤塗布工程)。図5(b)に示すように、塗布は、各金型の内面にわたって行われる。この工程は、成形用金型セット工程の前に行ってもよい。高級脂肪酸系の潤滑剤106としては、例えば、水に分散したステアリン酸リチウムの1%溶液を用いることができる。
次に、高級脂肪酸系の潤滑剤106の塗布された成形用金型100,102,104内に、酸化皮膜を表面に有する鉄系磁性粉末108を充填する(磁性粉末充填工程)。具体的には、例えば成形用上金型102を開いた状態で鉄系磁性粉末108を充填し、その後、図5(c)に示すように、成形用上金型102をセットする。あるいは、成形用金型100,102,104の適当な個所に粉末供給口を設け、そこから鉄系磁性粉末108を充填するものとしてもよい。酸化皮膜を表面に有する鉄系磁性粉末108は、その粒径、鉄の純度等が管理されているものを用いることが好ましい。例えば、上記のヘガネス社製絶縁被覆鉄粉Somaloy500(ヘガネス社の商品名)等を用いることができる。
そして、充填された鉄系磁性粉末108を成形用金型100,102,104で加圧成形する(加圧成形工程)。図5(d)においては、矢印で加圧方向が示されている。成形温度は、高級脂肪酸系の潤滑剤106と鉄系磁性粉末108との反応に適した温度が好ましく、例えば、100−200℃とすることができる。成形圧力は、高級脂肪酸系の潤滑剤106や鉄系磁性粉末108の材料、成形用金型100,102,104の材質、内面形状等を検討して適宜定めることができる。例えば、700MPa以上とすることができる。上限は、成形用金型100,102,104の寿命や生産性等を考慮し、例えば1200MPa以下とするのが好ましい。
加圧成形された圧粉成形体110は、図5(e)に示すように、成形用上下金型102,104の加圧面の周囲の辺に対応する部分等にバリ112が生ずることがある。このバリを除去し、あるいはさらに積極的に角の部分に丸みをつけ、または他の部分に追加的なくぼみ等の外形を付与するために、以下の工程で、圧粉成形体110に塑性加工を施す。
まず、成形用金型のうち、可動側金型である成形用上下金型102,104を外し、代わって形状修正用上下金型120,122をセットする(形状修正用金型セット工程)。形状修正用上下金型120,122は、成形用上下金型102,104に比べ、圧粉成形体110の形状を修正したい部分のところの内面形状が異なっている。図5(f)では、圧粉成形体110のバリ112の生じている部分を丸めるような形状修正を行うものとして、形状修正用上下金型120,122は、その部分が張り出した形状となっている。
次に、形状修正用上下金型120,122により圧粉成形体110を加圧成形し、塑性変形により形状修正を行う(形状修正工程)。図5(g)では、矢印で加圧方向が示されている。加圧成形工程において、成形温度が100−200℃に設定されているときは、その温度のままで引き続き形状修正工程を行ってよい。すなわち、加圧成形温度と形状修正温度とは略同じとしてよい。これにより、工程処理が簡単になる。
形状修正の加圧力は、圧粉成形体110の製作履歴や、形状修正温度、形状修正に用いられる金型の材質、内面形状等に応じて適宜決定することができる。例えば、形状修正温度を150℃とし、圧粉成形体110が後述する焼鈍処理を受けていないときで、形状修正による寸法圧縮率が5%程度の場合には、図4を参照して、1100MPa程度の形状修正圧力とすることができる。一般的には、成形圧力より高めの形状修正圧力が好ましく、例えば700MPa以上とすることができる。上限は成形圧力と同様に、例えば1200MPa以下とするのが好ましい。
このようにして形状修正された圧粉磁心130は、図5(h)に示すように、バリの生じていた部分が丸み132を帯びて形状修正される。
以上の基本工程にさらに塑性加工を効率的に行うため、加圧成形のときに生ずるひずみを除去する予備焼鈍工程を付加することができる。すなわち、予備焼鈍工程は、加圧成形工程の後で形状修正工程の前、つまり図5(e)の圧粉成形体110の状態に対して行われる。予備焼鈍工程は、高温にするほど加圧成形によるひずみが除去され、図4に示すように限界圧縮率が伸びる。また、磁心としてのヒステリシス損も改善される。その一方で、上記のように鉄系磁性粉末を被覆する絶縁性皮膜が高温にさらされ消失しやすくなり、全体の渦電流が増加し、鉄損が増加する。したがって、これらのメリット、デメリットを考慮して適宜定めることができる。例えば、図4で示されるように400℃1時間程度の焼鈍を行うことができる。この範囲を中心にして適当な範囲、例えば350以上450℃以下の焼鈍温度でもよい。また、今後、より耐熱性の高い絶縁皮膜が開発されれば、この限りではない。
また、このようにして形状修正の加圧成形を行った後に、ひずみ取りの焼鈍処理を行うのが好ましい。この焼鈍工程は、これによりヒステリシス等の磁気特性が改善されるので、磁気焼鈍工程と呼ばれる。この温度は、例えば350以上450℃以下とすることができる。
このようにしてバリの発生を抑制し、あるいは代わりに丸みをつける形状修正を行って得られた圧粉磁心130は、図6に示されるように、他の鉄心部品と組み合わされて、モータ等に用いられるヨーク部品134とすることができる。他の鉄心部品の形状も含んで加圧成形し、必要に応じて適当な形状修正を施し、一体ものとして圧粉ヨーク部品とすることもできる。
図7は、ヨーク部品134に直接、すなわちボビン等を用いずにコイル136を巻回し、電磁石部品138とする様子を示す図である。コイル136が巻回される部分については、圧粉磁心130はバリが除かれているので、コイル136の絶縁被覆が損傷されることがない。したがって、空間利用率を高めてコイル136を圧粉磁心130に巻回することができる。
図8は、電磁石部品138を円周状に配置し、モータのロータ140を構成する例を示す図である。ロータ140は、永久磁石142を円周状に配置したステータ144と組み合わせてモータを構成することができる。なお、図8の構成とは逆に、ステータに電磁石部品138を配置し、ロータに永久磁石を配置するものとしてもよい。この他、圧粉磁心を用いて、プランジャのアーマチュア等に適用することもできる。
本発明の基礎となる、圧粉成形体の塑性加工実験の概念図である。 本発明の基礎となる、圧粉成形体の応力−ひずみ線図の例である。 本発明の基礎となる、圧粉成形体の応力−ひずみ線図における変形抵抗σcと限界圧縮率εcとを説明する図である。 本発明の基礎となる、圧粉成形体の圧縮試験条件と、変形抵抗、限界圧縮率との関係をまとめた図である。 本発明に係る実施の形態において、圧粉成形体の形成および形状修正を行う圧粉磁心の製造方法の手順を示す図である。 本発明に係る実施の形態の圧粉磁心が、ヨーク部品に用いられる様子を示す図である。 本発明に係る実施の形態の圧粉磁心に直接コイルが巻回され、電磁石部品として用いられる様子を示す図である。 本発明に係る実施の形態の圧粉磁心を用いた電磁石部品がモータに用いられる様子を示す図である。 電磁鋼板を打ち抜きこれを順次積層して積層鉄心を得る場合にバリが生ずる様子を示す図である。 鉄系磁性粉末を金型により加圧成形して圧粉磁心を得るときにバリが生ずる様子を示す図である。
符号の説明
10 コア片、12 残材、20,52,112 バリ、30 積層鉄心、32,136 コイル、40,108 鉄系磁性粉末、42−44 金型、50,130 圧粉磁心、60,64,110 圧粉成形体、62 圧縮試験機、100 固定側金型、102,104 成形用上下金型、106 高級脂肪酸系の潤滑剤、120,122 形状修正用上下金型、134 ヨーク部品、138 電磁石部品、140 ロータ、142 永久磁石、144 ステータ。

Claims (12)

  1. 成形用金型の内面に高級脂肪酸系潤滑剤を塗布する塗布工程と、
    高級脂肪酸系潤滑剤の塗布された成形用金型内に酸化皮膜を表面に有する鉄系磁性粉末を充填する充填工程と、
    成形用金型に充填された鉄系磁性粉末を温間で加圧成形し、限界圧縮率で4%以上18%以下の塑性変形が可能となる圧粉成形体を得る成形工程と、
    得られた圧粉成形体を形状修正用金型により加圧成形し、その外形形状を修正する形状修正工程と、
    を備えることを特徴とする圧粉磁心の製造方法。
  2. 請求項1に記載の圧粉磁心の製造方法において、
    形状修正工程は、成形工程により生ずるバリを低減させる形状修正であることを特徴とする圧粉磁心の製造方法。
  3. 請求項1に記載の圧粉磁心の製造方法において、
    形状修正工程は、圧粉成形体の外形に丸みをつける形状修正であることを特徴とする圧粉磁心の製造方法。
  4. 請求項1に記載の圧粉磁心の製造方法において、
    形状修正用金型は、成形用金型の内面を摺動する加圧パンチ部分を形状修正用のパンチ部分に交換して構成することを特徴とする圧粉磁心の製造方法。
  5. 請求項1に記載の圧粉磁心の製造方法において、
    形状修正工程の成形温度は、成形工程の成形温度と略同じであることを特徴とする圧粉磁心の製造方法。
  6. 請求項1に記載の圧粉磁心の製造方法において、
    形状修正工程は、成形温度が100−200℃であることを特徴とする圧粉磁心の製造方法。
  7. 請求項1に記載の圧粉磁心の製造方法において、
    形状修正工程は、修正成形圧力が700MPa以上であることを特徴とする圧粉磁心の製造方法。
  8. 請求項1に記載の圧粉磁心の製造方法において、
    形状修正工程の前に、圧粉成形体を予め焼鈍する予備焼鈍工程を備えることを特徴とする圧粉磁心の製造方法。
  9. 請求項8に記載の圧粉磁心の製造方法において、
    予備焼鈍工程は、焼鈍温度が350−450℃であることを特徴とする圧粉磁心の製造方法。
  10. 請求項1に記載の圧粉磁心の製造方法において、
    外形形状が修正された修正圧粉成形体を磁気焼鈍する磁気焼鈍工程を備えることを特徴とする圧粉磁心の製造方法。
  11. 請求項1に記載の圧粉磁心の製造方法において、
    高級脂肪酸系潤滑剤は、水に分散したステアリン酸リチウムであることを特徴とする圧粉磁心の製造方法。
  12. 請求項1に記載の圧粉磁心の製造方法において、
    1.6MA/mの磁場中における飽和磁化Ms≧1.9T、
    比抵抗ρ≧0.7μΩm、
    2kA/mの磁場中における磁束密度B2k≧0.9T、
    10kA/mの磁場中における磁束密度B10k≧1.6T、
    4点曲げ強度σ≧50MPa
    の特性を有し、少なくともコイル線を巻回する部分に成形によるバリを有しない圧粉磁心が得られることを特徴とする圧粉磁心の製造方法
JP2004038851A 2004-02-16 2004-02-16 圧粉磁心の製造方法及び圧粉磁心 Expired - Fee Related JP4315436B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2004038851A JP4315436B2 (ja) 2004-02-16 2004-02-16 圧粉磁心の製造方法及び圧粉磁心

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2004038851A JP4315436B2 (ja) 2004-02-16 2004-02-16 圧粉磁心の製造方法及び圧粉磁心

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2005226152A JP2005226152A (ja) 2005-08-25
JP4315436B2 true JP4315436B2 (ja) 2009-08-19

Family

ID=35001100

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2004038851A Expired - Fee Related JP4315436B2 (ja) 2004-02-16 2004-02-16 圧粉磁心の製造方法及び圧粉磁心

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4315436B2 (ja)

Families Citing this family (11)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP4465635B2 (ja) * 2008-03-17 2010-05-19 トヨタ自動車株式会社 リアクトル装置
JP5493141B2 (ja) * 2008-12-17 2014-05-14 三和システムエンジニアリング株式会社 粉末成形部品のばり取り方法およびその装置
JP5513757B2 (ja) * 2009-03-12 2014-06-04 株式会社日立製作所 圧粉磁心を用いた回転電機及び圧粉磁心からなる軟磁性コアの製造方法
JP5311397B2 (ja) * 2009-05-01 2013-10-09 キヤノン電子株式会社 モーター用圧粉磁心およびその製造方法
JP5304908B2 (ja) * 2012-01-25 2013-10-02 株式会社デンソー 圧粉磁心の製造方法
JP6346510B2 (ja) * 2014-07-07 2018-06-20 住友電気工業株式会社 圧粉磁心の製造方法、並びに、圧粉磁心及びコイル部品
JP2018107341A (ja) * 2016-12-27 2018-07-05 トヨタ自動車株式会社 リアクトルのコアの製造方法
CN107552784B (zh) * 2017-09-04 2023-03-28 瑞安市华大液压机械厂 粉末冶金液压机
CN109746443A (zh) * 2018-12-29 2019-05-14 华中科技大学 一种增材制造过程中并行控制零件变形和精度的方法
CN114147218A (zh) * 2020-11-30 2022-03-08 佛山市中研非晶科技股份有限公司 间隙填充的非晶纳米晶绝缘成品粉末及其制备方法
CN114147220A (zh) * 2020-11-30 2022-03-08 佛山市中研非晶科技股份有限公司 预退火处理的非晶纳米晶绝缘成品粉末的制备方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP2005226152A (ja) 2005-08-25

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4315436B2 (ja) 圧粉磁心の製造方法及び圧粉磁心
US20100045120A1 (en) Magnetic powder, dust core, motor, and reactor
EP1820587B1 (en) Method for producing green compact and green compact
JP5415821B2 (ja) 略円柱状の粉末成形体および粉末成形金型装置
JP2003309024A (ja) コイル封入型磁性部品及びその製造方法
JPWO2002058085A1 (ja) 圧粉磁心およびその製造方法
JP2009206483A (ja) 軟磁性材料およびその製造方法
JP6368188B2 (ja) 圧粉磁心の製造方法
WO2016009898A1 (ja) 表面実装インダクタの製造方法
EP1356479A2 (en) Coil component and method of manufacturing the same
JP6346521B2 (ja) 圧粉磁心、及びコイル部品
JP4650450B2 (ja) 圧粉磁心,圧粉磁心の製造方法、及びこれを用いたモータ
CN107851508B (zh) 只可使用单极的磁铁的制造方法
JP5979583B2 (ja) 分割磁心用圧粉磁心の成形方法
JP2015025189A (ja) 圧粉成形体、圧粉成形体の製造方法、及びコイル部品
JP5242490B2 (ja) 磁気浮上式鉄道用地上コイルの製作方法
WO2013115325A1 (ja) 焼結磁石の製造方法および製造装置
CN111295252A (zh) 用于制造金属部件的多层冲裁方法
JP5513757B2 (ja) 圧粉磁心を用いた回転電機及び圧粉磁心からなる軟磁性コアの製造方法
JP5867674B2 (ja) 圧粉磁心およびその製造方法
JP2007012744A (ja) 圧粉磁心およびその製造方法
JP2002367846A (ja) ラジアルまたは極異方性焼結磁石の製造方法
JP5568983B2 (ja) 圧粉コアの製造方法
JPH0629114A (ja) 圧粉磁心及びその製造方法
JP5130131B2 (ja) 配向圧粉磁心

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20060607

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20080530

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20080603

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20080731

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20081007

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20081205

TRDD Decision of grant or rejection written
A711 Notification of change in applicant

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A711

Effective date: 20090421

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20090428

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A821

Effective date: 20090421

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20090518

R151 Written notification of patent or utility model registration

Ref document number: 4315436

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R151

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120529

Year of fee payment: 3

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120529

Year of fee payment: 3

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130529

Year of fee payment: 4

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130529

Year of fee payment: 4

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees