JP4313962B2 - 継手 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば給水・給湯系の配管システムにおいて管材の端部同士、あるいは管材の端部と水栓器具とを接続する継手(管継手)に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
例えば管材の端部を差し込んで接続可能な管接続部を有する継手では、該管接続部に差し込まれる管材に内嵌される内筒を管接続部に設けたものが知られている。このような継手では、内筒の外周面に環状溝を形成してその環状溝に内筒と管材との間をシールするためのパッキンを装着するようにした構成が多く採用されている。この場合、パッキンには通常、内筒の外周面よりも径方向外側に突出する突出部が形成されている。従って、環状溝に装着されたパッキンはその突出部で管材の内周面に強く押し付けられて内筒と管材との間がシールするようになっている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、上記従来の構成の場合、パッキンに内筒の外周面よりも径方向外側に突出する突出部が形成されていることから、管接続部に管材を接続する際に管材がパッキンの突出部の位置まで差し込まれると管材の端面が前記突出部に突き当たることになる。突出部に突き当たった状態で管材をさらに押し込むと、管材に押されてパッキンが環状溝からはみ出してしまうことがあり、その結果シール性が大きく低下してしまうという問題がある。
【0004】
本発明は、上記のような従来技術に存在する問題点に着目してなされたものである。その目的とするところは、管接続部に管材を接続する際に管材に押されてパッキンが環状溝からはみ出るのを抑制することができる継手を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、管材の端部を差し込んで接続可能な管接続部に内筒を設けて前記管接続部に差し込まれる管材の端部に前記内筒が内嵌されるようにするとともに、前記内筒の外周面に環状溝を形成してその環状溝に前記内筒と前記管材との間をシールするためのパッキンを装着した継手において、前記パッキンに前記内筒の外周面よりも径方向外側に突出する突出部を形成し、同じくパッキンにあって前記突出部よりも前記管材の差し込み方向上流側となる位置に前記内筒の外周面と略面一に形成された外周面を有する平坦部を設けるとともに、同じくパッキンにあって前記突出部に対し前記管材の差し込み方向上流で近接する位置に、前記内筒の外周面よりも径方向内側に凹む凹条を設けたことを要旨とする。
【0006】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の継手において、前記突出部の軸方向断面の形状が略三角の山形状であることを要旨とする。
【0007】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は請求項2に記載の継手において、前記内筒の外周面に環状溝を二筋形成し、いずれの環状溝にもパッキンを装着したことを要旨とする。
【0008】
請求項4に記載の発明は、請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の継手において、前記管接続部から前記内筒を分離可能に構成したことを要旨とする。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を、給水・給湯系の配管システムにおいて管材の端部同士を接続する継手に具体化した一実施形態について図面に基づき説明する。
【0010】
図1は本実施形態における継手を示す半断面図である。同図に示すように、継手は全体として略円筒状の形態をなし、軸方向両端に管接続部11,12を有している。管接続部11,12のうち図1で左方に位置する管接続部11には、管材(図示せず)の端部が螺着して接続されるようになっている。一方、図1で右方に位置する管接続部12には、管材13(図4参照)の端部が差し込んで接続されるようになっている。なお、管接続部12に接続される管材13には、架橋ポリエチレンやポリブデンなどのポリオレフィンから形成された樹脂パイプが用いられる。
【0011】
上記継手には、管接続部12に対する管材13の差し込み状態を容易に確認できるようにする確認手段が設けられている。この確認手段は、継手の軸方向中途部に形成された挿通孔14に対してカラー部材15を介し嵌挿されたピン部材16よって構成されている。ピン部材16は継手の径方向に沿って内外に移動可能に挿通孔14内に保持されている。そして、図1に示すように管接続部12に管材13が接続されていない状態のときには、ピン部材16の先端は挿通孔14内に没入するようになっている。その一方、図4に示すように管材13が管接続部12の内奥まで差し込まれたときには、管材13の端部に押されて継手の径方向外側に向かってピン部材16が移動することによってピン部材16の先端が挿通孔14から外側に突出するようになっている。このため、挿通孔14から出没するピン部材16の先端を確認することによって管材13の差し込み状態を容易に知ることができるようになっている。なお本例の継手の場合、このような確認手段が径方向で対向する二位置に設けられている。
【0012】
また継手は、略円筒状をなす継手本体17を有している。継手本体17の軸方向一端(図1では左端)は前記管接続部11を構成している。一方、継手本体17の軸方向他端(図1では右端)は、同端に螺着される押輪18とで前記管接続部12を構成している。
【0013】
図1に示すように、管接続部12には、管接続部12に接続される管材13を抜け止めするためのロックリング19が2枚配設されている。これらロックリング19は、両ロックリング19間に介装されるスペーサ20によって継手本体17の軸方向に沿って間隔をおいて並んで配置されている。そしてロックリング19は、前記押輪18が継手本体17の右端に螺着されることによって継手本体17から抜け出ないようになっている。さらに各ロックリング19は、径方向内側に向かって延びる複数の爪19aを有している。管接続部12に差し込まれた状態の管材13に引き抜き方向の力が作用したときには、両ロックリング19の爪19aが管材13の外面に食い込んで管材13がロックリング19に対し移動不能とされることにより、管接続部12に対して管材13が抜け止めされるようになっている。
【0014】
また管接続部12には、継手本体17の軸方向中途部から管接続部12の開口部の方向(図1では右方)に向かって延びる円筒状の内筒21が設けられている。内筒21は継手本体17と別体に形成され、軸方向基端(図1では左端)で継手本体17の軸方向中途部内周に螺着されている。このため、内筒21は管接続部12から分離可能な構成となっている。なお、内筒21と継手本体17との間にはOリング22が介装されており、これによって両者の間はシールされている。
【0015】
管接続部12においては内筒21の外周と継手本体17及び押輪18の内周との間に円環状に隙間23が形成されており、管接続部12に接続される管材13は、その隙間23に差し込まれるようになっている。そして、管材13を隙間23に差し込むと、内筒21が管材13に内嵌されるようになっている。内筒21の外周面には、周方向に沿って円環状に延びる環状溝24が二筋、軸方向に沿って並んで設けられている。これら環状溝24には、管接続部12に接続される管材13と、その管材13に内嵌される内筒21との間をシールするためのパッキン25が装着されている。
【0016】
図2は環状溝24に装着されたパッキン25を拡大して示す断面図、図3は同パッキン25を示す半断面図である。パッキン25は、図3に示すような円筒状の形態をなし、図2に示すようにして環状溝24に装着されている。図2に示すように、パッキン25には、内筒21の外周面よりも径方向外側に突出する突出部25aが形成されている。また、パッキン25にあって突出部25aよりも管材13の差し込み方向上流側となる位置には、内筒21の外周面と略面一に形成された外周面を有する平坦部25bが設けられている。さらに、パッキン25にあって突出部25aに対し管材13の差し込み方向上流で近接する位置には、内筒21の外周面よりも径方向内側に凹む凹条25cが設けられている。
【0017】
前記突出部25aについてさらに説明すると、図3に示すように突出部25aの軸方向断面の形状は略三角の山形状となっている。従って、突出部25aの外周形状は、パッキン25の軸方向において突出部25aの頂点Oを間に挟んで位置する二つの円錐面S1,S2によって主に構成されている。両円錐面S1,S2のうち管材13の差し込み方向上流側に位置する円錐面S1の母線とパッキン25の中心軸とのなす角θ1は25±20°の範囲が好ましく、25°前後がより好ましい。また、前記平坦部25bについてさらに説明すると、図3に示す平坦部25bの軸方向長さL1は、2mmよりも大きいことが好ましい。
【0018】
本実施形態によって得られる作用効果について、以下に記載する。
・ 継手の管接続部12に管材13を接続する場合には、管接続部12の隙間23に管材13の端部を差し入れ、図4に示すように管材13を奥まで押し込むようにする。その際、管材13の端部がパッキン25を通過するときには、まずパッキン25のうち管材13の差し込み方向上流に位置する平坦部25bが最初に管材13に内挿された後、続いて突出部25aが内挿される。このため、管材13の端面がパッキン25の突出部25aに突き当たるときには、既に同パッキン25の平坦部25bが管材13に内挿された状態にある。平坦部25bが管材13に内挿された状態にあるパッキン25は、平坦部25bが径方向外側から押圧されて環状溝24に押し付けられているために、軸方向の移動がある程度規制された状態にある。従って、パッキン25の突出部25aに突き当たった状態からさらに管材13を押し込んだとしても、管材13に押されてパッキン25が環状溝24からはみ出してしまうおそれが少ない。
【0019】
・ 通常、管材13の切断は手作業で行われるので、中心軸に対して直角でなく若干斜めに切断されることが多い。このように斜めに切断された管材13を管接続部12に接続する場合には、平坦部25bが全て管材13に内挿される以前に管材13の端面のうちで最も軸方向に突出した一部が突出部25aに突き当たってしまう。このため、十分に軸方向の移動が規制されないままパッキン25が管材13によって押されてしまい、その結果パッキン25が環状溝24からはみ出てしまうことがある。しかし、パッキン25の平坦部25bの軸方向長さL1を2mmよりも大きくすれば、管材13が斜めに切断された場合であっても、効果的に環状溝24からのパッキン25のはみ出しを抑えることができる。
【0020】
というのは、管材13の切断を手作業で行った場合、たとえ斜めに切断されたとしても通常、管材の端面において最も軸方向に突出した個所と最も凹んだ箇所の差は2mm以下であることが多い。従って、パッキン25の平坦部25bの軸方向長さL1を2mmよりも大きくすれば、管材13の端面が管材の中心軸に対し直角に切断されていない場合であっても、管材13に対し平坦部25bが少なくとも全周にわたって内挿された後に、管材13の端面と突出部25aとが突き当たるようにすることができる。このため、パッキン25の突出部25aに突き当たった状態からさらに管材13を押し込むときには、すでにパッキン25の軸方向の移動が規制された状態となっている。よって、管材13が斜めに切断された場合であっても、効果的に環状溝24からのパッキン25のはみ出しを抑えることができる。
【0021】
・ 突出部25aの軸方向断面の形状を略三角の山形状とした場合、四角形や円弧形の場合に比べて、管材13の端面とパッキン25の突出部25aとの間の接触抵抗が小さくなるので管接続部12への管材13の差し込みが容易になる。と同時に、管材13の端面と突出部25aとの間の引っかかりが少ないので、管材13がパッキン25を軸方向に押すことによってパッキン25が環状溝24からはみ出るおそれをさらに小さくすることができる。
【0022】
・ 突出部25aの円錐面S1の母線とパッキン25の中心軸とのなす角θ1を25±20°の範囲とすれば、突出部25aの軸方向長さを過度に大きくなることなく、管材13の端面とパッキン25の突出部25aとの間の接触抵抗を小さくすることができる。特に角θ1を25°前後とした場合には、特に効果的である。
【0023】
・ パッキン25にあって突出部25aに対し管材13の差し込み方向上流で近接する位置に設けた凹条25cは、管材13によって径方向内側に押圧されて圧縮変形する突出部25aの逃げとして効果的に機能する。そのため、突出部25aは管材13によって径方向内側に押圧されたときに容易に圧縮変形することができる。よって、管接続部12に対する管材13の差し込みやすさを向上させることができる。
【0024】
・ 軸方向に沿って並んで配置される二つのパッキン25によって内筒21と管材13との間をシールするようにしているので、高いシール性を発揮することができる。
【0025】
・ 内筒21を管接続部12から分離させることによって、環状溝24の加工を容易に行うことができる。また、環状溝24へのパッキン25の装着も容易に行うことができる。
【0026】
なお、前記実施形態を次のように変更して構成することもできる。
・ 内筒21と管材13との間をシールするパッキン25の数は二つに限定されるものでなく、一つでもよいし、三つ以上でもよい。
【0027】
・ パッキン25の凹条25cにグリスを注入してグリス溜まりとしてもよい。
・ 継手本体17と内筒21を一体に形成して内筒21を管接続部12から分離不能な構成としてもよい。
【0028】
・ パッキン25の凹条25cを省略してもよい。
次に、前記実施形態から把握できる技術的思想について以下に記載する。
・ 前記平坦部の軸方向長さが2mmよりも大きいことを特徴とする継手。このように構成すれば、斜めに切断された管材を管接続部に接続する場合でも効果的にパッキンが環状溝からはみ出るのを抑制することができる。
【0029】
・ 前記パッキンの軸方向において前記突出部の頂点を間に挟んで位置する二つの円錐面のうち前記管材の差し込み方向上流側に位置する円錐面の母線とパッキンの中心軸とのなす角が25±20°であることを特徴とする継手。このように構成すれば、パッキンの突出部の軸方向長さを過度に大きくすることなく、管材の端面とパッキンの突出部との間の接触抵抗を小さくすることができる。
【0030】
【発明の効果】
本発明は、以上のように構成されているため、次のような効果を奏する。
請求項1に記載の発明によれば、管接続部に管材を接続する際に管材に押されてパッキンが環状溝からはみ出るのを抑制することができる。さらに、突出部を変形しやすくすることよって管材の差し込みやすさを向上させることができる。
【0031】
請求項2に記載の発明によれば、請求項1に記載の発明の効果をさらに向上させることができるうえに、管材の差し込みを容易にすることができる。
【0032】
請求項3に記載の発明によれば、請求項1又は請求項2に記載の発明の効果に加え、内筒と管材との間のシール性を向上させることができる。
請求項4に記載の発明によれば、請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の発明の効果に加え、環状溝の加工及び環状溝へのパッキンの装着を容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 実施形態の継手を示す半断面図。
【図2】 継手におけるパッキンを拡大して示す断面図。
【図3】 パッキンを示す半断面図。
【図4】 継手の管接続部に管材を接続した状態を示す半断面図。
【符号の説明】
12…管接続部、13…管材、21…内筒、24…環状溝、25…パッキン、25a…突出部、25b…平坦部、25c…凹条。
Claims (4)
- 管材の端部を差し込んで接続可能な管接続部に内筒を設けて前記管接続部に差し込まれる管材の端部に前記内筒が内嵌されるようにするとともに、前記内筒の外周面に環状溝を形成してその環状溝に前記内筒と前記管材との間をシールするためのパッキンを装着した継手において、
前記パッキンに前記内筒の外周面よりも径方向外側に突出する突出部を形成し、同じくパッキンにあって前記突出部よりも前記管材の差し込み方向上流側となる位置に前記内筒の外周面と略面一に形成された外周面を有する平坦部を設けるとともに、同じくパッキンにあって前記突出部に対し前記管材の差し込み方向上流で近接する位置に、前記内筒の外周面よりも径方向内側に凹む凹条を設けたことを特徴とする継手。 - 前記突出部の軸方向断面の形状が略三角の山形状であることを特徴とする請求項1に記載の継手。
- 前記内筒の外周面に環状溝を二筋形成し、いずれの環状溝にもパッキンを装着したことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の継手。
- 前記管接続部から前記内筒を分離可能に構成したことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の継手。
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