JP4313431B1 - 箱抜用型枠支持装置およびその設置方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】本発明の箱抜用型枠支持装置は、両側のコンクリート型枠に支持される上部吊金具の下方に間隔をおいて下部吊金具を配置し、アンカーボルトの埋設位置に配置される吊支ロッドを上部吊金具および下部吊金具を貫通するようにして鉛直方向に配設し、上部吊金具において吊支ロッドを上下方向調節自在に支持し、下部吊金具の下面から下方に向けて箱抜用型枠を吊支ロッドを囲むようにして配置し、箱抜用型枠を吊支ロッドに固定することによりアンカーボルトの埋設位置に保持することを特徴としている。
【選択図】 図4
Description
このコンクリート打設工事において、予め縦穴を形成するためにボイド等を仮設してからコンクリートを打設し、コンクリート固化後にボイド等を抜き取り、形成された縦穴にアンカーボルトを立てて隙間にはモルタルやアスファルト等を注入して固定させるという一連の工事のボイド等を抜き取るまでを箱抜き工事と称し、仮設されるボイド等を箱抜用型枠と称しているのである。
さらに、従来のものでは、コンクリート打設後に、養生期間を置き、箱抜用型枠を撤去、処分しなければならないという問題もあった。
また、箱抜用型枠を再利用可能にするため、棒状の軸材と、該軸材に取り付けられたベースと、該ベースの周囲に、前記軸材を包囲するように巻き付けられる、弾性を有する薄板とから形成されてなる箱抜用型枠が提案されている(たとえば、特許文献2参照。以下、「従来技術2」という。)。
従来技術2においては、箱抜用型枠の再利用は可能になるものの、箱抜用型枠の水平方向(X−Y方向)および高さ方向(Z方向)の設置位置調節に関しては全く考慮されていないため、箱抜用型枠を所定の位置にセットすることができないという問題があった。
一方、高速道路等の橋脚の上面は水平にあるいは傾斜を有して形成されるが、いずれの場合においても、アンカーボルトの設置面は厳密に水平に形成する必要があるため、橋脚の上面とアンカーボルトの設置面との間には段差が形成されることから、この段差形成のための型枠を設置する必要もあった。
また、本発明は、箱抜用型枠の設置に併せて段差用型枠の設置も簡単に行えるようにすることを目的とする。
また、本発明の箱抜用型枠支持装置は、第2に、第1の特徴において、上部吊金具は、X方向に間隔を隔てて平行に配置された一対の梁状部材からなり、それぞれの梁状部材は、断面箱形の形鋼を吊支ロッドの直径より僅かに大きな間隙を有するように平行に配置されて一体に形成されていることを特徴としている。
また、本発明の箱抜用型枠支持装置は、第4に、第3の特徴において、Y方向位置決め用定規およびX方向位置決め用定規は、それぞれ、断面箱形の形鋼を吊支ロッドの直径より僅かに大きな間隙を有するように平行に配置されて一体に形成されてなり、Y方向位置決め用定規およびX方向位置決め用定規には相対する位置決め用定規の間隙に沿ってスライド可能なガイド部材を設けることを特徴としている。
また、本発明の箱抜用型枠支持装置は、第6に、第5の特徴において、下部吊金具の周囲に所定の間隔を隔てて段差用型枠を配置し、段差用型枠を下部吊金具のコーナー金物で支持するようにしたことを特徴としている。
また、本発明の箱抜用型枠支持装置は、第7に、第6の特徴において、下部吊金具のコーナー金物から外方に向けて段差用型枠固定金具を延設し、段差用型枠固定金具のコーナー金物における支持位置を調節することにより段差用型枠の配置を変更自在とすることを特徴としている。
また、本発明の箱抜用型枠支持装置は、第9に、第8の特徴において、箱抜用型枠を形成する鋼管の長さを、長さ調節用鋼管を積み重ねることにより調節自在とすることを特徴としている。
(1)箱抜用型枠を溶接作業を行うことなく設置することができ、雨天における作業を可能にするとともに、溶接火花発生によるコンクリート型枠の損傷を防止できる。
(2)接地面の状況にかかわらず、箱抜用型枠のX−Y−Z方向の位置調節を正確に行うことができる。また、設置された箱抜用型枠はコンクリート打設時に傾斜したり、移動したりすることなく、堅固に固定される。
(3)アンカーボルト埋設位置である現場における作業を簡素化でき、作業の安全、効率化に大きく貢献できる。このため、施工時間の短縮を図ることができる。
(4)アンカーボルト埋設位置における段差形成用の段差用型枠の設置も簡単に行うことができる。
(5)アンカーボルト埋設位置に対応して箱抜用型枠および段差用型枠の設置位置を自在に調節できる。このため、同じ箱抜用型枠支持装置を広範な現場に対応して使用することができる。
(6)箱抜用型枠の再利用を可能としているため、必要とされる箱抜用型枠の個数が減少でき、さらに、解体後の廃材の処理がなくなることから、費用の低減を図ることができる。
説明の都合上、以下においては、部材の配置関係をX−Y−Zの直交座標系を用いて説明するが、平面位置関係については、図1(a)に示すように左右方向をX方向、上下方向をY方向とする。
この例の場合、橋脚1の上面2には、X方向に2個所、それぞれ4本のアンカーボルト3が埋設されている。コンクリートが打設される前の状態では、橋脚1の外形に沿ってコンクリート型枠が設置され、また、その内側には鉄筋が縦・横・高さ方向に配筋され、これら鉄筋の間にアンカーボルト埋設用の縦穴を形成すべく箱抜用型枠が設置されるものである。
橋脚1の外形に沿って設置されるコンクリート型枠には、アンカーボルト3埋設用の縦穴の位置関係が表示されているので、縦穴を形成するための箱抜用型枠の設置は、コンクリート型枠に表示されたこの位置関係を基準にして行われる。
架台7は、直方体状に形成されているもので、4隅に配置されたレベル調整ジャッキ8の2台を結ぶ下部横梁9、それぞれの横梁9を連結するように横梁9上に該横梁9と直交して配置された縦梁10、それぞれの横梁9から上方に向けて立設された2本の柱11、11および柱11、11を上端において連結する上部横梁12から構成されている。
後記する箱抜用型枠支持装置の上部吊金具15が、上部横梁12、12上に載置されて箱抜用型枠支持装置の仮組が地上において行われる。
図5は、本発明の箱抜用型枠支持装置がコンクリート型枠に固定され、設置された状態を示す平面図である。本例においては、箱抜用型枠支持装置として、4本のアンカーボルトを埋設するように4つの箱抜用型枠を支持する装置について説明するが、これに限らず、箱抜用型枠の数量については適宜設定可能であることはいうまでもない。
図4および5において、両側のコンクリート型枠14、14は、図1(a)のY方向に間隔を有して両側に配設される型枠である。
この例では、箱抜用型枠支持装置は、両側のコンクリート型枠14、14に固定されるようにY方向に配置されるものであり、4本のアンカーボルト埋設用の縦穴が同時に形成できるように4個の箱抜用型枠を支持している。この場合、高さ方向の基準は、一番低い位置に形成されるアンカーボルト位置を基準として箱抜用型枠が位置決めされる。
本例においては、X方向位置決め用定規22は上部吊金具15の一対の梁状部材16、16の上面に載置されるように配置され、Y方向位置決め用定規23はX方向位置決め用定規22の下面に接するように配置されている。
図6(a)(b)は、それぞれ、図5のC−C矢視図、D−D矢視図であり、X方向位置決め用定規22およびY方向位置決め用定規23には相対する位置決め用定規の間隙δに沿ってスライド可能なガイド部材27を設けて、相対移動がスムーズにできるようにされている。たとえば、図4に示すように、個所24−2においては、Y方向位置決め用定規23の上面からX方向位置決め用定規22の間隙δに嵌合するガイド部材27が突出して設けられている。また、図6(b)に示すように、個所24−3においては、X方向位置決め用定規22の下面からY方向位置決め用定規23の間隙δに嵌合するガイド部材27が突出して設けられている。さらに、ボルト・ナット25において、ボルト25−1はY方向位置決め用定規23の下方から上方に向けてX方向位置決め用定規22の上部に突出するようにセットされ、ワッシャ25−3を介してナット25−2を締付け固定するようになっている。図6に示すように、ボルト25−1にも間隙δに嵌合するガイド部材27が突出して設けられている。
下部吊金具30は、矩形を形成するように四隅に配置されるコーナー金物31とこれらのコーナー金物31を連結する連結部材32とから形成され、それぞれのコーナー金物31は、断面箱形の形鋼を直角に交差させて結合した十字状をしており、その交点には吊支ロッド35を貫通させるための貫通孔33を形成し、隣接するコーナー金物31、31に連結部材32を入れ子式に嵌合させることによりコーナー金物31の位置が調整可能に形成されている。
本例において、十字状をしたコーナー金物31は、図7に示すように、貫通孔33を基点として連結部材32を嵌合させる嵌合部31−1が長く、反対側の外方向に向かう外方部31−2は短く形成され、連結部材32を嵌合させる嵌合部31−1には固定ボルト34が設けられている。
段差用型枠36のコーナー部の内側には取付金具37が固定され、段差用型枠36の補強および下部吊金具30のコーナー金物31による支持の便宜を図っている。
段差用型枠36は、コーナー金物31からほぼ水平に外方へ延びるように設けられた段差用型枠固定棒38および段差用型枠補助固定棒40により固定されるようになっている。このため、コーナー金物31の外方部31−2上面の段差用型枠36の交差部に向かう位置には、コーナー金物31と段差用型枠36の取付金具37とをコーナー部において連結し、段差用型枠36を支持するところの段差用型枠固定棒38を固定する固定金具39が溶接されている。また、コーナー金物31の外方部31−2の側面には、段差用型枠補助固定棒40を収容するポケット41が形成されている。また、ポケット41には段差用型枠補助固定棒40を所定の位置で固定する固定ボルト42が設けられている。なお、段差用型枠補助固定棒40は、固定金具39の両側に位置して段差用型枠36の取付金具37に直交するように2個所設けられる。
また、取付金具37の上面には、段差用型枠固定棒38の一端を収容し、スライド可能に支持する収容金物47が固定されており、段差用型枠固定棒38を所定位置で固定する固定ボルト48が設けられている。
段差用型枠36の位置を調節する場合、固定ボルト42および固定ボルト48を緩めるとともに、スライド金具46をポケット45内でスライドさせながら段差用型枠36を所定位置にセットし、固定ボルト42および固定ボルト48を締め付けて段差用型枠固定棒38および段差用型枠補助固定棒40を固定すればよい。
箱抜用型枠50は、アンカーボルトを埋設する縦穴の深さに応じてその長さを調節できるように、長さ調節用鋼管50’を積み重ねることができるようになされている。
このような保持機構により箱抜用型枠50が保持されているため、コンクリートが打設された場合でも、箱抜用型枠50の傾き、横移動、あるいは、縦移動を防止することができる。
まず、箱抜用型枠支持装置のうち、吊支ロッド35および箱抜用型枠50を残してその他の部材を撤去する。その後、吊支ロッド35に挿通する挿通孔58を形成した断面箱形の形鋼等からなる横梁59を吊支ロッド35に挿通させ、ウイングナット57を横梁59の上から吊支ロッド35に螺合させ、打設コンクリートと横梁59との間に2台のジャッキ60、60を配設する。ジャッキ60にて横梁59を上方に持ち上げると、吊支ロッド35を介して箱抜用型枠50が上方に移動し、打設コンクリートから抜け出る。この際、箱抜用型枠50がテーパを有すること、および、箱抜用型枠50底部に剥離板56が設けられていることから、箱抜用型枠50は容易に打設コンクリートから抜き取ることができる。
抜き取られた箱抜用型枠50は、損傷がないため、何度でも再利用可能である。
2 上面
3 アンカーボルト
4 水平面
5 縦穴
6 段差
7 架台
8 レベル調整ジャッキ
9 下部横梁
10 縦梁
11 柱
12 上部横梁
14 コンクリート型枠
15 上部吊金具
16 梁状部材16
17 断面箱形の形鋼
18 吊りワイヤー取付金具
19 挟持金具
20 ねじ棒
21 ワッシャー付きナット
22 X方向位置決め用定規
23 Y方向位置決め用定規
24−1基準個所
25 ボルト・ナット
26 断面箱形の形鋼
27 ガイド部材
30 下部吊金具
31 コーナー金物
32 連結部材
33 貫通孔
34 固定ボルト
35 吊支ロッド
36 段差用型枠
37 取付金具
38 段差用型枠固定棒
39 固定金具
40 段差用型枠補助固定棒
41 ポケット
42 固定ボルト
43 ビス止め用木材
44 カバー
45 ポケット
46 スライド金具
47 収容金物
48 固定ボルト
49 ワッシャー付きウイングナット
50 箱抜用型枠
51 吊支ロッド挿通用の孔
52 固定板
53 底板
54 袋ナット
55 補強板
56 剥離板
57 ウイングナット
58 挿通孔
59 横梁
60 ジャッキ
Claims (9)
- 両側のコンクリート型枠に支持される上部吊金具の下方に間隔をおいて下部吊金具を配置し、アンカーボルトの埋設位置に配置される吊支ロッドを上部吊金具および下部吊金具を貫通するようにして鉛直方向に配設し、上部吊金具において吊支ロッドを上下方向調節自在に支持し、下部吊金具の下面から下方に向けて箱抜用型枠を吊支ロッドを囲むようにして配置し、箱抜用型枠を吊支ロッドに固定することによりアンカーボルトの埋設位置に保持する箱抜用型枠支持装置において、上部吊金具は、X方向に間隔を隔てて平行に配置された一対の梁状部材からなり、それぞれの梁状部材は、断面箱形の形鋼を吊支ロッドの直径より僅かに大きな間隙を有するように平行に配置されて一体に形成されていることを特徴とする箱抜用型枠支持装置。
- 上部吊金具の一対の梁状部材に直交して吊支ロッドの配置される位置に一対のY方向位置決め用定規を配置し、かつ、上部吊金具の一対の梁状部材に沿うように一対のX方向位置決め用定規を配置し、Y方向位置決め用定規とX方向位置決め用定規との交差する4個所のうち、基準となる1個所を固定し、他の3個所をボルト・ナットで調整自在に固定してなることを特徴とする請求項1記載の箱抜用型枠支持装置。
- Y方向位置決め用定規およびX方向位置決め用定規は、それぞれ、断面箱形の形鋼を吊支ロッドの直径より僅かに大きな間隙を有するように平行に配置されて一体に形成されてなり、Y方向位置決め用定規およびX方向位置決め用定規には相対する位置決め用定規の間隙に沿ってスライド可能なガイド部材を設けることを特徴とする請求項2記載の箱抜用型枠支持装置。
- 下部吊金具は、矩形を形成するように四隅に配置されるコーナー金物とこれらのコーナー金物を連結する連結部材とから形成され、それぞれのコーナー金物は、断面箱形の形鋼を直角に交差させて結合した十字状をしており、その交点には吊支ロッドを貫通させるための貫通孔を形成し、隣接するコーナー金物に連結部材を入れ子式に嵌合させることによりコーナー金物の位置が調整可能に形成されていることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載の箱抜用型枠支持装置。
- 下部吊金具の周囲に所定の間隔を隔てて段差用型枠を配置し、段差用型枠を下部吊金具のコーナー金物で支持するようにしたことを特徴とする請求項4記載の箱抜用型枠支持装置。
- 下部吊金具のコーナー金物から外方に向けて段差用型枠固定金具を延設し、段差用型枠固定金具のコーナー金物における支持位置を調節することにより段差用型枠の配置を変更自在とすることを特徴とする請求項5記載の箱抜用型枠支持装置。
- 箱抜用型枠をテーパを有する鋼管により形成し、該鋼管の上端には吊支ロッド挿通用の孔を中心に設けた固定板を装着し、鋼管の下端には底板を設け、該底板の上面の中心部に吊支ロッドの下端が螺合する袋ナットを固着し、底板の下面に補強板を固着してなることを特徴とする請求項1ないし6のいずれか1項に記載の箱抜用型枠支持装置。
- 箱抜用型枠を形成する鋼管の長さを、長さ調節用鋼管を積み重ねることにより調節自在とすることを特徴とする請求項7に記載の箱抜用型枠支持装置。
- 請求項1ないし8に記載の箱抜用型枠の支持装置を、吊支ロッドのX−Y方向の位置が設計寸法とおりに位置するように上部吊金具および下部吊金具を調整しながら地上において仮組し、仮組された箱抜用型枠支持装置を吊上げ装置で吊上げてコンクリート型枠の決められた位置に装着し、その後、上部吊金具に対する吊支ロッドの上下方向の支持位置を調節することにより下部吊金具を介して箱抜用型枠を水平、且つ、所定の高さ位置に配置するようにしたことを特徴とする箱抜用型枠支持装置の設置方法。
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