JP4311993B6 - ガスケット - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、互いに密着される部材の間の密封構造に関するものであり、一方の部材に刻設されている溝部に装着され、この一方の部材と他方の部材とが締結された際に、両者の間の密封をなす長手方向に無端のガスケットに関する。
【0002】
具体的には、本発明は、エンジンのシリンダヘッドに対向配置されるインテークマニホールドのシリンダヘッドに対向する面に刻設されている溝部に装着され、インテークマニホールドとシリンダヘッドとが締結された際に、両者の間の密封をなす長手方向に無端のガスケットや、ロッカーカバーガスケット、フロントカバーガスケット、オイルパンガスケット、タイミングチェーンカバーガスケットなどと、これらによる密封構造、例えば、インテークマニホールドとシリンダヘッドとの間の密封構造などに関する。
【0003】
【従来の技術】
一方の部材に刻設されている溝部に装着され、一方の部材と他方の部材とが締結された際に、両者の間の密封をなす長手方向に無端のガスケットとして、自動車等に搭載されるエンジンのインテークマニホールドとヘッド部材とを密封するガスケットが知られている。
【0004】
従来、自動車等に搭載されるエンジンのインテークマニホールドとヘッド部材とを密封するガスケットとしては、合成ゴム等の弾性体で形成された断面矩形あるいは断面楕円形のラバーガスケットが用いられている。
【0005】
このインテークマニホールド用のラバーガスケットは、組付け作業工程において、インテークマニホールドのシリンダヘッドに対向する面に刻設されている溝部に挿着される。このとき、ラバーガスケットの多くの部位は溝部内に挿入され、先端側が溝部から露出する。この溝部から露出している先端側の面は以降の締付け工程においてシリンダヘッドに当接させられる。締付け工程においてインテークマニホールドとシリンダヘッドとが締結されると、ラバーガスケットは圧縮弾性変形をもってインテークマニホールドの溝部内壁とシリンダヘッドとに強く密着し、これによって求められる密封作用を発揮する。なお、締付け工程におけるインテークマニホールドとシリンダヘッドとの締結は、一般に、前記溝部の近傍に配置されているボルト等の締付け具によって行われる。
【0006】
このような従来のラバーガスケットにおいては、インテークマニホールドの溝部への組付け作業工程において溝部への挿着が不完全になってしまったり、締付け工程においてラバーガスケットが倒れ込んでしまう等の問題があった。
【0007】
すなわち、図面を参照して説明すると、図11に示すように、昨今の軽量化要求に対応して従来のインテークマニホールド用のガスケット、例えば、合成ゴム等の弾性体で形成されたラバーガスケット1は細身で断面縦長楕円形のOリング形状に形成されている。このようなラバーガスケット1はその細身形状から形状維持性が弱い。そこで、インテークマニホールド2の溝部21への組付け作業工程において、すばやく、確実に挿着するのが難しい。ラバーガスケット1を溝部21内へ挿着した後、溝部の近傍に配置されているボルト等の締付け具を用い、締付けトルク4.9MPa〜9.8MPa程度でインテークマニホールド2とシリンダヘッド3とを矢示101、102方向に締結する締付け工程が行われる。この締付け工程では、ラバーガスケット1が断面縦長楕円形のOリング形状であるがゆえに、溝部21の外方部へ外れ易く、斜め方向に倒れ込んで、締め込みされてしまうおそれがあった。
【0008】
また、自動車のエンジンの組立ラインでは、通常、インテークマニホールド2の溝部21ヘラバーガスケット1を取付けた後、そのインテークマニホールド2の取付け面を反転せしめ、図11図示の状態にしてから、インテークマニホールド2とシリンダヘッド3との間の締付け工程が行われる。
【0009】
溝部21の両内壁面に対向するラバーガスケット1の両側面に設けられている弾性凸部22a、22bなどからなる脱落防止手段が不充分な場合には、前記の反転の際に、溝部21からラバーガスケット1が脱落したり、挿着位置がズレてシール不良が生じる、あるいはもっと重大な破損に至ることもあった。
【0010】
これに対応するために、前記の脱落防止手段を大きく設けるとラバーガスケット1の溝部21への挿着が難しくなる。
【0011】
そこで、簡便に組付け作業工程、締付け工程を行うことのできる作業性のよいガスケットであって、確実な装着をなさしめるものが求められていた。
【0012】
また、昨今の軽量化要求に対応した細身で断面縦長楕円形のOリング形状のインテークマニホールド用ガスケットは、強い締付けを受けると倒れが発生し易くなるので、圧縮率を低めに設定してこれに対応しようとしている。しかし、圧縮率を低めに設定する低締付けを行うと、シール性に少なからぬ悪影響を及ぼすことになる。
【0013】
【特許文献1】
特開平10−9395号
【0014】
【特許文献2】
実開昭55−50362号
【0015】
【特許文献3】
実開昭58−124639号
【0016】
【特許文献4】
実開平6−65662号
【0017】
【特許文献5】
実開平5−52256号
【0018】
【発明が解決しようとする課題】
自動車等に搭載されるエンジンのインテークマニホールド用のガスケットにおける前述した問題は、一方の部材に刻設されている溝部に装着され、一方の部材と他方の部材とが締結された際に、両者の間の密封をなす長手方向に無端のガスケット、例えば、ロッカーカバーガスケット、フロントカバーガスケット、オイルパンガスケット、タイミングチェーンカバーガスケットなどに共通する問題であった。
【0019】
本発明は、一方の部材と他方の部材とが締結された際に、両者の間の密封をなす長手方向に無端のガスケットの上述した問題点に鑑み、簡便に組付け作業工程、締付け工程を行うことのできる作業性のよいガスケットであって、良好なシール性能を発揮できるガスケットを提供することを目的としている。
【0020】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決するため、本発明が提案するガスケットは、これが嵌合される溝部の断面形状に対応する断面形状を有すると共に、横断面の高さ(H)と幅(W)との比(H/W)が特定の範囲にあり、両側面から突出する突部が形成されていてその幅方向の大きさ(R2)、(R1)が前記溝部の幅(X)との間に所定の大きさの相違(ΔX)、(Δx)を有する大突起部と、小突起部とを長手方向にそれぞれ所定の間隔(P)、(p)をあけて複数個ずつ備えており、ガスケットが嵌合される溝部を備えている一方の部材と、他方の部材とが締結された際の溝部に対する充填率が80〜100%になるものである。
【0021】
この発明のガスケットは、一方の部材に刻設されている溝部に装着され、一方の部材と他方の部材とが締結された際に、両者の間の密封をなす長手方向に無端のガスケットである。例えば、自動車に搭載されるエンジンのシリンダヘッドに対向配置されるインテークマニホールドのシリンダヘッドに対向する面に刻設されている溝部に装着され、インテークマニホールドとシリンダヘッドとが締結された際に、両者の間の密封をなすものであるとして使用される。また、ロッカーカバーガスケット、フロントカバーガスケット、オイルパンガスケット、タイミングチェーンカバーガスケットとしても使用される。
【0022】
【発明の実施の形態】
以下、本発明のガスケットを添付図面を参照し、本発明のガスケットが自動車等に搭載されるエンジンのインテークマニホールド用のガスケットとして採用された場合について詳述する。
【0023】
本発明のガスケット4は、シリンダヘッド3に対向配置されるインテークマニホールド2のシリンダヘッド3に対向する面に刻設されている溝部21に装着され、インテークマニホールド2とシリンダヘッド3とが締結された際に、両者の間の密封をなす長手方向に無端のガスケットである。
【0024】
本発明のガスケット4は、溝部21の断面形状に対応する断面形状を有している。
【0025】
そして、本発明のガスケット4は、インテークマニホールド2に刻設されている溝部21の深さ方向の断面の高さ(H)と、溝部21の幅方向の断面の幅(W)との比(H/W)が0.8乃至5.0となっている。
【0026】
本発明のガスケット4は、図3図示のように、インテークマニホールド2に刻設されている溝部21の両内壁面に対向する両側面から溝部21の両内壁面に向かう突部42a、42b等が形成されている大突起部42等をその長手方向に複数個備えている。
【0027】
また、本発明のガスケット4は、図3図示のように、インテークマニホールド2に刻設されている溝部21の両内壁面に対向する両側面から溝部21の両内壁面に向かう突部41a、41b等が形成されている小突起部41等をその長手方向に複数個備えている。
【0028】
ここで、大突起部42等は、ガスケット4の長手方向に隣接する大突起部同士の間に30〜100mmの間隔(P)をあけて配設されている。そして、大突起部42等における溝部21の幅方向の大きさ(R2)は、溝部21の幅方向の大きさ(X)より0.01mm〜0.9mm大きくなっている。大突起部42の幅方向の大きさ(R2)は、図3のB−B断面を表す図2に示されている。
【0029】
また、小突起部41等は、ガスケット4の長手方向に隣接する小突起部同士の間及び隣接する前記大突起部との間にそれぞれ5〜15mmの間隔(p)をあけて配設されている。そして、小突起部41等における溝部21の幅方向の大きさ(R1)は、溝部21の幅方向の大きさ(X)より0.01mm〜0.6mm小さくなっている。小突起部41等の幅方向の大きさ(R1)は、図3のA−A断面を表す図1に示されている。
【0030】
以上の構成、構造に加えて、更に、本発明のガスケット4は、インテークマニホールド2とシリンダヘッド3とが締結された際の溝部21に対する充填率が80〜100%になるものである。
【0031】
本発明のガスケットは、長手方向に無端の環状であって、インテークマニホールド2の溝部21に装着された状態をシリンダヘッド3側から見た状態を表している図3、図4には、この環状のガスケット4の一部が表されている。
【0032】
本発明のガスケットは、自動車のエンジン等の軽量化の要求に対応可能な軽量材料を用いて形成することができる。この軽量材料としては、この技術分野で公知の合成樹脂材料、軽量金属材料を用いることができる。
【0033】
合成樹脂材料としては合成ゴム材を例示することができる。合成ゴム材を用いて公知の方法により製造した本発明のガスケットは、ラバーガスケットとなる。なお、合成ゴム材としては、ブチルゴム、スチレン−ブタジェン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−アクリル酸メチル共重合体、エチレン−アクリル酸エチル共重合体、ブタジエンゴム、ニトリルゴム、水素添加ニトリルゴム、アクリルゴム、シリコーンゴム、フッ素ゴム、フロロシリコーンゴム、エチレンプロピレンゴム等を採用できる。
【0034】
また、軽量金属材料としては、アルミニュームやマグネシューム等を採用できる。
【0035】
本発明のガスケットは、前述した合成ゴム材や軽量金属材料を用いて、従来からこの技術分野で行われている製造方法を用いて製造できる。
【0036】
本発明のガスケットは、前述した特徴的な構造の大突起部42等を備えていることにより、組付け作業工程、締付け工程において、ガスケットが溝部21から脱落したり、挿着位置がずれてシール不良が生じる危険性を少なくし、簡便に組付け作業工程、締付け工程を行うことができる。
【0037】
また、前述した特徴的な構造の小突起部41等を備えていることにより、締付け工程の際に、ガスケットの横流れや、倒れ込みが発生することを効果的に防止できる。
【0038】
更に、この小突起部と大突起部とが備えられている構成、構造に加えて、前述した横断面形状、図1、図2に図示されているその高さ(H)と幅(W)との間の特定の比(H/W)、前述した充填率を備えていることにより、良好なシール性能を発揮できる。
【0039】
なお、前記において、溝部の断面形状に対応する断面形状を有しているとは、組付け作業工程において、ガスケット4を溝部21に挿着した際に、図1、図2図示のように、ガスケット4の外壁面(図1、図2では、両側面と上側面)が溝部21の内壁面に沿って配置されて納まりがよくなるような対応関係のことをいう。例えば、インテークマニホールド2のシリンダヘッド3に対向する面に刻設されている溝部21の断面形状が、図1、図2図示のように略矩形である場合には、これに対応して、ガスケット4の断面形状が、図1、図2図示のように略矩形になっていることをいう。これによって、インテークマニホールド2とシリンダヘッド3とが締結された際に、溝部21の内壁面とガスケット4の外壁面とがまんべんなく接触し、ガスケット4が備えている弾性が十分発揮されるようになる。
【0040】
また、前記において、横断面の高さ(H)と幅(W)との比(H/W)が0.8乃至5.0としたのは、この範囲内であることが、インテークマニホールド2とシリンダヘッド3とが締結された際に、ガスケット4の各面(図1、図2中、上下面、両側面)が、溝部21の底面、両内壁面、シリンダヘッド3にそれぞれまんべんなく接触し、ガスケット4が有している弾性を発揮して高い密封力を得る上で好ましいからである。
【0041】
また、大突起部を前述した大きさ、すなわち、図2〜図4中、ΔX/2+ΔX/2=ΔX=0.01〜0.9mmとなる大きさとしたのは、ガスケット4の溝部21への挿着をスムーズに行い、かつ、組付け作業工程、締付け工程において、ガスケット4が溝部21から脱落したり、挿着位置がずれてシール不良が生じる危険性を少なくする上で好ましいからである。
【0042】
なお、大突起部の大きさを、図2〜図4中、ΔX/2+ΔX/2=ΔX=0.1〜0.3mmとすると前記の効果を発揮させる上でより好ましい。
【0043】
更に、前述した大突起部が設けられているガスケットの長手方向の間隔(P)と小突起部が設けられているガスケットの長手方向の間隔(p)及び、前述した小突起部の大きさ、すなわち、図1、図3、図4中、Δx/2+Δx/2=Δx=0.01〜0.6mmとなる小突起の大きさとすることが望ましいのは以下の理由からである。すなわち、このようにすれば、前述した大突起部の大きさに対応しつつ、締付け工程の際に、ガスケットの横流れや、倒れ込みが発生することを効果的に防止できるからである。更に、インテークマニホールド2とシリンダヘッド3とが締結された際に、前述した横断面形状、前述した高さ(H)と幅(W)との特定の比(H/W)、前述した充填率とあいまって、ガスケット4の各面(図1、図2中、上下面、両側面)が、溝部21の底面、両内壁面、シリンダヘッド3にそれぞれまんべんなく接触し、ガスケット4が有している弾性を発揮して高い密封力を得る上でより好ましいからである。
【0044】
ここで、小突起部の大きさをΔx/2+Δx/2=Δx=0.1〜0.3mmの範囲にすると、前記の効果がよりよく発揮されるので望ましい。
【0045】
なお、前記のような大突起部42等、小突起部41等の大きさとしては、溝部21の幅を(X)、小突起部41等が設けられている位置における溝部21の幅方向のガスケットの断面の幅を(R1)、大突起部42等が設けられている位置における溝部21の幅方向のガスケットの断面の幅を(R2)として以下のような形態を例示できる。
【0046】
【0047】
溝部21の幅(X)の大きさは前記の例示に限定されるものではないが、溝部21の幅(X)の種々の大きさに対して、前記に例示されるような関係を有する大きさの大突起部、小突起部を備えており、なおかつ、断面形状が溝部21の断面形状に対応し、断面の高さ(H)と幅(W)との比(H/W)が0.8乃至5.0で、大突起部、小突起部が設けられている間隔(P)、(p)が前述した範囲を満たし、インテークマニホールドとシリンダヘッドとが締結された際の溝部21に対する充填率が80〜100%であるようにして本発明のガスケットを形成できる。
【0048】
本発明のガスケットにおいて、インテークマニホールド2とシリンダヘッド3とが締結された際の溝部21に対するガスケットの充填率が前述した80〜100%となるようにしたのは、前述した小突起部と大突起部とが備えられている構成、構造、前述した横断面形状、その高さ(H)と幅(W)との特定の比(H/W)に加えて、かかる範囲の充填率にすることによって、インテークマニホールド2とシリンダヘッド3とが締結された際の圧縮率を高め、良好なシール性を得る上で望ましいからである。
【0049】
なお、本明細書に於いて、「充填率」とは、インテークマニホールド2とシリンダヘッド3とが締結された際における、ガスケット4の体積の溝部21の体積に占める割合のことをいう。
【0050】
本願発明者の実験によれば、本発明のガスケットにおいて、充填率を85%にすることが圧縮率を高め、良好なシール性を得る上で最も好ましかった。
【0051】
図6は、ブチルゴムを主材料として本発明のガスケット(ラバーガスケット)を形成し、図3中、符号(p)で表されている間隔、すなわち、ガスケットの長手方向に隣接する小突起部同士の間の間隔及び、隣接する小突起部と大突起部との間の間隔を変えた場合における、圧縮率と倒れが発生する傾向との関係について実験した結果を示すものである。実験に用いたラバーガスケットの横幅(W)=1.6mm、高さと幅との関係:H/W=3.6、小突起部の大きさ:R1=2.8mm、大突起部の大きさ:R2=3.2mmである。この本発明のラバーガスケットを、幅(X)=3.0mm、深さ:4mmの溝部に挿着し、更に、当該溝部を有しているインテークマニホールドと、ヘッド部材とを締結して実験を行った。図6中、○はp=5mm、△はp=15mm、×はp=20mmの場合の実験結果である。また、横軸は圧縮率(%)(右側に向かうにしたがって圧縮率が高くなる)、縦軸は倒れが発生する傾向(上から下に向かうにつれて倒れの発生する傾向が大きくなる)を示している。この実験結果より、(p)が15mmより大きい場合には、より良好なシール性を得るべく圧縮率を強めると倒れの発生する傾向が著しくなるので(p)は15mmを越えないことが望ましい。また、製造の容易さ等を考慮して(p)は5mmを下回らないことが望ましい。
【0052】
本発明のガスケットにおいては、ガスケットの長手方向に隣接する大突起部同士の間の間隔(P)は30〜100mmの範囲が望ましく、ガスケットの長手方向に隣接する小突起部と小突起部との間の間隔(p)、隣接する小突起部と大突起部との間の間隔(p)はいずれも5〜15mmの範囲が望ましい。そこで、第3図図示のように、隣接する大突起部42と大突起部52との間、大突起部52と大突起部62との間にそれぞれ一個の小突起部41、51が配備されている形態にすることもできるし、図4図示のように、隣接する大突起部72と大突起部82との間、大突起部82と大突起部92との間、大突起部92と大突起部102との間に複数個の小突起部61、71、81、91、101、111が配備されている形態にすることもできる。
【0053】
図3図示のような形態でも、図4図示のような形態でも、本発明のガスケットに要求される形状、構造上の特徴を備えている限り、発揮される作用、効果に相違はない。ただし、締込み時の圧縮横流れ変形によるガスケットの倒れ込み防止を徹底する上で、隣接する大突起部と大突起部との間には、少なくとも一個の小突起部が配備されている形態にすることが望ましい。
【0054】
なお、図3、図4図示のように、小突起部41、51、61等において、ガスケットの両側壁から対向する溝部21の内壁面に向かう突部41a、41b、51a、51b、61a、61bは、ガスケット4の中心線(C1)に対して対称的に設けられていることが望ましい。また、大突起部42、52、62、72等において、ガスケットの両側壁から対向する溝部21の内壁面に向かう突部42a、42b、52a、52b、62a、62b、72a、72bは、ガスケット4の中心線(C1)に対して対称的に設けられていることが望ましい。挿着工程の容易さ、倒れ込み防止効果をよりよく発揮させるためである。
【0055】
これに加えて、図1〜図4においてΔx、ΔXで表される大きさを規定する小突起部の大きさ、大突起部の大きさは、一個のガスケット(すなわち、同一のガスケット)において、Δx=ΔXとなるようにしておくことが挿着工程の容易さ、倒れ込み防止効果の観点から更に有利である。図1〜図4図示の実施形態は、いずれも、Δx=ΔXとした場合のものである。
【0056】
なお、本発明においては、前記の間隔(P)、(p)は、ガスケットの中心線(C1)の位置で測定して定めている。
【0057】
以上説明した本発明のガスケットにおいて、インテークマニホールド2の溝部21の深さ方向に対応する上側面及び/又は下側面にそれぞれリブが形成されている構造にすることができる。図1、図2は、ガスケット4の上側面及び下側面にそれぞれリブ43、43が形成されている形態を示すものである。
【0058】
この場合、ガスケットの上側面及び/又は下側面において、インテークマニホールド2の溝部21の幅方向の異なる位置にリブが複数個形成されている構造にすることも可能である。図7、図8は、求められる機能に応じて、ガスケット4の上側面及び下側面にそれぞれ複数のリブ143、143、243、243、243が形成されているようにした形態を示すものである。
【0059】
このようなリブを設けておくと、シール性能を高めることができるので有利である。また、インテークマニホールド2とシリンダヘッド3とを締結する際に、溝部21の底面及びシリンダヘッド3の当接面にそれぞれ当接するガスケットの上側面及び下側面の幅方向(図1、図2中、左右方向)への弾性変形を容易にするので有利である。
【0060】
更に、以上説明した本発明のガスケットにおいて、ガスケットの断面形状が略矩形の場合に、その角部が鋭角に形成されている構造にすることができる。例えば、溝部21の断面形状が、図1、図2図示のように略矩形である場合には、これに対応してガスケットの断面形状も図1、図2図示のように略矩形になるが、この際に、その角部44を図9、図10図示のように鋭角に形成するものである。
【0061】
これらの鋭角な角部44は、インテークマニホールド2とシリンダヘッド3とが締結された際に、インテークマニホールド2の溝部21の底面側の角部に局部的に接触するエッジとして機能する。この局部的な接触部で生じる局部面圧により溝部21の底面側の角部での面圧が高まり、より良好なシール性能を確保することができる。すなわち、角部44に形成されている鋭角のエッジがインテークマニホールド2とシリンダヘッド3の締込みによって、溝部21の内角部に局部的に接触する。そこで、この部分に局部面圧が生まれ、該角部の面圧が高められるからである。図10では角部に面取りを加えているがその角部44は鋭角なエッジに形成されている。
【0062】
本発明のガスケットは、図1〜図4に示されているように、インテークマニホールド2に刻設されている溝部21の両内壁面に対向する両側面から溝部21の両内壁面に向かう突部が形成されている大突起部42等と、小突起部41等とを、ガスケットの長手方向に、それぞれ所定の間隔(P)、(p)をあけて複数個備えている。そして、溝部21の幅方向における大突起部42等と、小突起部41等の大きさ(R2)、(R1)は、溝部21の幅方向の大きさ(X)に対して所定の大きさに保たれている。これによって、ガスケットの装着時における脱落防止と、締込み時の圧縮横流れ変形によるガスケットの倒れ込み防止とを徹底している。
【0063】
すなわち、大突起部42等の溝部21の幅方向における大きさ(R2)は、溝部21の幅(X)より△X=0.01mm〜0.9mm大きいが、小突起部41等の溝部21の幅方向における大きさ(R1)は、溝部21の幅(X)より△x=0.01mm〜0.6mm小さい。そして、大突起部42等は30〜100mmの間隔で備えられており、小突起部41等は5〜15mmの間隔で備えられている。更に、ガスケット4の断面形状は溝部21の断面形状に対応する形状となっている。そこで、ガスケット4を溝部21へ挿着するには、大突起部42等が設けられている部分を溝部21内に押し込み、これを溝部21の両内壁に圧接させながら挿入すれば、この部分につられて、小突起部41等が設けられている部分を含む他部分も極めて容易に溝部21内に嵌め込むことができる。そして、図1、図2の如くの納まりを見せるのである。
【0064】
小突起部41等が設けられている部分は溝部21の壁面に沿うよう装着されているので、図1、図2図示の状態から、不図示のボルト等の締め付け具によって、インテークマニホールド2とシリンダヘッド3とを、矢印101、102で示される方向に締結すると、ガスケット4は圧縮され、溝部21とシリンダヘッド3とに挟まれ、弾性変形をして溝部21の内面とシリンダヘッド3の接触面に広く接する。
【0065】
このとき、小突起部41等における突部41a、41b等は、ガスケット4の本体の変形により溝部21の両内壁面との間の隙間(△x)が次第に小さくなり、溝部21の内壁面と接触する。そこで、大突起部42等の間のガスケットの横流れ、倒れ込みを効果的に防止できる。
【0066】
一方、小突起部41等と、大突起部42等とにおける突部41a、41b、42a、42b等は、ガスケットの本体から側面方向に出た突起形状であるので、ガスケット4の本体の部分の弾性変形にあまり大きくは影響されず、溝部21内に最初に挿入された時点の形状を出発点として溝部21へ装着される。そして、溝部21の断面形状に対応している断面形状、断面の高さ(H)と幅(W)との特定の比(H/W)、特定の充填率という特徴的な構造とあいまって良好なシール性を発揮できるのである。
【0067】
以上、本発明のガスケットが自動車等に搭載されるエンジンのインテークマニホールド用のガスケットとして採用された場合につい説明した。前記の実施形態で説明したことは、本発明のガスケットが一方の部材に刻設されている溝部に装着され、一方の部材と他方の部材とが締結された際に、両者の間の密封をなす長手方向に無端のガスケットとして、例えば、ロッカーカバーガスケット、フロントカバーガスケット、オイルパンガスケット、タイミングチェーンカバーガスケットとして採用される場合にも同様に当てはまるものである。
【0068】
【実施例】
合成ゴム材としてアクリルゴムを用い、これにゴム薬品を添加、混合して未加硫ゴムを準備し、これを型を用いて環状に加硫成型し、図5(a)図示の本発明のラバーガスケット104を製造した。
【0069】
ラバーガスケット104は、その長手方向に大突起部132、142、152、162と、小突起部121、131、141、151、161、171、181、191とを備えている。大突起部132等は、図5(d)に示すように、ラバーガスケット104の両側壁に対称的にそれぞれ突部162a、162bが形成されているものである。小突起部121等も、図5(c)に示すように、ラバーガスケット104の両側壁に対称的にそれぞれ突部121a、121bが形成されているものである。
【0070】
図5(a)中のC−C断面を表す図5(b)において、(W)=1.6mm、(H)=5.7mm、D−D断面を表す図5(c)において、(R1)=2.8mm、E−E断面を表す図5(d)において、(R2)=3.2mmである。
【0071】
ラバーガスケット104の長手方向に隣接する大突起部同士の間の間隔、例えば、大突起部132と142との間隔は、34.5mmである。
【0072】
ラバーガスケット104の長手方向に隣接する大突起部132と小突起部121との間隔、小突起部121と小突起部131との間隔、小突起部131と大突起部142との間隔は、いずれも11.5mmである。
【0073】
このラバーガスケット104を、インテークマニホールドの溝部(深さ4.0mm、溝幅(X)=3.0mmで断面形状は略矩形)に挿着した。
【0074】
ラバーガスケット104の大突起部132〜162が設けられている部分を溝部内に押し込み、これを溝部の両内壁に圧接させながら挿入すると、これらの部分につられて、小突起部121〜191が設けられている部分を含む他の部分も極めて容易に溝部内に嵌め込むことができた。
【0075】
次いで、インテークマニホールドを反転させ、図1図示の状態にして、シリンダヘッドに対向させ、両者を締め付け、インテークマニホールドとシリンダヘッドとが締結され、両者の間が密封される状態を作り出した。
【0076】
この作業工程の際、ラバーガスケット104が溝部から脱落する、挿着位置がずれる等のおそれは生じなかった。
【0077】
締め付け時における圧縮率は28%で、良好なシール性を確保できる高い圧縮率であった。この際の充填率は85%であった。
【0078】
以上、添付図面を参照して本発明を詳述したが、図示の構成及び配置関係については、本発明が理解できる程度に概略的に示したものに過ぎない。また、添付図面及び本明細書の説明に登場する各構成部材の大きさ、材質等については例示にすぎない。したがって、本発明は、添付図面及びここで説明されている実施形態に限定されず、特許請求の範囲の記載から把握される技術的範囲において種々の形態に変更可能である。
【0079】
【発明の効果】
本発明のガスケットにおいては、このガスケットが嵌合される溝部の幅方向における大きさ(R2)、(R1)がそれぞれ異なる大突起部と小突起部とが、ガスケットの長手方向に、それぞれ異なる配置間隔(P)、(p)で複数個ずつ備えられていることに加えて、ガスケットの断面形状及び充填率まで配慮することによって装着性を高め、脱落防止機能を高め、締込み時の倒れ込みを防止できる。さらに、前述した範囲の充填率によって高い圧縮率を設定することが可能となり、シール性の向上に大きな役割を果たすものになっている。
【0080】
本発明のガスケットは、簡便に組付け作業工程、締付け工程を行うことのできる作業性のよいガスケットであって、良好なシール性能を発揮できる。そこで、自動車に搭載されるエンジンのインテークマニホールドとシリンダヘッドとの間の密封構造や、ロッカーカバー、フロントカバー、オイルパン、タイミングチェーンカバーなどにおける密封構造に利用できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明のガスケットの装着例を示す断面図。
【図2】 図1図示のガスケットの装着例の他の位置における断面図。
【図3】 図1図示のガスケットがインテークマニホールドの溝部に装着された状態をシリンダヘッド側から見た一部を省略した平面図。
【図4】 本発明の他のガスケットがインテークマニホールドの溝部に装着された状態をシリンダヘッド側から見た一部を省略した平面図。
【図5】 (a)は、本発明のガスケットの一例の平面図、(b)は、図5(a)のC−C断面図、(c)は、図5(a)のD−D断面図、(d)は、図5(a)のE−E断面図。
【図6】 本発明のガスケットに設けられている小突起の配設間隔を変えた場合における圧縮率と倒れの発生の関係についての実験結果を示す図。
【図7】 本発明の他の実施例を示すものであって、図3のA−A断面に相当する位置の断面図。
【図8】 本発明の更に他の実施例を示すものであって、図3のB−B断面に相当する位置の断面図。
【図9】 本発明の更に他の実施例を示すものであって、図3のA−A断面に相当する位置の断面図。
【図10】 本発明の更に他の実施例を示すものであって、図3のB−B断面に相当する位置の断面図。
【図11】 従来のインテークマニホールド用のガスケットの装着例を示す断面図。
【符号の説明】
1 従来のインテークマニホールド用ガスケット
4 ガスケット
2 インテークマニホールド
3 シリンダヘッド
21 溝部
41、51、61、71、81、91、101、111 小突起部
41a、41b、51a、51b、61a、61b 小突起部の突部
42、52、62、72、82、92、102 大突起部
42a、42b、52a、52b、62a、62b、72a、72b 大突起部の突部
43、143、243 リブ
44 角部
H 高さ寸法
W 幅寸法
X 溝部の幅
121、131、141、151、161、171、181、191 小突起部
121a、121b 小突起部の突部
132、142、152、162 大突起部
162a、162b 大突起部の突部
104 ラバーガスケット
【発明の属する技術分野】
本発明は、互いに密着される部材の間の密封構造に関するものであり、一方の部材に刻設されている溝部に装着され、この一方の部材と他方の部材とが締結された際に、両者の間の密封をなす長手方向に無端のガスケットに関する。
【0002】
具体的には、本発明は、エンジンのシリンダヘッドに対向配置されるインテークマニホールドのシリンダヘッドに対向する面に刻設されている溝部に装着され、インテークマニホールドとシリンダヘッドとが締結された際に、両者の間の密封をなす長手方向に無端のガスケットや、ロッカーカバーガスケット、フロントカバーガスケット、オイルパンガスケット、タイミングチェーンカバーガスケットなどと、これらによる密封構造、例えば、インテークマニホールドとシリンダヘッドとの間の密封構造などに関する。
【0003】
【従来の技術】
一方の部材に刻設されている溝部に装着され、一方の部材と他方の部材とが締結された際に、両者の間の密封をなす長手方向に無端のガスケットとして、自動車等に搭載されるエンジンのインテークマニホールドとヘッド部材とを密封するガスケットが知られている。
【0004】
従来、自動車等に搭載されるエンジンのインテークマニホールドとヘッド部材とを密封するガスケットとしては、合成ゴム等の弾性体で形成された断面矩形あるいは断面楕円形のラバーガスケットが用いられている。
【0005】
このインテークマニホールド用のラバーガスケットは、組付け作業工程において、インテークマニホールドのシリンダヘッドに対向する面に刻設されている溝部に挿着される。このとき、ラバーガスケットの多くの部位は溝部内に挿入され、先端側が溝部から露出する。この溝部から露出している先端側の面は以降の締付け工程においてシリンダヘッドに当接させられる。締付け工程においてインテークマニホールドとシリンダヘッドとが締結されると、ラバーガスケットは圧縮弾性変形をもってインテークマニホールドの溝部内壁とシリンダヘッドとに強く密着し、これによって求められる密封作用を発揮する。なお、締付け工程におけるインテークマニホールドとシリンダヘッドとの締結は、一般に、前記溝部の近傍に配置されているボルト等の締付け具によって行われる。
【0006】
このような従来のラバーガスケットにおいては、インテークマニホールドの溝部への組付け作業工程において溝部への挿着が不完全になってしまったり、締付け工程においてラバーガスケットが倒れ込んでしまう等の問題があった。
【0007】
すなわち、図面を参照して説明すると、図11に示すように、昨今の軽量化要求に対応して従来のインテークマニホールド用のガスケット、例えば、合成ゴム等の弾性体で形成されたラバーガスケット1は細身で断面縦長楕円形のOリング形状に形成されている。このようなラバーガスケット1はその細身形状から形状維持性が弱い。そこで、インテークマニホールド2の溝部21への組付け作業工程において、すばやく、確実に挿着するのが難しい。ラバーガスケット1を溝部21内へ挿着した後、溝部の近傍に配置されているボルト等の締付け具を用い、締付けトルク4.9MPa〜9.8MPa程度でインテークマニホールド2とシリンダヘッド3とを矢示101、102方向に締結する締付け工程が行われる。この締付け工程では、ラバーガスケット1が断面縦長楕円形のOリング形状であるがゆえに、溝部21の外方部へ外れ易く、斜め方向に倒れ込んで、締め込みされてしまうおそれがあった。
【0008】
また、自動車のエンジンの組立ラインでは、通常、インテークマニホールド2の溝部21ヘラバーガスケット1を取付けた後、そのインテークマニホールド2の取付け面を反転せしめ、図11図示の状態にしてから、インテークマニホールド2とシリンダヘッド3との間の締付け工程が行われる。
【0009】
溝部21の両内壁面に対向するラバーガスケット1の両側面に設けられている弾性凸部22a、22bなどからなる脱落防止手段が不充分な場合には、前記の反転の際に、溝部21からラバーガスケット1が脱落したり、挿着位置がズレてシール不良が生じる、あるいはもっと重大な破損に至ることもあった。
【0010】
これに対応するために、前記の脱落防止手段を大きく設けるとラバーガスケット1の溝部21への挿着が難しくなる。
【0011】
そこで、簡便に組付け作業工程、締付け工程を行うことのできる作業性のよいガスケットであって、確実な装着をなさしめるものが求められていた。
【0012】
また、昨今の軽量化要求に対応した細身で断面縦長楕円形のOリング形状のインテークマニホールド用ガスケットは、強い締付けを受けると倒れが発生し易くなるので、圧縮率を低めに設定してこれに対応しようとしている。しかし、圧縮率を低めに設定する低締付けを行うと、シール性に少なからぬ悪影響を及ぼすことになる。
【0013】
【特許文献1】
特開平10−9395号
【0014】
【特許文献2】
実開昭55−50362号
【0015】
【特許文献3】
実開昭58−124639号
【0016】
【特許文献4】
実開平6−65662号
【0017】
【特許文献5】
実開平5−52256号
【0018】
【発明が解決しようとする課題】
自動車等に搭載されるエンジンのインテークマニホールド用のガスケットにおける前述した問題は、一方の部材に刻設されている溝部に装着され、一方の部材と他方の部材とが締結された際に、両者の間の密封をなす長手方向に無端のガスケット、例えば、ロッカーカバーガスケット、フロントカバーガスケット、オイルパンガスケット、タイミングチェーンカバーガスケットなどに共通する問題であった。
【0019】
本発明は、一方の部材と他方の部材とが締結された際に、両者の間の密封をなす長手方向に無端のガスケットの上述した問題点に鑑み、簡便に組付け作業工程、締付け工程を行うことのできる作業性のよいガスケットであって、良好なシール性能を発揮できるガスケットを提供することを目的としている。
【0020】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決するため、本発明が提案するガスケットは、これが嵌合される溝部の断面形状に対応する断面形状を有すると共に、横断面の高さ(H)と幅(W)との比(H/W)が特定の範囲にあり、両側面から突出する突部が形成されていてその幅方向の大きさ(R2)、(R1)が前記溝部の幅(X)との間に所定の大きさの相違(ΔX)、(Δx)を有する大突起部と、小突起部とを長手方向にそれぞれ所定の間隔(P)、(p)をあけて複数個ずつ備えており、ガスケットが嵌合される溝部を備えている一方の部材と、他方の部材とが締結された際の溝部に対する充填率が80〜100%になるものである。
【0021】
この発明のガスケットは、一方の部材に刻設されている溝部に装着され、一方の部材と他方の部材とが締結された際に、両者の間の密封をなす長手方向に無端のガスケットである。例えば、自動車に搭載されるエンジンのシリンダヘッドに対向配置されるインテークマニホールドのシリンダヘッドに対向する面に刻設されている溝部に装着され、インテークマニホールドとシリンダヘッドとが締結された際に、両者の間の密封をなすものであるとして使用される。また、ロッカーカバーガスケット、フロントカバーガスケット、オイルパンガスケット、タイミングチェーンカバーガスケットとしても使用される。
【0022】
【発明の実施の形態】
以下、本発明のガスケットを添付図面を参照し、本発明のガスケットが自動車等に搭載されるエンジンのインテークマニホールド用のガスケットとして採用された場合について詳述する。
【0023】
本発明のガスケット4は、シリンダヘッド3に対向配置されるインテークマニホールド2のシリンダヘッド3に対向する面に刻設されている溝部21に装着され、インテークマニホールド2とシリンダヘッド3とが締結された際に、両者の間の密封をなす長手方向に無端のガスケットである。
【0024】
本発明のガスケット4は、溝部21の断面形状に対応する断面形状を有している。
【0025】
そして、本発明のガスケット4は、インテークマニホールド2に刻設されている溝部21の深さ方向の断面の高さ(H)と、溝部21の幅方向の断面の幅(W)との比(H/W)が0.8乃至5.0となっている。
【0026】
本発明のガスケット4は、図3図示のように、インテークマニホールド2に刻設されている溝部21の両内壁面に対向する両側面から溝部21の両内壁面に向かう突部42a、42b等が形成されている大突起部42等をその長手方向に複数個備えている。
【0027】
また、本発明のガスケット4は、図3図示のように、インテークマニホールド2に刻設されている溝部21の両内壁面に対向する両側面から溝部21の両内壁面に向かう突部41a、41b等が形成されている小突起部41等をその長手方向に複数個備えている。
【0028】
ここで、大突起部42等は、ガスケット4の長手方向に隣接する大突起部同士の間に30〜100mmの間隔(P)をあけて配設されている。そして、大突起部42等における溝部21の幅方向の大きさ(R2)は、溝部21の幅方向の大きさ(X)より0.01mm〜0.9mm大きくなっている。大突起部42の幅方向の大きさ(R2)は、図3のB−B断面を表す図2に示されている。
【0029】
また、小突起部41等は、ガスケット4の長手方向に隣接する小突起部同士の間及び隣接する前記大突起部との間にそれぞれ5〜15mmの間隔(p)をあけて配設されている。そして、小突起部41等における溝部21の幅方向の大きさ(R1)は、溝部21の幅方向の大きさ(X)より0.01mm〜0.6mm小さくなっている。小突起部41等の幅方向の大きさ(R1)は、図3のA−A断面を表す図1に示されている。
【0030】
以上の構成、構造に加えて、更に、本発明のガスケット4は、インテークマニホールド2とシリンダヘッド3とが締結された際の溝部21に対する充填率が80〜100%になるものである。
【0031】
本発明のガスケットは、長手方向に無端の環状であって、インテークマニホールド2の溝部21に装着された状態をシリンダヘッド3側から見た状態を表している図3、図4には、この環状のガスケット4の一部が表されている。
【0032】
本発明のガスケットは、自動車のエンジン等の軽量化の要求に対応可能な軽量材料を用いて形成することができる。この軽量材料としては、この技術分野で公知の合成樹脂材料、軽量金属材料を用いることができる。
【0033】
合成樹脂材料としては合成ゴム材を例示することができる。合成ゴム材を用いて公知の方法により製造した本発明のガスケットは、ラバーガスケットとなる。なお、合成ゴム材としては、ブチルゴム、スチレン−ブタジェン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−アクリル酸メチル共重合体、エチレン−アクリル酸エチル共重合体、ブタジエンゴム、ニトリルゴム、水素添加ニトリルゴム、アクリルゴム、シリコーンゴム、フッ素ゴム、フロロシリコーンゴム、エチレンプロピレンゴム等を採用できる。
【0034】
また、軽量金属材料としては、アルミニュームやマグネシューム等を採用できる。
【0035】
本発明のガスケットは、前述した合成ゴム材や軽量金属材料を用いて、従来からこの技術分野で行われている製造方法を用いて製造できる。
【0036】
本発明のガスケットは、前述した特徴的な構造の大突起部42等を備えていることにより、組付け作業工程、締付け工程において、ガスケットが溝部21から脱落したり、挿着位置がずれてシール不良が生じる危険性を少なくし、簡便に組付け作業工程、締付け工程を行うことができる。
【0037】
また、前述した特徴的な構造の小突起部41等を備えていることにより、締付け工程の際に、ガスケットの横流れや、倒れ込みが発生することを効果的に防止できる。
【0038】
更に、この小突起部と大突起部とが備えられている構成、構造に加えて、前述した横断面形状、図1、図2に図示されているその高さ(H)と幅(W)との間の特定の比(H/W)、前述した充填率を備えていることにより、良好なシール性能を発揮できる。
【0039】
なお、前記において、溝部の断面形状に対応する断面形状を有しているとは、組付け作業工程において、ガスケット4を溝部21に挿着した際に、図1、図2図示のように、ガスケット4の外壁面(図1、図2では、両側面と上側面)が溝部21の内壁面に沿って配置されて納まりがよくなるような対応関係のことをいう。例えば、インテークマニホールド2のシリンダヘッド3に対向する面に刻設されている溝部21の断面形状が、図1、図2図示のように略矩形である場合には、これに対応して、ガスケット4の断面形状が、図1、図2図示のように略矩形になっていることをいう。これによって、インテークマニホールド2とシリンダヘッド3とが締結された際に、溝部21の内壁面とガスケット4の外壁面とがまんべんなく接触し、ガスケット4が備えている弾性が十分発揮されるようになる。
【0040】
また、前記において、横断面の高さ(H)と幅(W)との比(H/W)が0.8乃至5.0としたのは、この範囲内であることが、インテークマニホールド2とシリンダヘッド3とが締結された際に、ガスケット4の各面(図1、図2中、上下面、両側面)が、溝部21の底面、両内壁面、シリンダヘッド3にそれぞれまんべんなく接触し、ガスケット4が有している弾性を発揮して高い密封力を得る上で好ましいからである。
【0041】
また、大突起部を前述した大きさ、すなわち、図2〜図4中、ΔX/2+ΔX/2=ΔX=0.01〜0.9mmとなる大きさとしたのは、ガスケット4の溝部21への挿着をスムーズに行い、かつ、組付け作業工程、締付け工程において、ガスケット4が溝部21から脱落したり、挿着位置がずれてシール不良が生じる危険性を少なくする上で好ましいからである。
【0042】
なお、大突起部の大きさを、図2〜図4中、ΔX/2+ΔX/2=ΔX=0.1〜0.3mmとすると前記の効果を発揮させる上でより好ましい。
【0043】
更に、前述した大突起部が設けられているガスケットの長手方向の間隔(P)と小突起部が設けられているガスケットの長手方向の間隔(p)及び、前述した小突起部の大きさ、すなわち、図1、図3、図4中、Δx/2+Δx/2=Δx=0.01〜0.6mmとなる小突起の大きさとすることが望ましいのは以下の理由からである。すなわち、このようにすれば、前述した大突起部の大きさに対応しつつ、締付け工程の際に、ガスケットの横流れや、倒れ込みが発生することを効果的に防止できるからである。更に、インテークマニホールド2とシリンダヘッド3とが締結された際に、前述した横断面形状、前述した高さ(H)と幅(W)との特定の比(H/W)、前述した充填率とあいまって、ガスケット4の各面(図1、図2中、上下面、両側面)が、溝部21の底面、両内壁面、シリンダヘッド3にそれぞれまんべんなく接触し、ガスケット4が有している弾性を発揮して高い密封力を得る上でより好ましいからである。
【0044】
ここで、小突起部の大きさをΔx/2+Δx/2=Δx=0.1〜0.3mmの範囲にすると、前記の効果がよりよく発揮されるので望ましい。
【0045】
なお、前記のような大突起部42等、小突起部41等の大きさとしては、溝部21の幅を(X)、小突起部41等が設けられている位置における溝部21の幅方向のガスケットの断面の幅を(R1)、大突起部42等が設けられている位置における溝部21の幅方向のガスケットの断面の幅を(R2)として以下のような形態を例示できる。
【0046】
【0047】
溝部21の幅(X)の大きさは前記の例示に限定されるものではないが、溝部21の幅(X)の種々の大きさに対して、前記に例示されるような関係を有する大きさの大突起部、小突起部を備えており、なおかつ、断面形状が溝部21の断面形状に対応し、断面の高さ(H)と幅(W)との比(H/W)が0.8乃至5.0で、大突起部、小突起部が設けられている間隔(P)、(p)が前述した範囲を満たし、インテークマニホールドとシリンダヘッドとが締結された際の溝部21に対する充填率が80〜100%であるようにして本発明のガスケットを形成できる。
【0048】
本発明のガスケットにおいて、インテークマニホールド2とシリンダヘッド3とが締結された際の溝部21に対するガスケットの充填率が前述した80〜100%となるようにしたのは、前述した小突起部と大突起部とが備えられている構成、構造、前述した横断面形状、その高さ(H)と幅(W)との特定の比(H/W)に加えて、かかる範囲の充填率にすることによって、インテークマニホールド2とシリンダヘッド3とが締結された際の圧縮率を高め、良好なシール性を得る上で望ましいからである。
【0049】
なお、本明細書に於いて、「充填率」とは、インテークマニホールド2とシリンダヘッド3とが締結された際における、ガスケット4の体積の溝部21の体積に占める割合のことをいう。
【0050】
本願発明者の実験によれば、本発明のガスケットにおいて、充填率を85%にすることが圧縮率を高め、良好なシール性を得る上で最も好ましかった。
【0051】
図6は、ブチルゴムを主材料として本発明のガスケット(ラバーガスケット)を形成し、図3中、符号(p)で表されている間隔、すなわち、ガスケットの長手方向に隣接する小突起部同士の間の間隔及び、隣接する小突起部と大突起部との間の間隔を変えた場合における、圧縮率と倒れが発生する傾向との関係について実験した結果を示すものである。実験に用いたラバーガスケットの横幅(W)=1.6mm、高さと幅との関係:H/W=3.6、小突起部の大きさ:R1=2.8mm、大突起部の大きさ:R2=3.2mmである。この本発明のラバーガスケットを、幅(X)=3.0mm、深さ:4mmの溝部に挿着し、更に、当該溝部を有しているインテークマニホールドと、ヘッド部材とを締結して実験を行った。図6中、○はp=5mm、△はp=15mm、×はp=20mmの場合の実験結果である。また、横軸は圧縮率(%)(右側に向かうにしたがって圧縮率が高くなる)、縦軸は倒れが発生する傾向(上から下に向かうにつれて倒れの発生する傾向が大きくなる)を示している。この実験結果より、(p)が15mmより大きい場合には、より良好なシール性を得るべく圧縮率を強めると倒れの発生する傾向が著しくなるので(p)は15mmを越えないことが望ましい。また、製造の容易さ等を考慮して(p)は5mmを下回らないことが望ましい。
【0052】
本発明のガスケットにおいては、ガスケットの長手方向に隣接する大突起部同士の間の間隔(P)は30〜100mmの範囲が望ましく、ガスケットの長手方向に隣接する小突起部と小突起部との間の間隔(p)、隣接する小突起部と大突起部との間の間隔(p)はいずれも5〜15mmの範囲が望ましい。そこで、第3図図示のように、隣接する大突起部42と大突起部52との間、大突起部52と大突起部62との間にそれぞれ一個の小突起部41、51が配備されている形態にすることもできるし、図4図示のように、隣接する大突起部72と大突起部82との間、大突起部82と大突起部92との間、大突起部92と大突起部102との間に複数個の小突起部61、71、81、91、101、111が配備されている形態にすることもできる。
【0053】
図3図示のような形態でも、図4図示のような形態でも、本発明のガスケットに要求される形状、構造上の特徴を備えている限り、発揮される作用、効果に相違はない。ただし、締込み時の圧縮横流れ変形によるガスケットの倒れ込み防止を徹底する上で、隣接する大突起部と大突起部との間には、少なくとも一個の小突起部が配備されている形態にすることが望ましい。
【0054】
なお、図3、図4図示のように、小突起部41、51、61等において、ガスケットの両側壁から対向する溝部21の内壁面に向かう突部41a、41b、51a、51b、61a、61bは、ガスケット4の中心線(C1)に対して対称的に設けられていることが望ましい。また、大突起部42、52、62、72等において、ガスケットの両側壁から対向する溝部21の内壁面に向かう突部42a、42b、52a、52b、62a、62b、72a、72bは、ガスケット4の中心線(C1)に対して対称的に設けられていることが望ましい。挿着工程の容易さ、倒れ込み防止効果をよりよく発揮させるためである。
【0055】
これに加えて、図1〜図4においてΔx、ΔXで表される大きさを規定する小突起部の大きさ、大突起部の大きさは、一個のガスケット(すなわち、同一のガスケット)において、Δx=ΔXとなるようにしておくことが挿着工程の容易さ、倒れ込み防止効果の観点から更に有利である。図1〜図4図示の実施形態は、いずれも、Δx=ΔXとした場合のものである。
【0056】
なお、本発明においては、前記の間隔(P)、(p)は、ガスケットの中心線(C1)の位置で測定して定めている。
【0057】
以上説明した本発明のガスケットにおいて、インテークマニホールド2の溝部21の深さ方向に対応する上側面及び/又は下側面にそれぞれリブが形成されている構造にすることができる。図1、図2は、ガスケット4の上側面及び下側面にそれぞれリブ43、43が形成されている形態を示すものである。
【0058】
この場合、ガスケットの上側面及び/又は下側面において、インテークマニホールド2の溝部21の幅方向の異なる位置にリブが複数個形成されている構造にすることも可能である。図7、図8は、求められる機能に応じて、ガスケット4の上側面及び下側面にそれぞれ複数のリブ143、143、243、243、243が形成されているようにした形態を示すものである。
【0059】
このようなリブを設けておくと、シール性能を高めることができるので有利である。また、インテークマニホールド2とシリンダヘッド3とを締結する際に、溝部21の底面及びシリンダヘッド3の当接面にそれぞれ当接するガスケットの上側面及び下側面の幅方向(図1、図2中、左右方向)への弾性変形を容易にするので有利である。
【0060】
更に、以上説明した本発明のガスケットにおいて、ガスケットの断面形状が略矩形の場合に、その角部が鋭角に形成されている構造にすることができる。例えば、溝部21の断面形状が、図1、図2図示のように略矩形である場合には、これに対応してガスケットの断面形状も図1、図2図示のように略矩形になるが、この際に、その角部44を図9、図10図示のように鋭角に形成するものである。
【0061】
これらの鋭角な角部44は、インテークマニホールド2とシリンダヘッド3とが締結された際に、インテークマニホールド2の溝部21の底面側の角部に局部的に接触するエッジとして機能する。この局部的な接触部で生じる局部面圧により溝部21の底面側の角部での面圧が高まり、より良好なシール性能を確保することができる。すなわち、角部44に形成されている鋭角のエッジがインテークマニホールド2とシリンダヘッド3の締込みによって、溝部21の内角部に局部的に接触する。そこで、この部分に局部面圧が生まれ、該角部の面圧が高められるからである。図10では角部に面取りを加えているがその角部44は鋭角なエッジに形成されている。
【0062】
本発明のガスケットは、図1〜図4に示されているように、インテークマニホールド2に刻設されている溝部21の両内壁面に対向する両側面から溝部21の両内壁面に向かう突部が形成されている大突起部42等と、小突起部41等とを、ガスケットの長手方向に、それぞれ所定の間隔(P)、(p)をあけて複数個備えている。そして、溝部21の幅方向における大突起部42等と、小突起部41等の大きさ(R2)、(R1)は、溝部21の幅方向の大きさ(X)に対して所定の大きさに保たれている。これによって、ガスケットの装着時における脱落防止と、締込み時の圧縮横流れ変形によるガスケットの倒れ込み防止とを徹底している。
【0063】
すなわち、大突起部42等の溝部21の幅方向における大きさ(R2)は、溝部21の幅(X)より△X=0.01mm〜0.9mm大きいが、小突起部41等の溝部21の幅方向における大きさ(R1)は、溝部21の幅(X)より△x=0.01mm〜0.6mm小さい。そして、大突起部42等は30〜100mmの間隔で備えられており、小突起部41等は5〜15mmの間隔で備えられている。更に、ガスケット4の断面形状は溝部21の断面形状に対応する形状となっている。そこで、ガスケット4を溝部21へ挿着するには、大突起部42等が設けられている部分を溝部21内に押し込み、これを溝部21の両内壁に圧接させながら挿入すれば、この部分につられて、小突起部41等が設けられている部分を含む他部分も極めて容易に溝部21内に嵌め込むことができる。そして、図1、図2の如くの納まりを見せるのである。
【0064】
小突起部41等が設けられている部分は溝部21の壁面に沿うよう装着されているので、図1、図2図示の状態から、不図示のボルト等の締め付け具によって、インテークマニホールド2とシリンダヘッド3とを、矢印101、102で示される方向に締結すると、ガスケット4は圧縮され、溝部21とシリンダヘッド3とに挟まれ、弾性変形をして溝部21の内面とシリンダヘッド3の接触面に広く接する。
【0065】
このとき、小突起部41等における突部41a、41b等は、ガスケット4の本体の変形により溝部21の両内壁面との間の隙間(△x)が次第に小さくなり、溝部21の内壁面と接触する。そこで、大突起部42等の間のガスケットの横流れ、倒れ込みを効果的に防止できる。
【0066】
一方、小突起部41等と、大突起部42等とにおける突部41a、41b、42a、42b等は、ガスケットの本体から側面方向に出た突起形状であるので、ガスケット4の本体の部分の弾性変形にあまり大きくは影響されず、溝部21内に最初に挿入された時点の形状を出発点として溝部21へ装着される。そして、溝部21の断面形状に対応している断面形状、断面の高さ(H)と幅(W)との特定の比(H/W)、特定の充填率という特徴的な構造とあいまって良好なシール性を発揮できるのである。
【0067】
以上、本発明のガスケットが自動車等に搭載されるエンジンのインテークマニホールド用のガスケットとして採用された場合につい説明した。前記の実施形態で説明したことは、本発明のガスケットが一方の部材に刻設されている溝部に装着され、一方の部材と他方の部材とが締結された際に、両者の間の密封をなす長手方向に無端のガスケットとして、例えば、ロッカーカバーガスケット、フロントカバーガスケット、オイルパンガスケット、タイミングチェーンカバーガスケットとして採用される場合にも同様に当てはまるものである。
【0068】
【実施例】
合成ゴム材としてアクリルゴムを用い、これにゴム薬品を添加、混合して未加硫ゴムを準備し、これを型を用いて環状に加硫成型し、図5(a)図示の本発明のラバーガスケット104を製造した。
【0069】
ラバーガスケット104は、その長手方向に大突起部132、142、152、162と、小突起部121、131、141、151、161、171、181、191とを備えている。大突起部132等は、図5(d)に示すように、ラバーガスケット104の両側壁に対称的にそれぞれ突部162a、162bが形成されているものである。小突起部121等も、図5(c)に示すように、ラバーガスケット104の両側壁に対称的にそれぞれ突部121a、121bが形成されているものである。
【0070】
図5(a)中のC−C断面を表す図5(b)において、(W)=1.6mm、(H)=5.7mm、D−D断面を表す図5(c)において、(R1)=2.8mm、E−E断面を表す図5(d)において、(R2)=3.2mmである。
【0071】
ラバーガスケット104の長手方向に隣接する大突起部同士の間の間隔、例えば、大突起部132と142との間隔は、34.5mmである。
【0072】
ラバーガスケット104の長手方向に隣接する大突起部132と小突起部121との間隔、小突起部121と小突起部131との間隔、小突起部131と大突起部142との間隔は、いずれも11.5mmである。
【0073】
このラバーガスケット104を、インテークマニホールドの溝部(深さ4.0mm、溝幅(X)=3.0mmで断面形状は略矩形)に挿着した。
【0074】
ラバーガスケット104の大突起部132〜162が設けられている部分を溝部内に押し込み、これを溝部の両内壁に圧接させながら挿入すると、これらの部分につられて、小突起部121〜191が設けられている部分を含む他の部分も極めて容易に溝部内に嵌め込むことができた。
【0075】
次いで、インテークマニホールドを反転させ、図1図示の状態にして、シリンダヘッドに対向させ、両者を締め付け、インテークマニホールドとシリンダヘッドとが締結され、両者の間が密封される状態を作り出した。
【0076】
この作業工程の際、ラバーガスケット104が溝部から脱落する、挿着位置がずれる等のおそれは生じなかった。
【0077】
締め付け時における圧縮率は28%で、良好なシール性を確保できる高い圧縮率であった。この際の充填率は85%であった。
【0078】
以上、添付図面を参照して本発明を詳述したが、図示の構成及び配置関係については、本発明が理解できる程度に概略的に示したものに過ぎない。また、添付図面及び本明細書の説明に登場する各構成部材の大きさ、材質等については例示にすぎない。したがって、本発明は、添付図面及びここで説明されている実施形態に限定されず、特許請求の範囲の記載から把握される技術的範囲において種々の形態に変更可能である。
【0079】
【発明の効果】
本発明のガスケットにおいては、このガスケットが嵌合される溝部の幅方向における大きさ(R2)、(R1)がそれぞれ異なる大突起部と小突起部とが、ガスケットの長手方向に、それぞれ異なる配置間隔(P)、(p)で複数個ずつ備えられていることに加えて、ガスケットの断面形状及び充填率まで配慮することによって装着性を高め、脱落防止機能を高め、締込み時の倒れ込みを防止できる。さらに、前述した範囲の充填率によって高い圧縮率を設定することが可能となり、シール性の向上に大きな役割を果たすものになっている。
【0080】
本発明のガスケットは、簡便に組付け作業工程、締付け工程を行うことのできる作業性のよいガスケットであって、良好なシール性能を発揮できる。そこで、自動車に搭載されるエンジンのインテークマニホールドとシリンダヘッドとの間の密封構造や、ロッカーカバー、フロントカバー、オイルパン、タイミングチェーンカバーなどにおける密封構造に利用できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明のガスケットの装着例を示す断面図。
【図2】 図1図示のガスケットの装着例の他の位置における断面図。
【図3】 図1図示のガスケットがインテークマニホールドの溝部に装着された状態をシリンダヘッド側から見た一部を省略した平面図。
【図4】 本発明の他のガスケットがインテークマニホールドの溝部に装着された状態をシリンダヘッド側から見た一部を省略した平面図。
【図5】 (a)は、本発明のガスケットの一例の平面図、(b)は、図5(a)のC−C断面図、(c)は、図5(a)のD−D断面図、(d)は、図5(a)のE−E断面図。
【図6】 本発明のガスケットに設けられている小突起の配設間隔を変えた場合における圧縮率と倒れの発生の関係についての実験結果を示す図。
【図7】 本発明の他の実施例を示すものであって、図3のA−A断面に相当する位置の断面図。
【図8】 本発明の更に他の実施例を示すものであって、図3のB−B断面に相当する位置の断面図。
【図9】 本発明の更に他の実施例を示すものであって、図3のA−A断面に相当する位置の断面図。
【図10】 本発明の更に他の実施例を示すものであって、図3のB−B断面に相当する位置の断面図。
【図11】 従来のインテークマニホールド用のガスケットの装着例を示す断面図。
【符号の説明】
1 従来のインテークマニホールド用ガスケット
4 ガスケット
2 インテークマニホールド
3 シリンダヘッド
21 溝部
41、51、61、71、81、91、101、111 小突起部
41a、41b、51a、51b、61a、61b 小突起部の突部
42、52、62、72、82、92、102 大突起部
42a、42b、52a、52b、62a、62b、72a、72b 大突起部の突部
43、143、243 リブ
44 角部
H 高さ寸法
W 幅寸法
X 溝部の幅
121、131、141、151、161、171、181、191 小突起部
121a、121b 小突起部の突部
132、142、152、162 大突起部
162a、162b 大突起部の突部
104 ラバーガスケット
Claims (4)
- 一方の部材に刻設されている溝部に装着され、この一方の部材と他方の部材とが締結された際に、両者の間の密封をなす長手方向に無端のガスケットであって、
当該ガスケットは、前記溝部の断面形状に対応する断面形状を有すると共に、前記溝部の深さ方向の断面の高さ(H)と、前記溝部の幅方向の断面の幅(W)との比(H/W)が0.8乃至5.0であり、
前記溝部両内壁面に対向する両側面から前記溝部両内壁面に向かう突部が形成されている大突起部と小突起部とをその長手方向にそれぞれ複数個ずつ備えており、
前記大突起部は、ガスケットの長手方向に隣接する大突起部同士の間に30〜100mmの間隔を有し、前記溝部の幅方向の幅(R2)が溝部幅方向の大きさ(X)より0.01mm〜0.9mm大きく、
前記小突起部は、ガスケットの長手方向に隣接する小突起部同士の間及び隣接する前記大突起部との間にそれぞれ5〜15mmの間隔を有し、前記溝部幅方向の幅(R1)が溝部幅方向の大きさ(X)より0.01mm〜0.6mm小さく、前記一方の部材と他方の部材とが締結された際の前記溝部に対する当該ガスケットの充填率が80〜100%である
ことを特徴とするガスケット。 - 前記溝部の深さ方向に対応する上側面及び/又は下側面にそれぞれリブが形成されていることを特徴とする請求項1記載のガスケット。
- リブはガスケットの前記上側面及び/又は下側面において、前記溝部の幅方向の異なる位置に複数個形成されていることを特徴とする請求項2記載のガスケット。
- ガスケットの断面形状が略矩形であって、その角部が鋭角に形成されていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項記載のガスケット。
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