JP4311817B2 - 太陽電池付き屋根パネル間のジョイントシール構造 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、太陽電池の設けられた屋根パネル間の接合部をシールする太陽電池付き屋根パネル間のジョイントシール構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、太陽電池を一体化した屋根パネルでは、並設された屋根パネル相互のジョイント部に、太陽電池モジュールの取付枠に沿って、防水用の水切りを設け、カバー材で覆っている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、太陽電池モジュールの取付枠の他に、前記のように防水用の水切りが必要であるため、ジョイント部の構造が複雑で、部品点数が多く、現場での施工に手間がかかっている。また、カバー材は、上記のように水切りを覆うものであるため、見附寸法が大きくなり、屋根の意匠性に劣る。さらに、ジョイントのディテールによっては、建方順序を特定することが必要となり、建方が難しくなる。また、屋根パネルに製造誤差があった場合に、その誤差を吸収することが難しく、防水性能が低下することがある。
【0004】
この発明の目的は、構成部品点数を削減できて、施工性に優れ、かつジョイント部の見附を小さく見せることができ、また屋根パネルに誤差があっても,防水性能が低下しない,また目立たなくできる太陽電池付き屋根パネル間のジョイントシール構造を提供することである。
この発明の他の目的は、部品種類数を削減すると共に、屋根パネルの施工順序の制限を無くすことである。
この発明のさらに他の目的は、簡単な施工で防水性の一層の確実を図ることである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
この発明の太陽電池付き屋根パネル間のジョイントシール構造は、屋根パネル本体の上面における屋根勾配方向に沿う側縁に、太陽電池モジュールの取付枠を設置し、この取付枠は、断面形状が溝形に形成されて、屋根パネル本体の側縁側の溝側板部が中央側の溝側板部よりも低く形成され、かつ中央側の溝側板部の上端に太陽電池モジュールの係合部を有するものとし、並設された屋根パネルの隣合う取付枠におけるパネル中央側の溝側板部間の隙間を蓋するジョイントカバーを設け、このジョイントカバーは、前記取付枠に取付けられる太陽電池モジュールの上面よりも下方に位置させたものである。
このように、太陽電池モジュールの取付枠を溝形に形成し、その中央側の溝側板部に太陽電池モジュールを取付けるようにしたため、前記取付枠で雨仕舞い用の内樋を兼用することができ、構成部品点数が削減される。また、ジョイントカバーの位置を太陽電池面よりも下げたため、雨水の道が作られ、太陽電池の汚れが防止される。また、ジョイントカバーの位置を太陽電池面よりも下げたため、見附を小さく見せることができ、意匠性に優れる。さらに、ジョイントカバーの位置を太陽電池面よりも下げたことにより、屋根パネルの誤差を目立たなくすることができる。
【0006】
この発明において、並設される屋根パネルの隣合う取付枠は、互いに左右対称の断面形状としても良い。
このように取付枠を左右対称にすることにより、部品種類数が削減され、生産性の向上、部品コストの低下が図れる。また、取付枠を左右対称としたため、屋根パネルの施工順序の規制が無くなり、施工性に優れる。
【0007】
前記取付枠における中央側の溝側板部間の溝内側面にカバー係合部を設け、前記ジョイントカバーは断面形状が略ハット形のものであって、その両側縁を、並設された屋根パネルの隣合う取付枠における前記係合部に係合させ、このジョイントカバーの両側面と前記取付枠におけるパネル中央側の溝側板部の間に形成される溝形空間にガスケットを圧入し、かつ前記隣合う取付枠におけるパネル側縁側の溝側板部の間に第2のシール材を介在させる。
この構成の場合、ガスケットが一次シールとなり、第2のシール材が二次シールとなって、二重シールによる確実な防水性が得られる。しかも、これらガストットおよび第2のシール材は、圧入等によって取付けることができ、施工が簡単である。さらに、ジョイントカバーも、太陽電池モジュールの取付枠に係合させることで取付けられるため、取付作業が簡単である。
【0008】
【発明の実施の形態】
この発明の一実施形態を図1ないし図3と共に説明する。図4は、2枚の屋根パネル1,1を並設した状態を示す。屋根パネル1は、屋根パネル本体2の上に太陽電池モジュール3を設置した太陽電池一体型の屋根パネルであり、太陽電池モジュール3が屋根葺材を兼用する。屋根パネル本体2の上面には、両側縁と中間とに、屋根勾配方向に沿う取付枠4,5が取付けられ、太陽電池モジュール3は、取付枠4,5に両側縁が係合することで、取付けられている。取付枠4,5は、金属材料の押し出し成形材等からなる。太陽電池モジュール3は、複数の太陽電池を基盤に設置した平板状のものであり、屋根勾配方向に複数枚が並べて配置されている。なお、複数枚並べて配置される太陽電池モジュール3の一部のものに代えて、屋根葺材を取付けても良い。
屋根パネル1は、例えば図3に設置例を示すように、屋根の棟から軒まで延びる長さのものとされ、桁行方向に並設される。
【0009】
図1は、屋根パネル1の接合部を拡大して示す断面図である。屋根パネル本体2は、パネルフレーム6とその上に設置された屋根板7とで構成される。パネルフレーム6は、溝形鋼等の金属製のものであり、パネルフレーム6のうち、屋根勾配方向に沿ったフレーム材は、在来工法の垂木に相当する。屋根板7は野地板となる。
【0010】
太陽電池モジュール3を取付けるパネル側縁の取付枠4は、断面形状が溝形に形成されて、屋根パネル本体2の側縁側の溝側板部4aが中央側の溝側板部4bよりも低く形成され、かつ中央側の溝側板部4bの上端に太陽電池モジュール3の係合部4cを有している。係合部4cは、上下に並んでパネル中央側に延びる一対の平行な突片4ca,4cbからなり、太陽電池モジュール3は上下の突片4ca,4cbの間に側縁が嵌合する。係合部4cは、取付枠4の略全長に渡って延びている。太陽電池モジュール3は、例えば周囲に接触端子を有するものとし、取付枠4に導電体としての機能を兼用させても良い。取付枠4の中央側の溝側板部4bには、中間高さ位置で溝内面側にカバー係合部4dが設けられている。カバー係合部4dは突片からなり、取付枠4の全長に渡って延びている。屋根パネル1の両側縁の取付枠4,4は、断面形状が互いに左右対称であり、したがって並設された屋根パネル1,1の隣合う取付枠4,4も、互いに左右対称である。
【0011】
取付枠4のパネル本体2への取付けは、その溝形部分の底面を屋根板7に載せ、ドリル付きタッピンねじ等の固着具(図示せず)で溝底部分を屋根板7に固定することで行われる。取付枠4の溝形部分の底面と屋根板7の間には、発泡ゴム等からなるシール材8を介在させる。
【0012】
図2に示すように、パネル中央の取付枠5は、太陽電池モジュール3を係合させる一対の係合部5a,5aを上部の両側に設けたものである。各係合部5aは、上下に並ぶ2枚の突片からなる。取付枠5の両側の係合部5a,5a間の部分は、溝状に形成され、その溝底板部5bは、太陽電池モジュール3の下面程度の高さとなるように設けられている。この屋根パネル1は、以上のように構成されている。
【0013】
施工に際しては、各屋根パネル1は、図3や図4に示すように、複数枚が横方向(桁行方向)に並べて配置され、屋根梁(図示せず)等の建物躯体の構成部材上に、パネルフレーム6が金具類またはネジ類等の取付具(図示せず)で取付けられる。屋根パネル1の設置の後、隣合う屋根パネル1,1の並び部に、ジョイントシールの処置を行う。
【0014】
このジョイントシールとして、屋根パネル1,1の並び部分には、隣合う取付枠4,4におけるパネル側縁側の溝側板部4a,4aの間に第2のシール材9を介在させる。第2のシール材9は、発泡ゴム等の弾性体からなる。また、これらパネル側縁側の溝側板部4a,4aに被さるように、パネル中央側の溝側板部間4b,4bの隙間を蓋するジョイントカバー10を設ける。ジョイントカバー10は、断面形状が略ハット形のものであって、その両側縁に被係合部10aが形成されている。被係合部10aは、先端が二叉状となってその間に溝が形成された断面形状のものであり、屋根パネル1の取付枠4の係合部4dがその溝内に嵌まるように係合させる。ジョイントカバー10の取付高さ位置は、上面が太陽電池モジュール3の下面と同程度となるように、係合部4dの位置等で設定される。
このジョイントカバー10の下向き溝形部分の側面と取付枠4におけるパネル中央側の溝側板部4bの間に形成される溝形空間には、ガスケット11を圧入する。このガスケット11は、例えば、図示のように中央材部の両側に、複数のひれ部が差し込み方向に並んで形成されたゴム等の弾性体からなる。
なお、側縁の取付枠4および中央の取付枠5の断面の寸法は、中央の取付枠5の係合部5a,5a間の間隔が、並設された屋根パネル1,1の取付枠4,4の係合部4c,4c間の間隔と略等しくなるようにされる。
【0015】
この構成のジョイントシール構造によると、太陽電池モジュール3の取付枠4を溝形に形成し、その中央側の溝側板部4bに太陽電池モジュールを取付けるようにしたため、取付枠4で雨仕舞い用の内樋を兼用することができ、構成部品点数が削減される。また、ジョイントカバー10の位置を太陽電池面よりも下げたため、雨水の道が作られ、太陽電池モジュール3の太陽電池の汚れが防止される。また、ジョイントカバー10の位置を太陽電池面よりも下げたため、見附を小さく見せることができ、意匠性に優れる。さらに、ジョイントカバー10の位置を太陽電池面よりも下げたことにより、屋根パネル1の製造誤差を目立たなくすることができる。
隣合う取付枠4,4は左右対称にしたため、同じ断面形状のものを、向きを逆にして取付けだけで良く、部品種類数が削減され、生産性の低下、部品コストの低下が図れる。また、取付枠4を左右対称としたため、屋根パネル1の施工順序の規制が無くなり、施工性に優れる。
【0016】
さらに、ガスケット11が一次シールとなり、第2のシール材9が二次シールとなって、二重シールによる確実な防水性が得られる。しかも、これらガスケット11および第2のシール材9は、圧入等によって取付けることができ、施工が簡単である。さらに、ジョイントカバー10も、太陽電池モジュール3の取付枠4に係合により取付けられるため、取付作業が簡単である。
【0017】
【発明の効果】
この発明の太陽電池付き屋根パネル間のジョイントシール構造は、太陽電池モジュールの取付枠に内樋を兼用させ、かつジョイントカバーを太陽電池モジュールの上面よりも下方に位置させたため、構成部品点数を削減できて、施工性に優れ、かつジョイント部の見附を小さく見せることができ、また屋根パネルに誤差があっても目立たなくできる。
並設される屋根パネルの隣合う取付枠を、互いに左右対称の断面形状とした場合は、部品種類数を削減すると共に、屋根パネルの施工順序の制限を無くすことができて、施工性がより一層向上する。ジョイントカバーを略ハット形として、取付枠の係合部に係合させ、ジョイントカバーと取付枠の間にガスケットを圧入し、かつ隣合う取付枠間に第2のシール材を介在させたため、簡単な施工で防水性のより一層の確実を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の一実施形態にかかる屋根パネル間のジョイントシール構造の断面図である。
【図2】屋根パネルの中央側の太陽電池モジュール取付枠の周辺を示す断面図である。
【図3】2枚の屋根パネルの並設状態を示す斜視図である。
【図4】同屋根パネルの配置例を示す建物全体の斜視図である。
【符号の説明】
1…屋根パネル
2…屋根パネル本体
3…太陽電池モジュール
4…取付枠
4a…側縁側の溝側板部
4b…中央側の溝側板部
6…パネルフレーム
7…屋根板
9…第2のシール材
10…ジョイントカバー
11…ガスケット
Claims (2)
- 屋根パネル本体の上面における屋根勾配方向に沿う側縁に、太陽電池モジュールの取付枠を設置し、この取付枠は、断面形状が溝形に形成されて、屋根パネル本体の側縁側の溝側板部が中央側の溝側板部よりも低く形成され、かつ中央側の溝側板部の上端に太陽電池モジュールの係合部を有するものとし、並設された屋根パネルの隣合う取付枠におけるパネル中央側の溝側板部間の隙間を蓋するジョイントカバーを設け、このジョイントカバーは、前記取付枠に取付けられる太陽電池モジュールの上面よりも下方に位置させ、前記取付枠におけるパネル中央側の溝側板部間の溝内側面にカバー係合部を設け、前記ジョイントカバーは断面形状が略ハット形のものであって、その両側縁を、並設された屋根パネルの隣合う取付枠における前記係合部に係合させ、このジョイントカバーの両側面と前記取付枠におけるパネル中央側の溝側板部の間に形成される溝形空間にガスケットを圧入し、かつ前記隣合う取付枠におけるパネル側縁側の溝側板部の間に第2のシール材を介在させた太陽電池付き屋根パネル間のジョイントシール構造。
- 並設された屋根パネルの隣合う取付枠を、互いに左右対称の断面形状とした請求項1記載の太陽電池付き屋根パネル間のジョイントシール構造。
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1999
- 1999-06-07 JP JP15891899A patent/JP4311817B2/ja not_active Expired - Fee Related
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