本発明は、集合住宅の共用玄関に設置されカメラを備える共用部装置から各住戸にそれぞれ設置される住戸機を選択して呼び出すことにより、共用部装置と住戸機との間で通信路を確立し、通信路の確立された住戸機が共用部装置からの映像信号を受け取るとともに共用部装置との間で通話可能となる集合住宅用テレビ付きインターホンシステムに関するものである。
従来から提供されている集合住宅用のテレビ付きインターホンシステムの構成例を図8に示す(特許文献1参照)。図示例では、集合住宅の共用玄関に設置される共用部装置(ロビーインターホン)1と、各住戸にそれぞれ配置される複数台の住戸機2とを備え、共用部装置1と住戸機2とが伝送線路を介して接続されている。伝送線路は、共用部装置1に接続される幹線L1と、各住戸機2にそれぞれ接続される住戸別線L2とを含み、幹線L1と各住戸別線L2との間にはそれぞれ分岐器3が介装される。さらに、図示例では幹線L1を複数系統(図では2系統)に分配するための分配器4が設けられている。
共用部装置1は、音声の入出力が可能な共用部通話装置11と、来訪者を撮像するTVカメラであるカメラ12と、来訪者により操作される選択装置13とを備える。また、住戸機2は、音声の入出力が可能な住戸機通話装置21と、カメラ12により撮像された映像を表示するモニタ22とを備える。選択装置13は住戸番号を指定する番号キーと呼出釦とを備え、共用部装置1において選択装置13の操作により住戸番号を選択して呼出釦を押下すると住戸番号に対応する住戸機2を選択したことになり、選択した住戸機2と共用部装置1との間で通信路が確立する。共用部装置1との通信路が確立した住戸機2では、住戸機通話装置21を用いて共用部通話装置11との間での通話が可能になるとともに、カメラ12で撮像された映像をモニタ22に表示することが可能になる。
伝送線路としては2対以上のペア線をシース内に備える多対ツイストペアケーブルを用いており、図示例では共用部通話装置11と住戸機通話装置21との間で音声信号を伝送するとともにカメラ12により撮像した映像情報を含む映像信号をモニタに伝送する共用線Ldと、選択装置13により選択された住戸機2を指定する制御信号を伝送する制御線Lcとにそれぞれペア線を用いている。つまり、図示例の伝送線路では2対のペア線を用いている。ここで、音声信号と映像信号と制御信号とは伝送中の信号形態が変化することがあるが、以下の説明では物理的な信号形態の変化によらず、情報内容が同じである信号を同名で呼ぶことにする。たとえば、後述するようにカメラ12から出力された信号はFM変調されるから、変調の前後では物理的な信号形態は変化するが、情報内容としてはカメラ12で撮像した映像情報に着目しており、着目する情報内容には変化がないから、以下の説明では変調の前後の信号をいずれも映像信号と呼ぶ。音声信号および制御信号についても同様である。
共用部装置1において、共用部通話装置11はマイクロホン11aおよびスピーカ11bからなり、マイクロホン11aとスピーカ11bとはそれぞれ増幅器14a,14bを介して音声回路14cに接続されている。音声回路14cは、2個の増幅器14a,14bと2線の共用線Ldとの間に挿入するために2線4線変換回路を含んでおり、マイクロホン11aからの音声信号を共用線Ldに送出し、共用線Ldからの音声信号をスピーカ11b側に出力する機能を有する。また、カメラ12から出力される映像信号は、FM変調回路15aにおいてFM変調された後に、増幅器15bおよび不平衡−平衡変換のための結合トランス15cを介して共用線Ldに送出される。共用部装置1には内部回路を制御するCPU10が設けられ、CPU10には選択装置13が接続されるとともに、制御線Lcとの間のインタフェースとなる制御信号送受信回路16が接続される。つまり、制御信号送受信回路16は、CPU10から出力された制御信号を制御線Lcに送出し、制御線Lcから受信した制御信号をCPU10に引き渡す機能を有する。共用部装置1の内部電源は、電源部17によって商用電源(交流100V)から生成される。
一方、住戸機2において、住戸機通話装置21はマイクロホン21aおよびスピーカ21bからなり、マイクロホン21aとスピーカ21bとはそれぞれ増幅器24a,24bを介して音声回路24cに接続されている。音声回路24cは、2個の増幅器24a,24bと2線の共用線Ldとの間に挿入するために2線4線変換回路を含んでおり、マイクロホン21aからの音声信号を共用線Ldに送出し、共用線Ldからの音声信号をスピーカ21b側に出力する機能を備えている。したがって、共用部装置1と住戸機2との間で共用線Ldを通して音声信号を授受することができ、来訪者が共用部装置1を用いるとともに居住者が住戸機2を用いることによって、来訪者と居住者との間で音声通話が可能になる。
住戸機2に設けた音声回路24cには、子器インタフェース23および子器接続線L3を介してドアホン子器5が接続される。ドアホン子器5は集合住宅の各住戸の玄関先に配置されるものであってマイクロホンおよびスピーカを備え、子器インタフェース23はドアホン子器5との通話のための音声双方向増幅回路や音声回路24cを接続するための開閉路回路などを備える。したがって、ドアホン子器5と住戸機通話装置21との間での通話が可能になっている。また、ドアホン子器5には呼出釦が設けられ、子器インタフェース23ではドアホン子器5での呼出釦の操作時に呼出音を音声回路24cに入力して、スピーカ21bから送出させる機能も備える。ドアホン子器5の電源は住戸機2に内蔵した子器電源部28aから電源重畳部28bを介して供給される。電源重畳部28bは音声信号伝送帯域に対するインピーダンスを高くして子器接続線L3に電源を重畳する回路である。ここに、子器接続線L3には伝送線路とは別シースのケーブルを用いるのが一般的であるが、伝送線路の中の1対のペア線を流用することも可能である。
住戸機2において、モニタ22には液晶表示器あるいはCRTが用いられる。共用線Ldを通して住戸機2に入力される映像信号は、平衡−不平衡変換のための結合トランス25cを介して増幅器25bに入力され、増幅器25bで増幅された後にFM復調回路25aにおいてFM復調される。FM復調回路25aから出力された映像信号は、モニタ22に入力されることによってモニタ22の画面に映像を表示する。つまり、共用部装置1のカメラ12において撮像された来訪者の映像が住戸機2のモニタ22に表示されるから、住戸内の居住者が来訪者を確認することができるのである。
ここで、上述のように音声信号と映像信号との両方で共用線Ldを用いるために、共用部装置1および住戸機2にはそれぞれ多重分離回路19,29を設けている。共用部装置1と住戸機2とにそれぞれ用いている多重分離回路19,29は同構成であって、音声回路24cと共用線Ldとの間に挿入される低周波通過部19a,29aと、結合トランス15c,25cと共用線Ldとの間に挿入される高周波通過部19b,29bとからなる。低周波通過部19a,29aは音声信号に対して低インピーダンスであって映像信号に対して高インピーダンスのものを用い、高周波通過部19b、29bは音声信号に対して高インピーダンスであって映像信号に対して低インピーダンスのものを用いる。図示例では、低周波通過部19a,29aとしてインダクタを用い、高周波通過部19b,29bとしてコンデンサを用いている。
住戸機2には内部回路を制御するCPU20が設けられ、CPU20には制御線Lcとのインタフェースとなる制御信号送受信回路26が接続される。制御信号送受信回路26は、CPU20から出力された制御信号を制御線Lcに送出し、制御線Lcから受信した制御信号をCPU20に引き渡す機能を有する。住戸機2の内部電源は、電源部27によって商用電源(交流100V)から生成される。
上述のようにして共用部装置1の選択装置13により選択された住戸機2が共用部装置1との間で通信路を確立している状態は、共用部装置1または住戸機2において通話終了が検出されると終了する。つまり、共用部装置1の共用部通話装置11または住戸機2の住戸機通話装置21にハンドセットを用いる場合にはハンドセットをオンフックすることによって通話終了を検知でき、ハンズフリーで通話する場合には適宜の操作釦を用いて通話終了を指示できる。
ところで、共用線Ldおよび制御線Lcは、分岐器3においては幹線L1と住戸別線L2とが直結され、分配器4においては各系統の幹線L1を直結している。したがって、共用部装置1から送出された制御信号は制御線Lcに接続されるすべての住戸機2に伝送される。ここに、住戸機2のCPU20には個別にアドレス(たとえば、住戸番号)が設定されており、共用部装置1に設けた選択装置13によってアドレスを選択することによって、アドレスを指定する制御信号をすべての住戸機2に伝送することが可能になっている。住戸機2のCPU20は、制御信号に含まれるアドレスが自己のアドレスであれば内部回路を作動させるように構成されており、したがって、共用部装置1と選択された住戸機2との間でのみ通話可能にすることが可能になるとともに、選択された住戸機2でのみカメラ12で撮像された来訪者をモニタ22に表示することが可能になる。
ここで、共用部装置1には電源部17から出力された直流電源を共用線Ldに重畳するための電源重畳部18を設けてある。また、住戸機2には、多重分離回路29の低周波通過部29aと共用線Ldとの間に閉結スイッチ29eを挿入し、さらに閉結スイッチ29eに抵抗R1を直列接続するとともに、閉結スイッチ29eと抵抗R1との直列回路を共用線Ldを構成する1対のペア線の線間に接続してある。低周波通過部29aと音声回路24cとの間には直流カット用のコンデンサC1が接続される。また、分配器4は、映像信号を増幅する増幅器41を備え、増幅器41には入力側と各系統に分配する出力側とにそれぞれ映像信号に対して低インピーダンスかつ音声信号に対して高インピーダンスとなる高周波通過部42,43a,43bが接続される。分配器4には、増幅器41および高周波通過部42,43a,43bを通る映像経路とは別に、高周波通過部42,43a,43bを通らずに増幅器41の入力側と出力側とを結合する2個の音声経路も設けられる。さらに、各音声経路にはそれぞれ音声信号に対して低インピーダンスであって映像信号に対して高インピーダンスとなる低周波通過部44a,44bが挿入される。図示例において、高周波通過部42,43a,43bにはコンデンサを用い、低周波通過部44a,44bにはインダクタを用いている。増幅器41の入力側と出力側とにおいて、増幅器41と各高周波通過部42,43a,43bとの間にそれぞれ分配器スイッチ45a,45b,46a,46bを挿入してあり、さらに各音声経路にそれぞれ電流検出手段としてのリレーコイル47a,47bを挿入してある。分配器スイッチ45a,46aは、リレーコイル47aに対応するリレー接点であって、リレーコイル47aに直流電流が流れるとオンになる。また、分配器スイッチ45b,46bは、リレーコイル47bに対応するリレー接点であって、リレーコイル47bに直流電流が流れるとオンになる。増幅器41の入力側に設けたスイッチ46a、46bは並列接続され、いずれか一方がオンになると高周波通過部42を増幅器41に接続する。また、増幅器41の出力側に設けた分配器スイッチ45a、45bは各系統の高周波通過部43a,43bと増幅器41との間に接続され、いずれか一方が択一的にオンになる。
このような構成の分配器4を用いると、共用部装置1の選択装置13によって特定の住戸機2が選択されたときに、当該住戸機2ではCPU20が閉結スイッチ29eをオンにするのであって、住戸機2において閉結スイッチ29eがオンになると、電源部17と抵抗R1とが直流的に接続され電源重畳部18との間に直流電流を通過させるループ回路が形成されるから、当該住戸機2に接続された系統の幹線L1においてリレーコイル47a,47bに直流電流が通過することになる。その結果、直流電流が通過するリレーコイル47a,47bに対応する系統において分配器スイッチ45a,45b,46a,46bがオンになり、リレーコイル47a,47bに直流電流が流れていない系統の分配器スイッチ45a,45b,46a,46bはオフに保たれる。その結果、共用部装置1が選択した住戸機2を含む系統の幹線L1のみで音声信号および映像信号が伝送されるのであって、他方の幹線L1が接続されることによる伝送線路のインピーダンスの低下を抑制することができ、音声信号の減衰を少なくすることができる。
特開2004−186834号公報
ところで、この種のインターホンシステムでは、通常、共用部装置1と何れかの住戸機2との間で音声信号および映像信号が伝送されている動作期間よりも、音声信号および映像信号が全く伝送されていない待機期間の方が十分に長いと考えられる。しかるに上記従来例においては、待機期間であっても分配器4の増幅器41が動作しているために無駄な電力を消費してしまうという問題があった。
本発明は上記事情に鑑みて為されたものであり、その目的は、分配器における無駄な電力消費を抑えて省電力化が図れる集合住宅用テレビ付きインターホンシステムを提供することにある。
請求項1の発明は、上記目的を達成するために、集合住宅の共用玄関に配置され音声の入出力が可能な共用部通話装置および来訪者を撮像するカメラを備える共用部装置と、集合住宅の各住戸にそれぞれ配置され共用部装置とは伝送線路を介して接続されるとともに共用部装置に付設した選択装置を来訪者が操作することにより選択されると共用部装置との間で通信路を確立する複数台の住戸機とを備え、住戸機は、共用部装置のカメラにより撮像された映像を表示するモニタと、共用部通話装置との間で音声通話が可能な住戸機通話装置とを備え、伝送線路は、共用部装置に接続された幹線と各住戸機に接続された住戸別線とを含むとともに幹線を複数系統に分配する分配器を有し、幹線および各住戸別線は、少なくとも選択装置の操作に伴って発生する制御信号を伝送する制御線と、音声を伝送する音声信号および音声信号よりも高周波であって映像を伝送する映像信号とを周波数多重化した信号を伝送する共用線とからなり、共用部装置は、共用線に直流電源を重畳する電源重畳部を備え、分配器は、共用線に重畳された直流電源から動作電源を作成する電源作成手段と、何れかの住戸機と共用部装置との間で通信路が確立されたことを検出したときにのみ電源作成手段を動作させる制御手段とを有することを特徴とする。
請求項2の発明は、請求項1の発明において、前記分配器は、映像信号に対して低インピーダンスであって音声信号に対して高インピーダンスである高周波通過部が挿入された映像経路と、音声信号に対して低インピーダンスであって映像信号に対して高インピーダンスである低周波通過部が挿入され各系統の幹線毎に設けられた複数の音声経路と、各音声経路に挿入された常閉の分配器スイッチと、共用線から電源作成手段への直流電源の供給経路に挿入された常開の電源スイッチとを備え、前記制御手段は、いずれかの幹線に対応する前記音声経路に流れる直流電流を検出すると当該幹線に対応しない分配器スイッチを開放するとともに電源スイッチを閉成し直流電流を検出しないときには電源スイッチを開放し、前記住戸機は、共用部装置による選択時に直流電源との間で音声経路に直流電流を流すループ回路を閉成するように制御され非選択時にはループ回路を開放する閉結スイッチを備えることを特徴とする。
請求項3の発明は、請求項1の発明において、前記分配器は、映像信号に対して低インピーダンスであって音声信号に対して高インピーダンスである高周波通過部が挿入された映像経路と、音声信号に対して低インピーダンスであって映像信号に対して高インピーダンスである低周波通過部が挿入され各系統の幹線毎に設けられた複数の音声経路と、各音声経路に挿入された常閉の分配器スイッチと、共用線から電源作成手段への直流電源の供給経路に挿入された常開の電源スイッチとを備え、前記制御手段は、いずれかの幹線に対応する前記音声経路に直流の電圧変動を検出すると当該幹線に対応しない分配器スイッチを開放するとともに電源スイッチを閉成し直流の電圧変動を検出しないときには電源スイッチを開放し、前記住戸機は、共用部装置による選択時に直流電源との間で音声経路に直流の電圧変動を生じさせる手段を備えることを特徴とする。
請求項4の発明は、請求項1の発明において、前記分配器は、映像信号に対して低インピーダンスであって音声信号に対して高インピーダンスである高周波通過部が挿入された映像経路と、音声信号に対して低インピーダンスであって映像信号に対して高インピーダンスである低周波通過部が挿入され各系統の幹線毎に設けられた複数の音声経路と、各音声経路に挿入された常閉の分配器スイッチと、共用線から電源作成手段への直流電源の供給経路に挿入された常開の電源スイッチとを備え、前記制御手段は、いずれかの幹線に対応する前記音声経路に流れる直流電流を検出し且つ当該音声経路に直流の電圧変動を検出すると当該幹線に対応しない分配器スイッチを開放するとともに電源スイッチを閉成し直流電流又は直流の電圧変動の少なくとも何れか一方を検出しないときには電源スイッチを開放し、前記住戸機は、共用部装置による選択時に直流電源との間で音声経路に直流電流を流すループ回路を閉成するように制御され非選択時にはループ回路を開放する閉結スイッチと、ループ回路を閉成する際に前記音声経路に直流の電圧変動を生じさせる手段とを備えることを特徴とする。
請求項1の発明によれば、分配器では、共用線に重畳された直流電源から動作電源を作成する電源作成手段が、何れかの住戸機と共用部装置との間で通信路が確立されたときにのみ動作し、通信路が確立されていないときには動作しないように制御手段によって制御されるため、分配器における無駄な電力消費を抑えて省電力化が図れるという効果がある。
請求項2の発明によれば、請求項1の発明の効果に加えて、共用部装置が選択した住戸機を含む系統の幹線のみで音声信号が伝送されるから、他の系統の幹線に音声信号が伝送されることによる伝送線路のインピーダンスの低下を抑制することができ、音声信号の減衰を少なくすることができるという効果がある。
請求項3の発明によれば、請求項1の発明の効果に加えて、共用部装置が選択した住戸機を含む系統の幹線のみで音声信号が伝送されるから、他の系統の幹線に音声信号が伝送されることによる伝送線路のインピーダンスの低下を抑制することができ、音声信号の減衰を少なくすることができるという効果がある。さらに、請求項2の発明のようにループ回路に直流電流を流す場合に比較して動作時の電力消費が低減できるという効果がある。
請求項4の発明によれば、請求項1の発明の効果に加えて、共用部装置が選択した住戸機を含む系統の幹線のみで音声信号が伝送されるから、他の系統の幹線に音声信号が伝送されることによる伝送線路のインピーダンスの低下を抑制することができ、音声信号の減衰を少なくすることができるという効果がある。しかも、いずれかの幹線に対応する前記音声経路に流れる直流電流を検出し且つ当該音声経路に直流の電圧変動を検出したときにのみ当該幹線に対応する分配器スイッチ並びに電源スイッチを閉成するため、誤動作を防いで確実に分配器の動作状態を切り換えることができるという効果がある。
(実施形態1)
本実施形態は、図1に示すように分配器4の構成に特徴があり、その他の構成については図8に示した従来構成と共通である。従って、従来構成と共通の構成については同一の符号を付して説明を省略する。
本実施形態における分配器4は、映像信号を増幅する増幅器41を備え、増幅器41には入力側と各系統に分配する出力側とにそれぞれ映像信号に対して低インピーダンスかつ音声信号に対して高インピーダンスとなる高周波通過部42,43a,43bが接続される。分配器4には、増幅器41および高周波通過部42,43a,43bを通る映像経路とは別に、高周波通過部42,43a,43bを通らずに増幅器41の入力側と出力側とを結合する2個の音声経路も設けられる。さらに、各音声経路にはそれぞれ音声信号に対して低インピーダンスであって映像信号に対して高インピーダンスとなる低周波通過部44a,44bが挿入される。尚、本実施形態では、高周波通過部42,43a,43bにはコンデンサを用い、低周波通過部44a,44bにはインダクタを用いている。各音声経路には、それぞれ分配器スイッチ48a,48bと、音声経路に流れる直流電流を検出して分配器スイッチ48a,48bを開閉する制御回路部47a,47bとが挿入してある。また分配器4には、共用線Ldに重畳された直流電圧を分離して定電圧化する受電回路50と、受電回路50で定電圧化された直流電圧から制御回路部47a,47bの動作電源を作成する第1の内部電源回路51と、同じく前記直流電圧から増幅器41の動作電源を作成する第2の内部電源回路52と、受電回路50から第2の内部電源回路52への給電路に挿入されて制御回路部47a,47bによって開閉される電源スイッチ49とが設けられている。
制御回路部47a,47bは共通の構成を有し、図2に示すように共用線Ldに直列に挿入された検出抵抗Rxと、共用線Ldに流れる直流電流によって検出抵抗Rxに生じる電圧降下(検出電圧)を増幅するアンプAPと、アンプAPで増幅された検出電圧を基準値と比較し、検出電圧が基準値を超えるときに出力がHレベルとなり検出電圧が基準値以下のときに出力がLレベルとなるコンパレータCPと、NPN型のバイポーラトランジスタからなりコンパレータCPの出力がHレベルのときにオン、Lレベルのときにオフとなるスイッチング素子Qと、第1の内部電源回路51とスイッチング素子Qとの間に挿入され、スイッチング素子Qがオンして励磁電流が流れると常閉のリレー接点からなる分配器スイッチ48a又は48bを開成する分配器側リレーRy1と、スイッチング素子Qがオンして励磁電流が流れると常開のリレー接点からなる電源スイッチ49を閉成する電源側リレーRy2とを具備する。分配器スイッチ48aは、制御回路部47aが具備する分配器側リレーRy1に対応する常閉のリレー接点であって、一方の系統の幹線L11に直流電流が流れるとオフになる。また、分配器スイッチ48bは、制御回路部47bが具備する分配器側リレーRy2に対応する常閉のリレー接点であって、他方の系統の幹線L12に直流電流が流れるとオフになる。電源スイッチ49は、2つの制御回路部47a,47bが共通に具備する電源側リレーRy2に対応する常開のリレー接点であって、何れかの系統の幹線L11,L12に直流電流が流れるとオンになる。すなわち、分配器4が備える増幅器41は、制御回路部47a,47bが共用線Ldに流れる直流電流を検出して電源スイッチ49をオンしたときにだけ第2の内部電源回路52から電源供給されて動作し、全ての住戸機2で閉結スイッチ29eがオフとなって共用線Ldに直流電流が流れない期間(待機期間)には電源スイッチ49がオフするために動作しないことになる。尚、分配器スイッチ48a,48bに対応する2つの分配器側リレーRy1と電源側リレーRy2とは何れもシングルスティブル型であって、励磁電流が流れているときにリレー接点を開閉し、励磁電流が流れていないときはリレー接点を開閉しない。
このような構成の分配器4を用いると、共用部装置1の選択装置13によって特定の住戸機2が選択されたときに、当該住戸機2ではCPU20が閉結スイッチ29eをオンにするのであって、例えば、一方の幹線L11に接続された住戸機2において閉結スイッチ29eがオンになると、電源部17と定電流素子D1とが直流的に接続され電源重畳部18との間に直流電流を通過させるループ回路が形成されるから、当該住戸機2に接続された系統の幹線L11において制御回路部47aの検出抵抗Rxに直流電流が通過することになる。その結果、直流電流が通過する制御回路部47aにおいてコンパレータCPの出力がHレベルとなってスイッチング素子Qがオンとなり、分配器側リレーRy1が励磁されて分配器スイッチ48aがオフになるとともに電源側リレーRy2も励磁されて電源スイッチ49がオンとなり、直流電流が流れない他方の幹線L12に対応した制御回路部47bにおいてはコンパレータCPの出力がLレベルのままとなってスイッチング素子Qがオフに維持され、分配器側リレーRy1が励磁されずに分配器スイッチ48bがオンに保たれる。反対に、他方の幹線L12に接続された住戸機2において閉結スイッチ29eがオンになると、電源部17と定電流素子D1とが直流的に接続され電源重畳部18との間に直流電流を通過させるループ回路が形成されるから、当該住戸機2に接続された系統の幹線L12において制御回路部47bの検出抵抗Rxに直流電流が通過することになる。その結果、直流電流が通過する制御回路部47bにおいてコンパレータCPの出力がHレベルとなってスイッチング素子Qがオンとなり、分配器側リレーRy1が励磁されて分配器スイッチ48bがオフになるとともに電源側リレーRy2も励磁されて電源スイッチ49がオンとなり、直流電流が流れない方の幹線L11に対応した制御回路部47aにおいてはコンパレータCPの出力がLレベルのままとなってスイッチング素子Qがオフに維持され、分配器側リレーRy1が励磁されずに分配器スイッチ48aがオンに保たれる。その結果、共用部装置1が選択した住戸機2を含む系統の幹線L11(又はL12)のみで音声信号および映像信号が伝送されるのであって、他方の幹線L12(又はL11)が接続されることによる伝送線路のインピーダンスの低下を抑制することができ、音声信号の減衰を少なくすることができる。さらに、比較的に大きな電力を消費する増幅器41が何れかの幹線L11,L12で音声信号および映像信号が伝送される期間(動作期間)にしか第2の内部電源回路52から電源供給されないから、待機期間において無駄な電力を消費することがなく、分配器4における無駄な電力消費を抑えて省電力化が図れるものである。
(実施形態2)
本実施形態では、図3に示すように住戸機2の多重分離回路29において、抵抗R1と第2の閉結スイッチ29fの直列回路が共用線Ldの線間に閉結スイッチ29eと並列に挿入され、共用部装置1において、電源部17と電源重畳部18との間に抵抗R2が挿入され、さらに分配器4には、共用線Ld(音声経路)の線間に生じる電圧変動を検出して分配器スイッチ48a,48bおよび電源スイッチ49を開閉する制御回路部47c,47dが設けてある。第2の閉結スイッチ29fは、CPU20により制御され、常時はオフであるが、共用部装置1の選択装置13によって選択されたときに、閉結スイッチ29eに先だって短時間だけオンされる。すなわち、図4に示すように第2の閉結スイッチ29fのオン期間T1では、電源部17と抵抗R1,R2とが直流的に接続され電源重畳部18との間に直流電流を通過させるループ回路が形成されるから、当該住戸機2に接続された系統の幹線L11又はL12において共用線Ldの線間電圧VLdが低下することになる。
分配器4における制御回路部47c,47dは共通の構成を有し、図5に示すように共用線Ldから低周波の線間電圧を取り出すフィルタ回路LPFと、フィルタ回路LPFで取り出された線間電圧を全波整流するダイオードブリッジDBと、ダイオードブリッジDBの直流出力を分圧する分圧抵抗R3,R4と、分圧抵抗R3,R4で分圧された線間電圧(検出電圧)を基準値と比較し、検出電圧が基準値を超えるときに出力がLレベルとなり検出電圧が基準値以下のときに出力がHレベルとなるコンパレータCPと、NPN型のバイポーラトランジスタからなりコンパレータCPの出力がHレベルのときにオン、Lレベルのときにオフとなるスイッチング素子Qと、2巻線ラッチング型であってスイッチング素子Qがオンする度毎にリレー接点からなる分配器スイッチ48a又は48bを開閉する分配器側リレーRy3と、同じく2巻線ラッチング型であってスイッチング素子Qがオンする度毎にリレー接点からなる電源スイッチ49を開閉する電源側リレーRy4とを具備する。但し、制御回路部47c,47dにおいて検出電圧が基準値を超えたことを保持できる構成とすれば、分配器側リレーRy3と電源側リレーRy4をシングルスティブル型とすることも可能である。
このような構成の分配器4を用いると、共用部装置1の選択装置13によって特定の住戸機2が選択されたときに、当該住戸機2ではCPU20が閉結スイッチ29eをオンする前に第2の閉結スイッチ29fを短時間だけオンするのであって、例えば、一方の幹線L11に接続された住戸機2において第2の閉結スイッチ29fがオンになると、電源部17と抵抗R1,R2とが直流的に接続され電源重畳部18との間に直流電流を通過させるループ回路が形成されるから、当該住戸機2に接続された系統の幹線L11において共用線Ldの線間電圧VLdが低下することになる(図4参照)。その結果、当該幹線L11の共用線Ldに挿入されている制御回路部47cにおいて線間電圧VLdの低下によりコンパレータCPの出力がHレベルとなってスイッチング素子Qがオンとなり、分配器側リレーRy3のリセットコイルが励磁されて分配器スイッチ48aがオフになるとともに電源側リレーRy4のセットコイルが励磁されて電源スイッチ49がオンとなり、線間電圧VLdが変動しない他方の幹線L12に対応した制御回路部47dにおいてはコンパレータCPの出力がHレベルのままとなってスイッチング素子Qがオフに維持され、分配器側リレーRy3のセットコイルおよびリセットコイルが励磁されずに分配器スイッチ48bがオンに保たれる。反対に、他方の幹線L12に接続された住戸機2において第2の閉結スイッチ29fが短時間だけオンになると、電源部17と抵抗R1,R2とが直流的に接続され電源重畳部18との間に直流電流を通過させるループ回路が形成されるから、当該住戸機2に接続された系統の幹線L12において共用線Ldの線間電圧VLdが低下することになる。その結果、当該幹線L12の共用線Ldに挿入されている制御回路部47dにおいて線間電圧VLdの低下によりコンパレータCPの出力がHレベルとなってスイッチング素子Qがオンとなり、分配器側リレーRy3のリセットコイルが励磁されて分配器スイッチ48bがオフになるとともに電源側リレーRy4のセットコイルが励磁されて電源スイッチ49がオンとなり、線間電圧VLdが変動しない幹線L11に対応した制御回路部47cにおいてはコンパレータCPの出力がHレベルのままとなってスイッチング素子Qがオフに維持され、分配器側リレーRy3のセットコイルおよびリセットコイルが励磁されずに分配器スイッチ48aがオンに保たれる。そして、選択された住戸機2では、CPU20が第2の閉結スイッチ29fを短時間だけオンした後に閉結スイッチ29eをオンし、このときには共用線Ldの線間電圧VLdに変動が生じないために分配器スイッチ48a,48bと電源スイッチ49の状態は変化しない。従って、実施形態1と同様に共用部装置1が選択した住戸機2を含む系統の幹線L11(又はL12)のみで音声信号および映像信号が伝送され、他方の幹線L12(又はL11)が接続されることによる伝送線路のインピーダンスの低下を抑制することができ、音声信号の減衰を少なくできるとともに、増幅器41が動作期間にしか第2の内部電源回路52から電源供給されないから、待機期間において無駄な電力を消費することがなく、分配器4における無駄な電力消費を抑えて省電力化が図れるものである。尚、選択された住戸機2と共用部装置1との間の通話が終了すると、住戸機2ではCPU20が閉結スイッチ29eをオフした後に第2の閉結スイッチ29fを短時間だけオンして共用線Ldの線間電圧VLdに変動を生じさせ、この電圧変動を検出した制御回路部47c又は47dがオフしていた分配器スイッチ48a又は48bをオンするとともにオンしていた電源スイッチ49をオフする。
而して、実施形態1の制御回路部47a,47bでは、直流電流を検出するために共用線Ldに挿入する検出抵抗Rxの抵抗値が数Ωとすると、電流検出のためにループ回路に流すべき直流の電流値が数10mA以上は必要になるが、本実施形態の制御回路部47c,47dでは、共用線Ldの線間電圧VLdをコンパレータCPで検出するため、ループ回路に流すべき直流電流の電流値は分圧抵抗R3,R4での消費分くらいであるから、ほんの1mA程度で十分であり、実施形態1に比較して電力消費をさらに抑えることが可能である。さらに分配器スイッチ48a,48bおよび電源スイッチ49をオン・オフする分配器側リレーRy3および電源側リレーRy4を2巻線ラッチング型としているから、励磁電流を常時流す必要がない点でシングルスティブル型の分配器側リレーRy1および電源側リレーRy2を用いている実施形態1よりも省電力化が図れるという利点がある。
(実施形態3)
本実施形態では、図6に示すように住戸機2の多重分離回路29において、抵抗R1と第2の閉結スイッチ29fの直列回路と、定電流素子D1と第3の閉結スイッチ29gの直列回路とが共用線Ldの線間に低周波通過部29aと並列に挿入され、共用部装置1において、電源部17と電源重畳部18との間に抵抗R2が挿入され、さらに分配器4には、共用線Ldの線間に生じる電圧変動と共用線Ldに流れる直流電流を検出して分配器スイッチ54a,54bおよび電源スイッチ55を開閉する制御回路部53a,53bが設けてある。第2の閉結スイッチ29fは、CPU20により制御され、常時はオフであるが、共用部装置1の選択装置13によって選択されたときに、閉結スイッチ29eがオンされた後に短時間だけオンされ、第3の閉結スイッチ29gは、同じくCPU20により制御され、第2の閉結スイッチ29fが短時間だけオンされた後にオンされる。すなわち、実施形態2と同様に第2の閉結スイッチ29fのオン期間T1では、電源部17と抵抗R1,R2とが直流的に接続され電源重畳部18との間に直流電流を通過させるループ回路が形成されるから、当該住戸機2に接続された系統の幹線L11又はL12において共用線Ldの線間電圧VLdが低下することになる。また第3の閉結スイッチ29gがオンすれば、実施形態1と同様に前記ループ回路が形成されて直流電流が流れる。
分配器4における制御回路部53a,53bは共通の構成を有し、図7に示すように検出抵抗Rx、アンプAP、コンパレータCP1、スイッチング素子Q1、分配器側リレーRy1、電源側リレーRy2からなる実施形態1の制御回路部47a,47bと同じ構成と、フィルタ回路LPF、ダイオードブリッジDB、分圧抵抗R3,R4、コンパレータCP2、スイッチング素子Q2、分配器側リレーRy3、電源側リレーRy4からなる実施形態2の制御回路部47c,47dと同じ構成とを具備する。
分配器スイッチ54a,54bは、図7に示すように共用線Ldを構成する1対のペア線に各々挿入された一対のリレー接点r1,r2からなり、一方のリレー接点r1はシングルスティブル型の分配器側リレーRy1によって開閉され、他方のリレー接点r2は2巻線ラッチング型の分配器側リレーRy3によって開閉される。尚、図示は省略するが電源スイッチ55も分配器スイッチ54a,54bと同様に受電回路50から第2の内部電源回路52への給電路に対して直列に挿入された一対のリレー接点からなり、一方のリレー接点がシングルスティブル型の電源側リレーRy2によって開閉され、他方のリレー接点が2巻線ラッチング型の電源側リレーRy4によって開閉される。
このような構成の分配器4を用いると、共用部装置1の選択装置13によって特定の住戸機2が選択されたときに、当該住戸機2ではCPU20が閉結スイッチ29eをオンした後に第2の閉結スイッチ29fを短時間だけオンし、さらにその後に第3の閉結スイッチ29gをオンするのであって、例えば、一方の幹線L11に接続された住戸機2において第2の閉結スイッチ29fがオンになると、実施形態2で説明したように当該幹線L11の共用線Ldに挿入されている制御回路部53aにおいて線間電圧VLdの低下によりコンパレータCP2の出力がHレベルとなってスイッチング素子Q2がオンとなり、分配器側リレーRy3のリセットコイルが励磁されて分配器スイッチ54aの一方のリレー接点r2がオフになるとともに電源側リレーRy4のセットコイルが励磁されて電源スイッチ55の一方のリレー接点がオンとなり、線間電圧VLdが変動しない他方の幹線L12に対応した制御回路部53bにおいてはコンパレータCP2の出力がHレベルのままとなってスイッチング素子Q2がオフに維持され、分配器側リレーRy3のセットコイルおよびリセットコイルが励磁されずに分配器スイッチ54bのリレー接点r1,r2がオンに保たれる。そして、住戸機2において第3の閉結スイッチ29gがオンになると、実施形態1で説明したように当該住戸機2に接続された系統の幹線L11において制御回路部53aの検出抵抗Rxに直流電流が通過し、コンパレータCP1の出力がHレベルとなってスイッチング素子Q1がオンとなり、分配器側リレーRy1が励磁されて分配器スイッチ54aの他方のリレー接点r1がオフになるとともに電源側リレーRy2も励磁されて電源スイッチ55の他方のリレー接点がオンとなり、直流電流が流れない他方の幹線L12に対応した制御回路部53bにおいてはコンパレータCP1の出力がLレベルのままとなってスイッチング素子Q1がオフに維持され、分配器側リレーRy1が励磁されずに分配器スイッチ54bのリレー接点r1,r2がオンに保たれる。
反対に、当該幹線L12の共用線Ldに挿入されている制御回路部54aにおいて線間電圧VLdの低下によりコンパレータCP2の出力がHレベルとなってスイッチング素子Q2がオンとなり、分配器側リレーRy3のリセットコイルが励磁されて分配器スイッチ54bの一方のリレー接点r2がオフになるとともに電源側リレーRy4のセットコイルが励磁されて電源スイッチ55の一方のリレー接点がオンとなり、線間電圧VLdが変動しない他方の幹線L11に対応した制御回路部53aにおいてはコンパレータCP2の出力がHレベルのままとなってスイッチング素子Q2がオフに維持され、分配器側リレーRy3のセットコイルおよびリセットコイルが励磁されずに分配器スイッチ54aのリレー接点r1,r2がオンに保たれる。そして、住戸機2において第3の閉結スイッチ29gがオンになると、当該住戸機2に接続された系統の幹線L12において制御回路部53bの検出抵抗Rxに直流電流が通過し、コンパレータCP1の出力がHレベルとなってスイッチング素子Q1がオンとなり、分配器側リレーRy1が励磁されて分配器スイッチ54bの他方のリレー接点r1がオフになるとともに電源側リレーRy2も励磁されて電源スイッチ55の他方のリレー接点がオンとなり、直流電流が流れない他方の幹線L11に対応した制御回路部53aにおいてはコンパレータCP1の出力がLレベルのままとなってスイッチング素子Q1がオフに維持され、分配器側リレーRy1が励磁されずに分配器スイッチ54aのリレー接点r1,r2がオンに保たれる。
而して本実施形態における制御回路部53a,53bは、共用線Ldの線間電圧VLdに生じる電圧変動を検出した後に検出抵抗Rxに直流電流が通過したことを検出した場合に選択された住戸機2が接続された系統の幹線L11又はL12に挿入された分配器スイッチ54a又は54bを開閉するとともに電源スイッチ55をオンして増幅器41を動作させるため、ノイズなどが原因で共用線Ld(音声経路)の線間電圧VLdが変動することがあっても直流電流が検出抵抗Rxに流れなければ分配器スイッチ54a,54bや電源スイッチ55をオンすることがなく、誤動作を防いで確実に分配器4の動作状態を切り換えることができる。
本発明の実施形態1を示すブロック図である。
同上における分配器の制御回路部を示す回路構成図である。
本発明の実施形態2を示すブロック図である。
同上の動作説明図である。
同上における分配器の制御回路部を示す回路構成図である。
本発明の実施形態3を示すブロック図である。
同上における分配器の制御回路部を示す回路構成図である。
従来例を示すブロック図である。
符号の説明
1 共用部装置
2 住戸機
3 分岐器
4 分配器
41 増幅器
45a,45b 制御回路部
48a,48b 分配器スイッチ
49 電源スイッチ
50 受電回路
51 第1の内部電源回路
52 第2の内部電源回路