JP3864895B2 - 集合住宅用テレビ付きインターホンシステム - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、集合住宅の共用玄関に設置されカメラを備える共用部装置から各住戸にそれぞれ設置される住戸機を選択して呼び出すことにより、共用部装置と住戸機との間で通信路を確立し、通信路の確立された住戸機が共用部装置からの映像信号を受け取るとともに共用部装置との間で通話可能となる集合住宅用テレビ付きインターホンシステムに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来から提供されている集合住宅用のテレビ付きインターホンシステムの構成例を図3に示す。図示例では、集合住宅の共用玄関に設置される共用部装置(ロビーインターホン)1と、各住戸にそれぞれ配置される複数台の住戸機2とを備え、共用部装置1と住戸機2とが伝送線路を介して接続されている。伝送線路は、共用部装置1に接続される幹線L1と、各住戸機2にそれぞれ接続される住戸別線L2とを含み、幹線L1と各住戸別線L2との間にはそれぞれ分岐器3が介装される。さらに、図示例では幹線L1を複数系統(図では2系統)に分配するための分配器4が設けられている。
【0003】
共用部装置1は、音声の入出力が可能な子器通話装置11と、来訪者を撮像するTVカメラであるカメラ12と、来訪者により操作される選択装置13とを備える。また、住戸機2は、音声の入出力が可能な住戸機通話装置21と、カメラ12により撮像された映像を表示するモニタ22とを備える。選択装置13は住戸番号を指定する番号キーと呼出釦とを備え、共用部装置1において選択装置13の操作により住戸番号を選択して呼出釦を押下すると住戸番号に対応する住戸機2を選択したことになり、選択した住戸機2と共用部装置1との間で通信路が確立する。共用部装置1との通信路が確立した住戸機2では、住戸機通話装置21を用いて子器通話装置11との間での通話が可能になるとともに、カメラ12で撮像された映像をモニタ22に表示することが可能になる。
【0004】
伝送線路としては3対以上のペア線をシース内に備える多対ツイストペアケーブルを用いており、図示例では子器通話装置11と住戸機通話装置21との間で音声信号を伝送する通話線Laと、カメラ12により撮像した映像情報を含む映像信号をモニタに伝送する映像線Lbと、選択装置13により選択された住戸機2を指定する制御信号を伝送する制御線Lcとにそれぞれペア線を用いている。つまり、図示例の伝送線路では3対のペア線を用いている。ここで、音声信号と映像信号と制御信号とは伝送中の信号形態が変化することがあるが、以下の説明では物理的な信号形態の変化によらず、情報内容が同じである信号を同名で呼ぶことにする。たとえば、後述するようにカメラ12から出力された信号はFM変調されるから、変調の前後では物理的な信号形態は変化するが、情報内容としてはカメラ12で撮像した映像情報に着目しており、着目する情報内容には変化がないから、以下の説明では変調の前後の信号をいずれも映像信号と呼ぶ。音声信号および制御信号についても同様である。
【0005】
共用部装置1において、子器通話装置11はマイクロホン11aおよびスピーカ11bからなり、マイクロホン11aとスピーカ11bとはそれぞれ増幅器14a,14bを介して音声回路14cに接続されている。音声回路14cは、2個の増幅器14a,14bと2線の音声線Laとの間に挿入するために2線4線変換回路を含んでおり、マイクロホン11aからの音声信号を音声線Laに送出し、音声線Laからの音声信号をスピーカ11b側に出力する機能を有する。また、カメラ12から出力される映像信号は、FM変調回路15aにおいてFM変調された後に、増幅器15bおよび不平衡−平衡変換のための結合トランス15cを介して映像線Lbに送出される。共用部装置1には内部回路を制御するCPU10が設けられ、CPU10には選択装置13が接続されるとともに、制御線Lcとの間のインタフェースとなる制御信号送受信回路16が接続される。つまり、制御信号送受信回路16は、CPU10から出力された制御信号を制御線Lcに送出し、制御線Lcから受信した制御信号をCPU10に引き渡す機能を有する。共用部装置1の内部電源は、電源部17によって商用電源(交流100V)から生成される。
【0006】
一方、住戸機2において、住戸機通話装置21はマイクロホン21aおよびスピーカ21bからなり、マイクロホン21aとスピーカ21bとはそれぞれ増幅器24a,24bを介して音声回路24cに接続されている。音声回路24cは、2個の増幅器24a,24bと2線の音声線Laとの間に挿入するために2線4線変換回路を含んでおり、マイクロホン21aからの音声信号を音声線Laに送出し、音声線Laからの音声信号をスピーカ21b側に出力する機能を備えている。したがって、共用部装置1と住戸機2との間で音声線Laを通して音声信号を授受することができ、来訪者が共用部装置1を用いるとともに居住者が住戸機2を用いることによって、来訪者と居住者との間で音声通話が可能になる。
【0007】
住戸機2に設けた音声回路24cには、子器インタフェース23および子器接続線L3を介してドアホン子器5が接続される。ドアホン子器5は集合住宅の各住戸の玄関先に配置されるものであってマイクロホンおよびスピーカを備え、子器インタフェース23はドアホン子器5との通話のための音声双方向増幅回路や音声回路24cを接続するための開閉路回路などを備える。したがって、ドアホン子器5と住戸機通話装置21との間での通話が可能になっている。また、ドアホン子器5には呼出釦が設けられ、子器インタフェース23ではドアホン子器5での呼出釦の操作時に呼出音を音声回路24cに入力して、スピーカ21bから送出させる機能も備える。ドアホン子器5の電源は住戸機2に内蔵した子器電源部28aから電源重畳部28bを介して供給される。電源重畳部28bは音声信号伝送帯域に対するインピーダンスを高くして子器接続線L3に電源を重畳する回路である。ここに、子器接続線L3には伝送線路とは別シースのケーブルを用いるのが一般的であるが、伝送線路の中の1対のペア線を流用することも可能である。
【0008】
住戸機2において、モニタ22には液晶表示器あるいはCRTが用いられる。映像線Lbを通して住戸機2に入力される映像信号は、平衡−不平衡変換のための結合トランス25cを介して増幅器25bに入力され、増幅器25bで増幅された後にFM復調回路25aにおいてFM復調される。FM復調回路25aから出力された映像信号は、モニタ22に入力されることによってモニタ22の画面に映像を表示する。つまり、共用部装置1のカメラ12において撮像された来訪者の映像が住戸機2のモニタ22に表示されるから、住戸内の居住者が来訪者を確認することができるのである。
【0009】
住戸機2には内部回路を制御するCPU20が設けられ、CPU20には制御線Lcとのインタフェースとなる制御信号送受信回路26が接続される。制御信号送受信回路26は、CPU20から出力された制御信号を制御線Lcに送出し、制御線Lcから受信した制御信号をCPU20に引き渡す機能を有する。住戸機2の内部電源は、電源部27によって商用電源(交流100V)から生成される。
【0010】
上述のようにして共用部装置1の選択装置13により選択された住戸機2が共用部装置1との間で通信路を確立している状態は、共用部装置1または住戸機2において通話終了が検出されると終了する。つまり、共用部装置1の子器通話装置11または住戸機2の住戸機通話装置21にハンドセットを用いる場合にはハンドセットをオンフックすることによって通話終了を検知でき、ハンズフリーで通話する場合には適宜の操作釦を用いて通話終了を指示できる。
【0011】
ところで、通話線Laおよび制御線Lcは、分岐器3においては幹線Laと住戸別線L2とが直結され、分配器4においては各系統の幹線L1を直結している。したがって、共用部装置1から送出された制御信号は制御線Lcに接続されるすべての住戸機2に伝送される。ここに、住戸機2のCPU20には個別にアドレス(たとえば、住戸番号)が設定されており、共用部装置1に設けた選択装置13によってアドレスを選択することによって、アドレスを指定する制御信号をすべての住戸機2に伝送することが可能になっている。住戸機2のCPU20は、制御信号に含まれるアドレスが自己のアドレスであれば内部回路を作動させるように構成されており、したがって、共用部装置1と選択された住戸機2との間でのみ通話可能にすることが可能になるとともに、選択された住戸機2でのみカメラ12で撮像された来訪者をモニタ22に表示することが可能になる。ただし、映像線Lbに関しては、分岐器3において幹線L1と住戸別線L2との間に分岐トランス39が挿入され、分配器4において各系統の幹線L1の間に分配トランス41が挿入される。分岐トランス41は、幹線L1側のインピーダンスが映像線Lbの特性インピーダンスより十分高く、住戸別線L2側のインピーダンスが映像線Lbの特性インピーダンスに整合するように設計されている。
【0012】
上述したように、集合住宅用のテレビ付きインターホンシステムでは、音声信号と映像信号と制御信号とを伝送線路で伝送する必要があり、音声信号と映像信号と制御信号とを各別の経路で伝送する構成が採用されている。つまり、伝送線路において、音声線Laと映像線Lbと制御線Lcとの3対のペア線が必要であって、伝送線路として多対ツイストペアケーブルを用いるから伝送線路が硬く曲がりにくくなり、結果的に伝送線路の引き回しが難しく配線施工に手間がかかるという問題がある。また、比較的高価である多対ツイストペアケーブルを集合住宅の全体に亘って引き回す長距離の伝送線路に用いることになるから、インターホンシステムが高コストになるという問題もある。その上、共用部装置1および住戸機2において伝送線路を接続するための端子の個数が多くなるから、伝送線路の各線と端子との接続関係がわかりにくく、施工時に誤結線が生じる可能性が高くなるという問題もある。
【0013】
一方、呼出用の制御信号および音声信号をインターホン用の伝送路を通して伝送し、映像信号は専用の伝送路を通して伝送するようにした構成も知られている(たとえば、特許文献1参照)。
【0014】
【特許文献1】
特許第3311536号公報(第3−4頁、図2)
【0015】
【発明が解決しようとする課題】
特許文献1に記載されたインターホンシステムでは呼出用に制御信号を用いるのみであるから、制御信号は実質的には通話中に発生することがなく、制御信号と音声信号とをインターホン用の伝送路で共用して伝送しても、制御信号が音声信号の品質を損なうことはない。
【0016】
しかしながら、インターホンシステムを多機能化しようとすれば通話中にも制御信号が発生する可能性が生じることになり、制御信号が音声信号に干渉して音声信号の品質を損なうことも考えられる。とくに、集合住宅のように多数台の住戸機が共用部装置を共用している場合には、通話中において他の住戸機に何らかの制御信号が伝送されることもあるから、音声信号の品質の確保には音声信号と制御信号との伝送路を分離することが必要になる。つまり、特許文献1に記載された構成に対して制御信号と音声信号との伝送路を分離すると、結局は映像信号の伝送路と併せて結局は3対のペア線が必要になるという問題が生じる。
【0017】
本発明は上記事由に鑑みて為されたものであり、その目的は、共用部装置と住戸機との間の伝送品質を損なうことなく伝送線路の配線数を従来構成よりも低減することによって施工作業を容易にするとともに誤結線の可能性を低減し、さらにはコストの低減も可能になる集合住宅用テレビ付きインターホンシステムを提供することにある。
【0018】
【課題を解決するための手段】
請求項1の発明は、集合住宅の共用玄関に配置され音声の入出力が可能な子器通話装置および来訪者を撮像するカメラを備える共用部装置と、集合住宅の各住戸にそれぞれ配置され共用部装置とは伝送線路を介して接続されるとともに共用部装置に付設した選択装置を来訪者が操作することにより選択されると共用部装置との間で通信路を確立する複数台の住戸機と、集合住宅の各住戸にそれぞれ配置され住戸機とは通話用の子器接続線を介して接続されるドアホン子器とを備え、住戸機は、共用部装置のカメラにより撮像された映像を表示するモニタと、子器通話装置との間で音声通話が可能な住戸機通話装置と、共用部装置により選択されると子器接続線の線間に直流電圧を印加する子器電源部とを備え、伝送線路は、共用部装置に接続された幹線と各住戸機に接続された住戸別線とを含むとともに幹線と各住戸別線との接続部位にそれぞれ介装された複数台の分岐器を有し、幹線および各住戸別線は、少なくとも選択装置の操作に伴って発生する制御信号を伝送する制御線路と、音声を伝送する音声信号および音声信号よりも高周波であって映像を伝送する映像信号とを周波数多重化した信号を伝送する共用線とからなり、分岐器は、共用線について共用部装置側の幹線を送り側の幹線に接続する状態と共用部装置側の幹線を住戸別線に接続する状態とが選択可能な経路選択スイッチと、共用部装置により選択された住戸機に対応する子器接続線の線間に直流電圧が印加されると幹線を住戸別線に接続する状態に経路選択スイッチを動作させるスイッチ駆動部とを備え、スイッチ駆動部は、共用部装置により選択されていない住戸機に対応する分岐器では共用部装置側の幹線を送り側の幹線に接続する状態に経路選択スイッチを動作させることを特徴とする。
【0019】
請求項2の発明では、請求項1の発明において、前記住戸機は、前記ドアホン子器からの呼出時に前記子器電源部によって前記子器接続線の線間に前記共用部装置による選択時とは異なる電圧であってドアホン子器の電源となる直流電圧を印加する機能を有し、前記スイッチ駆動部は子器電源部によって子器接続線の線間に印加された直流電圧がドアホン子器の電源となる電圧であるときには共用部装置側の前記幹線を送り側の幹線に接続する状態に経路選択スイッチを動作させることを特徴とする。
【0020】
請求項3の発明は、集合住宅の共用玄関に配置され音声の入出力が可能な子器通話装置および来訪者を撮像するカメラを備える共用部装置と、集合住宅の各住戸にそれぞれ配置され共用部装置とは伝送線路を介して接続されるとともに共用部装置に付設した選択装置を来訪者が操作することにより選択されると共用部装置との間で通信路を確立する複数台の住戸機とを備え、共用部装置は共用線の線間に直流電圧を印加する電源部を備え、住戸機は、共用部装置のカメラにより撮像された映像を表示するモニタと、子器通話装置との間で音声通話が可能な住戸機通話装置とを備え、伝送線路は、共用部装置に接続された幹線と各住戸機に接続された住戸別線とを含むとともに幹線と各住戸別線との接続部位にそれぞれ介装された複数台の分岐器を有し、幹線および各住戸別線は、少なくとも選択装置の操作に伴って発生する制御信号を伝送する制御線路と、音声を伝送する音声信号および音声信号よりも高周波であって映像を伝送する映像信号とを周波数多重化した信号を伝送する共用線とからなり、分岐器は、住戸別線における共用線に挿入されるダイオードからなる第1のダイオードスイッチを備え、各住戸機は、共用部装置による選択時に電源部との間で共用線を通るループ回路を閉成するように制御され非選択時にはループ回路を開放するように制御される閉結スイッチをそれぞれ備え、閉結スイッチによりループ回路が閉成されるとループ回路上の第1のダイオードスイッチが音声信号および映像信号を通過させることを特徴とする。
【0021】
請求項4の発明では、請求項3の発明において、前記分岐器が、前記幹線における前記共用線に挿入されるダイオードからなる第2のダイオードスイッチを備え、前記閉結スイッチにより前記ループ回路が閉成されるとループ回路上の第2のダイオードスイッチが音声信号および映像信号を通過させることを特徴とする。
【0022】
【発明の実施の形態】
従来の技術として説明したように、伝送線路のうち制御線Lcは共用部装置1が相手先の住戸機2を選択するための制御信号を伝送するから、共用部装置1および住戸機2において制御線Lcに接続される回路は常時動作させておくことが必要である。つまり、共用部装置1が住戸機2を選択するためのアドレスを含む制御信号は、すべての住戸機2に伝送されるから、すべての住戸機2において制御信号送受信回路26およびCPU20は常時作動する。これに対して、音声信号および映像信号に対する処理は住戸機2の選択後に行えばよいから、音声信号と映像信号とは一括して扱うことができ、しかも、音声信号と映像信号とは周波数帯域が異なるから(音声信号に対して映像信号は周波数が十分に高い)、周波数多重化の技術によって多重化することができる。そこで、以下に説明する実施形態では、音声信号と映像信号とを多重化することによって、伝送線路に用いる線数を従来構成よりも低減した例について説明する。なお、制御信号は共用部装置1から住戸機2の呼出に用いるだけではなく、たとえば住戸機2からカメラ12の向きなどを調節するために制御信号を用いることも可能である。ここで、制御信号は時分割多重技術を用いて伝送してもよい。この種の制御信号にはベースバンド信号を用いることもあり、ベースバンド信号は周波数帯域が広く、音声信号や映像信号との分離が困難であるから、このことからも音声信号および映像信号と制御信号とを各別に伝送することが伝送品質の点から必要になる。
【0023】
(実施形態1)
本実施形態は、図1に示すように、共用部装置1と住戸機2とを2対のペア線からなる伝送線路を介して接続したものである。伝送線路は、従来構成と同様に共用部装置1に接続される幹線L1と、住戸機2に接続される住戸別線L2とからなり、幹線L1と住戸別線L2との間には分岐器3が挿入される。なお、図示例では分配器4を設けていないが、分配器4を設けることも可能である。図1を見ればわかるように、本実施形態の基本的な構成は図3に示した従来構成と同様であって、図1において図3に示した従来構成と同機能の構成には同符号を付してある。
【0024】
本実施形態と従来構成との主な相違点は、図3に示した従来構成における伝送線路では音声線Laと映像線Lbと制御線Lcとの3対のペア線を用いていたのに対して、本実施形態では共用線Ldと制御線Lcとの2対のペア線を用いている点である。共用線Ldは音声信号と映像信号とをともに伝送するものであって、音声信号と映像信号との両方で共用線Ldを用いるために、共用部装置1および住戸機2にはそれぞれ多重分離回路19,29を設けている。共用部装置1と住戸機2とにそれぞれ用いている多重分離回路19,29は同構成であって、音声回路24cと共用線Ldとの間に挿入される低周波通過部19a,29aと、結合トランス15c,25cと共用線Ldとの間に挿入される高周波通過部19b,29bとからなる。低周波通過部19a,29aは音声信号に対して低インピーダンスであって映像信号に対して高インピーダンスのものを用い、高周波通過部19b、29bは音声信号に対して高インピーダンスであって映像信号に対して低インピーダンスのものを用いる。図示例では、低周波通過部19a,29aとしてインダクタを用い、高周波通過部19b,29bとしてコンデンサを用いている。
【0025】
ところで、本実施形態に用いる分岐器3は、幹線L1から住戸別線L2を分岐するだけではなく、住戸機2とドアホン子器5との間で子器接続線L3を接続する機能も備える。分岐器3の内部において、制御線Lcの幹線L1と住戸別線L2とは直結される。また、分岐器3の内部において共用線Ld上には経路選択スイッチ31が設けられ、経路選択スイッチ31は、共用部装置1からの幹線L1を送り側の幹線L1に接続する状態と、共用部装置1からの幹線L1を住戸別線L2に接続する状態とを選択するように接続される。経路選択スイッチ31は子器接続線L3に接続されたスイッチ駆動部32により制御されるのであって、スイッチ駆動部32では常時は共用部装置1からの幹線L1と送り側の幹線L1とが接続される状態を経路選択スイッチ31に選択させ、住戸機2が動作して子器接続線L3に直流電源が印加されると共用部装置1からの幹線L1を当該住戸機2に接続された住戸機線L2に接続する状態を経路選択スイッチ31に選択させる。すなわち、共用部装置1の選択装置13により選択された住戸機2では、子器電源部28aおよび電源重畳部28bを通して子器接続線L3に直流電源が印加されるから、スイッチ駆動部32では子器接続線L3への直流電源の印加を検出して経路選択スイッチ31を駆動し、幹線L1を住戸別線L2に接続する。ここに、子器接続線L3では住戸機2とドアホン子器5との間で通話するための音声信号に子器電源部28aからの直流電源が重畳されているから、スイッチ駆動部32には音声信号を伝送する周波数帯域に対して高インピーダンスであって直流電源を分離する電源分離部を設けてあり、電源分離部により直流電源が抽出されると経路選択スイッチ31を駆動するように構成してある。ここにおいて、分岐器3は子器接続線L3を接続するための端子部33,34を備え、端子部33に住戸機2からの子器接続線L3を接続し、端子部34にドアホン子器5からの子器接続線L3を接続する。
【0026】
本実施形態の要部の動作を簡単に説明する。まず、共用部装置1の選択装置13によって住戸機2が選択されると、住戸機2はCPU20の制御下において子器電源部29aから電源重畳部28bを通して子器接続線L3に直流電源を印加する。分岐器3に設けたスイッチ駆動部32では子器接続線L3に直流電源が印加されたことを検出すると、経路選択スイッチ31を駆動して幹線L1を住戸別線L2に接続する。一方、共用部装置1に選択されなかった住戸機2はドアホン子器5に直流電源を供給しないから、分岐器31の経路選択スイッチ31は共用部装置1からの幹線L1を送り側の幹線L1に接続する状態を継続する。
【0027】
上述した動作によって、共用部装置1に選択された住戸機2に対応する分岐器3においてのみ共用線Ld上の経路選択スイッチ31で幹線L1を住戸別線L2に接続するから、映像信号および音声信号は共用部装置1が選択した住戸機2にのみ伝送されることになる。本実施形態では、共用線Ldに関して幹線L1と住戸別線L2とを単純に接続しており、従来構成のように映像信号を伝送するための分岐トランスは設けていないが、経路選択スイッチ31によって共用部装置1と住戸機2とが一対一に接続されるからとくに問題は生じない。また、経路選択スイッチ31を駆動する電源は、住戸機2とドアホン子器5とを接続するための子器接続線L2を通して供給されているから、共用部装置1と住戸機2とを接続する伝送線路に電源を重畳する必要がなく、結果的に映像信号および音声信号に対して電源の分離が不要であって、電源を分離するための回路を接続することによる映像信号および音声信号に対する伝送線路のインピーダンス低下を防止することができる。
【0028】
上述した構成によって、音声信号と映像信号が共用線Ldを共用しながらも周波数多重化の技術を用いて多重化されるから、共用部装置1および住戸機2において音声信号と映像信号とを多重化するとともに分離することができる。また、分岐器3において共用線Ld上に経路選択スイッチ31を設けることで、共用部装置1と住戸機2とを共用線Ldを介して一対一に接続するから、1対のペア線である共用線Ldを用いて他の部材を介在させることなく音声信号と映像信号とをともに伝送することができ、従来構成に比較すると1対のペア線が不要になり、2対のペア線をシースに収納したケーブルを伝送線路として用いることが可能になる。言い換えると、3対以上のペア線をシース内に収納した多対ツイストペアケーブルを用いる場合に比較すると柔らかいケーブルを用いることが可能になるから、伝送線路の引き回し作業が容易になり、しかも2対のペア線をシースに収納したケーブルは、3対以上のペア線をシースに収納したケーブルよりも安価であるから、コストの低減につながる。さらには、共用部装置1および住戸機2において伝送線路と接続するための端子数が従来構成よりも少なくなるから、誤結線の可能性を低減することが可能になる。
【0029】
なお、住戸機2の子器電源部29aから子器接続線L3に直流電源が印加されるのは、共用部装置1から住戸機2が選択された場合だけではなく、各住戸に配置されているドアホン子器5において呼出釦を操作したときにも住戸機2から子器接続線L3に直流電源が印加される。ここで、ドアホン子器5での呼出釦の操作による子器接続線L3への直流電源の印加に伴ってスイッチ駆動部32が経路選択スイッチ31を切り換えてしまうと、接続中である住戸機2と共用部装置1との間で幹線L1が遮断されるなどの不都合を生じることがある。
【0030】
そこで、ドアホン子器5の呼出釦の操作に伴って住戸機2から子器接続線L3に印加する直流電圧と、共用部装置1により選択されることによって住戸機2から子器接続線L3に印加する直流電圧とを異なる電圧に設定しておき、スイッチ駆動部32において子器接続線L3に印加された直流電圧を判別することによって、共用部装置1から住戸機2が選択された状態であるときにのみ、当該住戸機2に対応する分岐器3内の経路選択スイッチ31が幹線L1と住戸別線L2とを接続するようにするのが望ましい。たとえば、ドアホン子器5の呼出釦の操作時において子器接続線L3に印加される直流電圧V1よりも共用部装置1に選択されたときに子器接続線L3に印加される直流電圧V2を高く設定しておき、スイッチ駆動部32では両電圧V1,V2の間に閾値を設定し、閾値以上の電圧が子器接続線L3に印加されたときに経路選択スイッチ31が幹線L1と住戸別線L2とを接続するようにすれば、ドアホン子器5の呼出釦の操作によって経路選択スイッチ31が作動するのを防止することができる。他の構成および動作は従来構成と同様である。
【0031】
(実施形態2)
本実施形態は、図2に示すように、実施形態1の構成に対して住戸機2における多重分離回路29の低周波通過部29aおよび高周波通過部29bと共用線Ldとの間に閉結スイッチ29cを挿入したものである。閉結スイッチ29cは、CPU20により制御され、常時はオフであって低周波通過部29aおよび高周波通過部29bを共用線Ldから分離しているが、共用部装置1の選択装置13により選択されるとオンになり共用部装置1との通話が終了するまでの間は低周波通過部29aおよび高周波通過部29bを共用線Ldに接続する。したがって、共用部装置1での操作により特定の住戸番号の住戸機2が選択されると、選択された住戸機2のみが共用線Ldとの間で映像信号を受信するとともに音声信号を授受することができ、他の住戸機2では閉結スイッチ29cがオフであって映像信号および音声信号に対する住戸別線L2のインピーダンスが高くなる。つまり、映像信号および音声信号の減衰が少なくなり伝送品質が向上する。
【0032】
また、閉結スイッチ29cの一端には抵抗Rが直列接続され、閉結スイッチ29cと抵抗Rとの直列回路は、直流的には共用線Ldを介して共用部装置1に設けた電源部17の出力端間に接続される。ここに、住戸機2において映像信号の経路にはコンデンサを用いた高周波通過部29bおよび結合トランス25cが存在するから、共用線Ldに印加された直流電源が映像信号を処理する回路に印加されることがないが、音声信号の経路にインダクタを用いた低周波通過部29aを挿入するだけでは、音声回路24cに直流電圧が印加されることになって不都合である。そこで、音声回路24cと低周波通過部29aとの間には直流カット用のコンデンサCを挿入してある。
【0033】
ところで、本実施形態で用いる分岐器3は、それぞれ一対のダイオードD1a,D2a、D1b,D2bからなる2個のダイオードスイッチ35a,35bを備える。ダイオードスイッチ35aは住戸別線L2における共用線Ldの各線路にそれぞれダイオードD1a,D2aを挿入してあり、ダイオードスイッチ35bは幹線L1における住戸別線L2の分岐点に対して共用部装置1から遠い方の共用線Ldの各線路にそれぞれダイオードD1b,D2bを挿入してある。ダイオードスイッチ35aにおいて、ダイオードD1aは幹線L1側にアノードが接続され、ダイオードD2aは幹線L1側にカソードが接続される。また、ダイオードスイッチ35bのダイオードD1bはダイオードD1aとアノードが共通接続され、ダイオードD2bはダイオードD2aとカソードが共通接続される。各ダイオードD1a,D2a,D1b,D2bには、たとえばPINダイオードを用いている。なお、図2においては幹線L1および住戸別線L2を分岐器3に接続するための端子36〜38を図示している。
【0034】
以下に本実施形態の要部の動作を簡単に説明する。いま、共用部装置1に設けた選択装置13によっていずれかの住戸機2が選択されたとすると、選択された住戸機2ではCPU20の制御下において閉結スイッチ29cをオンにする。閉結スイッチ29cがオンになると共用部装置1の電源部17の出力端間に共用線Ldを介して抵抗Rが接続され直流的にループ回路が閉じるから、ループ回路上のダイオードD1a,D2a,D1b,D2bがオンになる。つまり、ダイオードスイッチ35aがオンになって共用部装置1に選択された住戸機2に接続されている住戸別線L2が幹線L1に接続され、さらに、この住戸別線L2と共用部装置1との間のダイオード35bがオンになるから、共用部装置1に選択された住戸機2のみが共用線Ldを介して共用部装置1に接続され、共用部装置1と住戸機2との間で映像信号および音声信号の伝送が可能になるのである。このように、閉結スイッチ29cがオンになった住戸機2と共用部装置1との間の分岐器3におけるダイオードスイッチ35aがオンになるとともに、この分岐器3と共用部装置1との間のダイオードスイッチ35bがオンになり、周波数多重化されている映像信号および音声信号を分岐器3に通過させることが可能になる。なお、共用部装置1に選択されていない住戸機2では閉結スイッチ29cはオフに保たれるからダイオードスイッチ35aはオフに保たれ、共用線Ldに関しては、当該住戸機2に接続されている住戸別線L2が幹線L1に接続されることはない。また、当該住戸機2を接続している住戸別線L2と幹線L1との接続点に対して共用部装置1よりも遠方側のダイオードスイッチ35bはオフに保たれるから、遠方側における幹線L1の状態は共用部装置1と住戸別線L2との間のインピーダンスに影響しない。
【0035】
上述のように、本実施形態においても実施形態1と同様に、共用部装置1と住戸機2とは共用線Ld上では一対一に接続されるから、複数台の住戸機2が共用部装置1に接続されることによる共用線Ldのインピーダンスの低下がなく、映像信号および音声信号を高品質で伝送することが可能になる。なお、ダイオードスイッチ35bを設けずに、ダイオードスイッチ35aのみを設けた構成としても他の住戸機2の影響を抑制できるから高品質な伝送が可能になる。他の構成および動作は実施形態1と同様である。
【0036】
【発明の効果】
請求項1の発明は上述のように、伝送線路が共用部装置に接続された幹線と各住戸機に接続された住戸別線とを含むとともに幹線と各住戸別線との接続部位にそれぞれ介装された複数台の分岐器を有し、幹線および各住戸別線が、少なくとも選択装置の操作に伴って発生する制御信号を伝送する制御線路と、音声を伝送する音声信号および音声信号よりも高周波であって映像を伝送する映像信号とを周波数多重化した信号を伝送する共用線とからなり、分岐器が、共用線について共用部装置側の幹線を送り側の幹線に接続する状態と共用部装置側の幹線を住戸別線に接続する状態とが選択可能な経路選択スイッチと、共用部装置により選択された住戸機に対応する子器接続線の線間に直流電圧が印加されると幹線を住戸別線に接続する状態に経路選択スイッチを動作させるスイッチ駆動部とを備え、スイッチ駆動部は、共用部装置により選択されていない住戸機に対応する分岐器では共用部装置側の幹線を送り側の幹線に接続する状態に経路選択スイッチを動作させるものであり、制御線と共用線との2組の線路のみとして配線数を低減しながらも、映像信号および音声信号を伝送する共用線と制御信号を伝送する制御線とを分離したことによって、映像信号や音声信号に制御信号が干渉することがなく、結果的に映像信号および音声信号の伝送品質を損なうことなく配線数を従来構成よりも低減することが可能になる。このことによって、比較的柔らかいケーブルを用いることができて施工作業が容易になる上に、結線作業を要する箇所が少なくなって誤結線の可能性を低減させることができ、さらにはコストの低減にもつながる。また、経路選択スイッチの駆動に際して、住戸機とドアホン子器とを接続する子器接続線に印加する直流電圧を用いるから、共用線には直流電圧を印加する必要がなく、共用線には映像信号と音声信号のみを通過させることができるのであって、電源を重畳する場合のように共用線のインピーダンスの低下が生じない。しかも、経路選択スイッチを用いて共用部装置と住戸機とは共用線上では一対一に接続されるから、このことによっても映像信号および音声信号を高インピーダンスで伝送することができ、比較的高い品質での伝送が可能になる。さらに、共用部装置と住戸機とは一対一に接続されるから、映像信号および音声信号の経路にインピーダンスを変換するための回路素子が不要であって、映像信号と音声信号とを分離させずに分岐器を通過させることができ、しかも経路選択スイッチでは共用部装置と住戸機とを単に直結するだけの簡単な構成を採用することができる。
【0037】
請求項2の発明では、請求項1の発明において、住戸機は、ドアホン子器からの呼出時に子器電源部によって子器接続線の線間に共用部装置による選択時とは異なる電圧であってドアホン子器の電源となる直流電圧を印加する機能を有し、スイッチ駆動部は子器電源部によって子器接続線の線間に印加された直流電圧がドアホン子器の電源となる電圧であるときには共用部装置側の幹線を送り側の幹線に接続する状態に経路選択スイッチを動作させるものであり、住戸機が子器接続線の線間に印加する直流電圧を2段階に設定し、ドアホン子器から住戸機の呼出時には経路選択スイッチを非動作としているから、共用部装置と住戸機とが通話中であるときに、他の住戸機においてドアホン子器が住戸機を呼び出したとしても、当該住戸機に対応する分岐器で経路選択スイッチが経路を切り換わることがなく、通話中の住戸機において通話が切断されることがなくなる。
【0038】
請求項3の発明は、伝送線路が共用部装置に接続された幹線と各住戸機に接続された住戸別線とを含むとともに幹線と各住戸別線との接続部位にそれぞれ介装された複数台の分岐器を有し、幹線および各住戸別線が、少なくとも選択装置の操作に伴って発生する制御信号を伝送する制御線路と、音声を伝送する音声信号および音声信号よりも高周波であって映像を伝送する映像信号とを周波数多重化した信号を伝送する共用線とからなり、分岐器が、住戸別線における共用線に挿入されるダイオードからなる第1のダイオードスイッチを備え、各住戸機は、共用部装置による選択時に電源部との間で共用線を通るループ回路を閉成するように制御され非選択時にはループ回路を開放するように制御される閉結スイッチをそれぞれ備え、閉結スイッチによりループ回路が閉成されるとループ回路上の第1のダイオードスイッチが音声信号および映像信号を通過させるものであり、制御線と共用線との2組の線路のみとして配線数を低減しながらも、映像信号および音声信号を伝送する共用線と制御信号を伝送する制御線とを分離したことによって、映像信号や音声信号に制御信号が干渉することがなく、結果的に映像信号および音声信号の伝送品質を損なうことなく配線数を従来構成よりも低減することが可能になる。このことによって、比較的柔らかいケーブルを用いることができて施工作業が容易になる上に、結線作業を要する箇所が少なくなって誤結線の可能性を低減させることができ、さらにはコストの低減にもつながる。また、共用部装置が選択した住戸機において閉結スイッチがオンになることによってダイオードスイッチが幹線と住戸別線とを接続するから、共用部装置と住戸機とは一対一に接続されることになり、映像信号および音声信号の経路にインピーダンスを変換するためのトランスのような素子が不要になる。つまり、映像信号と音声信号とを分離させずに分岐器を通過させることができる。加えて、共用部装置と住戸機との間で映像信号および音声信号を伝送するための経路の切換を、共用線に挿入されるダイオードからなるダイオードスイッチにより実現しているから、たとえばリレーを用いて経路を選択する場合などに比べて、開閉路を駆動するための電源分離部が不要であり、電源分離部の接続による伝送線路のインピーダンス低下が生じない。
【0039】
請求項4の発明では、請求項3の発明において、分岐器が、幹線における共用線に挿入されるダイオードからなる第2のダイオードスイッチを備え、閉結スイッチによりループ回路が閉成されるとループ回路上の第2のダイオードスイッチが音声信号および映像信号を通過させるものであり、請求項3の効果に加えて、幹線についても経路の選択がなされるから、共用部装置と通信路が確立されている住戸機と共用部装置との間以外の幹線を切り離すことになり、幹線において通信に必要のない部分の影響を受けずに音声信号および映像信号を伝送することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態1を示すブロック図である。
【図2】本発明の実施形態2を示すブロック図である。
【図3】従来例を示すブロック図である。
【符号の説明】
1 共用部装置
2 住戸機
3 分岐器
5 ドアホン子器
11 子器通話装置
12 カメラ
13 選択装置
17 電源部
21 住戸機通話装置
22 モニタ
28a 子器電源部
29c 閉結スイッチ
31 経路選択スイッチ
32 スイッチ駆動部
35 ダイオードスイッチ
L1 幹線
L2 住戸別線
L3 子器接続線
Lc 制御線
Ld 共用線
Claims (4)
- 集合住宅の共用玄関に配置され音声の入出力が可能な子器通話装置および来訪者を撮像するカメラを備える共用部装置と、集合住宅の各住戸にそれぞれ配置され共用部装置とは伝送線路を介して接続されるとともに共用部装置に付設した選択装置を来訪者が操作することにより選択されると共用部装置との間で通信路を確立する複数台の住戸機と、集合住宅の各住戸にそれぞれ配置され住戸機とは通話用の子器接続線を介して接続されるドアホン子器とを備え、住戸機は、共用部装置のカメラにより撮像された映像を表示するモニタと、子器通話装置との間で音声通話が可能な住戸機通話装置と、共用部装置により選択されると子器接続線の線間に直流電圧を印加する子器電源部とを備え、伝送線路は、共用部装置に接続された幹線と各住戸機に接続された住戸別線とを含むとともに幹線と各住戸別線との接続部位にそれぞれ介装された複数台の分岐器を有し、幹線および各住戸別線は、少なくとも選択装置の操作に伴って発生する制御信号を伝送する制御線路と、音声を伝送する音声信号および音声信号よりも高周波であって映像を伝送する映像信号とを周波数多重化した信号を伝送する共用線とからなり、分岐器は、共用線について共用部装置側の幹線を送り側の幹線に接続する状態と共用部装置側の幹線を住戸別線に接続する状態とが選択可能な経路選択スイッチと、共用部装置により選択された住戸機に対応する子器接続線の線間に直流電圧が印加されると幹線を住戸別線に接続する状態に経路選択スイッチを動作させるスイッチ駆動部とを備え、スイッチ駆動部は、共用部装置により選択されていない住戸機に対応する分岐器では共用部装置側の幹線を送り側の幹線に接続する状態に経路選択スイッチを動作させることを特徴とする集合住宅用テレビ付きインターホンシステム。
- 前記住戸機は、前記ドアホン子器からの呼出時に前記子器電源部によって前記子器接続線の線間に前記共用部装置による選択時とは異なる電圧であってドアホン子器の電源となる直流電圧を印加する機能を有し、前記スイッチ駆動部は子器電源部によって子器接続線の線間に印加された直流電圧がドアホン子器の電源となる電圧であるときには共用部装置側の前記幹線を送り側の幹線に接続する状態に経路選択スイッチを動作させることを特徴とする請求項1記載の集合住宅用テレビ付きインターホンシステム。
- 集合住宅の共用玄関に配置され音声の入出力が可能な子器通話装置および来訪者を撮像するカメラを備える共用部装置と、集合住宅の各住戸にそれぞれ配置され共用部装置とは伝送線路を介して接続されるとともに共用部装置に付設した選択装置を来訪者が操作することにより選択されると共用部装置との間で通信路を確立する複数台の住戸機とを備え、共用部装置は共用線の線間に直流電圧を印加する電源部を備え、住戸機は、共用部装置のカメラにより撮像された映像を表示するモニタと、子器通話装置との間で音声通話が可能な住戸機通話装置とを備え、伝送線路は、共用部装置に接続された幹線と各住戸機に接続された住戸別線とを含むとともに幹線と各住戸別線との接続部位にそれぞれ介装された複数台の分岐器を有し、幹線および各住戸別線は、少なくとも選択装置の操作に伴って発生する制御信号を伝送する制御線路と、音声を伝送する音声信号および音声信号よりも高周波であって映像を伝送する映像信号とを周波数多重化した信号を伝送する共用線とからなり、分岐器は、住戸別線における共用線に挿入されるダイオードからなる第1のダイオードスイッチを備え、各住戸機は、共用部装置による選択時に電源部との間で共用線を通るループ回路を閉成するように制御され非選択時にはループ回路を開放するように制御される閉結スイッチをそれぞれ備え、閉結スイッチによりループ回路が閉成されるとループ回路上の第1のダイオードスイッチが音声信号および映像信号を通過させることを特徴とする集合住宅用テレビ付きインターホンシステム。
- 前記分岐器は、前記幹線における前記共用線に挿入されるダイオードからなる第2のダイオードスイッチを備え、前記閉結スイッチにより前記ループ回路が閉成されるとループ回路上の第2のダイオードスイッチが音声信号および映像信号を通過させることを特徴とする請求項3記載の集合住宅用テレビ付きインターホンシステム。
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