JP4310788B2 - 高バリア性積層シート - Google Patents

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Description

本発明は、酸素、水蒸気等に対するガスバリア性に優れ、さらに高い透明性、耐熱性、柔軟性等の諸特性を有する高バリア性積層シートに関するものである。
今日では、食品、医薬品等の包装分野において、内容物の酸化や変質を抑制して味、鮮度、効能等を維持するために、使用する包装材料には酸素や水蒸気の透過に対する高度なガスバリア性が要求されている。特に、食品等の包装においては、内容物の視認性確保や種々雑多な物の包装性確保のために、包装材料には上記ガスバリア性に加えて透明性、耐熱性、柔軟性等の諸特性が要求されている。また、今日開発が進められている有機EL、有機薄膜太陽電池、有機トランジスタ、フレキシブル液晶等の新規分野においても、高いガスバリア性、透明性、耐熱性、柔軟性等の諸特性を有する高バリア性シートの開発が待望されている。
上記ガスバリア性、透明性等の諸特性を有する従来の高バリア性シートは、図5に示すように、合成樹脂製の基材フィルム51と、この基材フィルム51の表面に積層されるガスバリア層52とを備えている(例えば特開2003−181974等参照)。この基材フィルム51は、耐熱性向上のためにポリエチレンテレフタレートフィルム等が用いられている。また、ガスバリア層52は、物理気相成長法又は化学気相成長法によって形成されるケイ素酸化物又はアルミニウム酸化物の蒸着薄膜から構成されている。
特開2003−181974公報
上記従来の高バリア性シートは、ガスバリア層52により所定のガスバリア性を有するが、ケイ素酸化物又はアルミニウム酸化物の蒸着薄膜の製造方法及び製造条件を制御してもガスバリア層52にピンホール、結晶粒界、クラック等の欠陥が発生し、このガスバリア層52の欠陥を介して水蒸気等のガスが透過する。そのため、上記従来の高バリア性シートは、ガスバリア性の向上には限界があり、高いガスバリア性が要求される有機EL用バリア性シート、有機薄膜太陽電池用基板シート、有機トランジスタ用基板シート、フレキシブル液晶用基板シート等としての使用に耐え得るものではない。
また、上記従来の高バリア性シートにおける合成樹脂製の基材フィルム51の表面は、所定の表面粗さを有し、ダストや滑り防止剤などが付着している。かかる基材フィルム51の表面性状に起因して、ガスバリア層52の蒸着膜への欠陥の発生が増大し、上記従来の高バリア性シートのガスバリア性の低下を招来している。
また、上記従来の高バリア性シートは、基材フィルム51の基材ポリマーとして一般的にポリビニルアルコール、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート等が用いられており、基材フィルム51が約60ppm/℃以上の線膨張係数を有している。そのため、ガスバリア層52を構成する無機酸化物の蒸着時に基材フィルム51に比較的大きい熱膨張が発生し、積層されたガスバリア層52にストレスが負荷される。かかるガスバリア層52のストレスに起因して、ガスバリア層52の蒸着膜への欠陥の発生が増大し、上記従来の高バリア性シートのガスバリア性の低下を招来している。
さらに、上記従来の高バリア性シートは、上記新規用途等に使用される時に無機半導体や金属が蒸着等の方法によって製膜される場合があるが、上述のように比較的高い線膨張係数を有する基材フィルム51との熱膨張の差によって無機半導体膜や金属膜にストレスが負荷され、よい性能が得られないという不都合もある。
本発明はこれらの不都合に鑑みてなされたものであり、酸素、水蒸気等に対するガスバリア性に優れ、さらに高い透明性、耐熱性、柔軟性等の諸特性を有し、非常に高いガスバリア性が要求される例えば有機EL用バリア性シート、有機薄膜太陽電池用基板シート、有機トランジスタ用基板シート、フレキシブル液晶用基板シート等に好適に使用される高バリア性積層シートの提供を目的とするものである。
上記課題を解決するためになされた発明は、
接着層を介して積層される複数の高バリア性シートを備えており、
この高バリア性シートが、合成樹脂製の基材フィルム、平坦化層及びガスバリア層を有し、
上記平坦化層が、金属アルコキシド及び/又はその加水分解物を含む組成物を用いたゾル・ゲル法により、若しくは外面に酸素プラズマ処理が施されたシリコーン樹脂から形成され、
上記ガスバリア層が、無機酸化物又は無機窒化物の蒸着により形成されており、
上記複数の高バリア性シートが、基材フィルムが外側に位置するよう積層されている高バリア性積層シートである。
当該高バリア性シートは、基材フィルム、平坦化層及びガスバリア層を備えていることから、高いガスバリア性を有し、加えて高い透明性、耐熱性、柔軟性等の諸特性を有している。当該高バリア性積層シートは、少なくとも2枚の高バリア性シートを接着層を介して重畳積層した構造を有することから、2層以上のガスバリア層によってガスバリア性が格段に優れており、加えて耐熱性、耐候性、耐久性、強度等の諸特性も飛躍的に優れている。また、当該高バリア性積層シートは、ガスバリア機能を有する平坦化層及びガスバリア層が外側に位置する一対の基材フィルムで被覆及び保護されているため、耐久性が向上し、ガスバリア性の経年劣化等の不都合が低減される。
上記高バリア性シートは、基材フィルム、ガスバリア層及び平坦化層の順の積層構造を有するとよい。当該高バリア性シートは、ガスバリア層の外面に平坦化層が積層されていることから、ガスバリア層にピンホール、結晶粒界、クラック等の欠陥が発生しても、その欠陥が平坦化層によって封鎖され、また平坦化層によってガスバリア層が保護される。そのため、当該高バリア性シートは、水蒸気等に対するガスバリア性がさらに向上し、ガスバリア性の経時的劣化が低減される。
また、上記高バリア性シートは、基材フィルム、平坦化層及びガスバリア層の順の積層構造を有してもよい。当該高バリア性シートは、基材フィルムに平坦化層が積層され、その平坦化層の外面にガスバリア層が積層されていることから、平坦化層によって基材フィルムの表面粗さが低減され、かつ基材フィルム表面に付着しているダストや滑り防止剤などが被覆される結果、ガスバリア層を積層する界面の平滑性を促進することができる。そのため、当該高バリア性シートは、ガスバリア層の緻密性が促進されて、ガスバリア層へのピンホール、結晶粒界、クラック等の欠陥の発生が低減され、その結果水蒸気等に対するガスバリア性が格段に向上する。
なお、上記高バリア性シートは、基材フィルム、ガスバリア層及び平坦化層の順の積層構造と、基材フィルム、平坦化層及びガスバリア層の順の積層構造との両方を含んでもよい。
上記平坦化層及びガスバリア層を交互に繰り返して積層するとよい。このように、平坦化層及びガスバリア層を交互に繰り返して積層することで、当該高バリア性シートのガスバリア性を格段に向上することができる。なお、かかる多層構造の高バリア性シートにおいて、一対のガスバリア層間に積層される平坦化層は、上述の内面側のガスバリア層に対する欠陥封鎖機能と、外面側に積層されるガスバリア層に対して界面の平滑性に起因するガスバリア層の緻密性促進機能とを共に奏することができる。
上記ガスバリア層は、無機酸化物又は無機窒化物の蒸着により形成される。このようにガスバリア層を無機酸化物又は無機窒化物の蒸着により形成することで、ガスバリア層の高いガスバリア性、透明性、耐熱性、柔軟性等が確保される。
上記無機酸化物又は無機窒化物としては、ケイ素酸化物、ケイ素窒化物及びアルミニウム酸化物からなる群より選択される1種又は2種以上のものが好ましい。かかるケイ素酸化物、ケイ素窒化物又はアルミニウム酸化物からガスバリア層を形成することで、当該高バリア性シートのガスバリア性、透明性等が高められる。
上記平坦化層は、金属アルコキシド及び/又はその加水分解物を含む組成物を用いたゾル・ゲル法により形成するとよい。このような金属アルコキシド及び/又はその加水分解物を含む組成物を用いたゾル・ゲル法によれば、上述の平坦化層外面に積層されるガスバリア層に対する緻密性促進機能と平坦化層内面に積層されるガスバリア層に対する欠陥封鎖機能とを有する平坦化層を容易かつ確実に形成することができる。また、このように平坦化層をゾル・ゲル法により形成することで、平坦化層にもガスバリア性が付与され、当該高バリア性シートのガスバリア性をさらに向上することができる。
上記組成物中に、窒素、酸素、硫黄及びハロゲンの少なくとも1つを含む官能基を有する金属アルコキシドを含有するとよい。このように窒素、酸素、硫黄及びハロゲンの少なくとも1つを含む官能基を有する金属アルコキシドを含有することで、平坦化層の膜物性が向上し、また上述のガスバリア層に対する緻密性促進機能及び欠陥封鎖機能並びに平坦化層のガスバリア性を促進することができ、さらに基材フィルムと平坦化層との密着性を改善することができる。
上記組成物中に、ゾル・ゲル法に使用可能な有機溶媒及び/又は水に対して可溶性を有するポリマー(以下「溶剤可溶性ポリマー」と称する)を含むとよい。このように、金属アルコキシドと溶剤可溶性ポリマーとを含む組成物を用いたゾル・ゲル法により平坦化層を形成することで、平坦化層の膜物性が向上し、かつ平坦化層のガスバリア性(特に、高温時におけるガスバリア性)をより高めることができる。
上記ゾル・ゲル法による平坦化層の形成において、加熱と共に、組成物への紫外線照射を施すとよい。このようにゾル・ゲル法による平坦化層の形成の際に、加熱と共に、組成物への紫外線照射を施すことで、組成物がより低温で硬化し、膜物性及び平坦化層の密着性が向上する。そのため、当該高バリア性シートは、ガスバリア性、耐熱性、透明性等がより高められる。
また、上記基材フィルムに積層される平坦化層は、シリコーン樹脂から形成し、その外面(基材フィルム側と反対側の面を意味する)に酸素プラズマ処理を施してもよい。このように基材フィルムに積層される平坦化層をシリコーン樹脂から形成しても、上述のガスバリア層に対する緻密性促進機能を奏することができ、当該平坦化層のガスバリア性を促進することができる。また、シリコーン樹脂からなる平坦化層外面に酸素プラズマ処理を施すことで、平坦化層の表面が活性化される結果、平坦化層とガスバリア層(特に、ケイ素酸化物からなるガスバリア層)との密着性が良好になり、かつガスバリア層の緻密性促進機能が向上し、当該高バリア性シートのガスバリア性がさらに高められる。
上記基材フィルムの線膨張係数としては、20ppm/℃以下が好ましい。このように基材フィルムを低線膨張係数とすることで、ガスバリア層の積層時(例えば、無機酸化物等の蒸着時)に基材フィルムに生じる熱膨張が低減され、この基材フィルムの熱膨張に起因して負荷されるガスバリア層へのストレスが低減される。そのため、当該高バリア性シートは、ガスバリア層へのピンホール、結晶粒界、クラック等の欠陥の発生が低減され、水蒸気等に対するガスバリア性が格段に向上する。また、当該高バリア性積層シートは、上述のように高バリア性シートが低線膨張係数の基材フィルムを備えることで、耐熱性及び熱的寸法安定性が飛躍的に向上する。一方、当該高バリア性積層シートは、上記有機EL等の新規用途へ使用される場合に、無機半導体や金属が蒸着等の方法によって製膜されることがあるが、これらの無機半導体膜や金属膜との熱膨張の差が低減され、その結果、無機半導体膜や金属膜に負荷されるストレスが低減される。従って、当該高バリア性積層シートは、上述の有機EL等の新規用途に好適に使用され、それらの性能の向上に寄与することができる。
上記基材フィルムの基材ポリマーとして、ポリエチレンナフタレートを用いるとよい。かかるポリエチレンナフタレートは耐熱性、熱的寸法安定性、ガスバリア性等が優れていることから、基材フィルムの線膨張係数を上記範囲に制御することが容易になり、当該高バリア性シートのガスバリア性及び耐熱性、熱的寸法安定性等の諸特性を向上させることができる。
上記基材フィルム中にガラス繊維及び/又はガラスフレークを含有するとよい。このように基材フィルム中にガラス繊維及び/又はガラスフレークを含有することで、基材フィルムの線膨張係数を低下させて上記範囲に容易に制御することができ、当該高バリア性シートのガスバリア性及び耐熱性、熱的寸法安定性等の諸特性を向上させることができる。また、基材フィルム中に含有するガラス繊維及びガラスフレークは透明であるため、当該高バリア性シートの透明性の低下が低減される。
上記基材フィルムの基材ポリマーとガラス繊維及びガラスフレークとの屈折率差としては0.01以下が好ましい。このようにガラス繊維及びガラスフレークと基材フィルムの基材ポリマーとの屈折率差を上記範囲とすることで、ガラス繊維等の界面での屈折、反射等が低減され、ガラス繊維等の含有による当該高バリア性シートひいては当該高バリア性積層シートの光線透過率の低下を抑制することができる。
以上説明したように、本発明の高バリア性積層シートは、酸素、水蒸気等に対するガスバリア性に優れ、高い透明性、耐熱性、柔軟性等の諸特性を有している。そのため、当該高バリア性積層シートは、非常に高いガスバリア性が要求される例えば有機EL用バリア性シート、有機薄膜太陽電池用基板シート、有機トランジスタ用基板シート、フレキシブル液晶用基板シート等に好適に使用される。
以下、適宜図面を参照しつつ本発明の実施の形態を詳説する。図1は本発明の一実施形態に係る高バリア性積層シートを示す模式的断面図、図2は図1の高バリア性積層シートとは異なる形態に係る高バリア性積層シートを示す模式的断面図、図3は図1及び図2の高バリア性積層シートとは異なる形態に係る高バリア性積層シートを示す模式的断面図、図4は図1、図2及び図3の高バリア性積層シートとは異なる形態に係る高バリア性積層シートを示す模式的断面図である。
図1の高バリア性積層シートは、略平行に重畳される一対の高バリア性シート1と、この一対の高バリア性シート1間に積層される接着層2とを備えている。つまり、当該高バリア性積層シートは、接着層2を介して一対の高バリア性シート1が積層接着された構造を有している。
高バリア性シート1は、合成樹脂製の基材フィルム3と、この基材フィルム3の一方の面に積層される平坦化層4と、この平坦化層4の外面に積層されるガスバリア層5とを備えている。当該高バリア性シート1は、主にガスバリア層5によって高いガスバリア性を有し、加えて高い透明性、耐熱性、柔軟性等の諸特性を有している。
基材フィルム3は、基材ポリマーを含む樹脂組成物から形成されている。この基材ポリマーとしては、例えばポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、環状ポリオレフィン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリエステル系樹脂、アクリロニトリル−スチレン共重合体(AS樹脂)、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体(ABS樹脂)、ポリ塩化ビニル系樹脂、フッ素系樹脂、ポリ(メタ)アクリル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリアミドイミド系樹脂、ポリアリールフタレート系樹脂、シリコーン系樹脂、ポリスルホン系樹脂、ポリフェニレンスルフィド系樹脂、ポリエーテルスルホン系樹脂、ポリウレタン系樹脂、アセタール系樹脂、セルロース系樹脂等が挙げられる。上記樹脂の中でも、高い耐熱性、熱的寸法安定性、水蒸気等に対するガスバリア性、強度、耐候性、耐久性等を有し、ガスバリア層5の蒸着条件等に耐え、平坦化層4との密接着性に優れているポリエステル系樹脂、フッ素系樹脂及び環状ポリオレフィン系樹脂が好ましい。
また、後述するように基材フィルム3中にガラス繊維又はガラスフレークを含有する場合、基材フィルム3の基材ポリマーとしては熱硬化性樹脂が好ましい。かかる熱硬化性樹脂によれば、シート成形中にガラス繊維等にシェアが掛かって短くなり、基材フィルム3の熱膨張の改善効果が得られないという不都合を低減することができる。この熱硬化性樹脂としては、特に限定されないが、例えばエポキシ系樹脂、ビニルエステル樹脂、メタクリル酸メチル(MMA)樹脂、不飽和ポリエステル系樹脂、フェノール樹脂、アクリルシロップ樹脂、熱硬化エチレン酢酸ビニル共重合体、ユリア樹脂、メラミン樹脂、ウレタン樹脂、DAP(ジアリールフタレート)樹脂等が挙げられる。これら熱硬化性樹脂の中でも、特にエポキシ系樹脂が好ましい。これらの熱硬化性樹脂はいずれも常温もしくは加熱下で硬化するものである。これらの熱硬化性樹脂は単独もしくは複数混合されて主として含浸により繊維材料と複合化する。
基材フィルム3の線膨張係数としては、20ppm/℃以下が好ましく、5ppm/℃以上15ppm/℃以下が特に好ましい。かかる低線膨張係数の基材フィルム3を使用することで、当該高バリア性シート1の耐熱性及び熱的寸法安定性が向上され、加えて後述するガスバリア層5の積層時(具体的には、無機酸化物等の蒸着時)の基材フィルム3の熱膨張に起因するガスバリア層5への欠陥の発生が低減される。
上記ポリエステル系樹脂としては、例えばポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンナフタレート(PEN)等が挙げられる。これらのポリエステル系樹脂の中でも、ガスバリア性及び耐熱性、熱的寸法安定性等の諸特性が優れ、基材フィルム3の線膨張係数を上記範囲に容易に制御することができるポリエチレンナフタレートが特に好ましい。
上記ポリエチレンナフタレートは、ナフタレンジカルボン酸とエチレングリコールとから導かれるエチレンナフタレート単位を主成分とする。このナフタレンジカルボン酸としては、例えば2,6−ナフタレンジカルボン酸、2,7−ナフタレンジカルボン酸、2,5−ナフタレンジカルボン酸、1,4−ナフタレンジカルボン酸等が挙げられ、特に2,6−ナフタレンジカルボン酸が好ましい。
上記ポリエチレンナフタレートにおけるエチレンナフタレート単位の含有量としては、85モル%以上が好ましく、90モル%以上が特に好ましい。エチレンナフタレート単位の含有量が上記範囲未満であると、基材フィルム3のガスバリア性や耐熱性などが低下するおそれがある。
上記ポリエチレンナフタレートは、ナフタレンジカルボン酸以外のジカルボン酸、及び/又はエチレングリコール以外のジヒドロキシ化合物から導かれるエステル単位を含有してもよい。他のジカルボン酸類としては、例えばテレフタル酸、イソフタル酸、ジフェニルジカルボン酸、ジフェノキシエタンジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸、及びこれらのエステル誘導体が挙げられる。他のジヒドロキシ化合物としては、例えばトリメチレングリコール、プロピレングリコール、テトラメチレングリコール、ネオペンチルグリコール、ヘキサメチレングリコール、ドデカメチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコールなどの脂肪族グリコール、シクロヘキサンジメタノールなどの脂環族グリコール、ビスフェノール類、ハイドロキノン、2,2−ビス(4−β−ヒドロキシエトキシフェニル)プロパンなどの芳香族ジオール類、及びこれらのエステル誘導体が挙げられる。
上記ポリエチレンナフタレートの製造方法としては、特に限定されず公知の方法が採用される。具体的には、(a)2,6−ナフタレンジカルボン酸とエチレングリコ−ル、及び/又は、第三成分を直接反応させて水を留去しエステル化した後、減圧下に重縮合を行う直接エステル化法、(b)ジメチル−2,6−ナフタレンジカルボキシレートとエチレングリコール、及び/又は、第三成分を反応させてメチルアルコールを留去しエステル交換させた後、減圧下に重縮合を行うエステル交換法により製造される。かかるエステル交換法においては、エステル交換触媒としてMg、Mn、Ca、Zn等のカルボン酸金属塩化合物、重縮合触媒としてGe、Sb、Ti等の化合物が用いられる。また、エステル交換触媒の活性をなくすためにエステル交換反応終了後、燐酸、トリメチルフォスフェイト等のリン化合物を添加することができる。直接エステル化法においては、重縮合触媒としてGe、Sb、Tiの化合物が用いられる。
上記フッ素系樹脂としては、例えばポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、テトラフルオロエチレンとペルフルオロアルキルビニルエーテルとの共重合体からなるペルフルオロアルコキシ樹脂(PFA)、テトラフルオロエチレンとヘキサフルオロプロピレンとのコポリマー(FEP)、テトラフルオロエチレンとペルフルオロアルキルビニルエーテルとヘキサフルオロプロピレンとのコポリマー(EPE)、テトラフルオロエチレンとエチレン又はプロピレンとのコポリマー(ETFE)、ポリクロロトリフルオロエチレン樹脂(PCTFE)、エチレンとクロロトリフルオロエチレンとのコポリマー(ECTFE)、フッ化ビニリデン系樹脂(PVDF)、フッ化ビニル系樹脂(PVF)等が挙げられる。これらのフッ素系樹脂の中でも、強度、耐熱性、耐候性等に優れるポリフッ化ビニル系樹脂(PVF)やテトラフルオロエチレンとエチレン又はプロピレンとのコポリマー(ETFE)が特に好ましい。
上記環状ポリオレフィン系樹脂としては、例えばa)シクロペンタジエン(及びその誘導体)、ジシクロペンタジエン(及びその誘導体)、シクロヘキサジエン(及びその誘導体)、ノルボルナジエン(及びその誘導体)等の環状ジエンを重合させてなるポリマー、b)当該環状ジエンとエチレン、プロピレン、4−メチル−1−ペンテン、スチレン、ブタジエン、イソプレン等のオレフィン系モノマーの1種又は2種以上とを共重合させてなるコポリマー等が挙げられる。これらの環状ポリオレフィン系樹脂の中でも、強度、耐熱性、耐候性等に優れるシクロペンタジエン(及びその誘導体)、ジシクロペンタジエン(及びその誘導体)又はノルボルナジエン(及びその誘導体)等の環状ジエンのポリマーが特に好ましい。
基材フィルム3を形成する樹脂組成物中には、ガラス繊維及び/又はガラスフレークを含有するとよい。このように基材フィルム3中にガラス繊維及び/又はガラスフレークを含有することで、基材フィルム3の線膨張係数を低下させ、上記範囲に容易に制御することができ、高バリア性シート1のガスバリア性及び耐熱性、熱的寸法安定性等の諸特性を向上させることができる。特に、ガラスフレークを基材フィルム3のフィルム面と略平行に配設することで高バリア性シート1のガスバリア性をより高めることができる。なお、含有するガラス繊維及びガラスフレークは透明であるため、高バリア性シート1の透明性の低下が低減される。
上記ガラス繊維の平均長さとしては、1mm以上25mm以下が好ましく、2mm以上10mm以下が特に好ましい。また、ガラス繊維の平均径としては、6μm以上17μm以下が好ましく、8μm以上12μm以下が特に好ましい。ガラス繊維の平均長さ及び平均径が上記範囲より小さいと、樹脂組成物中での均一分散性が低下するおそれがある。一方、ガラス繊維の平均長さ及び平均径が上記範囲を超えると、基材フィルム3の耐熱性、熱的寸法安定性等を向上させる効果が低下するおそれがある。
上記ガラスフレークの形状としては、例えば平板状、鱗片状、波板状、円筒面状等が挙げられ、耐熱性、ガスバリア性等の向上効果の面から平板状が特に好ましい。ガラスフレークの平均幅(所定の方向を基準とする幅の平均値)としては、1μm以上3000μm以下が好ましく、5μm以上1000μm以下が特に好ましい。また、ガラスフレークの平均厚さとしては、0.1μm以上20μm以下が好ましく、0.5μm以上10μm以下が特に好ましい。ガラスフレークの平均幅及び平均厚さが上記範囲より小さいと、樹脂組成物中での均一分散性が低下するおそれがある。一方、ガラスフレークの平均幅及び平均厚さが上記範囲を超えると、基材フィルム3の耐熱性、熱的寸法安定性等を向上させる効果が低下し、基材フィルム3の表面粗さが低下するおそれがある。
上記ガラス繊維及びガラスフレークと基材フィルム3の基材ポリマーとの屈折率差としては、0.01以下が好ましく、0.002以上0.007以下が特に好ましい。このようにガラス繊維及びガラスフレークと基材フィルム3の基材ポリマーとの屈折率差を上記範囲とすることで、ガラス繊維等の界面での屈折、反射等が低減され、ガラス繊維等の含有による当該高バリア性シート1の光線透過率の低下を抑制することができる。例えば、ガラス繊維及びガラスフレークの材料としてEガラスを使用する場合、Eガラスの組成成分から酸化ホウ素やフッ素化合物成分を除くことで、屈折率を大きくし、上記基材ポリマーの屈折率に近づけることができる。
上記ガラス繊維及びガラスフレークとしては、シランカップリング剤で表面処理されているものが好ましい。シランカップリング剤の表面処理により、ガラス繊維及びガラスフレークと基材フィルム3のマトリックス樹脂との接着性を高めることができる。このシランカップリング剤としては、例えばγ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−β(アミノエチル)N’−β’(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリエトキシシランなどが挙げられる。これらのシランカップリング剤の中でも、基材フィルム3の透明性を阻害しないγ−アミノプロピルトリエトキシシラン又はγ−アミノプロピルトリメトキシシランが好ましい。
上記シランカップリング剤の固形分換算の付着率としては0.1質量%以上0.5重量%以下が好ましい。シランカップリング剤の固形分付着率が上記範囲より小さいと、上述のガラス繊維及びガラスフレークと基材フィルム3のマトリックス樹脂との接着性を高める効果が低下するおそれがある。一方、シランカップリング剤の固形分付着率が上記範囲を超えると、基材フィルム3を形成する樹脂組成物への着色が目立つおそれがある。
上記ガラス繊維及びガラスフレークとしては、その表面が集束剤でコーティングされているものが好ましい。このように集束剤でコーティングされたガラス繊維及びガラスフレークは、基材フィルム3を形成する樹脂組成物中での均一分散性が向上し、かつガラス繊維及びガラスフレーク同士が擦れて耐熱性、引張強度等が低下してしまう不都合を防止する結果、当該高バリア性シート1のガスバリア性及び耐熱性、熱的寸法安定性等の諸特性を向上させることができる。この集束剤としては、基材ポリマーとの接着性及び安定性を考慮して適宜選択され、例えばポリカーボネート系樹脂に対してはウレタン系、エポキシ系等が好ましく、ポリエステル系樹脂に対してはポリアミド系が好ましい。
上記集束剤の固形分換算の付着率としては0.2質量%以上3重量%以下が好ましい。集束剤の固形分付着率が上記範囲より小さいと、集束剤成分がガラス繊維又はガラスフレーク全体に行き渡らなくなり、上述の均一分散性などの効果が低下するおそれがある。一方、集束剤の固形分付着率が上記範囲を超えると、前記効果が頭打ちになるばかりか、ガラス繊維及びガラスフレークの配合量の低下を招来するおそれがある。
上記基材フィルム3を形成する樹脂組成物におけるガラス繊維及びガラスフレークの含有量としては、基材ポリマー100質量部に対し、1質量部以上80質量部以下が好ましく、5質量部以上60質量部以下が特に好ましい。ガラス繊維及びガラスフレークの含有量が上記範囲より小さいと、耐熱性、熱的寸法安定性等の向上が不十分になるおそれがある。一方、ガラス繊維及びガラスフレークの含有量が上記範囲を超えると、基材フィルム3の成形が困難になり、透明性も低下するおそれがある。
なお、基材フィルム3の基材ポリマーとしては、上記合成樹脂を1種又は2種以上混合して使用することができる。また、基材フィルム3を形成する樹脂組成物には、加工性、耐熱性、耐候性、機械的性質、寸法安定性等を改良、改質する目的で、種々の添加剤等を混合することができる。かかる添加剤としては、例えば滑剤、架橋剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定化剤、充填剤、強化繊維、補強剤、帯電防止剤、難燃剤、耐炎剤、発泡剤、防カビ剤、顔料等が挙げられる。上記基材フィルム3の成形方法としては、特に限定されず、例えば押出し法、キャスト成形法、Tダイ法、切削法、インフレーション法等の公知の方法が採用される。
基材フィルム3の厚み(平均厚み)の下限としては、10μmが好ましく、20μmが特に好ましい。一方、基材フィルム3の厚みの上限としては、250μmが好ましく、188μmが特に好ましい。基材フィルム3の厚みが上記下限未満であると、ガスバリア層5を形成するための蒸着加工の際にカールが発生しやすくなってしまう、取扱いが困難になる等の不都合が発生する。逆に、基材フィルム3の厚みが上記上限を超えると、高バリア性シート1ひいては当該高バリア性積層シートの薄型化及び軽量化の要請に反することになる。
平坦化層4は、金属アルコキシド及び/又はその加水分解物を含む組成物を用いたゾル・ゲル法により形成される。
この金属アルコキシドが含有する金属としては、3価以上の金属、例えば遷移金属、希土類金属、周期表3〜5族の金属などが挙げられ、周期表3b族又は4族に属する金属が好ましい。周期表3b族に属する金属としては例えばAlなどが挙げられる。周期表4族に属する金属としては例えば4a族に属するTi、Zrなど、4b族に属するSiなどが挙げられる。これらの金属のうち、ゾル・ゲル法による製膜が容易で界面平坦化機能に優れるAl及びSiが好ましく、Siが特に好ましい。
金属アルコキシドが有するアルコキシ基としては、例えばメトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基、イソブトキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基などが挙げられる。中でも、加水分解重合性に優れる炭素数1〜4の低級アルコキシ基が好ましく、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基が特に好ましい。また、加水分解重合性を促進する趣旨で、少なくとも2つのアルコキシ基を有する金属アルコキシドが好ましい。
金属アルコキシドは、炭化水素基を有していてもよい。この炭化水素基としては、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基等のアルキル基;シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロオクチル基等のシクロアルキル基;フェニル基、ナフチル基等のアリール基;ベンジル基、2−フェニルエチル基等のアラルキル基等が挙げられる。これらの炭化水素基のうち、アルキル基及びアリール基が好ましい。このアルキル基の中でも、炭素数1〜4の低級アルキル基が好ましく、メチル基、エチル基及びプロピル基が特に好ましい。また、アリール基の中でも、フェニル基が好ましい。金属アルコキシドにおける炭化水素基の数としては、アルコキシ基の数に応じて適当に選択でき、一般的に1分子中0〜2個程度とされている。
金属アルコキシドとしては、具体的には、下記式(1)で表されるものが好ましい。
(RM(ORX−m (1)
上記式(1)において、Rは、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基又はアラルキル基を示し、置換基を有していてもよい。Rは、低級アルキル基を示す。R及びRは、mによって異なっていてもよい。Mは、3価以上の金属を示す。Xは、金属Mの価数を示す。mは、0〜2の整数を示し、X−m≧2である。
特に、金属がSiである金属アルコキシドとしては、下記式(2)で表されるものが好ましい。
(RSi(OR4−n (2)
上記式(2)において、Rは、アルキル基又はアリール基を示し、置換基を有していてもよい。Rは、低級アルキル基を示す。R及びRは、nによって異なっていてもよい。nは、0〜2の整数を示す。
金属がAlである金属アルコキシドとしては、具体的にはトリメトキシアルミネート、トリエトキシアルミネート、エチルジエトキシアルミネート、トリプロポキシアルミネートなどが挙げられる。
上記式(2)で表される金属(Si)アルコキシドとしては、具体的にはテトラメトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、プロピルトリメトキシシラン、ブチルトリメトキシシラン、テトラエトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、プロピルトリエトキシシラン、ブチルトリエトキシシラン、テトラプロポキシシラン、メチルトリプロポキシシラン、エチルトリプロポキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジエチルジメトキシシラン、ジプロピルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジエチルジエトキシシラン、γ−クロロプロピルトリメトキシシラン、γ−クロロプロピルトリエトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、フェニルトリプロポキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシランなどが挙げられる。
上記式(2)で表される金属(Si)アルコキシドの中でも、炭素数1〜4程度のアルキル基又はアリール基を0〜2個、炭素数1〜3程度のアルコキシ基を2〜4個有する化合物、例えばテトラメトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、テトラエトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、ジエチルジエトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシランなどが特に好ましい。
なお、上記組成物中には、同種又は異種の金属アルコキシドを一種又は二種以上混合して使用できる。また、上記組成物中には、組成物の硬さ、柔軟性などを調整するため、n=3のモノアルコキシシランを添加してもよい。また、上記組成物中には、5b族の化合物、例えばメチルホスホナスジメチルエステル、エチルホスホナスジメチルエステル、トリクロロメチルホスホナスジエチルエステル、メチルホスホナスジエチルエステル、メチルホスホニックジメチルエステル、フェニルホスホニックジメチルエステル、リン酸トリアルキルエステルなどのリン系化合物や、ホウ酸トリアルキルエステルなどのホウ素化合物を添加してもよい。さらに、上記組成物中には、少なくとも1つの加水分解性有機基を有するアルカリ土類金属化合物を必要に応じて添加してもよい。このアルカリ土類金属化合物は、炭化水素基と加水分解性有機基との双方を有していてもよい。
上記組成物中に、窒素、酸素、硫黄及びハロゲンの少なくとも1つを含む官能基を有する金属アルコキシド(A)を含有するとよい。このように窒素、酸素、硫黄及びハロゲンの少なくとも1つを含む官能基を有する金属アルコキシド(A)を含有する組成物を塗工及びキュアすることで、平坦化層4に特定のポリシロキサン構造を発現させ、平坦化層4の膜物性ひいてはガスバリア性を向上させることができ、加えて平坦化層4のガスバリア性の温度依存性を低減することができる。
上記窒素、酸素、硫黄及びハロゲンの少なくとも1つを含む官能基としては、例えばアミノ基、塩素、メルカプト基、グリシドキシ基などが挙げられる。上記窒素、酸素、硫黄及びハロゲンの少なくとも1つを含む官能基を有する金属アルコキシド(A)としては、例えば、γ−クロロプロピルトリメトキシシラン、β−(3、4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、N−β(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β(アミノエチル)−γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−ウレイドプロピルトリエトキシシラン、ビス(β−ヒドロキシエチル)−γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルシリコ−ン等が挙げられ、これらの金属アルコキシドの1種又は2種以上を使用することができる。
上記金属アルコキシド(A)の含有量(組成物中の全金属アルコキシドに対する含有量)としては、1質量%以上50質量%以下が好ましく、3質量%以上30質量%以下が特に好ましい。金属アルコキシド(A)の含有量を上記範囲とすることで、平坦化層4にガスバリア性に寄与するポリシロキサン構造を発現することができる。
上記組成物中に、溶剤可溶性ポリマーを含有するとよい。かかる溶剤可溶性ポリマーと金属アルコキシドとを含む組成物を用いたゾル・ゲル法により平坦化層4を形成することで、平坦化層4の膜物性が向上し、かつ平坦化層4のガスバリア性(特に、高温時におけるガスバリア性)をより高めることができる。
上記溶剤可溶性ポリマーとしては、種々の官能基や官能性結合基(例えば、ヒドロキシル基、カルボキシル基、エステル結合、エーテル結合、カーボネート結合、アミド基、アミド結合など)を有するポリマー、グリシジル基を有するポリマー、ハロゲン含有ポリマー、これらのポリマーからの誘導体等が挙げられる。これらの官能基や官能性結合基はポリマーの主鎖又は側鎖のいずれに存在していてもよい。溶剤可溶性ポリマーとしては、熱可塑性樹脂又は熱硬化性樹脂のいずれであってもよく、単独又は二種以上混合して使用してもよい。また、溶剤可溶性ポリマーとしては、金属アルコキシドとの反応に活性であってもよく、不活性であってもよいが、一般的には非反応性ポリマーとされている。なお、「アミド結合」とは、−NHC(O)−に限定されず、>NC(O)−結合単位を含む概念である。
上記ヒドロキシル基を有するポリマーとその誘導体としては、例えばポリビニルアルコール、ポリビニルアセタール、エチレン−ビニルアルコール共重合体、フェノール樹脂、メチロールメラミン等とその誘導体(例えばアセタール化物、ヘキサメトキシメチルメラミン等)が挙げられる。上記カルボキシルを有するポリマーとその誘導体としては、例えばポリ(メタ)アクリル酸、無水マレイン酸、イタコン酸等の重合性不飽和酸の単位を含む単独又は共重合体、これらのポリマーのエステル化物などが挙げられる。上記エステル結合を有するポリマーとしては、例えば酢酸ビニル等のビニルエステル、メタクリル酸メチル等の(メタ)アクリル酸エステルなどの単位を含む単独又は共重合体(例えばポリ酢酸ビニル、エチレン−酢酸ビニル共重合体、(メタ)アクリル系樹脂など)、飽和ポリエステル、不飽和ポリエステル、ビニルエステル樹脂、ジアリルフタレート樹脂、セルロースエステルなどが挙げられる。上記エーテル結合を有するポリマーとしては、例えばポリアルキレンオキサイド、ポリオキシアルキレングリコール、ポリビニルエーテル、ケイ素樹脂などが挙げられる。上記カーボネート結合を有するポリマーとしては、ビスフェノールA型ポリカーボネートなどのポリカーボネートが挙げられる。
上記アミド結合を有するポリマーとしては、例えば>N(COR)−結合を有するポリオキサゾリン、ポリアルキレンイミン等のN−アシル化物;>NC(O)−結合を有するポリビニルピロリドンとその誘導体;ウレタン結合−HNC(O)O−を有するポリウレタン;尿素結合−HNC(O)NH−を有するポリマー;アミド結合−C(O)NH−を有するポリマー;ビュレツト結合を有するポリマー;アロハネート結合を有するポリマーなどが含まれる。上記結合式において、Rは、水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基、又は置換基を有していてもよいアリール基を示す。
>N(COR)−結合を有するポリオキサゾリンの場合、上記Rで示されるアルキル基としては、例えば炭素数1〜10程度のアルキル基、好ましくは炭素数1〜4の低級アルキル基、特にメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基などが該当する。アルキル基の置換基としては、例えばフッ素、塩素、臭素等のハロゲン原子、ヒドロキシル基、炭素数1〜4程度のアルコキシ基、カルボキシル基、アルキル部分の炭素数が1〜4程度のアルコキシカルボニル基などが挙げられる。アリール基としては、例えばフェニル、ナフチル基などが挙げられる。アリール基の置換基としては、例えば前記ハロゲン原子、炭素数1〜4程度のアルキル基、ヒドロキシル基、炭素数1〜4程度のアルコキシ基、カルボキシル基、アルキル部分の炭素数が1〜4程度のアルコキシカルボニル基などが挙げられる。
オキサゾリンとしては、例えば2−オキサゾリン、2−メチル−2−オキサゾリン、2−エチル−2−オキサゾリン、2−プロピル−2−オキサゾリン、2−イソプロピル−2−オキサゾリン、2−ブチル−2−オキサゾリン、2−ジクロロメチル−2−オキサゾリン、2−トリクロロメチル−2−オキサゾリン、2−ペンタフルオロエチル−2−オキサゾリン、2−フェニル−2−オキサゾリン、2−メトキシカルボニルエチル−2−オキサゾリン、2−(4−メチルフェニル)−2−オキサゾリン、2−(4−クロロフェニル)−2−オキサゾリンなどが挙げられる。特に、2−オキサゾリン、2−メチル−2−オキサゾリン、2−エチル−2−オキサゾリンなどが好ましい。このようなオキサゾリンのポリマーは一種又は二種以上混合して使用できる。ポリオキサゾリンは、単独重合体であってもよく、共重合体であってもよい。また、ポリオキサゾリンは、ポリマーにポリオキサゾリンがグラフトした共重合体であってもよい。
なお、ポリオキサゾリンは、置換基を有していてもよいオキサゾリンを触媒の存在下で開環重合することにより得られる。触媒としては、例えば硫酸ジメチル、p−トルエンスルホン酸アルキルエステルなどの硫酸エステルやスルホン酸エステル;ヨウ化アルキル(例えば、ヨウ化メチル)などのハロゲン化アルキル;フリーデルクラフツ触媒のうち金属フッ素化物;硫酸、ヨウ化水素、p−トルエンスホン酸などの酸、これらの酸とオキサゾリンとの塩であるオキサゾリニウム塩などが使用できる。
ポリアルキレンイミンのアシル化物としては、前記ポリオキサゾリンに対応するポリマー、例えばN−アセチルアミノ、N−プロピオニルアミノなどのN−アシルアミノ基を有するポリマーが挙げられる。ポリビニルピロリドンとその誘導体としては、置換基を有してもよいビニルピロリドンのポリマー、例えばポリビニルピロリドンなどが挙げられる。ウレタン結合を有するポリウレタンとしては、例えばポリイソシアネート(トリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート等)と、ポリオール(エチレングリコール、プロピレングリコール、テトラメチレングリコール、グリセリンなどの多価アルコール;ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロビレングリコール等のポリエーテルポリオール;ポリエステルポリオールなど)との反応により生成するポリウレタンが挙げられる。尿素結合を有するポリマーとしては、例えばポリ尿素、ポリイソシアネートとポリアミン(例えば、エチレンジアミン、ジエチレントリアミンなどのジアミンなど)との反応により生成するポリマーなどが挙げられる。
アミド結合を有するポリマーとしては、ポリアミド、ポリ(メタ)アクリルアミド、ポリアミノ酸などが挙げられる。このアミド結合を有するポリマーとしては、置換基を有していてもよいオキサゾリンのポリマー、ポリアルキレンイミンのN−アシル化物、ポリビニルピロリドン、ポリウレタン、ポリアミド、ポリ(メタ)アクリルアミドなどが好ましい。ビュレツト結合を有するポリマーとしては、前記ポリイソシアネートとウレタン結合を有する化合物との反応により生成するポリマーが挙げられる。アロハネート結合を有するポリマーとしては、前記ポリイソシアネートと尿素結合を有する化合物との反応により生成するポリマーなどが挙げられる。グリシジル基を有するポリマーとしては、例えばエポキシ樹脂、グリシジル(メタ)アクリレートの単独又は共重合体等が挙げられる。ハロゲン含有ポリマーとしては、例えばポリ塩化ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニリデンの単位を有する塩化ビニリデン系ポリマー、塩素化ポリプロピレンなどが挙げられる。
溶剤可溶性ポリマーは、一般的には、水;メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、シクロヘキサノール等のアルコール類;ヘキサン、オクタン等の脂肪族炭化水素類;シクロヘキサン等の脂環族炭化水素類;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類;塩化メチル、塩化メチレン、クロロホルム、トリクロロエチレン等のハロゲン化炭化水素;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル類;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類;ジエチルエーテル、ジオキサン、ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン等のエーテル類;含窒素溶媒(例えば、N−メチルピロリドン、アセトニトリル等のニトリル類、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド等のアミド類など)やスルホキシド類(例えばジメチルスルホキシドなど)等の非プロトン性極性溶媒;又はこれらの混合溶媒に可溶である。
溶剤可溶性ポリマーとしては、水素結合可能な基、例えばヒドロキシル基、カルボキシル基、アミド基、アミド結合や窒素原子などを有するものが好ましい。このような水素結合可能な基を有する溶剤可溶性ポリマーを用いると、金属アルコキシド及び/又はその加水分解物に対して共通する良溶媒を使用できる場合が多く、金属アルコキシドの加水分解重合により生成した有機金属ポリマーのヒドロキシル基と溶剤可溶性ポリマーの官能基や結合基とが水素結合し、その結果均一な有機・無機ハイブリッドを形成し、ミクロ的に均質で透明な皮膜を形成できると考えられる。
また、溶剤可溶性ポリマーとしては、金属アルコキシドとの共通溶媒が使用できるアルコール可溶性ポリマーが好ましい。このようなアルコール可溶性ポリマーとしては、ヒドロキシル基を有するポリマー等の水溶性ポリマーが好ましく、窒素原子を有するポリマー(例えば、前記アミド結合を有するポリマー)が特に好ましい。
溶剤可溶性ポリマーの金属アルコキシド(その加水分解物を含む)100質量部に対する含有量は、40質量%以上90質量%以下が好ましく、50質量%以上80質量%以下が特に好ましい。溶剤可溶性ポリマーの含有量が上記範囲より小さいと、ガスバリア性の向上効果が低下し、無機ポリマーと有機ポリマーとの複合体で均一な皮膜を形成するのが困難となるおそれがある。一方、溶剤可溶性ポリマーの含有量が上記範囲を超えると、成膜性や均一性が高くなる傾向を示すが、ガスバリア性が低下するおそれがある。
上記組成物中には、一般的には有機溶媒が配合される。この有機溶媒としては、金属アルコキシドの種類に応じて重合反応に不活性な適当な溶媒、例えばアルコール類、芳香族炭化水素、エーテル類、含窒素溶媒、スルホキシド類、又はこれらの混合溶媒などが使用される。また、上記溶剤可溶性ポリマーも有機溶媒として使用することができる。この有機溶媒としては、金属アルコキシドの溶媒と混和性を有する溶媒が好ましく、溶剤可溶性ポリマー及び金属アルコキシドに対して共通する良溶媒が特に好ましい。
また、上記組成物中には硬化触媒を含有し、硬化触媒の存在下で金属アルコキシドの加水分解重合を行なってもよい。硬化触媒としては、実質的に水に不溶であり、かつ有機溶媒に可溶な第三アミン類や酸触媒などが使用される。第三アミン類としては、例えばN.N−ジメチルベンジルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミン、トリペンチルアミン等が挙げられる。酸触媒としては、例えば塩酸、硫酸、硝酸、リン酸などの無機酸;例えばギ酸、酢酸、トリクロロ酢酸、トリフルオロ酢酸、プロピオン酸等のカルボン酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸等のスルホン酸などの有機酸が挙げられる。
なお、平坦化層4を形成する組成物中には、必要に応じて、可塑剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、難燃剤、帯電防止剤、界面活性剤、充填剤、着色剤などの種々の添加剤が適宜配合されてもよい。
次に、平坦化層4の形成方法を説明する。平坦化層4は、金属アルコキシド及び/又はその加水分解物を含む上記組成物を用いたゾル・ゲル法により形成される。具体的には、金属アルコキシド及び/又はその加水分解物に溶剤可溶性ポリマー、硬化触媒、有機溶媒等を適宜添加して充分に混練することで上記組成物を調整し、この組成物を通常のコ−ティング法で対象面(基材フィルム3の表面)にコ−ティングし、次いで加熱乾燥し、更にエ−ジング処理等を施すことにより、コ−ティング硬化膜である平坦化層4を形成する。この加熱温度としては、金属アルコキシドの加水分解性や基材フィルム3の耐熱性に応じて適宜選択されるが、50℃以上120℃以下が好ましい。なお、重合反応は、不活性ガスの存在下で行なってもよく、減圧下で行なってもよい。また、加水分解重合に伴なって生成するアルコールを除去しながら、重合してもよい。
上記平坦化層4の形成方法において、加熱工程の際に、組成物への紫外線照射を施すとよい。このようにゾル・ゲル法の加熱工程の際に組成物への紫外線照射を施すことで、組成物がより低温(100℃以下)で硬化し、かつ平坦化層4に欠陥が格段に少なく膜物性に優れ、平坦化層4と基材フィルム3との密着性が向上する。そのため、平坦化層4のガスバリア性がより高められる。
ガスバリア層5は、平坦化層4の外面に物理気相成長法又は化学気相成長法により無機酸化物又は無機窒化物を蒸着することで形成されている。この無機酸化物又は無機窒化物としては、例えばケイ素(Si)、アルミニウム(Al)、マグネシウム(Mg)、カルシウム(Ca)、カリウム(K)、スズ(Sn)、ナトリウム(Na)、ホウ素(B)、チタン(Ti)、鉛(Pb)、ジルコニウム(Zr)、イットリウム(Y)等の酸化物又は窒化物が挙げられる。上記無機酸化物及び無機窒化物のうち、ガスバリア性及び透明性に優れるケイ素酸化物、ケイ素窒化物及びアルミニウム酸化物が好ましく、これらの群より選択される1種又は2種以上のものが好適に使用される。これらの中でも、ガスバリア性、透明性、柔軟性、密着性等が良好なケイ素酸化物が特に好ましい。なお、無機酸化物は例えばSiO、AlO等のようにMO(Mは金属元素、Xは酸化度を表す)で表記されるが、ガスバリア性及び透明性の観点からケイ素(Si)の場合は酸化度X=1.3〜1.9の範囲が好ましく、アルミニウム(Al)の場合は酸化度X=0.5〜1.5の範囲が好ましい。
上記物理気相成長法(Physical Vapor Deposition法;PVD法)としては、例えば真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、イオンクラスタービーム法等が挙げられる。具体的には、(a)金属酸化物を原料とし、これを加熱し、蒸気化して対象面(平坦化層4の外面)上に蒸着する真空蒸着法、(b)原料として金属又は金属酸化物を使用し、必要ならば、酸素ガス等を導入して酸化等させて対象面上に蒸着する反応型蒸着法、(c)さらに酸化等の反応をプラズマで助成するプラズマ助成式の反応型蒸着法等を用いて金属酸化物の蒸着膜を形成することができる。蒸着材料の加熱方式としては、例えば抵抗加熱方式、高周波誘導加熱方式、エレクトロンビーム加熱方式(EB)等により行うことができる。上記物理気相成長法の中でも、無機酸化物又は無機窒化物の蒸気化が容易なスパッタリング法が特に好ましい。
上記化学気相成長法(Chemical Vapor Deposition法;CVD法)としては、例えばプラズマ化学気相成長法、熱化学気相成長法、光化学気相成長法等が挙げられる。この化学気相成長法の中でも、比較的低温でガスバリア層5の形成が可能なプラズマCVDが特に好ましい。プラズマCVDは、具体的には、有機珪素化合物等の蒸着用モノマーガスを原料とし、キャリヤーガスとしてアルゴン、ヘリウム等の不活性ガスを使用し、さらに酸素ガス、アンモニアガス等を供給し、低温プラズマ発生装置等を利用して化学反応を起こさせ、対象面(平坦化層4の外面)上に酸化珪素等の無機酸化物又は窒化物の蒸着薄膜を形成する方法である。この低温プラズマ発生装置としては、例えば高周波プラズマ、パルス波プラズマ、マイクロ波プラズマ等の発生装置を使用することがてき、高活性の安定したプラズマを得ることができる高周波プラズマ方式による発生装置が特に好ましい。
酸化珪素等の無機酸化物の蒸着薄膜を形成する有機珪素化合物等の蒸着用モノマーガスとしては、例えば1.1.3.3−テトラメチルジシロキサン、ヘキサメチルジシロキサン、ビニルトリメチルシラン、メチルトリメチルシラン、ヘキサメチルジシラン、メチルシラン、ジメチルシラン、トリメチルシラン、ジエチルシラン、プロピルシラン、フェニルシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、オクタメチルシクロテトラシロキサン等を使用することができる。これらの蒸着用モノマーガスの中でも、取扱性、蒸着膜の物性等の良好な1.1.3.3−テトラメチルジシロキサン、ヘキサメチルジシロキサンが好ましい。
なお、ガスバリア層5は、単層構造でもよく、2層以上の多層構造でもよい。このようにガスバリア層5を多層構造とすることで、蒸着の際に懸かる熱負担の軽減により基材フィルム3の劣化が低減され、さらに平坦化層4とガスバリア層5との密着性等を改善することができる。また、上記物理気相成長法及び化学気相成長法における蒸着条件は、基材フィルム3の樹脂種類、ガスバリア層5の厚み等に応じて適宜設計される。
ガスバリア層5の厚み(平均厚み)の下限としては、10nmが好ましく、20nmが特に好ましい。一方、ガスバリア層5の厚みの上限としては、200nmが好ましく、100nmが特に好ましい。ガスバリア層5の厚みが上記下限より小さいと、ガスバリア性が低下するおそれがある。一方、ガスバリア層5の厚みが上記上限を超えると、柔軟性が低下し、ガスバリア層5にクラック等の欠陥が発生しやすくなる。
接着層2は、重畳される一対の高バリア性シート1間に積層され、一対の高バリア性シート1を接着する。この接着層2は、上記平坦化層4と同様に、金属アルコキシド及び/又はその加水分解物を含む組成物を用いたゾル・ゲル法により形成するとよい。かかる金属アルコキシド等を含む組成物からなる接着層2は、ガスバリア性が付与され、また透明性、耐熱性等の諸特性に優れ、さらに無機酸化物等からなるガスバリア層5に対する接着性に優れている。
また、接着層2は、ラミネート用接着剤又は溶融押出樹脂から形成してもよい。このラミネート用接着剤としては、例えばドライラミネート用接着剤、ウェットラミネート用接着剤、ホットメルトラミネート用接着剤、ノンソルベントラミネート用接着剤等が挙げられる。これらのラミネート用接着剤のなかでも、接着強度、耐久性、耐候性等に優れ、ガスバリア層5表面の欠陥(例えばキズ、ピンホール、凹部等)を封止及び保護する機能を有するドライラミネート用接着剤が特に好ましい。
上記ドライラミネート用接着剤としては、例えばポリ酢酸ビニル系接着剤、アクリル酸のエチル,ブチル,2−エチルヘキシルエステル等のホモポリマーまたはこれらとメタクリル酸メチル,アクリロニトリル,スチレン等との共重合体等からなるポリアクリル酸エステル系接着剤、シアノアクリレート系接着剤、エチレンと酢酸ビニル,アクリル酸エチル,アクリル酸,メタクリル酸等のモノマーとの共重合体等からなるエチレン共重合体系接着剤、セルロース系接着剤、ポリエステル系接着剤、ポリアミド系接着剤、ポリイミド系接着剤、尿素樹脂,メラミン樹脂等からなるアミノ樹脂系接着剤、フェノール樹脂系接着剤、エポキシ系接着剤、ポリウレタン系接着剤、反応型(メタ)アクリル系接着剤、クロロプレンゴム,ニトリルゴム,スチレン−ブタジエンゴム等からなるゴム系接着剤、シリコーン系接着剤、アルカリ金属シリケート,低融点ガラス等からなる無機系接着剤などが挙げられる。これらのドライラミネート用接着剤の中でも、当該高バリア性積層シートの屋外での長期間使用に起因する高バリア性シート1の接着強度低下やデラミネーションが防止され、さらに接着層2の黄変等の劣化が低減されるポリウレタン系接着剤が特に好ましい。
接着層2を形成する溶融押出樹脂としては、例えばポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、酸変性ポリエチレン系樹脂、酸変性ポリプロピレン系樹脂、エチレン−アクリル酸又はメタクリル酸共重合体、サーリン系樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリ酢酸ビニル系樹脂、エチレン−アクリル酸エステル又はメタクリル酸エステル共重合体、ポリスチレン系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂等の熱可塑性樹脂の1種又は2種以上を使用することができる。なお、上記溶融押出樹脂を用いた押出ラミネート法を採用する場合、より強固な接着強度を得るために、一対の高バリア性シート1の積層対向面に後述するアンカーコート処理等の表面処理を施すとよい。
接着層2を形成するラミネート用接着剤又は溶融押出樹脂の積層量(固形分換算)の下限としては、1g/mが好ましく、3g/mが特に好ましい。一方、接着層2の上記積層量の上限としては、10g/mが好ましく、7g/mが特に好ましい。接着層2の積層量が上記下限より小さいと、接着強度やガスバリア層5の欠陥封止機能が得られないおそれがある。一方、接着層の積層量が上記上限を超えると、積層強度や耐久性が低下するおそれがある。
なお、接着層2を形成するラミネート用接着剤又は溶融押出樹脂中には、取扱性、耐熱性、耐候性、機械的性質等を改良、改質する目的で、例えば溶媒、滑剤、架橋剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定化剤、充填剤、強化繊維、補強剤、帯電防止剤、難燃剤、耐炎剤、発泡剤、防カビ剤、顔料等の種々の添加剤を適宜混合することができる。
当該高バリア性シート1は、基材フィルム3の表面に所定の表面粗さやダスト、滑り防止剤等の付着があっても、平坦化層4によって基材フィルム3の表面が被覆され、ガスバリア層5を積層する界面の平滑性が促進される。そのため、当該高バリア性シート1は、緻密かつ均一な無機酸化物等の蒸着膜の成長が促進され、ガスバリア層5のピンホール、結晶粒界、クラック等の欠陥の発生が低減される。また、当該高バリア性シート1は、ガスバリア層5の高いガスバリア性に加え、平坦化層4もガスバリア性の向上に寄与する。さらに、当該高バリア性シート1は、基材フィルム3の線膨張係数を20ppm/℃以下とすることで、耐熱性及び熱的寸法安定性が向上し、ガスバリア層5の蒸着時に基材フィルム3に生じる熱膨張が低減され、かかる基材フィルム3の熱膨張に起因して負荷されるガスバリア層5へのストレスが低減される。そのため、当該高バリア性シート1は、ガスバリア層5へのピンホール、結晶粒界、クラック等の欠陥の発生が低減され、かかる面からもガスバリア性の向上に寄与する。従って、当該高バリア性シート1は、耐熱性、熱的寸法安定性、強度等の諸特性が高く、かつ水蒸気等に対するガスバリア性が格段に向上する。
従って、高いガスバリア性及び耐熱性、熱的寸法安定性等の諸特性を有する2枚の高バリア性シート1が積層された当該高バリア性積層シートは、非常に高いガスバリア性及び耐熱性等の諸特性を有し、上記有機EL等の新規用途に好適に使用される。また、当該高バリア性積層シートは、上記有機EL等の新規用途へ使用される場合に無機半導体や金属が蒸着等の方法によって製膜されることがあるが、上述のように高い耐熱性及び熱的寸法安定性を有するため、これらの無機半導体膜や金属膜との熱膨張の差が低減され、その結果、無機半導体膜や金属膜に負荷されるストレスが低減され、それらの性能の向上に寄与することができる。
また、当該高バリア性積層シートは、一対の高バリア性シート1が互いの平坦化層4及びガスバリア層5が対向する状態で積層されているため、ガスバリア機能を有する平坦化層4及びガスバリア層5が外側に位置する一対の基材フィルム3で被覆及び保護されている。その結果、当該高バリア性積層シートの耐久性が向上し、ガスバリア性の経年劣化等の不都合が低減される。また、当該高バリア性積層シートは、重畳される一対のガスバリア層5間に接着層2が充填されていることから、ガスバリア層5にキズ、凹部等のバリア機能の低い部分があっても接着層2によって封止及び保護され、その結果水蒸気、酸素ガス等に対するガスバリア性がさらに向上する。
図2の高バリア性積層シートは、略平行に重畳される3枚の高バリア性シート10と、この3枚の高バリア性シート10間に積層される2層の接着層2とを備えている。換言すると、当該高バリア性積層シートは、接着層2を介して3枚の高バリア性シート10が積層接着された構造を有している。
高バリア性シート10は、基材フィルム3と、この基材フィルム3の一方の面に積層される平坦化層4と、この平坦化層4の外面に積層されるガスバリア層5と、このガスバリア層5の外面に積層される他の平坦化層4とを備えている。換言すると、高バリア性シート10は、上記高バリア性シート1の外面に他の平坦化層4が交互に積層された構造となっている。当該高バリア性シート10における基材フィルム3、平坦化層4及びガスバリア層5は、上記図1の高バリア性シート1と同様であるため、同一番号を付して説明を省略する。
当該高バリア性シート10は、上記高バリア性シート1と同様の高いガスバリア性及び耐熱性、熱的寸法安定性、強度等の諸特性を有している。加えて、高バリア性シート10は、ガスバリア層5にピンホール、結晶粒界、クラック等の欠陥が発生しても、その欠陥が他の平坦化層4によって封鎖され、かつ他の平坦化層4によってガスバリア層5が保護される。また、高バリア性シート10は、ガスバリア性を有する平坦化層4を2層備えている。そのため、当該高バリア性シート10は、ガスバリア性がより高められている。
従って、高いガスバリア性及び耐熱性、熱的寸法安定性等の諸特性を有する3枚の高バリア性シート10が積層された当該高バリア性積層シートは、非常に高いガスバリア性及び耐熱性等の諸特性を有し、上記有機EL等の新規用途に好適に使用される。
図3の高バリア性積層シートは、略平行に重畳される一対の高バリア性シート20と、この一対の高バリア性シート20間に積層される接着層2とを備えている。換言すると、当該高バリア性積層シートは、接着層2を介して2枚の高バリア性シート20が積層接着された構造を有している。
高バリア性シート20は、基材フィルム3と、この基材フィルム3の一方の面に積層されるガスバリア層5と、このガスバリア層5の外面に積層される平坦化層4とを備えている。換言すると、高バリア性シート20は、高バリア性シート1の平坦化層4とガスバリア層5とが逆順に積層された構造を有している。当該高バリア性シート20における基材フィルム3、平坦化層4及びガスバリア層5は、上記図1の高バリア性シート1と同様であるため、同一番号を付して説明を省略する。
当該高バリア性シート20は、ガスバリア層5にピンホール、結晶粒界、クラック等の欠陥が発生しても、その欠陥が平坦化層4によって封鎖される。また、当該高バリア性シート20は、主にガスバリア性を奏するガスバリア層5の外面が平坦化層4によって保護され、ガスバリア性の経時的劣化が抑制される。さらに、当該高バリア性シート20は、ガスバリア層5の高いガスバリア性に加え、平坦化層4もガスバリア性の向上に寄与している。従って、当該高バリア性シート20は、水蒸気等に対するガスバリア性が格段に向上し、ガスバリア性の経時的劣化が低減される。
また、高バリア性シート20において、基材フィルム3のガスバリア層積層面には、ガスバリア層5との密接着性を向上させるための表面処理を施すとよい。このような密着性向上表面処理としては、例えば(a)コロナ放電処理、オゾン処理、酸素ガス若しくは窒素ガス等を用いた低温プラズマ処理、グロー放電処理、化学薬品等を用いた酸化処理、及び(b)プライマーコート処理、アンダーコート処理、アンカーコート処理、蒸着アンカーコート処理などが挙げられる。これらの表面処理の中でも、基材フィルム3表面に水酸基を生じさせ、無機酸化物等の蒸着膜であるガスバリア層5との接着強度を向上する低温プラズマ処理が好ましく、基材フィルム3表面の平坦化により緻密かつ均一なガスバリア層5の形成に寄与するアンカーコート処理が好ましい。
上記アンカーコート処理に用いるアンカーコート剤としては、例えばポリエステル系アンカーコート剤、ポリアミド系アンカーコート剤、ポリウレタン系アンカーコート剤、エポキシ系アンカーコート剤、フェノール系アンカーコート剤、(メタ)アクリル系アンカーコート剤、ポリ酢酸ビニル系アンカーコート剤、ポリエチレンアルイハポリプロピレン等のポリオレフィン系アンカーコート剤、セルロース系アンカーコート剤などが挙げられる。これらのアンカーコート剤の中でも、基材フィルム3とガスバリア層5との接着強度をより向上することができるポリエステル系アンカーコート剤が特に好ましい。
上記アンカーコート剤のコーティング量(固形分換算)の下限としては、0.1g/mが好ましく、1g/mが特に好ましい。一方、当該アンカーコート剤のコーティング量の上限としては、5g/mが好ましく、3g/mが特に好ましい。アンカーコート剤のコーティング量が上記下限より小さいと、基材フィルム3とガスバリア層5との密着性向上効果が小さくなるおそれがある。一方、当該アンカーコート剤のコーティング量が上記上限を超えると、当該高バリア性シート20の強度、耐久性等が低下するおそれがある。
なお、上記アンカーコート剤中には、密接着性向上のためのシランカップリング剤、基材フィルム3とのブロッキングを防止するためのブロッキング防止剤、耐候性等を向上させるための紫外線吸収剤等の各種添加剤を適宜混合することができる。かかる添加剤の混合量としては、添加剤の効果発現とアンカーコート剤の機能阻害とのバランスから0.1重量%以上10重量%以下が好ましい。
従って、高いガスバリア性及び耐熱性、熱的寸法安定性等の諸特性を有する2枚の高バリア性シート20が積層された当該高バリア性積層シートは、非常に高いガスバリア性及び耐熱性等の諸特性を有し、上記有機EL等の新規用途に好適に使用される。また、当該高バリア性積層シートは、図1の高バリア性積層シートと同様に、一対の高バリア性シート20が互いの平坦化層4及びガスバリア層5が対向する状態で積層されているため、ガスバリア機能を有する平坦化層4及びガスバリア層5が外側に位置する一対の基材フィルム3で被覆及び保護され、耐久性、強度等が向上する。
図4の高バリア性積層シートは、略平行に重畳される3枚の高バリア性シート30と、この3枚の高バリア性シート30間に積層される2層の接着層2とを備えている。換言すると、当該高バリア性積層シートは、接着層2を介して3枚の高バリア性シート30が積層接着された構造を有している。
高バリア性シート30は、基材フィルム3と、この基材フィルム3の一方の面に積層されるガスバリア層5と、このガスバリア層5の外面に積層される平坦化層4と、この平坦化層4の外面に積層される他のガスバリア層5とを備えている。換言すると、高バリア性シート30は、上記高バリア性シート20の外面に他のガスバリア層5が交互に積層された構造となっている。当該高バリア性シート30における基材フィルム3、平坦化層4及びガスバリア層5は、上記図1の高バリア性シート1と同様であるため、同一番号を付して説明を省略する。
当該高バリア性シート30は、上記高バリア性シート20と同様の高いガスバリア性及び耐熱性、熱的寸法安定性、強度等の諸特性を有している。加えて、高バリア性シート30は、2層のガスバリア層5によってガスバリア性が格段に高められている。なお、一対のガスバリア層5の中間に積層される平坦化層4は、上述の内面側のガスバリア層5に対する欠陥封鎖機能と、外面側に積層される他のガスバリア層5に対する緻密かつ均一な蒸着膜の成長促進機能とを奏することができる。
従って、高いガスバリア性及び耐熱性、熱的寸法安定性等の諸特性を有する3枚の高バリア性シート30が積層された当該高バリア性積層シートは、非常に高いガスバリア性及び耐熱性等の諸特性を有し、上記有機EL等の新規用途に好適に使用される。
なお、本発明の高バリア性積層シートは上記実施形態に限定されるものではなく、例えば4枚以上の高バリア性シートが積層された構造の高バリア性積層シートも可能である。また、高バリア性シートは、平坦化層4及びガスバリア層5がさらに繰り返し交互に積層された構造も可能である。
また、平坦化層4は、金属アルコキシド及び/又はその加水分解物を含む組成物を用いたゾル・ゲル法により形成することに限定されるものではない。例えば、基材フィルムに積層される平坦化層4は、シリコーン樹脂から形成してもよい。このように平坦化層4をシリコーン樹脂から形成しても、上述のガスバリア層5に対する緻密性促進機能及び欠陥封鎖機能を奏することができ、平坦化層4のガスバリア性を促進することができる。
上記シリコーン樹脂のビルディング・ブロックとしては、例えばジメチルシロキサン、ジエチルシロキサン、ジフェニルシロキサン、メチルビニルシロキサン、エチルビニルシロキサン、フェニルビニルシロキサン、エチルメチルシロキサン、メチルフェニルシロキサン、エチルフェニルシロキサン等を含むポリシロキサンが挙げられ、良好な平滑性促進機能を有するポリジメチルシロキサンが好ましい。
平坦化層4をシリコーン樹脂から形成する場合、平坦化層4の外面(ガスバリア層5を積層する面)に酸素プラズマ処理を施すとよい。このようにシリコーン樹脂からなる平坦化層4外面に酸素プラズマ処理を施すことで、平坦化層4表面のメチル基等を水酸基に変換でき、特にケイ素酸化物からなるガスバリア層との密着性が良好になり、かつケイ素酸化物の蒸着膜を緻密かつ均一に成長させることができ、その結果、当該高バリア性シートのガスバリア性がさらに高められる。
以下、実施例に基づき本発明を詳述するが、この実施例の記載に基づいて本発明が限定的に解釈されるものではない。
[実施例1]
厚さ25μmの透明ポリエチレンテレフタレート製の基材フィルムを用い、テトラエトキシシラン34質量部、水15質量部、イソプロピルアルコール10質量部、三級アミン0.17質量部及びγ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン3.4質量部を含む平坦化層用組成物を上記基材フィルムの一方の面にグラビアロ−ルコ−ト法を用いて1.0g/m(乾燥状態)コ−ティングし、120℃で1分間加熱処理することで平坦化層を積層した。次に、この平坦化層の外面に、スパッタリング法によりケイ素酸化物(酸化度X=約1.8)を蒸着することで厚さ100nmのガスバリア層を積層した。かかる工程により高バリア性シートを作製した。かかる2枚の高バリア性シートを武田薬品工業株式会社のポリウレタン系接着剤を用いたドライラミネート加工(固形分換算積層量;5g/m)により積層接着することで実施例1の高バリア性積層シートを得た。
[実施例2]
上記高バリア性シートにおけるガスバリア層の外面に、テトラエトキシシラン5.2質量部、メチルトリエトキシシラン1.1質量部、イソプロピルアルコール3質量部、三級アミン0.03質量部を含む他の平坦化層用組成物をグラビアロ−ルコ−ト法を用いて1.0g/m(乾燥状態)コ−ティングし、100℃で3分間加熱処理することで他の平坦化層を積層した以外は上記実施例1と同様にして実施例2の高バリア性積層シートを得た。
[実施例3]
上記基材フィルムの一方の面にガスバリア層を積層し、ガスバリア層の外面に平坦化層を積層した以外は上記実施例1と同様にして実施例3の高バリア性積層シートを得た。
[実施例4]
上記平坦化層の外面に、さらに上記と同様のガスバリア層を積層した以外は上記実施例3と同様にして実施例4の高バリア性積層シートを得た。
[実施例5]
上記平坦化層用組成物において、テトラエトキシシランの含有量を20質量部とし、さらにγ−アミノプロピルトリメトキシシラン14質量部含有した以外は上記実施例1と同様にして実施例5の高バリア性積層シートを得た。
[実施例6]
上記平坦化層用組成物中に、アルコール可溶性共重合ナイロン(東レ社製)35質量部含有した以外は上記実施例1と同様にして実施例6の高バリア性積層シートを得た。
[実施例7]
上記平坦化層の形成工程において、加熱処理温度を90℃とし、加えて加熱処理の際にコーティング面に波長210nmの紫外線を10分間照射した以外は上記実施例1と同様にして実施例7の高バリア性積層シートを得た。
[実施例8]
上記ガスバリア層の厚さを10nmとした以外は上記実施例1と同様にして実施例8の高バリア性積層シートを得た。
[実施例9]
上記ガスバリア層の厚さを20nmとした以外は上記実施例1と同様にして実施例9の高バリア性積層シートを得た。
[実施例10]
上記ガスバリア層の厚さを50nmとした以外は上記実施例1と同様にして実施例10の高バリア性積層シートを得た。
[実施例11]
上記ガスバリア層の厚さを200nmとした以外は上記実施例1と同様にして実施例11の高バリア性積層シートを得た。
[実施例12]
上記平坦化層をポリジメチルシロキサンから形成し、平坦化層の外面に酸素プラズマ処理を施した以外は上記実施例1と同様にして実施例12の高バリア性積層シートを得た。
[実施例13]
基材フィルムとして厚さ25μm、線膨張係数13ppm/℃のポリエチレンナフタレートフィルム(帝人デュポンフィルム製)を用いた以外は上記実施例1と同様にして実施例13の高バリア性積層シートを得た。
[実施例14]
ポリカーボネート100部とガラス繊維(旭ファイバーガラス(株)の「ECRガラス繊維」;繊維径18μm;繊維長4mm;nd=1.579)35部とを含有する樹脂組成物からなる線膨張係数15ppm/℃の基材フィルムを用いた以外は上記上記実施例1と同様にして実施例14の高バリア性積層シートを得た。
[実施例15]
上記ガラス繊維の含有量を55部とし、基材フィルムの線膨張係数を8ppm/℃とした以外は上記実施例14と同様にして実施例15の高バリア性積層シートを得た。
[実施例16]
上記ポリカーボネートに替えてエポキシ系樹脂(ジャパンエポキシレジン製の「エピコート828」)55部及び硬化剤(日立化成製の「HN−2000」)45部を用い、上記ガラス繊維に替えて繊維径13μm、繊維長4mm、nd=1.53のガラス繊維を用いた以外は上記実施例14と同様にして実施例16の高バリア性積層シートを得た。
[実施例17]
上記ガラス繊維に替え、平均幅160μm、平均厚さ5μm、nd=1.53のガラスフレーク(日本板硝子製)を用いた以外は上記実施例14と同様にして実施例17の高バリア性積層シートを得た。
[比較例]
実施例1の基材フィルムの一方の面に、実施例1と同様にしてガスバリア層を積層することで比較例の高バリア性シートを得た。
[特性の評価]
上記実施例1〜17の高バリア性積層シート及び比較例の高バリア性シートを用い、これらの高バリア性シートの水蒸気透過度を測定した。この水蒸気透過度は、JIS−Z−0208B法に準拠し、温度40℃及び相対湿度90%の条件で測定した。その結果を下記表1に示す。
Figure 0004310788
上記表1に示すように、基材フィルムとガスバリア層とが積層される比較例の高バリア性シートと比較して、一対の高バリア性シートが積層される実施例1〜17の高バリア性積層シートが高いガスバリア性を有している。また、実施例1、8、9、10及び11の高バリア性積層シートを対比すると、ガスバリア層の厚さが大きいほど、高いガスバリア性を有している。さらに、低線膨張係数の基材フィルムを用いた実施例13〜17の高バリア性積層シートは、より優れたガスバリア性を有している。
以上のように、本発明の高バリア性積層シートは、食品、医薬品等の包装材料として有用であり、特に今日開発が進められている有機EL、有機薄膜太陽電池、有機トランジスタ、フレキシブル液晶等の構成材料として好適に使用される。
本発明の一実施形態に係る高バリア性積層シートを示す模式的断面図 図1の高バリア性積層シートとは異なる形態に係る高バリア性積層シートを示す模式的断面図 図1及び図2の高バリア性積層シートとは異なる形態に係る高バリア性積層シートを示す模式的断面図 図1、図2及び図3の高バリア性積層シートとは異なる形態に係る高バリア性積層シートを示す模式的断面図 従来の一般的な高バリア性シートを示す模式的断面図
符号の説明
1 高バリア性シート
2 接着層
3 基材フィルム
4 平坦化層
5 ガスバリア層
10 高バリア性シート
20 高バリア性シート
30 高バリア性シート

Claims (12)

  1. 接着層を介して積層される複数の高バリア性シートを備えており、
    この高バリア性シートが、合成樹脂製の基材フィルム、平坦化層及びガスバリア層を有し、
    上記平坦化層が、金属アルコキシド及び/又はその加水分解物を含む組成物を用いたゾル・ゲル法により、若しくは外面に酸素プラズマ処理が施されたシリコーン樹脂から形成され、
    上記ガスバリア層が、無機酸化物又は無機窒化物の蒸着により形成されており、
    上記複数の高バリア性シートが、基材フィルムが外側に位置するよう積層されている高バリア性積層シート。
  2. 上記高バリア性シートが、基材フィルム、ガスバリア層及び平坦化層の順の積層構造を有している請求項1に記載の高バリア性積層シート。
  3. 上記高バリア性シートが、基材フィルム、平坦化層及びガスバリア層の順の積層構造を有している請求項1又は請求項2に記載の高バリア性積層シート。
  4. 上記平坦化層及びガスバリア層が交互に繰り返し積層されている請求項2又は請求項3に記載の高バリア性積層シート。
  5. 上記無機酸化物又は無機窒化物として、ケイ素酸化物、ケイ素窒化物及びアルミニウム酸化物からなる群より選択される1種又は2種以上のものが用いられている請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の高バリア性積層シート。
  6. 上記組成物中に、窒素、酸素、硫黄及びハロゲンの少なくとも1つを含む官能基を有する金属アルコキシドを含有する請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の高バリア性積層シート。
  7. 上記組成物中に、ゾル・ゲル法に使用可能な有機溶媒及び/又は水に対して可溶性を有するポリマーを含む請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の高バリア性積層シート。
  8. 上記ゾル・ゲル法による平坦化層の形成において、加熱と共に、組成物への紫外線照射が施されている請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の高バリア性積層シート。
  9. 上記基材フィルムの線膨張係数が20ppm/℃以下である請求項1から請求項8のいずれか1項に記載の高バリア性積層シート。
  10. 上記基材フィルムの基材ポリマーとしてポリエチレンナフタレートが用いられている請求項1から請求項9のいずれか1項に記載の高バリア性積層シート。
  11. 上記基材フィルム中にガラス繊維及び/又はガラスフレークを含有する請求項1から請求項10のいずれか1項に記載の高バリア性積層シート。
  12. 上記基材フィルムの基材ポリマーとガラス繊維及びガラスフレークとの屈折率差が0.01以下である請求項11に記載の高バリア性積層シート。
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