JP4310786B2 - 高バリア性シート - Google Patents

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Description

本発明は、酸素、水蒸気等に対するガスバリア性に優れ、さらに高い透明性、耐熱性、柔軟性等の諸特性を有する高バリア性シートに関するものである。
今日では、食品、医薬品等の包装分野において、内容物の酸化や変質を抑制して味、鮮度、効能等を維持するために、使用する包装材料には酸素や水蒸気の透過に対する高度なガスバリア性が要求されている。特に、食品等の包装においては、内容物の視認性確保や種々雑多な物の包装性確保のために、包装材料には上記ガスバリア性に加えて透明性、耐熱性、柔軟性等の諸特性が要求されている。また、今日開発が進められている有機EL、有機薄膜太陽電池、有機トランジスタ、フレキシブル液晶等の新規分野においても、高いガスバリア性、透明性、耐熱性、柔軟性等の諸特性を有する高バリア性シートの開発が待望されている。
上記ガスバリア性、透明性等の諸特性を有する従来の高バリア性シートとしては、図3に示すように、合成樹脂製の基材フィルム51と、この基材フィルム51の表面に積層されるガスバリア層52とを備えている(例えば特開2003−181974等参照)。この基材フィルム51は、耐熱性向上のためにポリエチレンテレフタレートフィルム等が用いられている。また、ガスバリア層52は、物理気相成長法又は化学気相成長法によって形成されるケイ素酸化物又はアルミニウム酸化物の蒸着薄膜から構成されている。
特開2003−181974公報
上記従来の高バリア性シートは、ガスバリア層52により所定のガスバリア性を有するが、ケイ素酸化物又はアルミニウム酸化物の蒸着薄膜の製造方法及び製造条件を制御してもガスバリア層52にピンホール、結晶粒界、クラック等の欠陥が発生し、このガスバリア層52の欠陥を介して水蒸気等のガスが透過する。そのため、上記従来の高バリア性シートは、ガスバリア性の向上には限界があり、高いガスバリア性が要求される有機EL用バリア性シート、有機薄膜太陽電池用基板シート、有機トランジスタ用基板シート、フレキシブル液晶用基板シート等としての使用に耐え得るものではない。
また、上記従来の高バリア性シートにおける合成樹脂製の基材フィルム51の表面は、所定の表面粗さを有し、ダストや滑り防止剤などが付着している。かかる基材フィルム51の表面性状に起因して、ガスバリア層52の蒸着膜への欠陥の発生が増大し、上記従来の高バリア性シートのガスバリア性の低下を招来している。
さらに、上記従来の高バリア性シートは、基材フィルム51の基材ポリマーとして一般的にポリビニルアルコール、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート等が用いられており、約60ppm/℃以上の線膨張係数を有している。そのため、ガスバリア層52を構成する無機酸化物の蒸着時に基材フィルム51に比較的大きい熱膨張が発生し、積層されたガスバリア層52にストレスが負荷される。かかるガスバリア層52のストレスに起因して、ガスバリア層52の蒸着膜への欠陥の発生が増大し、上記従来の高バリア性シートのガスバリア性の低下を招来している。また、高バリア性シートが上記新規用途等に使用される時、無機半導体や金属が蒸着等の方法によって製膜される場合があるが、上述のように比較的高い線膨張係数を有する基材フィルム5との熱膨張の差によって無機半導体膜や金属膜にストレスが負荷され、よい性能が得られないという不都合もある。
本発明はこれらの不都合に鑑みてなされたものであり、酸素、水蒸気等に対するガスバリア性に優れ、さらに高い透明性、耐熱性、柔軟性等の諸特性を有し、非常に高いガスバリア性が要求される例えば有機EL用バリア性シート、有機薄膜太陽電池用基板シート、有機トランジスタ用基板シート、フレキシブル液晶用基板シート等に好適に使用される高バリア性シートの提供を目的とするものである。
上記課題を解決するためになされた本発明の高バリア性シートは、
合成樹脂製の基材フィルムと、
この基材フィルムの少なくとも一方の面に積層される一の平坦化層と、
この一の平坦化層の外面に積層されるガスバリア層と、
このガスバリア層の外面に積層される他の平坦化層と
を備えており、
上記基材フィルムの線膨張係数が20ppm/℃以下であり、
上記一の平坦化層が、金属アルコキシド及び/又はその加水分解物を含む組成物を用いたゾル・ゲル法により、若しくは外面に酸素プラズマ処理が施されたシリコーン樹脂により形成され、
上記ガスバリア層が、無機酸化物又は無機窒化物の蒸着により形成され、
上記他の平坦化層が、金属アルコキシド及び/又はその加水分解物を含む組成物を用いたゾル・ゲル法により形成されている。
当該高バリア性シートは、基材フィルムに一の平坦化層が積層され、その平坦化層の外面にガスバリア層が積層されていることから、一の平坦化層によって基材フィルムの表面粗さが低減され、かつ基材フィルム表面に付着しているダストや滑り防止剤などが被覆される結果、ガスバリア層を積層する界面の平滑性を促進することができる。そのため、当該高バリア性シートは、ガスバリア層の緻密性が促進されて、ガスバリア層へのピンホール、結晶粒界、クラック等の欠陥の発生が低減され、その結果水蒸気等に対するガスバリア性が格段に向上する。
また、当該高バリア性シートは、ガスバリア層の外面に他の平坦化層が積層されていることから、ガスバリア層にピンホール、結晶粒界、クラック等の欠陥が発生しても、その欠陥が他の平坦化層によって封鎖され、また他の平坦化層によってガスバリア層が保護される。そのため、当該高バリア性シートは、水蒸気等に対するガスバリア性がさらに向上し、ガスバリア性の経時的劣化が低減される。
また、当該高バリア性シートは、基材フィルムの線膨張係数が20ppm/℃以下とされていることから、ガスバリア層の積層時(例えば、無機酸化物等の蒸着時)に基材フィルムに生じる熱膨張が低減され、かかる基材フィルムの熱膨張に起因して負荷されるガスバリア層へのストレスが低減される。そのため、当該高バリア性シートは、ガスバリア層へのピンホール、結晶粒界、クラック等の欠陥の発生が低減され、水蒸気等に対するガスバリア性が格段に向上する。
さらに、当該高バリア性シートは、上述のように低い線膨張係数の基材フィルムを備えることで、耐熱性及び熱的寸法安定性が飛躍的に向上する。一方、当該高バリア性シートは、上記有機EL等の新規用途へ使用される場合に、無機半導体や金属が蒸着等の方法によって製膜されることがあるが、これらの無機半導体膜や金属膜との熱膨張の差が低減され、その結果、無機半導体膜や金属膜に負荷されるストレスが低減される。従って、当該高バリア性シートは、上述の有機EL等の新規用途に好適に使用され、それらの性能の向上に寄与することができる。
上記ガスバリア層及び他の平坦化層は、同順に複数回繰り返して積層するとよい。このようにガスバリア層及び他の平坦化層を同じ順序で複数回繰り返して積層することで、当該高バリア性シートのガスバリア性を格段に向上することができる。なお、一対のガスバリア層間に積層される他の平坦化層は、上述の内面側のガスバリア層に対する欠陥封鎖機能に加えて、外面側に積層されるガスバリア層に対して界面の平滑性に起因するガスバリア層の緻密性促進機能をも奏することができる。
上記基材フィルムの線膨張係数としては、5ppm/℃以上15ppm/℃以下が好ましい。このように基材フィルムの線膨張係数を上記範囲とすることで、基材フィルムひいては当該高バリア性シートの耐熱性及び熱的寸法安定性がより向上し、加えてガスバリア層積層時の基材フィルムの熱膨張及びガスバリア層の負荷ストレスに起因するガスバリア層へのクラック等の欠陥が格段に低減され、その結果当該高バリア性シートのガスバリア性が効果的に向上する。
上記基材フィルムの基材ポリマーとして、ポリエチレンナフタレートを用いるとよい。かかるポリエチレンナフタレートは耐熱性、熱的寸法安定性、ガスバリア性等が優れていることから、基材フィルムの線膨張係数を上記範囲に制御することが容易になり、当該高バリア性シートのガスバリア性及び耐熱性、熱的寸法安定性等の諸特性を向上させることができる。
上記基材フィルム中にガラス繊維及び/又はガラスフレークを含有するとよい。このように基材フィルム中にガラス繊維及び/又はガラスフレークを含有することで、基材フィルムの線膨張係数を低下させて上記範囲に制御することができ、当該高バリア性シートのガスバリア性及び耐熱性、熱的寸法安定性等の諸特性を向上させることができる。また、基材フィルム中に含有するガラス繊維及びガラスフレークは透明であるため、当該高バリア性シートの透明性の低下が低減される。
上記基材フィルムの基材ポリマーとガラス繊維及びガラスフレークとの屈折率差としては0.01以下が好ましい。このようにガラス繊維及びガラスフレークと基材フィルムの基材ポリマーとの屈折率差を上記範囲とすることで、ガラス繊維等の界面での屈折、反射等が低減され、ガラス繊維等の含有による当該高バリア性シートの光線透過率の低下を抑制することができる。
上記ガスバリア層は、無機酸化物又は無機窒化物の蒸着により形成されている。このようにガスバリア層を無機酸化物又は無機窒化物の蒸着により形成することで、ガスバリア層の高いガスバリア性、透明性、耐熱性、柔軟性等が確保される。
上記無機酸化物又は無機窒化物としては、ケイ素酸化物、ケイ素窒化物及びアルミニウム酸化物からなる群より選択される1種又は2種以上のものが好ましい。かかるケイ素酸化物、ケイ素窒化物又はアルミニウム酸化物からガスバリア層を形成することで、当該高バリア性シートのガスバリア性、透明性等が高められる。
上記平坦化層は、金属アルコキシド及び/又はその加水分解物を含む組成物を用いたゾル・ゲル法により形成するとよい。このような金属アルコキシド及び/又はその加水分解物を含む組成物を用いたゾル・ゲル法によれば、上述の平坦化層外面に積層されるガスバリア層に対する緻密性促進機能と平坦化層内面に積層されるガスバリア層に対する欠陥封鎖機能とを有する平坦化層を容易かつ確実に形成することができる。また、このように平坦化層をゾル・ゲル法により形成することで、平坦化層にもガスバリア性が付与され、当該高バリア性シートのガスバリア性をさらに向上することができる。
上記組成物中に、窒素、酸素、硫黄及びハロゲンの少なくとも1つを含む官能基を有する金属アルコキシドを含有するとよい。このように窒素、酸素、硫黄及びハロゲンの少なくとも1つを含む官能基を有する金属アルコキシドを含有することで、平坦化層の膜物性が向上し、また上述のガスバリア層に対する緻密性促進機能及び欠陥封鎖機能並びに平坦化層のガスバリア性を促進することができ、さらに基材フィルムと一の平坦化層との密着性を改善することができる。
上記組成物中に、ゾル・ゲル法に使用可能な有機溶媒及び/又は水に対して可溶性を有するポリマー(以下、「溶剤可溶性ポリマー」と称する)を含むとよい。このように金属アルコキシドと溶剤可溶性ポリマーとを含む組成物を用いたゾル・ゲル法により平坦化層を形成することで、平坦化層の膜物性が向上し、かつ平坦化層のガスバリア性(特に、高温時におけるガスバリア性)をより高めることができる。
上記ゾル・ゲル法による平坦化層の形成において、加熱と共に、組成物への紫外線照射を施すとよい。このようにゾル・ゲル法による平坦化層の形成の際に、加熱と共に、組成物への紫外線照射を施すことで、組成物がより低温で硬化し、膜物性及び平坦化層の密着性が向上する。そのため、当該高バリア性シートは、ガスバリア性、耐熱性、透明性等がより高められる。
また、上記一の平坦化層は、シリコーン樹脂から形成し、その外面に酸素プラズマ処理を施してもよい。このように一の平坦化層をシリコーン樹脂から形成しても、上述のガスバリア層に対する緻密性促進機能及び欠陥封鎖機能を奏することができ、さらに一の平坦化層のガスバリア性を促進することができる。また、シリコーン樹脂からなる一の平坦化層外面に酸素プラズマ処理を施すことで、一の平坦化層の表面が活性化される結果、一の平坦化層とガスバリア層(特に、ケイ素酸化物からなるガスバリア層)との密着性が良好になり、かつガスバリア層の緻密性促進機能が向上し、当該高バリア性シートのガスバリア性がさらに高められる。
以上説明したように、本発明の高バリア性シートは、酸素、水蒸気等に対するガスバリア性に優れ、さらに高い透明性、耐熱性、柔軟性等の諸特性を有している。そのため、当該高バリア性シートは、非常に高いガスバリア性が要求される例えば有機EL用バリア性シート、有機薄膜太陽電池用基板シート、有機トランジスタ用基板シート、フレキシブル液晶用基板シート等に好適に使用される。
以下、適宜図面を参照しつつ本発明の実施の形態を詳説する。図1は本発明の一実施形態に係る高バリア性シートを示す模式的断面図、図2は図1の高バリア性シートとは異なる形態に係る高バリア性シートを示す模式的断面図である。
図1の高バリア性シートは、合成樹脂製の基材フィルム1と、この基材フィルム1の一方の面に積層される一の平坦化層2と、この一の平坦化層2の外面に積層されるガスバリア層3と、このガスバリア層3の外面に積層される他の平坦化層4とを備えている。当該高バリア性シートは、主にガスバリア層3によって高いガスバリア性を有し、加えて高い透明性、耐熱性、柔軟性等の諸特性を有している。
基材フィルム1は、基材ポリマーを含む樹脂組成物から形成されている。この基材フィルム1の線膨張係数は、20ppm/℃以下とされており、5ppm/℃以上15ppm/℃以下が好ましい。かかる範囲の低線膨張係数を有する基材フィルム1を使用することで、当該高バリア性シートの耐熱性及び熱的寸法安定性が向上され、加えて後述するガスバリア層3の積層時(具体的には、無機酸化物等の蒸着時)の基材フィルム1の熱膨張に起因するガスバリア層3への欠陥の発生が低減される。
基材フィルム1の基材ポリマーとしては、例えばポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、環状ポリオレフィン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリエステル系樹脂、アクリロニトリル−スチレン共重合体(AS樹脂)、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体(ABS樹脂)、ポリ塩化ビニル系樹脂、フッ素系樹脂、ポリ(メタ)アクリル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリアミドイミド系樹脂、ポリアリールフタレート系樹脂、シリコーン系樹脂、ポリスルホン系樹脂、ポリフェニレンスルフィド系樹脂、ポリエーテルスルホン系樹脂、ポリウレタン系樹脂、アセタール系樹脂、セルロース系樹脂等が挙げられる。上記樹脂の中でも、高い耐熱性、熱的寸法安定性、水蒸気等に対するガスバリア性、強度、耐候性、耐久性等を有し、ガスバリア層3の蒸着条件等に耐え、一の平坦化層2との密接着性に優れているポリエステル系樹脂が好ましい。
また、後述するように基材フィルム1中にガラス繊維又はガラスフレークを含有する場合、基材フィルム1の基材ポリマーとしては熱硬化性樹脂が好ましい。かかる熱硬化性樹脂によれば、シート成形中にガラス繊維等にシェアが掛かって短くなり、基材フィルム1の熱膨張の改善効果が得られないという不都合を低減することができる。この熱硬化性樹脂としては、特に限定されないが、例えばエポキシ系樹脂、ビニルエステル樹脂、メタクリル酸メチル(MMA)樹脂、不飽和ポリエステル系樹脂、フェノール樹脂、アクリルシロップ樹脂、熱硬化エチレン酢酸ビニル共重合体、ユリア樹脂、メラミン樹脂、ウレタン樹脂、DAP(ジアリールフタレート)樹脂等が挙げられる。これら熱硬化性樹脂の中でも、特にエポキシ系樹脂が好ましい。これらの熱硬化性樹脂はいずれも常温もしくは加熱下で硬化するものである。これらの熱硬化性樹脂は単独もしくは複数混合されて主として含浸により繊維材料と複合化する。
上記ポリエステル系樹脂としては、例えばポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンナフタレート(PEN)等が挙げられる。これらのポリエステル系樹脂の中でも、ガスバリア性及び耐熱性、熱的寸法安定性等の諸特性が優れ、基材フィルム1の線膨張係数を上記範囲に容易に制御することができるポリエチレンナフタレートが特に好ましい。
上記ポリエチレンナフタレートは、ナフタレンジカルボン酸とエチレングリコールとから導かれるエチレンナフタレート単位を主成分とする。このナフタレンジカルボン酸としては、例えば2,6−ナフタレンジカルボン酸、2,7−ナフタレンジカルボン酸、2,5−ナフタレンジカルボン酸、1,4−ナフタレンジカルボン酸等が挙げられ、特に2,6−ナフタレンジカルボン酸が好ましい。
上記ポリエチレンナフタレートにおけるエチレンナフタレート単位の含有量としては、85モル%以上が好ましく、90モル%以上が特に好ましい。エチレンナフタレート単位の含有量が上記範囲未満であると、基材フィルム1のガスバリア性や耐熱性などが低下するおそれがある。
上記ポリエチレンナフタレートは、ナフタレンジカルボン酸以外のジカルボン酸、及び/又はエチレングリコール以外のジヒドロキシ化合物から導かれるエステル単位を含有してもよい。他のジカルボン酸類としては、例えばテレフタル酸、イソフタル酸、ジフェニルジカルボン酸、ジフェノキシエタンジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸、及びこれらのエステル誘導体が挙げられる。他のジヒドロキシ化合物としては、例えばトリメチレングリコール、プロピレングリコール、テトラメチレングリコール、ネオペンチルグリコール、ヘキサメチレングリコール、ドデカメチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコールなどの脂肪族グリコール、シクロヘキサンジメタノールなどの脂環族グリコール、ビスフェノール類、ハイドロキノン、2,2−ビス(4−β−ヒドロキシエトキシフェニル)プロパンなどの芳香族ジオール類、及びこれらのエステル誘導体が挙げられる。
上記ポリエチレンナフタレートの製造方法としては、特に限定されず公知の方法が採用される。具体的には、(a)2,6−ナフタレンジカルボン酸とエチレングリコ−ル、及び/又は、第三成分を直接反応させて水を留去しエステル化した後、減圧下に重縮合を行う直接エステル化法、(b)ジメチル−2,6−ナフタレンジカルボキシレートとエチレングリコール、及び/又は、第三成分を反応させてメチルアルコールを留去しエステル交換させた後、減圧下に重縮合を行うエステル交換法により製造される。かかるエステル交換法においては、エステル交換触媒としてMg、Mn、Ca、Zn等のカルボン酸金属塩化合物、重縮合触媒としてGe、Sb、Ti等の化合物が用いられる。また、エステル交換触媒の活性をなくすためにエステル交換反応終了後、燐酸、トリメチルフォスフェイト等のリン化合物を添加することができる。直接エステル化法においては、重縮合触媒としてGe、Sb、Tiの化合物が用いられる。
基材フィルム1を形成する樹脂組成物中には、ガラス繊維及び/又はガラスフレークを含有するとよい。このように基材フィルム1中にガラス繊維及び/又はガラスフレークを含有することで、基材フィルム1の線膨張係数を低下させ、上記範囲に制御することができ、当該高バリア性シートのガスバリア性及び耐熱性、熱的寸法安定性等の諸特性を向上させることができる。特に、ガラスフレークを基材フィルム1のフィルム面と略平行に配設することで当該高バリア性シートのガスバリア性をより高めることができる。なお、含有するガラス繊維及びガラスフレークは透明であるため、当該高バリア性シートの透明性の低下が低減される。
上記ガラス繊維の平均長さとしては、1mm以上25mm以下が好ましく、2mm以上10mm以下が特に好ましい。また、ガラス繊維の平均径としては、6μm以上17μm以下が好ましく、8μm以上12μm以下が特に好ましい。ガラス繊維の平均長さ及び平均径が上記範囲より小さいと、樹脂組成物中での均一分散性が低下するおそれがある。一方、ガラス繊維の平均長さ及び平均径が上記範囲を超えると、基材フィルム1の耐熱性、熱的寸法安定性等を向上させる効果が低下するおそれがある。
上記ガラスフレークの形状としては、例えば平板状、鱗片状、波板状、円筒面状等が挙げられ、耐熱性、ガスバリア性等の向上効果の面から平板状が特に好ましい。ガラスフレークの平均幅(所定の方向を基準とする幅の平均値)としては、1μm以上3000μm以下が好ましく、5μm以上1000μm以下が特に好ましい。また、ガラスフレークの平均厚さとしては、0.1μm以上20μm以下が好ましく、0.5μm以上10μm以下が特に好ましい。ガラスフレークの平均幅及び平均厚さが上記範囲より小さいと、樹脂組成物中での均一分散性が低下するおそれがある。一方、ガラスフレークの平均幅及び平均厚さが上記範囲を超えると、基材フィルム1の耐熱性、熱的寸法安定性等を向上させる効果が低下し、基材フィルム1の表面粗さが低下するおそれがある。
上記ガラス繊維及びガラスフレークと基材フィルム1の基材ポリマーとの屈折率差としては、0.01以下が好ましく、0.002以上0.007以下が特に好ましい。このようにガラス繊維及びガラスフレークと基材フィルム1の基材ポリマーとの屈折率差を上記範囲とすることで、ガラス繊維等の界面での屈折、反射等が低減され、ガラス繊維等の含有による当該高バリア性シートの光線透過率の低下を抑制することができる。例えば、ガラス繊維及びガラスフレークの材料としてEガラスを使用する場合、Eガラスの組成成分から酸化ホウ素やフッ素化合物成分を除くことで、屈折率を大きくし、上記基材ポリマーの屈折率に近づけることができる。
上記ガラス繊維及びガラスフレークとしては、シランカップリング剤で表面処理されているものが好ましい。シランカップリング剤の表面処理により、ガラス繊維及びガラスフレークと基材フィルム1のマトリックス樹脂との接着性を高めることができる。このシランカップリング剤としては、例えばγ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−β(アミノエチル)N’−β’(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリエトキシシランなどが挙げられる。これらのシランカップリング剤の中でも、基材フィルム1の透明性を阻害しないγ−アミノプロピルトリエトキシシラン又はγ−アミノプロピルトリメトキシシランが好ましい。
上記シランカップリング剤の固形分換算の付着率としては0.1質量%以上0.5重量%以下が好ましい。シランカップリング剤の固形分付着率が上記範囲より小さいと、上述のガラス繊維及びガラスフレークと基材フィルム1のマトリックス樹脂との接着性を高める効果が低下するおそれがある。一方、シランカップリング剤の固形分付着率が上記範囲を超えると、基材フィルム1を形成する樹脂組成物への着色が目立つおそれがある。
上記ガラス繊維及びガラスフレークとしては、その表面が集束剤でコーティングされているものが好ましい。このように集束剤でコーティングされたガラス繊維及びガラスフレークは、基材フィルム1を形成する樹脂組成物中での均一分散性が向上し、かつガラス繊維及びガラスフレーク同士が擦れて耐熱性、引張強度等が低下してしまう不都合を防止する結果、当該高バリア性シートのガスバリア性及び耐熱性、熱的寸法安定性等の諸特性を向上させることができる。この集束剤としては、基材ポリマーとの接着性及び安定性を考慮して適宜選択され、例えばポリカーボネート系樹脂に対してはウレタン系、エポキシ系等が好ましく、ポリエステル系樹脂に対してはポリアミド系が好ましい。
上記集束剤の固形分換算の付着率としては0.2質量%以上3重量%以下が好ましい。集束剤の固形分付着率が上記範囲より小さいと、集束剤成分がガラス繊維又はガラスフレーク全体に行き渡らなくなり、上述の均一分散性などの効果が低下するおそれがある。一方、集束剤の固形分付着率が上記範囲を超えると、前記効果が頭打ちになるばかりか、ガラス繊維及びガラスフレークの配合量の低下を招来するおそれがある。
上記基材フィルム1を形成する樹脂組成物におけるガラス繊維及びガラスフレークの含有量としては、基材ポリマー100質量部に対し、1質量部以上80質量部以下が好ましく、5質量部以上60質量部以下が特に好ましい。ガラス繊維及びガラスフレークの含有量が上記範囲より小さいと、耐熱性、熱的寸法安定性等の向上が不十分になるおそれがある。一方、ガラス繊維及びガラスフレークの含有量が上記範囲を超えると、基材フィルム1の成形が困難になり、透明性も低下するおそれがある。
なお、基材フィルム1の基材ポリマーとしては、上記合成樹脂を1種又は2種以上混合して使用することができる。また、基材フィルム1を形成する樹脂組成物には、加工性、耐熱性、耐候性、機械的性質、寸法安定性等を改良、改質する目的で、種々の添加剤等を混合することができる。かかる添加剤としては、例えば滑剤、架橋剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定化剤、充填剤、強化繊維、補強剤、帯電防止剤、難燃剤、耐炎剤、発泡剤、防カビ剤、顔料等が挙げられる。上記基材フィルム1の成形方法としては、特に限定されず、例えば押出し法、キャスト成形法、Tダイ法、切削法、インフレーション法等の公知の方法が採用される。
基材フィルム1の厚み(平均厚み)の下限としては、10μmが好ましく、20μmが特に好ましい。一方、基材フィルム1の厚みの上限としては、250μmが好ましく、188μmが特に好ましい。基材フィルム1の厚みが上記下限未満であると、ガスバリア層3を形成するための蒸着加工の際にカールが発生しやすくなってしまう、取扱いが困難になる等の不都合が発生する。逆に、基材フィルム1の厚みが上記上限を超えると、高バリア性シートの薄型化及び軽量化の要請に反することになる。
一の平坦化層2は、金属アルコキシド及び/又はその加水分解物を含む組成物を用いたゾル・ゲル法により形成される。
この金属アルコキシドが含有する金属としては、3価以上の金属、例えば遷移金属、希土類金属、周期表3〜5族の金属などが挙げられ、周期表3b族又は4族に属する金属が好ましい。周期表3b族に属する金属としては例えばAlなどが挙げられる。周期表4族に属する金属としては例えば4a族に属するTi、Zrなど、4b族に属するSiなどが挙げられる。これらの金属のうち、ゾル・ゲル法による製膜が容易で界面平坦化機能に優れるAl及びSiが好ましく、Siが特に好ましい。
金属アルコキシドが有するアルコキシ基としては、例えばメトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基、イソブトキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基などが挙げられる。中でも、加水分解重合性に優れる炭素数1〜4の低級アルコキシ基が好ましく、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基が特に好ましい。また、加水分解重合性を促進する趣旨で、少なくとも2つのアルコキシ基を有する金属アルコキシドが好ましい。
金属アルコキシドは、炭化水素基を有していてもよい。この炭化水素基としては、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基等のアルキル基;シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロオクチル基等のシクロアルキル基;フェニル基、ナフチル基等のアリール基;ベンジル基、2−フェニルエチル基等のアラルキル基等が挙げられる。これらの炭化水素基のうち、アルキル基及びアリール基が好ましい。このアルキル基の中でも、炭素数1〜4の低級アルキル基が好ましく、メチル基、エチル基及びプロピル基が特に好ましい。また、アリール基の中でも、フェニル基が好ましい。金属アルコキシドにおける炭化水素基の数としては、アルコキシ基の数に応じて適当に選択でき、一般的に1分子中0〜2個程度とされている。
金属アルコキシドとしては、具体的には、下記式(1)で表されるものが好ましい。
(RM(ORX−m (1)
上記式(1)において、Rは、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基又はアラルキル基を示し、置換基を有していてもよい。Rは、低級アルキル基を示す。R及びRは、mによって異なっていてもよい。Mは、3価以上の金属を示す。Xは、金属Mの価数を示す。mは、0〜2の整数を示し、X−m≧2である。
特に、金属がSiである金属アルコキシドとしては、下記式(2)で表されるものが好ましい。
(RSi(OR4−n (2)
上記式(2)において、Rは、アルキル基又はアリール基を示し、置換基を有していてもよい。Rは、低級アルキル基を示す。R及びRは、nによって異なっていてもよい。nは、0〜2の整数を示す。
金属がAlである金属アルコキシドとしては、具体的にはトリメトキシアルミネート、トリエトキシアルミネート、エチルジエトキシアルミネート、トリプロポキシアルミネートなどが挙げられる。
上記式(2)で表される金属(Si)アルコキシドとしては、具体的にはテトラメトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、プロピルトリメトキシシラン、ブチルトリメトキシシラン、テトラエトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、プロピルトリエトキシシラン、ブチルトリエトキシシラン、テトラプロポキシシラン、メチルトリプロポキシシラン、エチルトリプロポキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジエチルジメトキシシラン、ジプロピルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジエチルジエトキシシラン、γ−クロロプロピルトリメトキシシラン、γ−クロロプロピルトリエトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、フェニルトリプロポキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシランなどが挙げられる。
上記式(2)で表される金属(Si)アルコキシドの中でも、炭素数1〜4程度のアルキル基又はアリール基を0〜2個、炭素数1〜3程度のアルコキシ基を2〜4個有する化合物、例えばテトラメトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、テトラエトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、ジエチルジエトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシランなどが特に好ましい。
なお、上記組成物中には、同種又は異種の金属アルコキシドを一種又は二種以上混合して使用できる。また、上記組成物中には、組成物の硬さ、柔軟性などを調整するため、n=3のモノアルコキシシランを添加してもよい。また、上記組成物中には、5b族の化合物、例えばメチルホスホナスジメチルエステル、エチルホスホナスジメチルエステル、トリクロロメチルホスホナスジエチルエステル、メチルホスホナスジエチルエステル、メチルホスホニックジメチルエステル、フェニルホスホニックジメチルエステル、リン酸トリアルキルエステルなどのリン系化合物や、ホウ酸トリアルキルエステルなどのホウ素化合物を添加してもよい。さらに、上記組成物中には、少なくとも1つの加水分解性有機基を有するアルカリ土類金属化合物を必要に応じて添加してもよい。このアルカリ土類金属化合物は、炭化水素基と加水分解性有機基との双方を有していてもよい。
上記組成物中に、窒素、酸素、硫黄及びハロゲンの少なくとも1つを含む官能基を有する金属アルコキシド(A)を含有するとよい。このように窒素、酸素、硫黄及びハロゲンの少なくとも1つを含む官能基を有する金属アルコキシド(A)を含有する組成物を塗工及びキュアすることで、平坦化層2に特定のポリシロキサン構造を発現させ、平坦化層2の膜物性ひいてはガスバリア性を向上させることができ、加えて平坦化層2のガスバリア性の温度依存性を低減することができる。
上記窒素、酸素、硫黄及びハロゲンの少なくとも1つを含む官能基としては、例えばアミノ基、塩素、メルカプト基、グリシドキシ基などが挙げられる。上記窒素、酸素、硫黄及びハロゲンの少なくとも1つを含む官能基を有する金属アルコキシド(A)としては、例えば、γ−クロロプロピルトリメトキシシラン、β−(3、4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、N−β(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β(アミノエチル)−γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−ウレイドプロピルトリエトキシシラン、ビス(β−ヒドロキシエチル)−γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルシリコ−ン等が挙げられ、これらの金属アルコキシドの1種又は2種以上を使用することができる。
上記金属アルコキシド(A)の含有量(組成物中の全金属アルコキシドに対する含有量)としては、1質量%以上50質量%以下が好ましく、3質量%以上30質量%以下が特に好ましい。金属アルコキシド(A)の含有量を上記範囲とすることで、平坦化層2にガスバリア性に寄与するポリシロキサン構造を発現することができる。
上記組成物中に、溶剤可溶性ポリマーを含有するとよい。かかる溶剤可溶性ポリマーと金属アルコキシドとを含む組成物を用いたゾル・ゲル法により平坦化層2を形成することで、平坦化層2の膜物性が向上し、かつ平坦化層2のガスバリア性(特に、高温時におけるガスバリア性)をより高めることができる。
上記溶剤可溶性ポリマーとしては、種々の官能基や官能性結合基(例えば、ヒドロキシル基、カルボキシル基、エステル結合、エーテル結合、カーボネート結合、アミド基、アミド結合など)を有するポリマー、グリシジル基を有するポリマー、ハロゲン含有ポリマー、これらのポリマーからの誘導体等が挙げられる。これらの官能基や官能性結合基はポリマーの主鎖又は側鎖のいずれに存在していてもよい。溶媒可溶性ポリマーとしては、熱可塑性樹脂又は熱硬化性樹脂のいずれであってもよく、単独又は二種以上混合して使用してもよい。また、溶媒可溶性ポリマーとしては、金属アルコキシドとの反応に活性であってもよく、不活性であってもよいが、一般的には非反応性ポリマーとされている。なお、「アミド結合」とは、−NHC(O)−に限定されず、>NC(O)−結合単位を含む概念である。
上記ヒドロキシル基を有するポリマーとその誘導体としては、例えばポリビニルアルコール、ポリビニルアセタール、エチレン−ビニルアルコール共重合体、フェノール樹脂、メチロールメラミン等とその誘導体(例えばアセタール化物、ヘキサメトキシメチルメラミン等)が挙げられる。上記カルボキシルを有するポリマーとその誘導体としては、例えばポリ(メタ)アクリル酸、無水マレイン酸、イタコン酸等の重合性不飽和酸の単位を含む単独又は共重合体、これらのポリマーのエステル化物などが挙げられる。上記エステル結合を有するポリマーとしては、例えば酢酸ビニル等のビニルエステル、メタクリル酸メチル等の(メタ)アクリル酸エステルなどの単位を含む単独又は共重合体(例えばポリ酢酸ビニル、エチレン−酢酸ビニル共重合体、(メタ)アクリル系樹脂など)、飽和ポリエステル、不飽和ポリエステル、ビニルエステル樹脂、ジアリルフタレート樹脂、セルロースエステルなどが挙げられる。上記エーテル結合を有するポリマーとしては、例えばポリアルキレンオキサイド、ポリオキシアルキレングリコール、ポリビニルエーテル、ケイ素樹脂などが挙げられる。上記カーボネート結合を有するポリマーとしては、ビスフェノールA型ポリカーボネートなどのポリカーボネートが挙げられる。
上記アミド結合を有するポリマーとしては、例えば>N(COR)−結合を有するポリオキサゾリン、ポリアルキレンイミン等のN−アシル化物;>NC(O)−結合を有するポリビニルピロリドンとその誘導体;ウレタン結合−HNC(O)O−を有するポリウレタン;尿素結合−HNC(O)NH−を有するポリマー;アミド結合−C(O)NH−を有するポリマー;ビュレツト結合を有するポリマー;アロハネート結合を有するポリマーなどが含まれる。上記結合式において、Rは、水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基、又は置換基を有していてもよいアリール基を示す。
>N(COR)−結合を有するポリオキサゾリンの場合、上記Rで示されるアルキル基としては、例えば炭素数1〜10程度のアルキル基、好ましくは炭素数1〜4の低級アルキル基、特にメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基などが該当する。アルキル基の置換基としては、例えばフッ素、塩素、臭素等のハロゲン原子、ヒドロキシル基、炭素数1〜4程度のアルコキシ基、カルボキシル基、アルキル部分の炭素数が1〜4程度のアルコキシカルボニル基などが挙げられる。アリール基としては、例えばフェニル、ナフチル基などが挙げられる。アリール基の置換基としては、例えば前記ハロゲン原子、炭素数1〜4程度のアルキル基、ヒドロキシル基、炭素数1〜4程度のアルコキシ基、カルボキシル基、アルキル部分の炭素数が1〜4程度のアルコキシカルボニル基などが挙げられる。
オキサゾリンとしては、例えば2−オキサゾリン、2−メチル−2−オキサゾリン、2−エチル−2−オキサゾリン、2−プロピル−2−オキサゾリン、2−イソプロピル−2−オキサゾリン、2−ブチル−2−オキサゾリン、2−ジクロロメチル−2−オキサゾリン、2−トリクロロメチル−2−オキサゾリン、2−ペンタフルオロエチル−2−オキサゾリン、2−フェニル−2−オキサゾリン、2−メトキシカルボニルエチル−2−オキサゾリン、2−(4−メチルフェニル)−2−オキサゾリン、2−(4−クロロフェニル)−2−オキサゾリンなどが挙げられる。特に、2−オキサゾリン、2−メチル−2−オキサゾリン、2−エチル−2−オキサゾリンなどが好ましい。このようなオキサゾリンのポリマーは一種又は二種以上混合して使用できる。ポリオキサゾリンは、単独重合体であってもよく、共重合体であってもよい。また、ポリオキサゾリンは、ポリマーにポリオキサゾリンがグラフトした共重合体であってもよい。
なお、ポリオキサゾリンは、置換基を有していてもよいオキサゾリンを触媒の存在下で開環重合することにより得られる。触媒としては、例えば硫酸ジメチル、p−トルエンスルホン酸アルキルエステルなどの硫酸エステルやスルホン酸エステル;ヨウ化アルキル(例えば、ヨウ化メチル)などのハロゲン化アルキル;フリーデルクラフツ触媒のうち金属フッ素化物;硫酸、ヨウ化水素、p−トルエンスホン酸などの酸、これらの酸とオキサゾリンとの塩であるオキサゾリニウム塩などが使用できる。
ポリアルキレンイミンのアシル化物としては、前記ポリオキサゾリンに対応するポリマー、例えばN−アセチルアミノ、N−プロピオニルアミノなどのN−アシルアミノ基を有するポリマーが挙げられる。ポリビニルピロリドンとその誘導体としては、置換基を有してもよいビニルピロリドンのポリマー、例えばポリビニルピロリドンなどが挙げられる。ウレタン結合を有するポリウレタンとしては、例えばポリイソシアネート(トリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート等)と、ポリオール(エチレングリコール、プロピレングリコール、テトラメチレングリコール、グリセリンなどの多価アルコール;ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロビレングリコール等のポリエーテルポリオール;ポリエステルポリオールなど)との反応により生成するポリウレタンが挙げられる。尿素結合を有するポリマーとしては、例えばポリ尿素、ポリイソシアネートとポリアミン(例えば、エチレンジアミン、ジエチレントリアミンなどのジアミンなど)との反応により生成するポリマーなどが挙げられる。
アミド結合を有するポリマーとしては、ポリアミド、ポリ(メタ)アクリルアミド、ポリアミノ酸などが挙げられる。このアミド結合を有するポリマーとしては、置換基を有していてもよいオキサゾリンのポリマー、ポリアルキレンイミンのN−アシル化物、ポリビニルピロリドン、ポリウレタン、ポリアミド、ポリ(メタ)アクリルアミドなどが好ましい。ビュレツト結合を有するポリマーとしては、前記ポリイソシアネートとウレタン結合を有する化合物との反応により生成するポリマーが挙げられる。アロハネート結合を有するポリマーとしては、前記ポリイソシアネートと尿素結合を有する化合物との反応により生成するポリマーなどが挙げられる。グリシジル基を有するポリマーとしては、例えばエポキシ樹脂、グリシジル(メタ)アクリレートの単独又は共重合体等が挙げられる。ハロゲン含有ポリマーとしては、例えばポリ塩化ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニリデンの単位を有する塩化ビニリデン系ポリマー、塩素化ポリプロピレンなどが挙げられる。
溶剤可溶性ポリマーは、一般的には、水;メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、シクロヘキサノール等のアルコール類;ヘキサン、オクタン等の脂肪族炭化水素類;シクロヘキサン等の脂環族炭化水素類;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類;塩化メチル、塩化メチレン、クロロホルム、トリクロロエチレン等のハロゲン化炭化水素;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル類;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類;ジエチルエーテル、ジオキサン、ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン等のエーテル類;含窒素溶媒(例えば、N−メチルピロリドン、アセトニトリル等のニトリル類、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド等のアミド類など)やスルホキシド類(例えばジメチルスルホキシドなど)等の非プロトン性極性溶媒;又はこれらの混合溶媒に可溶である。
溶剤可溶性ポリマーとしては、水素結合可能な基、例えばヒドロキシル基、カルボキシル基、アミド基、アミド結合や窒素原子などを有するものが好ましい。このような水素結合可能な基を有する溶剤可溶性ポリマーを用いると、金属アルコキシド及び/又はその加水分解物に対して共通する良溶媒を使用できる場合が多く、金属アルコキシドの加水分解重合により生成した有機金属ポリマーのヒドロキシル基と溶剤可溶性ポリマーの官能基や結合基とが水素結合し、その結果均一な有機・無機ハイブリッドを形成し、ミクロ的に均質で透明な皮膜を形成できると考えられる。
また、溶剤可溶性ポリマーとしては、金属アルコキシドとの共通溶媒が使用できるアルコール可溶性ポリマーが好ましい。このようなアルコール可溶性ポリマーとしては、ヒドロキシル基を有するポリマー等の水溶性ポリマーが好ましく、窒素原子を有するポリマー(例えば、前記アミド結合を有するポリマー)が特に好ましい。
溶剤可溶性ポリマーの金属アルコキシド(その加水分解物を含む)100質量部に対する含有量は、40質量%以上90質量%以下が好ましく、50質量%以上80質量%以下が特に好ましい。溶剤可溶性ポリマーの含有量が上記範囲より小さいと、ガスバリア性の向上効果が低下し、無機ポリマーと有機ポリマーとの複合体で均一な皮膜を形成するのが困難となるおそれがある。一方、溶剤可溶性ポリマーの含有量が上記範囲を超えると、成膜性や均一性が高くなる傾向を示すが、ガスバリア性が低下するおそれがある。
上記組成物中には、一般的には有機溶媒が配合される。この有機溶媒としては、金属アルコキシドの種類に応じて重合反応に不活性な適当な溶媒、例えばアルコール類、芳香族炭化水素、エーテル類、含窒素溶媒、スルホキシド類、又はこれらの混合溶媒などが使用される。また、上記溶剤可溶性ポリマーも有機溶媒として使用することができる。この有機溶媒としては、金属アルコキシドの溶媒と混和性を有する溶媒が好ましく、溶剤可溶性ポリマー及び金属アルコキシドに対して共通する良溶媒が特に好ましい。
また、上記組成物中には硬化触媒を含有し、硬化触媒の存在下で金属アルコキシドの加水分解重合を行なってもよい。硬化触媒としては、実質的に水に不溶であり、かつ有機溶媒に可溶な第三アミン類や酸触媒などが使用される。第三アミン類としては、例えばN.N−ジメチルベンジルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミン、トリペンチルアミン等が挙げられる。酸触媒としては、例えば塩酸、硫酸、硝酸、リン酸などの無機酸;例えばギ酸、酢酸、トリクロロ酢酸、トリフルオロ酢酸、プロピオン酸等のカルボン酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸等のスルホン酸などの有機酸が挙げられる。
なお、平坦化層2を形成する組成物中には、必要に応じて、可塑剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、難燃剤、帯電防止剤、界面活性剤、充填剤、着色剤などの種々の添加剤が適宜配合されてもよい。
次に、平坦化層2の形成方法を説明する。平坦化層2は、金属アルコキシド及び/又はその加水分解物を含む上記組成物を用いたゾル・ゲル法により形成される。具体的には、金属アルコキシド及び/又はその加水分解物に溶剤可溶性ポリマー、硬化触媒、有機溶媒等を適宜添加して充分に混練することで上記組成物を調整し、この組成物を通常のコ−ティング法で基材フィルム1の表面にコ−ティングし、次いで加熱乾燥し、更にエ−ジング処理等を施すことにより、コ−ティング硬化膜である平坦化層2を形成する。この加熱温度としては、金属アルコキシドの加水分解性や基材フィルム1の耐熱性に応じて適宜選択されるが、50℃以上120℃以下が好ましい。なお、重合反応は、不活性ガスの存在下で行なってもよく、減圧下で行なってもよい。また、加水分解重合に伴なって生成するアルコールを除去しながら、重合してもよい。
上記平坦化層2の形成方法において、加熱工程の際に、組成物への紫外線照射を施すとよい。このようにゾル・ゲル法の加熱工程の際に組成物への紫外線照射を施すことで、組成物がより低温(100℃以下)で硬化し、かつ平坦化層2に欠陥が格段に少なく膜物性に優れ、平坦化層2と基材フィルム1との密着性が向上する。そのため、平坦化層2のガスバリア性がより高められる。
ガスバリア層3は、一の平坦化層2の外面に物理気相成長法又は化学気相成長法により無機酸化物又は無機窒化物を蒸着することで形成されている。この無機酸化物又は無機窒化物としては、例えばケイ素(Si)、アルミニウム(Al)、マグネシウム(Mg)、カルシウム(Ca)、カリウム(K)、スズ(Sn)、ナトリウム(Na)、ホウ素(B)、チタン(Ti)、鉛(Pb)、ジルコニウム(Zr)、イットリウム(Y)等の酸化物又は窒化物が挙げられる。上記無機酸化物及び無機窒化物のうち、ガスバリア性及び透明性に優れるケイ素酸化物、ケイ素窒化物及びアルミニウム酸化物が好ましく、これらの群より選択される1種又は2種以上のものが好適に使用される。これらの中でも、ガスバリア性、透明性、柔軟性、密着性等が良好なケイ素酸化物が特に好ましい。なお、無機酸化物は例えばSiO、AlO等のようにMO(Mは金属元素、Xは酸化度を表す)で表記されるが、ガスバリア性及び透明性の観点からケイ素(Si)の場合は酸化度X=1.3〜1.9の範囲が好ましく、アルミニウム(Al)の場合は酸化度X=0.5〜1.5の範囲が好ましい。
上記物理気相成長法(Physical Vapor Deposition法;PVD法)としては、例えば真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、イオンクラスタービーム法等が挙げられる。具体的には、(a)金属酸化物を原料とし、これを加熱し、蒸気化して平坦化層2の上に蒸着する真空蒸着法、(b)原料として金属または金属酸化物を使用し、必要ならば、酸素ガス等を導入して酸化等させて平坦化層2の上に蒸着する反応型蒸着法、(c)さらに酸化等の反応をプラズマで助成するプラズマ助成式の反応型蒸着法等を用いて金属酸化物の蒸着膜を形成することができる。蒸着材料の加熱方式としては、例えば抵抗加熱方式、高周波誘導加熱方式、エレクトロンビーム加熱方式(EB)等により行うことができる。上記物理気相成長法の中でも、無機酸化物又は無機窒化物の蒸気化が容易なスパッタリング法が特に好ましい。
上記化学気相成長法(Chemical Vapor Deposition法;CVD法)としては、例えばプラズマ化学気相成長法、熱化学気相成長法、光化学気相成長法等が挙げられる。この化学気相成長法の中でも、比較的低温でガスバリア層3の形成が可能なプラズマCVDが特に好ましい。プラズマCVDは、具体的には、有機珪素化合物等の蒸着用モノマーガスを原料とし、キャリヤーガスとしてアルゴン、ヘリウム等の不活性ガスを使用し、さらに酸素ガス、アンモニアガス等を供給し、低温プラズマ発生装置等を利用して化学反応を起こさせ、平坦化層2の上に酸化珪素等の無機酸化物又は窒化物の蒸着薄膜を形成する方法である。この低温プラズマ発生装置としては、例えば高周波プラズマ、パルス波プラズマ、マイクロ波プラズマ等の発生装置を使用することがてき、高活性の安定したプラズマを得ることができる高周波プラズマ方式による発生装置が特に好ましい。
酸化珪素等の無機酸化物の蒸着薄膜を形成する有機珪素化合物等の蒸着用モノマーガスとしては、例えば1.1.3.3−テトラメチルジシロキサン、ヘキサメチルジシロキサン、ビニルトリメチルシラン、メチルトリメチルシラン、ヘキサメチルジシラン、メチルシラン、ジメチルシラン、トリメチルシラン、ジエチルシラン、プロピルシラン、フェニルシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、オクタメチルシクロテトラシロキサン等を使用することができる。これらの蒸着用モノマーガスの中でも、取扱性、蒸着膜の物性等の良好な1.1.3.3−テトラメチルジシロキサン、ヘキサメチルジシロキサンが好ましい。
なお、ガスバリア層3は、単層構造でもよく、2層以上の多層構造でもよい。このようにガスバリア層3を多層構造とすることで、蒸着の際に懸かる熱負担の軽減により基材フィルム1の劣化が低減され、さらに平坦化層2とガスバリア層3との密着性等を改善することができる。また、上記物理気相成長法及び化学気相成長法における蒸着条件は、基材フィルム1の樹脂種類、ガスバリア層3の厚み等に応じて適宜設計される。
ガスバリア層3の厚み(平均厚み)の下限としては、10nmが好ましく、20nmが特に好ましい。一方、ガスバリア層3の厚みの上限としては、200nmが好ましく、100nmが特に好ましい。ガスバリア層3の厚みが上記下限より小さいと、ガスバリア性が低下するおそれがある。一方、ガスバリア層3の厚みが上記上限を超えると、柔軟性が低下し、ガスバリア層3にクラック等の欠陥が発生しやすくなる。
他の平坦化層4は、ガスバリア層3の外面に積層されており、上記一の平坦化層2と同様に金属アルコキシド及び/又はその加水分解物を含む組成物を用いたゾル・ゲル法により形成される。
当該高バリア性シートは、基材フィルム1の表面(ガスバリア層3積層面)に所定の表面粗さやダスト、滑り防止剤等の付着があっても、一の平坦化層2によって基材フィルム1の表面が被覆され、ガスバリア層3を積層する界面の平滑性が促進されている。そのため、当該高バリア性シートは、緻密かつ均一な無機酸化物等の蒸着膜の成長が促進され、ガスバリア層3のピンホール、結晶粒界、クラック等の欠陥の発生が低減される。また、当該高バリア性シートは、ガスバリア層3にピンホール、結晶粒界、クラック等の欠陥が発生しても、その欠陥が他の平坦化層4によって封鎖され、かつ他の平坦化層4によってガスバリア層3が保護される。また、当該高バリア性シートは、ガスバリア層3の高いガスバリア性に加え、ガスバリア層3の両面に積層される一対の平坦化層2、4もガスバリア性の向上に寄与する。さらに、当該高バリア性シートは、基材フィルム1の線膨張係数が20ppm/℃以下とされていることから、耐熱性及び熱的寸法安定性が向上し、ガスバリア層の蒸着時に基材フィルム1に生じる熱膨張が低減され、かかる基材フィルムの熱膨張に起因して負荷されるガスバリア層へのストレスが低減される。そのため、当該高バリア性シートは、ガスバリア層へのピンホール、結晶粒界、クラック等の欠陥の発生が低減され、かかる面からもガスバリア性の向上に寄与する。従って、当該高バリア性シートは、耐熱性、熱的寸法安定性、強度等の諸特性が高く、かつ水蒸気等に対するガスバリア性が格段に向上する。
従って、当該高バリア性シートは、上記有機EL等の新規用途へ使用される場合に無機半導体や金属が蒸着等の方法によって製膜されることがあるが、上述のように高い耐熱性及び熱的寸法安定性を有するため、これらの無機半導体膜や金属膜との熱膨張の差が低減され、その結果、無機半導体膜や金属膜に負荷されるストレスが低減され、それらの性能の向上に寄与することができる。
図2の高バリア性シートは、合成樹脂製の基材フィルム1と、この基材フィルム1の一方の面に積層される一の平坦化層2と、この一の平坦化層2の外面に積層されるガスバリア層3と、このガスバリア層3の外面に積層される他の平坦化層4と、この他の平坦化層4の外面に積層されるガスバリア層3と、このガスバリア層3の外面に積層される他の平坦化層4とを備えている。つまり、当該高バリア性シートは、基材フィルム1及び一の平坦化層2の積層体の外面に、ガスバリア層3及び他の平坦化層4がこの順に2回繰り返して積層されている。当該高バリア性シートにおける基材フィルム1、一の平坦化層2、ガスバリア層3及び他の平坦化層4は、上記図1の高バリア性シートと同様であるため、同一番号を付して説明を省略する。
当該高バリア性シートは、高いガスバリア性を有するガスバリア層3を2層備え、所定のガスバリア性を有する平坦化層2、4を3層備えているため、非常に高いガスバリア性を有し、かつ高い透明性、耐熱性、柔軟性等の諸特性を有している。なお、一対のガスバリア層3の中間に積層される他の平坦化層4は、上述の内面側のガスバリア層3に対する欠陥封鎖機能に加え、外面側に積層されるガスバリア層3に対して界面の平滑性に起因する緻密かつ均一な蒸着膜の成長促進機能をも奏することができる。
なお、本発明の高バリア性シートは上記実施形態に限定されるものではなく、例えばガスバリア層3及び他の平坦化層4がこの順に3回以上繰り返し積層された構造の高バリア性シートも可能である。このように3層以上のガスバリア層3を積層することで、ガスバリア性、耐候性、耐久性等の諸特性を格段に向上することができる。
また、一の平坦化層2は、金属アルコキシド及び/又はその加水分解物を含む組成物を用いたゾル・ゲル法により形成することに限定されるものではなく、例えばシリコーン樹脂から形成してもよい。このように一の平坦化層2をシリコーン樹脂から形成しても、上述のガスバリア層3に対する緻密性促進機能及び欠陥封鎖機能を奏することができ、一の平坦化層2のガスバリア性を促進することができる。
上記シリコーン樹脂のビルディング・ブロックとしては、例えばジメチルシロキサン、ジエチルシロキサン、ジフェニルシロキサン、メチルビニルシロキサン、エチルビニルシロキサン、フェニルビニルシロキサン、エチルメチルシロキサン、メチルフェニルシロキサン、エチルフェニルシロキサン等を含むポリシロキサンが挙げられ、良好な平滑性促進機能を有するポリジメチルシロキサンが好ましい。
一の平坦化層2をシリコーン樹脂から形成する場合、一の平坦化層2の外面(ガスバリア層3を積層する面)に酸素プラズマ処理を施すとよい。このようにシリコーン樹脂からなる一の平坦化層2外面に酸素プラズマ処理を施すことで、一の平坦化層2表面のメチル基等を水酸基に変換でき、特にケイ素酸化物からなるガスバリア層との密着性が良好になり、かつケイ素酸化物の蒸着膜を緻密かつ均一に成長させることができ、その結果、当該高バリア性シートのガスバリア性がさらに高められる。
以下、実施例に基づき本発明を詳述するが、この実施例の記載に基づいて本発明が限定的に解釈されるものではない。
[実施例1]
基材フィルムとして厚さ25μm、線膨張係数13ppm/℃のポリエチレンナフタレートフィルム(帝人デュポンフィルム製)を用いた。この基材フィルムの一方の面に、テトラエトキシシラン34質量部、水15質量部、イソプロピルアルコール10質量部、三級アミン0.17質量部及びγ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン3.4質量部を含む一の平坦化層用組成物をグラビアロ−ルコ−ト法を用いて1.0g/m(乾燥状態)コ−ティングし、120℃で1分間加熱処理することで一の平坦化層を積層した。次に、この一の平坦化層の外面に、スパッタリング法によりケイ素酸化物(酸化度X=約1.8)を蒸着することで厚さ100nmのガスバリア層を積層した。その後、テトラエトキシシラン5.2質量部、メチルトリエトキシシラン1.1質量部、イソプロピルアルコール3質量部、三級アミン0.03質量部を含む他の平坦化層用組成物を上記ガスバリア層の外面にグラビアロ−ルコ−ト法を用いて1.0g/m(乾燥状態)コ−ティングし、100℃で3分間加熱処理することで他の平坦化層を積層した。かかる工程により実施例1の高バリア性シートを得た。
[実施例2]
上記一の平坦化層用組成物において、上記テトラエトキシシランの含有量を20質量部とし、さらにγ−アミノプロピルトリメトキシシラン14質量部含有した以外は上記実施例1と同様にして実施例2の高バリア性シートを得た。
[実施例3]
上記一の平坦化層用組成物中に、アルコール可溶性共重合ナイロン(東レ社製)35質量部含有した以外は上記実施例1と同様にして実施例3の高バリア性シートを得た。
[実施例4]
上記一の平坦化層の形成工程において、加熱処理温度を90℃とし、加えて加熱処理の際にコーティング面に波長210nmの紫外線を10分間照射した以外は上記実施例1と同様にして実施例4の高バリア性シートを得た。
[実施例5]
ガスバリア層の厚さを10nmとした以外は上記実施例1と同様にして実施例5の高バリア性シートを得た。
[実施例6]
ガスバリア層の厚さを20nmとした以外は上記実施例1と同様にして実施例6の高バリア性シートを得た。
[実施例7]
ガスバリア層の厚さを50nmとした以外は上記実施例1と同様にして実施例7の高バリア性シートを得た。
[実施例8]
ガスバリア層の厚さを200nmとした以外は上記実施例1と同様にして実施例8の高バリア性シートを得た。
[実施例9]
一の平坦化層をポリジメチルシロキサンから形成し、一の平坦化層の外面に酸素プラズマ処理を施した以外は上記実施例1と同様にして実施例9の高バリア性シートを得た。
[実施例10]
ポリカーボネート100部とガラス繊維(旭ファイバーガラス(株)の「ECRガラス繊維」;繊維径18μm;繊維長4mm;nd=1.579)35部とを含有する樹脂組成物からなる線膨張係数15ppm/℃の基材フィルムを用いた以外は上記上記実施例1と同様にして実施例10の高バリア性シートを得た。
[実施例11]
上記ガラス繊維の含有量を55部とし、基材フィルムの線膨張係数を8ppm/℃とした以外は上記実施例10と同様にして実施例11の高バリア性シートを得た。
[実施例12]
上記ポリカーボネートに替えてエポキシ系樹脂(ジャパンエポキシレジン製の「エピコート828」)55部及び硬化剤(日立化成製の「HN−2000」)45部を用い、上記ガラス繊維に替えて繊維径13μm、繊維長4mm、nd=1.53のガラス繊維を用いた以外は上記実施例10と同様にして実施例12の高バリア性シートを得た。
[実施例13]
上記ガラス繊維に替え、平均幅160μm、平均厚さ5μm、nd=1.53のガラスフレーク(日本板硝子製)を用いた以外は上記実施例10と同様にして実施例13の高バリア性シートを得た。
[比較例1]
平坦化層を積層せず、基材フィルムの一方の面に直接上記ガスバリア層を積層した以外は上記実施例1と同様にして比較例1の高バリア性シートを得た。
[比較例2]
基材ポリマーとしてポリカーボネートを用い、基材フィルムの線膨張係数を70ppm/℃とした以外は上記実施例1と同様にして比較例2の高バリア性シートを得た。
[特性の評価]
上記実施例1〜13の高バリア性シート及び比較例1〜2の高バリア性シートを用い、これらの高バリア性シートの水蒸気透過度を測定した。この水蒸気透過度は、JIS−Z−0208B法に準拠し、温度40℃及び相対湿度90%の条件で測定した。その結果を下記表1に示す。
Figure 0004310786
上記表1に示すように、ガスバリア層が基材フィルムに直接積層される比較例1の高バリア性シートと比較して、ガスバリア層の両側に一対の平坦化層が積層される実施例1〜13の高バリア性シートが高いガスバリア性を有している。また、実施例1、5、6、7及び8の高バリア性シートを対比すると、ガスバリア層の厚さが大きいほど、高いガスバリア性を有している。また、実施例2、3及び4の高バリア性シートは、より優れたガスバリア性を有している。さらに、基材フィルムの線膨張係数が高い実施例10〜13の高バリア性シートも、より優れたガスバリア性を有している。
以上のように、本発明の高バリア性シートは、食品、医薬品等の包装材料として有用であり、特に今日開発が進められている有機EL、有機薄膜太陽電池、有機トランジスタ、フレキシブル液晶等の構成材料として好適に使用される。
本発明の一実施形態に係る高バリア性シートを示す模式的断面図である。 図1の高バリア性シートとは異なる形態に係る高バリア性シートを示す模式的断面図である。 従来の一般的な高バリア性シートを示す模式的断面図である。
符号の説明
1 基材フィルム
2 一の平坦化層
3 ガスバリア層
4 他の平坦化層

Claims (11)

  1. 合成樹脂製の基材フィルムと、
    この基材フィルムの少なくとも一方の面に積層される一の平坦化層と、
    この一の平坦化層の外面に積層されるガスバリア層と、
    このガスバリア層の外面に積層される他の平坦化層と
    を備えており、
    上記基材フィルムの線膨張係数が20ppm/℃以下であり、
    上記一の平坦化層が、金属アルコキシド及び/又はその加水分解物を含む組成物を用いたゾル・ゲル法により、若しくは外面に酸素プラズマ処理が施されたシリコーン樹脂により形成され、
    上記ガスバリア層が、無機酸化物又は無機窒化物の蒸着により形成され、
    上記他の平坦化層が、金属アルコキシド及び/又はその加水分解物を含む組成物を用いたゾル・ゲル法により形成されている高バリア性シート。
  2. 上記ガスバリア層及び他の平坦化層が同順に複数回繰り返して積層されている請求項1に記載の高バリア性シート。
  3. 上記基材フィルムの線膨張係数が5ppm/℃以上15ppm/℃以下である請求項1又は請求項2に記載の高バリア性シート。
  4. 上記基材フィルムの基材ポリマーとしてポリエチレンナフタレートが用いられている請求項1、請求項2又は請求項3に記載の高バリア性シート。
  5. 上記基材フィルム中にガラス繊維を含有する請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の高バリア性シート。
  6. 上記基材フィルム中にガラスフレークを含有する請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の高バリア性シート。
  7. 上記基材フィルムの基材ポリマーとガラス繊維及びガラスフレークとの屈折率差が0.01以下である請求項5又は請求項6に記載の高バリア性シート。
  8. 上記無機酸化物又は無機窒化物として、ケイ素酸化物、ケイ素窒化物及びアルミニウム酸化物からなる群より選択される1種又は2種以上のものが用いられている請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の高バリア性シート。
  9. 上記組成物中に、窒素、酸素、硫黄及びハロゲンの少なくとも1つを含む官能基を有する金属アルコキシドを含有する請求項1から請求項8のいずれか1項に記載の高バリア性シート。
  10. 上記組成物中に、ゾル・ゲル法に使用可能な有機溶媒及び/又は水に対して可溶性を有するポリマーを含む請求項1から請求項9のいずれか1項に記載の高バリア性シート。
  11. 上記ゾル・ゲル法による平坦化層の形成において、加熱と共に、組成物への紫外線照射が施されている請求項1から請求項10のいずれか1項に記載の高バリア性シート。
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