JP4310735B2 - 燃料電池システムを搭載する車両 - Google Patents

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Description

この発明は燃料電池システムを搭載する車両に係り、特に漏れ出た水素ガスの滞留を防止するとともに、水素ガスの早期排出を図る燃料電池システムを搭載する車両に関するものである。
車両に搭載される燃料電池システムにおいて、燃料電池は、例えば、固体高分子型燃料電池からなり、この固体高分子型燃料電池は、高分子イオン交換膜(「陽イオン交換膜」ともいう。)からなる電解質膜の両側に夫々アノード側電極及びカソード側電極を対設した電解質膜・電極構造体を、セパレータによって挟持することにより構成されている。
この種の燃料電池は、通常、電解質(「電解質膜」ともいう。)・電極構造体及びセパレータを所定数だけ積層することにより、燃料電池スタックとして使用されている。
また、前記燃料電池システムにおいては、大気中の空気が酸化ガスとして取り込まれ、燃料電池に供給される。供給された酸化ガスは、燃料電池内において、触媒を利用した電気化学反応に供された後、酸素オフガスとして排出される。排出された酸素オフガスは、その後、車両外の大気中に排気される。
特開2003−34267号公報 特開2003−130834号公報
ところで、従来の燃料電池システムを搭載する車両においては、水素ガスの漏れを検出する水素ガス検出器が車両内に多数配置されており、個数の増加によってコストが大となり、経済的に不利であるという不都合があり、改善が望まれていた。
また、車両停車中においても、水素ガスの漏れが発生する可能性があるため、常に水素ガス検出器を作動させておく必要がある。
そして、水素ガスの漏れが発生した場合には、車両の各種機能が停止されることとなるため、滞留した水素ガスは自然掃気に任せて大気への放出を行っている。
なお、燃料電池システム104の一部を構成する燃料電池スタック106と、この燃料電池スタック106の上部に固定部材116を介して車両駆動用補機112を連結した際に、図6に示す如く、車両駆動用補機112と固定部材116とによって、下側に凹構造が形成されると、この凹構造部分に漏れ出た水素ガスが滞留する原因となるため、改善が望まれていた。
よって、水素ガス検出器の配設個数を削減するとともに、水素ガスの漏れを確実に検出することを目的としている。
そこで、この発明は、上述不都合を除去するために、燃料電池スタックと車両駆動用補機とを備え、その燃料電池スタックの上方に前記車両駆動用補機を配置し、前記燃料電池スタックと車両駆動用補機とが搭載されたフロントルーム内の最上部に水素ガス検出器を設置する一方、車両の車室内空間のルーフ部分に水素ガス検出器を設置した燃料電池システムを搭載する車両において、前記車両駆動用補機は、前記燃料電池スタックに固定部材を介して連結されるとともに、前記固定部材および前記車両駆動用補機の底面部分は、その内側部分を上方に凸の状態としないように凹凸のない底面に形成され、前記ルーフ部分に設置した前記水素ガス検出器の近傍には、走行中には閉じるとともに水素ガス検出時には開放し大気と連通可能な開閉部材を設けることを特徴とする。
以上詳細に説明した如くこの本発明によれば、車両に搭載した燃料電池システムの燃料電池スタックから水素ガスが漏れた場合でも、水素ガスが上方に配置された構成機器の固定部材の底面に滞留することがなく、実用上有利である。
また、燃料電池スタックから水素ガスが漏れた場合でも、水素ガスが上方に配置された構成機器である車両駆動用補機の底面に滞留することがないとともに、水素ガスの漏れ量に対する正確な検出が可能である。
更に、前記車両の車室内に滞留した水素ガスを、早期に車室外へ放出することができ、快適な車室を維持することができ、実用上有利である。
上述の如く発明したことにより、車両に搭載した燃料電池システムの燃料電池スタックから水素ガスが漏れた場合でも、上方のみが開放された断面形状を備えている水素ガスが上方に配置された構成機器の上方のみが開放された断面形状を備えている固定部材の底面に滞留することがない。
また、燃料電池スタックから水素ガスが漏れた場合でも、水素ガスが上方に配置された構成機器である車両駆動用補機の凹凸のない底面に滞留することがないとともに、水素ガスの漏れ量に対する正確な検出が可能となる。
更に、燃料電池スタックから水素ガスが漏れた場合において、車両の水素ガス検出器の近傍に、水素ガス検出時には開放し大気と連通可能な開閉部材を設けたことにより、車両の車室内に滞留した水素ガスを、水素ガス検出器の近傍に設けた開閉部材によって早期に車室外へ放出し、快適な車室を維持している。
以下図面に基づいてこの発明の実施例を詳細に説明する。
図1〜図4はこの発明の実施例を示すものである。図2及び図3において、2は車両、4は燃料電池システムである。
この燃料電池システム4は、燃料電池スタック6と、図示しない水素系システムと、図示しない空気系システムと、図示しない冷却システムとを有している。
前記燃料電池スタック6は、通常、電解質(「電解質膜」ともいう。)・電極構造体及びセパレータを所定数だけ積層している。
また、前記燃料電池システム4を車両2のフロントルーム8に搭載する際には、図2及び図3に示す如く、前輪10、10よりも前側、且つ左側に燃料電池スタック6を配置し、この燃料電池スタック6の上方にDC−DCコンバータやインバータ等の車両駆動用補機12を配置し、前記燃料電池スタック6の右側には走行用モータ14を配置する。
このとき、前記車両駆動用補機12を、前記燃料電池スタック6に固定部材16を介して連結するとともに、前記固定部材16が、車両搭載時に上方のみが開放された断面形状を備える構成とする。
詳述すれば、水素ガスの滞留防止構造について考慮すると、図4(a)に示す如く、断面形状を上方に凸の状態とした際には、水素ガスは空気よりも軽い性質を有しているため、内側部分に漏れ出た水素ガスが滞留することとなる。
逆に、図4(b)に示す如く、断面形状を下方に凸の状態とすると、漏れ出た水素ガスは、両側部位を通過することとなり、滞留することがない。
よって、上方のみが開放された断面形状を備える前記固定部材16とすれば、水素ガスの滞留を防止することが可能となる。
また、前記燃料電池スタック6と車両駆動用補機12とが搭載されたフロントルーム8内の最上部に、水素ガス検出器18を設置する。
つまり、図2の破線で囲んだ部分、且つ左右両側の2箇所に前記水素ガス検出器18を設置するものである。
更に、前記燃料電池スタック6の上方に配置される車両駆動用補機12は、図1に示す如く、底面部分が凹凸のない形状に形成されている。
次に作用を説明する。
前記車両2のフロントルーム8内において、搭載した燃料電池システム4の燃料電池スタック6から水素ガスが漏れ出た際には、図1に示す如く、車両駆動用補機12の底面部分が凹凸のない形状に形成されているため、漏れ出た水素ガスは前記固定部材16及び車両駆動用補機12の底面部分に滞留することなく、上方に流れる。
そして、上方に流れた水素ガスは、図2に破線で示す如く、前記燃料電池スタック6と車両駆動用補機12とが搭載されたフロントルーム8内の最上部に至り、この最上部に設置される水素ガス検出器18によって検出されることとなる。
これにより、前記車両2のフロントルーム8内に搭載した燃料電池システム4の燃料電池スタック6から水素ガスが漏れた場合でも、水素ガスが上方に配置された構成機器の固定部材16の底面に滞留することがなく、実用上有利である。
また、前記燃料電池スタック6と車両駆動用補機12とが搭載されたフロントルーム8内の最上部に水素ガス検出器18を設置することにより、水素ガスの最も溜まり易い位置に水素ガス検出器18を設置することができ、精度の高い検出が可能である。
更に、前記燃料電池スタック6の上方に配置される車両駆動用補機12を、底面部分が凹凸のない形状に形成したことにより、燃料電池スタック6から水素ガスが漏れた場合でも、水素ガスが上方に配置された構成機器である車両駆動用補機12の底面に滞留することがないとともに、水素ガスの漏れ量に対する正確な検出が可能である。
図5はこの発明の第2実施例を示すものである。この第2実施例において、上述第1実施例のものと同一機能を果たす箇所には、同一符号を付して説明する。
この第2実施例の特徴とするところは、車両2に配置した水素ガス検出器22の近傍に、水素ガス検出時には開放し大気と連通可能な開閉部材24を設けた点にある。
すなわち、前記車両2の車室内空間26において、図5に示す如く、水素ガスの最も滞留し易い箇所、例えば車室内空間26のルーフ28部分に水素ガス検出器22を配置するとともに、この水素ガス検出器22の近傍、つまり、車室内空間26のルーフ28部分に前記開閉部材24を設けるものである。
このとき、開閉部材24は、車両走行中は閉鎖状態を維持し、水素ガス検出時には開放し、前記車室内空間26と大気とを連通可能な状態とする。
すなわち、前記車両2の起動中は開閉部材24を閉める構造とし、起動中に水素ガスの漏れを検出し易くするとともに、水素ガスの検出後には前記開閉部材24を閉鎖する動作をキャンセルして水素ガスの大気開放を促進させ、しかも漏れ原因の修正後の再起動を容易にさせるものである。
なお、前記開閉部材24には、図5に示す如く、ワイヤ30の一端側に接続して設け、このワイヤ30の他端側にワイヤ30の引き込み、あるいは押し出し動作を行う図示しない駆動機構を設ける。
そして、車両走行中は、前記駆動機構を動作させてワイヤ30を引き込み、前記開閉部材24を閉鎖状態とするとともに、水素ガス検出時には、前記ワイヤ30をあるいは押し出し、開閉部材24を開放して前記車室内空間26と大気とを連通可能な状態とするものである。
さすれば、前記車両2の車室内空間26に滞留した水素ガスを、早期に車室外へ放出することができ、快適な車室内空間26を維持することができ、実用上有利である。
また、前記開閉部材24を、車両走行中は閉鎖状態を維持する構成としたことにより、水素ガス検出器22の検出精度が低下するのを防止することができる。
なお、この発明は上述実施例に限定されるものではなく、種々の応用改変が可能である。
例えば、この発明の実施例においては、既に形成される車両のフロントルームあるいは車両の車室内空間を勘案し、これらの空間部位の最上部に水素ガス検出器を設ける構成としたが、1箇所の最上部に収束する案内部を設け、最上部に水素ガス検出器を設ける特別構成とすることも可能である。
すなわち、前記案内部を車両の車室内空間に設ける場合には、例えば、車両のルーフ下面に前記案内部として機能する上方の凸となる多数の案内溝を形成し、この案内溝の高さ位置を漸次相違させて1箇所に収束するように設けるとともに、案内溝の収束した位置に水素ガス検出器を設けるものである。
さすれば、前記車両の車室内空間に滞留した水素ガスが、案内溝を介して最上部となる1箇所に強制的に集められることにより、水素ガス検出器によって精度の高い検出が可能であるとともに、排出機構と連動させれば、水素ガスをより一層早期に車室外へ放出することができ、快適な車室内空間を維持することができる。
この発明の第1実施例を示す燃料電池システムの燃料電池スタックを斜め下方向から視た状態の概略斜視図である。 車両のフロントルーム部分を示す左側面図である。 車両のフロントルーム部分を示す概略平面図である。 滞留防止構造を示し、(a)は水素ガスが滞留する構造の概略説明図、(b)は水素ガスが滞留しない構造の概略説明図である。 この発明の第2実施例を示す車両の左側面図である。 この発明の従来技術を示す燃料電池システムの燃料電池スタックを斜め下方向から視た状態の概略斜視図である。
2 車両
4 燃料電池システム
6 燃料電池スタック
8 フロントルーム
10、10 前輪
12 車両駆動用補機
14 走行用モータ
16 固定部材
18 水素ガス検出器

Claims (1)

  1. 燃料電池スタックと車両駆動用補機とを備え、その燃料電池スタックの上方に前記車両駆動用補機を配置し、前記燃料電池スタックと車両駆動用補機とが搭載されたフロントルーム内の最上部に水素ガス検出器を設置する一方、車両の車室内空間のルーフ部分に水素ガス検出器を設置した燃料電池システムを搭載する車両において、前記車両駆動用補機は、前記燃料電池スタックに固定部材を介して連結されるとともに、前記固定部材および前記車両駆動用補機の底面部分は、その内側部分を上方に凸の状態としないように凹凸のない底面に形成され、前記ルーフ部分に設置した前記水素ガス検出器の近傍には、走行中には閉じるとともに水素ガス検出時には開放し大気と連通可能な開閉部材を設けることを特徴とする燃料電池システムを搭載する車両。
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