JP2003149071A - 移動体における有害ガス漏れ検出装置 - Google Patents

移動体における有害ガス漏れ検出装置

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JP2003149071A
JP2003149071A JP2001348175A JP2001348175A JP2003149071A JP 2003149071 A JP2003149071 A JP 2003149071A JP 2001348175 A JP2001348175 A JP 2001348175A JP 2001348175 A JP2001348175 A JP 2001348175A JP 2003149071 A JP2003149071 A JP 2003149071A
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sensor
detection device
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Yasuhiko Niimi
康彦 新美
Takashi Koto
隆志 古藤
Tatsuya Fujita
達也 藤田
Hideaki Mizuno
秀昭 水野
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  • Investigating Or Analyzing Materials By The Use Of Electric Means (AREA)
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 移動体における有害ガスの漏れの誤判断を抑
制し、検出精度を向上する。 【解決手段】 水素センサを移動体の複数箇所に配設
する。これらのセンサ間における出力値の差分および出
力インターバルについて、水素漏れが生じている時に、
通常生じるべき基準値を予め設定しておく。実際に検出
された差分および出力インターバルが、この基準値より
小さい場合には、水素漏れによる反応ではなく、移動体
が置かれている環境の変化などに起因するものと判断す
る。こうすることにより、例えば、水素が残留するトン
ネルに入った場合など、水素漏れ以外の要因によるセン
サ出力を、漏れに起因するものと誤判断することを抑制
できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、移動体における有
害ガスの漏れを検出する装置に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、車両の動力源として燃料電池が注
目されている。燃料電池とは、水素と酸素の電気化学反
応により発電する装置である。燃料ガスとしての水素
は、引火性、毒性を有するガスであるため、水素センサ
によって漏れを監視しておく必要がある。水素センサは
水素の他、一酸化炭素などにも反応を示す。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】一般に車両が置かれる
環境は、その走行などに伴って変動する。例えば、トン
ネルや車庫内では、一酸化炭素など水素センサが反応す
る気体が存在する場合がある。従来、かかる環境に車両
が置かれると、水素センサが反応するため、水素漏れが
生じたものと誤判断がなされることがあった。
【0004】かかる課題は、車両に限らず種々の環境に
置かれ得る移動体に共通の課題であった。また、水素の
検出に限らず種々の有害ガスの検出時に共通の課題であ
った。本発明は、移動体における有害ガスの漏れの誤判
断を抑制し、検出精度を向上することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段およびその作用・効果】上
記課題の少なくとも一部を解決するために、本発明で
は、移動体に搭載され、有害ガスの漏れを検出する検出
装置において次の構成を適用した。所定の有害ガスを検
出するセンサを移動体の複数箇所に配設する。これらの
センサのうち、漏れの検出時に異なる出力が得られるべ
き複数のセンサの出力に基づき、各センサの出力が漏れ
に起因するか否かを判断する。こうすることにより、環
境の変化など漏れ以外の要因による反応を、漏れに起因
する反応であると誤判断することを抑制できる。
【0006】本発明は、漏れの検出時には異なる出力が
得られるべき複数のセンサを比較する点で、いわゆるセ
ンサの冗長系とは異なる。上記判断に用いられる複数の
センサは、移動体への配設箇所に応じて選択可能であ
る。一般に距離が離れているセンサ、移動体において互
いに隔離されたスペースに配置されたセンサなどを用い
ることが好ましい。
【0007】本発明において、漏れに起因するか否かの
判断は、種々の態様を採ることができる。以下に示す態
様は、個別に適用してもよいし、組み合わせて適用して
もよい。第1の態様として、複数のセンサによる出力の
タイミングに基づいて判断することができる。この場合
には、漏れ時に異なるタイミングで出力が得られるべき
複数のセンサが判断対象として選択される。一般に、漏
れは比較的限定された箇所から生じ、徐々に拡散するの
に対し、環境の変化は移動体全体にほぼ同時に影響を与
える。両者では各センサの出力タイミングが相違するた
め、これに基づいて上記判断を行うことができる。
【0008】第1の態様における具体的な判断基準とし
て、例えば、複数のセンサによる出力の間隔が漏れ時よ
りも有意に小さい場合に、その出力は漏れに起因するも
のではないと判断することができる。漏れが生じた時に
拡散によって各センサが反応する間隔は、予め実験、解
析等で定めることができる。有意に小さいとは、種々の
漏れを想定して得られる間隔の最小値と明らかに区別可
能な程度に小さいことを意味する。例えば、間隔が実質
的に0となる場合に、センサの出力が漏れに起因するも
のではないと判断するものとしてもよい。
【0009】第2の態様として、複数のセンサによる出
力値に基づいて判断することができる。この場合には、
漏れ時に異なる出力値が得られるべき複数のセンサが判
断対象として選択される。各センサ近傍での有害ガスの
濃度分布が漏れ時と環境の変化時とでは大きく異なるた
め、センサによる出力値に基づいて両者を区別すること
が可能となる。
【0010】第2の態様における具体的な判断基準とし
て、例えば、複数のセンサによる出力値の分布が漏れ時
よりも有意に狭い場合に、その出力は漏れに起因するも
のではないと判断することができる。出力値の分布の広
狭は、種々の方法で定義可能であるが、例えば、出力の
最大値と最小値の差に基づいて定義することが簡便であ
る。
【0011】本発明においては、出力が漏れに起因する
ものではないと判断されたセンサ以外に、所定の期間、
出力が得られたセンサが存在する場合に、漏れが生じて
いるものと判断することが好ましい。こうすることによ
り、ノイズなど不確定な要因による出力に基づく誤判断
を排除することができ、判断精度を向上することができ
る。ここで、所定の期間は、かかる不確定な要因に基づ
く出力を排除可能な程度の値を任意に設定可能である。
判断に要する時間の短縮化を図るため、短い期間に設定
することが好ましい。
【0012】本発明は、種々の移動体および有害ガスを
対象として構成することが可能である。移動体には、車
両、船舶、航空機などが含まれる。有害ガスは、人体に
有害なガス、環境に有害なガス、引火性など危険性を伴
うガスなどが含まれる。一例として、本発明は、燃料電
池を搭載した車両など、水素を用いた動力源を利用した
移動体において、水素漏れを検出する装置として構成す
ることができる。こうすることにより、これらの移動体
の安全性を向上することができる。
【0013】本発明は、検出装置に限らず、種々の態様
で構成することができる。例えば、水素漏れの検出方法
として構成してもよい。また、上述した検出装置の点検
方法として構成してもよい。点検方法は、例えば、漏れ
の検出時に出力が統合的に比較されるよう対応づけられ
たセンサの一部で、局所的に有害ガス濃度を高めた状態
で検出結果を確認する工程と、全センサで同様に有害ガ
ス濃度を高めた状態で検出結果を確認する工程とを備え
ることができる。前者の工程では、漏れとして正常に検
出されることを確認し、後者の工程では、環境の変化を
漏れと誤判断しないことを確認することができる。本発
明を検出装置その他の態様で構成する場合、上述した種
々の特徴点を、適宜組み合わせたり、一部を省略したり
しても差し支えない。
【0014】
【発明の実施の形態】本発明の実施の形態を、燃料電池
とエンジンとを搭載するハイブリッド車両に適用した場
合の実施例に基づいて、以下の項目に分けて説明する。 A.システム構成: B.水素漏れ検出処理: C.センサの点検操作: D.効果: E.変形例:
【0015】A.システム構成:図1は実施例としての
車両10の概略構成を示す説明図である。車両10は、
燃料電池20を電源とし、モータ30の動力によって駆
動する。モータ30は種々のタイプを適用可能である
が、本実施例では、同期電動機を用いるものとした。燃
料電池20から出力される直流は、インバータ31によ
って三層交流に変換される。モータ30は、この三層交
流によって駆動される。モータ30の動力は、回転軸3
2を介して車輪33に伝達され、車両10を駆動する。
【0016】燃料電池20は、水素と酸素の電気化学反
応によって発電する。燃料電池20には、種々のタイプ
を適用可能であるが、本実施例では、固体高分子型を用
いた。酸素極には、酸素供給管24を介して外部から空
気が供給される。水素は、屋根上に設置された水素タン
ク21から水素供給管22を介して供給される。水素極
に供給された水素は、発電に利用された後、排出管23
から外部に排出される。酸素極に供給された空気も発電
に利用された後、排出されるが、図の煩雑化を避けるた
め、図示を省略した。また、酸素および水素を供給する
系統には、ポンプ、バルブ、レギュレータなどが設けら
れているが、これらも図示の煩雑化を避けるため、図示
を省略した。
【0017】インバータ31など、車両10に搭載され
た各機器の動作は、制御ユニット40によって制御され
る。制御ユニット40は、内部にCPU、メモリなどを
備えたマイクロコンピュータとして構成されたユニット
である。制御ユニット40は、運転者のアクセル操作な
どに応じてインバータ31に制御信号を送信することに
より、インバータ31の動作ひいてはモータ30の回転
数およびトルクを制御することができる。燃料電池20
についても同様に、供給される水素および酸素の量を制
御することによって、発電量を制御することができる。
【0018】制御ユニット40は、各機器の制御の他、
車両10についての異常を検出する機能も奏する。本実
施例では、異常の一例として、水素漏れを検出する機能
を奏する。かかる機能を実現するために、車両10に
は、次に示す5カ所に水素センサ41L,41R,42
L,42R,43が設けられている。水素センサは、水
素に反応する周知の種々のセンサを用いることが可能で
あるが、本実施例では、これら周知のセンサのうち、水
素濃度を定量的に検出可能なセンサを利用するものとし
た。
【0019】2つの水素センサ41L,41Rは、水素
タンク21が設置されている水素タンク室11内に設け
られている。車両10の前方に向かって左側にセンサ4
1L,右側に41Rが設けられている。図1では、車両
10を側面から見た状態を示しているため、便宜上、セ
ンサ41L、41Rの位置をずらして示した。2つの水
素センサ42L,42Rは、燃料電池20が設置されて
いる燃料電池室12内に設けられている。車両10の前
方に向かって左側にセンサ42L,右側に42Rが設け
られている。水素センサ43は、排出管23が設けられ
ている排気室13内に設けられている。本実施例では、
上述の5カ所にセンサを設けた場合を例示した。水素セ
ンサは、かかる数および部位に限定されるものではな
く、水素漏れの検出に必要考えられる位置に適宜設置可
能である。
【0020】図中に、制御ユニット40が水素漏れの検
出を行うための機能ブロックを示した。本実施例では、
これらの機能ブロックは、制御ユニット40においてソ
フトウェア的に構成されている。もちろん、各機能ブロ
ックをハードウェア的に構成しても構わない。
【0021】センサ入力部40aは、上述した5つの水
素センサからの検出結果を入力する。主制御部40b
は、これらの水素センサの出力を統合的に利用して、水
素漏れの有無を判断する。この判断処理については後述
する。水素漏れが検知された場合、主制御部40bから
の指示に基づいて、報知部40cが、水素漏れを運転者
に報知する。本実施例では、運転席14の計器パネルに
設けられた表示部44に、警報表示を行うものとした。
併せて、音声による警告を行ってもよい。
【0022】水素漏れの判断には、基準値テーブル40
dが利用される。基準値テーブル40dは、5つの水素
センサについて、水素漏れによる出力と、その他の要因
による出力とを区別するため、次の考え方に基づいて設
定された基準値を与えるテーブルである。
【0023】一例として、水素タンク室11内で水素漏
れが生じた場合を考える。水素センサ41L,41R
は、この漏れに反応するが、その他のセンサ42L,4
2Rおよび43は反応しない。
【0024】これに対し、水素センサが反応し得るガス
が存在するトンネル内などに車両10が進入した場合を
考える。かかる場合には、水素センサ41L、41Rの
みならずその他のセンサ42L,42Rおよび43もほ
ぼ同時に同様の検出結果を出力する。かかる場合に、水
素漏れと判断し、警報表示を行っては運転者に無用の混
乱を与えることになる。
【0025】従って、水素センサ41L,41Rと、そ
の他のセンサ42L,42Rおよび43の出力値および
出力タイミングが同等である場合には、「水素漏れ」と
判断しないことが好ましい。これに対し、水素センサ4
1L,41Rについては、共に水素タンク室11内に設
けられているから、出力値および出力タイミングが同等
であったとしても、水素タンク21からの水素漏れが生
じている可能性が高い。このように5つの水素センサ間
には、出力値および出力タイミングについて、水素漏れ
時にはこれらが同等となる可能性が非常に低くなる関係
にあるもの、水素漏れ時であっても同等となる可能性が
比較的高い関係にあるものが混在する。
【0026】基準値テーブル40dは、上述の考え方に
基づき、各センサ間の関係について、出力値の差分およ
び出力タイミングのそれぞれについて、水素漏れではな
いと判断するための上限値を与える。一例を以下に示
す。 センサA vs センサB → 差分 、タイミング; 41L vs 41R → 0 、0 ; 42L vs 42R → 0 、0 ; 42L vs 41L → Dr1 、Dt1 ; 42L vs 43 → Dr2 、Dt2 ; ここでは、一部の関係のみを例示した。例えば、センサ
41L、41Rの間には、同時に同じ出力値が得られて
も、水素漏れではないと判断することは認められないた
め、上限値として差分0、タイミング0が設定される。
センサ42L、42Rの間についても同様である。
【0027】これに対し、センサ41L、42Lの間に
は、同様の出力値、タイミングが得られた場合には、水
素漏れではないと判断することが認められる。但し、一
度に大量に水素が漏れた場合を考慮すると、水素漏れで
はないと判断して差し支えない範囲には、上限値が存在
する。上述の例では、この上限値として差分Dr1、タ
イミングDt1が設定されている。同様の考え方に基づ
き、センサ42L、43の間についても差分Dr2、タ
イミングDt2が設定されている。基準値Dr2、Dt
2は、Dr1、Dt1よりも小さい。図1に示される通
り、センサ42L、43間の距離は、センサ41L、4
2L間の距離よりも短いため、例えば、燃料電池室12
で水素漏れが生じ、センサ42Lが反応した後、センサ
43が反応するまでの時間は、センサ41Lが反応する
までの時間よりも短くなると想定されるからである。
【0028】ここでは、各センサ間の距離、設置場所の
相違を考慮して、基準値を個別に設定する場合を例示し
たが、簡易的な設定を採用してもよい。例えば、基準値
テーブル40dは、センサ41L、41Rのように、水
素漏れ時に同時に反応し得るセンサの対応づけを与える
だけにとどめ、かかる対応づけが与えられていないセン
サ間には差分、タイミングについて一定の基準値を用い
るものとしてもよい。
【0029】B.水素漏れ検出処理:図2は水素漏れ検
出処理のフローチャートである。制御ユニット40が他
の制御処理と併せて繰り返し実行する処理である。
【0030】処理が開始されると、制御ユニット40は
図1に示した5つの水素センサの出力信号を入力し(ス
テップS10)、検出値および時刻の管理テーブルの内
容を更新する(ステップS11)。
【0031】図中に管理テーブルの内容を例示した。管
理テーブルでは、各センサについて検出値および最初に
検出された時刻が管理されている。例えば、センサ41
Rについては、未だ検出値が得られていないため、検出
値、時刻共に0が格納されている。センサ41Lについ
ては、検出結果が得られているため、検出値s2および
時刻Taが格納されている。
【0032】水素漏れ検出処理は、繰り返し実行される
ため、毎回の検出結果によって管理テーブルの内容は更
新される。例えば、センサ41Rから新たに検出結果が
得られれば、管理テーブルの内容はその検出値および時
刻に更新される。センサ41Lからs2と異なる検出値
が得られれば、管理テーブルの値s2は、新たな検出値
に更新される。但し、時刻Taは更新されない。管理テ
ーブルでは、最初に検出結果が得られた時刻を管理して
いるからである。
【0033】管理テーブルの値は、センサからの検出値
が得られなくなった場合にリセットされる。例えば、セ
ンサ41Lの検出値0の状態が一定期間継続すると、検
出値、時刻ともに0にリセットされる。
【0034】かかる処理により、管理テーブルには、継
続的に出力が得られている水素センサについて、最初に
出力が得られた時刻および最新の出力値が保持される。
【0035】次に、制御ユニット40は、この管理テー
ブルを参照して、水素漏れの判断対象から除外すべき除
外センサを決定する。この決定は、以下に示す3つの決
定処理A,B,Cに基づいて行われる(ステップS12
〜S14)。これらの決定処理A,B,Cの実行順序
は、入れ替えても差し支えない。また、一部の決定処理
を省略してもよい。
【0036】決定処理Aは、出力経過時間に基づく除外
処理である(ステップS12)。出力経過時間とは、水
素センサが検出結果の出力を開始した後の経過時間を意
味し、管理テーブルの時刻と現在の時刻との差分によっ
て求められる。この経過時間が非常に短い場合には、水
素センサの出力がノイズなどの要因による可能性があ
る。従って、ステップS12では、ノイズなどによる反
応を排除できる範囲で設定された所定値よりも経過時間
の短いものを除外センサする。
【0037】決定処理Bは、出力インターバルに基づく
除外処理である(ステップS13)。出力インターバル
とは、2つのセンサ間における出力タイミングの差違を
意味し、管理テーブルに格納された時刻同士の差分によ
って求められる。制御ユニット40は、出力値が得られ
ているセンサから2つのセンサを選択し、出力インター
バルを演算するとともに、先に説明した基準値テーブル
40dに格納された基準値との比較を行う。出力インタ
ーバルが基準値を下回る場合には、それらのセンサは水
素漏れ以外の要因で反応しているものと判断し、除外セ
ンサとする。この処理を、出力値が得られているセンサ
の全組み合わせについて実行する。
【0038】決定処理Cは、出力差分値に基づく除外処
理である(ステップS14)。出力差分値とは、2つの
センサ間における検出値の差違を意味し、管理テーブル
に格納された検出値同士の差分によって求められる。制
御ユニット40は、出力値が得られているセンサから2
つのセンサを選択し、出力差分値を演算するとともに、
先に説明した基準値テーブル40dに格納された基準値
との比較を行う。出力差分値が基準値を下回る場合に
は、それらのセンサは水素漏れ以外の要因で反応してい
るものと判断し、除外センサとする。この処理を、出力
値が得られているセンサの全組み合わせについて実行す
る。
【0039】制御ユニット40は、以上の決定処理によ
って除外センサとされた水素センサ以外に、検出値が得
られているセンサが存在するか否かを判定する(ステッ
プS15)。かかるセンサが存在する場合には、水素漏
れが生じているものと判断し、その報知を行う(ステッ
プS16)。存在しない場合には、水素漏れが生じてい
ないものと判断する。既に報知が行われている場合に
は、それを解除する(ステップS17)。
【0040】図3は水素漏れ検出例を示す説明図であ
る。それぞれの時間に各センサから図示する出力が得ら
れた場合を例にとって、水素漏れの判断結果について説
明する。ここでは、説明の便宜上、センサ41L、41
Rの間、およびセンサ42L、42Rの間では、出力の
差分についての基準値は0、出力インターバルの基準値
は0に設定されているものとする。他のセンサ間では、
出力の差分についての基準値はDr1、出力インターバ
ルの基準値はDt1に設定されているものとする。ま
た、経過時間(図2のステップS12)の判断基準とな
る値はDt0に設定されているものとする。
【0041】図の例では、時刻tc1〜tc2の区間
で、センサ43から検出値が得られている。しかしなが
ら、この経過時間(tc2−tc1)は、判断基準値D
t0よりも小さい。従って、先に示した決定処理A(図
2のステップS12)により、センサ43は除外され
る。この結果、この区間において、検出値が得られてい
るセンサは存在しなくなるから、水素漏れはないものと
判断される。
【0042】次に、時刻ta1、ta2、tb1、tb
2、tc3の間に5つのセンサが続けて信号を出力して
いる。各センサ出力の経過時間は、上述の判断基準値D
t0よりも大きいため、決定処理Aでは、除外センサと
はならない。しかし、これらのセンサの出力インターバ
ルは、全て基準値Dt1よりも小さい。従って、これら
のセンサは、全て決定処理B(図2のステップS13)
により、除外される。この結果、この区間において、検
出値が得られているセンサは存在しなくなるから、水素
漏れはないものと判断される。
【0043】上述の区間におけるセンサ出力は、決定処
理C(図2のステップS14)によっても除外される。
図の下方に、各センサの検出値の比較を示した。図示す
る通り、センサの出力値の差分は、最大でもR1であ
り、基準値Dr1よりも小さい。従って、決定処理Cに
よって全て除外される。
【0044】次に、時刻tb3、tb4において、セン
サ42L、42Rが続けて信号を出力している。双方の
出力経過時間は、判断基準値Dt0よりも大きいため、
これらのセンサは決定処理Aでは除外されない。出力イ
ンターバルは、先に説明した基準値Dt1よりは小さい
が、センサ42L、42Rの間については基準値が0に
設定されているため、判断基準Bでも除外されない。出
力値の差分R2は、先に説明した基準値Dr1よりは小
さいが、センサ42L、42Rの間については基準値が
0に設定されているため、判断基準Cでも除外されな
い。結局、センサ42L、42Rはいずれの処理によっ
ても除外されないから、制御ユニット40は、これらの
出力を水素漏れによるものと判断する。
【0045】以上で説明した水素漏れ検出処理により、
水素漏れを適切に検知して報知することができる。水素
センサの反応が、車両10の周囲の環境変化など水素漏
れに起因しない場合に、水素漏れが生じているものとの
誤判断を抑制することができる。
【0046】C.センサの点検操作:図4はセンサの点
検操作を示す工程図である。図2,3で説明した通り、
本実施例の車両10では、水素センサの出力を統合的に
用いて、水素漏れの有無を検出している。従って、車両
10の点検時には、水素センサが水素に適切に判断する
か否かの点検、および図2、3に示した統合的な判断が
異常なく行われるか否かの点検を行う必要がある。
【0047】車両10の点検時には、まず、各センサの
個別点検を行う(ステップS20)。点検は種々の方法
を採ることができ、例えば、各センサ近傍に局所的に水
素を供給し、センサから正常な検出結果が得られるか否
かを監視する方法を採ることができる。異常なセンサが
ある場合には(ステップS21)、「異常有り」との結
果となる(ステップS24)。この場合には、センサの
異常であるため、必要に応じて、センサの修理または交
換が求められる。
【0048】個別のセンサでは異常が検出されない場合
(ステップS21)、環境点検を行う(ステップS2
2)。これは、統合的な判断が適切に行われるか否かの
点検である。この点検は、例えば、水素を所定の濃度で
充満させた室内に車両10を入れ、水素センサの出力お
よび水素漏れ警報の作動有無を監視することにより、行
うことができる。環境点検では、各センサからの信号は
検出されるものの、水素漏れの警報作動は生じないはず
である。従って、「水素漏れ」が検出されない場合に
は、制御ユニット40の処理も含めて、動作が正常であ
るとの結果が得られ(ステップS25)、「水素漏れ」
が検出された場合には、「異常有り」との結果が得られ
る(ステップS24)。この場合には、制御ユニット4
0の処理に異常が一因として挙げられる。
【0049】D.効果:以上で説明した本実施例によれ
ば、水素センサの出力を統合的に用いることにより、水
素漏れ以外の要因による信号検出を除外し、精度良く水
素漏れを検出することができる。本実施例では、統合判
断の基準値を、各センサ間で個別に設定することができ
るため、センサの設置場所、センサ間の距離などを考慮
して、それぞれ誤判断を抑制し得る適切な値を設定する
ことができる。
【0050】E.変形例:実施例では、管理テーブルに
よって、各センサの出力タイミングの管理をする場合を
例示した。検出値の出力と同時に計時を開始するタイマ
を各センサごとに用意し、これに基づいて出力経過時
間、出力インターバルなどについての判定を行うものと
してもよい。
【0051】本発明は、車両に関わらず、船舶、航空機
など種々の移動体として構成することができる。本発明
は、水素に限らず、種々の有害ガスの漏れ検出装置に適
用可能である。本発明では、燃料電池に供給される水素
を改質等によって生成するシステムに適用することも可
能である。
【0052】以上、本発明の種々の実施例について説明
したが、本発明はこれらの実施例に限定されず、その趣
旨を逸脱しない範囲で種々の構成を採ることができるこ
とはいうまでもない。例えば、以上の制御処理はソフト
ウェアで実現する他、ハードウェア的に実現するものと
してもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例としての車両10の概略構成を示す説明
図である。
【図2】水素漏れ検出処理のフローチャートである。
【図3】水素漏れ検出例を示す説明図である。
【図4】センサの点検操作を示す工程図である。
【符号の説明】
10…車両 11…水素タンク室 12…燃料電池室 13…排気室 14…運転席 20…燃料電池 21…水素タンク 22…水素供給管 23…排出管 24…酸素供給管 30…モータ 31…インバータ 32…回転軸 33…車輪 40…制御ユニット 40a…センサ入力部 40b…主制御部 40c…報知部 40d…基準値テーブル 41L,41R,42L,42R,43…水素センサ 44…表示部
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) H01M 8/10 H01M 8/10 5H027 (72)発明者 藤田 達也 愛知県豊田市トヨタ町1番地 トヨタ自動 車株式会社内 (72)発明者 水野 秀昭 愛知県豊田市トヨタ町1番地 トヨタ自動 車株式会社内 Fターム(参考) 2G060 AA01 AB00 AB03 AE11 AE19 HC13 HC15 HC19 HC21 HC22 HD01 HD02 HE02 KA01 2G067 AA25 BB26 CC04 DD17 DD27 EE12 3D035 AA00 AA04 5C086 AA02 BA22 BA30 CB11 DA01 DA08 EA11 EA13 EA41 EA45 FA01 FA11 5H026 AA06 5H027 AA06 BA13 KK31

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 移動体に搭載され、有害ガスの漏れを検
    出する検出装置であって、 移動体の複数箇所に配設され、所定の有害ガスを検出す
    るセンサと、 前記センサのうち、前記漏れの検出時に異なる出力が得
    られるべき複数のセンサの出力に基づき、各センサの出
    力が前記漏れに起因するか否かを判断する判断部とを備
    える検出装置。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の検出装置であって、 前記判断は、前記漏れ時に異なるタイミングで出力が得
    られるべき複数のセンサによる出力のタイミングに基づ
    いて行われる検出装置。
  3. 【請求項3】 請求項2記載の検出装置であって、 前記判断部は、前記複数のセンサによる出力の間隔が漏
    れ時よりも有意に小さい場合に、該複数のセンサの出力
    は漏れに起因するものではないと判断する検出装置。
  4. 【請求項4】 請求項1記載の検出装置であって、 前記判断は、前記漏れ時には異なる出力値が得られるべ
    き複数のセンサによる出力値に基づいて行われる検出装
    置。
  5. 【請求項5】 請求項4記載の検出装置であって、 前記判断部は、前記複数のセンサによる出力値の分布が
    漏れ時よりも有意に狭い場合に、該複数のセンサの出力
    は漏れに起因するものではないと判断する検出装置。
  6. 【請求項6】 請求項1〜5いずれか記載の検出装置で
    あって、 前記判断部は、出力が漏れに起因するものではないと判
    断されたセンサを除き、所定の期間、前記出力が得られ
    たセンサが存在する場合に、漏れが生じているものと判
    断する検出装置。
  7. 【請求項7】 請求項1〜6いずれか記載の検出装置で
    あって、 前記移動体は、水素を用いた動力源を利用しており、 前記有害ガスは、水素である検出装置。
  8. 【請求項8】 移動体に搭載され、有害ガスの漏れを検
    出する検出装置の点検方法であって、 前記検出装置は、所定の有害ガスを検出するセンサが前
    記移動体の複数箇所に配設されるとともに、該センサの
    少なくとも一部は前記漏れの検出時に出力が統合的に比
    較されるよう対応づけられており、 該点検方法は、 前記対応づけられたセンサの一部の近傍で、局所的に有
    害ガス濃度を高めた状態で検出結果を確認する工程と、 前記対応づけられた全センサの近傍において同様に有害
    ガス濃度を高めた状態で検出結果を確認する工程とを備
    える点検方法。
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