JP2004139842A - 燃料電池車の水素漏洩検知システム - Google Patents
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Abstract
【課題】水素の漏洩を確実に検知する燃料電池車の水素漏洩検知システムを提供することを課題とする。
【解決手段】車速が所定値未満の場合は、水素漏洩検知器で水素の漏洩を検知し、車速が所定値以上の場合は、燃料電池への水素供給量にしたがって算出された燃料電池の発電電流理論値と、燃料電池の実発電電流量との相関関係に基づいて水素の漏洩を検知するように構成される。
【選択図】 図1
【解決手段】車速が所定値未満の場合は、水素漏洩検知器で水素の漏洩を検知し、車速が所定値以上の場合は、燃料電池への水素供給量にしたがって算出された燃料電池の発電電流理論値と、燃料電池の実発電電流量との相関関係に基づいて水素の漏洩を検知するように構成される。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、水素漏洩検知器を使用して水素の漏洩を検知し、又は水素供給量と発電電電流量との関係から水素の漏洩を検知する燃料電池車の水素漏洩検知システムに関する。
【0002】
【従来の技術】
燃料電池車において、水素を燃料電池に供給し、電気化学反応によって発電を行う燃料電池システムでは、水素が可燃ガスであり、可燃範囲も広く、無色無臭であるため、水素の取り扱いには十分な注意が必要とされている。したがって、水素の漏洩を想定し、安全性を確保するために、燃料電池車には、従来から水素ガス警報器を設置することが一般的であった。
【0003】
一方従来では、水素が漏洩した場合には、漏洩した水素から水を生成し、生成水の量に基づいて漏れた水素量を検出する水素漏洩検知器が知られている(例えば特許文献1参照)。この水素漏洩検知器を燃料電池車に搭載し、水素の漏洩を検知するものがある。
【0004】
【特許文献1】
特開平7−325075号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、水素は拡散性がよく、燃料電池システム内に空気の流れがあるような場合には、漏れた水素が空気の流れによって拡散され、水素が漏れていることを確実に検知することが困難になっていた。また、水素が漏れていることに気づかずに燃料電池システムの運転を続けてしまうおそれがあり、貯蔵した水素を無駄に消費してしまうという不具合を招いていた。
【0006】
また、上述したように、従来から知られている水素漏洩検知器のセンサは、触媒を加熱して水素と燃焼反応させて水素を検知する原理を採用しているので、長期間使用すると性能が劣化しやすく、定期的な検査、保守が必要になっていた。
【0007】
さらに、水素漏洩検知器は、水素がセンサに触れないと反応しない原理となっているため、検知器の故障診断は定期的な検査が必要であった。
【0008】
そこで、本発明は、上記に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、水素の漏洩を確実に検知する燃料電池車の水素漏洩検知システムを提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明の課題を解決する手段は、水素を燃料電池に供給して電気化学反応によって発電を行う燃料電池システムは、燃料電池車の走行によって空気の流れが入り込み、前記燃料電池システムの雰囲気が換気されるように収納されて前記燃料電池車に搭載された燃料電池車の水素漏洩検知システムにおいて、前記燃料電池車の車速を検出する車速センサと、空気中の水素濃度を検出して、水素の漏洩を検知する水素漏洩検知器と、前記燃料電池に供給される水素供給量を計測する計測手段と、前記燃料電池の実発電電流値を検出する検出手段と、前記車速センサで検出された車速が所定値未満の場合は、前記水素漏洩検知器を使用して、水素の漏洩を検知する第1の漏洩検知方式を実施し、前記車速センサで検出された車速が所定値以上の場合は、前記計測手段により計測された前記燃料電池への水素供給量にしたがって算出された前記燃料電池の発電電流理論値と、前記検出手段により検出された前記燃料電池の実発電電流量との相関関係に基づいて水素の漏洩を検知する第2の漏洩検知方式を実施する制御手段とを有することを特徴とする。
【0010】
【発明の効果】
本発明によれば、燃料電池車の走行条件にかかわらず、水素の漏洩を確実に検知することができる。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、図面を用いて本発明の実施形態を説明する。
【0012】
図1は本発明の一実施形態に係る燃料電池車の水素漏洩検知システムを含む燃料電池システムの概略構成を示す図である。図1に示す実施形態の燃料電池システムは、水素を原料として発電する燃料電池1、燃料電池1で行われる発電の原料となる水素を貯蔵する高圧水素タンク3、遮断弁4、減圧弁5、高圧水素タンク3から燃料電池1に流入される水素の量を計測する計測手段として機能する水素流量計6、水素流量調整弁7、空気コンプレッサ8、空気流量調整弁9、アノード排ガス循環ポンプ10、燃料電池1の発電電流値を検出する検出手段として機能する発電電流センサ11、水素の漏洩を検知する水素漏洩検知器12を備えて構成されている。
【0013】
燃料電池システムの上記各種センサ、アクチュエータの入出力及び各種制御は、マイクロコンピュータを搭載した燃料電池コントローラ13で制御される。燃料電池コントローラ13には、エネルギーマネージメントコントローラから与えられるトルク要求信号と駆動モータ2に付加された車速センサ14から与えられる車速信号が入力される。燃料電池コントローラ13は、後述する2つの漏洩検知方式を切り替えて実行制御する制御手段として機能する。
【0014】
燃料電池1は、その内部にプロトン透過性のある高分子膜を電解質とて持ち、アノード極に水素、カソード極に空気(酸素)を供給することで電気化学反応によって発電する。燃料電池1が発電した電力は、車両の駆動モータ2に伝えられ、その駆動モータ2によって車両の走行が可能となる。
【0015】
水素は高圧水素タンク3に高圧状態で貯蔵され、高圧遮断弁4と減圧弁5を介して高圧水素タンク3から供給される。減圧弁5で減圧した後、水素流量計6で燃料電池1への水素供給量が測定される。水素の流量は以下の原理で測定される。ヒータの上流、下流に白金薄膜の温度センサを配置し、流れのない状態ではヒータを中心とした温度分布が対称となるが、流れを受けると上流側の温度は下降し、下流側の温度は上昇し、温度分布の対称性が崩れる。この温度差が温度センサの抵抗値の差として現れ、水素の流量を求めることができる。水素の供給量は、トルク要求値から決定され、水素流量調整弁7でコントロールされ、燃料電池1に供給される。
【0016】
燃料電池1に供給される空気は、空気コンプレッサ8で加圧されて燃料電池1に供給される。空気量の調整は、燃料電池1の下流に設置した空気流量調整弁9によってコントロールされる。
【0017】
燃料電池1で消費されなかった水素は、水素排ガスとして燃料電池1から排出され、水素排ガスを循環する水素排ガス循環ポンプ10によって循環される。一方、燃料電池1で消費されなかった空気は空気排ガスとして燃料電池1から排出され、大気に放出される。
【0018】
燃料電池1が発電した電流値は発電電流センサ11でセンシングされる。
【0019】
この実施形態の燃料電池システム内においては、複数の水素漏洩検知器12が設置されている。本システムで使用した水素漏洩検知器12に用いたセンサは、白金線コイルの上に酸化触媒を焼結させてあり、センサ素子を加熱して水素を燃焼させる接触燃焼式と呼ばれる検知原理である。白金コイルを300℃〜450℃程度に加熱した検知用センサの表面で水素が燃焼すると、センサ温度が上昇する。この温度変化に伴い、センサを構成する白金線コイルの抵抗値が変化する。
【0020】
この抵抗変化は水素濃度に比例している。一方、水素に不活性なセンサを補償センサとして有し、ブリッジ回路によってこの抵抗値変化をセンサ出力として取り出している。このような作用により、水素を検知している。
【0021】
図2は図1に示す燃料電池システムを搭載した車両の概略図である。
【0022】
図2において、燃料電池1、水素タンク3、空気供給等の各種コンポーネンツ20が含まれる燃料電池システムは、配管の継ぎ手等から水素が漏洩する可能性があり、他システムとは隔離し、下側が開放構造になった収納ケース21に収められ、車両床下に搭載されている。これにより、車両の走行による風が容易に燃料電池システムに向かって入り込む構造になっている。
【0023】
水素は特に拡散性がよく、換気を十分に行えば安全に扱うことができる性質の可燃ガスである。しかし、無色無臭で可燃範囲が広く、漏洩に関しては細心の注意が必要であり、水素漏洩の可能性がある部位には、水素漏洩検知器12を設置することが一般的である。
【0024】
図3は第1の実施形態に係る、車速に応じて水素の漏洩を検知する方式を選択的に切り替える処理の手順を示すフローチャートである。図3に示す手順は、燃料電池コントローラ13に備えられたマイクロコンピュータがプログラムを実行することにより行われる。
【0025】
まず、車速センサ14で車速を検出し(ステップS30)、検出した車速が所定の車速以上か否かを判断する(ステップS31)。判断結果において、車速が所定の車速未満である場合、すなわち燃料電池車が停止もしくは所定車速未満の低速で走行している状況では、走行風が燃料電池システムを収納する収納ケース21の内部に十分に入り込まず、水素が漏洩した場合に、水素を拡散させて換気する効果を期待することはできない。その場合には、図2に示すように、燃料電池システムを収納する収納ケース21の上部に複数設置された水素漏洩検知器12を使用し、この水素漏洩検知器12で漏洩した水素を検知するようにしている。以下、水素漏洩検知器12を使用して水素を検知する場合を、第1の漏洩検知方式と呼ぶ。
【0026】
水素漏洩検知器12は、例えば図2に示すように燃料電池1の上部、各種コンポーネンツ20の上部、水素タンク3の上部の計3箇所に設置している。水素漏洩検知器12の設置個所や設置個数は、任意かつ適宜設定されるものであり、図2に示すものに限定されるものではない。
【0027】
水素濃度と水素漏洩検知器12の出力は、図4に示すようにリニアな特性を有している。図4において、水素の爆発下限界は空気中の水素濃度が4%である。したがって、ここでは水素漏洩検知器12のセンサの出力を得て(ステップS32)、水素漏洩検知器12のセンサの出力を換算して空気中の水素濃度が1%を越えたか否かを判断し(ステップS33)、1%を越えた場合には水素の漏洩と判断するようにしている(ステップS34)。
【0028】
なお、この実施形態では、水素漏洩検知器12が水素濃度に対してリニアに出力するようなシステムを採用したが、あらかじめ設定した出力、すなわち水素濃度で水素漏洩検知器12がデジタル信号を出力するようなシステムもあっても可能である。
【0029】
一方、検出した車速が所定の車速以上である場合、すなわち燃料電池車が所定車速以上の中高速で走行している状況では、図2に示すように走行風が燃料電池システムの収納ケース21の内部に入り込み、水素が漏洩した場合に、この走行風により水素を拡散させ換気する効果が期待できる。しかしながら、特に高車速で長時間の走行中に水素漏洩が発生した場合には、水素漏洩検知器12が反応して水素を検知することはできず、水素漏洩に気づかずに走行を続けてしまう可能性がある。
【0030】
そこで、水素漏洩検知器12に代えて、燃料電池コントローラ13において、水素供給量と発電電流値との相関関係とに基づいて水素が漏洩しているか否かを判断するようにしている。以下、水素供給量と発電電流値との相関関係とに基づいて水素の漏洩を検知する場合を、第2の漏洩検知方式と呼ぶ。
【0031】
燃料電池1に供給された水素量と、燃料電池1が発電した電流値は、例えば図5に示すようにリニアな特性を有している。この特性を利用して水素の漏洩を判断している。すなわち、図2に示すフローチャートにおいて、燃料電池1に供給された水素供給量を水素流量計6で計測し(ステップS35)、計測した水素供給量から燃料電池コントローラ13で理論発電電流値を算出する(ステップS36)。さらに、燃料電池1の実発電電流値を発電電流センサ11で求め(ステップS37)、理論発電電流値と実発電電流値の差分を求める(ステップS38)。続いて、実発電電流値が理論発電電流値に対して、ここでは例えば90%未満であるか否かを判別する(ステップSS39)。
【0032】
判別結果において、実発電電流値が理論発電電流値に対して90%未満である場合には、燃料電池1のアノード極の水素が到達する前に水素が漏洩していると判断する(ステップS34)。一方、判別結果において、実発電電流値が理論発電電流値に対して90%以上である場合には、水素は漏洩していないと判断する。上記実施形態は、請求項1に記載された発明に対応した実施形態である。
【0033】
このように、上記第1の実施形態においては、車速によって走行風が燃料電池システム内部に入り込んで換気を行っているかわかるので、水素漏洩の検知方式を車速に応じて最適に切り替えることによって、走行風に影響されずに水素の漏洩を確実に検知することができる。上記効果は、請求項1に記載された技術内容によって達成される効果に相当する。
【0034】
図6はこの発明の第2の実施形態にかかる、水素の漏洩を検知する方式を選択的に切り替える処理の手順を示すフローチャートである。図6に示す手順は、燃料電池コントローラ13に備えられたマイクロコンピュータがプログラムを実行することにより行われる。
【0035】
前述した第1の実施形態の処理手順では、所定の車速で検知方式を選択的に切り替えるようにしているので、検知方式を切り替える車速の前後で切り替えが頻繁に起こり、切り替え制御が複雑になることが考えられる。
【0036】
そこで、この第2の実施形態の特徴とするところは、図6に示すフローチャートにおいて、図3に示すフローチャートに比べて、図3のステップS30とステップS31との間に、燃料電池コントローラ13で行われる処理として、検知方式を切り替える車速にヒステリシスを持たせるステップS60の処理を挿入したことにあり、他の処理は図3と同様である。すなわち、第1の漏洩検知方式から第2の漏洩検知方式に切り替える車速と、第2の漏洩検知方式から第1の漏洩検知方式に切り替える車速を異なる車速としている。上記実施形態は、請求項2に記載された発明に対応した実施形態である。
【0037】
このように、上記第2の実施形態においては、水素漏洩の検知方式を切り替える所定の車速にヒステリシスを持たせることにより、検知方式を切り替える所定の速度付近で検知方式が頻繁に切り替わってしまうことがなくなるので、切り替えをスムーズに行うことができ、複雑な切り替え制御を回避して、漏洩検知のシステム制御を単純にできる。上記効果は、請求項2に記載された技術内容によって達成される効果に相当する。
【0038】
図7はこの発明の第3の実施形態にかかる、水素の漏洩を検知する方式を選択的に切り替える処理の手順を示すフローチャートである。図7に示す手順は、燃料電池コントローラ13に備えられたマイクロコンピュータがプログラムを実行することにより行われる。
【0039】
水素漏洩検知器12のセンサの原理上、通電中は常時触媒を加熱している。そのため、長期の耐久性において触媒の劣化が懸念されている。
【0040】
そこで、この第3の実施形態の特徴とするとことは、図7のフローチャートにおいて、図3に示すフローチャートに比べて、水素供給流量と発電電流値の関係から水素の漏洩を検知する、第2の漏洩検知方式を選択実施している時には、水素漏洩検知器12の電源供給を停止するステップS71の処理を、ステップS31とステップS35の処理の間に挿入し、水素漏洩検知器12を使用する、第1の漏洩検知方式を選択している時には、水素漏洩検知器12の電源を供給するステップS70の処理を、ステップS31とステップS32の処理の間に挿入したことにあり、他の処理は図3と同様である。上記実施形態は、請求項3に記載された発明に対応した実施形態である。
【0041】
この第3の実施形態においては、燃料電池1への水素供給量と燃料電池発電電流の相関に基づいて水素の漏洩を判断する、第2の漏洩検知方式を選択している時には、水素漏洩検知器12の電源を停止することにより、水素漏洩検知器12の稼動時間を減らすことができ、水素漏洩の監視をしつつ、水素漏洩検知器12の耐久劣化性能を向上させることができる。また、水素漏洩検知器12のセンサ素子ヒータへの通電がなくなるので、消費電力を低減させることができる。上記効果は、請求項3に記載された技術内容によって達成される効果に相当する。
【0042】
図8はこの発明の第4の実施形態にかかる、水素の漏洩を検知する方式を選択的に切り替える処理の手順を示すフローチャートである。図8に示す手順は、燃料電池コントローラ13に備えられたマイクロコンピュータがプログラムを実行することにより行われる。
【0043】
低車速においても、トルク要求が大きい登坂時や補機負荷の大きい時は発電量を多くする必要があり、燃料電池1への水素供給量が多い走行パターンが存在する。
【0044】
そこで、この第4の実施形態の特徴とするところは、図8に示すフローチャートにおいて、図3に示すフローチャートに比べて、図3に示す水素供給量を計測するステップS35を、車速を検出する前に、ステップS80として行い、続いて、計測した水素供給量が、切り替えのしきい値となる第1の所定値以上か否かを判断するステップS81の処理を行い、水素供給量が第1の所定値以上である場合には、車速にかかわらずステップS36に進み、第2の漏洩検知方式を実施することにあり、水素供給量が第1の所定値未満である場合には、車速を検出するステップS31に進み、他の処理は図3と同様である。上記実施形態は、請求項4に記載された発明に対応した実施形態である。
【0045】
この第4の実施形態においては、低車速でも水素供給量が多い場合は、測定の誤差が小さいので、水素供給流量と発電電流値の関係から水素の漏洩を検知する、第2の漏洩検知方式を実施しているので、車速にかかわらず正確に水素の漏洩を検知することができる。上記効果は、請求項4に記載された技術内容によって達成される効果に相当する。
【0046】
図9はこの発明の第5の実施形態にかかる、水素の漏洩を検知する方式を選択的に切り替える処理の手順を示すフローチャートである。図9に示す手順は、燃料電池コントローラ13に備えられたマイクロコンピュータがプログラムを実行することにより行われる。
【0047】
この第5の実施形態の特徴とするところは、車速が遅く、かつ水素供給量が漏洩を正確に判断できる流量以上の場合に、水素漏洩検知器12を用いた第1の漏洩検知方式と、水素供給流量と発電電流値の関係から水素の漏洩を検知する、第2の漏洩検知方式の双方で、それぞれ水素の漏洩を監視し、いずれか一方の漏洩検知方式が水素の漏洩を検知した場合に、水素が漏洩したものと判断するようにしたことにある。
【0048】
次に、上記漏洩検知手順を図9を参照して説明する。
【0049】
まず、車速センサ14で車速を検出し(ステップS900)、検出した車速が所定の車速以上か否かを判断し(ステップS901)、所定の車速未満である場合には、燃料電池1に供給された水素供給量を水素流量計6で計測する(ステップS902)。次に、前述した第4の実施形態で示した第1の所定値と第2の所定値の大小関係を判別し(ステップS903)、第1の所定値<第2の所定値の場合には、第1の所定値を第2の所定値とし(ステップS904)、ステップS905に進む。第1の所定値と第2の所定値の大小関係を判別し(ステップS903)、第1の所定値>第2の所定値の場合には、ステップS902で計測された水素供給量が第1の所定値以上か否かを判別する(ステップS905)。判別結果において、水素供給量が第1の所定値未満の場合は、続けて水素供給量が第2の所定値以上か否かを判別する(ステップS906)。判別結果において、第2の所定値未満の場合には、水素漏洩検知器12のセンサの出力を得る(ステップS907)。水素漏洩検知器12のセンサの出力を換算して空気中水素濃度が1%を越えたか否かを判断し(ステップS908)、1%を越えた場合には水素の漏洩と判断する(ステップS909)。
【0050】
一方、検出した車速が所定の車速以上か否かを判断し(ステップS901)、所定の車速以上である場合、水素供給量が第1の所定値以上か否かを判別し(ステップS905)、水素供給量が第1の所定値以上の場合、ならびに水素供給量が第2の所定値以上か否かを判別し(ステップS906)、水素供給量が第2の所定値以上の場合には、ステップS902で計測した水素供給量から燃料電池コントローラ13で理論発電電流値を算出する(ステップS910)。続いて、燃料電池1の実発電電流値を発電電流センサ11で求め(ステップS911)、理論発電電流値と実発電電流値の差分を求め(ステップS912)、実発電電流値が理論発電電流値に対して、ここでは例えば90%未満であるか否かを判別する(ステップS913)。
【0051】
判別結果において、実発電電流値が理論発電電流値に対して90%未満である場合には、燃料電池1のアノード極の水素が到達する前に水素が漏洩していると判断する(ステップS909)。一方、判別結果において、実発電電流値が理論発電電流値に対して90%以上である場合には、水素の漏洩はないものと判断する。上記実施形態は、請求項5に記載された発明に対応した実施形態である。
【0052】
上記第5の実施形態においては、第1の漏洩検知方式ならびに第2の漏洩検知方式の双方の方式でそれぞれ水素漏洩を監視しつつ、いずれか一方の方式が水素の漏洩を検知した場合には、水素が漏洩したと判断するので、水素の漏洩を正確に検知することができる。
【0053】
図10はこの発明の第6の実施形態にかかる、水素の漏洩を検知する方式を選択的に切り替える処理の手順を示すフローチャートである。図10に示す手順は、燃料電池コントローラ13に備えられたマイクロコンピュータがプログラムを実行することにより行われる。
【0054】
水素供給量が多く、水素供給流量と発電電流値の関係から水素の漏洩を検知する、第2の漏洩検知方式で正確な水素の漏洩が検知できる状況において、車速が速い場合には、走行風が燃料電池システム内部に入り込み換気の効果がある。このため、水素漏洩があったとしても漏洩した水素は拡散される。
【0055】
そこで、この第6の実施形態では、燃料電池コントローラ13は、水素漏洩検知器13の故障を検出する故障検出手段を有し、上述したような状況において、水素漏洩検知器12が漏洩と判断した場合は、水素漏洩検知器12が故障していると判断するようにしている。
【0056】
次に、故障判断の手順を図10を参照して説明する。
【0057】
まず、車速センサ14で車速を検出し(ステップS100)、検出した車速が所定の車速以上か否かを判断する(ステップS101)。判断結果において、所定の車速未満である場合は、燃料電池1に供給された水素供給量を水素流量計6で計測し(ステップS102)、計測した水素供給量が所定値以上か否かを判別する(ステップ103)。判別結果において、水素供給量が所定値未満である場合には、水素漏洩検知器12のセンサの出力を得る(ステップS104)。次に、水素漏洩検知器12のセンサの出力を換算して空気中水素濃度が1%を越えているか否かを判断し(ステップS105)、1%を越えている場合には、さらに第2の漏洩検知方式を実施した際にセットされるフラグがセットされているか否かを判別する(ステップS106)。判別結果において、フラグがセットされていない(OFF)場合には、燃料電池1のアノード極の水素が到達する前に水素が漏洩していると判断する(ステップS107)。その後、フラグをリセット(OFF)する(ステップS108)。
【0058】
水素漏洩検知器12のセンサの出力を換算して空気中の水素濃度が1%を越えているか否かを判断し(ステップS105)、1%を越えていない場合には、水素が漏洩していないものと判断し、フラグをリセット(OFF)する(ステップS108)。
【0059】
一方、第2の漏洩検知方式を実施した際にセットされるフラグがセットされているか否かを判別し(ステップS106)、フラグがセットされている(ON)場合には、水素漏洩検知器12が故障しているものと判断する(ステップS109)。
【0060】
検出した車速が所定の車速以上か否かを判断し(ステップS101)、所定の車速以上である場合、又は計測した水素供給量が所定値以上か否かを判別し(ステップ103)、水素供給量が所定値以上である場合には、上記フラグをセット(ON)する。次に、ステップS102で計測した水素供給量から燃料電池コントローラ13で理論発電電流値を算出し(ステップS111)、燃料電池1の実発電電流値を発電電流センサ11で求め(ステップS112)、理論発電電流値と実発電電流値の差分を求める(ステップS113)。実発電電流値が理論発電電流値に対して、ここでは例えば90%未満であるか否かを判別し(ステップSS114)、90%未満である場合には、燃料電池1のアノード極の水素が到達する前に水素が漏洩していると判断する(ステップS107)。
【0061】
一方、実発電電流値が理論発電電流値に対して、90%未満であるか否かを判別し(ステップSS114)、90%以上である場合には、ステップS104に進み、上述したようにステップS104〜S109の処理が行われる。上記実施形態は、請求項6に記載された発明に対応した実施形態である。
【0062】
この第6の実施形態においては、特別な診断ツールを用意することなく、水素漏洩検知器12の故障診断が可能となる。また、検知システムが稼働中に常時故障診断が実施できるので、信頼性の高い水素漏洩検知器を提供できる。上記効果は、請求項6に記載された技術内容によって達成される効果に相当する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る燃料電池車の水素漏洩検知システムを含む燃料電池システムの構成を示す図である。
【図2】燃料電池システムを搭載した燃料電池車の概略構成を示す図である。
【図3】本発明の第1の実施形態に係る処理動作を示すフローチャートである。
【図4】水素漏洩検知器の出力特性を示す図である。
【図5】燃料電池の発電電流量の特性を示す図である。
【図6】本発明の第2の実施形態に係る処理動作を示すフローチャートである。
【図7】本発明の第3の実施形態に係る処理動作を示すフローチャートである。
【図8】本発明の第4の実施形態に係る処理動作を示すフローチャートである。
【図9】本発明の第5の実施形態に係る処理動作を示すフローチャートである。
【図10】本発明の第6の実施形態に係る処理動作を示すフローチャートである。
【符号の説明】
1 燃料電池
2 駆動モータ
3 高圧水素タンク
4 遮断弁
5 減圧弁
6 水素流量計
7 水素流量調整弁
8 空気コンプレッサ
9 空気流量調整弁
10 アノード排ガス循環ポンプ
11 発電電流センサ
12 水素漏洩検知器
13 燃料電池コントローラ
【発明の属する技術分野】
本発明は、水素漏洩検知器を使用して水素の漏洩を検知し、又は水素供給量と発電電電流量との関係から水素の漏洩を検知する燃料電池車の水素漏洩検知システムに関する。
【0002】
【従来の技術】
燃料電池車において、水素を燃料電池に供給し、電気化学反応によって発電を行う燃料電池システムでは、水素が可燃ガスであり、可燃範囲も広く、無色無臭であるため、水素の取り扱いには十分な注意が必要とされている。したがって、水素の漏洩を想定し、安全性を確保するために、燃料電池車には、従来から水素ガス警報器を設置することが一般的であった。
【0003】
一方従来では、水素が漏洩した場合には、漏洩した水素から水を生成し、生成水の量に基づいて漏れた水素量を検出する水素漏洩検知器が知られている(例えば特許文献1参照)。この水素漏洩検知器を燃料電池車に搭載し、水素の漏洩を検知するものがある。
【0004】
【特許文献1】
特開平7−325075号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、水素は拡散性がよく、燃料電池システム内に空気の流れがあるような場合には、漏れた水素が空気の流れによって拡散され、水素が漏れていることを確実に検知することが困難になっていた。また、水素が漏れていることに気づかずに燃料電池システムの運転を続けてしまうおそれがあり、貯蔵した水素を無駄に消費してしまうという不具合を招いていた。
【0006】
また、上述したように、従来から知られている水素漏洩検知器のセンサは、触媒を加熱して水素と燃焼反応させて水素を検知する原理を採用しているので、長期間使用すると性能が劣化しやすく、定期的な検査、保守が必要になっていた。
【0007】
さらに、水素漏洩検知器は、水素がセンサに触れないと反応しない原理となっているため、検知器の故障診断は定期的な検査が必要であった。
【0008】
そこで、本発明は、上記に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、水素の漏洩を確実に検知する燃料電池車の水素漏洩検知システムを提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明の課題を解決する手段は、水素を燃料電池に供給して電気化学反応によって発電を行う燃料電池システムは、燃料電池車の走行によって空気の流れが入り込み、前記燃料電池システムの雰囲気が換気されるように収納されて前記燃料電池車に搭載された燃料電池車の水素漏洩検知システムにおいて、前記燃料電池車の車速を検出する車速センサと、空気中の水素濃度を検出して、水素の漏洩を検知する水素漏洩検知器と、前記燃料電池に供給される水素供給量を計測する計測手段と、前記燃料電池の実発電電流値を検出する検出手段と、前記車速センサで検出された車速が所定値未満の場合は、前記水素漏洩検知器を使用して、水素の漏洩を検知する第1の漏洩検知方式を実施し、前記車速センサで検出された車速が所定値以上の場合は、前記計測手段により計測された前記燃料電池への水素供給量にしたがって算出された前記燃料電池の発電電流理論値と、前記検出手段により検出された前記燃料電池の実発電電流量との相関関係に基づいて水素の漏洩を検知する第2の漏洩検知方式を実施する制御手段とを有することを特徴とする。
【0010】
【発明の効果】
本発明によれば、燃料電池車の走行条件にかかわらず、水素の漏洩を確実に検知することができる。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、図面を用いて本発明の実施形態を説明する。
【0012】
図1は本発明の一実施形態に係る燃料電池車の水素漏洩検知システムを含む燃料電池システムの概略構成を示す図である。図1に示す実施形態の燃料電池システムは、水素を原料として発電する燃料電池1、燃料電池1で行われる発電の原料となる水素を貯蔵する高圧水素タンク3、遮断弁4、減圧弁5、高圧水素タンク3から燃料電池1に流入される水素の量を計測する計測手段として機能する水素流量計6、水素流量調整弁7、空気コンプレッサ8、空気流量調整弁9、アノード排ガス循環ポンプ10、燃料電池1の発電電流値を検出する検出手段として機能する発電電流センサ11、水素の漏洩を検知する水素漏洩検知器12を備えて構成されている。
【0013】
燃料電池システムの上記各種センサ、アクチュエータの入出力及び各種制御は、マイクロコンピュータを搭載した燃料電池コントローラ13で制御される。燃料電池コントローラ13には、エネルギーマネージメントコントローラから与えられるトルク要求信号と駆動モータ2に付加された車速センサ14から与えられる車速信号が入力される。燃料電池コントローラ13は、後述する2つの漏洩検知方式を切り替えて実行制御する制御手段として機能する。
【0014】
燃料電池1は、その内部にプロトン透過性のある高分子膜を電解質とて持ち、アノード極に水素、カソード極に空気(酸素)を供給することで電気化学反応によって発電する。燃料電池1が発電した電力は、車両の駆動モータ2に伝えられ、その駆動モータ2によって車両の走行が可能となる。
【0015】
水素は高圧水素タンク3に高圧状態で貯蔵され、高圧遮断弁4と減圧弁5を介して高圧水素タンク3から供給される。減圧弁5で減圧した後、水素流量計6で燃料電池1への水素供給量が測定される。水素の流量は以下の原理で測定される。ヒータの上流、下流に白金薄膜の温度センサを配置し、流れのない状態ではヒータを中心とした温度分布が対称となるが、流れを受けると上流側の温度は下降し、下流側の温度は上昇し、温度分布の対称性が崩れる。この温度差が温度センサの抵抗値の差として現れ、水素の流量を求めることができる。水素の供給量は、トルク要求値から決定され、水素流量調整弁7でコントロールされ、燃料電池1に供給される。
【0016】
燃料電池1に供給される空気は、空気コンプレッサ8で加圧されて燃料電池1に供給される。空気量の調整は、燃料電池1の下流に設置した空気流量調整弁9によってコントロールされる。
【0017】
燃料電池1で消費されなかった水素は、水素排ガスとして燃料電池1から排出され、水素排ガスを循環する水素排ガス循環ポンプ10によって循環される。一方、燃料電池1で消費されなかった空気は空気排ガスとして燃料電池1から排出され、大気に放出される。
【0018】
燃料電池1が発電した電流値は発電電流センサ11でセンシングされる。
【0019】
この実施形態の燃料電池システム内においては、複数の水素漏洩検知器12が設置されている。本システムで使用した水素漏洩検知器12に用いたセンサは、白金線コイルの上に酸化触媒を焼結させてあり、センサ素子を加熱して水素を燃焼させる接触燃焼式と呼ばれる検知原理である。白金コイルを300℃〜450℃程度に加熱した検知用センサの表面で水素が燃焼すると、センサ温度が上昇する。この温度変化に伴い、センサを構成する白金線コイルの抵抗値が変化する。
【0020】
この抵抗変化は水素濃度に比例している。一方、水素に不活性なセンサを補償センサとして有し、ブリッジ回路によってこの抵抗値変化をセンサ出力として取り出している。このような作用により、水素を検知している。
【0021】
図2は図1に示す燃料電池システムを搭載した車両の概略図である。
【0022】
図2において、燃料電池1、水素タンク3、空気供給等の各種コンポーネンツ20が含まれる燃料電池システムは、配管の継ぎ手等から水素が漏洩する可能性があり、他システムとは隔離し、下側が開放構造になった収納ケース21に収められ、車両床下に搭載されている。これにより、車両の走行による風が容易に燃料電池システムに向かって入り込む構造になっている。
【0023】
水素は特に拡散性がよく、換気を十分に行えば安全に扱うことができる性質の可燃ガスである。しかし、無色無臭で可燃範囲が広く、漏洩に関しては細心の注意が必要であり、水素漏洩の可能性がある部位には、水素漏洩検知器12を設置することが一般的である。
【0024】
図3は第1の実施形態に係る、車速に応じて水素の漏洩を検知する方式を選択的に切り替える処理の手順を示すフローチャートである。図3に示す手順は、燃料電池コントローラ13に備えられたマイクロコンピュータがプログラムを実行することにより行われる。
【0025】
まず、車速センサ14で車速を検出し(ステップS30)、検出した車速が所定の車速以上か否かを判断する(ステップS31)。判断結果において、車速が所定の車速未満である場合、すなわち燃料電池車が停止もしくは所定車速未満の低速で走行している状況では、走行風が燃料電池システムを収納する収納ケース21の内部に十分に入り込まず、水素が漏洩した場合に、水素を拡散させて換気する効果を期待することはできない。その場合には、図2に示すように、燃料電池システムを収納する収納ケース21の上部に複数設置された水素漏洩検知器12を使用し、この水素漏洩検知器12で漏洩した水素を検知するようにしている。以下、水素漏洩検知器12を使用して水素を検知する場合を、第1の漏洩検知方式と呼ぶ。
【0026】
水素漏洩検知器12は、例えば図2に示すように燃料電池1の上部、各種コンポーネンツ20の上部、水素タンク3の上部の計3箇所に設置している。水素漏洩検知器12の設置個所や設置個数は、任意かつ適宜設定されるものであり、図2に示すものに限定されるものではない。
【0027】
水素濃度と水素漏洩検知器12の出力は、図4に示すようにリニアな特性を有している。図4において、水素の爆発下限界は空気中の水素濃度が4%である。したがって、ここでは水素漏洩検知器12のセンサの出力を得て(ステップS32)、水素漏洩検知器12のセンサの出力を換算して空気中の水素濃度が1%を越えたか否かを判断し(ステップS33)、1%を越えた場合には水素の漏洩と判断するようにしている(ステップS34)。
【0028】
なお、この実施形態では、水素漏洩検知器12が水素濃度に対してリニアに出力するようなシステムを採用したが、あらかじめ設定した出力、すなわち水素濃度で水素漏洩検知器12がデジタル信号を出力するようなシステムもあっても可能である。
【0029】
一方、検出した車速が所定の車速以上である場合、すなわち燃料電池車が所定車速以上の中高速で走行している状況では、図2に示すように走行風が燃料電池システムの収納ケース21の内部に入り込み、水素が漏洩した場合に、この走行風により水素を拡散させ換気する効果が期待できる。しかしながら、特に高車速で長時間の走行中に水素漏洩が発生した場合には、水素漏洩検知器12が反応して水素を検知することはできず、水素漏洩に気づかずに走行を続けてしまう可能性がある。
【0030】
そこで、水素漏洩検知器12に代えて、燃料電池コントローラ13において、水素供給量と発電電流値との相関関係とに基づいて水素が漏洩しているか否かを判断するようにしている。以下、水素供給量と発電電流値との相関関係とに基づいて水素の漏洩を検知する場合を、第2の漏洩検知方式と呼ぶ。
【0031】
燃料電池1に供給された水素量と、燃料電池1が発電した電流値は、例えば図5に示すようにリニアな特性を有している。この特性を利用して水素の漏洩を判断している。すなわち、図2に示すフローチャートにおいて、燃料電池1に供給された水素供給量を水素流量計6で計測し(ステップS35)、計測した水素供給量から燃料電池コントローラ13で理論発電電流値を算出する(ステップS36)。さらに、燃料電池1の実発電電流値を発電電流センサ11で求め(ステップS37)、理論発電電流値と実発電電流値の差分を求める(ステップS38)。続いて、実発電電流値が理論発電電流値に対して、ここでは例えば90%未満であるか否かを判別する(ステップSS39)。
【0032】
判別結果において、実発電電流値が理論発電電流値に対して90%未満である場合には、燃料電池1のアノード極の水素が到達する前に水素が漏洩していると判断する(ステップS34)。一方、判別結果において、実発電電流値が理論発電電流値に対して90%以上である場合には、水素は漏洩していないと判断する。上記実施形態は、請求項1に記載された発明に対応した実施形態である。
【0033】
このように、上記第1の実施形態においては、車速によって走行風が燃料電池システム内部に入り込んで換気を行っているかわかるので、水素漏洩の検知方式を車速に応じて最適に切り替えることによって、走行風に影響されずに水素の漏洩を確実に検知することができる。上記効果は、請求項1に記載された技術内容によって達成される効果に相当する。
【0034】
図6はこの発明の第2の実施形態にかかる、水素の漏洩を検知する方式を選択的に切り替える処理の手順を示すフローチャートである。図6に示す手順は、燃料電池コントローラ13に備えられたマイクロコンピュータがプログラムを実行することにより行われる。
【0035】
前述した第1の実施形態の処理手順では、所定の車速で検知方式を選択的に切り替えるようにしているので、検知方式を切り替える車速の前後で切り替えが頻繁に起こり、切り替え制御が複雑になることが考えられる。
【0036】
そこで、この第2の実施形態の特徴とするところは、図6に示すフローチャートにおいて、図3に示すフローチャートに比べて、図3のステップS30とステップS31との間に、燃料電池コントローラ13で行われる処理として、検知方式を切り替える車速にヒステリシスを持たせるステップS60の処理を挿入したことにあり、他の処理は図3と同様である。すなわち、第1の漏洩検知方式から第2の漏洩検知方式に切り替える車速と、第2の漏洩検知方式から第1の漏洩検知方式に切り替える車速を異なる車速としている。上記実施形態は、請求項2に記載された発明に対応した実施形態である。
【0037】
このように、上記第2の実施形態においては、水素漏洩の検知方式を切り替える所定の車速にヒステリシスを持たせることにより、検知方式を切り替える所定の速度付近で検知方式が頻繁に切り替わってしまうことがなくなるので、切り替えをスムーズに行うことができ、複雑な切り替え制御を回避して、漏洩検知のシステム制御を単純にできる。上記効果は、請求項2に記載された技術内容によって達成される効果に相当する。
【0038】
図7はこの発明の第3の実施形態にかかる、水素の漏洩を検知する方式を選択的に切り替える処理の手順を示すフローチャートである。図7に示す手順は、燃料電池コントローラ13に備えられたマイクロコンピュータがプログラムを実行することにより行われる。
【0039】
水素漏洩検知器12のセンサの原理上、通電中は常時触媒を加熱している。そのため、長期の耐久性において触媒の劣化が懸念されている。
【0040】
そこで、この第3の実施形態の特徴とするとことは、図7のフローチャートにおいて、図3に示すフローチャートに比べて、水素供給流量と発電電流値の関係から水素の漏洩を検知する、第2の漏洩検知方式を選択実施している時には、水素漏洩検知器12の電源供給を停止するステップS71の処理を、ステップS31とステップS35の処理の間に挿入し、水素漏洩検知器12を使用する、第1の漏洩検知方式を選択している時には、水素漏洩検知器12の電源を供給するステップS70の処理を、ステップS31とステップS32の処理の間に挿入したことにあり、他の処理は図3と同様である。上記実施形態は、請求項3に記載された発明に対応した実施形態である。
【0041】
この第3の実施形態においては、燃料電池1への水素供給量と燃料電池発電電流の相関に基づいて水素の漏洩を判断する、第2の漏洩検知方式を選択している時には、水素漏洩検知器12の電源を停止することにより、水素漏洩検知器12の稼動時間を減らすことができ、水素漏洩の監視をしつつ、水素漏洩検知器12の耐久劣化性能を向上させることができる。また、水素漏洩検知器12のセンサ素子ヒータへの通電がなくなるので、消費電力を低減させることができる。上記効果は、請求項3に記載された技術内容によって達成される効果に相当する。
【0042】
図8はこの発明の第4の実施形態にかかる、水素の漏洩を検知する方式を選択的に切り替える処理の手順を示すフローチャートである。図8に示す手順は、燃料電池コントローラ13に備えられたマイクロコンピュータがプログラムを実行することにより行われる。
【0043】
低車速においても、トルク要求が大きい登坂時や補機負荷の大きい時は発電量を多くする必要があり、燃料電池1への水素供給量が多い走行パターンが存在する。
【0044】
そこで、この第4の実施形態の特徴とするところは、図8に示すフローチャートにおいて、図3に示すフローチャートに比べて、図3に示す水素供給量を計測するステップS35を、車速を検出する前に、ステップS80として行い、続いて、計測した水素供給量が、切り替えのしきい値となる第1の所定値以上か否かを判断するステップS81の処理を行い、水素供給量が第1の所定値以上である場合には、車速にかかわらずステップS36に進み、第2の漏洩検知方式を実施することにあり、水素供給量が第1の所定値未満である場合には、車速を検出するステップS31に進み、他の処理は図3と同様である。上記実施形態は、請求項4に記載された発明に対応した実施形態である。
【0045】
この第4の実施形態においては、低車速でも水素供給量が多い場合は、測定の誤差が小さいので、水素供給流量と発電電流値の関係から水素の漏洩を検知する、第2の漏洩検知方式を実施しているので、車速にかかわらず正確に水素の漏洩を検知することができる。上記効果は、請求項4に記載された技術内容によって達成される効果に相当する。
【0046】
図9はこの発明の第5の実施形態にかかる、水素の漏洩を検知する方式を選択的に切り替える処理の手順を示すフローチャートである。図9に示す手順は、燃料電池コントローラ13に備えられたマイクロコンピュータがプログラムを実行することにより行われる。
【0047】
この第5の実施形態の特徴とするところは、車速が遅く、かつ水素供給量が漏洩を正確に判断できる流量以上の場合に、水素漏洩検知器12を用いた第1の漏洩検知方式と、水素供給流量と発電電流値の関係から水素の漏洩を検知する、第2の漏洩検知方式の双方で、それぞれ水素の漏洩を監視し、いずれか一方の漏洩検知方式が水素の漏洩を検知した場合に、水素が漏洩したものと判断するようにしたことにある。
【0048】
次に、上記漏洩検知手順を図9を参照して説明する。
【0049】
まず、車速センサ14で車速を検出し(ステップS900)、検出した車速が所定の車速以上か否かを判断し(ステップS901)、所定の車速未満である場合には、燃料電池1に供給された水素供給量を水素流量計6で計測する(ステップS902)。次に、前述した第4の実施形態で示した第1の所定値と第2の所定値の大小関係を判別し(ステップS903)、第1の所定値<第2の所定値の場合には、第1の所定値を第2の所定値とし(ステップS904)、ステップS905に進む。第1の所定値と第2の所定値の大小関係を判別し(ステップS903)、第1の所定値>第2の所定値の場合には、ステップS902で計測された水素供給量が第1の所定値以上か否かを判別する(ステップS905)。判別結果において、水素供給量が第1の所定値未満の場合は、続けて水素供給量が第2の所定値以上か否かを判別する(ステップS906)。判別結果において、第2の所定値未満の場合には、水素漏洩検知器12のセンサの出力を得る(ステップS907)。水素漏洩検知器12のセンサの出力を換算して空気中水素濃度が1%を越えたか否かを判断し(ステップS908)、1%を越えた場合には水素の漏洩と判断する(ステップS909)。
【0050】
一方、検出した車速が所定の車速以上か否かを判断し(ステップS901)、所定の車速以上である場合、水素供給量が第1の所定値以上か否かを判別し(ステップS905)、水素供給量が第1の所定値以上の場合、ならびに水素供給量が第2の所定値以上か否かを判別し(ステップS906)、水素供給量が第2の所定値以上の場合には、ステップS902で計測した水素供給量から燃料電池コントローラ13で理論発電電流値を算出する(ステップS910)。続いて、燃料電池1の実発電電流値を発電電流センサ11で求め(ステップS911)、理論発電電流値と実発電電流値の差分を求め(ステップS912)、実発電電流値が理論発電電流値に対して、ここでは例えば90%未満であるか否かを判別する(ステップS913)。
【0051】
判別結果において、実発電電流値が理論発電電流値に対して90%未満である場合には、燃料電池1のアノード極の水素が到達する前に水素が漏洩していると判断する(ステップS909)。一方、判別結果において、実発電電流値が理論発電電流値に対して90%以上である場合には、水素の漏洩はないものと判断する。上記実施形態は、請求項5に記載された発明に対応した実施形態である。
【0052】
上記第5の実施形態においては、第1の漏洩検知方式ならびに第2の漏洩検知方式の双方の方式でそれぞれ水素漏洩を監視しつつ、いずれか一方の方式が水素の漏洩を検知した場合には、水素が漏洩したと判断するので、水素の漏洩を正確に検知することができる。
【0053】
図10はこの発明の第6の実施形態にかかる、水素の漏洩を検知する方式を選択的に切り替える処理の手順を示すフローチャートである。図10に示す手順は、燃料電池コントローラ13に備えられたマイクロコンピュータがプログラムを実行することにより行われる。
【0054】
水素供給量が多く、水素供給流量と発電電流値の関係から水素の漏洩を検知する、第2の漏洩検知方式で正確な水素の漏洩が検知できる状況において、車速が速い場合には、走行風が燃料電池システム内部に入り込み換気の効果がある。このため、水素漏洩があったとしても漏洩した水素は拡散される。
【0055】
そこで、この第6の実施形態では、燃料電池コントローラ13は、水素漏洩検知器13の故障を検出する故障検出手段を有し、上述したような状況において、水素漏洩検知器12が漏洩と判断した場合は、水素漏洩検知器12が故障していると判断するようにしている。
【0056】
次に、故障判断の手順を図10を参照して説明する。
【0057】
まず、車速センサ14で車速を検出し(ステップS100)、検出した車速が所定の車速以上か否かを判断する(ステップS101)。判断結果において、所定の車速未満である場合は、燃料電池1に供給された水素供給量を水素流量計6で計測し(ステップS102)、計測した水素供給量が所定値以上か否かを判別する(ステップ103)。判別結果において、水素供給量が所定値未満である場合には、水素漏洩検知器12のセンサの出力を得る(ステップS104)。次に、水素漏洩検知器12のセンサの出力を換算して空気中水素濃度が1%を越えているか否かを判断し(ステップS105)、1%を越えている場合には、さらに第2の漏洩検知方式を実施した際にセットされるフラグがセットされているか否かを判別する(ステップS106)。判別結果において、フラグがセットされていない(OFF)場合には、燃料電池1のアノード極の水素が到達する前に水素が漏洩していると判断する(ステップS107)。その後、フラグをリセット(OFF)する(ステップS108)。
【0058】
水素漏洩検知器12のセンサの出力を換算して空気中の水素濃度が1%を越えているか否かを判断し(ステップS105)、1%を越えていない場合には、水素が漏洩していないものと判断し、フラグをリセット(OFF)する(ステップS108)。
【0059】
一方、第2の漏洩検知方式を実施した際にセットされるフラグがセットされているか否かを判別し(ステップS106)、フラグがセットされている(ON)場合には、水素漏洩検知器12が故障しているものと判断する(ステップS109)。
【0060】
検出した車速が所定の車速以上か否かを判断し(ステップS101)、所定の車速以上である場合、又は計測した水素供給量が所定値以上か否かを判別し(ステップ103)、水素供給量が所定値以上である場合には、上記フラグをセット(ON)する。次に、ステップS102で計測した水素供給量から燃料電池コントローラ13で理論発電電流値を算出し(ステップS111)、燃料電池1の実発電電流値を発電電流センサ11で求め(ステップS112)、理論発電電流値と実発電電流値の差分を求める(ステップS113)。実発電電流値が理論発電電流値に対して、ここでは例えば90%未満であるか否かを判別し(ステップSS114)、90%未満である場合には、燃料電池1のアノード極の水素が到達する前に水素が漏洩していると判断する(ステップS107)。
【0061】
一方、実発電電流値が理論発電電流値に対して、90%未満であるか否かを判別し(ステップSS114)、90%以上である場合には、ステップS104に進み、上述したようにステップS104〜S109の処理が行われる。上記実施形態は、請求項6に記載された発明に対応した実施形態である。
【0062】
この第6の実施形態においては、特別な診断ツールを用意することなく、水素漏洩検知器12の故障診断が可能となる。また、検知システムが稼働中に常時故障診断が実施できるので、信頼性の高い水素漏洩検知器を提供できる。上記効果は、請求項6に記載された技術内容によって達成される効果に相当する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る燃料電池車の水素漏洩検知システムを含む燃料電池システムの構成を示す図である。
【図2】燃料電池システムを搭載した燃料電池車の概略構成を示す図である。
【図3】本発明の第1の実施形態に係る処理動作を示すフローチャートである。
【図4】水素漏洩検知器の出力特性を示す図である。
【図5】燃料電池の発電電流量の特性を示す図である。
【図6】本発明の第2の実施形態に係る処理動作を示すフローチャートである。
【図7】本発明の第3の実施形態に係る処理動作を示すフローチャートである。
【図8】本発明の第4の実施形態に係る処理動作を示すフローチャートである。
【図9】本発明の第5の実施形態に係る処理動作を示すフローチャートである。
【図10】本発明の第6の実施形態に係る処理動作を示すフローチャートである。
【符号の説明】
1 燃料電池
2 駆動モータ
3 高圧水素タンク
4 遮断弁
5 減圧弁
6 水素流量計
7 水素流量調整弁
8 空気コンプレッサ
9 空気流量調整弁
10 アノード排ガス循環ポンプ
11 発電電流センサ
12 水素漏洩検知器
13 燃料電池コントローラ
Claims (6)
- 水素を燃料電池に供給して電気化学反応によって発電を行う燃料電池システムは、燃料電池車の走行によって空気の流れが入り込み、前記燃料電池システムの雰囲気が換気されるように収納されて前記燃料電池車に搭載された燃料電池車の水素漏洩検知システムにおいて、
前記燃料電池車の車速を検出する車速センサと、
空気中の水素濃度を検出して、水素の漏洩を検知する水素漏洩検知器と、
前記燃料電池に供給される水素供給量を計測する計測手段と、
前記燃料電池の実発電電流値を検出する検出手段と、
前記車速センサで検出された車速が所定値未満の場合は、前記水素漏洩検知器を使用して、水素の漏洩を検知する第1の漏洩検知方式を実施し、前記車速センサで検出された車速が所定値以上の場合は、前記計測手段により計測された前記燃料電池への水素供給量にしたがって算出された前記燃料電池の発電電流理論値と、前記検出手段により検出された前記燃料電池の実発電電流量との相関関係に基づいて水素の漏洩を検知する第2の漏洩検知方式を実施する制御手段と
を有することを特徴とする燃料電池車の水素漏洩検知システム。 - 前記第1の漏洩検知方式と前記第2の漏洩検知方式を切り替える車速値に、ヒステリシス特性を持たせた
ことを特徴とする請求項1記載の燃料電池車の水素漏洩検知システム。 - 前記制御手段は、
前記第2の漏洩検知方式により水素の漏洩が検知されている場合には、前記水素漏洩検知器の電源供給を停止する
ことを特徴とする請求項1又は2記載の燃料電池車の水素漏洩検知システム。 - 前記制御手段は、
前記燃料電池への水素供給量が第1の所定値以上の場合には、車速にかかわらず前記第2の漏洩検知方式により水素の漏洩を検知する
ことを特徴とする請求項1又は2記載の燃料電池車の水素漏洩検知システム。 - 前記制御手段は、
車速が所定値未満、かつ前記燃料電池への水素供給量が第1の所定値未満でかつ第2の所定値(第2の所定値<第1の所定値)以上の場合において、前記第1の漏洩検知方式又は前記第2の漏洩方式のいずれか一方の漏洩検知方式で水素の漏洩を検知した場合には、水素が漏洩していると判断する
ことを特徴とする請求項1又は2記載の燃料電池車の水素漏洩検知システム。 - 前記制御手段は、
車速が所定値以上、かつ前記燃料電池への水素供給量が所定値以上であって、前記第2の漏洩検知方式により水素の漏洩が検知されていない場合において、前記第1の漏洩検知方式により水素の漏洩が検知された場合には、前記水素漏洩検知器が故障しているものと判断する故障検出手段
を有することを特徴とする請求項1又は2記載の燃料電池車の水素漏洩検知システム。
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