JP4310020B2 - 画像形成装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、たとえば複写機、プリンタ、FAX等の画像形成装置に関し、特に像担持体上の像を中間転写体に転写し、中間転写体上の像を転写材に転写する画像形成装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
図7に、同一の記録材に複数色のトナー像を順次重畳して形成する画像形成装置の側面図を示す。
【0003】
この画像形成装置本体内には、矢印X方向に走行する無端状の中間転写ベルト81が配設されている。この中間転写ベルト81は、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート、ポリフッ化ビニリデンなどのような誘電体樹脂のフィルムによって形成されている。給紙カセット60から取り出された紙などの記録材6は、レジストローラ13および搬送ベルト8を経て、中間転写ベルト81の2次転写部位に供給される。
【0004】
中間転写ベルト81の上方には、4つの画像形成部Pa、Pb、Pc、Pdが直列上に配置されている。これらの画像形成部Pa、Pb、Pc、Pdは、ほぼ同様の構成をしており、それぞれマゼンタ、シアン、イエロー、ブラックのトナー像を形成する点が異なる。
【0005】
画像形成部Paを例にとって構成を説明する。画像形成部Paは、回転可能に配置されたドラム状の電子写真感光体(感光ドラム)1aを備えている。感光ドラム1aの周囲には、一次帯電器2a、現像器3a、クリーナ5a等のプロセス機器が配置されている。同様な構成なので、他の画像形成部Pb、Pc、Pdには、感光ドラム1b、1c、1dのみを示した。画像形成部Pa、Pb、Pc、Pdの現像器には、それぞれマゼンタトナー、シアントナー、イエロートナー、ブラックトナーが収納されている。
【0006】
感光ドラム1aには、原稿のマゼンタ成分色の画像信号によるレーザー光がポリゴンミラー(図示せず)等を介して投射され、感光ドラム1a上に静電潜像が形成され、これに現像器3aからマゼンタトナーを供給して現像し、静電潜像がマゼンタトナー像として可視化される。このトナー像が感光ドラム1aの回転にともなって、感光ドラム1aと中間転写ベルト81とが当接する1次転写部位に到来すると、転写帯電部材4aに印加した1次転写バイアスによって、感光ドラム1a上のマゼンタトナー像が中間転写ベルト81に転写される(1次転写)。
【0007】
中間転写ベルト81のマゼンタトナー像を担持した部位が画像形成部Pbに移動すると、このときまでに画像形成部Pbにおいて上記と同様な方法で感光ドラム1b上にシアントナー像が形成され、このシアントナー像がマゼンタトナー像上から中間転写ベルト81に転写される。
【0008】
同様に、中間転写ベルト81が移動するにつれて、画像形成部Pc、Pdのそれぞれの1次転写部位においてイエロートナー像、ブラックトナー像が、前記のマゼンタトナー像、シアントナー像上に重ね合わせて転写され、このときまでに給紙カセット60からの記録材6がレジストローラ13を経て2次転写部位に達し、2次転写部材40に印加した2次転写バイアスによって、中間転写ベルト81上の4色のトナー像が記録材6上に一括して転写される(2次転写)。
【0009】
中間転写ベルト81は、この2次転写工程終了後、除電器12によって表面が除電され、ついで表面に残留した2次転写残りトナーをクリーニング部材16により除去される。
【0010】
4色のトナー像が転写された記録材6は、分離部10により中間転写ベルト81から分離された後、搬送ベルト8により定着器11に搬送される。定着器11では、1対のローラにより記録材6に熱と圧力を加えて、トナー像を記録材6に定着する。定着器11は、記録材とローラとの離型性を高めるために、一方の定着ローラの表面に離型剤オイル(シリコーンオイル等)をコートする機構を有しており、記録材にもこのオイルが付着する。
【0011】
トナー像が定着された記録材6は、片面画像形成であると、定着器11を出た後、装置の排紙トレイに排出されるが、両面画像形成を行う場合は、定着器11の出口に設けられた反転パス61を通過した後、一旦両面用カセット62に収納され、その後、再度2次転写部位へ送られ、記録材の他方の面(裏面)にトナー像が2次転写され、画像形成が行われる。
【0012】
1次転写が終了した感光ドラム1aは、その表面に残留した転写残りトナーをクリーナ5aによって除去され、つぎの画像形成が可能な状態となる。2次転写が終了した中間転写ベルト81は、2次転写部位の下流位置に配設した除電帯電器12、さらにその下流のベルトクリーナ16によって、表面の電荷および表面に付着したトナー等が除去される。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
上記画像形成装置において、各1次転写部や、2次転写部において、中間転写ベルトに対して繰り返し高電圧を印加し続けると、しだいに中間転写ベルトの表面抵抗率が減少し、画像不良が発生することがあった。これは、各1次転写部において、中間転写ベルトを介して転写ローラ4a〜4dと各感光ドラム1a〜1dとの間で形成される電界によって放電現象が少なからず発生し(各1次転写部での各感光ドラムと中間転写ベルトとが接触する領域の上下流に形成される空隙部において発生するものと考えられる)、中間転写ベルトが劣化したり、放電によって生じた放電生成物が中間転写ベルト表面に付着することによって起こると考えられている。同様に、2次転写部においても上記放電現象が少なからず発生していると考えられている。
【0014】
そこで、上記画像形成装置において、各1次転写帯電器、2次転写帯電器への通電による耐久実験を行ったところ、中間転写ベルトの表面抵抗率は、耐久するにつれて初期状態の約1013Ω/□から約109Ω/□(常温常湿環境において、JIS−K6911用電極で印加電圧1kVで測定)にまで低下してしまった。また、この表面抵抗率の低下にともない体積抵抗率も約1012Ωcmから約1010Ωcm(常温常湿環境において、JIS−K6911用電極で印加電圧10kVで測定)にまで低下してしまった。さらに、この現象は、中間転写ベルトの長手方向(回転方向と直交する方向)で必ずしも均一に発生していない。
【0015】
したがって、このように中間転写ベルトの表面抵抗率が低下すると、各1次転写部において、感光ドラムから中間転写ベルトに転写されるトナー像に部分的な抜けが発生したり、中間転写ベルトに転写されたトナー像が感光ドラムに再転写したりすることにより画像不良が発生することがあった。また、2次転写部において、中間転写ベルトから記録材に転写されるトナー像に部分的な抜け等により画像不良が発生することがあった。
【0016】
さらに、中間転写ベルトの表面抵抗率が耐久するにつれて低下すると、中間転写ベルトは、トナー像を静電的に良好に保持できなくなり、画像が乱れてしまう「画像流れ」と呼ばれる現象が発生することがあった。
【0017】
また、記録材6の表面と裏面に対する両面画像形成を行う場合、以下のような問題が発生することがあった。
【0018】
記録材6の表面側への画像形成における定着で、記録材中に染み込まない離型剤オイルが記録材の表面側に残留することがある。この状態で、記録材の裏面への画像形成を行うと、記録材の表面は搬送ベルト8の表面に接触するので、2次転写時、搬送ベルト8の中間転写ベルト81への当接により、離型剤オイルが中間転写ベルトの表面に転移してしまう。
【0019】
この中間転写ベルト81上に転移した離型剤オイルは、画像形成中に記録材6が存在しないところや、あるいは他の動作で感光ドラム1(1a〜1d)と中間転写ベルト81とが接触することにより、感光ドラムに転移することが起こる。感光ドラムにまで離型剤オイルが転移してしまうと、感光ドラムの帯電不良による画像不良やクリーニング不良、さらに現像不良を引き起こす原因となる。
【0020】
たとえばラージサイズの紙の両面に画像形成を行った後で、スモールサイズの紙に画像形成を行うと、中間転写ベルトの記録材と接触しなかった部分で、離型剤オイルを含んだ中間転写ベルトと感光ドラムが近接あるいは接触する。これにより感光ドラム上に離型剤オイルが転移すると、つぎにラージサイズの画像形成をする際に、この離型剤オイルが転移した感光ドラム上に形成されるトナー像の品位が低下してしまうことがあった。
【0021】
本発明の目的は、中間転写体に付着したオイルが像担持体に転移することにより発生する画像不良を防止することができる画像形成装置を提供することである。
【0022】
本発明の他の目的は、以下の詳細な説明を読むことにより明らかになるであろう。
【0023】
【課題を解決するための手段】
上記目的は本発明に係る画像形成装置にて達成される。要約すれば、本発明は、トナー像を担持する像担持体と、静電的に前記像担持体から転写されたトナー像を担持する中間転写体と、前記中間転写体上のトナー像を記録材に転写する転写手段と、前記中間転写体に対して接離可能であって、前記中間転写体に接触して前記中間転写体上にトナー像が転写される領域を研磨する研磨手段と、記録材上に転写されたトナー像を記録材に定着する定着部材と、前記定着部材にオイルを塗布するオイル塗布手段と、を有し、記録材の両面にトナー像の形成が可能である画像形成装置において、
第一面にトナー像が定着された記録材の第二面に中間転写体のトナー像を転写する工程を行う際には、記録材の第一面へのトナー像の形成終了後に前記研磨手段を前記中間転写体に当接させ、前記研磨手段が少なくとも前記中間転写体の全周にわたって前記中間転写体を研磨することにより生ずる研磨紛を前記中間転写体の表面に滞留させた状態で、記録材の第二面への画像形成動作を開始することを特徴とする画像形成装置である。
本発明によれば、前記中間転写体上のトナーを除去するクリーニング部材を有し、前記研磨部材は前記中間転写体の移動方向において前記クリーニング部材よりも下流側であって、前記像担持体よりも上流側に配置されている。
【0024】
また、本発明によれば、前記研磨手段は、前記中間転写体の表面粗さRzが1μm以上15μm未満となるように研磨する。前記研磨手段は、前記中間転写体の表面粗さRzが2μm以上8μm以下となるように研磨する。前記研磨手段は、前記中間転写体の表面粗さRmaxが1μm以上20μm未満となるように研磨する。前記研磨手段は、前記中間転写体の表面粗さRmaxが2μm以上10μm以下となるように研磨する
【0028】
前記像担持体から前記中間転写体に像を転写している間、前記研磨手段は前記中間転写体より離間されている。前記研磨手段と前記中間転写体とが当接する位置において、前記研磨手段の移動方向は前記中間転写体の移動方向と逆向きである。前記研磨手段により前記中間転写体を研磨するとき、前記中間転写体の周速は、画像形成時の周速よりも速くされる。
【0030】
前記像担持体から前記中間転写体に複数色の像が順次重ねて転写され、前記中間転写体上の複数色の像は記録材に転写される。前記像担持体は複数色の像をそれぞれ担持するために複数設けられ、前記各像担持体から前記中間転写体に像が順次重ねて静電的に転写され、前記中間転写体上の複数色の像は記録材に静電的に転写される
【0033】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る実施例を図面に則して更に詳しく説明する。
【0034】
実施例1
図1は、本発明の画像形成装置の一実施例を示す概略構成図である。
【0035】
本発明に係る画像形成装置では、中間転写体である中間転写ベルト81に対し、トナー像の記録材への2次転写部位の下流側の位置に、中間転写ベルト81に対して接離可能な研磨手段(研磨ローラ)20が設置されている。本発明に係る画像形成装置のその他の構成は、図7の画像形成装置とほぼ同様であり、同じ機能を有する部材には同じ符号を付して説明を省略する。
【0036】
画像形成プロセスの概略を説明すると、感光ドラム1a〜1dに形成された各色(イエロー、マゼンタ、シアン、ブラック)のトナー像は、接触転写部材(転写ローラ)4a〜4dにより中間転写ベルト81に順次重ねて静電的に転写される。そして、所定のタイミングで2次転写部に搬送される紙等の記録材6上に、中間転写ベルト81からフルカラートナー像が2次転写部材(転写ローラ)40により一括して静電的に転写される。このようなフルカラー画像形成モードの他に、たとえば、ブラックトナー像のみを形成するモノカラー画像形成モード(白黒モード)に選択切換え可能な構成になっている。
【0037】
本実施例では、耐久するにつれて中間転写ベルト81の表面(像担持体地面)の表面抵抗率が低下することによる上記画像不良を防止するために、所定のタイミング(たとえば100枚の記録材に画像形成するごとに行う)で、研磨ローラにより中間転写ベルト81の全周にわたって研磨を行う。これにより、中間転写ベルト81の表面に形成されてしまった上記放電生成物を取り除くことができ、中間転写ベルト81の表面抵抗率の低下を防止できる。中間転写ベルト81の表面抵抗率は、1011Ω/□〜1015Ω/□が好ましく、上記「画像流れ」を完全に防止するためには、1012Ω/□〜1014Ω/□がより好ましい。
【0038】
表面抵抗は、常温常湿環境において、JIS−K6911用電極を用い、印加電圧は1kVで測定した。
【0039】
研磨ローラによる研磨のタイミングを判断するため、本実施例では、記録材への像形成モードの他に、中間転写ベルト81の耐久状態を検知する検知モードを有している。
【0040】
具体的には、2次転写部に記録材がない状態において、2次転写ローラ40に所定の電圧を印加し、このときに2次転写ローラ40に流れる電流を検知することにより、中間転写ベルト81の耐久状態を判断するというものである。なお、このとき、対向電極となる記録材搬送ベルト8は中間転写ベルト81に当接され、電気的に接地されている。
【0041】
検知された電流が予め記憶手段としてのROMに記憶された値に対して大きいかどうかについて、制御手段としてのCPUにより判断し、大きい場合は、研磨ローラにより中間転写ベルト81を研磨するように制御信号を送る。
【0042】
このようにして、本実施例では、適正な時期に中間転写ベルト81を研磨することで、不必要に中間転写ベルト81の寿命を低下させてしまうのを防止している。
【0043】
以上では、電流を検知する方法を採用していたが、これに限られず、所定の電流を2次転写ローラ40に印加し、そのときに発生する電圧を検知してもよい。
【0044】
また、2次転写部ではなく、上記検知工程を1次転写部のいずれかで行ってもよい。たとえば、非画像形成時に、1次転写ローラ4に所定の電圧を印加し、流れる電流を検知するというものである。当然ながら、1次転写ローラ4に所定の電流を印加し、発生する電圧を検知してもよい。なお、検知時、1次転写ローラ4は中間転写ベルト81に当接され、対向する感光ドラムも中間転写ベルト81に接触した状態となっている。
【0045】
また、急激な中間転写ベルト81の抵抗の低下が発生した場合(上記検知された電流値または電圧値が上記しきい値に対して、大幅に好ましくない方向の値になっている場合など)、検知モードの時間短縮のために研磨ローラによる研磨能力をCPUにより制御すると、なお好ましい。たとえば、研磨ローラとバックアップブラシとの間の圧力を変更したり、研磨ローラの周速を変更したり、研磨ローラの回転方向を変更したりすることで達成される。
【0046】
また、本実施例では、上記したように、中間転写ベルト81の表面を研磨することにより、各感光ドラム1a〜1d表面と中間転写ベルト81との接触面積を減少させて、最終的に感光ドラム1a〜1dへの離型剤オイルの転移を防止しているが、感光ドラムの表面を研磨することによっても、離型剤オイルの転移を防止することができる。しかし、本発明の画像形成装置や図7の従来の画像形成装置では、感光ドラム1a〜1dの表面を研磨して全域をスラスト方向に均一に帯電し、そこにレーザー光等を照射することによって静電潜像を形成するので、レーザー光あるいはLED光の散乱等を考慮しなければならず、感光ドラムの表面を研磨して粗すことができなかった。そこで、本発明では、中間転写ベルト81の表面を研磨するようにした。
【0047】
以下、両面画像形成のプロセス(両面モード)について説明する。
【0048】
本実施例では、坪量105g/m2以下の記録材の場合、普通紙として取り扱っており、図1の画像形成装置のカセット60から給紙可能で、自動で記録材の両面画像形成が可能としてある。すなわち、ユーザーが操作部において「自動両面」の選択を行うと、表面側の画像形成を終了した記録材は、離型剤オイルが表面に塗布された定着器11(ローラ対)により定着され、反転パス61を通過して、両面画像形成用のカセット62に一旦収納される。その後、原稿台上に置かれた原稿を記録材の裏面側に形成したい画像に切り替え、再び画像形成のスタートボタンを押すと、記録材の裏面側への画像形成が開始される。画像形成装置には手差しトレイ65が用意されており、この手差しトレイから給紙する場合は、ユーザーが操作画面上の「両面」ボタンを押すことにより、画像形成条件等が上記両面モードと同様となる。
【0049】
自動で両面画像をとる場合、記録材の表面側の画像形成を終了し、両面画像形成用のカセット62に記録材が一度収納され、さらに原稿を記録材の裏面用の画像に切り替え、画像形成のスタートボタンにより画像形成を開始し、記録材の裏面の画像形成も終了する。
【0050】
本実施例の特徴は、その後に、中間転写ベルト81の表面を研磨することにある。本実施例では、研磨手段20はローラ状とされており、この研磨ローラ20には、中間転写ベルト81を挟んでその対向位置の裏面側に研磨補助のためのバックアップブラシ28が当接設置されている。研磨ローラとバックアップブラシの中間転写ベルト81への当接タイミングはほぼ同じとなっている。
【0051】
中間転写ベルト81の表面に研磨ローラ20を所定のタイミングで当接させて、中間転写ベルトの表面を研磨すると、中間転写ベルト表面上に離型剤オイルが付着しているものの、中間転写ベルト表面に凹凸が形成される。この中間転写ベルト81表面の凹凸と、中間転写ベルト表面に付着した研磨による削れ粉とが、中間転写ベルト81と感光ドラム1(1a〜1d)との間、中間転写ベルト81と記録材搬送ベルト8との間でスぺーサ(オイル転移防止層)として働き、中間転写ベルトと感光ドラム、中間転写ベルトと記録材搬送ベルトが近接ないし接触した際の接触面積が減り、最終的に感光ドラム1へのオイル転移を防止もしくは軽減することができる。
【0052】
また、離型剤オイルが中間転写ベルトや記録材搬送ベルトに一旦付着しても、その後の表面(1面目)の画像形成時に、記録材に擦りとられて除去される。たとえば、50枚の記録材に連続して両面画像形成を行う場合、裏面(2面目)の画像形成時に、次第に中間転写ベルト表面あるいは記録材搬送ベルト表面に付着するオイル量が上昇するが、その後に片面(1面目)のみの画像形成を行えば、次第にオイル量は減り、感光ドラムへのオイル転着まで至らなくても済む。したがって、記録材の2面目への画像形成を連続して何枚行うのかによって、中間転写ベルト表面の粗し方が左右されることになる。
【0053】
そこで、本実施例では、中間転写ベルト81として、ポリカーボネート(PC)製を採用し、研磨ローラ20として、図2に示すように、アルミニウムの芯金22に研磨剤として600番の砥粒を分散させたシート(インペリアルラッピングフィルム#600;3M製)24を螺旋状に巻き付けたものを採用した。これにより、砥粒が分散されたシートが芯金より剥がれてしまうのを防止できる。中間転写ベルトの材質および研磨部材は他のものでも構わない。
【0054】
砥粒としては、研磨能力から判断して、200番から1000番程度が好ましく、ベルトの耐久性などを考慮すると、400番〜800番程度の砥粒を採用することが好ましい。
【0055】
記録材の表面側への画像形成終了後、記録材の表面に残留している単位面積当たりの離型剤オイルの量をM(d)(mg/cm2)とする。ここで、dは記録材上にトナー像を形成している単位面積あたりのトナーののり量d(mg/cm2)である。
【0056】
図3に示すように、記録材の表面に残留する離型剤オイル量Mは、記録材上のトナーのり量dに依存していることがわかる。これは、記録材上のトナー量が多い場合(本実施例では最大2.0mg/cm2)、本来、トナー像を定着終了後の記録材の内部に浸透し、記録材表面には残留しないはずの離型剤オイルが、厚い溶融トナー層に遮断されてしまうため、記録材表面に残留してしまうのである。
【0057】
つぎに、記録材裏面への画像形成をする際、離型剤オイルが中間転写ベルトに付着する転移率ηは、中間転写ベルトの表面の十点平均粗さRz(JISB0601)をrとすると、η=η(r)で表され、図4に示されるように、中間転写ベルトへのオイル転移率ηは、中間転写ベルトの表面粗さRzと反比例の関係にある。
【0058】
以上のパラメータから、記録材からの記録材搬送ベルト8への離型剤オイルの転移率をη1とすると、両面画像形成をx枚行った後、記録材搬送ベルト8上の単位面積当たりの離型剤オイル量Mt(mg/cm2)は、
Mt=x・η1・M(d)
で表される。このMtがある閾値Mc1を超えると、中間転写ベルト81へのオイル転着が発生する。ただし、M(d)は記録材の種類によっても異なるし、η1(r)は記録材の種類等によっても変わる。同様に、Mc1も中間転写ベルトの表面粗さに依存している。
【0059】
つぎに記録材搬送ベルトから中間転写ベルトにオイルが転着する転移率η2(r)は中間転写ベルトの表面粗さに起因し、このとき、中間転写ベルトに転移するオイル量Mt1は、
Mt1=x・η1・η2(r)・M(d)
となり、さらに感光ドラムに転移するオイル量は、転移率をη3(r)とし、オイル転着画像が発生するために必要なオイル量Mc1と定義すると、以下の式を満足しなければならないことになる。
【0060】
Mc1>Mt1・η3(r)=x・η1・η2(r)・η3(r)・M(d)
η2(r)とη3(r)はほぼ中間転写ベルトの表面粗さRzに依存しており、図4に示した。この式から明らかなことは、オイル転着条件は、記録材の種類と最大トナーのり量を固定すれば、連続裏面画像形成枚数と中間転写ベルトの表面粗さRzに依存していることである。
【0061】
図5に、記録材として坪量80g/m2の弊社のカラー機用推奨紙CLC80g紙(日本製紙社製)を選び、単位面積あたりの最大のり量を2.0mg/cm2にしたときの、中間転写ベルトのRzに対するオイル転着画像発生枚数(連続裏面画像形成時)の関係を示した。従来の記録材にトナー像を直接多重転写する画像形成装置と比較して、感光ドラムと直接接触するベルト体上に、離型剤オイルが付着する量は少ない(なぜならば、裏面画像形成時に、定着器の下ローラにあるオイルが記録材裏面側に付着し、それが中間転写ベルトに付着する場合である)。また、画像上の離型剤オイルも一度記録材搬送ベルトに転移してから、中間転写ベルトに転移するので、表面画像上のオイルが中間転写ベルト上に転移する量についても、記録材上にトナー像を直接多重転写する画像形成装置より少ない。また、従来の記録材にトナー像を直接多重転写する画像形成装置は、画像形成する上で、紙を介してトナー像を転写するのに対して、本実施例のように中間転写ベルト上に直接トナー像を転写する場合は、ベルトの表面性が直接画像に現れてしまう危険性がある。
【0062】
以上のことから、ある程度粗面化することは必要であるが、粗面化を過度にすることはできない。ある程度均一に粗す必要があるのである。そこで、Rzだけでなく、表面の最大高さRmax(JISB0601)の上限も大きく意味をなす。
【0063】
表面粗さが小さい場合には、転移率ηは大きくなるため(図4)、上式より、連続両面画像形成枚数xを短くしなければならず、(研磨工程間隔枚数を短くしなければならない)両面画像形成の生産性を著しく低下させる。そこで、本実施例においては、中間転写ベルト81の表面粗さRz波、1μm以上に保つことによって、感光ドラムへのオイル転着は防止できるが、連続両面画像形成枚数は10枚以下に設定せざるを得ない(図5)。したがって、より好ましくは2μm以上がよい(本実施例では、両面量カセット62には50枚の容量がある)。
【0064】
また本実施例では、中間転写ベルト81のRzは最大で約10μmとしたが、この表面粗さRzに起因する転写(1次転写、2次転写を含む)異常画像は軽微であり、Rz8μm以下では、全く転写異常画像は発生しなかった。しかしながら、Rzが約15μmまでの状態を強制的に作り、転写工程を行ったところ、異常放電画像が画像に目につくようになった。したがって、中間転写ベルト81の表面粗さRzは15μm未満が好ましく、より好ましくは8μm以下がよい。
【0065】
また局所的に中間転写ベルト81の表面が粗れていると、画像に出ることがある。たとえばRmaxが10μm以下では全く転写異常画像は発生しないが、15μm以下では軽微な転写異常画像が確認され、20μmでは転写時の異常放電画像が目立つようになる。したがって、Rmaxとしては20μm未満が好ましく、より好ましくは10μm以下がよい。
【0066】
上式からわかるように、感光ドラムへの離型剤オイル転着は、両面画像形成の枚数や、記録材上のトナーのり量、中間転写ベルトの表面粗さに依存するので、本実施例では、両面画像形成した枚数(コピー枚数)や記録材上のトナーのり量によって、中間転写ベルト81の研磨時間を変えている。
【0067】
両面画像形成枚数、つまり両面画像のコピー枚数は、ユーザーが予め操作部において入力したデータより認識でき、記録材上の単位面積あたりのトナーのり量は、潜像形成時のビデオカウンターや感光ドラム上の濃度検知手段、あるいは記録材上のトナー濃度検知手段等によりわかる。故に、コピー枚数やトナーのり量に対応した研磨時間を予め設定しておくことにより、最小限の研磨時間に留めることができる。
【0068】
また、所定数の記録材に両面画像を形成するごとに、画像形成動作に入る前に研磨ローラにより研磨を行ってもよい。このように本実施例では、画像形成動作に入る前に研磨工程を行うので、研磨ローラによって中間転写ベルト81の回転に負荷がかかることによる画像不良、すなわち色ズレを防止している。
【0069】
また、最小限の研磨時間に留めることによって、両面コピーの生産性を高めるばかりでなく、中間転写ベルトの長寿命化にも効果がある。たとえば、中間転写ベルトをあまり研磨しすぎると、中間転写ベルトが割れやすくなるからでる。
【0070】
また、本実施例では、中間転写ベルトから感光ドラムへ転移したオイルによりトナーかぶりなどの画像不良が軽微に発生したとしても、1色目に形成されるトナー像を最も視感度の低い色であるイエロートナー像としているので、結果として画像不良を目立ち難くなる構成となっている。
【0071】
なお、本実施例では、研磨ローラにより削られた削り粉が中間転写ベルトと記録材搬送ベルトとの間においてオイル転着防止のためのスペーサとしての機能が十分に働くように、研磨ローラをクリーナ16の下流側に配置している。
【0072】
実施例2
本実施例では、記録材の表面側に画像形成した直後に、中間転写ベルト81の研磨を実施する。たとえば、ユーザーが記録材の両面画像形成を画像形成装置に指示した場合、記録材の表面側の画像形成が終了したら、中間転写ベルト81に研磨ローラ20を当接させて、中間転写ベルト81自身の回動により中間転写ベルトの研磨工程に入る。そして中間転写ベルトを所定時間研磨したら、記録材の裏面側への画像形成に入る。
【0073】
このように、中間転写ベルト81を研磨して、中間転写ベルト表面に微小な凹凸を形成し、またその削れ粉が中間転写ベルトと記録材との間にスぺーサーを形成することにより、定着時に記録材の表面に含浸された離型剤オイルが、記録材の裏面側への画像形成における2次転写時に、中間転写ベルトの表面に付着するのを防止して、最終的に感光ドラム1への離型剤オイルの転着を防止もしくは軽減する。
【0074】
本実施例では、実施例1と中間転写ベルトの研磨の時期が異なるが、同様に、離型剤オイルの記録材からの中間転写ベルトへの転移を防止することにより、より上流側での感光ドラムへのオイル転着を予防することができる。
【0075】
実施例3
本実施例は、中間転写ベルト上のトナー像を記録材に2次転写すると同時に、熱および圧力によって定着させる画像形成装置について適用した。本画像形成装置の基本構成は、中間転写ベルトからのトナー像の2次転写と同時に定着を行う機能が付加されている点を除き、図1に示した実施例1の画像形成装置と同じである。以下の説明において、必要に応じ図1を援用する。
【0076】
2次転写工程で同時に定着を行う場合は、両面画像形成等に関係なく、離型剤オイルが直接中間転写ベルト81に付着するので、感光ドラム1(1a〜1d)へのオイル転着を防ぐには、これまでと同様に、研磨ローラ20により中間転写ベルト81の表面を研磨して粗すことにより、中間転写ベルトへのオイル付着を防ぐ必要がある。
【0077】
本実施例によれば、実施例1と同様な、離型剤オイルの中間転写ベルト81への付着防止、さらには感光ドラム1(1a〜1d)への付着防止効果の他に、中間転写ベルトに付着した定着オフセットトナーを削り取る効果も奏する。
【0078】
このように、中間転写ベルト表面を研磨手段で粗しておくことにより、本実施例のような2次転写同時定着系の画像形成装置にも有効であることがわかる。
【0079】
実施例4
本実施例は、図1の画像形成装置において、研磨ローラ20の中間転写ベルト81への加圧力、すなわち研磨能力を、両面コピー枚数や記録材上のトナーのり量にともなって変更可能とした点が特徴である。
【0080】
この加圧力の変更手段は、研磨ローラ20の中間転写ベルト81への侵入量を変えることにより、加圧力変更を達成するものでも、中間転写ベルト81の裏面側に研磨ローラと対向配置しているバックアップブラシ28の、中間転写ベルトへの侵入量を変更することにより、加圧力変更を実現するものでもよい。
【0081】
以上の実施例では、いずれも、中間転写ベルトの研磨手段は研磨ローラとしたが、本発明は、中間転写ベルトの表面を研磨できるものならばこれに限られない。たとえば研磨ブラシや研磨ブレード等でもよい。
【0082】
実施例5
研磨工程終了後の中間転写ベルトの研磨目をベルトの進行方向に対して順目なるように研磨することによって、画像流れの防止および感光ドラムへの離型剤オイル転着防止と感光ドラム長寿命化(キズ発生防止等)に効果がある(図6)。本実施例では、研磨ローラの回転方向を中間転写ベルトの回転方向に対して順方向に回転させ、かつ中間転写ベルトの周速よりも速い周速で回転させることにより達成している。
【0083】
実施例6
本実施例では、研磨工程中に中間転写ベルトを通常の画像形成時より速い速度で回転させることによって、研磨時間の短縮を図っている。特にベルト研磨材に対して、複数周回の研磨を要する場合は、待ち時間が長くなってしまうので、それを防止するには、本実施例は有効な手段である。
【0084】
以上の実施例では、いずれも、中間転写ベルトの研磨手段は研磨ローラとしたが、本発明は、中間転写ベルトの表面を研磨できるものならばこれに限られない。たとえば研磨ブラシや研磨ブレード等でもよい。
【0085】
以上の実施例では、4つの画像形成部Pa〜Pdから中間転写ベルト81に各色のトナー像を順次重ねて転写し、その後、中間転写ベルト81から記録材に一括して転写する画像形成装置について説明したが、これに限られない。たとえば、1つの感光ドラム上に形成される各色のトナー像を中間転写ベルト上に順次重ね合わせて転写し、その後、中間転写ベルトから記録材に一括して転写する画像形成装置にも本発明は適用することができる。なお、この場合、研磨ローラは中間転写ベルト上のトナー像と対面する間は少なくとも中間転写ベルトより離間しているのが望ましい。
【0086】
また、中間転写体を用いた単色の画像形成装置であっても本発明適用できる。
【0087】
さらに、以上の実施例では、2次転写部で記録材を搬送する手段としてベルト状であるものについて説明したが、これに限られず、ローラ形状のものでもよい。
【0088】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、研磨手段を設置して中間転写体の表面を研磨して、中間転写体の表面に微小凹凸を形成し、その削り粉を表面に介在させ、これによりスペーサのような効果を発揮させるようにしたので、記録材からの離型剤オイルが中間転写体を経由して像担持体へ転移するのを防止し、最小限に留めることができ、記録材の片面画像形成の場合はもとより、両面画像形成を行う場合にも、離型剤オイルの像担持体への転移による画像不良等をなくすことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の画像形成装置の一実施例を示す概略構成図である。
【図2】図1の画像形成装置で採用した中間転写ベルトの研磨ローラを示す斜視図である。
【図3】記録材表面の単位面積あたりのトナーのり量と記録材表面の単位面積あたりの残留した離型剤オイル量との関係を示すグラフである。
【図4】ベルトの表面粗さとベルトへのオイル転移率との関係を示すグラフである。
【図5】中間転写ベルトの表面粗さRzと連続裏面画像形成枚数(オイル転着画像発生枚数)の関係を示すグラフである。
【図6】本発明の実施例5を説明する概略図である。
【図7】従来の画像形成装置を示す概略図である。
【符号の説明】
1(1a〜1d) 感光ドラム
4a 一次転写ローラ
8 記録材搬送ベルト
11 定着器
20 研磨ローラ
28 バックアップブラシ
40 2次転写ローラ
60 カセット
81 中間転写ベルト

Claims (11)

  1. トナー像を担持する像担持体と、静電的に前記像担持体から転写されたトナー像を担持する中間転写体と、前記中間転写体上のトナー像を記録材に転写する転写手段と、前記中間転写体に対して接離可能であって、前記中間転写体に接触して前記中間転写体上にトナー像が転写される領域を研磨する研磨手段と、記録材上に転写されたトナー像を記録材に定着する定着部材と、前記定着部材にオイルを塗布するオイル塗布手段と、を有し、記録材の両面にトナー像の形成が可能である画像形成装置において、
    第一面にトナー像が定着された記録材の第二面に中間転写体のトナー像を転写する工程を行う際には、記録材の第一面へのトナー像の形成終了後に前記研磨手段を前記中間転写体に当接させ、前記研磨手段が少なくとも前記中間転写体の全周にわたって前記中間転写体を研磨することにより生ずる研磨紛を前記中間転写体の表面に滞留させた状態で、記録材の第二面への画像形成動作を開始することを特徴とする画像形成装置。
  2. 前記中間転写体上のトナーを除去するクリーニング部材を有し、前記研磨部材は前記中間転写体の移動方向において前記クリーニング部材よりも下流側であって、前記像担持体よりも上流側に配置されていることを特徴とする請求項1の画像形成装置。
  3. 前記研磨手段は、前記中間転写体の表面粗さRzが1μm以上15μm未満となるように研磨する請求項1または請求項2のいずれかに記載の画像形成装置。
  4. 前記研磨手段は、前記中間転写体の表面粗さRzが2μm以上8μm以下となるように研磨する請求項の画像形成装置。
  5. 前記研磨手段は、前記中間転写体の表面粗さRmaxが1μm以上20μm未満となるように研磨する請求項1から請求項4のいずれかに記載の画像形成装置。
  6. 前記研磨手段は、前記中間転写体の表面粗さRmaxが2μm以上10μm以下となるように研磨する請求項の画像形成装置。
  7. 前記像担持体から前記中間転写体に像を転写している間、前記研磨手段は前記中間転写体より離間されている請求項1から請求項6のいずれかに記載の画像形成装置。
  8. 前記研磨手段と前記中間転写体とが当接する位置において、前記研磨手段の移動方向は前記中間転写体の移動方向と逆向きである請求項1から請求項7のいずれかに記載の画像形成装置。
  9. 前記研磨手段により前記中間転写体を研磨するとき、前記中間転写体の周速は、画像形成時の周速よりも速くされる請求項1から請求項8のいずれかに記載の画像形成装置。
  10. 前記像担持体から前記中間転写体に複数色の像が順次重ねて転写され、前記中間転写体上の複数色の像は記録材に転写される請求項1から請求項9のいずれかに記載の画像形成装置。
  11. 前記像担持体は複数色の像をそれぞれ担持するために複数設けられ、前記各像担持体から前記中間転写体に像が順次重ねて静電的に転写され、前記中間転写体上の複数色の像は記録材に静電的に転写される請求項1から請求項8のいずれかに記載の画像形成装置。
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