JP4309835B2 - コンクリート貯槽、およびその構築方法 - Google Patents

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本発明は、コンクリートからなる貯槽およびその構築方法に関し、特に、複数のプレキャストコンクリートセグメントを組み合わせることによって壁体を構成した貯槽およびその製造方法、さらにはプレキャストコンクリートセグメント自身の構造に関する。
1000m3程度から数万m3の液体または粒状体等の貯留物を収容する大規模な貯槽として、プレストレストコンクリートからなる貯槽が広く用いられている。この種の貯槽としては、例えば、上下水道の貯水槽、下水処理場における消化槽、穀物や石炭等を収容するサイロ、および低温常圧の液化ガスの貯蔵タンク等が挙げられる。
これらの貯槽は、単に貯留物を収容できるだけでなく、断熱性が高いことも重要な性能の一つとして挙げられる。特に、下水処理場における消化槽は、下水を沈殿等により上澄みと汚泥とに分離し、分離した汚泥から、生物化学的な反応を利用して、有機物をガス化して除去するものであるが、この生物化学的な反応は、温度が高いほど反応速度が速く、効率的である。断熱性が低いと、貯槽内の温度が外気温に左右され易くなり、安定した処理が行えなくなる。そこで、従来の消化槽においては、コンクリートからなる壁体の外面に、断熱材、および仕上げ用の外装材を配して壁体を構成することが通常である。
貯槽は、一般的に、現場打ちコンクリートによって構築される。まず、壁体となる部分の内側および外側に型枠を設置し、その間に、プレストレス用の緊張材を周方向に配置する。そして、内側および外側の型枠間にコンクリートを打設し、コンクリートの硬化後、緊張材によりプレストレスを導入することで、壁体を施工する。その後、完成した壁体の外面に、断熱材および外装材を施工する。断熱材の施工は、例えばウレタンフォームの吹き付けによって行う。また、外装材としては、プレキャスト板や板金等が用いられる。一方、壁体の内面に対してはエポキシ樹脂による防水処理を施し、その後、槽内部の機械設備や配管等の工事を行う。
上記の方法では、断熱材等の施工は壁体の完成後でないと行うことができないため、このことが、作業の省力化および工期の短縮の障害となっていた。そこで、特許文献1には、壁体となるコンクリートを打設するのに用いる内外の型枠のうち、内側の型枠を、プラスチック発泡体をガラス繊維で強化した複合材からなる部材とすることが開示されている。これによれば、複合材からなる部材を断熱材として利用できるので、内側の型枠の撤去が不要となり、その分、作業の省力化および工期の短縮が図られる。
特開平8−246538号公報
しかしながら、特許文献1に開示されたものは、内側の型枠を断熱材として利用しているものの、壁体が現場打ちコンクリートによって施工されることには変わりなく、外側の型枠は撤去する必要がある。また、コンクリートを現場打ちする限り、コンクリートの打設や養生等の作業工数や工期は何ら変わらない。さらに、緊張材によるプレストレスの導入についても、前述したように多くの作業工程が必要であるため、作業の省力化や工期の短縮化が難しい。
本発明は、このような従来の問題点に鑑みてなされたものであり、断熱性を有する貯槽を、より少ない作業工数で、かつより短期間で構築できるようにすることを目的とする。
上記目的を達成するため本発明のセグメントは、コンクリート貯槽の貯留物収容部を形成する壁体を複数の部分に分割したプレキャストコンクリート製のセグメントであって、
コンクリート本体と、コンクリート本体の内部に埋め込まれた断熱材とを有する。
本発明のコンクリート貯槽は、内部に貯留物を収容する貯留物収容部を形成する壁体を有するコンクリート貯槽において、
壁体は複数のセグメントに分割されており、セグメントは、プレキャストコンクリート製のセグメントであって、コンクリート本体と、その内部に埋め込まれた断熱材とを有することを特徴とする。
本発明のコンクリート貯槽の製造方法は、内部に貯留物を収容する貯留物収容部を形成する壁体を有するコンクリート貯槽の構築方法において、
壁体を分割した複数の部分にそれぞれ対応するプレキャストコンクリート製の複数のセグメントであって、コンクリート本体と、その内部に埋め込まれた断熱材とを有する複数のセグメントを用意する工程と、地盤上に基礎部を施工する工程と、基礎部の上にセグメントを順次配置し、配置したセグメント同士を接合することによって、壁体を形成する工程とを有する。
上記のように本発明では、貯留物収容部を形成する壁体が複数のセグメントに分割されており、各セグメントにそれぞれ断熱材が埋め込まれている。したがって、コンクリート貯槽の構築の過程で壁体の完成後に壁体に対して断熱処理を施すことが不要となる。しかも各セグメントはプレキャストコンクリート製であるので、現場でコンクリートを打設するための型枠の組み立てやコンクリートの養生などは不要であり、セグメントを据え付け、接合することによって、壁体が施工される。
セグメントには、壁体の外面となる面から突出したリブを設けるとともに、このリブに、リブを幅方向に貫通する貫通孔を設けるのが好ましい。貫通孔に緊張材を挿通し、その緊張材に引張力を導入することによって、壁体に圧縮力を作用させることができる。また、リブはセグメントの強度を向上させる。
本発明によれば、壁体を複数のセグメントに分割し、セグメント自体に断熱材を埋め込んだ構造としたことにより、断熱性を有する壁体の施工工程が簡略化され、結果的に、より少ない作業工数で、かつより短期間でコンクリート貯槽を構築することができる。さらに、セグメントのコンクリート本体にリブを設けるとともに、このリブに貫通孔を設けることによって、貫通孔に緊張材を挿通して極めて簡単に壁体にプレストレスを付与することができる。
次に、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
図1は、本発明の一実施形態による貯槽の斜視図である。図2は、図1に示す貯槽の平面図および断面図である。
本実施形態の貯槽1は、下水処理場における消化槽として構成されるものであり、整地された地盤に設けられた基礎部2上に構築された、この貯槽1が貯留する貯留物を収容する貯留物収容部を形成する壁体3と、壁体3を支持する支持材4とを有する。壁体3は、複数の上部セグメント11と複数の下部セグメント12とに分割されており、これらを組み合わせ、隣り合うもの同士を互いに接合することによって、頂部が開放された略卵型に形成される。さらにこの貯槽1は、壁体3の内部に設けられた撹拌装置(不図示)と、頂部を塞ぐ天蓋(不図示)とを有する。壁体3の外周には、その周方向に沿い、かつ上下方向に間隔をあけて配された複数の外ケーブル5が、壁体3の外周面と隔離して取り付けられている。これら外ケーブル5によって、壁体3には周方向への緊張力が付与されている。
基礎部2は、中央に配置された1本の杭基礎2aと、杭基礎2aから放射状に延びた複数の下梁セグメント2bとを有する。杭基礎2aは、略円筒状の部分であり、この上に壁体3が構築される。下梁セグメント2bの先端部には支持材4の下端部が接合されている。支持材4は、下梁セグメント2bの先端部から下部セグメント12の上端部に向かって延びた柱状の部材であり、支持材4の上端部が下部セグメント12の上端部と接合されることで、壁体3が倒れないように壁体3の上下方向中間部を支持する。基礎部2は、好ましくは鉄筋コンクリートからなるが、壁体3、貯槽1内に貯留される貯留物、および貯槽1に付属する撹拌装置などの各種設備の重量を支持できるものであれば、材料や構造は問わない。
壁体3は、鉛直な中心軸線PAに関して対称なシェル構造となっており、上記のように、複数の上部セグメント11と複数の下部セグメント12とを有している。上部セグメント11は、プレキャストコンクリート製であり、中心軸線PAを含む複数の平面で壁体3を等分した形状を有し、これら各上部セグメント11が周方向に配列されて壁体3の上半部を構成する。下部セグメント12も上部セグメント11と同様であり、周方向に配列されて壁体3の下半部を構成する。そして、複数の下部セグメント12からなる下半部と複数の上部セグメント11からなる上半部とが組み合わせられて、略卵型の壁体3が構成される。
図3に、一つの上部セグメント11の斜視図を示す。図3に示すように、上部セグメント11は、壁体の上半部を中心軸線PA(図2参照)から所定の中心角で鉛直に分割した形状を有する。上部セグメント11の下部セグメント12(図1参照)との接合側端部には、下部セグメント12との接合のためのフランジ部21が、下部セグメント12との接合端縁に、上部セグメント11の外面(貯槽1を構成した状態で貯槽1の外周面を構成する面)から突出したリブ状に形成されている。上部フランジ11と下部フランジ12との接合は、例えば、ボルト(不図示)等の締結具によって行うことができる。本実施形態では、ボルトで行うものとし、そのためにフランジ部21にはボルト挿通用の貫通孔26が形成されている。
上部セグメント11の外面には、上部セグメント11の長手方向、すなわち貯槽1を構成した状態での上下方向に沿った3本のリブ22,23,24が、上部セグメント11の外面から突出して形成されている。これらのうち2本のリブ22,24は、隣り合う上部セグメント11との接合端縁に形成されている。残りのリブ23は、上部セグメント11の幅方向(周方向)の中央部に形成されている。各リブ22〜24にはそれぞれ、外ケーブル5(図1参照)を挿通するための複数の貫通孔25が、上部セグメント11の長手方向に間隔をあけて形成されている。なお、外ケーブル5の両端が固着される部位においては、貫通孔25は後述する定着具に置き換えられている。定着具の構成等については後述する。
再び図1を参照すると、下部セグメント12も、実質的には上部セグメント11を上下に反転させた形状の部材であり、図3に示した上部セグメント11と同様に、フランジ部21、3本のリブ22〜24、および貫通孔25,26が形成されている。上部セグメント11と下部セグメント12とは、互いのフランジ部21同士を対向させ、これらフランジ部21同士を、貫通孔26に挿通されたボルト(不図示)で締結することによって結合される。
上部セグメント11および下部セグメント12の数は、貯槽1の規模等に応じて任意に設定でき、一つのセグメントの重量や、輸送および組み立て時の取り扱い性等を考慮して分割数が決定される。
次に、上部セグメント11および下部セグメント12の内部構造を説明する。なお、上述したように上部セグメント11および下部セグメント12は実質的に同様の形状を有しており、その内部構造についても共通なので、以下の説明において、上部セグメント11と下部セグメント12とを区別しない場合は、これらを総称して単に「セグメント10」と表記する。
図4に、セグメント10の、幅方向に沿った断面図を示す。図4に示すように、セグメント10は、コンクリート本体28を有し、その内部には、板状の断熱材27が埋め込まれている。断熱材27は、できるだけ大きな面積とすることが好ましく、また、厚さについても断熱材27の性能を効果的に発揮するためにはできるだけ厚いほうが好ましい。しかし、断熱材27はコンクリートと比べて剛性が低く、セグメント10の体積に占める断熱材27の体積の割合が大きすぎると、壁体を構成するのに必要な剛性が確保できなくおそれがあるので、埋め込まれる断熱材27のサイズは、セグメント10に必要な剛性が確保される範囲内で設定される。特に本実施形態では、セグメント10にリブ22〜24が形成されており、これらリブ22〜24が形成された部位には、貯槽1(図1参照)として構成された状態で、外ケーブル5(図1参照)によって貯槽1の内側へ向かう局所的な応力が作用する。そこで本実施形態では、リブ22〜24が形成されていない部位のみに位置するように複数の断熱材27を配置し、リブ22〜24が形成された部位でのセグメント10の剛性の低下を抑制している。これによって、外ケーブル5による局所的な応力がセグメント10に作用しても、セグメント10が損傷することが防止される。
断熱材27としては、樹脂あるいは無機物の発泡体や、ガラスウール主材料とした板状体などを用いることができる。樹脂の発泡体としては、発泡ポリスチレン、発泡ポリエチレン、発泡ポリプロピレン、発泡ポリウレタンなどが挙げられる。無機物の発泡体としては、軽量気泡コンクリート(ALC:Autoclaved Lightweight Concrete)、ガラスやパーライトの発泡体などが挙げられる。これらの中でも、加工性や保温性能に優れ、かつ安価であるため、特に発泡ポリスチレンを好ましく用いることができる。
セグメント10は、いわゆるマッチキャスト工法によって作製することができる。この工法は、既に作製されたセグメント10の端面を新たなセグメント10の型枠の端面とし、この型枠内にコンクリートを打設して硬化させ、脱型するものである。この際、型枠内には予め断熱材27を保持しておく。この工法では、連続して配置されるセグメント10の接合部を高精度に作製することができ、複数のセグメント10を周方向に配置して隣り合うセグメント10を接合したとき、セグメント10間の密着性が極めて良好になる。ただし、セグメント10の作製方法はマッチキャスト工法に限られるものではなく、例えば1つの型枠で複数のセグメント10を同時に作製する方法など、種々の方法を用いることができる。
外ケーブル5は、鋼より線などの高張力の鋼材を用いることができる。外ケーブル5の周面は、合成樹脂などの防食材によって被覆されていることが望ましい。外ケーブル5は、壁体を一周する長さを有しており、図5に示すように、リブ22〜24の貫通孔25に挿通されて周方向に配置され、周方向に隣り合うリブ22〜24の間では、壁体の外周面と隔離している。そして外ケーブル5は、張力が導入された状態で、セグメント10の中央のリブ23内に設けられた定着具31によって両端部が固定され、環状に閉じたものとされている。これにより、壁体に周方向の圧縮力が導入され、壁体に貯槽内の液体や粒状体等による内圧が作用したり、地震による慣性力が作用したりした場合に、周方向に生じる引張応力に抵抗することができる。
定着具31は、例えば鋳造品で構成され、図6に示すように、外ケーブル5が挿通される2つの筒状体31a、31bをX状に交差させて一体化した形状となっている。各筒状体31a、31bは、外ケーブル5を押え付ける楔32と、楔32を保持する雌コーン33とを有する。各筒状体31a、31bにそれぞれ挿通された外ケーブル5は、センターホールジャッキ等により緊張させた状態で、雌コーン33と楔32との作用により各筒状体31a、31bに固定される。定着具31は、周方向における一つのリブ23内に埋め込まれている。また、外ケーブル5を緊張するときにセンターホールジャッキを装着するための切り欠き部35が、リブ23の定着具31が埋め込まれている部分での両側面に形成されている。なお、図6に示す符号34は、合成樹脂からなる鋼より線の被覆である。
また、定着具31は、図7に示すように、定着具31は、上下に隣り合う外ケーブル5a、5bの関係において同一のセグメントではなく周方向にずれた位置A、Bに分散して配置されるのが望ましい。もちろん、2箇所だけでなく3箇所以上に分散して定着具31を配置することもできる。
次に、本実施形態の貯槽1の構築方法について説明する。
まず、図8に示すように、整地した地盤上に杭基礎2aを現場打ちコンクリートによって打設する。その後、杭基礎2aの周囲にプレキャストコンクリートからなる複数の下梁セグメント2bを放射状に設置し、杭基礎2aと各下梁セグメント2bとを現場打ちにて接合する。これによって、基礎部2が完成する。このように、基礎部2は、整地した地盤上に構成されるので、地盤を掘削することなく基礎部2を施工することができる。これによって、基礎部2の施工の工期が短縮される。
次いで、壁体の下半部を、杭基礎2a上に施工する。壁体の下半部の施工は、以下のようにして行う。まず、図9に示すように、下半部の全周を支える支保工41を組み立て、クレーンにて杭基礎2a上に一つの下部セグメント12を設置する。一つの下部セグメント12の設置後、これと隣り合って連続するように次の下部セグメント12を同様にして設置し、位置調整を行う。この際、接合される下部セグメント12の端面にエポキシ樹脂等の接着剤を塗布し、下部セグメント12の内側および外側に予め水平に配置しておいた引き寄せケーブルを用いて下部セグメント12同士を圧接する。このようにして、図10に示すように、全ての下部セグメント12を周方向に順次配列し、それぞれの下部セグメント12同士を接合する。下部セグメント12の両側縁にはそれぞれ図3に示したのと同様にリブ22,24が形成されており、その分だけ、隣り合う下部セグメント12同士の接合面積が大きくなる。したがって、このようなリブ22,24を設けることによって、下部セグメント12の接合強度を向上させることができる。
下部セグメント12の設置と並行して、または全ての下部セグメント12の設置後、各下梁セグメント2bに対応して、下梁セグメント2bの先端部と下部セグメント12の上端部との間に、支持材4も順次設置していく。最後の下部セグメント12の設置後、最初に設置した下部セグメント12との間に型枠を組み立て、この型枠内にコンクリートを打設することによって、最初に設置した下部セグメント12と最後に設置した下部セグメント12との隙間を埋め、壁体の下半部を周方向に連続したものとする。支持材4についても同様にその両端の接合部にコンクリートを打設し、支持材4を固定する。
その後、杭基礎2aと下部セグメント12との間に、モルタルを充填して下部セグメント12を安定した状態とするとともに、一部に止水用の充填材を充填する。
以上のようにして壁体の下半部が完成した後、図11に示すように、複数の外ケーブル5を上下方向に間隔をあけて、下部セグメント12の外周面に沿って全周に配する。外ケーブル5は、下部セグメント12のリブ22〜24(図3参照)に設けられた貫通孔25に順次挿通し、両端部を図6に示した定着具31に固定することによって取り付けられる。
定着具31への外ケーブル5の取り付け手順について図6等を参照して説明する。まず、周方向に配列された各下部セグメント12の貫通孔25に挿通された外ケーブル5の両端部を、それぞれ定着具31の2つの筒状体31a、31bに挿入する。筒状体31a、31bに挿入された外ケーブル5の両端部を、切り欠き部35からそれぞれ引き出しておき、この切り欠き部35の端面にセンターホールジャッキを装着する。そして、外ケーブル5の両端部をセンターホールジャッキによって反対方向に緊張し、楔32によって係止する。これにより、張力が外ケーブル5の端部間で伝達され、周方向にプレストレスが導入される。その後、外ケーブル5の突出部分を切断し、切り欠き部35にコンクリートを打設して端部を埋め込む。
以上のようにして壁体の下半部が完成した後、図12に示すように、回転吊り足場42を組み立て、クレーンにて上部セグメント11を設置する。この際、上部セグメント11と下部セグメント12との接合面にはエポキシ樹脂等の接着剤を塗布しておく。上部セグメント11の設置後、上部セグメント11および下部セグメント12のフランジ部21に設けられた貫通孔26(図3参照)にアンカーボルトを通し、これをナットで締め付ける。これによって上部セグメント11と下部セグメント12とを互いに圧接し、両者を接合する。以下、同様にして、全ての上部セグメント11を周方向に順次配列していく。隣り合う上部セグメント11同士の接合は、下部セグメント12の場合と同様であるので、その説明は省略する。このようにして、図13に示すように、周方向に配列された複数の下部セグメント12および上部セグメント11からなる壁体3が完成する。
その後、上部セグメント11についても、下部セグメント12の場合と同様にして、複数の外ケーブル5を上下方向に間隔をあけて、上部セグメント11の外周面に沿って全周に配し、周方向にプレストレスを導入する。
最後に、壁体3の内面への防水処理、槽内設備である撹拌装置の設置、および天蓋の設置を行うとともに、支保工41および回転吊り足場42を撤去し、図1に示したような貯槽1が完成する。
以上説明したように、本実施形態によれば、上部セグメント11および下部セグメント12は、その内部に断熱材27が埋め込まれているので、壁体3の完成後に断熱材を施工する必要はなくなる。しかも、上部セグメント11および下部セグメント12は、工場や現場ヤードで予め製作しておくことができる。したがって、現場でコンクリートを打設するための型枠を組み立てたり、型枠に充填したコンクリートを養生したりすることなく、現場において複数の上部セグメント11および下部セグメント12を配置し、これらを接合することによって、断熱性を有する壁体3を、より少ない作業工数で、かつより短期間で施工することができる。
一方、外ケーブル5が、壁体3の外側に突出したリブ22〜24を貫通して配置されており、これにより壁体3の周方向にプレストレスが導入されている。したがって、壁体3にプレストレスを導入するためのケーブルの配線作業、グラウドの充填作業が簡略化され、現場での作業量が大幅に減少し、工期および工費のさらなる削減を図ることができる。また、外ケーブル5と壁体3との間の摩擦も極めて小さく、有効にプレストレスが導入できる。
本実施形態では、外ケーブル5は、壁体3の周方向全周にわたる長さを有するものとして説明したが、複数の外ケーブル5および同数の定着具を用いて、壁体3の周方向に閉じた形状としてもよい。このような場合でも、それぞれの外ケーブル5を緊張して定着具に係止すると、隣り合う外ケーブル5の端部間で張力が伝達され、壁体3の周方向にほぼ均一な圧縮力が導入される。本実施形態のように上下に間隔をあけて複数の外ケーブル5を配する場合、外ケーブル5の間隔は一定でもよいが、図1等にも示したように、壁体3の下部に比べて上部で外ケーブル5の間隔を広くすることもできる。このように、上下方向の位置に応じて外ケーブル5の配列ピッチを変更することで、収容する貯留物による応力がより高い部位ではより多くの外ケーブル5を配して十分な圧縮力を与え、貯留物による応力が比較的低い部位では外ケーブル5の数を少なくして使用する外ケーブル5を削減するなど、外ケーブル5を有効に用いることができる。
また本実施形態では、壁体3を上下に2分割した例を示したが、これについても周方向の分割数と同様に、貯槽1の規模等に応じて決定することができ、3つ以上に分割してもよいし、分割しなくてもよい。さらには、壁体3の分割面は、壁体3に必要とされる剛性や、断熱材27を埋め込んだセグメント10の製造等に支障がない範囲で任意に定めることができる。
貯槽1の形状は、図1に示した卵型の形状に限られるものではなく、ドーム型、錘台型、円筒型、亀甲型など、用途に合わせて種々の形状とすることができる。中でも、貯槽1を消化槽として用いる場合は、卵型や亀甲型など、上端部および下端部での水平断面積が中間部での水平断面積より小さい形状とすることにより、底に溜まった汚泥の排出や、水面に浮かぶゴミ等の除去が容易になり好ましい。また、上述した実施形態では、整地した地盤上に基礎部2を施工した例を示したが、一般的な消化槽に見られるように、地面を掘削し、その中に基礎部を施工し、貯槽の一部が地中に埋め込まれた形態の貯槽としてもよい。この場合は、図1に示した下梁セグメント2bや支持材4が不要になり、地上に露出している部分の構造が簡略化される。ただし、このことは地面の掘削という多大な作業負担を伴う。
本発明の一実施形態による貯槽の斜視図である。 図1に示す貯槽の(a)平面図、および(b)断面図である。 図1に示す貯槽の壁体を構成するセグメントの斜視図である。 図3に示す上部セグメントの幅方向に沿った断面図である。 外ケーブルの固定状態を示す、セグメントの断面図である。 図5に示す定着具の(a)拡大断面図、および(b)端面図である。 壁体における定着具の位置を模式的に示す(a)平面図、および(b)側面図である。 図1に示す貯槽の構築手順を説明する図である。 図1に示す貯槽の構築手順を説明する図である。 図1に示す貯槽の構築手順を説明する図である。 図1に示す貯槽の構築手順を説明する図である。 図1に示す貯槽の構築手順を説明する図である。 図1に示す貯槽の構築手順を説明する図である。
符号の説明
1 貯槽
2 基礎部
2a 杭基礎
2b 下梁セグメント
3 壁体
4 支持材
5 外ケーブル
10 セグメント
11 上部セグメント
12 下部セグメント
21 フランジ部
22〜24 リブ
25、26 貫通孔
27 断熱材
28 コンクリート本体
31 定着具

Claims (14)

  1. 内部に貯留物を収容する貯留物収容部を形成する複数のセグメントからなる壁体と、前記壁体を支持する基礎部と、を有するコンクリート貯槽において、
    前記基礎部は、整地した地盤上に打設された1本の杭基礎と、前記杭基礎の周囲に放射状に設置され、各々が前記杭基礎と接合された複数の下梁材と、を有することを特徴とするコンクリート貯槽。
  2. 前記複数のセグメントの各々は、プレキャストコンクリート製のセグメントであって、コンクリート本体と、前記コンクリート本体の内部に埋め込まれた断熱材と、を有する、請求項1に記載のコンクリート貯槽。
  3. 前記壁体は、その鉛直方向の中心軸線を含む少なくとも一つの平面で分割されており、前記壁体の外側で前記中心軸線に垂直な周方向に配された緊張材に引張力を導入することによって、前記壁体に周方向の圧縮力が作用している、請求項に記載のコンクリート貯槽。
  4. 前記壁体は、さらに少なくとも一つの水平面で分割されている、請求項に記載のコンクリート貯槽。
  5. 前記セグメントのコンクリート本体に、前記壁体の外面を構成する前記セグメントの面から突出したリブが形成されている、請求項またはに記載のコンクリート貯槽。
  6. 前記リブは、隣り合うセグメントとの接合端縁に形成されている、請求項に記載のコンクリート貯槽。
  7. 前記リブは前記壁体の上下方向に延びて形成され、前記緊張材としてケーブルが、前記リブをその幅方向に貫通して配されている、請求項に記載のコンクリート貯槽。
  8. 前記ケーブルは前記壁体の上下方向に間隔をあけて複数配されており、前記ケーブルの間隔が、前記壁体の下部に比べて上部で広くなっている、請求項に記載のコンクリート貯槽。
  9. 前記リブは、前記断熱材が埋め込まれていない部分に設けられている、請求項からのいずれか1項に記載のコンクリート貯槽。
  10. 前記断熱材は樹脂の発泡体である、請求項からのいずれか1項に記載のコンクリート貯槽。
  11. 内部に貯留物を収容する貯留物収容部を形成する複数のセグメントからなる壁体と、前記壁体を支持する基礎部と、を有するコンクリート貯槽の構築方法において、
    前記壁体を分割した複数の部分にそれぞれ対応する複数のセグメントを用意する工程と、
    地盤上に基礎部を施工する工程と、
    前記基礎部の上に前記セグメントを順次配置し、配置した前記セグメント同士を接合することによって、前記壁体を形成する工程とを有し、
    前記基礎部を施工する工程は、整地した地盤上に1本の杭基礎を打設する工程と、前記杭基礎の周囲に複数の下梁材を放射状に設置する工程と、前記杭基礎と前記各下梁材とを接合する工程とを含む、コンクリート貯槽の構築方法。
  12. 前記複数のセグメントの各々は、プレキャストコンクリート製のセグメントであって、コンクリート本体と、前記コンクリート本体の内部に埋め込まれた断熱材と、を有する、請求項11に記載のコンクリート貯槽の構築方法。
  13. 前記壁体は、その鉛直方向の中心軸線を含む少なくとも一つの平面で分割されており、
    前記壁体を形成する工程は、接合された前記セグメントの外側で前記中心軸線に垂直な周方向に緊張材を配し、該緊張材に引張力を導入することによって、前記壁体に周方向の圧縮力を作用させることを含む、請求項11または12に記載のコンクリート貯槽の構築方法。
  14. 前記杭基礎と接合された前記下梁材の先端部に、前記壁体の上下方向中間部を支持するための支持材を設置する工程をさらに有する、請求項11から13のいずれか1項に記載のコンクリート貯槽の構築方法。
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