JP2009234647A - 浄化槽セット及び浄化装置セット並びに排水浄化処理方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】この発明は、浄化槽及び浄化装置を容易迅速に組み立て得ること、及び排水処理性能抜群の浄化装置を得ることを目的としたものである。
【解決手段】この発明は、下記断熱板を用いて、底板、前後側板、左右側板、仕切板及び頂板を組み立てることを特徴とした浄化槽セットにより、目的を達成した。
1.発泡合成樹脂板を芯板とすること。
2.芯板の表裏両面に強化繊維を原糸とするメッシュ又は強化繊維の原糸を含む繊維メッシュを被着すること。
3.繊維メッシュに、セメントモルタルを被着すること。
4.底板、前後側板、左右側板、仕切板及び頂板を槽状にする組立てる際に、その当接部は水密に接着固定すること。
【選択図】図1

Description

この発明は、処理すべき汚水(以下「排水」という)を、流動中に嫌気性菌処理及び好気性菌処理して、有機物を分解すると共に、無機物を分離して浄水の際使用する浄化槽セット及び浄化装置セットの提供を目的とした浄化槽セット及び浄化装置セット並びにこれを用いた排水浄化処理方法に関するものである。
従来組立式浄化槽としては、ボックスカルバートを連結する形式の浄化槽が提案されており、大きな浄化槽又は処理槽としては現場でコンクリート槽を構築する現場施工が知られている。
またプレート部と、フランジ部を組み立てて、分離槽、触媒ばっ気槽、沈澱槽を併設する浄化槽も知られている。
その他パネル組立式浄化槽も提案されているが、充填材、散気管その他をセットした浄化装置のセットは知られていない。
実用新案登録第2553664号 特開平7−139022 特開平6−490 アメリカ特許公開2004−0060857
従来提案されている組立浄化槽は、多岐多様であって、夫々特徴があるが、一般的に耐震強度を十分考慮した槽は、重量が大きくて、取扱いに大型機械を必要とし、比較的重量の小さい槽は小型であって、取扱い容易であるが容量が小さくなり、又は耐震強度が不十分になり勝ちである。前記は何れも使用部材は工場製産であって、現場組み立てを基本としているので、取扱いの容易性と、強度保持の要請とは、往々相反する場合がある。更に引っ張り強度、曲げ強度は有るとしても、容易に変形したり、上下方向の加圧に耐えられない場合は使用上問題点を生じるおそれがあった。
従来知られているコ字形状をした上下一対のカルバートブロックを結合して夫々縦連結孔に挿通したPC鋼体で締め付け固定したボックスカルバートを所定数並列した組立式浄化槽が知られているが、通常鉄筋コンクリート製である為に、比重が大きく(例えば比重4〜6位)、クレーンなどを用いなければ、運搬、移動が困難である(特許文献1)。従って現場組み立てで殆ど人力だけでは組み立てできない作業が多い問題点がある(特許文献1)。
次にプレート部と、この周囲に形成したフランジ部からなるパネル基体のフランジ部を当接固定し、又はコーナーアングルを介してプレート部を接続する組立浄化槽が知られている(特許文献2)。前記組立浄化槽は、強度的には十分であると推定され、比較的軽量(例えば薄金属板)であるが、断熱性については考慮されていない。
この種浄化槽による排水処理は、殆ど好気性菌による処理であるから、排水温度は好気性菌の繁殖温度(例えば20℃〜30℃)が好ましいが、前記パネルは薄い金属板であると推定されるので、気温に左右されない恒温保持がむつかしい問題点があり、また隣接槽の水量と著しい相違ができる場合には、水圧による変形が考えられるなどの問題点がある。
また四周にフランジを形成した単位パネルを浄化処理容量に応じてフランジ部を順次接合して箱型の浄化槽を構成し、この浄化槽の内部を中仕切パネルによって分離するパネル組立式浄化槽が知られている(特許文献3)。前記パネル構造の浄化槽は、運搬、組立等に利点があるが、前記特許文献2と同様に断熱性が低く、かつ水圧により変形を生じる恐れがあるなどの問題点がある。前記変形については、適当なアングル材により補強することができるが、断熱性については記載がなく、暑い地域又は寒冷地では特別の配慮を要する。
次に外側板及び仕切板のパネル材としてステンレススチールを用いた発明も提案されている(特許文献4)。この発明の場合も断熱性について考えられていない。従って地中に埋設するか、恒温手段を講じないと、好気性菌の最良の繁殖温度を得ることができない問題点があった。
前記のように、従来知られている組立方式の浄化槽については、断熱性に欠けるので気候温暖な場所か、地中へ埋めて使用するか又は恒温手段(加熱又は冷却)を付加しなければ、十分の機能を発揮し得ない問題点があった。
また現場施工の鉄筋コンクリート壁による浄化槽においては、施工から完成までの時間が長時間(例えば1ヶ月)掛かるのみならず、施工技術の均一性が保たれない為に処理能力の相違を生じるおそれがあるなどの問題点があった。
従来広く使用されている鉄筋コンクリート壁を構築する方式においては、十分の壁圧と、強度(鉄筋量)を考慮し、地震その他地圧などにも耐え得るようになっているが、従来の組立式浄化槽において、地中埋設方式で地震その他の外力を考慮したものは見当たらない。
また組立方式においては、工場生産したセットを、使用場所へ運ぶ為に、比較的嵩張らず、かつ軽量である必要があるが、一般に強度増強については、金属を多用する為に、重量が大きくなり、曲げ応力に対応する為に壁厚を増加すれば、全重量が多大になる問題点があった。
また組立ての必要上、組立作業は人力により容易にできることが望ましいが、重量が大きくなると、主要壁は機械により取り扱う必要が生じるなどの問題点もあった。
この発明は、発泡合成樹脂板を芯材(厚い芯材)として、その表裏に強化繊維メッシュを被着すると共に、前記強化繊維メッシュの外側へセメントモルタルを被着したので、軽量(例えば比重0.06〜0.10)、強靱で曲げ耐力の大きい壁板を用いたので、軽量、強靱で曲げ応力にも地震にも十分の耐力を有し、かつ作業性のよい浄化槽セットを得たのである。
然して耐蝕性があることは勿論、恒温性(断熱性が大きい)があり、下水(汚水)の微生物処理には、最適の条件を容易に実現することができる。
即ちこの発明は、下記断熱板を用いて、底板、前後側板、左右側板、仕切板及び頂板を組み立てることを特徴とした浄化槽セットである。
1.発泡合成樹脂板を芯板とすること。
2.芯板の表裏両面に強化繊維を原糸とするメッシュ又は強化繊維の原糸を含む繊維メッシュを被着すること。
3.繊維メッシュに、セメントモルタルを被着すること。
4.底板、前後側板、左右側板、仕切板及び頂板を槽状にする組立てる際に、その当接部は水密に接着固定すること。
次に、前後側板、左右側板、仕切板及び頂板には予め管類の挿通孔を設け、又は管類の挿通孔の位置及び直径を記載するものであり、発泡合成樹脂板は、発泡ウレタン又は発泡スチロールよりなる独立気泡の成形板としたものである。
また、強化繊維は、アラミド繊維、ガラス繊維、セラミック繊維、炭素繊維又は超高分子量ポリエチレン繊維としたものであり、セメントモルタルは、セメントと砂とに水を加えたモルタル又はセメントとアクリルのモルタルとしたものであり、発泡合成樹脂板を芯板とし、該芯板の表裏にFRPを層着してなる断熱板により、底板、前後側板、左右側板、仕切板及び頂板を槽状に組み立てることを特徴とした浄化槽セットである。
また、芯板の厚さは3cm〜25cmとし、モルタルの厚さは1cm〜3cmとし、芯板の比重は0.01〜0.09とし、側板の比重は0.05〜0.10としたものである。
次に他の発明は、請求項1又は7記載の浄化槽セットに、放流管、散気管、接触材、濾材、汚泥返送管及び集中樋を組み合わせたことを特徴とする浄化装置セットである。
また、請求項8記載の浄化装置セットを組み立てて設置した浄化装置を使用して排水を微生物で浄化処理する方法において、排水を沈澱分離槽に流入させて沈澱させ、この沈殿物を嫌気性菌で処理させ、その処理水を曝気槽に流入させて好気性菌で処理した後、沈澱槽で沈澱させ、沈澱槽の泥の一部は沈澱分離槽に戻し、残部は処理し、上澄水は消毒槽に導き、消毒して放流することを特徴とした排水浄化処理方法であり、請求項8記載の浄化装置セットを組み立てて設置した浄化装置を使用して排水を微生物で浄水処理する方法において、浄化装置内の処理水の水温センサー及び溶存酸素濃度センサー並びにpHセンサーの各出力を自動制御装置に入力し、前記水温、溶存酸素濃度及びpHを設定値に自動制御することを特徴とした排水浄化処理方法であり、設定値は処理水の水温を20℃〜30℃とし、溶存酸素濃度を0.5mg/I〜3mg/Iとし、pHを5〜7としたものである。
この発明は、発泡合成樹脂板を芯板とし、該芯板の両側に強化繊維メッシュを被着し、強化繊維メッシュの外側にセメントモルタルを被着し、又はFRPの薄板を被着したので、相当の厚さ(例えば5cm以上)にも拘わらず軽量で、断熱性があり、化学的安定性、耐候性及び耐圧性(側壁)を備えており、かつ組立て容易であるなどの特質がある。
この発明における芯板の厚さは、処理すべき排水の貯留量により異なるが、例えば1日1t〜2tの処理ならば厚さ5cmで十分であり、10t〜20tの処理量ならば、10cm〜20cmとする。またモルタルの厚さにしても、前者(1日1t〜2t)の場合は1cm〜1.5cmとし、後者(1日10t〜20t)の場合は、2cm〜3cmとする。前記においてモルタル層に代えてFRPを使用する際の芯板の厚さは3cmでもよい。
また断熱性については、外気が0℃以下又は30℃以上になる日が、1ヶ月以上も続く可能性があれば、厚さ10cm〜20cmが好ましい。然し乍ら通常の排水温度は15℃以上が普通であり、反応熱も考慮すれば、排水の処理温度はほぼ20℃を越えると思われるので、壁厚は外気温に影響を受けない程度の断熱性が期待できる10cm以上が好ましい。
前記は、処理槽の80%以上が地上に露出している場合であるが、処理槽が殆ど地中へ入る埋設型であるならば、外気温の影響は少なく、処理温度に関する壁厚の考慮は不必要であり、強度上必要な寸法とする。またモルタルの厚さは強度及び耐化学性を求めるものであり、厚さ1cm以上あれば目的を達成するが、大型(例えば容量5t以上)を考慮すれば、厚さ2cm以上が好ましい。
次に底板、側板等の比重は、芯板の発泡率によって異なるが、壁板の比重0.05〜0.10を基本とし、壁厚によっても異なるが、比重0.05〜0.09が強度、断熱性及び取扱いの容易性から好ましい。
この発明に用いる強化繊維としては、前記のとおりであるが、この中でもガラス繊維、ナイロン繊維、炭素繊維などによるメッシュが使用される。またポリエチレン繊維などのメッシュに、前記強化繊維を編網(5%〜20%含ませる)することがある。前記メッシュは、芯板の強化と共に、セメントモルタルの付着性の向上を目的としたものである。即ち芯板に、強化繊維メッシュを被着し、その外側へセメントモルタルを被着すれば、硬度はもとより、引っ張り、曲げ、圧縮の何れについても強化された壁板となり、セメントモルタルの外層で発泡ポリウレタン又は発泡スチロールの芯板であるから、耐化学性も大きいからである。また経年変化もしないので、地中埋設はもとより、地上設置(又は一部地上露出)の処理槽であっても半永久的に耐久性が認められる。
前記において、芯板の裏面(槽内側)に強化繊維としてカーボンメッシュを使用した壁板を好気性菌による処理槽に用い、前記カーボンメッシュに電極を接続し(例えば銀箔を電極とする)、前記電極にリード線の一端を接続し、リード線の他端にプラグを接続しておけば、このプラグを電源と接続することにより、前記カーボンメッシュを加熱することができる。この場合におけるカーボンメッシュは、加温の上限を決めることができるので、例えば30℃を上限としておけば、加温過多を生じるおそれはない。
前記において、好気性菌の微生物処理槽に温度センサーを設置し、前記カーボンメッシュの電源をON、OFFすれば、前記微生物処理槽の温度を設定温度(例えば20℃〜25℃)の恒温に保つことができる。
前記考慮は、外気温度が10℃以下になり、処理すべき排水温度が20℃以下になる場合などに特に有効である。例えば、好気性菌の繁殖の最良温度が25℃の場合に、外気温度が10℃以下になると処理水温も20℃以下となる場合があるが、前記恒温手段によって処理水温を25℃の恒温に保つことにより、微生物の能力を十分発揮させることができる。
前記発明において、底板、側板などの浄化槽の構成板の製造については、専ら発泡合成樹脂板を芯板とし、芯板の表裏両面に、繊維メッシュ及びセメントモルタルを順次層着し、一体化して壁板を製造したが、次のような製造方法も可能である。
即ちセメントモルタル板(繊維メッシュで裏打ちしたセメントモルタル板)又はFRPを、側板などの形状に切断し、所定の間隔を保って固定することにより発泡型を作り、この発泡型内に発泡合成樹脂液を挿入した後、閉塞し、加温(例えば100℃)又は加温することなく常温発泡させれば、前記発泡型内へ合成樹脂発泡体が充填され、セメントモルタル板と、発泡合成樹脂とが一体化され、必要な底板、側板、仕切板及び頂板を容易かつ確実に製造することができる。
前記発明においては、発泡合成樹脂を芯板とし、その表裏面にセメントモルタル又はFRPなどの補強層を設けたが、断熱性を必要としない地域(例えば年間を通し、0℃以下にも30℃以上にもならない地域)では、発泡合成樹脂を用いることなく、FRPの単独又は他の合成樹脂板との積層板を用いて、浄化槽の底板、側板、仕切板及び頂板を成型し、これを組み立てて浄化槽とすることができる。
前記において、FRPの成型板のみを使用する場合には、要所(力の掛かる位置又は接合部)の壁厚を増大し、又は補強手段を用いることが必要であるが、その外形は、原則的に前記と同一である。
この発明は、浄化槽の底板又は側板等の組立てにより浄化槽を作ることができるので、通常の大きさならば、1日で組み立てることができる。また大容量(例えば1日10t〜20t処理)であっても、3人〜5人の作業員1日〜2日で組立てを完了することができる。また組立てに際し、1人〜2人で持ち運び困難な程重い板は殆どなく、組立ての固定部は接着又はねじ止めであるから、作業上重労働にならないなどの諸効果がある。
また各部材は工場製産であるから、精度が高く、誰が組み立てても高精度の均一浄化槽ができる。
更に外気の影響が少ないので、浄化槽内は、恒温を保ち易く、好気性菌の繁殖の最良温度を常に保有させることができるので、高い効率で高度の浄化処理ができる効果がある。
またこの発明の浄化装置セットによれば、組立てにより、浄化装置を容易かつ高精度で完成させることができる効果がある。
この発明のセットを利用すれば、作業者に高度の熟練は不必要であり、説明書に忠実に組み立てれば、使用者自ら浄化槽又は浄化装置を組み立てることができる。また家屋建設請負業者が、家屋の建設と同時に、排水処理装置の設置を請負い、高精度の排水処理装置を設置することもできるなどの諸効果がある。
この発明は、厚さ15cmの発泡ウレタン(比重0.05)の表裏両面にカーボンメッシュを夫々被着し、該カーボンメッシュの外側へセメントモルタル層を厚さ2cmに被着し、全体を比重0.08の素材板を得た。
そこで前記素材板により形成した底板、前後側板、左右側板、仕切板及び頂板を当接固着して(合成樹脂接着剤使用)浄化槽とする。この浄化槽には、頂板及び仕切板に必要な管理口及びパイプ挿通孔が設けてある。
前記において、汚水の流入管、浄水の放流管及び連通管を夫々の壁板孔に挿通固定し、処理槽の一部へ曝気管を設置し、頂板の管理口に蓋を被冠すれば、この発明の処理装置ができる。
前記処理装置の一側から排水を流入させ、沈澱槽で沈澱させると共に、嫌気性菌により処理し、ついで上澄水を接触曝気槽に導き、曝気して好気性菌により浄化処理した後、上澄水を消毒して放流する。一方、沈澱汚泥の一部は、前記沈澱槽に戻して嫌気性菌で処理し、残部は取り出して処理する。沈澱槽の沈殿物は無機物(砂など)が主であり、そのまま廃棄できる。
前記において、pHセンサー、温度センサーを設置し、処理水のpHを6付近に調製し、温度を20℃〜25℃に調製して、嫌気性菌及び好気性菌の最良の環境にすることにより、処理効率及び浄化度を向上させる。
この発明の実施例を図1、2、3に基づいて説明する。この発明の素材板は底板、側板、仕切板及び頂板の夫々の形状に発泡ポリウレタンPを成形し、該発泡ポリウレタンPの外壁へカーボンメッシュCを被着し、ついで前記カーボンメッシュCの外側へ、セメントモルタル層Sを設ける。セメントモルタル層Sは例えばセメント1に対し、砂3の割合とし、これに水を入れて泥状とし、塗布又は吹きつけにより被着する。前記発泡ポリウレタンPの厚さは15cmとし、セメントモルタル層Sの厚さは2cmとする。この寸法は製造すべき浄化槽の容量及び求める強度並びに断熱性能により夫々設計する。工場生産に際しては、数種製造し、設置要請に応じ対応する。
前記底板1は平板とし、前後の側板2,2及び左右の側板3,3,4,4の下端部と接合させるようにしてある。また仕切板5,6は、下部を逆台形状に突出した仕切板5と、方形の仕切板6の二種類とする。また頂板7には、予め数個の孔7a,7aを設けてある。前記側板4の下端部の空隙は、側板と同質の充填材4aで塞ぐようにする。
前記底板上へ前後側板2,2と、左右側板3,4を立設し、各側板2,3,4の下縁及び側縁に合成樹脂接着剤を塗布して接着すれば、直方体状の浄化外槽9ができる。ついで仕切板4,5を設置して、頂板7を被冠すれば、この発明の組立て浄化槽10が完成する。前記頂板7の孔7a,7aには、蓋8,8を被冠する。
前記実施例の底板1は、例えば幅1.8m、長さ3.2m、厚さ0.2mである。また側板は、例えば高さ2.1m、幅1.8mであって、浄水容量は4m〜6mで、通常家庭(4名〜5名)用として適当である。
前記のように、この発明においては、底板1上へ、前後側板2,2と、左右側板3,4を立設固定(当接部を接着)し、ついで仕切板5,6を固定すると共に、曝気管、各種通水管、その他必要な器機を設置すればよいので、作業員2〜4名で1日で組み立てることができる。
因みに前記前後側板の大きさを次のようにすれば、その重量は次のようにして計算できる。即ち幅1.8m、高さ2.1m、厚さ0.2mとすれば、その体積は0.9mとなる。そこで比重を0.08とすると、重量は72kgとなるので、2名の作業員によれば、容易に取り扱うことができる。
前記は側板の比重を0.08とした場合であり、側板の比重を0.05とすれば、重量は45kgとなる。前記のように、標準的大きさの側板の重さは72kg〜45kgであるから、作業員2人ならば容易に持ち運び及びセットを用いた組立てができる。
次に図3の実施例において、発泡ポリウレタンPの内面側(槽の内側)へカーボンメッシュCを被着し、その上面の左右両側へ銀箔40a、40bを層着し、前記銀箔(電極)40a、40bにリード線41、41を接続し、リード線41、41へプラグ42を接続する。
前記プラグ42を電源コンセント(図示してない)へ接続すれば、前記カーボンメッシュに通電し、発熱するので、槽内を加温することができる。
前記カーボンメッシュは、定電圧(例えば100v)で、低温加熱(例えば30℃)用に作ることができるので、これを利用すれば、過熱を生じるおそれなく、かつ火災その他カーボンメッシュの過熱による不慮の事故を生じるおそれもない。
前記は強化繊維をそのまま発熱シートに利用するもので、価格上昇も殆どないなどの利点がある。
この発明の浄化装置の実施例を図4,5,6,7,8,9について説明する。前記実施例1の浄化槽セットの組立て時の仕切板5,6の組立て時に、前後側板2,2へ排水の流入管11、放流管12を夫々設置する。この場合に側板2,2の適所へ穿孔し、これに案内筒13を嵌挿し、案内筒13へ前記流入管11、放流管12を夫々挿通固定する(図7(b))。
次に第1沈澱槽14と第1曝気槽15に汚泥返送管16を架設し、第1曝気槽15と、第2曝気槽17へ多数の散気管18,18を架設する。図7中19は沈澱槽、21は越流堰、22は消毒槽、29は移流スロット、38は越流堰であって、前記により処理装置20を構成している。前記第1、第2曝気槽15,17へ接触材(例えばハニカム)を充填する。
前記において、沈澱槽19の上方には、スカムバッフル23と集水樋24、消毒筒25、バッフル26が夫々設けられている(図8(b))。
次に前記処理装置20を使用する排水処理の概要を図6、7に基づいて説明すると、家庭用排水は矢示30,31,32,33,34,35,36のように流動しつつ処理される。
前記実施例を図7により説明すると、矢示30のように第1沈澱槽14に入った排水は、ここに滞留して、比重の大きい汚水が沈澱すると共に、嫌気性菌によりアンモニアを硝化分解された後、第2沈澱槽27に入り、濾過槽28を経て第1曝気槽15へ入り、ついで第2曝気槽17に入る。前記濾過槽28において、大型固形物を濾過した後、曝気槽15,17で好気性菌により、有機物を分解処理され、急速に浄化される。前記曝気槽15,17には、充填材(例えばハニカムコア)を入れて接触面積を増加して、浄水効率を向上させる。
前記における好気性菌の処理は、処理水を恒温(例えば20℃〜25℃)に保つことによって高い浄水効率で確実に処理される。実験の結果によれば汚水は表1のように、通常の工業用水以上に浄化される。
Figure 2009234647
前記のように、原水の汚染度の変化に拘わらずほぼ安定した浄化能力を示した。即ちBOD最高270mg/lの時にも1.2mg/lまで浄化し、CODの最高310.0mg/lの時にも5.6mg/lまで浄化し、TSS最高340.0mg/lの時にも<1.0mg/lまで浄化していることが判明した。
従って、前記処理水を消毒後放流するが、樹木、芝生などへの散水用、工業用水用などに使用することができる。
前記において、アンモニアは第1及び第2接触曝気槽15,17で硝化され硝酸となる。第1沈殿槽15では通常嫌気性菌により返送水中の硝酸に対して脱窒反応が生ずることにより窒素除去を行なう。第1沈澱槽15においては、嫌気性菌を用いて汚泥中のアンモニアを硝化させて浄化する。通常アンモニアを硝化するときは、アンモニア1g当たり7.14gのアルカリが消費される。そこで原水のアルカリ度が低い場合には、pHの低下(酸性側へ移行)を生じ、処理水の水質悪化を招くおそれがある。そこで酸素濃度センサー及びpHセンサーを用いて活性汚泥の状況を監視し、負荷の変動に対応可能なように酸素の供給量を調整して安定した処理水を得るようにする。また好気性菌を利用する曝気槽に酸素濃度センサー及びpHセンサーを取り付けて、両センサーの計測値を制御コンピュータに入力し、曝気装置をON,OFFして、前記処理効率を改善することができる。また寒冷地では温度センサーも入れて恒温を保つようにする。
次に曝気槽に温度センサーを取り付け、その出力を制御コンピュータに入力し、曝気槽の温度を恒温(例えば20℃〜25℃)に保持させ、好気性菌の繁殖最良温度に保つことができる。このようにすれば、好気性菌による浄水効率を最高に保持することができる。
前記のように、この発明の浄化装置セットを用いて排水処理を合理的に行い、高い効率で目的を達成し得ると共に、処理による浄化性能が抜群である為に、浄水は散水用、工業用水用などにそのまま再使用することができる。
前記実施例においては、浄化装置セットとして、沈澱槽及び曝気槽を夫々2槽設けることについて説明したが、沈澱槽及び曝気槽に関し、その数に限定するものでなく、各槽の増減は専ら目的とする処理量及び処理状態によって異なる。
また処理能力によっても異なるので、各使用者の使用目的に対応して設計使用する。また底板、前後側板、左右側板、仕切板及び頂板の形状、大きさについては、専ら処理能力、処理精度と処理量に関する要望により適宜提供する。
次にこの発明の芯板は、通常芯板の外形に添った金型の中に発泡剤を含む合成樹脂液を注入し、加熱して発泡させて成形している。
然し乍ら目的とする所は、発泡合成樹脂板の外側に補強板を層着することである。そこで前記は通常の要領により成形した芯板の外側にセメントモルタル層を設けてなる底板、左右側板、前後側板、仕切板及び頂板により求める浄化装置セットを得たものである。前記は実施例1について述べたとおりである。
この実施例は、外層(例えばFRP板)を型枠とし、内側に発泡合成樹脂液を充填し、加熱発泡させて、側板を製造する方法を説明する。
金型27内へFRP板により中空型28を収容し、この中空型28内へ発泡ウレタン液を注入して加熱発泡させると、図11(b)の構造の側板を成形することができる。
前記実施例は、実施例1により芯板を製造する場合と異なり、従来方法によってFRP板を製造し、これを必要寸法に切断すると共に、該FRP板46を用いて型枠45を成形した後、この型枠内へ発泡ウレタン液を注入して発泡(加熱発泡又は常温発泡)させるものである。前記実施例1と実施例3との何れを採用することもできる。
この実施例においては、外装用にFRPを採用したが、セメントモルタル板又は他の強化合成樹脂板を使用することもできる。
この発明の浄化槽セットの展開斜視図。 (a)同じく壁板の実施例の一部を破切した拡大平面図、(b)同じく一部拡大断面図。 (a)同じく加温壁板を示す一部を破切した平面図、(b)同じく一部省略した拡大断面図。 同じく管類の説明図で、(a)、(b)返送管、(c)放流管、(d)散気管、(e)流入管。 同じく管類の説明図で、(a)、(b)移送管、(c)、(d)散気管。 (a)この発明のセットを用いて組み立てた浄化槽の拡大平面図、(b)同じく縦断拡大正面図。 (a)同じく横断拡大平面図、(b)同じく側板の一部拡大断面図。 (a)同じく図7中A−A断面拡大図、(b)同じく図7中B−B断面拡大図。 (a)同じく図7中C−C断面拡大図、(b)、(c)同じく壁板コーナ部の一部断面拡大図。 この発明の浄化槽を使用して排水を処理する方法のブロック図。 (a)この発明の側板の製造方法の説明図、(b)同じく側板の一部断面拡大図。
符号の説明
C カーボンメッシュ
P 発泡ポリウレタン
S セメントモルタル層
1 底板
2 前後の側板
3,4 左右の側板
5,6 仕切板
7 頂板
8 蓋
9 浄化外槽
10 浄化槽
11 流入管
12 放流管
13 案内筒
14 第1沈澱槽
15 第1曝気槽
16 汚泥返送管
17 第2曝気槽
18 散気管
19 第3沈澱槽
20 処理装置
21 越流堰
22 消毒槽
23 スカムバッフル
24 集水樋
25 消毒筒
26 バッフル

Claims (11)

  1. 下記断熱板を用いて、底板、前後側板、左右側板、仕切板及び頂板を組み立てることを特徴とした浄化槽セット。
    1.発泡合成樹脂板を芯板とすること。
    2.芯板の表裏両面に強化繊維を原糸とするメッシュ又は強化繊維の原糸を含む繊維メッシュを被着すること。
    3.繊維メッシュに、セメントモルタルを被着すること。
    4.底板、前後側板、左右側板、仕切板及び頂板を槽状にする組立てる際に、その当接部は水密に接着固定すること。
  2. 前後側板、左右側板、仕切板及び頂板には予め管類の挿通孔を設け、又は管類の挿通孔の位置及び直径を記載することを特徴とした請求項1記載の浄化槽セット。
  3. 発泡合成樹脂板は、発泡ウレタン又は発泡スチロールよりなる独立気泡の成形板としたことを特徴とする請求項1記載の浄化槽セット。
  4. 強化繊維は、アラミド繊維、ガラス繊維、セラミック繊維、炭素繊維又は超高分子量ポリエチレン繊維としたことを特徴とする請求項1記載の浄化槽セット。
  5. セメントモルタルは、セメントと砂とに水を加えたモルタル又はセメントとアクリルのモルタルとしたことを特徴とする請求項1記載の浄化槽セット。
  6. 芯板の厚さは3cm〜25cmとし、モルタルの厚さは1cm〜3cmとし、芯板の比重は0.01〜0.09とし、側板の比重は0.05〜0.10としたことを特徴とする請求項1記載の浄化槽セット。
  7. 発泡合成樹脂板を芯板とし、該芯板の表裏にFRPを層着してなる断熱板により、底板、前後側板、左右側板、仕切板及び頂板を槽状に組み立てることを特徴とした浄化槽セット。
  8. 請求項1又は7記載の浄化槽セットに、放流管、散気管、接触材、濾材、汚泥返送管及び集中樋を組み合わせたことを特徴とする浄化装置セット。
  9. 請求項8記載の浄化装置セットを組み立てて設置した浄化装置を使用して排水を微生物で浄化処理する方法において、排水を沈澱分離槽に流入させて沈澱させ、この沈殿物を嫌気性菌で処理させ、その処理水を曝気槽に流入させて好気性菌で処理した後、沈澱槽で沈澱させ、沈澱槽の泥の一部は沈澱分離槽に戻し、残部は処理し、上澄水は消毒槽に導き、消毒して放流することを特徴とした排水浄化処理方法。
  10. 請求項8記載の浄化装置セットを組み立てて設置した浄化装置を使用して排水を微生物で浄水処理する方法において、浄化装置内の処理水の水温センサー及び溶存酸素濃度センサー並びにpHセンサーの各出力を自動制御装置に入力し、前記水温、溶存酸素濃度及びpHを設定値に自動制御することを特徴とした排水浄化処理方法。
  11. 設定値は処理水の水温を20℃〜30℃とし、溶存酸素濃度を0.5mg/I〜2mg/Iとし、pHを6.3〜8.0としたことを特徴とする請求項10記載の排水浄化処理方法。
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