JP2005161219A - 排水中のリンの除去装置 - Google Patents

排水中のリンの除去装置 Download PDF

Info

Publication number
JP2005161219A
JP2005161219A JP2003404585A JP2003404585A JP2005161219A JP 2005161219 A JP2005161219 A JP 2005161219A JP 2003404585 A JP2003404585 A JP 2003404585A JP 2003404585 A JP2003404585 A JP 2003404585A JP 2005161219 A JP2005161219 A JP 2005161219A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
tank
phosphorus
water
treated water
adsorbent
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2003404585A
Other languages
English (en)
Inventor
Hiroyoshi Machii
弘禧 町井
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
CHIYURARU TEC KK
Original Assignee
CHIYURARU TEC KK
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by CHIYURARU TEC KK filed Critical CHIYURARU TEC KK
Priority to JP2003404585A priority Critical patent/JP2005161219A/ja
Publication of JP2005161219A publication Critical patent/JP2005161219A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Treatment Of Biological Wastes In General (AREA)
  • Water Treatment By Sorption (AREA)
  • Solid-Sorbent Or Filter-Aiding Compositions (AREA)

Abstract

【課題】 排水処理浄化槽の処理水を処理して残存するリンを効率よく除去し得、除去したリンの回収が可能であること。
【解決手段】 排水処理浄化槽からその処理水を原水として導入するリン吸着槽1と、その内部に位置し、ジルコニウムフェライト水和物を有機高分子樹脂で球状に固化させたリン吸着材9を充填した吸着材充填部2と、リン吸着槽1に隣接する逆洗水槽4及びその内部に位置する逆洗ポンプ5と、逆洗ポンプ5と吸着材充填部2との間に延設する逆洗用配管6であって、逆洗ポンプ5によるリン吸着槽1側への逆洗水の圧送及びリン吸着槽1から逆洗水槽4への処理水の移行を行うための逆洗用配管6と、逆洗水槽4を介してリン吸着槽1の処理水を受け入れ、これを薬剤筒7の薬剤で消毒の上放流する最終放流槽3とで構成する。
【選択図】 図1

Description

本発明は、BOD成分及び窒素の除去が行われる合併浄化槽等の排水処理浄化槽の処理水を更に処理して、その中に残存しているリンを除去する排水中のリンの除去装置に関するものである。
従来より河川、湖沼及び海洋等に於ける膣素やリンによる富栄養化現象が問題視されており、如何にして種々の排水から窒素及びリンを効率的に除去するかが重要な課題となっている。特に日常生活に於いて、食物の残渣や洗剤などと一緒に排出されるリンは、合併浄化槽等に送られ、一般に行われている微生物処理を受けても除去されず、そのまま処理済水の中に残って排出されてしまうのが実情である。
このような排水中のリンを除去する技術としては次のようなものがある。
第1例は、従来から広く行われている塩化第2鉄や硫酸第2鉄などの凝集剤を使用する方法であり、これを対象の排水中に添加してその中のリンイオンをリン酸第2鉄として沈澱させて除去するものである。この技術は比較的容易に実施できるものであるが、前記のような凝集剤を使用するものであるため、ランニングコストが嵩むこと及び処理装置の腐食が生じやすいこと等に問題がある。
第2例は、下部に廃水の流入口を、上部に廃水の流出口をそれぞれ備えた絶縁物からなる缶体の内部に一対の電極を所定の間隔を隔てて立設し、相互間に廃水の通過を妨げない間隙を形成できる形状であってアルミニウムを主成分とし、少なくとも鉄を数%含み、表面に酸化被膜あるいは水酸化被膜を形成した充填材を缶体内に充填し、電極間に直流電圧を印加しながら廃水を流入口から送入し、廃水が充填材の間隙を通過する間に電解処理し、汚濁物質の分解、吸着、凝集等を行ってフロック化することにより汚濁物質を缶体上部に分解浮上させる電気分解による廃水処理方法である(特許文献1)。
この処理方法は、リンを効率よく除去できる優れたものであるが、リンに限定された除去方法ではなく、広く各種汚濁成分を効率よく除去することができる除去方法である。リン以外の汚濁成分も効率よく除去できるのは、云うまでもなく、特に不都合はないが、低電圧かつ低電流であっても電源を要するため、そのような設備を必要とすること、更には有機系生活排水を処理対象とする場合には、反応を促進するために、塩化アルミニウム又はアルミン酸ソーダ等の添加剤を必要とすること等の問題がある。加えて多量のフロックが発生するためその処理が厄介であるという問題がある。
第3例は、排水をこの中に導き所定の処理を行う溶着槽と、その処理水を更に処理する曝気滅菌槽と、その処理水を受け取って固形成分を沈殿させる沈殿槽とで構成した排水中の窒素及びリンの除去装置であって、
前記溶着槽には、一部を陽極に残部を陰極にすべく電源を接続した複数の電極であって、少なくとも陽極となるそれを水中に溶出する溶出用金属で構成した複数の電極と、その複数の電極間に介在させる吸着材であって、多孔質セラミックで構成した吸着材と、処理水を攪拌するための攪拌用の曝気手段とを配し、かつ前記曝気滅菌槽には、処理水の滅菌作用を行い、処理水中に溶け出している溶出金属を酸化し、かつ少なくとも処理水中で次亜塩素酸を生成する滅菌剤を該処理水中に投入する滅菌剤投入手段と、処理水を攪拌する曝気手段とを配して構成した窒素及び燐の除去装置である(特許文献2)。
この装置では、まず前記溶着槽にリン酸性リン及びアンモニア性窒素を含む排水中が導入されると、この排水中で、前記電極の内、陽極では陰イオンが引き寄せられ、その内のリン酸イオンは該陽極から溶出する溶出金属イオンとイオン結合し、かつ水酸イオンは陽極に陰電荷を供与して水及び酸素となり、この酸素により排水中の有機物が酸化分解され、他方、前記電極の内、陰極では陽イオンが引き寄せられ、その内の水素イオンは陰電荷を受け取って水素ガスとなり、この水素ガスの付着により浮上しようとする前記リン酸イオンと溶出金属イオンとのイオン結合物のフロック及び排水中で電極間に大きな電流を流すこととなるような偏在の生じたイオンのそれぞれを前記攪拌用の曝気手段から噴出するエアにより攪拌して水中に分散させ、かつ前記多孔質セラミックの吸着材により、過剰溶出金属を吸着して排水中への溶出残存量を減少させることになる。
次の曝気滅菌槽では、前記溶着槽から流入した処理水中に前記滅菌剤の投入手段から滅菌剤を投入し、該滅菌剤により該処理水の滅菌を行うと共に、溶解している溶出金属を酸化物として析出させてフロック化させ、同時に溶着槽で陰極に析出せず、イオンのまま残ったアンモニウムイオンが滅菌剤の処理水への投入によって生成した次亜塩素酸と反応して、最終的には、窒素ガス、水、塩酸に分解されて、アンモニア性の窒素が除去され、同時に溶着槽で上昇した処理水のpHを、ここで生成した塩酸で中和する。
更に次の沈殿槽では、前記イオン結合物のフロック及び溶出金属の酸化物フロックを沈澱させ、生じた沈殿物を系外に引き抜き、上澄水を分離して放流するように作用する。
この装置を用いた排水の処理では比較的小型の設備で極めて良好にリンの除去を行うことができるものであり、滅菌剤以外の添加剤を必要としないものでもあり、その面では、前記特許文献1の技術より更に優れたものである。窒素も併せて除去できるものであり、これも不都合ではない。しかし低電圧かつ低電流であっても電源を要するため、そのような設備を必要とすること及びリン酸イオンを陽極から溶出する金属イオンと結合させて除去するものであるため、そのフロックが生じ、その処理が厄介になるという問題がある。
特公昭63−12678号公報 特許第3117396号公報
本発明は、BOD成分及び窒素の除去が行われる合併浄化槽等の排水処理浄化槽の処理水を更に凝集剤を用いることなく、かつ先行する排水処理浄化槽に於ける微生物の活動に悪影響を与えることなく処理して、その中に残存しているリンを効率よく除去することができ、設備費が安価で、運転操作が容易であり、かつ除去したリンの回収が可能な排水中のリンの除去装置を提供することを解決の課題とする。
本発明の1は、排水処理浄化槽からのBOD成分及び窒素を除去した排水を導入して残存するリンの除去処理を行う排水中のリンの除去装置であって、
前記排水を導入するリン吸着槽と、該リン吸着槽に構成した吸着材充填部であって、ジルコニウムフェライト水和物を有機高分子樹脂で粒状に固化させてなるリン吸着材を充填した吸着材充填部と、該リン吸着槽の処理水を受け入れ、該処理水を消毒の上放流する最終放流槽とを備えた排水中のリンの除去装置である。
本発明の2は、本発明の1の排水中のリンの除去装置に於いて、前記吸着材充填部を前記リン吸着槽の高さ方向途中の位置に構成し、
前記排水処理浄化槽の排水を前記リン吸着槽に導入する導入配管を前記吸着材充填部の上方に接続し、
前記リン吸着槽と前記最終放流槽との間に逆洗水槽を介在させ、該逆洗水槽に逆洗ポンプを配すると共に、該逆洗ポンプから逆洗用配管を該リン吸着槽の前記吸着材充填部の下方まで延長し、該逆洗用配管を通じて、該リン吸着槽の処理水の逆洗水槽への移行及び逆洗水槽からの逆洗水のリン吸着槽下部への圧送を行えるように構成し、
前記逆洗水槽の上部には前記リン吸着槽から流入した処理水を前記最終放流槽に移行させる移行口を構成し、
更に前記リン吸着槽の吸着材充填部の上方には逆洗時に逆洗水を最終放流槽に移行させる逆洗排水配管を配したものである。
本発明の3は、本発明の1の排水中のリンの除去装置に於いて、
前記排水処理浄化槽として、原水を導入して処理する嫌気処理槽と、該嫌気処理槽の処理水を導入して処理する生物処理槽であって、その処理水の一部を該嫌気処理槽に返送する生物処理槽と、該生物処理槽の処理水を受け取って消毒の上これを放流する放流槽とからなる排水処理槽を採用し、
前記リン吸着槽を該排水処理槽の放流槽を区画して構成し、
前記リン吸着材を充填した吸着材充填部を該リン吸着槽中に構成し、
該リン吸着槽の処理水を受け入れ、該処理水を消毒の上放流する最終放流槽として、該排水処理槽の放流槽の区画外の領域を利用することとしたものである。
本発明の4は、本発明の3の排水中のリンの除去装置に於いて、
前記吸着材充填部を前記リン吸着槽の高さ方向途中の位置に構成し、
前記生物処理槽の処理水を前記リン吸着槽に導入する導入配管を、該生物処理槽の濾材の下方と該吸着材充填部の上方との間を連通させるべく、その間に配設し、
前記リン吸着槽の吸着材充填部より下方の位置にその処理水を前記最終放流槽に移行させる移行口を開口し、
更に前記リン吸着槽の吸着材充填部の下方に、前記最終放流槽から延びる逆洗用配管であって、該最終放流槽内の処理水をこれに圧送すべく逆洗ポンプを接続した逆洗用配管を設置し、
前記リン吸着槽の吸着材充填部の上方には逆洗水を溢水させる溢水口を放流槽側に開口し、
前記導入配管の途中に逆洗時に該リン吸着槽からの逆洗水が前記生物処理槽側に逆流しないように逆止弁を挿入したものである。
本発明の5は、請求項4の排水中のリンの除去装置に於いて、前記逆洗用配管を、前記生物処理槽の濾材の下方まで延長すべく構成したものである。
本発明の6は、請求項1、2、3、4又は5の排水中のリンの除去装置に於いて、前記リン吸着材として平均粒径0.7〜2mmのそれを採用したものである。
本発明の1の排水中のリンの除去装置によれば、導入した排水処理浄化槽からの排水から残存するリンを特別な添加剤を必要とすることなく、リン吸着槽でこれに充填してあるリン吸着材により効率よく吸着除去することができる。また吸着したリンはこれを回収して有効に利用することが可能となる。更に又リンを回収した後のリン吸着材は再生処理をして再使用することができる。
更に本発明の1の排水中のリンの除去装置によれば、前記のように、極めて簡単な構成で、運転操作も容易である。またリンの除去を生物処理槽より後段で行うために、該槽中の微生物にリン不足によるその活動を抑制させるような問題を発生させない。
本発明の2の排水中のリンの除去装置によれば、1日1回程度の逆洗処理を行うことにより、リン吸着材のSS等による閉塞を回避することができるため、飽和吸着に達するまで効率的なリン吸着を行わせることができる。
本発明の3の排水中のリンの除去装置によれば、排水処理浄化槽の本体部分でBOD成分及び窒素の除去された処理水を、その放流槽に組み込んだリン吸着槽で受け入れ、処理水中に残存するリンをリン吸着材で効率よく吸着除去することができるものである。この排水中のリンの除去装置によれば、以上のように、該リン吸着槽は、本体部分の放流槽に組み込んだものであり、別個の設置領域を必要としないものであるため、設備がコンパクトになる利点がある。
本発明の4の排水中のリンの除去装置によれば、1日1回程度の逆洗処理を行うことにより、リン吸着材のSS等による閉塞を回避することができるため、飽和吸着に達するまで効率的なリン吸着を行わせることができる。
本発明の5排水中のリンの除去装置によれば、リン吸着槽と同時に排水処理浄化槽の本体部分の生物処理槽にも逆洗が行われるようにしたため、簡易な設備で効率の良い逆洗が行えるものともなっている。
本発明の6の排水中のリンの除去装置によれば、リン吸着材をリン吸着槽に適切な充填密度で充填できるため、効率の良い吸着を行うことができる。
本発明は、排水処理浄化槽からのBOD成分及び窒素を除去した排水を導入して残存するリンの除去処理を行う排水中のリンの除去装置であって、
該排水を導入するリン吸着槽と、その中に構成した、リン吸着材を充填する吸着材充填部と、該リン吸着槽の処理水を消毒の上放流する最終放流槽とを備えた排水中のリンの除去装置である。
この排水中のリンの除去装置は、具体的には、前記排水浄化処理槽とは別個にその後段に構成することもできるし、該排水処理浄化槽の最終段の放流槽中に構成することもできる。各部の構成が具体的には僅かずつ異なることはあるが、本質的にはいずれでも変わらない。
前記排水処理浄化槽は具体的な構成は特定のそれに限定されない。本発明では、リンを除去することを目的とし、これを確実に実行するものであるから、実務上、その前段階でBOD成分及び窒素の除去が所定レベルまで行われているものでなければならない。それ故、これは実務上の条件となる。
前記排水処理浄化槽は、以上のような条件を満足すれば良い訳であるが、通常、家庭のトイレ、台所、風呂及び洗面所等からの排水を原水として導入して浄化処理する、既存の一般的な合併処理浄化槽と同様の構成のそれが採用されるものであり、その構成は、基本的には、該原水を導入して処理する嫌気処理槽、生物処理槽及び放流槽とからなる。
前記嫌気処理槽は、内部に嫌気性の微生物が定着する濾材を充填したもので、これに導入した原水を嫌気処理して、その処理水を次段の生物処理槽に供給するものである。また前記生物処理槽は、内部に好気性の微生物が定着する濾材を充填し、かつその下方に空気を送り込むエアレータを備えたものであり、前段から供給された処理水を好気処理し、その一部を嫌気処理槽に返送し、他の一部を次段の放流槽に送り出すようになっているものである。前記放流槽は、前記嫌気処理槽及び生物処理槽で処理された処理水を受け入れ、消毒した上で放流するものであり、消毒手段として、その一部に消毒筒等を備えたものである。
この排水中のリンの除去装置を、以上の排水処理浄化槽の後段に構成する場合は、例えば、該排水処理浄化槽に連続する近接領域に前記リン吸着槽以下を配することとし、排水を該リン吸着槽に導入する導入配管をその上部に接続し、前記吸着材充填部は該導入配管の接続部より下方で該リン吸着槽の高さ方向途中の位置に構成し、該リン吸着槽と前記最終放流槽との間に逆洗水槽を介在させ、該逆洗水槽に逆洗ポンプを配すると共に、該逆洗ポンプから逆洗用配管を該リン吸着槽の前記吸着材充填部の下方まで延長し、該逆洗用配管を通じて、該リン吸着槽の処理水の逆洗水槽への移行及び逆洗水槽からの逆洗水のリン吸着槽下部への圧送を行えるように構成し、該逆洗水槽の上部には前記リン吸着槽から流入した処理水を前記最終放流槽に移行させる移行口を構成し、更に前記リン吸着槽の吸着材充填部の上方には逆洗時に逆洗水を最終放流槽に移行させる逆洗排水配管を配する構成とすることができる。
前記最終放流槽又はこれに処理水が移行するいずれかの段階に、該処理水を消毒するための消毒手段を施すべきである。
またこの排水中のリンの除去装置を、前記排水処理浄化槽の最終段の放流槽に組み込む場合は、例えば、前記リン吸着槽を該排水処理浄化槽の放流槽を区画して構成し、前記リン吸着材を充填した吸着材充填部を該リン吸着槽中に構成し、該リン吸着槽の処理水を受け入れ、該処理水を消毒の上放流する最終放流槽として、該排水処理槽の放流槽の区画外の領域を利用することとすることができる。
更に以上の排水中のリンの除去装置に於いて、前記吸着材充填部を前記リン吸着槽の高さ方向途中の位置に構成し、前記生物処理槽の処理水を前記リン吸着槽に導入する導入配管を、該生物処理槽の濾材の下方と該吸着材充填部の上方との間を連通させるべく、その間に配設し、前記リン吸着槽の吸着材充填部より下方の位置にその処理水を前記最終放流槽に移行させる移行口を開口し、更に前記リン吸着槽の吸着材充填部の下方に、前記最終放流槽から延びる逆洗用配管であって、該最終放流槽内の処理水をこれに圧送すべく逆洗ポンプを接続した逆洗用配管を設置し、前記リン吸着槽の吸着材充填部の上方には逆洗水を溢水させる溢水口を放流槽側に開口し、前記導入配管の途中に逆洗時に該リン吸着槽からの逆洗水が前記生物処理槽側に逆流しないように逆止弁を挿入する構成とすることができる。前記逆洗用配管は、更に前記生物処理槽の濾材の下方まで延長すべく構成することができる。
以上のいずれの場合も、リン吸着材としては、リン酸イオンを吸着するジルコニウムフェライト水和物を有機高分子樹脂で粒状に、例えば、球状に固化させたリン吸着材を採用する。該ジルコニウムフェライト水和物は、後述するように、被処理水のpH値が7前後から酸性側に於いて優れたリン酸イオンの吸着性能を発揮するものである。
前記ジルコニウムフェライト水和物は、その分子式がZrFe2(OH)8で示される無機化合物であって、その表面に多数存在する水酸基が、酸性溶液中ではアニオン交換体として、アルカリ性溶液中ではカチオン交換体として作用するものである。従って吸着対象のリン酸イオンは、酸性溶液中ではこれに吸着する吸着作用が進行し、アルカリ性溶液中ではこれから離脱する離脱作用が進行することとなる。
その機構は以下に示す通りである。
(1)酸性溶液中では次のようにジルコニウムフェライト水和物(錯体)中のOH+とリン酸イオンが結合して吸着が行われる。錯体をMで示す。
M−OH・H++(H2PO4- → M−OH・H+(H2PO4-
(2)アルカリ性(NaOH)溶液中では次のように離脱が行われる。
M−OH・H+(H2PO4-+4OH- → M−O-+(PO43-+4H2
本発明では、特にこのジルコニウムフェライト水和物の前者の吸着作用を利用してリン吸着槽に流入した処理水中からリン酸イオン態のリンを吸着除去するものであり、これを、前記のように、リン吸着材としているものである。
次にジルコニウムフェライト水和物の各pHに於けるリン酸イオンの単位時間当たり吸着量を示す。
Figure 2005161219
以上の表1に示すように、このジルコニウムフェライト水和物はpH2〜4で、リン吸着材1g当たりの吸着量が33〜34mgであり、特に良好なリン酸イオンの吸着量を示しているが、pH6でも21mgであり、十分な吸着量を示している。更にはアルカリ側に傾いたpH8でも16mgの吸着結果を示している。従ってこのジルコニウムフェライトは酸性溶液中で、特にリン酸イオンの吸着が良好に進行するものではあるが、中性付近でも十分実用に耐える吸着が進行するものである。即ち、pH調整をすることなく高度な処理を行うことが可能となる。
またこのジルコニウムフェライト水和物の吸着性能に対する流入水温の変動による影響を測定した結果を表2に示す。
<測定方法>
各所定温度条件の室内で各対応する水温の所定範囲のリン濃度の原水をカラムに充填したジルコニウムフェライト水和物中を継続して通過させ、処理水のリン濃度が0.5mg/lを超えた点を破過点として、測定開始から該破過点に達するまでの日数を計数した。





Figure 2005161219
表2に示すように、このジルコニウムフェライト水和物は、水温が低くなると破過点到達日数が若干短くなる傾向は認められるが、年間を通じたほぼ平均的な水温である20℃の結果である57日と比較して、冬季の水温に対応する10℃の結果である54日は顕著な差があるとは認められず、季節変動の影響は小さいものと考えられる。
更に又このジルコニウムフェライト水和物の硝酸イオン又はアンモニウムイオンの存在下でのリン酸イオン吸着性能に関する測定結果を表3に示す。
<測定方法>
pH7に調整したA〜Hまでの8種類の吸着原液50mlに、各々100mesh以下に粉砕したジルコニウムフェライト水和物0.1gを入れ、25℃、200r.p.m.で48時間振とう攪拌した。吸着原液のリン酸濃度と48時間振とう攪拌後のそれとの差から該ジルコニウムフェライト水和物重量当たりのリン吸着量を計算した。またA〜Hの測定過程で、経時的(3、12、30h)に5mlをマイクロピペットでサンプリングし、リン濃度の変化を経時的に測定した。
Figure 2005161219
表3のF〜Hのデータに示すように、実排水を想定した濃度水準(50mg-N/l)のアンモニア性窒素及び硝酸性窒素の各共存イオンが存在する場合と、これらが存在しない場合とで、48時間後のリン濃度及びリン吸着量に殆ど差が認められず、このような濃度のアンモニア性窒素等の共存イオンの存在は、ジルコニウムフェライト水和物の所定時間に於けるリンの吸着量に殆ど影響のないことが分かる。
また表3のA〜Cのデータに示すように、吸着原液中のリン濃度が30mg/lと高濃度側に設定されている場合であっても、前記濃度水準(50mg-N/l)のアンモニア性窒素等の共存イオン有無による48時間後のリン濃度及びリン吸着量に殆ど差が認められず、これらがジルコニウムフェライト水和物のリンの吸着量に殆ど影響を与えていないことが分かる。表3のD、Eのデータに示すように、共存イオンの濃度を500mg/lと10倍に高い設定にしても、48時間後のリン濃度及びリン吸着量に差が認められなかった。
また吸着原液中のリンの濃度変化は、前記異種イオンの共存しないAの場合と、共存するB〜Eの場合とで、吸着速度に差違は認められなかった。
前記リン吸着材は、このジルコニウムフェライト水和物を、前記したように、有機高分子樹脂で粒状に、例えば、球状に固化させたものであり、その粒径は、特定のそれに限定されるものではないが、平均粒径0.7〜2mmのそれを採用するのが、実用上、見掛比重、充填密度、比表面積の観点から適当である。
以下に粒径1mm及び2mmのリン吸着材について測定した物性値(見掛比重、充填密度、比表面積(N2BET法))を表4に示す。
Figure 2005161219
なお前記リン吸着材は、前記のように、アルカリ性溶液中では、吸着したリン酸イオンの離脱を行えるものであり、またリン酸イオンを離脱させたアルカリ性溶液中のリン酸イオンの回収は、例えば、該溶液に常温常圧で過剰のNaOHを添加することによりナトリウム塩として析出させて行うことができる。リン酸イオンを離脱させたリン吸着材は、これを、例えば、2%のH2SO4水溶液で処理して再活性化させることができる。
その機構は以下に示す通りである。
(1)リン酸イオンは、以下のように、NaOHを添加してナトリウム塩として析出させて回収する。
3H++(PO43-+3Na+3OH → Na3PO4↓+3H2
(2)リン酸イオンを離脱させたリン吸着材は、以下のように、2%のH2SO4の水溶液によって処理することで再活性化する。
M−OH+2H+ → M−OH・H+
従って本発明の排水中のリンの除去装置によれば、排水処理浄化槽からの排水を受け入れ、残存するリンをリン吸着槽でリン吸着材により効率よく吸着除去することができる。受け入れる排水は、前記排水処理浄化槽で処理され、浄化されているが、T−P:5mg/lの外にT−N:10mg/lも残存しており、後者は、アンモニア性窒素又は硝酸性窒素のイオンとして溶解している。しかし、前記のように、これらの異種イオンの共存状態は、該リン吸着材のリンの吸着作用に影響を与えることはなく、前記のように、良好にリンの吸着作用を行うことができる。
またリン吸着材として使用するジルコニウムフェライト水和物は、前記のように、その表面に多数存在する水酸基が酸性溶液中ではアニオン交換体として作用し、リン酸イオンの吸着を行うものであるが、前記したように、pH7前後でも十分実用的な吸着能力を発揮し、効率よくリンの吸着を行うことができるものである。更に、このリン吸着材は、水温が低くなると僅かにリン吸着能が低下する傾向は認められるが、20℃のそれと10℃のそれとの間に顕著な差は認められず、季節変動の影響は小さく、年間を通じて高いレベルでリン酸イオンの吸着を行うことができるものである。
このリン吸着材の破過点到達は処理水のリン酸イオン濃度を測定し、例えば、これが0.5mg/lを越えた点をそれと設定し、その時点で該リン吸着材の交換を行うようにし、これによってこの装置のリン除去能力を維持することができる。
リンの飽和吸着に達して装置から取り除かれたリン吸着材は、前記したように、アルカリ溶液で処理することにより、吸着したリンを離脱させることができる。具体的には、該リン吸着材を、その容量の10倍以上の容量の7%水酸化ナトリウム水溶液中に投入し、20℃程度の温度の下で、これを振とう攪拌する。これを所要時間実行することによって吸着していたリン酸の殆ど全量を離脱させることができる。リンを離脱させたリン吸着材は、前記したように、2%の硫酸水溶液で処理することによって再活性化させることができる。こうしてリン吸着材は繰り返し使用することができることになる。また先に述べたように、リン酸イオンを離脱させたアルカリ性溶液中のリン酸イオンの回収は、例えば、該溶液に常温常圧で過剰のNaOHを添加することによりナトリウム塩として析出させて行うことができる。こうしてリンを有価物として回収できることになる。
前記のように、本発明の排水中のリンの除去装置を既存の排水処理浄化槽の後段に設置して、その処理水からのリンの除去に使用する構成とした場合には、該排水処理浄化槽の生物処理槽より後段でリンの除去を行うものとなるため、該生物処理槽中の微生物の活動にリン不足による悪影響を与えることがない。それ故、既存の排水処理浄化槽に於けるBOD成分及び窒素の除去に悪影響を与えることなく、その処理水中に残存するリンを効率よく除去できることとなるものである。また既存の排水処理浄化槽に、その処理水のリンの除去のために、後付で設置できるので好都合である。
また前記のように、本発明の排水中のリンの除去装置を、嫌気処理槽、生物処理槽及び放流槽からなる排水処理浄化槽の最終段の放流槽中に組み込む構成とした場合は、その後段に設置する場合と同様に、該生物処理槽中の微生物の活動にリン不足による悪影響を与えることなく、その処理水中に残存するリンを効率よく除去できるものであるが、更に装置をコンパクトにできる利点も得られる。
この実施例1の排水中のリンの除去装置は、図1に示すように、リン吸着槽1と、その内部途中に構成した吸着材充填部2と、最終放流槽3と、該最終放流槽3とリン吸着槽1との間に介在させた逆洗水槽4と、該逆洗水槽4中の逆洗ポンプ5であって、前記リン吸着槽1中の吸着材充填部2の下方まで延長した逆洗用配管6に接続した逆洗ポンプ5と、前記逆洗水槽4と前記最終放流槽3との間に配した薬剤筒7と、前記リン吸着槽1と最終放流槽3との間に配した逆洗排水兼オーバーフロー管8とを備えたものである。
前記吸着材充填部2は、前記リン吸着槽1の底部近くにその上下を区画するように網状部材を配して構成した部位であり、該網状部材の目開きは、云うまでもなく、該吸着材充填部2に充填する球状のリン吸着材9の径より小さいものに設定する。リン吸着材9としては、先に説明したジルコニウムフェライト水和物を有機高分子樹脂で球状に成形固化させた部材を採用する。この実施例では、リン吸着材9として平均粒径1.0mmのそれを採用した。
前記リン吸着槽1には、その上部に流入管1aが接続してあり、これを介して図示しない既存の排水処理浄化槽の処理水が原水として導入されるようになっている。導入された原水は該リン吸着槽1の吸着材充填部2に充填されたリン吸着材9間を通じて流下し、この過程でその中に残存しているリン酸イオンが、前記したように反応して、該リン吸着材9に吸着除去されることとなる。
吸着材充填部2の下方に至った処理水は、前記逆洗ポンプ5から該吸着材充填部2の下方まで延長している逆洗用配管6を通じて逆洗水槽4に移行し、該逆洗水槽4に至った処理水は、オーバーフローによって隣接する最終放流槽3側に流入移行するようになっている。前記したように、逆洗水槽4と最終放流槽3との間には薬剤筒7が配してあり、オーバーフローした処理水は、該薬剤筒7を設置した受台上で薬剤に接触し、滅菌されつつ最終放流槽3に流下することとなる。
該最終放流槽3にはその上部に放流管3aが構成してあり、これを通じて滅菌された処理水が放流されるようになっている。
前記逆洗水槽4の逆洗ポンプ5は1日1回逆洗動作するように制御され、これが動作すると、逆洗水槽4に移行していた処理水が逆洗水となって逆洗用配管6を通じてリン吸着槽1に圧送され、その吸着材充填部2の下方から該部位に充填されているリン吸着材9に向かって噴出される。該リン吸着材9はこれによって逆洗され、押し上げられて、展開状態となる。こうしてリン吸着材9はSS等による目詰まりが解消されることになる。逆洗排水は前記逆洗排水兼オーバーフロー管8を介して最終放流槽3側に排水され、前記薬剤筒7を設置した受台上で薬剤に接触して、滅菌されつつ該最終放流槽3に流下移行することとなる。
前記リン吸着槽1に瞬間的に多量の流入水があった場合には、逆洗時と同様に、前記逆洗排水兼オーバーフロー管8を介して最終放流槽3側にこれが排水され、前記薬剤筒7の受台上で薬剤に接触して滅菌されつつ該最終放流槽3に流下する。
なおこの実施例1は5人家族用の排水処理浄化槽の処理水を原水として処理する装置として構成したものであり、リン吸着槽1の容量は0.091m3、リン吸着材9の吸着材充填部2への充填量は0.052m3、逆洗水槽4の容量は0.190m3、放流槽3の容量は0.160m3としたものである。
この実施例1の排水中のリンの除去装置による運転結果を表5に示す。BOD、SS、T−N、T−P及びpHに関するデータは、リン吸着材9の交換後20日時点のそれを示している。












Figure 2005161219
表5によれば、導入排水中に含まれていた5.12mg/lのリンが放流水の段階では0.02mg/lまで低下しており、十分なリン除去結果を得ていると言うことができる。更に破過点到達日数は58日であり、リン吸着材9が飽和吸着量に達するまでに十分長い期間があり、交換の頻度も少なくて済むこととなる。
破過点に達したリン吸着材9は新たなリン吸着材9と交換し、取り出したリン吸着材9を、前記したように、7%水酸化ナトリウム溶液中に浸漬して攪拌後3時間放置し、吸着したリン酸イオンの離脱を行った。その後、該溶液中から取り出したリン吸着材9を2%の硫酸水溶液に浸漬して攪拌した後、2時間放置して再活性化させた。
リン吸着材9から離脱させたリン酸イオンは、その離脱溶液中に更に7%の水酸化ナトリウム溶液を添加した上で、25℃、50rpmの攪拌条件下で、粒状水酸化ナトリウムを少しずつ添加して行き、リン酸のナトリウム塩として析出させ濾別した。リン酸のナトリウム塩として回収したリンは、リン吸着材9の1g当たり15mgとなった。
この実施例2の排水中のリンの除去装置は、図2に示すように、家庭用の排水処理浄化槽の放流槽23中に組み込んだものである。
該放流槽23を区画してリン吸着槽11と最終放流槽13とを構成し、リン吸着槽11には、その高さ方向途中に吸着材充填部12を構成する。該吸着材充填部12はその最下部に網状部材を配してその下方と区画した部位であり、該網状部材の目開きは該吸着材充填部12に充填する球状のリン吸着材19の径より小さいものに設定する。リン吸着材19としては、実施例1と同様のジルコニウムフェライト水和物を有機高分子樹脂で球状に成形固化させた部材を採用する。この実施例2では、リン吸着材19として平均粒径2.0mmのそれを採用した。
前記リン吸着槽11には、その上部に、排水処理浄化槽の後述する生物処理槽22の濾材充填部22aの下方から延長した流入管11aを接続し、該生物処理槽22の処理水をこれを通じて受け入れるようになっている。該流入管11aには、逆洗時に逆洗水が前記生物処理槽22側に逆流しないように、その途中に逆止弁11bを介在させてある。また該リン吸着槽11の最下部には隣接する最終放流槽13にその処理水を移行させる開口部が形成してあり、更にその上部には逆洗時に逆洗水を最終放流槽13側に流下させるオーバーフロー管14が形成してある。
前記最終放流槽13にはその内部に逆洗ポンプ15が配してあり、該逆洗ポンプ15には前記リン吸着槽11中の吸着材充填部12の下方まで、更にここから前記生物処理槽22の濾材充填部22aの下方まで延長した逆洗用配管16を接続してある。また該最終放流槽13には、その内側上部に薬剤筒17が配してあり、上側部に放流管13aが構成してあり、これを通じて滅菌された処理水が放流されるようになっている。
この排水中のリンの除去装置をその放流槽23中に組み込んだ排水処理浄化槽は、第1嫌気処理槽20、第2嫌気処理槽21、前記生物処理槽22及び放流槽23からなる構成であり、第1及び第2嫌気処理槽20、21には、各々脱窒菌等の嫌気性微生物が定着する濾材充填部20a、21aがその中位の位置に構成してあり、前記生物処理槽22には、前記のように、その中位の位置に硝酸菌や亜硝酸菌等の好気性の微生物が定着する濾材充填部22aが構成してある。濾材充填部20a、21aには嫌気性微生物の定着のためにプラスチック製のハニカムチューブを濾材として充填してあり、濾材充填部22aには好気性微生物用の定着のためにセラミック製の多孔質粒材が濾材として充填してある。
前記第1嫌気処理槽20の入口側上側部には、トイレ、台所、風呂及び洗面所等からの排水を原水として導入する流入管20bが配してあり、これを通じて導入された原水は徐々に濾材充填部20aに充填されている濾材中を通ってその下方に移動し、その処理水はその下方から隣接する移行部20cに移行し、更に該移行部20cの上部から第2嫌気処理槽21にオーバーフローによって流入するようになっている。第2嫌気処理部21でも、同様に、該処理水は、徐々に濾材充填部21aに充填されている濾材中を通ってその下方に移動し、その下方から隣接する移行部21cに移行し、更に該移行部21cの上部から前記生物処理槽22にオーバーフローによって流入するようになっている。
生物処理槽22に流入した処理水は、同様に、徐々にその濾材充填部22aに充填されている濾材中を通ってその下方に移動し、更にその処理水は、その下方から流入管11aを通じて隣接するリン吸着槽11に供給されるようになっている。また該生物処理槽22では、濾材充填部22aの下方にエアレータ22bが配され、これによって空気が供給され、内部が好気性状態に維持されるようになっている。
更に該生物処理槽22では、1日1回、前記逆洗ポンプ15による逆洗動作により、最終放流槽13に移行していた処理水が逆洗水となり、前記逆洗用配管16を通じて圧送され、これが濾材充填部22aの下方から該部位に充填されている濾材に向かって噴出される。該濾材はこれによって逆洗され、押し上げられて、展開状態となる。こうして該濾材はSS等による目詰まりが解消されることになる。また逆洗排水及び該生物処理槽22に於ける処理水の一部は逆流し、移行部21cの上部を通じて第2嫌気処理槽21に、更にはその上部及び移行部20cの上部を通じて第1嫌気処理槽20まで返送されることになる。
この排水処理浄化槽では、以上のように、第1嫌気処理槽20及び第2嫌気処理槽21と好気性処理槽である生物処理槽22との間の嫌気性条件下と好気性条件下の作用を循環させ、硝化・脱窒を行うものである。これらの脱窒の過程では有機物の分解作用も行われる。
前記原水は、前記のように、まず第1嫌気処理槽20で受け入れられ、ここで嫌気性条件下で脱窒作用を受ける。その処理を受けた処理水は更に第2嫌気処理槽21でも残存する成分が同様に嫌気性条件下で脱窒作用を受ける。後述するように、前記生物処理槽22では、好気性条件下で、アンモニウム性窒素が硝化作用により順次亜硝酸性窒素(NO2-N)へ、更に硝酸性窒素(NO3-N)へと変換され、これらが含まれた処理水が、前記のように、逆洗過程を経て第1及び第2嫌気処理槽20、21に返送され、嫌気性条件下で脱窒菌の作用により窒素(N2)ガスに還元される。この脱窒反応には水素供与体の存在が不可欠であるが、これらの第1及び第2嫌気処理槽20、21では、この水素供与体として原水に含まれている有機物が用いられる。これらの脱窒菌は、前記のように、濾材充填部20a、21aに充填されている濾材に定着しており、処理水はこれらに接触して脱窒作用を受ける。
前記のように、第1嫌気処理槽20及び第2嫌気処理槽21で処理された処理水は生物処理槽22に移行し、好気性条件下で硝化作用を受ける。この作用は、BOD酸化細菌の異化代謝によって有機態窒素から変換されたアンモニウム性窒素(NH4-N)を硝化菌、即ち、アンモニア酸化細菌及び亜硝酸酸化細菌によって、順次、亜硝酸性窒素(NO2-N)から硝酸性窒素(NO3-N)に酸化する作用である。このような硝化菌は、前記濾材充填部22aに充填されている濾材に定着しており、処理水はエアレータ22bの作用で流動し、これらと接触して良好に消化作用を受ける。また生物処理槽22内は好気性条件に保持される。
こうして処理され、BOD成分及び窒素がそれぞれ10mg/l以下まで除去された処理水が、原水として、前記のように、流入管11aを通じてリン吸着槽11に導入される。導入された原水は該リン吸着槽11の吸着材充填部12に充填されたリン吸着材19間を通じて流下し、この過程でその中に残存しているリン酸イオンが、前記したように反応して、該リン吸着材19に吸着除去されることとなる。
吸着材充填部12の下方に至った処理水は、リン吸着槽1の最下部に形成してある開口部を通じて隣接する最終放流槽13に移行する。最終放流槽13では、その内側上部に配した薬剤筒17から薬剤が添加され、上側部に構成した放流管13aを通じて滅菌された処理水が放流されることとなる。
他方、最終放流槽13中の逆洗ポンプ15は、1日1回逆洗動作するように制御され、これが動作すると、最終放流槽13に移行していた処理水が逆洗水となって逆洗配管16を通じてリン吸着槽11及び前記生物処理槽22の下部に圧送され、一方で、前者の吸着材充填部12の下方から該部位に充填されているリン吸着材19に向かって噴出される。該リン吸着材19はこれによって逆洗され、押し上げられて、展開状態となる。こうしてリン吸着材19はSS等による目詰まりが解消されることになる。逆洗排水は前記オーバーフロー管14を介してまた最終放流槽13に流下排水されることとなる。この逆洗排水は、先に述べたように、薬剤筒17から添加される薬剤で滅菌され、いずれ放流されることになる。なお前記流入管11aには、前記のように、逆止弁11bが挿入してあり、逆洗水が前記生物処理槽22側に流入することはない。
前記逆洗配管16で圧送される逆洗水は、他方で、前記生物処理槽22の下部に送り込まれ、その濾材充填部22aの下方から該部位に充填されている濾材に向かって噴出され、前記のように、該生物処理槽22の逆洗作用及び該生物処理槽22からの処理水の返送作用を行うこととなる。
なおこの実施例2は5人家族用の排水処理浄化槽の放流槽23に組み込む態様で構成したものであり、実施例1のそれと同様に、リン吸着槽11の容量は0.091m3、リン吸着材19の吸着材充填部12への充填量は0.052m3とし、放流槽13の容量は0.350m3としたものである。
この実施例2の排水中のリンの除去装置による運転結果を表6に示す。BOD、SS、T−N、T−P及びpHに関するデータは、リン吸着材19の交換後20日のそれを示している。
Figure 2005161219
表6によれば、導入排水中に含まれていた5.10mg/lのリンが放流水の段階では0.02mg/lまで低下しており、十分なリン除去結果を得ていると言うことができる。更に破過点到達日数は59日であり、リン吸着材19が飽和吸着量に達するまでに十分長い期間があり、交換の頻度も少なくて済むこととなる。
破過点に達したリン吸着材19は、新たなリン吸着材19と交換し、取り出したリン吸着材19は、実施例1のそれと同様に処理して、リン酸イオンの離脱を行い、再活性化させた。またリン吸着材19から離脱させたリン酸イオンも、実施例1のそれと同様に処理して、リン酸のナトリウム塩として回収した。回収したリンはリン吸着材19の1g当たり15.3mgとなった。
実施例1の排水中のリンの除去装置の概略説明図。 実施例2の排水中のリンの除去装置の概略説明図。
符号の説明
1 リン吸着槽
1a 流入管
2 吸着材充填部
3 最終放流槽
3a 放流管
4 逆洗水槽
5 逆洗ポンプ
6 逆洗用配管
7 薬剤筒
8 逆洗排水兼オーバーフロー管
9 リン吸着材
11 リン吸着槽
11a 流入管
11b 逆止弁
12 吸着材充填部
13 最終放流槽
13a 放流管
14 オーバーフロー管
15 逆洗ポンプ
16 逆洗用配管
17 薬剤筒
19 リン吸着材
20 第1嫌気処理槽
20a、21a 濾材充填部
20b 流入管
20c 移行部
21 第2嫌気処理槽
21c 移行部
22 生物処理槽
22a 濾材充填部
22b エアレータ
23 排水処理浄化槽の放流槽

Claims (6)

  1. 排水処理浄化槽からのBOD成分及び窒素を除去した排水を導入して残存するリンの除去処理を行う排水中のリンの除去装置であって、
    前記排水を導入するリン吸着槽と、該リン吸着槽に構成した吸着材充填部であって、ジルコニウムフェライト水和物を有機高分子樹脂で粒状に固化させたリン吸着材を充填した吸着材充填部と、該リン吸着槽の処理水を受け入れ、該処理水を消毒の上放流する最終放流槽とを備えた排水中のリンの除去装置。
  2. 前記吸着材充填部を前記リン吸着槽の高さ方向途中の位置に構成し、
    前記排水処理浄化槽の排水を前記リン吸着槽に導入する導入配管を前記吸着材充填部の上方に接続し、
    前記リン吸着槽と前記最終放流槽との間に逆洗水槽を介在させ、該逆洗水槽に逆洗ポンプを配すると共に、該逆洗ポンプから逆洗用配管を該リン吸着槽の前記吸着材充填部の下方まで延長し、該逆洗用配管を通じて、該リン吸着槽の処理水の逆洗水槽への移行及び逆洗水槽からの逆洗水のリン吸着槽下部への圧送を行えるように構成し、
    前記逆洗水槽の上部には前記リン吸着槽から流入した処理水を前記最終放流槽に移行させる移行口を構成し、
    更に前記リン吸着槽の吸着材充填部の上方には逆洗時に逆洗水を最終放流槽に移行させる逆洗排水配管を配した請求項1の排水中のリンの除去装置。
  3. 前記排水処理浄化槽として、原水を導入して処理する嫌気処理槽と、該嫌気処理槽の処理水を導入して処理する生物処理槽であって、その処理水の一部を該嫌気処理槽に返送する生物処理槽と、該生物処理槽の処理水を受け取って消毒の上これを放流する放流槽とからなる排水処理槽を採用し、
    前記リン吸着槽を該排水処理槽の放流槽を区画して構成し、
    前記リン吸着材を充填した吸着材充填部を該リン吸着槽中に構成し、
    該リン吸着槽の処理水を受け入れ、該処理水を消毒の上放流する最終放流槽として、該排水処理槽の放流槽の区画外の領域を利用することとした請求項1の排水中のリンの除去装置。
  4. 前記吸着材充填部を前記リン吸着槽の高さ方向途中の位置に構成し、
    前記生物処理槽の処理水を前記リン吸着槽に導入する導入配管を、該生物処理槽の濾材の下方と該吸着材充填部の上方との間を連通させるべく、その間に配設し、
    前記リン吸着槽の吸着材充填部より下方の位置にその処理水を前記最終放流槽に移行させる移行口を開口し、
    更に前記リン吸着槽の吸着材充填部の下方に、前記最終放流槽から延びる逆洗用配管であって、該最終放流槽内の処理水をこれに圧送すべく逆洗ポンプを接続した逆洗用配管を設置し、
    前記リン吸着槽の吸着材充填部の上方には逆洗水を溢水させる溢水口を放流槽側に開口し、
    前記導入配管の途中に逆洗時に該リン吸着槽からの逆洗水が前記生物処理槽側に逆流しないように逆止弁を挿入した請求項3の排水中のリンの除去装置。
  5. 前記逆洗用配管を、前記生物処理槽の濾材の下方まで延長すべく構成した請求項4の排水中のリンの除去装置。
  6. 前記リン吸着材として平均粒径0.7〜2mmのそれを採用した請求項1、2、3、4又は5の排水中のリンの除去装置。
JP2003404585A 2003-12-03 2003-12-03 排水中のリンの除去装置 Pending JP2005161219A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2003404585A JP2005161219A (ja) 2003-12-03 2003-12-03 排水中のリンの除去装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2003404585A JP2005161219A (ja) 2003-12-03 2003-12-03 排水中のリンの除去装置

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2005161219A true JP2005161219A (ja) 2005-06-23

Family

ID=34727539

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2003404585A Pending JP2005161219A (ja) 2003-12-03 2003-12-03 排水中のリンの除去装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2005161219A (ja)

Cited By (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007319819A (ja) * 2006-06-02 2007-12-13 Kansai Pgs Kk リンの回収方法
JP2009234647A (ja) * 2008-03-28 2009-10-15 Swato Inc 浄化槽セット及び浄化装置セット並びに排水浄化処理方法
KR101021213B1 (ko) * 2009-07-28 2011-03-11 주식회사 환경시설관리공사 지르코늄 페라이트 충진 카트리지 필터를 이용한 폐수 방류수의 인제거·회수장치 및 방법
CN102795744A (zh) * 2012-08-10 2012-11-28 杭州净洋环保科技有限公司 一体化生活污水脱氮除磷装置
CN110217883A (zh) * 2019-07-12 2019-09-10 福州大学 一种流态改良型的高效化粪池及其工作方法
CN115583761A (zh) * 2022-10-31 2023-01-10 西安建筑科技大学 一种横流式生物滤池系统、脱氮除磷方法
WO2023238922A1 (ja) * 2022-06-10 2023-12-14 フジクリーン工業株式会社 水質浄化緑化方法及び水質浄化緑化装置

Cited By (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007319819A (ja) * 2006-06-02 2007-12-13 Kansai Pgs Kk リンの回収方法
JP2009234647A (ja) * 2008-03-28 2009-10-15 Swato Inc 浄化槽セット及び浄化装置セット並びに排水浄化処理方法
KR101021213B1 (ko) * 2009-07-28 2011-03-11 주식회사 환경시설관리공사 지르코늄 페라이트 충진 카트리지 필터를 이용한 폐수 방류수의 인제거·회수장치 및 방법
CN102795744A (zh) * 2012-08-10 2012-11-28 杭州净洋环保科技有限公司 一体化生活污水脱氮除磷装置
CN110217883A (zh) * 2019-07-12 2019-09-10 福州大学 一种流态改良型的高效化粪池及其工作方法
WO2023238922A1 (ja) * 2022-06-10 2023-12-14 フジクリーン工業株式会社 水質浄化緑化方法及び水質浄化緑化装置
CN115583761A (zh) * 2022-10-31 2023-01-10 西安建筑科技大学 一种横流式生物滤池系统、脱氮除磷方法

Similar Documents

Publication Publication Date Title
CN102786183B (zh) 垃圾渗滤液的处理方法
CN105417842A (zh) 高浓度难降解液晶电子工业废水的深度处理方法
CN113003846B (zh) 高含盐量和高cod的污水的零排放处理工艺和系统
KR100948197B1 (ko) 간헐반응 및 분리막과 전기분해장치를 이용한 질소 및 인 제거를 위한 고도 수처리 장치 및 이를 이용한 고도 수처리방법
CN103553282A (zh) 焦化废水深度处理工艺
CN105565553A (zh) 含氰重金属污水零排放净化回用系统
JPH11114596A (ja) 超純水製造方法および超純水製造装置
CN110803833A (zh) 一种石油化工ro浓盐水处理系统及其方法
JP2005161219A (ja) 排水中のリンの除去装置
CN104250055A (zh) 一种乙烯废碱液的达标处理方法
CN113003845B (zh) 高硫酸盐含量和高cod的污水的零排放处理工艺和系统
CN111484173A (zh) 一种水体的深度高效净化系统
US5407572A (en) Systematic tertiary effluent polishing
Grdulska et al. Estrogen removal from wastewater
CN111484174A (zh) 一种水体脱氮吸附除磷深度净化工艺
KR20160053901A (ko) 금속반응기를 이용한 총인 및 폐수처리 시스템
JP5079285B2 (ja) 汚水浄化槽
JPH10258285A (ja) 汚水処理装置
KR100583904B1 (ko) 오ㆍ폐수 고도처리 시스템
KR100447039B1 (ko) 하수 재 이용 정화처리시스템과 정화처리방법
WO2003101896A1 (fr) Procede et dispositif de traitement des eaux usees
CN113493274A (zh) 一种水体的深度高效净化方法
CN207259331U (zh) 一种餐厨垃圾浆料发酵废水处理装置
JP2001179273A (ja) 汚泥貯留槽及びその汚泥貯留槽を有した汚水浄化槽
KR20030076549A (ko) 스트루바이트 침전을 이용한 영양염류 처리장치

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20050906

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20070730

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20070803

A02 Decision of refusal

Effective date: 20071129

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02