しかし、上記従来のような半導体部品を最外層に実装する多層板では多層板の面積自体が小型化される傾向にあるため、集積度の向上にも自ずと限界がある。
そのため、半導体部品の一部を多層板の内部に埋め込む方法が提案されている。例えば、特開平5−343855号公報や特開平9−214090号公報などには抵抗体などの受動素子を多層板の厚さ方向に穿孔した貫通孔内に埋め込む方法が開示されている。
しかし、これらの方法では、受動素子を埋め込むための貫通孔を穿孔する工程とその貫通孔内に受動素子前駆体を充填する工程が必要となるため、全体の工数が多く、かえって手間がかかるために製造コスト的に採算が取れない、という問題がある。
本発明は上記従来の問題を解決するためになされた発明である。即ち、本発明は、できるだけ少ない製造工程で集積度が高く、部品実装時のデザインの幅が広くとれる多層板を製造することのできるプリント配線基板の製造方法およびそのようなプリント配線基板を提供することを目的とする。
本発明の一実施形態に係るプリント配線基板は、絶縁性基材と、前記絶縁性基材の両面にそれぞれ配設された第1の配線層及び第2の配線層と、前記絶縁性基材の厚さ方向に貫通して形成され、前記第1の配線層と第2の配線層とを接続する導体バンプ群と、前記第1の配線層と前記第2の配線層との間に複数の前記導体バンプと接して埋設され、前記複数の導体バンプの間で受動素子を形成する誘電性組成物又は抵抗性組成物からなる受動素子部材と、を具備する。
上記プリント配線基板は以下の方法により製造される。即ち、本発明の一実施形態に係るプリン配線基板製造方法は、第1の導体板上に略円錐形の導体バンプ群を形成する工程と、前記導体バンプ群上に絶縁性基材を載置する工程と、前記第1の導体板と前記絶縁性基材とをプレスして前記導体バンプ群を前記絶縁性基材に貫通させる工程と、第2の導体板上に誘電性組成物又は抵抗性組成物を塗布して受動素子部材を形成する工程と、前記第1の導体板と前記第2の導体板とを、前記導体バンプ群と前記受動素子部材とを対向させて載置する工程と、前記第1の導体板と前記第2の導体板とを前記導体バンプ群のうちの少なくとも二つが前記受動素子部材と接するようにプレスして前記導体バンプ群のうちの少なくとも二つの間で受動素子を形成する工程と、前記第1の導体板と前記第2の導体板とをパターニングしてそれぞれ第1の配線層と第2の配線層とを形成する工程と、を具備する。
上記プリント配線基板及びその製造方法において、前記受動素子部材は前記導体バンプと導体バンプとの間に配設されていてもよく、前記導体バンプと前記導体板との間に配設されていてもよく、更に導体バンプの先端側と前記導体板との間に配設されていてもよく、また、導体バンプの底面側と前記導体板との間に配設されていてもよい。
本発明の一実施形態に係るプリント配線基板製造方法は、第1の導体板上に略円錐形の導体バンプ群を形成する工程と、前記導体バンプ群上に絶縁性基材を載置する工程と、前記第1の導体板と前記絶縁性基材とをプレスして前記導体バンプ群を前記絶縁性基材に貫通させる工程と、第2の導体板上の、前記導体バンプが当接する部分と前記導体バンプが当接する部分との間に誘電性組成物又は抵抗性組成物を塗布して受動素子部材を形成する工程と、前記第1の導体板と前記第2の導体板とを、前記導体バンプ群と前記受動素子部材とが対向する向きに載置する工程と、前記第1の導体板と前記第2の導体板とをプレスして前記導体バンプ群を前記第2の導体板に当接させ、それにより前記導体バンプと前記受動素子部材との間で受動素子を形成する工程と、前記第1の導体板及び第2の導体板とをパターニングしてそれぞれ第1の配線層と第2の配線層とを形成する工程と、を具備する。
このプリント配線基板製造方法により、以下のプリント配線基板が得られる。即ち本発明の一実施形態に係るプリント配線基板は、絶縁性基材と、前記絶縁性基材の両面にそれぞれ配設された第1の配線層及び第2の配線層と、前記絶縁性基材の厚さ方向に貫通して形成され、前記第1の配線層と第2の配線層とを層間接続する導体バンプ群と、前記導体バンプ群の少なくとも二つの導体バンプの間にわたって配設され、前記二つの導体バンプとの間で受動素子を形成する誘電性組成物又は抵抗性組成物からなる受動素子部材と、を具備する。
本発明の更に別のプリント配線基板製造方法は、第1の導体板上に略円錐形の第1の導体バンプ群を形成する工程と、前記第1の導体バンプ群上に第1の絶縁性基材を載置する工程と、前記第1の導体板と前記第1の絶縁性基材とをプレスして前記第1の導体バンプ群を前記第1の絶縁性基材に貫通させる工程と、第2の導体板上の、前記第1の導体バンプが当接する部分の隙間に誘電性組成物又は抵抗性組成物を塗布して第1の受動素子部材を形成する工程と、前記第1の導体板と前記第2の導体板とを、前記第1の導体バンプ群と前記第1の受動素子部材とを対向させて載置する工程と、前記第1の導体板と前記第2の導体板とをプレスして前記第1の導体バンプ群を前記第2の導体板に当接させ、それにより前記第1の導体バンプと前記第1の受動素子部材との間で第1の受動素子を形成する工程と、前記第1の導体板及び第2の導体板とをパターニングしてそれぞれ第1の配線層と第2の配線層とを形成し、第1の積層体を得る工程と、前記第1の配線層上の、第2の導体バンプが当接する部分の隙間に第2の誘電性組成物又は抵抗性組成物を塗布して第2の受動素子部材を形成する工程と、第3の導体板上に略円錐形の第2の導体バンプ群を形成する工程と、前記第2の導体バンプ群上に第2の絶縁性基材を載置する工程と、前記第3の導体板と前記第2の絶縁性基材とをプレスして前記第2の導体バンプ群を前記第2の絶縁性基材に貫通させる工程と、前記第1の積層体と前記第3の導体板とを、前記第2の受動素子部材と前記第2の導体バンプ群とを対向させて載置する工程と、前記第1の積層体と前記第3の導体板とをプレスして前記第2の導体バンプ群を前記第1の配線層に当接させ、それにより前記第2の導体バンプと前記第2の受動素子部材との間で第2の受動素子を形成する工程と、前記第3の導体板をパターニングして第3の配線層を形成する工程と、を具備する。
上記方法により、下記のプリント配線基板が得られる。即ち、本発明の更に別のプリント配線基板は、第1の絶縁性基材と、前記第1の絶縁性基材の第1の面に配設された第1の配線層と、前記第1の絶縁性基材の第2の面に配設された第2の配線層と、前記第1の絶縁性基材の厚さ方向に貫通して形成され、前記第1の配線層と前記第2の配線層とを接続する第1の導体バンプ群と、前記第1の導体バンプ群の少なくとも二つの導体バンプの間にわたって配設され、前記二つの導体バンプとの間で第1の受動素子を形成する誘電性組成物又は抵抗性組成物からなる第1の受動素子部材と、前記第1の配線層を介して前記第1の絶縁性基材の第1の面に積層された第2の絶縁性基材と、前記第2の絶縁性基材の、前記第1の配線層と反対側の面に配設された第3の配線層と、前記第2の絶縁性基材の厚さ方向に貫通して形成され、前記第1の配線層と前記第3の配線層とを接続する略円錐形の第2の導体バンプ群と、前記第2の導体バンプ群の少なくとも二つの導体バンプの間にわたって配設され、前記二つの導体バンプとの間で第2の受動素子を形成する誘電性組成物又は抵抗性組成物からなる第2の受動素子部材と、を具備する。
上記プリント配線基板及びその製造方法において、前記第1の受動素子と第2の受動素子とは同種類の素子でもよいし、別種類の素子でもよい。
本発明の更にもうひとつのプリント配線基板製造方法は、第1の導体板上に略円錐形の導体バンプ群を形成する工程と、前記導体バンプ群上に絶縁性基材を載置する工程と、前記第1の導体板と前記絶縁性基材とをプレスして前記導体バンプ群を前記絶縁性基材に貫通させる工程と、第2の導体板上の、前記導体バンプが当接する部分の周辺に誘電性組成物又は抵抗性組成物を塗布して受動素子部材を形成する工程と、前記第1の導体板と前記第2の導体板とを前記導体バンプ群と前記受動素子部材とを対向させて載置する工程と、前記第1の導体板と前記第2の導体板とを前記絶縁性基材を介してプレスして一部の前記導体バンプ群を前記前記第2の導体板に当接させるとともに他の一部の前記導体バンプ群を前記受動素子部材の表面に当接させ、それにより前記導体バンプ群、前記受動素子部材、及び前記第2の導体板との間で受動素子を形成する工程と、前記第1の導体板及び第2の導体板とをパターニングしてそれぞれ第1の配線層と第2の配線層とを形成する工程と、を具備する。
この方法により、下記のプリント配線基板が得られる。即ち、本発明の更にもう一つのプリント配線基板は、絶縁性基材と、前記絶縁性基材の両面にそれぞれ配設された第1の配線層及び第2の配線層と、前記絶縁性基材の厚さ方向に貫通して形成され、前記第1の配線層と第2の配線層とを接続する第1の導体バンプ群と、前記絶縁性基材と前記第1の配線層又は前記第2の配線層との間に埋設され、誘電性組成物又は抵抗性組成物からなる受動素子部材と、前記絶縁性基材の厚さ方向に貫通して形成され、前記第1の配線層又は第2の配線層と前記受動素子部材との間で受動素子を形成する第2の導体バンプ群と、を具備する。
上記プリント配線基板において、前記受動素子部材は、前記第2の導体バンプ群の先端側と前記第1の配線層又は第2の配線層との間に介挿されていて良い。
また、上記プリント配線基板において、前記受動素子部材は、前記第2の導体バンプ群の底面側と前記第1の配線層又は第2の配線層との間に介挿されていても良い。
本発明の更に他のプリント配線基板製造方法は、第1の導体板上に略円錐形の導体バンプ群を形成する工程と、前記導体バンプ群上に絶縁性基材を載置する工程と、前記第1の導体板と前記絶縁性基材とをプレスして前記導体バンプ群を前記絶縁性基材に貫通させる工程と、第2の導体板上の、前記導体バンプ群のうちの一部の導体バンプが当接する部分に誘電性組成物又は抵抗性組成物を塗布して、受動素子部材を形成する工程と、前記第1の導体板と前記第2の導体板とを、前記導体バンプ群と前記受動素子部材とが対向する向きに載置する工程と、前記第1の導体板と前記第2の導体板とをプレスして前記導体バンプ群を前記第2の導体板に当接させ、それにより前記一部の導体バンプと前記受動素子部材との間で受動素子を形成する工程と、前記第1の導体板及び第2の導体板とをパターニングしてそれぞれ第1の配線層と第2の配線層とを形成する工程と、を具備する。
本発明の一実施形態に係るプリント配線基板の製造方法は、第1の導体板の一部に誘電性組成物又は抵抗性組成物を塗布して、受動素子部材を形成する工程と、前記第1の導体板上及び前記受動素子部材上に略円錐形の導体バンプ群を形成する工程と、前記導体バンプ群上に絶縁性基材と、更にその上に第2の導体板とを載置する工程と、前記第1の導体板と前記第2の導体板とをプレスして前記導体バンプ群を前記絶縁性基材に貫通させると同時に前記第1の導体板、前記受動素子部材、及び前記導体バンプ群の一部との間で受動素子を形成する工程と、前記第1の導体板及び第2の導体板とをパターニングしてそれぞれ第1の配線層と第2の配線層とを形成する工程と、を具備する。
本発明の他の一実施形態に係るプリント配線基板は、絶縁性基材と、前記絶縁性基材の両面にそれぞれ配設された第1の配線層及び第2の配線層と、誘電性組成物又は抵抗性組成物からなり、前記絶縁性基材の厚さ方向に前記第1の配線層と第2の配線層とを層間接続し、前記第1の配線層及び第2の配線層との間で受動素子を形成するバンプと、を具備する。
このプリント配線基板は、例えば下記の方法により製造される。即ち、本発明の他の一実施形態に係るプリント配線基板製造方法は、第1の導体板上に誘電性組成物又は抵抗性組成物を用いて略円錐形のバンプ群を形成する工程と、前記バンプ群上に絶縁性基材と、更にその上に第2の導体板とを載置する工程と、前記第1の導体板と前記第2の導体板とをプレスして前記バンプ群を前記絶縁性基材に貫通させると同時に前記第2の導体板に当接させ、それにより前記第1の導体板、前記バンプ、及び前記第2の導体板との間で受動素子を形成する工程と、前記第1の導体板及び第2の導体板とをパターニングしてそれぞれ第1の配線層と第2の配線層とを形成する工程と、を具備する。
本発明では、導体バンプ貫通法による製造工程の途中で誘電性組成物又は抵抗性組成物を導体板の表面に塗布するので、貫通孔を穿孔したり、その貫通孔内に誘電性組成物又は抵抗性組成物を充填する手間が省ける。その結果、導体バンプ貫通法の製造工程に比べ、僅かな工程を追加するだけで受動素子を多層板内に形成することができ、製造工程数の増加を最小限に抑えることができる。
また、本発明では、誘電性組成物又は抵抗性組成物からなる受動性素子部材を絶縁性基材とこの絶縁性基材に積層される導体板や配線層との間に埋設され、導体バンプ、導体板、或いは配線層、との間で受動素子を形成するので、多層板の内部に所定の受動素子を内蔵させることができる。そのため、多層板の最外層表面を広く利用することができ、より多くの素子や部品を実装することができるので、集積度を更に向上させることができる。
本発明によれば、導体バンプ貫通法による製造工程の途中で誘電性組成物又は抵抗性組成物を導体板の表面に塗布するので、貫通孔を穿孔したり、その貫通孔内に誘電性組成物又は抵抗性組成物を充填する手間が省ける。その結果、導体バンプ貫通法の製造工程に比べ、僅かな工程を追加するだけで受動素子を多層板内に形成することができ、製造工程数の増加を最小限に抑えることができる。
また、本発明では、誘電性組成物又は抵抗性組成物からなる受動性素子部材を絶縁性基材とこの絶縁性基材に積層される導体板や配線層との間に埋設され、導体バンプ、導体板、或いは配線層、との間で受動素子を形成するので、多層板の内部に所定の受動素子を内蔵させることができる。そのため、多層板の最外層表面を広く利用することができ、より多くの素子や部品を実装することができるので、集積度を更に向上させることができる。
(第1の実施の形態)
以下、本発明の実施形態に係るプリント配線基板の製造方法について説明する。図1は本実施形態に係るプリント配線基板の製造方法のフローを示したフローチャートであり、図2〜図15は同プリント配線基板の製造方法の各工程を模式的に示した垂直断面図である。
図2に示したように、まず銅箔などの導体板1(第1の導体板)の片面に印刷技術により銀ペーストなどの導電性組成物を用いて略円錐形の導体バンプ群2,2,…を形成する(ステップ1)。
次に図3に示すように、こうして形成した導体バンプ群2,2,…の上に絶縁性基材としての絶縁性基材プリプレグ(以下、絶縁性基材プリプレグを単に「プリプレグ」という。)3を載置する(ステップ2)。この状態で例えば表面が弾性材料で形成されたローラーの間を通過させるなどの方法により前記導体板1とプリプレグ3とをプレスする(ステップ3)と、導体バンプ群2,2,…がプリプレグ3を貫通して反対側に突抜ける。それと同時に導体バンプ群2,2,…の先端部分はローラーの弾性材料に押しつけられて丸まった形になり、図4に示したような積層体4が得られる。
一方、前記積層体4とは別個に別の導体板(第2の導体板)5を用意し、図5に示したようにこの導体板5の一方の表面上に受動素子を形成する組成物を例えば印刷技術を用いて塗布して(ステップ1')受動素子部材6を形成する。この受動素子部材6を構成する誘電性組成物や抵抗性組成物などの組成物としては、例えば銀ペーストなどのように所定の電気的特性を備えた粉状物や微粒子を樹脂とその溶剤に分散させたものが挙げられる。この組成物を塗布して形成される受動素子部材6は、塗布後乾燥することにより誘電体層や抵抗体層を形成し、配線層を構成する導体板と組み合わされることにより、それぞれコンデンサーや抵抗として機能する。
この受動素子部材を形成する位置としては、図6に示したような隣接する二つの導体バンプ2と導体バンプ2との隙間が挙げられる。図6中点線で示した円は導体バンプ2の外形を示しており、大きい方の円は導体バンプ2の底面を示し、小さい方の円は導体板5に突き当てられた導体バンプ2の当接面を示している。
なお、図6に示した位置の変形例として、図7に示したように隣接する二つの導体バンプ2,2を包含する長方形に塗布する方法や、図8に示したように隣接する二つの導体バンプ2,2を包含する長円形に塗布する方法、或いは図9に示すように隣接する二つの導体バンプ2,2の側面の内側の半分どうしと接するように半円形の切り欠き部分を備えた形状に塗布する方法などが挙げられる。
次に、誘電性組成物又は抵抗性組成物を塗布したら、乾燥して受動素子部材6を形成する(ステップ2')。こうして得た導体板5と積層体4とを、図10に示すように受動素子部材6と導体バンプ群2,2,…の先端とが対向する向きに載置する(ステップ4)。この状態で例えばローラープレス間に通すことにより導体板5と積層体4とをプレスすると(ステップ5)、プリプレグ3の図10中上面に突き出た導体バンプ群2,2,…の先端部分が導体板5表面に当接され、図11に示したように導体板1と5との間での層間接続が形成される。それと同時に受動素子部材6と隣接する二つの導体バンプ2a,2bの各側面の一部との間で接触が形成され、図11に示したような積層体7が形成される。
こうして得た積層体7の上下各面の導体板1及び導体板5について、例えばエッチングを施すことによりパターニングして、それぞれ配線パターン1a及び配線パターン5aを形成し、上下二層の多層板7aが形成される。
また、このパターニングにより受動素子部材6が接していた部分の導体板5が除去されることにより、導体バンプ2a,2b、導体バンプ2a,2bの頭部で接する配線層5a,5a、及び受動素子部材6とが組み合わさって一つの受動素子が形成される。
なお、受動素子部材6とこの受動素子部材6に接触して受動素子の端子の一部を構成する二つの導体バンプ2a,2bとの係合状態は図12に示したような導体バンプ2a,2bの各側面の内側どうしを接続させるような状態の他にもいくつかの変形例が考えられる。
例えば、図13に示したように受動素子部材6を完全に貫通した状態である。これは図7に示した配置の垂直断面に相当する。或いは、図14に示したように導体バンプ2a,2bの先端の一部、各内側が受動素子部材6の左右両端とそれぞれ接している場合である。
更に、図15に示したように、導体バンプ2a,2bの各先端が受動素子部材6を完全に貫通しておらず、受動素子部材6の途中で係止したようになっていてもよい。
以上詳述したように、本実施形態によれば、導体バンプ群を用いて層間接続する多層板の製造過程で誘電性組成物又は抵抗性組成物を導体板の表面に塗布するので、受動素子を埋設するだけのためにわざわざ貫通孔を穿孔したり、その貫通孔内に誘電性組成物又は抵抗性組成物を充填するといった作業が不要である。
その結果、導体バンプ貫通法の製造工程に対して、受動素子部材を形成するという工程を追加するだけで済み、追加の工程を最小限に留めながら受動素子を多層板内に形成することができる。
また、本実施形態では、誘電性組成物又は抵抗性組成物からなる受動性素子部材を絶縁性基材とこの絶縁性基材に積層される導体板や配線層との間に埋設され、導体バンプ、導体板、或いは配線層、との間で受動素子を形成するので、多層板の内部に所定の受動素子を内蔵させることができる。そのため、多層板の最外層表面を広く利用することができ、より多くの素子や部品を実装することができるので、集積度を更に向上させることができる。
以下、本実施形態に係る多層板を用いた半導体パッケージと従来の多層板を用いた半導体パッケージの集積度の違いについて説明する。図16は従来の多層板を用いた半導体パッケージの垂直断面図であり、図17は本実施形態に係る多層板を用いた半導体パッケージの垂直断面図である。
従来の多層板では半導体チップ56と電源線側配線層51aとを接続する際に抵抗RやコンデンサーCなどを介挿するには図16に示したように、電源線側配線層51aに接続された配線層54aと半導体チップ56と接続された配線層54bとの間に抵抗やコンデンサーなどの受動素子55を接続しており、この受動素子55を接続するためのスペースが必要となる。そのため、集積度を上げるための障害となっていた。
一方、本実施形態の多層板では、抵抗やコンデンサーなどの受動素子を形成する受動素子部材60を絶縁性基材53内の導体バンプ52aと導体バンプ52bとの間に配設してあるので、図17に示したように半導体チップ56を配線層54bに接続するだけで、電源線側配線層51aと半導体チップ56との間に受動素子を介挿した配線を形成することができる。そのため、受動素子55を基板の上面に配設するためのスペースが不要になり、その分半導体パッケージを小型化でき、集積度を向上させることができる。
なお、本発明は上記実施形態の内容に限定されるものではない。
例えば、上記実施形態では受動素子部材は隣接する二つの導体バンプの間にわたって配設されているが、一つの受動素子部材に三つ以上の導体バンプが接触していてもよい。また、上記実施形態では1枚の絶縁性基材の両面に配線層1a,5aが形成されたいわゆる二層の配線層からなる多層板7aを例にして説明したが、本発明が三層以上の配線層からなる多層板にも使用できることはいうまでもない。
更に、本実施形態において、導体バンプを貫通させるのに使用する絶縁性基材としては、ガラスクロスやマット、有機合成繊維布やマット、或いは紙などの補強材で強化された合成樹脂系シートが挙げられる。その厚さは20〜400μm程度が好ましい。ここで、合成樹脂としては、例えばポリカーボネート樹脂、ポリスルホン樹脂、熱可塑性ポリイミド樹脂、ポリ4フッ化エチレン6フッ化プロピレン樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂などの熱可塑性樹脂、エポキシ樹脂、ビスマレイミドトリアジン樹脂、ポリイミド樹脂、フェノール樹脂、ポリエステル樹脂、メラミン樹脂などの熱硬化性樹脂、あるいはブタジエンゴム、ブチルゴム、天然ゴム、ネオプレンゴム、シリコーンゴムなどのゴム類が挙げられる。
そして、前記略円錐形の導体バンプの形成は、導電性組成物で形成する場合、例えば比較的厚いメタルマスクを用いた印刷法で、アスペクト比の高い略円錐形の導体バンプ群を形成できる。また、前記略円錐形の導体バンプ群の高さは、一般的に、20〜500μm程度が可能である。
本発明において、略円錐形の導体バンプ群を導電性金属で形成する手段としては、例えば、銅箔などの支持基体面の所定位置に、金もしくは銅のボールを押し付け、しかる後に引き離すことにより先端が尖った略円錐形の導体(素子)群を形成できる。また予め、略円錐形の導体の形に対応する凹部を形成したプレートに溶融金属を注入し、略円錐形の導体バンプ群を形成することも可能である。更に他の手段として、支持フィルム面上に感光性レジストを厚めに塗布し、支持フィルム側から露光することにより先端が尖った台形の凹部を持った窪み群を形成した後、前記支持フィルムを除去し、この支持フィルム除去面に金属膜を張り、銅、金、銀、半田などをメッキして所定位置に微小な略円錐形の導体バンプ群を形成してもよい。
また、本発明において、前記略円錐形の導体バンプ群を支持する基体としては、離形性のあるフィルムあるいは金属箔などが挙げられ、この支持基体は1枚のシートであってもよく、パターン化されたものでもよく、その形状は特に限定されない。
更に本発明において、前記略円錐形の導体バンプを合成樹脂系シートに貫通させる手段として、例えば、略円錐形の導体バンプ群を形成した支持基体、及び合成樹脂系シートなどをロールから巻き戻しながら、加熱して樹脂分を柔らかくし、例えば、寸法や変形の少ない金属製、硬質な耐熱性樹脂製、もしくはセラミック製のローラと、合成樹脂側には加圧したとき弾性的に変形するローラ、例えば前記のようなゴム製のローラとの間を通過させることにより、略円錐形の導体バンプが貫通し、合成樹脂系シート表面に両端側が露出してなる多層板を連続的に製造することができる。
(第2の実施形態)
以下、本発明の第2の実施形態について説明する。なお、本実施形態以降の実施形態のうち、先行する実施形態と重複する部分については説明を省略する。
図18は本実施形態に係るプリント配線基板の製造方法のフローを示したフローチャートであり、図19〜図23は同製造方法の各工程を模式的に示した垂直断面図である。
本実施形態に係るプリント配線基板を製造するには、図18のステップ1a〜6aに従って多層板7aを形成する。このステップ1a〜6aは、上記第1の実施形態のステップ1〜6と同じ内容であり、本実施形態のステップ1b〜2bは、受動素子部材6を形成する組成物を「第1の組成物1」と命名した以外は上記第1の実施形態のステップ1'〜2'と同じである。
ステップ1a〜6a及びステップ1b〜2bを経て図19に示したような多層板7aが得られたら、この多層板7aの図中上面側に形成された配線層5bと配線層5cとにわたって、受動素子を形成する組成物2を例えば印刷技術を用いて塗布し(ステップ7a)、図20に示したような受動素子部材8(第1の受動素子部材)を形成する。
この第2の受動素子部材8は前記受動素子部材6と同じ性質の受動素子を形成するものであっても、異なる性質の受動素子を形成するものであってもよいが、同じ性質の受動素子は同一層上に形成することが製造工程上有利であるので、図20のように形成する層が異なる場合には異なる性質の受動素子を配設するのが好ましい。例えば、受動素子部材6が抵抗Rを構成する抵抗性組成物を塗布したものであれば、受動素子部材8はコンデンサーCを構成する誘電性組成物を塗布したものにするのが好ましい。
図20のように第2の組成物を塗布したら、この第2の組成物を乾燥させて第2の受動素子部材8を形成して(ステップ8a)、積層体7bを得る。
一方、積層体7bとは別個に導体板11を用意し、この導体板11上に導体バンプ群12,12,…を形成し(ステップ1c)、これにプリプレグ13を載置し(ステップ2c)、プレスして(ステップ3c)、図21のような積層体14を形成する。
次に先の積層体7bと積層体14とを、図21に示したように導体バンプ群12,12,…の先端側と第2の受動素子部材8とが対向する向きに載置し(ステップ9a)する。
しかる後にこの状態で積層体7bと積層体14とを例えばローラープレス間に通すことによりプレスして(ステップ10a)、導体バンプ群12,12,…の先端側を配線層5a〜5bに当接させる。このとき、導体バンプ群12,12,…の一部(導体バンプ12aと12b)は第2の受動素子部材8を貫通してから配線層5b,5cに当接する。この第2の受動素子部材8を貫通することにより導体バンプ12aと12bとは受動素子部材8と接触して第2の受動素子を形成し、図22に示したような積層体15を形成する。
次いでこの積層体15の図中上面の導体板11について例えばエッチング処理を施すことによりパターニングして(ステップ11a)、配線層11aを形成することにより図23に示したような多層板16が得られる。
本実施形態では、種類の異なる二つの受動素子を異なる絶縁性基材の中に埋設しているので、更に集積度を向上させることができるという特有の効果が得られる。
また、本実施形態では異なる種類の受動素子部材を異なる絶縁性基材の層に形成しているので、同一層上に2種類の組成物を塗り分ける手間が掛からないので、追加される工数を最小限に抑えることができる。
(第3の実施形態)
本実施形態では、第1の実施形態で用いた積層体4と同じ積層体4を用いる。
図24は本実施形態に係るプリント配線基板の製造方法のフローを示したフローチャートであり、図25〜図27は同製造方法の各工程を模式的に示した垂直断面図である。
本実施形態に係るプリント配線基板を製造するには、図24のステップ1d〜3dの工程を行なうことにより図25に示したような積層体4を得る。この積層体4とは別個に別の導体板21を用意し、この導体板21の一方の面上の、導体バンプ2aを突き当てる位置に第1の組成物を例えば印刷技術を用いて塗布する(ステップ1e)。またこのとき、導体バンプ2bを突き当てる位置に第2の組成物を塗布してもよい。上記第1の組成物と第2の組成物とは同種類の受動素子を形成する組成物であってもよく、また異なる種類の受動素子を形成する組成物であってもよい。
導体板21上に第1の組成物と希望する場合には第2の組成物とを塗布後乾燥して(ステップ2e)、図25に示したような受動素子部材22と受動素子部材23とを形成する。
しかる後に導体板21と積層体4とを、図25に示したように導体バンプ群2a,2b,2,2,…の先端側と受動素子部材22,23とが対向する向きに載置する(ステップ4d)。この状態で導体板21と積層体4とを例えばローラープレス間に通すことによりプレスすると(ステップ5d)、導体バンプ2aが受動素子部材22の図中下面側に当接し、導体バンプ2bが受動素子部材23の図中下面側に当接すると同時に導体バンプ群2,2,…の先端側が導体板21に当接して図26に示したような導体板1と導体21との間で層間接続が形成された積層体24が得られる。
こうして得られた積層体24の上下の導体板1及び21について例えばエッチング処理を施すことによりパターニングして(ステップ6d)、それぞれ配線層1a及び配線層21aを形成することにより図27に示したような多層板25が得られる。
本実施形態によれば、導体バンプ2aや導体バンプ2bと導体板21との間で基板の厚さ方向に受動素子を形成しているので、配線層21aの図中水平方向の広がりが極めて小さい受動素子を基板内に形成することができる。したがって、配線層21a上には更に各種半導体素子を高密度で実装できるので、集積度を更に向上させることができる、という特有の効果が得られる。
なお、受動素子部材22と23とを同じ誘電性組成物又は抵抗性組成物を用いて形成してもよいことは言うまでもない。
(第4の実施形態)
図28は本実施形態に係るプリント配線基板の製造方法のフローを示したフローチャートであり、図29〜図33は同製造方法の各工程を模式的に示した垂直断面図である。
本実施形態に係るプリント配線基板を製造するには、まず銅箔などの導体板31を用意し、この導体板31の上に例えば印刷技術を用いて誘電性組成物又は抵抗性組成物を塗布する(ステップ1f)。こうして誘電性組成物又は抵抗性組成物を塗布した導体板31を乾燥して(ステップ2f)、図29に示したような受動素子部材32,32が形成された導体板31Aを得る。
次に導体板31Aの受動素子32,32を形成した面上に例えば印刷技術を用いて例えば銀ペーストなどの導電性組成物からなる略円錐形の導体バンプ群33,33,…を形成して(ステップ3f)、図30に示したような導体板31Bを得る。
このとき、受動素子部材32,32の上面上に導体バンプ33a,33aが形成される。
こうして得た導体板31Bの導体バンプ群33a,33a,33,33,…の上にプリプレグ34と更にその上に別の導体板35とを載置し(ステップ4f)、この状態で導体板31B、プリプレグ34、及び導体板35を例えばローラープレスの間に通すなどの方法によりプレスすると(ステップ5f)、導体バンプ群33a,33a,33,33,…がプリプレグ34を貫通し、導体バンプ群33a,33a,33,33,…の先端側が導体板35の下面側に当接して図32に示したような導体板31と導体板35との間が層間接続された積層体36が得られる。
こうして得た積層体36の上下各面の導体板31,35について例えばエッチング処理によりパターニングすると(ステップ6f)、図33に示したような多層板37が形成される。
本実施形態では、受動素子部材32を導体バンプ33aの底面側に配設しているので、導体バンプ33aとの接続が確実となる。また、受動素子部材32の厚さが終始一定であるので、受動素子の能力を所期の値のものにすることが容易になるという特有の効果が得られる。
また、本実施形態によれば、導体バンプ33aと導体板31,35との間で基板の厚さ方向に受動素子を形成しているので、配線層31a,35aの図中水平方向の広がりが極めて小さい受動素子を基板内に形成することができる。したがって、配線層31a,35a上には更に各種半導体素子を高密度で実装できるので、集積度を更に向上させることができる、という効果が得られる。
(第5の実施形態)
図34は本実施形態に係るプリント配線基板の製造方法のフローを示したフローチャートであり、図35〜図38は同製造方法の各工程を模式的に示した垂直断面図である。
本実施形態に係るプリント配線基板を製造するには、まず銅箔などの導体板41を用意し、この導体板41の上に例えば印刷技術により誘電性組成物又は抵抗性組成物などの所期の受動素子を形成する組成物を用いて略円錐形のバンプ群42,42,…を形成し(ステップ1g)、次いでこれらバンプ群42,42,…を乾燥して(ステップ2g)、図35に示したような導体板41Aを得る。
次に、図36に示したように導体板41のバンプ群42,42,…の上に絶縁性基材プリプレグ43と、更にその上に別の導体板44とを載置する(ステップ3g)。
しかる後にこの状態で導体板41A、プリプレグ43、及び導体板44を、例えばローラープレス間を通すなどの方法によりプレスすると(ステップ4g)、バンプ群42,42,…が絶縁性基材プリプレグ43に貫通すると同時にバンプ群42,42,…の先端側が導体板44に当接して図37に示したような前記導体板41と導体板44との間で層間接続が形成された積層体45が得られる。
こうして得られた積層体45の上下各面に配設された導体板41,44に例えばエッチング処理を施すなどの方法によりパターニングを行ない(ステップ5g)、図38に示したような配線層41a,44aがそれぞれ形成された多層板46が得られる。
本実施形態では、バンプ自体を誘電性組成物又は抵抗性組成物で構成しているので、多層板完成後はバンプ自身がコンデンサーCや抵抗Rなどの受動素子として機能する。そのため、更に集積度を向上させることができる。
上述した各実施形態に記載された基板内蔵抵抗(抵抗組成物の塗布・印刷により基板内に形成された抵抗)、基板内蔵コンデンサー(コンデンサー組成物の塗布・印刷により基板内に形成されたコンデンサー)はプリント配線基板上に形成される電気回路のいかなる抵抗、コンデンサーとしても使用可能であるが、特に電源端子、GND端子接続部に形成された場合には、その基板に実装する半導体装置の設計変更によって端子位置が変更される可能性が低く、特に有効である。
また、これらの端子に接続される受動素子は特性変動の許容範囲が広いため、本発明の実施は特に有効である。