JP4305257B2 - 自動適合装置 - Google Patents

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Description

本発明は自動適合装置に関する。
従来より新しい内燃機関を開発するときには最適な機関の出力値を得ることのできる機関運転制御用パラメータの値を探索する作業、即ち適合作業が行われる。この適合作業では、燃料噴射量や燃料噴射時期のようなパラメータの各値を経験に基づいて少しずつ変化させることにより長い時間をかけて最適な機関の出力値、例えば最適な排気エミッション量を得ることのできるパラメータの適合値が探索される。これは新しい車両を開発するときについても同様である。
しかしながらこのように経験に基づいてパラメータの適合値を探索するといってもパラメータの数が多くなると最適な各パラメータの適合値を見い出すことが困難となり、しかもパラメータの適合値を見い出すためには長い時間を要するために開発に時間を要するばかりでなく、多大の労力を必要とするという問題がある。
そこでパラメータの適合作業を自動的に行うようにした自動適合装置が既に提案されている(特許文献1参照)。この自動適合装置では、一つの出力値に対して夫々最も影響を与える一つのパラメータを予め定めておき、即ち出力値とパラメータとの組合せを予め定めておき、各パラメータのパラメータ適合値を探索するために各パラメータは、各パラメータと夫々組合されている出力値が夫々対応する目標出力値となるように同時にフィードバック制御される。
特開2002−138889号公報
ところで車両を適合すると言っても、エミッションが多少悪化しても燃費を優先する適合とか、これとは逆に燃費が多少悪化してもエミッションを優先する適合とか目的に応じて種々の狙いが存在する。しかしながら上述の自動適合装置におけるように単に目標出力値を満たすパラメータを探索すると燃費が優先されたパラメータ適合値とエミッションが優先されたパラメータ適合値とがばらばらに混在することになり、目的に沿った狙いをもった適合が行えないという問題がある。また、同じ目標出力値を満たすパラメータの組合せが複数存在する場合には機関回転数又は機関負荷がわずかに異なる二点におけるパラメータ適合値が大きく異なり、その結果機関の制御が不安定になるという問題もある。
上記問題点を解決するために本発明によれば、適合を行う複数の機関の運転状態が予め定められており、予め定められた各機関の運転状態に対して夫々複数の出力値の適合目標値が予め定められており、適合作用を行う際の各出力値の優先順位が各機関の運転状態について夫々予め定められており、各出力値に対して適合すべき複数の機関運転制御用パラメータと各パラメータの操作順序および操作方向が予め定められており、各機関の運転状態において適合作用を行う際にはまず初めに優先順位の最も高い出力値が対応する適合目標値を満たすように出力値に対し予め定められている操作順序および操作方向に各パラメータが順次操作され、次いで次に優先順位の高い出力値が対応する適合目標値を満たすように出力値に対し予め定められている操作順序および操作方向に各パラメータが順次操作され、全ての又はいずれかの出力値が適合目標値を満たさなかった場合にはまず初めに優先順位の最も低い出力値の適合目標値を高くして再度適合作用を行い、それでも全ての又はいずれかの出力値が適合目標値を満たさなかった場合には次に優先順位の低い出力値の適合目標値を高くするようにしている。
燃費優先やエミッション優先等、狙いに沿った適合が可能となる。
図1は圧縮着火式内燃機関の運転制御用パラメータを自動適合するための自動適合装置全体を示している。なお、この場合、内燃機関は火花点火式内燃機関であってもよい。
図1を参照すると、1は機関本体、2は各気筒3の燃焼室内に向けて燃料を噴射するための電気制御式燃料噴射弁、4は吸気マニホルド、5は排気マニホルド、6は排気ターボチャージャを夫々示す。吸気マニホルド4は排気ターボチャージャ6の吸気コンプレッサ6aの出口部に連結され、吸気コンプレッサ6aの入口部は吸気ダクト7を介してエアクリーナ8に連結される。吸気ダクト7内にはステップモータのようなアクチュエータ9により駆動される吸気絞り弁10が配置される。
一方、排気マニホルド5は排気ターボチャージャ6の排気タービン6bの入口部に連結され、排気タービン6bの出口部は排気管12に連結される。吸気マニホルド4と排気マニホルド5とは排気ガス再循環(以下、EGRと称す)通路13を介して互いに連結され、EGR通路13内にはステップモータのようなアクチュエータ14により駆動されるEGR制御弁15が配置されている。
一方、燃料噴射弁2は燃料供給管16を介してコモンレール17に連結される。このコモンレール17内へは電気制御式の吐出量可変な燃料ポンプ18から燃料が供給され、コモンレール17内に供給された燃料は各燃料供給管16を介して燃料噴射弁2に供給される。コモンレール17にはコモンレール17内の燃料圧を検出するための燃料圧センサ19が取付けられ、燃料圧センサ19の出力信号に基づいてコモンレール17内の燃料圧が目標燃料圧となるように燃料ポンプ18の吐出量が制御される。
内燃機関の運転を制御するための電子制御装置20はデジタルコンピュータからなり、双方向性バス21によって互いに接続されたROM(リードオンリメモリ)22、RAN(ランダムアクセスメモリ)23、CPU(マイクロプロセッサ)24、および入出力ポート25を具備する。入出力ポート25には燃料圧センサ19等の種々のセンサの出力信号が夫々対応するAD変換器26を介して入力される。また、アクセルペダル28にはアクセルペダル28の踏込み量に比例した出力電圧を発生する負荷センサ29が接続され、この負荷センサ29の出力信号が対応するAD変換器26を介して入出力ポート25に入力される。クランク角センサ30は例えば機関が15°クランク角回転する毎に出力パルスを発生し、この出力パルスが入出力ポート25に入力される。
一方、入出力ポート25は対応する駆動回路27を介して燃料噴射弁2、スロットル弁用アクチュエータ9、EGR制御弁用アクチュエータ14および燃料ポンプ18に接続される。また、排気タービン6bのディフェーザ部にはアクチュエータ31によって駆動される多数のベーンノズル32からなる可変ノズル機構が配置されており、入出力ポート25は対応する駆動回路27を介してアクチュエータ31に接続される。
図1に示されるように適合作用を行うための電子制御ユニット40が設けられており、内燃機関の出力軸は動力計41に連結されている。この動力計41は電子制御ユニット40に接続されており、電子制御ユニット40によって制御される。また、排気ガス中のNOx量、スモーク濃度、パティキュレート量、HC量、CO量等の排気成分の分析計42と、内燃機関が発生する騒音振動を検出する騒音振動計43とが設けられており、これら排気成分分析計42および騒音振動計43の出力信号は電子制御ユニット40に入力される。また、電子制御ユニット40と電子制御ユニット20の入出力ポート25とは双方向性バス44を介して互いに接続されている。
次に本発明による自動適合方法について説明する。
本発明による自動適合方法では、複数の出力値に対して夫々適合目標値が定められており、各出力値が夫々対応する適合目標値を満たすように機関制御用パラメータが操作され、それによって各パラメータの適合値が探索される。
本発明による実施例では複数の出力値としてエミッション、騒音振動、燃費の全て又はそれらのうちの一部が採用されており、また、エミッションとしては排気ガス中のNOx量、スモーク濃度又はパティキュレート量、HC量、CO量の全て又はそれらのうちの一部が採用されている。また、適合目標値についてみると、本発明による実施例ではこれら出力値のうちNOx量、パティキュレート量、HC量、CO量、燃費の適合目標値はエミッションを評価するための走行モードで走行したときの積算値である総量目標値とされており、残りの出力値、即ち騒音振動、スモーク濃度の適合目標値は各適合運転状態における目標値とされている。また、総量目標値が定められているNOx量、パティキュレート量、HC量、CO量、燃費についても各適合運転状態における適合目標値が合わせて設定されている。
ここで各適合運転状態はマップ上の点として定められており、本発明による実施例では各適合運転状態は図2において黒丸で示されるように機関負荷Lと機関回転数Nの関数である。即ち、図2において黒丸で示される各適合運転状態に対して夫々各出力値の適合目標値が定められている。
一方、本発明による実施例では適合すべき機関制御用パラメータは、メイン噴射時期、パイロット噴射時期、パイロット噴射量、コモンレール圧、EGR制御弁の開度、吸気絞り弁の開度、ターボチャージャの可変ノズルの開度の全て又はそれらのうちの一部である。これらの機関制御用パラメータは前述したように各出力値が夫々対応する適合目標値を満たすように操作される。もう少し具体的に言うと、出力値が適合目標値を超過すると出力値が減少するようにパラメータが操作される。
この場合、本発明による実施例では、出力値が適合目標値を超過したときに操作すべきパラメータの操作順序および操作方向との出力値との関係が図3に示されるように予め記憶されており、出力値が適合目標値を超過したとき、即ち出力値が悪化したときには図3に示す関係に基づいてパラメータの操作順序と操作方向とが決定される。
即ち、図3はスモーク濃度、NOx、HC、CO騒音振動を出力値とし、メイン噴射時期、メイン噴射とパイロット噴射との間隔を示すパイロット噴射間隔、パイロット噴射量、コモンレール圧、EGR制御弁を機関運転制御用パラメータとした例を示している。図3は出力値のうちの一つが適合目標値を超過している場合を示しており、適合目標値を超過している出力値が出力値の悪化項目の欄に記載されている。なお、燃焼が良好になり、燃費が良好となるほどHC,CO量は減少するので出力値のうちでHC,CO量は燃費の良さを表している。
一方、パラメータを示す欄において丸で囲まれた数字はパラメータの操作順序を示している。例えば図3においてスモークが悪化した場合には操作順序がEGR制御弁、メイン噴射時期、コモンレール圧、パイロット噴射間隔、パイロット噴射量とされている。この操作順序は、経験上から対応する出力値の低減に対して与える影響が大きいと考えられる順である。
また、パラメータを示す欄における文字はパラメータの操作方向を示している。例えばスモークが悪化した場合におけるEGR制御弁は操作方向がEGR制御弁を閉弁する方向であることを示している。また、パラメータを示す欄において二つの文字が存在する場合はいずれの操作方向が出力値の低減に影響を与えるかがわからない場合とか、噴射時期によって操作方向が異なる場合である。例えばスモークが悪化した場合におけるメイン噴射時期はスモーク濃度を低減するのに噴射時期を遅角する方がよいのか進角する方がよいのかわからない場合である。また、HC,COが悪化した場合におけるメイン噴射時期は噴射時期がBTDC(圧縮上死点前)であれば遅角し、ATDC(圧縮上死点後)であれば進角すべきことを示している。
一方、本発明では、出力値が予め定められた優先順位に従って順次夫々対応する適合目標値を満たすように各パラメータが操作され、これら出力値の優先順位が機関の運転状態に応じて予め定められている。具体的に言うと本発明による実施例では図4に示されるように機関の運転領域が複数の運転領域A,B,C,Dに分割されており、図5に示されるように各運転領域A,B,C,Dにおいて各出力値に対し夫々異なる優先順位が付与されている。
詳細に言うと、本発明による実施例では図4に示されるように機関の運転領域が低速低負荷領域Aと、低速中負荷および中高速低中負荷領域Bと、低速高負荷領域Cと、中高速高負荷領域Dとの4つの領域に分割されており、図5に示されるように領域Aについては優先順序が1HC,CO、2騒音振動、3スモーク、4NOxとされ、領域Bについては優先順序が1NOx、2スモーク、3騒音振動、4HC,COとされ、領域Cについては優先順序が1スモーク、2HC,CO、3騒音振動、4NOxとされ、領域Dについては1HC,CO、2スモーク、3騒音振動、4NOxとされる。
即ち、低速低負荷領域Aでは特にアイドリング運転時における燃費の向上が最優先課題であり、更にアイドリング運転時における機関振動の抑制も重要課題である。これに対して低速低負荷運転時には燃料噴射量が少ないのでスモーク濃度又はパティキュレート排出量が少なく、燃焼温度が低いためにNOxの発生量は少ない。即ち、低速低負荷運転時にはスモーク濃度やパティキュレート排出量、およびNOxの排出量はほとんど問題にならない。従って低速低負荷領域Aでは燃費の向上、即ちHC,COの低減が優先度1であり、騒音振動の抑制が優先度2となる。
一方、低速中負荷および中高速低中負荷領域Bは通常運転時に最も頻繁に使用される領域である。従ってこの領域Bではエミッションの低減が最優先課題となる。この領域Bでは大量のEGRガスを再循環させても比較的燃焼が成立しやすく、従って大量のEGRガスを再循環させたとしてもスモークの大量発生を回避しうる。一方、大量のEGRガスを再循環させるとNOxの発生量は低減する。従ってこの領域Bでは大量のEGRガスが再循環せしめられ、NOxの低減が優先度1とされ、スモークの低減が優先度2とされる。
一方、低速高負荷領域Cは主に加速運転の初期に表われる。この領域Cでは燃料噴射量が増大するものの吸入空気の移送遅れにより吸入空気量が不足しがちであり、従ってスモークが発生しやすくなる。従ってこの領域Cではスモークの抑制が優先度1とされる。また、加速運転の初期には高出力が要求されるので多量の燃料を良好に燃焼させることが必要であり、従ってHC,COの排出量を低減させること、即ち燃費の向上が優先度2とされる。
一方、中高速高負荷領域Dは高出力が要求される領域であり、従ってこの領域Dでは多量の燃料を良好に燃焼させることが必要である。従ってこの領域DではHC,COの排出量を低減させること、即ち燃費の向上が優先度1となる。またこの領域Dでは出力を確保するため及び排気温度が高くなってEGR制御弁15が劣化するのを防止するためにEGRガスの再循環は停止される。従ってNOxを低減させることは困難であるのでこの領域DではNOxの低減は最も低い優先度とされる。一方、EGRガスの再循環が停止されると十分な量の吸入空気量が確保されるのでスモークの発生は抑制され、従ってこの領域Dではスモークの低減が優先度2とされる。
次に図6および図7に示す自動適合ルーチンに沿って本発明による自動適合方法について説明する。
図6および図7を参照するとまず初めにステップ50において適合を行う複数の運転状態、即ち図2おけるマップ上の点の位置が決定される。次いでステップ51では図4に示される各運転領域A,B,C,Dに対して夫々図5に示されるように適合処理を行う対象となる出力値の優先順位が決定される。次いでステップ52では適合を行う個々の運転状態に対して夫々複数の機関運転制御用パラメータの初期値が決定され、合わせて各パラメータの探索範囲が設定される。次いでステップ53では各出力値の適合目標値が算出される。
次いでステップ54では或る一つの適合すべき運転状態においてパラメータ初期値により、機関の運転が行われ、各出力値、即ちHC,CO量、騒音振動の大きさ、スモーク濃度、およびNOx量が検出される。次いでステップ55では各出力値について優先順位に従い評価関数の値D1,D2,D3,D4が算出される。本発明による実施例では評価関数として各出力値の適合目標値に対する出力値の割合、即ち出力値/適合目標値が用いられており、従って図5からわかるように例えば運転領域AについてはHC,CO量/HC,COの適合目標値が評価関数の値D1とされ、騒音振動の大きさ/騒音振動の適合目標値が評価関数の値D2とされ、スモーク濃度/スモーク濃度の適合目標値が評価関数D3とされ、NOx量/NOx量の適合目標値が評価関数のD4とされる。
出力値が適合目標値を満たしているときには評価関数の値は1.0よりも小さいか1.0に等しく、出力値が適合目標値を超過すると評価関数の値は1.0よりも大きくなる。従って本発明による実施例では出力値が適合目標値を超過したときには評価関数の値が1.0以下となるようなパラメータが探索される。
即ち、ステップ55において各評価関数の値D1,D2,D3,D4が算出されるとステップ56に進んで優先順位に従い出力値が対応する適合目標値を満たしているか否か、即ちD1,D2,D3,D4の順で各評価関数の値が1.0以下であるか否かが判別される。即ち、まず初めにステップ56において最も優先度の高い出力値に対する評価関数の値D1が1.0以下であるか否かが判別される。D1>1.0のとき、即ち最も優先度の高い出力値が適合目標値を満たしていないときにはステップ57に進んで最も優先度の高い出力値が適合目標値を満たすように図8に示されるパラメータ操作ルーチンに従ってパラメータの操作が行われる。
即ち、図8のステップ80では直前のステップにおいて、ここではステップ56において適合目標値を満たしていない判断された出力値、即ち最も優先度の高い出力値が適合目標値を満たすように図3に示される出力値とパラメータとの関係に基づいてパラメータの操作順序および操作方向が決定される。次いでステップ81ではステップ80において決定された操作順序および操作方向に従ってパラメータが操作される。次いでステップ82では各出力値に対する評価関数の値D1,D2,D3,D4が算出される。
次いでステップ83ではパラメータ操作を終了すべきか否かが判別される。D1からD4のいずれかが1.0よりも大きいときにはステップ81に戻り、ステップ80において決定された操作順序および操作方法に従ってパラメータが操作される。これに対し、D1からD4の全てが1.0以下になったときには、即ちパラメータの適合が完了したときにはステップ83においてパラメータ操作を終了すべきであると判断され、このときには図7のステップ64に進む。
一方、ステップ81においてステップ80で決定された操作順序および操作方向に従って全てのパラメータ操作を終了したにもかかわらずに出力値が適合目標値を満たしていないときにもステップ83においてパラメータ操作を終了すべきであると判断され、図7のステップ64に進む。即ち、図7のステップ64に進むのはパラメータの適合が完了した場合と、パラメータの適合が完了していない場合とがある。
一方、ステップ56において優先度が1の出力値に対する評価関数D1が1.0以下であると判断されたときにはステップ58に進んで優先度が2の出力値に対する評価関数の値D2が1.0以下であるか否かが判別される。D2>1.0のとき、即ち優先度が2の出力値が適合目標値を満たしていないときにはステップ59に進んで図8に示されるパラメータ操作が行われる。即ち、このときには優先度が2の出力値が適合目標値を満たすように図3に示される出力値とパラメータとの関係に基づいてパラメータが操作される。
一方、ステップ58において優先度が2の出力値に対する評価関数D2が1.0以下であると判断されたときにはステップ60に進んで優先度が3の出力値に対する評価関数の値D3が1.0以下であるか否かが判別される。D3>1.0のとき、即ち優先度が3の出力値が適合目標値を満たしていないときにはステップ61に進んで図8に示されるパラメータ操作が行われる。即ち、このときには優先度が3の出力値が適合目標値を満たすように図3に示される出力値とパラメータとの関係に基づいてパラメータが操作される。
一方、ステップ60において優先度が3の出力値に対する評価関数D3が1.0以下であると判断されたときにはステップ62に進んで優先度が4の出力値に対する評価関数の値D4が1.0以下であるか否かが判別される。D4>1.0のとき、即ち優先度が4の出力値が適合目標値を満たしていないときにはステップ63に進んで図8に示されるパラメータ操作が行われる。即ち、このときには優先度が4の出力値が適合目標値を満たすように図3に示される出力値とパラメータとの関係に基づいてパラメータが操作される。
これに対しステップ62において優先度が4の出力値に対する評価関数D4が1.0以下であると判断されたときにはステップ64に進む。ステップ64では一つの適合すべき運転状態についてパラメータの適合が完了したか否かが判別される。一つの運転状態に対してパラメータの適合が完了したときにはステップ65に進んで全ての運転状態についてパラメータの適合が完了したか否かが判別される。全ての運転状態についてパラメータの適合が完了していないと判断されたときにはステップ66に進んで次に適合を行うべき運転状態に移る。
一方、ステップ64において一つの運転状態に対しパラメータの適合が完了していないと判断されたときには、即ちステップ57,59,61,63のうちのいずれかのステップにおけるパラメータ操作によってもパラメータの適合が完了しなかったときにはステップ67に進んで優先順位の最も低い出力値から順に出力値の適合目標値が高くされる。このステップ67において行われる適合目標値の変更作用が図9に示されている。
即ち、図9に示されるようにステップ90では第1回目の適合目標値変更作用か否かが判別される。第1回目の適合目標値変更作用のときにはステップ91に進んで最低優先度の適合目標値が高くされる。次いでステップ56に戻り、再度適合パラメータの探索作用が行われる。第1回目の適合目標値変更作用が行われてもパラメータの適合作用が完了しないときには図7のステップ64から図9のステップ90を通過してステップ92に進む。このときステップ92では第2回目の適合目標値変更作用であると判断されるのでステップ93に進んで2番目に低い優先度の適合目標値が高くされる。次いでステップ56に戻り、再度適合パラメータの探索作用が行われる。
このように第2回目の適合目標値変更作用が行われてもパラメータの適合作用が完了しないときには図7のステップ64から図9のステップ90および92を通過してステップ94に進む。このときステップ94では第3回目の適合目標値変更作用であると判断されるのでステップ95に進んで3番目に低い優先度の適合目標値が高くされる。次いでステップ56に戻り、再度適合パラメータの探索作用が行われる。このように第3回目の適合目標値変更作用が行われてもパラメータの適合作用が完了しないときには図7のステップ64から図9のステップ90,92および94を通過してステップ96に進む。このときステップ96では第4回目の適合目標値変更作用であると判断されるのでステップ97に進んで4番目に低い優先度の適合目標値が高くされる。次いでステップ56に戻り、再度適合パラメータの探索作用が行われる。
このように第4回目の適合目標値変更作用が行われてもパラメータの適合作用が完了しないときには図7のステップ64から図9のステップ90,92,94および96を通過してステップ98に進む。このときには適合目標値の変更作用が終了せしめられる。なお、通常は1回又は2回の適合目標値の変更作用が行われればパラメータの適合作用は完了する。
図7のステップ65において全ての運転状態におけるパラメータの適合作用が完了したと判断されるとステップ68に進んで総量目標値を有する出力値、即ちNOx量やHC,CO量について、エミッションを評価するための走行モードで走行したときの出力値の積算値が算出される。次いでステップ69では総量目標値を有する出力値が総量目標値を満たしているか否かが判別される。総量目標値を有する出力値が総量目標値を満たしているときには処理サイクルを完了し、自動適合が完了する。これに対して総量目標値を有する出力値が総量目標値を満たしていないときにはステップ70に進んで適合目標値が全体的に見直され、再度適合作用が行われる。
次に図10を参照しつつオンボートで自動適合するようにした自動車について説明する。
図10は自動車に搭載された機関本体1および電子制御ユニット20を示しており、この場合には適合を行うために車両制御用パラメータ(このパラメータは機関制御用パラメータも含む)を入力すると自動車の出力値を出力する車両モデルが使用されている。従ってこの場合、パラメータを操作したときの出力値は車両モデルを用いて算出した値が用いられる。その他の点については図6から図9に示されるルーチンと同じルーチンを用いて適合作業が行われる。なお、この適合作業は工場出荷時又はバッテリ交換時に行うこともできるし車両走行中に行うこともできる。
なお、図10に示されるように排気成分の分析計42、騒音振動計43等を用いて車両の実際の出力値が計測されており、これら計測された出力値に基づいて車両モデルの修正が行われる。
また、図10に示されるように電子制御ユニット20の双方向性バス21にはCD−ROMのような交換可能な記憶媒体33を接続することができ、車両モデルをこの記録媒体33に記憶させることもできる。更に、コンピュータに本発明による自動適合方法を実現させるためのプログラムをこの記録媒体33に記憶させることもできる。
また、排気エミッション規制値や、排気エミッション規制に対する走行モードの異なる区域に移動するような場合には通信ステーションから発信される情報に基づいてこれらエミッション規制値や走行モードが自動的に切換えられることが好ましい。従って走行モードを通信手段によって外部から受信するように構成することもできる。
自動適合装置の全体図である。 マップを示す図である。 パラメータの操作順序および操作方向を示す図である。 各運転領域を示す図である。 出力値の優先順位を示す図である。 自動適合を行うためのフローチャートである。 自動適合を行うためのフローチャートである。 パラメータ操作を行うためのフローチャートである。 適合目標値を変更するためのフローチャートである。 内燃機関の全体図である。
符号の説明
1…機関本体
20,40…電子制御ユニット

Claims (5)

  1. 適合を行う複数の機関の運転状態が予め定められており、該予め定められた各機関の運転状態に対して夫々複数の出力値の適合目標値が予め定められており、適合作用を行う際の各出力値の優先順位が各機関の運転状態について夫々予め定められており、各出力値に対して適合すべき複数の機関運転制御用パラメータと各パラメータの操作順序および操作方向が予め定められており、各機関の運転状態において適合作用を行う際にはまず初めに優先順位の最も高い出力値が対応する適合目標値を満たすように該出力値に対し予め定められている操作順序および操作方向に各パラメータが順次操作され、次いで次に優先順位の高い出力値が対応する適合目標値を満たすように該出力値に対し予め定められている操作順序および操作方向に各パラメータが順次操作され、全ての又はいずれかの出力値が適合目標値を満たさなかった場合にはまず初めに優先順位の最も低い出力値の適合目標値を高くして再度適合作用を行い、それでも全ての又はいずれかの出力値が適合目標値を満たさなかった場合には次に優先順位の低い出力値の適合目標値を高くするようにした自動適合装置。
  2. 出力値がエミッション、騒音振動、燃費の全て又はそれらのうちの一部であり、エミッションが排気ガス中のNOx量、スモーク濃度又はパティキュレート量、HC量、CO量の全て又はそれらのうちの一部である請求項1に記載の自動適合装置。
  3. 上記パラメータは、メイン噴射時期、パイロット噴射時期、パイロット噴射量、コモンレール圧、再循環排気ガス制御弁の開度、吸気絞り弁の開度、ターボチャージャの可変ノズルの開度の全て又はそれらのうちの一部である請求項1に記載の自動適合装置。
  4. 各出力値と、出力値が適合目標値を超過したときに操作すべきパラメータの操作順序および操作方向との関係が予め記憶されており、出力値が適合目標値を超過したときには該関係に基づいてパラメータの操作順序と操作方向とが決定される請求項1に記載の自動適合装置。
  5. 機関の運転領域が複数の運転領域に分割されており、各運転領域において各出力値に対し夫々異なる優先順位が付与されている請求項1に記載の自動適合装置。
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