JP4304916B2 - ヒダントイン類の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は医薬品中間体、甘味料原料および培地成分等として有用なヒダントイン類の製造方法およびヒダントイン酸類の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来ヒダントイン類、特に5置換ヒダントインはBuherer法(J.Prakt.Chem.,140,291,(1934))による製造方法が良く知られている。また、無置換ヒダントインに関しては、炭酸アンモニウムと青化ソーダとパラホルムアルデヒドを反応させる方法(米国特許2663712号公報)、グリコロニトリルと炭酸アンモニウムを反応させる方法(特公昭39−24807号公報)、グリシノニトリルと炭酸ガスを触媒存在下反応させる方法(特開昭61−78769号公報)、グリシノニトリルとシアン酸ソーダを反応しヒダントイン酸を合成し酸性条件下で環化する方法(特開昭54−238556号公報)等が知られている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながらこれらの方法は青化ソーダ、グリシノニトリル、グリコロニトリル等の毒性のある原料を用いる必要があり、工業的に製造する場合製造従事者の安全面の確保が必要であり、さらに製造場所も制限を受ける等の問題があった。また、廃液中に相当量のシアンが含まれるため廃液処理のための特殊な設備も必要であった。所望の置換基を有するヒダントイン類を製造するためには原料入手の面でも問題があった。
【0004】
本発明は上記状況に鑑みてなされたものであり、入手容易で安全な原料を用い、廃液中の毒性化合物が極めて少量である工業的に優れた製造方法を提供することを課題とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、シアン化合物を含まない製造方法として、安全性の高い物質であるα−アミノ酸と尿素類を反応させ、ヒダントイン酸類を合成し、続いて酸性物質存在下において環化反応を行うことによりヒダントイン類を合成できることを見いだし、本発明を完成するに至った。
【0006】
すなわち本発明は以下の事項に関する。
[1]α−アミノ酸と下記一般式(2)
【化8】
(式中、R 2 は水素原子、C1〜C4のアルキル基または置換基を有していてもよいベンジル基を表す。)で表される尿素類を反応させることを特徴とするヒダントイン類の製造方法。
[2]α−アミノ酸と下記一般式(2)
【化9】
(式中、R 2 は水素原子、C1〜C4のアルキル基または置換基を有していてもよいベンジル基を表す。)で表される尿素類を反応させてヒダントイン酸類を合成する工程を含むことを特徴とする上記[1]に記載のヒダントイン類の製造方法。
[3]得られたヒダントイン酸類を酸性物質の存在下で環化させる工程を含むことを特徴とする上記[2]に記載のヒダントイン類の製造方法。
【0007】
[4]α−アミノ酸が、下記一般式(1)
【化10】
(式中、R1は水素原子、C1〜C5のアルキル基または置換基を有していてもよいベンジル基を表す。)で表される化合物である上記[1]ないし[3]のいずれかに記載のヒダントイン類の製造方法。
[5]下記一般式(1)
【化11】
(式中、R1は水素原子、C1〜C5のアルキル基または置換基を有していてもよいベンジル基を表す。)で表されるα−アミノ酸と下記一般式(2)
【化12】
(式中、R2は水素原子、C1〜C4のアルキル基または置換基を有していてもよいベンジル基を表す。)で表される尿素類を反応させて下記一般式(3)
【化13】
(式中、R1は水素原子、C1〜C5のアルキル基または置換基を有していてもよいベンジル基を表し、R2は水素原子、C1〜C4のアルキル基または置換基を有していてもよいベンジル基を表す。)で表される化合物を得ることを特徴とするヒダントイン類の製造方法。
【0008】
[6]酸性物質として、イオン交換樹脂を用いることを特徴とする上記[3]ないし[5]のいずれかに記載のヒダントイン類の製造方法。
[7]酸性物質として鉱酸を用いることを特徴とする上記[3]ないし[5]のいずれかに記載のヒダントイン類の製造方法。
[8]鉱酸が硫酸である上記[7]に記載のヒダントイン類の製造方法。
[9]アンモニアを除去する工程を含むことを特徴とする上記[1]ないし[8]のいずれかに記載のヒダントイン類の製造方法。
[10]発生するアンモニアを系外に除去しながらα−アミノ酸と尿素類を反応させてヒダントイン酸類を合成することを特徴とする上記[1]ないし[9]のいずれかに記載のヒダントイン類の製造方法。
[11]鉱酸で中和することによりアンモニアを除去することを特徴とする上記[9]または[10]に記載のヒダントイン類の製造方法。
【0009】
[12]イオン交換樹脂を用いアンモニアを除去することを特徴とする上記[9]または[10]に記載のヒダントイン類の製造方法。
[13]得られたヒダントイン酸類を酸性物質の存在下で環化させる工程の前に、下記一般式(4)
【化14】
(式中、R1は水素原子、C1〜C5のアルキル基または置換基を有していてもよいベンジル基を表し、R2は水素原子、C1〜C4のアルキル基または置換基を有していてもよいベンジル基を表す。)で表されるヒダントイン酸類を分離することを特徴とする上記[2]ないし[12]のいずれかに記載のヒダントイン類の製造方法。
[14]α−アミノ酸が、グリシン、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、フェニルアラニンから選ばれる化合物である上記[1]ないし[13]のいずれかに記載のヒダントイン類の製造方法。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。本発明のヒダントイン類の製造方法において、出発物質であるα−アミノ酸と尿素類はともに安全性が極めて高く、かつ安価に流通しているため入手しやすい原料である。
【0011】
本発明においては反応液中にはシアン分は含まれず、含有量は1ppm以下とすることができる。また、本発明における反応は常圧で行うことが可能であるため、必ずしも特殊な設備を要求されず、工業的に非常に有利な製造方法である。
【0012】
まず、本発明は、α−アミノ酸と尿素類を反応させるヒダントイン類の製造方法である。本発明において用いるα−アミノ酸としては、例えば、下記一般式(1)
【0013】
【化15】
【0014】
(式中、R1は水素原子、C1〜C5のアルキル基または置換基を有していてもよいベンジル基を表す。)で表されるα−アミノ酸等が挙げられる。
【0015】
具体的には、グリシン、アラニン、ロイシン、イソロイシン、フェニルアラニンなどが挙げられ、これらの中でもグリシン、アラニンが好適に用いられる。ただしこれらは天然型アミノ酸に限定されるものではない。
【0016】
本発明において用いる尿素類としては、例えば、下記一般式(2)
【0017】
【化16】
【0018】
(式中、R2は水素原子、C1〜C4のアルキル基または置換基を有していてもよいベンジル基を表す。)で表される尿素類等が挙げられる。
【0019】
具体的には、尿素、メチル尿素、エチル尿素、イソプロピル尿素、n−ブチル尿素、ベンジル尿素、p−クロロベンジル尿素等が挙げられ、これらの中でも尿素、メチル尿素、ベンジル尿素が好ましく、特に好ましくは尿素である。
【0020】
本発明により得られるヒダントイン類としては、例えば下記一般式(3)
【0021】
【化17】
【0022】
(式中、R1は水素原子、C1〜C5のアルキル基または置換基を有していてもよいベンジル基を表し、R2は水素原子、C1〜C4のアルキル基または置換基を有していてもよいベンジル基を表す。)で表されるヒダントイン類等が挙げられる。
【0023】
具体的には、ヒダントイン、3−メチルヒダントイン、5−メチルヒダントイン、3,5−ジメチルヒダントイン、3−エチルヒダントイン、5−エチルヒダントイン、3,5−ジエチルヒダントイン、3−エチル−5−メチルヒダントイン、3−メチル−5−エチルヒダントイン、3−ベンジルヒダントイン、5−ベンジルヒダントイン、3−ベンジル−5−メチルヒダントイン等が挙げられ、これらの中でもヒダントイン、3−メチルヒダントイン、3−ベンジルヒダントイン、5−メチルヒダントイン、3,5−ジメチルヒダントイン、3−ベンジル−5−メチルヒダントインが好ましく、特に好ましくはヒダントイン、5−メチルヒダントインである。
【0024】
また、本発明によって得られるヒダントイン酸類は、例えば下記一般式(4)
【0025】
【化18】
【0026】
(式中、R1は水素原子、C1〜C5のアルキル基または置換基を有していてもよいベンジル基を表し、R2は水素原子、C1〜C4のアルキル基または置換基を有していてもよいベンジル基を表す。)で表されるヒダントイン酸類等が挙げられる。
【0027】
具体的には、式中、例えば(R1、R2)の組み合わせが、(H、H)、(H、CH3)、(CH3、H)、(CH3、CH3)等のヒダントイン酸類が好ましく、(R1、R2)が(H、H)であるヒダントイン酸がより好ましい。
【0028】
α−アミノ酸がグリシン、尿素類が尿素の場合には、ヒダントイン酸類はヒダントイン酸、ヒダントイン類はヒダントインである。
【0029】
また、本発明はα−アミノ酸と尿素類を反応させてヒダントイン酸類を合成する反応工程(以下「第一反応」という。)を含む、ヒダントイン類の製造方法であり、さらにヒダントイン酸類を酸性物質の存在下において環化させてヒダントイン類を合成する工程(以下「第二反応」という。)を含む、ヒダントイン類の製造方法である。
【0030】
さらに本発明は、α−アミノ酸と尿素類を反応させるヒダントイン酸類の製造方法である。
【0031】
本発明において、α−アミノ酸と尿素類の仕込み比率はモル比で1:1〜5が好ましく、1:1.1〜2がより好ましい。尿素類の比率が低いとα−アミノ酸を基準とした収率が低下し、逆に尿素類の比率が高いと、尿素類の使用量が多くなり工業的に不利である。
【0032】
第一反応において、溶媒としては水を使用することが望ましい。ただし、原料濃度を高め、反応速度を上げるためには、使用する水は極力少なくすることが好ましい。
【0033】
第一反応の温度は80℃〜130℃が好ましく、90〜120℃がより好ましい。さらに好ましくは100℃〜110℃である。反応させる温度が80℃より低いと反応速度が遅く、工程に長時間を要し、逆に温度が130℃より高いと副生物の生成量が多くなり、また着色も激しくなる傾向にある。
【0034】
反応時間は、一概には規定できないが、1時間〜6時間が好ましく、2時間〜5時間がより好ましい。さらに好ましくは2.5時間〜4.5時間である。
【0035】
第一反応においては、アンモニアが副生するため、発生するアンモニアを系外に除去しながら反応を行うことが有利である。発生するアンモニアの除去方法としては、特に制限はなく常法を用いることができるが、例えば、沸点で反応を行い、凝縮液を反応系に戻さずに系外に出すことによって実施可能である。
【0036】
さらに第一反応は、常圧付近である−30kPa〜30kPaで行うことが好ましい。圧力が−30kPaより低いと沸点つまり反応温度が低下し反応速度が遅くなり、30kPaより高いと沸点つまり反応温度が速くなり副生物の生成が増大する傾向がある。
【0037】
また、本発明は第一反応によってヒダントイン酸類を製造する方法を提供する。さらに第一反応後晶析等によってヒダントイン酸類を粗精製することによってアンモニアと分離した後に、これを第二反応に使用することができる。
【0038】
次に、第一反応で得られたヒダントイン酸類からヒダントイン類を得る第二反応について説明する。第二反応においては第一反応で得られたヒダントイン酸類を酸性物質の存在下において環化させてヒダントイン類を得る。
【0039】
第二反応の温度は80℃〜130℃が好ましく、90〜110℃がより好ましい。反応させる温度が80℃より低いと反応速度が遅く、工程に長時間を要し、逆に温度が130℃より高いと副生物の量が多くなり、また着色も激しくなる傾向がある。
【0040】
第二反応においては、第一反応で得られたヒダントイン酸類を精製して使用しても、第一反応液をそのまま、または多少の処理を施した後使用してもよい。
【0041】
第二反応において用いる酸性物質としては、一般的なイオン交換樹脂、硫酸、塩酸、硝酸などの鉱酸等を使用することが可能である。第二反応において、酸性物質としてイオン交換樹脂を使用する場合には、強酸性陽イオン交換樹脂を使用することが好ましい。
【0042】
陽イオン交換樹脂としては、一般に使用されているものを用いることができ、例えば、イオン交換基としてスルホン基等の酸性基を有するイオン交換樹脂であって、さらに具体的にはアンバーライトIR−120B、IR−116、IR−118、IR−122、IR−124(オルガノ社製)、ダイヤイオンのSK−1B、SK−102〜106、PK−208、PK−212(三菱化学株式会社製)等が挙げられる。
【0043】
イオン交換樹脂の使用はバッチ式でも塔式でもよいが、反応収率、連続反応が可能な点等から、塔式が好ましい。イオン交換樹脂を充填した塔に第一反応液を通液することによって反応が進行し、ヒダントイン類を得ることができる。
【0044】
酸性物質として鉱酸を使用する場合には、使用する酸性物質の量は第一反応に使用したα−アミノ酸に対しH+が1.5〜5倍モルが好ましい。さらに好ましくは、2〜3倍モルである。
【0045】
また、酸性物質として用いる鉱酸の中では経済的観点等から硫酸を使用することが好ましく、特に酸濃度を上げることによって収率が上昇すること等を考慮すると、濃硫酸を使用することがより好ましい。
【0046】
さらに、酸性物質としてイオン交換樹脂を用いる場合には、第一反応で発生したアンモニアを除去しておくことが好ましい。アンモニアが存在するとイオン交換樹脂と結合し、有効酸濃度が低下し、収率が低下するため好ましくない。
【0047】
第二反応の前にアンモニアを除去する方法としては、特に制限はなく、一般に用いられる手法を使用することができる。第一反応時に沸点で反応し系外に留去する方法等も適用できるが、さらにアンモニアの除去率を向上させるためには、電気透析による方法、イオン交換樹脂による方法、アンモニアを鉱酸で中和する方法等が挙げられる。これらの中でも、イオン交換樹脂による方法、鉱酸で中和する方法が好ましく用いられる。
【0048】
イオン交換樹脂によるアンモニアの除去方法としては、例えばアンバーライトIR−120B(オルガノ社製)等を用いることができる。第二反応にて得られたヒダントイン類は、反応液を冷却し、結晶として析出させ単離することができる。その際、反応液のpHを調整してもよい。
【0049】
また、得られた粗結晶に着色等がある場合には活性炭処理による脱色等が効果的である。結晶単離後のろ液は、リサイクル使用することができ、第一反応の水として好ましくリサイクル使用することができる。
【0050】
本発明の製造方法により、従来法のような次亜塩素酸ソーダ等によるシアン分解処理などを行うことなく、安全にヒダントイン類を製造することができる。
【0051】
【実施例】
以下、実施例により、本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれら実施例によりなんら限定されるものではない。また、ヒダントイン類およびヒダントイン酸類の分析は高速液体クロマトグラフィー(以下「HPLC」ともいう。)にて行った。
【0052】
高速液体クロマトグラフィー測定条件カラム:Shodex(昭和電工株式会社登録商標)
C−811(昭和電工株式会社製)
溶離液:0.4%過塩素酸水溶液流速:1.0ml/min注入量:20μlカラム温度:50℃検出:Shodex(昭和電工株式会社登録商標)RI SE−61(昭和電工株式会社製)
【0053】
[実施例1]
(工程1)
300mlの四ツ口フラスコにグリシン75g(1モル)、尿素72g(1.2モル)、水90gを入れ、撹拌しながら加熱した。コンデンサーを使用せず、開放系で撹拌しながら加熱したところ、110℃で沸騰した。蒸気にpH試験紙をあてたところアルカリ性を示し、アンモニアが反応系外に除去されていることが確認できた。沸点で2時間反応させたところ、アンモニアと水が留去され、反応液重量は200gとなった。この時点で反応を終了させ、HPLCで分析したところ、グリシンの転化率は85%、ヒダントイン酸の収率は83.5%であった。
【0054】
(工程2)
強酸性陽イオン交換樹脂アンバーライトIR120−Bを充填したカラムを準備し、カラム温度を100℃になるように保温した。100℃を保ちながら、本カラムに、工程1での反応液に195gの水を加えてヒダントイン酸濃度を25%に調整したものをSV=0.5で通液し、カラム内で反応させた。反応液をHPLCで分析したところ、ヒダントイン酸に対してヒダントインの収率は81%であった。
【0055】
(工程3)
工程2での反応液を撹拌しながら、1時間かけて15℃まで冷却し、ヒダントインの結晶を析出させた。本スラリーを遠心分離することによってヒダントイン結晶48gを得た。グリシンに対する総収率は48%であった。
【0056】
遠心分離ろ液の全シアン濃度を硝酸銀滴定で行ったところ、検出限界以下であった。
【0057】
[実施例2]
実施例1と全く同じ方法でヒダントイン酸を合成した。さらにアンモニアを除去するために反応液に300gの純水を添加後、体積1Lの強酸性イオン交換樹脂アンバーライトIR120−Bを充填したカラムに反応液を常温にて通液しほぼ完全にアンモニアを除去した。カラムの温度はヒダントイン酸結晶が析出しないように70℃に保温した。本脱アンモニア処理した液をさらに別に準備した強酸性陽イオン交換樹脂アンバーライトIR120−Bを充填したカラムに100℃でSV=0.5で通液し、カラム内で反応させた。反応液をHPLCで分析したところヒダントイン酸に対するヒダントインの収率は89%であった。
【0058】
[実施例3]
実施例1と全く同じ条件でヒダントイン酸を合成し、反応後200gの純水を添加した。これを撹拌しながら20℃まで冷却し、ヒダントイン酸を晶析し、吸引ロートにてヒダントイン酸結晶を分離した。これを濃度25%となるように加温しながら溶解し、強酸性陽イオン交換樹脂アンバーライトIR120−Bを充填したカラムに100℃、SV=0.5で通液し、カラム内で反応させた。反応液をHPLC分析したところヒダントイン酸に対してヒダントインの収率は88%であった。
【0059】
[実施例4]
実施例1と全く同じ方法でヒダントイン酸を合成し、濃硫酸を104g(1.04モル)加え、100℃で撹拌しながら2時間反応した。反応後一部サンプリングしHPLC分析したところ、ヒダントイン酸に対するヒダントインの収率は80%であった。
【0060】
本反応液を撹拌しながら15℃まで冷却しヒダントイン結晶を析出させた。本スラリーを遠心分離することによって53gを得た。総収率53%であった。遠心分離ろ液の全シアン濃度を硝酸銀滴定で行ったところ、検出限界以下であった。
【0061】
[実施例5]
グリシンの代わりにアラニン89gを使用した以外は実施例1と全く同じ条件で反応を行ったところ、α−メチルヒダントイン酸が収率82%で合成できた。続いて第二反応として工程2を行ったところ、α−メチルヒダントイン酸に対する収率が79%で5−メチルヒダントインが合成できた。
【0062】
[実施例6]
300mlの四ツ口フラスコにグリシン75g(1モル)、尿素72g(1.2モル)、水90gを入れ、撹拌しながら加熱した。コンデンサーを使用せず、開放系で撹拌しながら加熱したところ、110℃で沸騰した。蒸気にpH試験紙をあてたところアルカリ性を示し、アンモニアが反応系外に除去されていることが確認できた。沸点で2時間反応させたところ、アンモニアと水が留去され、反応液重量は200gとなった。この時点で反応を終了させ、HPLCで分析したところ、グリシンの転化率は85%、ヒダントイン酸の収率は83.5%であった。
【0063】
得られた反応液を撹拌しながら、1時間かけて15℃まで冷却し、ヒダントイン酸の結晶を析出させた。本スラリーを遠心分離することによってヒダントイン酸結晶60.2gを得た。グリシンに対する総収率は51%であった。
【0064】
[比較例1]
重炭酸アンモニウム166.6g、28%安水52.4g、純水481gを仕込み、100℃に加熱した。100℃になったところで50重量%グリコロニトリル水溶液110gを1時間要して仕込んだ後、1時間反応を行い減圧下反応液の40重量%まで濃縮した液に95%硫酸を硫酸濃度15重量%になるように添加し、90℃で3時間反応し冷却後濾別し、ヒダントイン46.5gが得られ、収率は48.2%であった。濃縮時の凝縮液の青酸濃度を測定したところ3300ppmであった。また、ろ液の青酸濃度を測定したところ90ppmであった。
【0065】
【発明の効果】
本発明のヒダントイン類の製造方法およびヒダントイン酸類の製造方法は、毒性、危険性の極めて低い原料を用い、かつ毒性の極めて低い廃液しか排出しないという特徴を有するため、医農薬中間体、甘味料原料、培地成分などに有用なヒダントイン類およびヒダントイン酸類の製造方法として、幅広く利用することができる。
Claims (14)
- 得られたヒダントイン酸類を酸性物質の存在下で環化させる工程を含むことを特徴とする請求項2に記載のヒダントイン類の製造方法。
- 酸性物質として、イオン交換樹脂を用いることを特徴とする請求項3ないし5のいずれかに記載のヒダントイン類の製造方法。
- 酸性物質として鉱酸を用いることを特徴とする請求項3ないし5のいずれかに記載のヒダントイン類の製造方法。
- 鉱酸が硫酸である請求項7に記載のヒダントイン類の製造方法。
- アンモニアを除去する工程を含むことを特徴とする請求項1ないし8のいずれかに記載のヒダントイン類の製造方法。
- 発生するアンモニアを系外に除去しながらα−アミノ酸と尿素類を反応させてヒダントイン酸類を合成することを特徴とする請求項1ないし9のいずれかに記載のヒダントイン類の製造方法。
- 鉱酸で中和することによりアンモニアを除去することを特徴とする請求項9または10に記載のヒダントイン類の製造方法。
- イオン交換樹脂を用いアンモニアを除去することを特徴とする請求項9または10に記載のヒダントイン類の製造方法。
- α−アミノ酸が、グリシン、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、フェニルアラニンから選ばれる化合物である請求項1ないし13のいずれかに記載のヒダントイン類の製造方法。
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