JP4304828B2 - 流動イソパラフィン化合物およびその製造方法ならびに用途 - Google Patents

流動イソパラフィン化合物およびその製造方法ならびに用途 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、化粧品用基油として好適に使用される経時安定性に優れる流動イソパラフィン化合物、その用途及び流動イソパラフィン化合物の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、化粧品基油として使用されてきた炭化水素としては、ポリイソブテン、流動パラフィン、スクワラン等が知られており、特にその炭化水素を水素添加、蒸留などで精製処理したものが使用される。化粧品に使用される化合物は、直接に体へ塗布され、また、香りを発するなどの効果を示すことが多いので、その安定性は重要な問題である。先述の炭化水素類で行われる水素添加や蒸留による処理も安定化に対する改質のためになされている。例えば、ポリイソブテンはイソブテン等の炭素数4のオレフィンを原料としたカチオン重合により得られるが、重合停止の際重合物の末端に不飽和結合が残ってしまう。この残存不飽和結合は、加熱や日光により変化し易く、この変化物質が刺激や悪臭の原因となる。そこで、一般に水素添加により不飽和結合をなくす方法や酸化安定剤の添加によって変性を防止する方法がとられている。しかしこれらの方法のみでは、熱安定性や光による変化に対しては十分でなく、臭気の発生を防ぐことは困難であった。
【0003】
これらを改善する方法として、例えば特公昭53―6218号公報には、臭気成分を除く目的で、減圧蒸留及び水蒸気蒸留を行い高度に精製した液状の炭素数4のオレフィン重合体からなる化粧品用合成油組成物が開示されている。しかしながら、この方法によって得られた化粧品合成油組成物でも長期間での熱安定性や光による劣化について十分なものではなく、日光暴露の経時時間とともに臭気が発生する等の問題が残されていた。
【0004】
そこで、モレキュラーシーブス等の吸着剤を用いる高度精製処理等を更に実施することによりこれらの問題の解決が試みられた。しかし、この方法では、微量の残存カルボニル化合物等の除去には好適であったが、日光暴露により微量の残存二重結合の酸化及び紫外線による分子切断が一部進行、ラジカルの発生による過酸化物の副生からの酸化物質による臭気が避けられなかった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、熱及び光暴露に対して耐久性があり、化粧用基材として重要な無臭性、色変化がない、低い皮膚刺激性等の特性を長期間維持することができる、経時安定性に優れる流動イソパラフィン化合物を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明を以下に記載する。
(1)イソブテン単独重合物又はイソブテンとn−ブテンとの共重合物である流動イソパラフィン化合物を水蒸気により精製する工程を含む製造方法において、処理温度に達するまでの間及び水蒸気処理後の冷却時に不活性な乾燥ガス雰囲気下にして行い、かつ水蒸気の吹き込み量を該化合物に対し毎時0.5重量%〜20重量%の範囲とし、処理温度を60℃〜180℃とし、減圧度を2000Pa以下とした条件下で水蒸気を吹き込むことを特徴として得られ、ヨウ素価が10以下であり、50℃において揮発性を有する炭素数1〜30の化合物の残存量が1ppm未満である流動イソパラフィン化合物。
(2)イソブテン単独重合物又はイソブテンとn−ブテンとの共重合物である流動イソパラフィン化合物を水蒸気により精製する工程を含む製造方法において、処理温度に達するまでの間及び水蒸気処理後の冷却時に不活性な乾燥ガス雰囲気下にして行い、かつ水蒸気の吹き込み量を該化合物に対し毎時0.5重量%〜20重量%の範囲とし、処理温度を60℃〜180℃とし、減圧度を2000Pa以下とした条件下で水蒸気を吹き込むことを特徴とし、ヨウ素価が10以下であり、50℃において揮発性を有する炭素数1〜30の化合物の残存量が1ppm未満である流動イソパラフィン化合物の製造方法。
(3)前記(1)に記載の流動イソパラフィン化合物を含む化粧料。
【0007】
【発明の実施の形態】
本発明において、流動イソパラフィン化合物とは、イソブテン単独重合体、イソブテンとn−ブテンとの共重合物である。流動イソパラフィン化合物は化粧用途に利用でき、その利用には水素添加してヨウ素価を10以下としたイソブテン単独重合物又はイソブテンとn−ブテンとの共重合物が好ましい。また、例えば、洗浄剤及び接着剤等の用途であれば、上記のイソブテンとn―ブテンに炭素数4以外のオレフィンとの共重合物が利用でき、炭素数4以外のオレフィンを含ませることができる。
【0008】
本発明において、イソブテン単独重合物、イソブテンとn−ブテンとの共重合物あるいはイソブテン、n―ブテンなどの炭素数4のオレフィンと炭素数2、3あるいは5のオレフィンとの共重合物は、イソブテンを単独に重合し、イソブテンを主成分とした1−ブテン及び2−ブテン等の炭素数4のオレフィン混合物を重合し、あるいは炭素数4のオレフィンと炭素数2、3あるいは5のオレフィンとの混合物を重合することにより製造する。重合反応は、塩化アルミニウム、酸性イオン交換樹脂、硫酸、塩化アルミニウム等の触媒存在下に、0〜100℃で行う。重合物の重合度は4〜50で、通常、異なる重合度である重合物の混合物として製造される。混合物の平均の重合度は、反応条件の変化により調製することができる。また、該液状重合物は、さらに蒸留精製により所定の重合度に調整したものを用いることもできる。重合物のヨウ素価は、4.9〜113の範囲が好ましい。ヨウ素価は、その重合度によって異なり、重合度が高くなるとヨウ素価は小さくなる。
【0009】
本発明において、流動イソパラフィン化合物のヨウ素価は、前記の重合反応により製造された流動イソパラフィンを水素添加することにより減少させることができる。水素添加は通常の方法によりなされ、例えば、イソブテン単独重合物あるいはイソブテンとn−ブテンからなる共重合物は、ニッケルやパラジウム等の水素化触媒を用い固定床及び流動床式の反応装置により水素添加がなされる。本発明において水素添加により、流動イソパラフィンのヨウ素価を10以下にすることが好ましく、さらに好ましくは1以下、より好ましくは0.1以下とする。ヨウ素価が高いと熱及び光による酸化が進行しやすくなり臭気発生の原因となりやすい。水素添加後の流動パラフィン化合物は蒸留精製により、さらに所定の重合度に調整することができる。
【0010】
水素添加は、流動イソパラフィン化合物中の熱や光によって反応し易い重合停止時生じる不飽和結合をなくすために行われ、重合物の経時安定性を向上させることができる。しかしこの方法のみでは、ごく微量に残存する不飽和結合や水素添加により除去されない不純物等が残存しているため、十分な経時安定性を付与できない。本発明は、水素添加によりヨウ素価を10以下とし、さらに水蒸気にて精製するものである。本発明の水蒸気による精製工程は、一般的には回分式によりなされる。
【0011】
本発明の水蒸気による精製法は、高真空下に行うことを第一の要件とし、その減圧度は2000Pa以下で、好ましくは666Pa以下である。この場合、2000Paを超えると揮発性化合物を充分に除くことができなくなる。目的の高真空は、公知の装置を用いることで達成することができ、例えば、オイル回転ポンプやスチームエジェクターの使用を挙げることができる。
【0012】
本発明の水蒸気による精製法の第二の要件は温度管理にあり、処理温度の設定を、好ましくは60〜180℃の範囲に、さらに好ましくは70℃〜160℃にする。60℃より低い温度では水蒸気の導入が難しく、揮発性化合物の除去効率も著しく低下し、180℃を超えると前記水素添加した液状炭化水素の熱による劣化、分解が生じ易くなる。
【0013】
本発明の水蒸気による精製法の第三の要件は、水蒸気吹き込みにおける水蒸気温度と量にある。水蒸気の温度は、100〜180℃とし、流動イソパラフィン化合物に対し、好ましくは毎時0.5〜20重量%の量で、さらに好ましくは毎時2〜10重量%の吹き込み量とする。0.5重量%未満では、揮発性化合物が除去し難くなる。また、毎時20重量%を超えると原料の流動イソパラフィン化合物が同伴してしまい、粘度の上昇や歩留まりの低下が著しくなる傾向がある。水蒸気を吹き込むための時間については特に制限はないが、例えば0.5〜24時間で、より高温での処理は熱劣化につながるため長時間行うことは好ましくない。
【0014】
また、本発明の水蒸気による精製方法は、処理温度に達するまでの間及び水蒸気処理後の冷却時では、窒素、ヘリウム等の不活性な乾燥ガス雰囲気下にして行う
【0015】
本発明のイソパラフィン化合物は、ヨウ素価が10以下である流動イソパラフィン化合物から水蒸気による精製にて、50℃において揮発性を有する炭素数1〜30までの化合物を1ppm未満までに除去して製造する。前記炭素数1〜30までの揮発性成分には、直接、臭気及び皮膚刺激を与えやすく、また、熱及び光により容易に酸化、分解を受けやすい炭素数1〜12の低分子の他、徐々に酸化分解が進行して低分子化合物となりやすい炭素数12〜30の高沸点化合物が存在する。精製後において高沸点化合物の混在は臭気に影響を与えないが、特に経時安定性においては、これらの除去が有効であり、低沸点化合物と合わせて、1ppm未満に制限することが好ましく、さらに好ましくは0.7ppm、より好ましくは0.1ppm以下にすることが好ましい。1ppm以上では、熱及び光等に対する経時安定性が低下する傾向がある。揮発性化合物の除去は、本発明の方法にて、水素添加した流動イソパラフィン化合物を上記の条件下で水蒸気にて処理することにより行うことができる。
本発明において精製された流動イソパラフィン化合物は、刺激性試験(OECD404試験)におけるレベルが2未満が好ましく、さらには1以下であることが好ましい。
【0016】
本発明の経時安定性に優れる流動イソパラフィン化合物はそのままで使用することもできるが、さらに熱や光に対する安定性の向上のために公知の酸化防止剤例えばビタミンEやBHT等や紫外線吸収剤を添加することも可能であるし、その他、水や溶剤、界面活性剤、香料、色素、防腐・殺菌剤、湿潤剤等を混合して用いることもできる。
【0017】
本発明の流動イソパラフィン化合物は、基礎化粧品、メイクアップ化粧品、毛髪用化粧品等の固形及び液状の化粧料基材、また、洗浄剤および無臭な多目的溶剤として使用することができる。
【0018】
【発明の効果】
本発明の経時安定性に優れる流動イソパラフィン化合物は、熱及び光暴露に対して耐久性があるため、化粧用基材として重要な無臭性、色変化がない、低い皮膚刺激性等の特性を長期間維持することができる。そのため、当該流動イソパラフィン化合物は、化粧品用の基油として基礎化粧品、メイクアップ化粧品、毛髪用化粧品等の油性成分として好適に使用されるものである。
【0019】
実施例1
イソブテンを主成分とし他に1−ブテン及び2−ブテン等を含む炭素数4のオレフィン混合ガスを原料として、塩化アルミニウム触媒の存在下にこれを重合し、さらに蒸留精製して得た特定の分子量のポリブテンを製造した(日本油脂株式会社製 ポリブテン10N。以降、イソブテンを主成分とする炭素数4のオレフィン混合ガスを原料とした重合物をポリブテンと称す。)。このポリブテン10Nは、ヨウ素価が17.5であり、重合度が18、数平均分子量が1000であった。さらに、ポリブテン10Nを水素化触媒により水素添加した(日本油脂株式会社製 ポリブテン10SH)。ポリブテン10SHは、ヨウ素価が0.8であり、重合度が18、数平均分子量が1000であった。
600gのポリブテン10SHを1L反応器に仕込み、オイルバスにつけ150℃まで昇温した。所定温度になるまで、乾燥N2ガスにより減圧下バブリングを行い空気との接触を避けた。系内が所定温度に達したら、120℃の蒸気を減圧度400Paで、7重量%/PB/Hr(PBはポリブテン、Hrは時間を示す。)導入し精製を開始した。この状態を保持しつつ低沸分の除去を行う操作を3時間続けた。水蒸気吹き込み後、再び水蒸気を乾燥N2ガスに替え系内を減圧下バブリングして系内を冷却した。得られた精製ポリブテン10SH中の揮発性成分をヘッドスペースガスクロマトグラフィー法により測定した結果、炭素数1〜30までの揮発性成分の残存量は0.2ppmであった。また、精製後のポリブテンのヨウ素価は0.8であった。
ここで、ヨウ素価の測定はJIS K 0070 化粧品原料基準に従い、重合度、数平均分子量はGPC(ポリスチレン換算)で測定した。また、炭素数1〜30までの揮発性化合物の残存量はマイクロ固相抽出法を用いるヘッドスペースガスクロマトグラフィー法で測定した(科学警察研究所報告法科学編、48巻、107頁〜111頁、1995年;山梨衛公年報 40号、38〜42頁、1996年)。測定条件は、試料2gを22ccのクリンプシールバイアルに仕込みシールした後、バイアルを50℃の温水浴にバイアルの底部から3cm浸漬し5分間加熱する。次にSUPELKO製のCarboxen/PDMSファイバーを装着した手動SPMEサンプリングホルダーでバイアル気相部分を吸着させ、島津製作所製GC−14BによりGC分析を行い揮発性分を測定した。
【0020】
100gの精製ポリブテン10SHを250CCサンプル瓶(内ブタをつけてシールテープで密封)に入れ、一つは80℃の恒温槽中に、もう一つは屋外に各々1ヶ月放置し、その後官能試験による臭気テストおよび油脂化学便覧油脂試験法記載の過酸化物価試験法に準じて過酸化物価の変化を調べた。結果を表1に示した。
【0021】
実施例2
水素添加して、ヨウ素価を0.1としたポリブテン(日本油脂株式会社製 ポリブテン パールリーム6)600gを1L反応器に仕込み、水浴につけ70℃まで昇温した。所定温度になるまで、乾燥N2ガスにより減圧下バブリングを行い空気との接触を避けた。系内が所定温度に達したら、120℃の蒸気を減圧度266Paで水蒸気量6重量%/PB/Hr導入し精製を開始した。この状態を保持しつつ低沸分の除去を行う操作を2時間続けた。次に再び水蒸気を乾燥N2ガスに替え系内を減圧下バブリングして系内を冷却した。
得られた精製パールルーム6をヘッドスペースガスクロマトグラフィー法にて測定したところ50℃において揮発性を有する炭素数1〜30までの揮発性成分の残存量は0.08ppmであった。また、精製後のポリイソブテンのヨウ素価は0.1であった。
ただし、分析方法は実施例1に準じた。また、実施例1の方法で臭気テストを実施し、過酸化物価を測定した。結果を表1に示す。
【0022】
実施例3
ヨウ素価が7.2、重合度が46、数平均分子量が2600であるポリブテン(日本油脂株式会社製 ポリイソブテン200N)を水素添加してヨウ素価を1としたポリブテンを製造した(日本油脂株式会社製 ポリブテン200SH)。600gのポリブテン200SHを1L反応器に仕込み、オイルバスにつけ170℃まで昇温した。所定温度になるまで、乾燥N2ガスにより減圧下バブリングを行い空気との接触を避けた。系内が所定温度に達したら、150℃の蒸気を減圧度666Paで導入し精製を開始した。この状態を保持しつつ低沸分の除去を行う操作を3時間続けた。次に再び水蒸気を乾燥N2ガスに替え系内を減圧下バブリングして系内を冷却した。
精製ポリブテン200SHをヘッドスペースガスクロマトグラフィー法にて測定したところ、50℃において揮発性を有する炭素数1〜30までの揮発性成分の残存量は0.1ppmであった。また、精製後のポリイソブテンのヨウ素価は1であった。ただし、分析方法は実施例1に準じた。また、実施例1の方法で臭気テストを実施し、過酸化物価を測定した。結果を表1に示す。
【0023】
実施例4〜7
実施例1に準じて、表2に示す数平均分子量、及びヨウ素価のポリブテンを製造した。さらに、これを表2に示す条件で水蒸気により精製した。精製したポリブテンの分析値を表2に示す。ただし、分析方法は実施例1に準じた。また、実施例1の方法で臭気テストを実施し、過酸化物価を測定した。結果を表1に示す。
【0024】
比較例1〜6
実施例1の原料ポリブテン10N(比較例1)と水添後の10SH(比較例2)、実施例2の水添前ポリブテン(比較例3)と水添後ポリブテン(比較例4)、実施例3の原料ポリブテン200N(比較例5)と水添ポリブテン200SH(比較例6)をそのまま用い、実施例1と同様に1ヶ月間の評価試験を行った。結果を表1に示した。
【0025】
比較例7
実施例1のイソブチレン骨格を主に有する重合体(ポリブテン10N)から、蒸留により低分子量オリゴマーを除去し、ヨウ素価が17.5で重合度が18の数平均分子量が1000のポリブテンを製造した。このポリブテンを水添触媒としてNi系の触媒を用い水添した。水添後のヨウ素価は2であった。この600gのポリブテンを1L反応器に仕込み、オイルバスにつけ150℃まで昇温した。所定温度になるまで、乾燥N2ガスにより減圧下バブリングを行い空気との接触を避けた。系内が所定温度に達したら、減圧度2666Paとして水蒸気を1重量%/PB/hr導入し蒸留精製を5時間行った後、冷却した。
得られたポリブテンをヘッドスペースガスクロマトグラフィー法にて、50℃において揮発性を有する炭素数1〜30までの揮発性成分の残存量を測定したところ、15ppmであった。ヨウ素価は、2であった。
ただし、分析方法は実施例1に準じた。また、実施例1の方法で臭気テストを実施し、過酸化物価を測定した。結果を表1に示す。
【0026】
比較例8
比較例7でオイルバス温度を190℃、減圧度を4000Pa、にして水蒸気の導入すること無く4時間、減圧蒸留精製を行った。得られたポリブテンをヘッドスペースガスクロマトグラフィー法にて、50℃において揮発性を有する炭素数1〜30までの揮発性成分の残存量を測定したところ、50ppmであった。ヨウ素価は、2であった
ただし、分析方法は実施例1に準じた。また、実施例1の方法で臭気テストを実施し、過酸化物価を測定した。結果を表1に示す。
【0027】
比較例9
比較例7で水蒸気を減圧4000Pa、水蒸気量1重量%/PB/hrで導入し精製を行った。以外は比較例7と同様に操作した。得られたポリブテンを得られたポリブテンをヘッドスペースガスクロマトグラフィー法にて、50℃において揮発性を有する炭素数1〜30までの揮発性成分の残存量を測定したところ、45ppmであった。ヨウ素価は、2であった。
ただし、分析方法は実施例1に準じた。また、実施例1の方法で臭気テストを実施し、過酸化物価を測定した。結果を表1に示す。
【0028】
比較例10〜11
市販の他の油性化粧品基材として、スクワラン(商品名スーパースクワラン;比較例10)、流動パラフィン(商品名ハイコール230;比較例11)についても実施例1と同様に1ヶ月間の評価試験を行った。結果を表1に示した。
【0029】
【表1】
Figure 0004304828
【0030】
(注) 表中、記号と数値は臭気テストの結果と過酸化物価(臭気テストの評価/過酸化物価の値)を表す。ここで臭気のテストの結果は、〇は殆ど無臭、△はやや臭気あり、×は臭気ありを示す。過酸化物価の単位は、meq/Kgである。
【0031】
【表2】
Figure 0004304828
【0032】
(注) 表中、IVはヨウ素価を表す。
【0033】
表1において、実施例1と比較例2、3との比較、実施例2と比較例3、4との比較及び実施例3と比較例5、6との比較より、本発明のヨウ素価が10以下であり、50℃において揮発性を有する炭素数1〜30の化合物の残存量が1ppm未満である流動イソパラフィン化合物は、精製前の化合物に比べて、加熱保存試験、野外暴露試験における安定性に優れている。
表1において、50℃において揮発性を有する炭素数1〜30の化合物の残存量が精製後においても10ppm以上である流動イソパラフィン化合物(比較例7〜9)は加熱保存試験、野外暴露試験において、過酸化物価の上昇、異臭の発生が認られた。
表1において、市販のスクワラン(比較例10)、流動性パラフィン(比較例11)との比較より、本発明のヨウ素価が10以下であり、50℃において揮発性を有する炭素数1〜30の化合物の残存量が1ppm未満である流動イソパラフィン化合物は、加熱保存試験、野外暴露試験における安定性に優れている。
表2において、分子量の範囲に係わらず、本精製方法にて水蒸気を用いて、50℃において揮発性を有する炭素数1〜30の化合物の残存量が1ppm未満である流動イソパラフィン化合物を製造でき、表1(実施例4〜7)において、精製後の化合物は加熱保存試験、野外暴露試験における安定性に優れていることが確認できる。
【0034】
実施例8
実施例2で製造し精製したポリブテン(精製ポリブテン パールリーム6)と精製前のポリブテン(ポリブテン パールリーム6)の刺激性についてOECD404に規定される皮膚一次刺激性試験を実施した。
結果は精製したポリブテンの皮膚一次刺激性(Primary Irritation Index;P.I.I.)のレベルが1で、評価はnon−irritantであったのに対し精製前のレベルは2.7で、その評価は、mild−irritantであった。
本発明の水蒸気による精製方法により、低刺激性の流動イソパラフィンが製造できた。
【0035】
実施例9
本発明の実施例2で製造し精製したポリブテン34重量部、蜜蝋10重量部、セチルアルコール6重量部、ラノリン4.6重量部、イソプロピルミリステート5重量部、モノグリセライド3重量部、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレート3重量部、プロピレングリコール4重量部、苛性カリ0.1重量部、香料及び防腐剤0.5重量部、水30重量部を配合してコールドクリームを試作した。
発明の実施例2で製造し精製したポリイソブテンの代わりにスクワランを配合したものと比べて長期安定性における色、匂いにおいて優れていた。
【0036】
実施例10
実施例2で製造し精製したポリブテン5重量部、イソステアリルアルコール14重量部、蜜蝋13重量部、マイクロワックス3重量部、固形ワックス2重量部、カルナバワックス2重量部、ラノリン5重量部、綿実硬化油5重量部、ヒマシ油40重量部、プロピレングリコールモノシリレート6重量部、顔料及び香料7重量部を配合して口紅を試作した。
実施例1で製造し精製したポリイソブテンの代わりに市販の流動イソパラフィンを配合したものと比べて長期安定性における色、匂いにおいて優れていた。

Claims (3)

  1. イソブテン単独重合物又はイソブテンとn−ブテンとの共重合物である流動イソパラフィン化合物を水蒸気により精製する工程を含む製造方法において、処理温度に達するまでの間及び水蒸気処理後の冷却時に不活性な乾燥ガス雰囲気下にして行い、かつ水蒸気の吹き込み量を該化合物に対し毎時0.5重量%〜20重量%の範囲とし、処理温度を60℃〜180℃とし、減圧度を2000Pa以下とした条件下で水蒸気を吹き込むことを特徴として得られ、ヨウ素価が10以下であり、50℃において揮発性を有する炭素数1〜30の化合物の残存量が1ppm未満である流動イソパラフィン化合物。
  2. イソブテン単独重合物又はイソブテンとn−ブテンとの共重合物である流動イソパラフィン化合物を水蒸気により精製する工程を含む製造方法において、処理温度に達するまでの間及び水蒸気処理後の冷却時に不活性な乾燥ガス雰囲気下にして行い、かつ水蒸気の吹き込み量を該化合物に対し毎時0.5重量%〜20重量%の範囲とし、処理温度を60℃〜180℃とし、減圧度を2000Pa以下とした条件下で水蒸気を吹き込むことを特徴とし、ヨウ素価が10以下であり、50℃において揮発性を有する炭素数1〜30の化合物の残存量が1ppm未満である流動イソパラフィン化合物の製造方法。
  3. 請求項1に記載の流動イソパラフィン化合物を含む化粧料。
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