JP4304813B2 - 伝送制御方法および伝送制御装置 - Google Patents

伝送制御方法および伝送制御装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば、無線信号を各種装置に伝送して、複数の機器間でローカルエリアネットワーク(LAN)を構成する場合に適用して好適な伝送制御方法および伝送制御装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、様々なデジタル情報を伝送するために、例えば、IEEE1394−1995フォーマットで規定された高速シリアルバスを利用して情報を伝送する方法が一般的になりつつある。
【0003】
このIEEE1394−1995フォーマットで規定された高速シリアルバスを流れるデジタル情報を無線伝送する方法として、現在ワイヤレス1394フォーマットが検討され始めている。
【0004】
従来から、無線LAN(ローカル・エリア・ネットワーク)システムなどに用いられてきたアクセス制御方法として、例えば、情報送信に先立って、ランダムな待ち時間を設定し、その時間内に他の伝送装置から送信された信号(キャリア)を検出した場合には、情報送信を行わず、再度、ランダムな待ち時間を設定して、他局からの送信を妨げないで、自局の送信を行う、いわゆるランダムアクセス制御方法が広く用いられてきた。
【0005】
このランダムアクセス制御方法は、無線ネットワーク上に特別な制御局を配置する必要が無く、自立分散型のネットワークを形成して、任意のタイミングで非同期情報の伝送が容易に行えるというメリットがあった。
【0006】
さらに、無線伝送路を伝送需要に応じて利用することができるので、伝送が行われていない間の空き時間は、他の無線ネットワークで利用することができるため、同一空間上での共存が可能になるというメリットがあった。
【0007】
現在、想定されているワイヤレス1394フォーマットにおいては、周期的に帯域を予約した情報伝送(アイソクロナス伝送)が行われるため、ある程度の周期で一定となるフレーム構成を採用して、アイソクロナス伝送のために伝送帯域を周期的に確保する必要が生じる。
【0008】
この場合、特開平11−252090号公報、特開平11−239114号公報などに記載されている無線伝送方法を適用することにより、アイソクロナス伝送を妨げないように、予約されていない領域を利用して非同期情報伝送(アシンクロナス伝送)が行われることが想定される。
【0009】
図13は、従来方法による無線伝送フレーム構成例を示す図である。ここでは、便宜的にフレームを規定して示しているが、このようなフレーム構造を取る必要は必ずしもない。図中、一定の伝送フレーム周期130毎に到来する伝送フレームが規定されて、この中に管理情報伝送領域131と情報伝送領域132が設けられていることを表している。
【0010】
このフレームの先頭にはフレーム周期やネットワーク共通情報の報知のための下り管理情報伝送区間(DM:Down Link Management)133が配置され、これに続いて、必要に応じて、上り管理情報伝送区間(UM:Up Link Management)134が配置されている。DMはフレーム同期情報を含む下り管理領域(フレーム同期エリア)であり、UMは上り管理領域(ノード同期エリア)であり、ネットワークを構成する各通信局に対して、それぞれ1つずつ割り当てられていて、複数の通信局での送信が衝突することを防ぐ構成が考えられている。
【0011】
この情報として、情報伝送領域において帯域予約されている領域や、非同期伝送領域の情報などが含まれている。つまり、情報伝送領域132は、必要に応じて設定される帯域予約伝送領域135と、それ以外の部分の非同期伝送領域136とによって構成されている。
【0012】
つまり、帯域予約伝送の必要がなければ、情報伝送領域のすべてを非同期伝送領域として伝送することができる。
【0013】
このようなフレーム構造を採ることによって、帯域予約伝送領域では、例えばIEEE1394フォーマットによって規定されるアイソクロナス(Isochronous)伝送が行われて、非同期伝送領域では、非同期(Asynchronous)伝送などが行える構成とすると好適である。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】
従来の伝送方法では、例えば、同じ無線伝送路(周波数)を時分割多重して情報伝送を行う場合に、無線伝送を行った無線伝送装置では、その装置が送信した情報が、ほぼ同時に他の伝送装置から送信された情報と、互いに衝突が発生してしまったことを直接、瞬時に検出することができないという不都合があった。
【0015】
また、従来からの無線LANシステムなどに用いられているキャリアセンスを用いたアクセス制御方法では、ランダムな待ち時間を送信側の通信装置の判断によって設定されるため、このランダムな待ち時間のタイミングの設定次第によっては、隣接する伝送装置と全く同時に情報送信を開始してしまうという不都合があった。
【0016】
さらに、伝送帯域が予約されている伝送路においては、任意のタイミングで非同期伝送を行おうとしても、予約されている情報伝送領域を避けて、予約が設定されていない情報伝送領域で情報伝送を行わなければならないため、複数の伝送装置から、同時に送信が開始される可能性が高く、送信情報が衝突してしまう可能性が高くなるという不都合があった。
【0017】
さらに、一旦、他の伝送装置からの送信を検出した場合に、再度ランダムな待ち時間のタイミングを設定するが、ここで再設定したタイミングが、別の(第3者の)伝送装置の待ち時間のタイミングと重複してしまう可能性が残るという不都合があった。
【0018】
つまり、ワイヤレス1394フォーマットのように伝送に利用できない領域が存在する無線伝送路に対して、従来のランダムな待ち時間を設定したキャリアセンス手法を適用した場合、アシンクロナス伝送に利用できる時間領域が相対的に少なくなってしまうため、送信までの待ち時間として同じタイミングが設定されやすくなるという問題が生じる。その結果として、送信情報が互いに衝突してしまう危険性が高くなる傾向にあり、アシンクロナス伝送の成立が難しくなってしまうという不都合があった。
【0019】
これらの問題を解決する方法として、例えば、無線ネットワークの制御局を設けて、この制御局からアクセス制御情報の送付を行うアクセス制御方法なども考えられているが、制御局が伝送路上に常時アクセス制御情報を送信しなければならいため、伝送路を他のシステムで利用することができないなど、問題があることが指摘されているという不都合があった。
【0020】
そこで、本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、他の伝送装置から送信された情報と衝突が発生することのない適切なアクセス制御を行うことができる伝送制御方法および伝送制御装置を提供することを課題とする。
【0021】
【課題を解決するための手段】
ここで、本発明の伝送制御方法および伝送制御装置は、複数の伝送装置を利用してネットワークシステムを構成し、伝送路を時分割多重して情報伝送を行う場合におけるアクセス制御方式として、情報送信を行う場合、キャリアセンスを行って送信待ち状態になる時間を、ネットワークを構成する各伝送装置毎に、他の伝送装置と異なるように、それぞれ所定の値を個別に設定し、送信を開始するまでの時間を、所定の伝送フレーム周期毎に他の伝送装置の設定時間と順番に変更するものである。
【0022】
これにより、他局の情報伝送と衝突が生じないように、送信を開始するまでの時間を設定して、その間にキャリアセンスを行って、情報伝送が行われなければ情報伝送を行う。
【0023】
ここでは、このキャリアセンスの設定時間について、ネットワークを構成する各伝送装置に、互いに衝突が発生しないように重複することなく、待ち時間の値を設定する。
【0024】
例えば、ワイヤレス1394フォーマットにおいては、アイソクロナス伝送領域が存在するため、非同期伝送領域を情報伝送領域の全てに亘って確保することができないため、非同期伝送領域が全ての時間に亘って潤沢に確保されている無線LANシステムと同様のランダムアクセスによるキャリアセンスを直接適用してしまうと、複数の伝送装置からの情報送信が重なり合って、お互いに衝突する危険性が高いという問題を解決するために必要となる衝突回避手法である。
【0025】
また、この所定の値としては、キャリアセンスを行って伝送路が空き状態であることを判断できる時間を1つの基本単位として、この基本単位の整数倍の値を、ネットワークを構成する各伝送装置にそれぞれ設定するものである。
【0026】
これにより、ネットワークを構成する全ての伝送装置の間で衝突を回避することができる。
【0027】
さらに、フレーム構造を持った無線ネットワークにおける伝送制御方法として、情報送信を行う場合、キャリアセンスを行って送信待ち状態になる時間を、ネットワークを構成する各伝送装置毎に、所定の値を個別に設定するものである。
【0028】
また、このネットワークを構成する各伝送装置毎に個別に付与される送信待ち時間を、伝送フレーム周期毎に周期的に順番に変更していくことで、無線伝送路上での公平なアクセス制御を行うものである。
【0029】
この順番に変更して行くアルゴリズムを明確に決めておくことで、たとえ下り管理情報を受信できなかった伝送装置に対しても、自動的に自らの送信待ち時間を決定することができる。
【0030】
また、複数の伝送装置を用いてネットワークを構成し、時分割多重して情報伝送を行う際に、伝送フレーム周期のうち、非同期伝送に利用できる領域の量の変化に応じて、所定のアクセス制御によって1回で送信できる最大情報量を可変とするものである。
【0031】
また、再び情報伝送を行う場合には、その伝送装置に設定された送信を開始する送信待ち時間と、ネットワークを構成する伝送装置に設定されている最も遅い送信を開始するまでの送信待ち時間と、を加算した時間を設定して情報伝送を行うものである。
【0032】
【発明の実施の形態】
本実施の形態の伝送制御方法は、複数の伝送装置を用いたネットワークシステムにおける情報伝送の衝突防止方法として、伝送装置毎に異なったキャリアセンス時間を設定してアクセス制御を行い、所定の伝送フレーム周期にて伝送装置毎の設定時間を順番に変化させることによって公平なアクセスを保障するものである。
【0033】
以下に、本実施の形態を説明する。図1は本実施の形態の伝送制御方法が適用されるネットワークシステムの構成例を示す図である。
例えば、図1に示すように、無線伝送装置11にはケーブル等を介してパーソナルコンピュータ1およびプリンタ出力装置2が有線接続される。また、無線伝送装置12には同様にケーブル等を介してVTR(ビデオテープレコーダ)3が有線接続される。また、無線伝送装置13には同様にケーブル等を介して電話機器5およびセットトップボックス4が有線接続される。また、無線伝送装置14には同様にしてケーブル等を介してテレビジョン受像機6およびゲーム機器7が有線接続される。このようにして、各機器が各無線伝送装置に接続され、各無線伝送装置がネットワーク15を構成している。
【0034】
図2は、ネットワークの接続形態を模式的に表した図である。
図2中、黒丸で示す制御局の無線伝送装置14を中心に、白丸で示す端末通信局の無線伝送装置11、12、13で構成される無線ネットワーク15が形成されていることを示している。無線伝送装置11には実線で示すようにパーソナルコンピュータ1およびプリンタ出力装置2が接続される。また、無線伝送装置12には同様に実線で示すようにVTR3が接続される。また、無線伝送装置13には同様に実線で示すように電話機器5およびセットトップボックス4が接続される。また、無線伝送装置14には同様にして実線で示すようにテレビジョン受像機6およびゲーム機器7が接続される。
【0035】
ここで、無線ネットワーク15内において、制御局14は点線で示す回線22〜24を介してネットワーク15上の全ての通信局11〜13との通信が可能な状態を示している。
【0036】
これに対して、通信局11では遠方の通信局13との直接伝送が不可能であるが、点線で示す回線22、21を介してネットワーク15上の制御局14、通信局12との通信は可能な状態を示している。
【0037】
また、通信局12では点線で示す回線23、21、25を介してネットワーク15上の制御局14、通信局11、13との通信が可能な状態を示している。
【0038】
また、通信局13では遠方の通信局11との直接伝送が不可能であるが、点線で示す回線24、25を介してネットワーク15上の制御局14、通信局12との通信は可能な状態を示している。
【0039】
図3に、各通信局を構成する無線伝送装置11〜14の構成例を示す。
ここでは、各無線伝送装置11〜14は基本的に共通の構成とされ、送信および受信を行うアンテナ31と、このアンテナ31に接続されて無線送信処理および無線受信処理を行う無線送受信処理部32を備えて、他の伝送装置との間の無線伝送ができる構成としている。
【0040】
この場合、本例の無線送受信処理部32で送信および受信が行われる伝送方式としては、例えばOFDM(Orthogonal Frequency Division Multiplex:直交周波数分割多重)方式と称されるマルチキャリア信号による伝送方式を適用し、送信および受信に使用する周波数としては、例えば非常に高い周波数帯域(例えば5GHz帯)が使用される。
【0041】
また、本例の場合には、送信出力については、比較的弱い出力が設定され、例えば屋内で使用する場合、数m〜数十m程度までの比較的短い距離の無線伝送ができる程度の出力としてある。
【0042】
この無線送受信処理部32は、無線伝送路上の特定の周波数キャリア検出や、同期信号を検出する機構を備え、この同期信号を受信した場合に、同期信号に続く情報部分の受信を行うことができる構成となっている。さらに、無線送受信処理部32で送信する情報信号に対するアクセス制御処理を行うために、計時機構を具備し、無線送受信処理部32で検出したキャリアを用いてアクセス制御処理を行う伝送制御処理部33を備えている。
【0043】
また、無線送受信処理部32で受信した信号のうち、情報信号のデータ変換と、無線送受信処理部32で送信する情報信号のデータ変換を行う情報変換処理部34を備える。
【0044】
さらに、情報変換処理部34から、インターフェース部35を介して、接続される機器39に供給すると共に、接続される機器39から供給されるデータを、インターフェース部35を介して情報変換処理部34に供給して変換処理できる構成としてある。
【0045】
ここでは、無線伝送装置のインターフェース部35の外部インターフェースとして、例えば、IEEE1394フォーマットのような高速シリアルバス38を経由して、接続される機器39に対して、音声や映像情報、あるいは各種データ情報の送受信が行うことができる構成としてある。あるいは、接続される機器39の本体内部に、これら無線伝送装置を内蔵させるように構成させても良い。
【0046】
また、無線伝送装置内の各部は、マイクロコンピュータなどで構成された制御部36の制御に基づいて処理を実行する構成としてある。
【0047】
この場合、無線送受信処理部32で受信した信号が、アクセス制御情報などの制御信号である場合には、その受信した信号を、伝送制御処理部33を介して制御部36に供給して、制御部36がその受信した制御信号で示される状態に各部を設定する構成としてある。
【0048】
さらに、制御部36には内部メモリー37が接続してあり、その内部メモリー37に、通信制御に必要なデータや、ネットワークを構成する通信局数、伝送路の利用方法の情報などを一時記憶させる構成としてある。
送信待ち時間の設定については、制御部36から伝送制御処理部33に対して、伝送フレーム周期毎にその値が指示される。
【0049】
また、制御局の伝送装置14では制御部36から他の伝送装置11〜13に対して伝送する、同期信号やアクセス制御信号についても、制御部36から伝送制御処理部33を介して無線送受信処理部32に供給し、無線送信するようにしてある。
【0050】
また、制御局以外の伝送装置11〜13の制御部36では、受信した信号が同期信号である場合には、その同期信号の受信のタイミングを制御部36が判断して、その同期信号に基づいたフレーム周期を設定して、そのフレーム周期で通信制御処理を実行する構成としてある。
【0051】
図4は、各伝送装置間で、異なったキャリアセンス時間を設定する例を示した図である。図4は、無線伝送装置が4個配置されているネットワークを想定し、それぞれの伝送装置毎に異なった送信待ち時間が設定される様子を表している。
【0052】
図中、伝送装置(ステーション)Aでは、最短のキャリアセンス時間CS1(40)が設定され、伝送装置(ステーション)Bでは、次に短いキャリアセンス時間CS2(41)が設定され、伝送装置(ステーション)Cでは、さらに長いキャリアセンス時間CS3(42)が設定され、伝送装置(ステーション)Dでは、最も長いキャリアセンス時間CS4(43)が設定される。
【0053】
さらに、再度送信を行うための再度送信待ち時間として、キャリアセンス時間CSR(44)が設定されることとする。ここでは、便宜上、全ての伝送装置において、同じ伝送可能量(45〜49)が設定されている状態を表している。
【0054】
なお、この設定は伝送装置毎に異なった値として設定されても良く、また、各情報伝送毎に異なった値として設定されても良く、あるいは、伝送フレーム周期内の非同期伝送領域の残りに応じて、異なった値として設定されても良い。
【0055】
図5は、本実施の形態を適用した場合の同一伝送路における衝突回避の例を示した図である。ここでは、図4における送信待ち時間の設定がなされている場合に、伝送装置(ステーション)Aと、伝送装置(ステーション)Cとから情報伝送が行われる場合の例を示している。また、伝送装置(ステーション)Aから伝送可能量を超えた情報伝送が行われようとしてる場合の例を示す。
【0056】
図中、キャリアセンス時間CS1(50)を経過した場合に、伝送装置(ステーション)Aから、伝送可能量までの情報量の情報伝送が行われる。
【0057】
この伝送装置(ステーション)Aの伝送終了後、キャリアセンス時間CS2(51)が経過した時点で、伝送装置(ステーション)Bから情報伝送が行われなかったため、キャリアセンス時間CS3(52)が経過した後に、伝送装置(ステーション)Cから情報伝送が行われる。
【0058】
さらに、この伝送装置(ステーション)Cの伝送終了後、キャリアセンス時間CS4(53)が経過した時点で、伝送装置(ステーション)Dから情報伝送が行われなかったため、キャリアセンス時間CSR(54)が経過した後に、伝送装置(ステーション)Aからの情報伝送が行われる状態を表している。
【0059】
図6は、各伝送装置毎に設定される送信待ち(キャリアセンス)時間を、伝送フレーム周期毎に順番に変えて設定する状態の例を示したものである。
【0060】
図中、4つの伝送装置によってネットワークが形成されている場合において、最初の伝送フレーム周期1において、伝送装置(ステーション)Aの送信待ち時間として、キャリアセンス時間CS1が設定され、伝送装置(ステーション)Bの送信待ち時間として、キャリアセンス時間CS2が設定され、伝送装置(ステーション)Cの送信待ち時間として、キャリアセンス時間CS3が設定され、伝送装置(ステーション)Dの送信待ち時間として、キャリアセンス時間CS4が設定されることを表している。
【0061】
さらに、次の伝送フレーム周期2において、伝送装置(ステーション)Aの送信待ち時間として、キャリアセンス時間CS2が設定され、伝送装置(ステーション)Bの送信待ち時間として、キャリアセンス時間CS3が設定され、伝送装置(ステーション)Cの送信待ち時間として、キャリアセンス時間CS4が設定され、伝送装置(ステーション)Dの送信待ち時間として、キャリアセンス時間CS1が設定されることを表している。
【0062】
以降のフレーム周期3〜9毎に、伝送装置(ステーション)A、伝送装置(ステーション)B、伝送装置(ステーション)Cおよび伝送装置(ステーション)Dに対して、このキャリアセンス時間CS1〜CS4を順番に繰り返して変更することで、該当する伝送路に対して公平にアクセスする権利を保障することができる。
【0063】
なお、ここでは、他の伝送装置の情報伝送を検出した場合にも、以降の情報伝送に対して伝送装置毎に設定された送信待ち時間の設定値をそのまま用いる例を示したが、自局の含まれるネットワーク内の他の伝送装置の情報伝送を検出した場合には、それぞれの伝送装置において送信待ち時間を減算することによって、より効率よく伝送路を利用する方法への応用も考えられる。
【0064】
図7に、制御局以外の伝送装置(通信局)での動作のフローチャートを示す。
まず、ステップS1にて所定の伝送フレーム周期における管理情報伝送領域でなければこの処理を抜けるが、その領域である場合には、ステップS2において下り管理情報の受信を行う。
【0065】
ここで、ステップS2で下り管理情報を受信できた場合には、ステップS3にて管理情報更新処理のサブルーチンを行う。
【0066】
ステップS2で下り管理情報を受信できなければ、今までの情報が継続使用されることとみなして処理を続ける。
【0067】
さらに、ステップS4にて待ち時間設定処理のサブルーチンを行い一連の処理を抜ける。
【0068】
図8に、情報更新処理の動作のフローチャートを示す。図8は、図7のステップS3に対応する
まず、ステップS5にて下り管理情報の中から、通信局数に変化が生じたか否かを判断し、変化が生じた場合にはステップS6にて通信局数の更新を行うと共に、再度送信待ち時間の変更を行う。
【0069】
さらに、ステップS7にて、帯域予約伝送の予約量に変化が生じたか否かを判断し、ステップS8で伝送可能量の変化が必要か否かを判断する。ここで、伝送可能量の更新が必要であると判断した場合に、ステップS9にて、伝送可能量の更新を行い、一連の処理を抜ける。
【0070】
図9に、送信待ち時間の設定処理の動作のフローチャートを示す。図9は、図7のステップS4に対応する。
まず、ステップS10にて、前フレームにおける送信待ち時間の設定から1つのキャリアセンス時間を加算する。
【0071】
さらに、ステップS11で現在の通信局数を獲得し、ステップS12にて、前述の加算した送信待ち時間が、このネットワークにおける最大待ち時間を超過したか否かを判断する。つまり、再度送信待ち時間CSRと同等の時間となったか否かを判断する。
【0072】
ステップS12にて超過と判断した場合には、ステップS13にて最短キャリアセンス時間(CS1)を、このフレーム周期において、この伝送装置の伝送待ち時間として設定して処理を抜ける。なお、ステップS12にて超過していなければ、ステップS13の処理を行わない。
【0073】
図10は、情報送信を行う場合の伝送装置の動作のフローチャートである。
まず、ステップS21にて無線伝送の需要が発生しているか否かを判断し、伝送が不要であれば処理を抜ける。伝送が必要であれば、ステップS22にて、非同期情報伝送領域であるか否かの判断をする。
【0074】
ステップS22にて、非同期情報伝送領域でなければ、NOの分岐よりステップS23にて帯域予約領域の終了の検出を行い、終了するまで処理を繰り返すが、帯域予約伝送が終了した場合には、YESの分岐よりステップS24に移行する。
【0075】
非同期情報伝送領域においては、ステップS24にて伝送装置毎に設定された送信待ち時間を獲得する。
【0076】
その後、ステップS25のキャリア検出の動作と、ステップS26の送信待ち時間の経過の判断を行う。
【0077】
ステップS25で待ち時間の間に他の伝送装置からのキャリアを検出した場合には、ステップS22に戻って、再度送信待ち処理を行う。
【0078】
ステップS26で待ち時間に亘って他の伝送装置からのキャリアを検出しなければ、ステップS27にて情報送信処理のサブルーチンを行う。
【0079】
図11は、情報送信処理の動作のフローチャートである。図11は、図10のステップS27に適応する。
まず、ステップS30にて、1回のアクセス制御に対する伝送可能量を参照すると共に、伝送フレーム周期の終了位置を判定して、情報伝送が可能であるか否かの判断を行う。
【0080】
ステップS30にて、情報伝送が可能であれば、ステップS31にて所定の情報量の情報送信処理を行い、ステップS32にて全ての情報伝送が終了したか否かの判断を行う。
【0081】
さらに、ステップS30にて、情報伝送が不可能であれば、ステップS33にて、伝送可能量の超過の判断を行い、伝送可能量を超過していた場合には、ステップS34にて、現在の該当ネットワークにおける通信局数から、最大キャリアセンス時間の情報を獲得し、ステップS35にて再度送信待ち時間(CSR)の設定を行う。
【0082】
ここで、ステップS33において、伝送可能量の超過以外に、例えば伝送フレーム周期の終了位置と衝突すると判断した場合には、一連の処理を抜ける。
【0083】
図12に、下り管理情報の構成例を示す。
図中、下り管理情報を識別する識別子120、送信元局を特定すると共に伝送フレーム周期を特定するために必要な伝送フレーム周期情報121、情報伝送領域の内帯域予約情報の伝送される部分を表す帯域予約情報122、このネットワークにおける伝送装置の構成数を表す伝送装置数123、送信待ち時間の設定値を表す送信待ち時間設定値124などが想定されている。なお、これ以外にも必要となる情報を適宜追加しても良い。
【0084】
なお、上述した本実施の形態はワイヤレス1394フォーマットに適用される例を示したが、これに限らず、他の無線ネットワークにも適用されることはいうまでもない。
【0085】
【発明の効果】
本発明の伝送制御方法は、複数の伝送装置を用いてネットワークを構成し、時分割多重して情報伝送を行うためのアクセス制御をする伝送制御方法において、ネットワークを構成する各伝送装置毎に、他の伝送装置と異なるように、それぞれ所定の値を、情報送信を開始するまでの時間として設定し、所定の時間毎に伝送フレーム周期を設定し、送信を開始するまでの時間を、所定の伝送フレーム周期毎に他の伝送装置の設定時間と順番に変更し、任意の伝送装置は、その時間に亘ってキャリアセンスを行い、キャリアセンスにより他の伝送装置からの情報伝送を検出しなければ、任意の伝送装置から情報伝送を行うので、他の伝送装置からの情報伝送との衝突を防いで情報伝送を行うアクセス制御を実現することができるという効果を奏する。
【0086】
また、本発明の伝送制御方法は、上述において、所定の値は、任意の伝送装置がキャリアセンスを行って、情報伝送の伝送路が空き状態であることを判断できる時間を基本単位として、基本単位の整数倍の値を、ネットワークを構成する各伝送装置毎に、それぞれ情報送信を開始するまでの時間として設定するので、同一ネットワーク内における他の伝送装置からの情報伝送との衝突を防いで情報伝送を行うアクセス制御を実現することができるという効果を奏する。
【0087】
また、本発明の伝送制御方法は、複数の伝送装置を用いてネットワークを構成し、時分割多重して情報伝送を行うためのアクセス制御をする伝送制御方法において、所定の時間毎に伝送フレーム周期を設定し、その伝送フレーム周期毎に、それぞれ他の伝送装置と異なるように、ネットワークを構成する各伝送装置毎に、情報送信を開始するまでの時間を設定し、送信を開始するまでの時間を、所定の伝送フレーム周期毎に他の伝送装置の設定時間と順番に変更し、任意の伝送装置は、その時間に亘ってキャリアセンスを行い、他の伝送装置からの情報伝送を検出しなければ、任意の伝送装置から情報伝送を行うので、伝送フレーム周期毎に他の伝送装置からの情報伝送との衝突を防いで情報伝送を行うアクセス制御を実現することができるという効果を奏する。
【0088】
また、本発明の伝送制御方法は、上述において、フレーム周期毎に設定される情報送信を開始するまでの時間については、フレーム周期が変わる毎に、各伝送装置の間で有効となる送信を開始するまでの設定時間を、伝送装置毎に順番に変更するようにし、任意の伝送装置は、その時間に亘ってキャリアセンスを行い、他の伝送装置からの情報伝送を検出しなければ、任意の伝送装置から情報伝送を行うので、伝送路上での公平なアクセス制御を実現することができるという効果を奏する。
【0089】
また、本発明の伝送制御方法は、複数の伝送装置を用いてネットワークを構成し、時分割多重して情報伝送を行うためのアクセス制御をする伝送制御方法において、ネットワークを構成する各伝送装置の判断に基づいて、情報伝送の伝送路の内、非同期伝送に利用できる領域の量に応じて、所定のアクセス制御によって1回で送信できる伝送可能量を可変量とするので、複数の伝送装置間で伝送路を融通しあったアクセス制御を実現することができるという効果を奏する。
【0090】
また、本発明の伝送制御方法は、上述において、再び情報伝送を行う場合には、ネットワークを構成する任意の伝送装置に設定された最も遅い送信を開始するまでの時間と、任意の伝送装置に設定された送信を開始する時間とを加算した時間を設定して、任意の伝送装置は、その時間に亘ってキャリアセンスを行い、他の伝送装置からの情報伝送を検出しなければ、任意の伝送装置から情報伝送を行うので、他の伝送装置からの情報伝送と伝送路を分け合いながら情報伝送を行うアクセス制御を実現することができるという効果を奏する。
【0091】
また、本発明の伝送制御装置は、複数の伝送装置を用いてネットワークを構成し、時分割多重して情報伝送を行うためのアクセス制御をする伝送制御装置において、任意の伝送装置は、所定のアクセス制御のために情報送信を開始するまでの開始時間を、それぞれ他の伝送装置と異なるように設定する設定手段と、開始時間を、所定の伝送フレーム周期毎に、他の伝送装置の設定値を順番に変更する設定手段と、時間を計る計時手段と、計時手段を用いて開始時間に亘ってキャリアセンスを行うキャリアセンス手段と、を備え、キャリアセンス手段から他の伝送装置からの情報伝送を検出しなければ、任意の伝送装置から情報伝送を行うので、所定のアクセス制御のために情報送信を開始するまでの開始時間を設定して、送信開始までの時間に亘ってキャリアセンスを行い、他の伝送装置からの情報伝送を検出しなければ、情報伝送を行うことにより、他の伝送装置からの情報伝送との衝突を防いで情報伝送を行うアクセス制御を実現する伝送制御装置を得ることができるという効果を奏する。
【0092】
また、本発明の伝送制御装置は、複数の伝送装置を用いてネットワークを構成し、時分割多重して情報伝送を行うためのアクセス制御をする伝送制御装置において、ネットワークを構成する各伝送装置の判断に基づいて、情報伝送の伝送路の内、非同期伝送に利用できる領域の量を判断する判断手段と、所定のアクセス制御によって1回で送信できる伝送可能量を設定する設定手段と、を備え、非同期伝送の利用可能領域の量に応じて、1回の伝送可能量を設定するので、情報伝送に利用できる領域の量を判断して、所定のアクセス制御によって1回で送信できる伝送可能量を設定することにより、複数の伝送装置間で伝送路を融通しあったアクセス制御を実現する伝送制御装置を得ることができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施の形態の無線伝送方法が適用される無線ネットワーク構成例を示す図である。
【図2】ネットワーク接続形態を模式的に示した図である。
【図3】各通信局を構成する無線伝送装置の構成例を示す図である。
【図4】伝送装置毎の送信待ち時間の設定例を示す図である。
【図5】同一伝送路上での衝突回避制御の例を示す図である。
【図6】フレーム周期単位の伝送装置毎の送信待ち時間の設定更新例を示す図である。
【図7】通信局での動作を示すフローチャートである。
【図8】情報更新処理例の動作を示すフローチャートである。
【図9】送信待ち時間設定例の動作を示すフローチャートである。
【図10】情報通信局での動作を示すフローチャートである。
【図11】情報送信処理例の動作を示すフローチャートである。
【図12】下り管理情報の例を示す図である。
【図13】従来方法による無線伝送フレーム構成例を示す図である。
【符号の説明】
11,12,13,14……無線伝送装置、15……ネットワーク、31……アンテナ、32……無線送受信処理部、33……伝送制御処理部、34……情報変換処理部、35……外部インターフェース部、36……制御部、37……内部メモリー、38……シリアルバス、39……接続される機器、40……CS1、41……CS2、42……CS3、43……CS4、44……CSR、45〜49……伝送可能量、50……CS1、51……CS2、52……CS3、53……CS4、54……CSR、

Claims (8)

  1. 複数の伝送装置を用いてネットワークを構成し、時分割多重して情報伝送を行うためのアクセス制御をする伝送制御方法において、
    上記ネットワークを構成する各伝送装置毎に、他の伝送装置と異なるように、それぞれ所定の値を、情報送信を開始するまでの時間として設定し、所定の時間毎に伝送フレーム周期を設定し、
    前記送信を開始するまでの時間を、所定の伝送フレーム周期毎に他の伝送装置の設定時間と順番に変更し、
    任意の伝送装置は、その時間に亘ってキャリアセンスを行い、上記キャリアセンスにより他の伝送装置からの情報伝送を検出しなければ、上記任意の伝送装置から情報伝送を行う伝送制御方法。
  2. 請求項1記載の伝送制御方法において、
    上記所定の値は、上記任意の伝送装置がキャリアセンスを行って、上記情報伝送の伝送路が空き状態であることを判断できる時間を基本単位として、上記基本単位の整数倍の値を、上記ネットワークを構成する各伝送装置毎に、それぞれ情報送信を開始するまでの時間として設定することを特徴とする伝送制御方法。
  3. 複数の伝送装置を用いてネットワークを構成し、時分割多重して情報伝送を行うためのアクセス制御をする伝送制御方法において、
    所定の時間毎に伝送フレーム周期を設定し、
    その伝送フレーム周期毎に、それぞれ他の伝送装置と異なるように、上記ネットワークを構成する各伝送装置毎に、情報送信を開始するまでの時間を設定し、
    前記送信を開始するまでの時間を、所定の伝送フレーム周期毎に他の伝送装置の設定時間と順番に変更し、
    任意の伝送装置は、その時間に亘ってキャリアセンスを行い、
    他の伝送装置からの情報伝送を検出しなければ、上記任意の伝送装置から情報伝送を行う伝送制御方法。
  4. 請求項3記載の伝送制御方法において、
    上記フレーム周期毎に設定される情報送信を開始するまでの時間については、フレーム周期が変わる毎に、各伝送装置の間で有効となる送信を開始するまでの設定時間を、伝送装置毎に順番に変更するようにし、
    任意の伝送装置は、その時間に亘ってキャリアセンスを行い、他の伝送装置からの情報伝送を検出しなければ、上記任意の伝送装置から情報伝送を行う伝送制御方法。
  5. 複数の伝送装置を用いてネットワークを構成し、時分割多重して情報伝送を行うためのアクセス制御をする伝送制御方法において、
    前記ネットワークを構成する各伝送装置の判断に基づいて、上記情報伝送の伝送路の内、非同期伝送に利用できる領域の量に応じて、所定のアクセス制御によって1回で送信できる伝送可能量を可変量とする伝送制御方法。
  6. 請求項5記載の伝送制御方法において、
    再び情報伝送を行う場合には、上記ネットワークを構成する任意の伝送装置に設定された最も遅い送信を開始するまでの時間と、上記任意の伝送装置に設定された送信を開始する時間とを加算した時間を設定して、上記任意の伝送装置は、その時間に亘ってキャリアセンスを行い、他の伝送装置からの情報伝送を検出しなければ、上記任意の伝送装置から情報伝送を行う伝送制御方法。
  7. 複数の伝送装置を用いてネットワークを構成し、時分割多重して情報伝送を行うためのアクセス制御をする伝送制御装置において、
    任意の伝送装置は、所定のアクセス制御のために情報送信を開始するまでの開始時間を、それぞれ他の伝送装置と異なるように設定する設定手段と、
    前記開始時間を、所定の伝送フレーム周期毎に、他の伝送装置の設定値を順番に変更する設定手段と、
    時間を計る計時手段と、
    上記計時手段を用いて上記開始時間に亘ってキャリアセンスを行うキャリアセンス手段と、
    を備え、前記キャリアセンス手段から他の伝送装置からの情報伝送を検出しなければ、上記任意の伝送装置から情報伝送を行う伝送制御装置。
  8. 複数の伝送装置を用いてネットワークを構成し、時分割多重して情報伝送を行うためのアクセス制御をする伝送制御装置において、
    前記ネットワークを構成する各伝送装置の判断に基づいて、上記情報伝送の伝送路の内、非同期伝送に利用できる領域の量を判断する判断手段と、
    所定のアクセス制御によって1回で送信できる伝送可能量を設定する設定手段と、
    を備え、上記非同期伝送の利用可能領域の量に応じて、上記1回の伝送可能量を設定する伝送制御装置。
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