JP4304692B2 - 円盤状物の把持を確認するクランプ装置 - Google Patents

円盤状物の把持を確認するクランプ装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、半導体ウエハなど円盤状物の周縁部を把持するクランプ装置に関する。さらに詳しくは、クランプ式位置決め装置、ロボットのエンドエフェクタなどにおいて、目的物である円盤状物を確実に把持したかどうかを確認するためのドグとセンサを有するクランプ装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、半導体ウエハ基板など円盤状物を、回転スピンドル型位置決め装置に固定する方法として、真空吸着方式が一般的である。しかし、近年、半導体ウエハの裏面が、面積の広い吸着部と接触して汚染されるのを避けるために、その周縁部を挟んで把持する方法、即ち、クランプ方法が提案されている。 例えば、特開2000−133696号公報には、基板のエッジを把持して基板の中心及びオリエンテーションフラットの位置決め装置を提案している。また、ロボットなどの搬送機のエンドエフェクタ上で、半導体ウエハ基板など円盤状物を固定する方法としてもクランプ方法が提案されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、クランプ方式では薄い円盤の周縁部を小さな爪で把持する場合、把持に失敗して固定できないことがあり、クランプ式位置決め装置の破壊や故障の原因、ウエハの損傷となったり、搬送ロボットが円盤状物を落下させるなどの事故が発生することがあった。この事故を避けるために、特開2002−134586号公報では、基板のエッジを把持して搬送するロボットのエンドエフェクタにおいて、リスト部に設けられたプッシャーが、その原点位置P1とオーバーストローク位置P3の間のP2を基板の正常把持位置として認識する、位置確認オートスイッチ使用を提案している。図4は、本文献のエンドエフェクタで、ウエハ把持の確認は、高価なクランプ原点確認オートスイッチ151とウエハクランプ位置確認オートスイッチ152を装着している。また、特開2002−134586号公報には、前記のプッシャーの駆動源として2点位置確認センサ付きシリンダの使用を提案し、これで原点位置P1と正常把持位置P2を検出している。いずれもコスト的に不利なばかりでなく、把持の際の衝撃を避けることができず、ウエハやガラス基板など脆性材料を破壊する恐れがあった。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、円盤状物を確実に把持したかどうかを確認する、より簡単な手段について鋭意検討した結果、先端に爪部を有する少なくとも1つのフィンガが、運動することによって円盤状物を把持または開放するクランプ装置において、前記フィンガと連動する少なくとも1つのドグと、前記ドグを検出する少なくとも1つのセンサとを設置することにより、円盤状物を適正に把持したか否かを検出する手段を見出し本発明に到達した。
【0005】
ドグとは、可動部分に取り付けられ位置を示すための板状や棒状の突起物である。このドグを透過式または反射式光学センサ、或いは、近接センサ、リミットスイッチなどによって検出する。本発明では、フィンガにその移動最大距離より短いドグを取り付け、ちょうど円盤状物を適正に把持した距離でドグの特定位置をセンサが検出し、把持する前および把持せずに移動した場合は、ドグの特定位置が検出されないように配置することによって、運動の前後で正常に把持したか否かを感知することができる。逆に、移動最大距離より大きいドグをフィンガに取り付け、ちょうど円盤状物を適正に把持した距離に穴ないしスリットをドグに設けることにより、同様な効果を生じさせることができる。ここで、1つのドグを検出するセンサは、1つでもよいし複数でもよい。また、センサが正常把持と検出する位置にドグの特定点を配すれば、動作開始点やオーバーストローク後の終了点を検出させる必要はない。
【0006】
また、複数の前記フィンガが1点に向かって同時に運動することによって円盤状物を把持し、その逆方向に運動することによりこれを開放するクランプ装置においても、前記フィンガと連動する少なくとも1つのドグとこのドグを検出する少なくとも1つのセンサとを具えることもできる。ここで複数あるフィンガの内の1つにドグを取り付ける場合でフィンガが直線運動のみする場合は、センサも1つでよい。しかし、円盤状物を把持してフィンガが回転する場合は、センサが固定されているとドグが検出されない場合があるため、ドグのついたフィンガをセンサの位置に止めて把持動作させるか、このセンサをドグと連動させて回転させるか、センサを円周上に配置するなどの手段をとってもよい。かくしてドグの特定点を検出することによって、円盤状物を把持したかどうかを確認することができる。
【0007】
さらに、複数の前記フィンガが1点に向かって同時に運動する場合、前記ドグが複数あってフィンガにそれぞれ取り付けられ、前記センサが、前記中心点から一定の距離にあって、前記一定の距離を半径とする円周上のすべての位置において前記ドグの特定店を検出するようにしてもよい。即ち、前記1点を通る直線を中心軸として回転し中心軸に向かって運動するフィンガを有するクランプ装置において、固定位置に取り付けられたセンサで、回転するドグをどの角度からも検出して、円盤状物を把持しているかどうかを確認するようにしてもよい。この際、フィンガの全部または大部分にドグを取り付け、各ドグ間に切れ目がないように配置しておくことが好ましい。
【0008】
次に、複数の前記複数のフィンガが中心点に向かって同時に運動することによって円盤状物を把持し、その逆方向に運動することによりこれを開放するクランプ装置において、前記ドグが前記1点を通る直線を中心軸とする短管であって、この短管を前期フィンガの運動に連動して上下運動させ、この短管状ドグの下部が特定高さに来た時センサが検出する様にしてもよい。即ち、フィンガのほぼ水平方向の運動を、カムや連動棒、傾斜リニアガイドなどを用いて垂直運動に変換し、ここに短管状ドグを取り付ける。短管状ドグは、円盤状物を把持した場合一定の高さで停止し、把持しなかった場合はこれを過ぎて短管状ドグが上昇または降下しセンサが異常を検出する。
【0009】
本発明のクランプ装置では、円盤状物を把持する爪部とこれを運動させる駆動源との間に、バネ材を介在させることができる。爪部はフィンガの先端に固定される場合が多いので、通常フィンガとモータやエアシリンダなど駆動源との間の適当な場所にこのバネ材を介在させ、シリコンウエハやガラスなど脆性材料基板である円盤状物を衝撃なく、また、一定の応力で把持させることができる。
【0010】
【発明の実施の形態】
本発明では、前記の各種クランプ装置を搬送機用エンドエフェクタや、円盤状物の位置決め装置1として実現することができる。
図1に、本発明のクランプ装置の一種であるウエハ位置決め装置1を例示する。本位置決め装置1では、ウエハ6の中心と周縁にあるノッチとを所定の位置と方向に配置するものである。ここでは、3本のフィンガ5が、中心の上下方向斜めに溝が切られた傾斜リニアガイド部材4に結合され、この傾斜リニアガイド部材4に結合された昇降軸7の降下と同時に中心に向かって水平直線運動し、爪部上に載置されたウエハを把持する機構によって、ウエハ中心位置を決定する。ついでフィンガはウエハを把持したまま回転し、図示しないセンサによってウエハ周縁のノッチを検出し、所定の位置に停止する。前記昇降軸7は、バネ材25とロータリージョイント16を介してエアシリンダ15に結合し、このシリンダは筐体に固定されている。図1に示すように、ドグ2は、中心部分が傾斜リニアガイド部材4下部に固定された短い円管状で、投光器と受光器とからなる透過型光センサ3は上下2組設けてある。図1のように、2組のセンサがともに受光している時は、フィンガは開き把持動作をしていない事を示している。次に、把持動作をはじめると、図2に示すように、ドグ2が降下して上部センサが遮光されるが下部センサは受光しているときは、ウエハを正常に把持していることを表す。図示していないが、2組のセンサがともに遮光されている時は、把持に失敗してフィンガはオーバーストロークしていることを表している。このような不具合を検出した場合は、ノッチ検出のための回転を開始しない。
【0011】
図1の具体的実施例として、直径300mmのウエハ用のクランプ式位置決め装置を製作した。この装置のノッチ検出の位置決め時間は1回転以内でノッチを検出し所定位置に止まるまでの時間で、爪部にノッチが重なっていない場合平均4.0秒で、爪部とノッチが重なっている場合は、不図示の仮置き台に置いて持ち替える時間を含めて平均5.2秒であった。
【0012】
図4は本発明の他の実施例で、図1における短管状ドグにかえて、3本の水平直線運動するフィンガ5すべてに、円弧状スリットを施した扇型ドグ2を水平に固定したクランプ式ウエハ位置決め装置の部分平面図である。本図ではセンサ3は透過型センサ1組で、フィンガ5が開いている時は遮光し、ウエハをちょうど把持するところでセンサはドグ2のスリットを検出して受光し、オーバーストロークすると再び遮光する。この装置は3枚のドグが連続していないため、スタート時、または、ウエハを持ち去った後、必ずドグ2とセンサ3とが重なる位置に回転させておく必要がある。図1同様、不具合を検出した場合は、ノッチ検出のための回転は開始しない。尚、本図におけるウエハ把持機構は図1と同じ傾斜リニアガイド部材によるものである。
【0013】
図4の具体的実施例として、直径300mmのウエハ用の位置決め装置を製作した。この実験では、スタート時は常にセンサ位置にドグ2を合わせる動作を行った後、ウエハを3つの爪部13に載置する。この装置のノッチ検出の位置決め時間は、爪部にノッチが重なっていない場合平均4.5秒で、爪部とノッチが重なっている場合は、持ち替え時間を含めて平均7.1秒であった。
【0014】
図5は、ロボット11のアーム12の先端に取り付けた、本発明のクランプ型エンドエフェクタ20である。本図5では二つの固定爪部21と1つの可動爪部22の上にウエハを載置した後、リスト部に設けたモータ9のネジ軸33により、2つのバネ材25で連結されたバネ連結部材36とフィンガ連結部材30とをリニアガイド28に沿って押し出し、ちょうどウエハを把持したところでドグ2がセンサ3を遮光する。ついでバネ連結部材36はバネ材25を圧縮しながら把持点を越えて所定の位置で停止する。即ち、把持動作開始前は受光、把持時点で遮光が正常であるが、さらに次に受光するとフィンガ連結部材30は押し出され、ウエハを把持していないことを示す。また、ウエハを開放する場合は、この逆動作を行う。
【0015】
【発明の効果】
本発明では、さまざまな形状のドグを公知の安価なセンサと組み合わせることにより、ウエハなど円盤状物の把持を確認する手段を有するクランプ装置を提供することができた。本発明の応用例であるウエハ位置決め装置では、ウエハの把持を確認した後、ノッチ検出のための回転動作を始めることから、空運転や爪部材上に正常に置かれていない場合を認識することができ、フィンガの破壊や装置の故障、円盤状物の損傷などを未然に防ぐことができるようになった。
【0016】
また、他の応用例であるロボット用エンドエフェクタでは、ウエハの把持を確実に確認することができ、高価な製品を落として破損するなどの事故がなくなったばかりでなく、小型のドグとセンサを採用することによりエンドエフェクタ全体の軽量化に寄与することができた。
【0017】
また、フィンガとモータやシリンダなど駆動源との間に、バネ材を介在させることにより、脆性材料であるシリコンウエハやガラス基板を爪部で把持する際、衝撃を与えずに接触することができ、円盤状物に損傷を与える事故や、落下させる事故も無くなった。
【図面の簡単な説明】
【図1】3本のフィンガが1点に向けて同時に水平に伸縮する動作に連動して昇降する短管状ドグを具えた本発明のクランプ装置の側面図であって、位置決め装置に応用した例である。
【図2】図1に示すクランプ装置において、3本のフィンガが収縮した状態を示す側面図である。
【図3】図1に示すクランプ装置において、3本のフィンガがウエハを把持できない場合を示す側面図である。
【図4】スリットを設けた板片状のドグをフィンガの一つに水平に配設した本発明のクランプ装置の平面図であって、位置決め装置に応用した例である。
【図5】爪部が押し出されてウエハを把持する本発明のドグを備えたロボット用クランプ装置の斜視図である。
【図6】爪部が押し出されてウエハを把持するドグを備えない従来のロボット用クランプ装置の斜視図である。
【符号の説明】
1 位置決め装置
2 ドグ
3 センサ
4 傾斜リニアガイド部材
5 フィンガ
6 ウエハ
7 昇降軸
8 回転軸
9 モータ
11 搬送用ロボット
12 アーム
13 爪部
15 エアシリンダ
16 ロータリージョイント
20 エンドエフェクタ
21 固定爪部
22 可動爪部
25 バネ材
28 リニアガイド
30 フィンガ連結部材
33 ネジ軸
36 バネ連結板

Claims (1)

  1. ウエハを水平面内で把持して、回転すると共に、ウエハの縁部のノッチを検出するウエハ位置決め位置決め装置において、
    基台上に、傾斜リニアガイド部材を昇降動作可能とする昇降手段と、該傾斜リニアガイド部材を回動可能とする回動手段とを備えて、
    該傾斜リニアガイド部材の傾斜した長穴とフィンガの一端を当接することで、昇降手段の作動により該フィンガを水平方向に直線動作して、
    フィンガの他端に備える爪部によりウエハを把持するウエハ位置決め装置であって、
    該傾斜リニアガイド部材に管状のドグを該リニアガイド部材の回転軸中心と該管状のドグの中心軸とが一致するように備えるとともに、
    基台上であってドグの動作が検出できる位置にセンサを備えることでウエハの把持状態を確認することを特徴とするウエハ位置決め装置。
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